2021年11月14日日曜日

本日のCD Stuff


 スタッフのファーストは「Stuff」1976年のアルバムです。Gordon Edwards (ゴードン・エドワーズ)、Richard Tee (リチャード・ティー)、 Steve Gadd (スティーブ・ガッド)、Christopher Parker (クリストファー・パーカー)、 Eric Gale (エリック・ゲイル)、Cornell Dupree (コーネル・デュプリー) が参加する夢のようなバンドです。フュージョンですが、音楽性は歌の入っていない R&B、ソウルが主体でこんなバンドがやりたいとジャズ研に入ったときに思ったんですが、残念ながらリチャード・ティーがいなかった。そんな当時売れっ子のスタジオミュージシャンで結成されたんですが、2021年現在の存命はGordon Edwards、Christopher Parker、Steve Gadd  の三人だけになってしまいした。


 改めて聴き直して肉声の代わりを楽器がやっているだけのR&B、ソウルであるのが、心地よくかっこいい音です。Steve Gadd、Christopher Parker のドラムは細かいビートの方と基本的なリズムの二人が叩いているのは注意すれば聴き分けられますが上手すぎるので、どちらがどちらかは聴き分けられませんが、このバンドのグルーブはこのツインドラムによって牽引されているのがわかります。それに大好きな Richard Tee の跳ねるようなオクターブ奏法によるキーボードのソウル・ゴスペル的なフレーバーが加わります。そして Cornell Dupree、Eric Gale のハートフルなギター、特には Cornell Dupree のなでるようなオブリで最高の味付けをしながら、ボーカルがいない分ギターで歌っちゃいます。
 スタッフの始まりはニューヨークのクラブ、Mikell's (ミケールズ)  でのセッションのレギュラーメンバーが中心で、ゴードン・エドワーズが結成したセッション・バンド「エンサイクロペディア・オブ・ソウル」が母体で、ガッドギャングはこのバンドが解散後、スティーブ・ガッドがメンツを集めて結成されました。

keyboards : Richard Tee
guitar : Cornell Dupree, Eric Gale
bass : Gordon Edwards
drums percussion : Christopher Parker, Steve Gadd

1. Foots
2. My Sweetness
3. (Do You) Want Some Of This
4. Looking For The Juice
5. Reflections Of Divine Love
6. How Long Will It Last
7. Sun Song
8. Happy Farms
9. Dixie / Up On The Roof

Foots




muu music webzine

  

本日のCD Gil Scott-Heron ♪ Sprits


 購入当初は、実はほぼ好みではなかった為ほとんど聞かずにいましたが、最近は何か気になってしまって「たまに」聞くアルバムです。アルバム名が Sprits というだけあって、何かに取りつかれたようなスピリチュアルで不気味な雰囲気がします。
 と言うことで調べるとなるほど!実は彼はもともと詩人でポエトリー・リーディングという手法をとっていること、また黒いボブディランとも呼ばれていたことが判明しました。どうやら、そのリーディングの手法からかラップの元祖的な存在でもあるようです(リズムは無いのでラップの亜種のような気もしますが)
 1949年、イリノイ州シカゴ生まれ。テネシー州ジャクソンで祖母に育てられたが、13歳でニューヨークに移住。12歳になるまでに2冊の本(The Vulture, The Nigger Factory)や詩集を出版している。何やら幼少のころから凡人とは違う経歴です。そんな彼の世界観は音楽界でも独特のオーラを発しております。その後はリンカーン大学在学中にブライアン・ジャクソンとブルースバンドを結成。70年アルバム「スモール・トーク・アット125thアンド・レノックス」をリリースし、同名の詩集を出版。ジョン・ホプキンス大学で創作の修士号取得。1976年アルバム「イッツ・ユア・ワールド」、1981年「リフレクションズ」、1994年「スピリッツ」、2010年「アイム・ニュー・ヒア」などをリリース。確実に普通の人ではないようです。

  

 デジタルなバックミュージックに低い声で朗読される Message To The Messengers どヘヴィなジャズに無国籍なボーカルの Spirits、都会的なスローテンポのソウル風の楽曲が普通かと思えば、ローボイスのボーカルが独特な Give Her A Call、爽やかな楽曲でも何かドロリとしたダークな質感が全体的に漂うのが不気味です。The Other Side part3 ではサンタナ的な楽曲とギターで盛り上がり、ジャコ的なベースラインあたりは唯一、普通を感じました。
 70年代を中心に活躍した天才も病気のためニューヨークの病院で2011年5月27日に61歳で死去されています。

piano, vocals : Gil Scott-Heron
piano : Brian Jackson,Kim Jordan, Malcolm Cecil, Vernard Dickson
guitar : Ed Brady
bass : Fima Ephron, Malcolm Cecil, Rob Gordon
drums : Rodney Youngs
percussion : Larry McDonald, Tony Duncanson
sax : Leon Williams, Ron Holloway
flute : Ibrahim Shakur

1. Message To The Messengers
2. Spirits
3. Give Her A Call
4. Lady's Song
5. Spirits Past
6-8. The Other Side part1-2-3
9. Work For Pieace
10. Don't Give Up





muu music webzine

  

2021年11月13日土曜日

本日のCD Marcus Miller ♪ Afrodeezia


 アフリカ、中東系を思わせる楽曲とリズムを、パーカッシブなスラップと組み合わせるとこうなる。このアルバムはわかりやすい一言でいえば、ワールドミュージックとフュージョンの融合でしょう。Marcus Miller (マーカス・ミラー) がブラック・ミュージックのルーツを巡る2015年発表のアルバムです。アルバムタイトルの Afrodeezia (アフロディジア)は
「アフリカにルーツを求めて」のような意で、声なきアフリカの奴隷たちにとって「音楽こそが大きなヴォイス」となったことを描いているとのこと。
 ジャズに限らずアメリカの音楽の発展は、戦争、ドラッグと人種差別問題と密接な関係がある。人種差別問題のルーツとしてはアメリカでかつて存在した奴隷制であり多くの人はアフリカ系の人々。アルバム制作はマーカスがユネスコの「Slave Route Project」のスポークスマンに選ばれたことに起因するそうだ。

 アフリカ、南米等のアーティストを起用してのブラック・ミュージックのルーツを巡ったコンテンポラリー・ジャズで、細部へのこだわりや様々なスタイルの音楽への開放性、何よりマーカスのベースはメロディーの出る打楽器みたいなもんだから、このアルバム・コンセプトと楽曲への相性は非常に良かったようです。
 マーカスのオリジナル中心ではありますが、The Temptations (テンプテーションズ)のカバーの Papa Was A Rolling Stone とか良かったんで、参加ミュージシャン見てみたら Keb' Mo'、Wah Wah Watson がギターを弾いてるのを発見。聴き直しちゃいました。 We Were There、Xtraordinary なんかは、いつものマーカスでホッとします。


producer – Marcus Miller

1. Hylife
bass guitar, party vocal : Marcus Miller
piano : Brett Williams
guitar : Adam Agati
drums, vocal riffs : Louis Cato
percussion, backing vocals : Adama Bilorou Dembele
alto sax : Alex Han
trumpet : Lee Hogans
lead vocals : Guimba Kouyaté
chorus , acoustic guitar, backing Vocals : Cherif Soumano
chorus, backing vocals : Alune Wade
2. B's River
guitar, bass guitar, bass clarinet : Marcus Miller
piano : Brett Williams
acoustic guitar : Guimba Kouyaté
electric guitar : Adam Agati
drums : Louis Cato
kora : Cherif Soumano
percussion : Adama Bilorou Dembele
alto sax : Alex Han
trumpet : Etienne Charles
3. Preacher's Kid (Song For William H)
bass clarinet, piano, acoustic bass : Marcus Miller
organ : Cory Henry
drums : Louis Cato
vocals : Lalah Hathaway
choirus : Alune Wade, Alvin Chea, Julia Sarr
4. We Were There
bass guitar : Marcus Miller
piano (fender rhodes solo) : Robert Glasper
piano (fender Rhodes) : Brett Williams
guitar : Adam Agati
percussion : Marco Lobo
alto sax : Louis Cato
trumpet : Lee Hogans
scat vocals : Lalah Hathaway
backing vocals : Alina Cabral, Andrea Dutra, Christiane Correa Tristao
5. Papa Was A Rolling Stone
bass guitar : Marcus Miller
organ (soul organ), piano (jazz piano) : Cliff Barnes
guitar (delta blues guitar) : Keb' Mo'
guitar (detroit wah wah guitar) : Wah Wah Watson
guitar (urban blues guitar) : Adam Agati
drums : Louis Cato
percussion (african percussion) : Munyungo Jackson
alto sax : Alex Han
trumpet (n'awlins trumpet) : Patches Stewart
6. I Still Believe I Hear (Je Crois Entendre Encore)
bass guitar (Fretless), bass guitar (fretted) : Marcus Miller
piano : Brett Williams
guitar : Adam Agati
drums, djembe : Louis Cato
percussion : Lamumba Henry
soprano sax : Alex Han
trumpet : Lee Hogans
featuring, cello : Ben Hong
7. Son Of Macbeth
bass guitar : Marcus Miller
piano : Brett Williams
guitar, guitar (solo) : Adam Agati
drums : Louis Cato
percussion (steel pans) : Robert Greenidge
alto sax : Alex Han
trumpet, percussion : Etienne Charles
8. Prism (Interlude)
bass guitar : Marcus Miller
piano (fender rhodes) : Brett Williams
guitar : Adam Agati
drum machine (manual) : Louis Cato
alto saxophone : Alex Han
trumpet : Lee Hogans
mixed by : Marcus' Blackberry
9. Xtraordinary
bass Guitar (Fretless), piano, bass clarinet, kalimba, vocals : Marcus Miller
alto sax : Alex Han
bass vocals : Alvin Chea
djembe : Lamumba Henry
drums : Louis Cato
trumpet : Lee Hogans
10.Water Dancer
bass guitar : Marcus Miller
piano : Cliff Barnes
guitar, guitar (solo) : Adam Agati
acoustic guitar : Guimba Kouyaté
drums : Louis Cato
percussion : Adama Bilorou Dembele
kora : Cherif Soumano
alto sax : Alex Han
trumpet : Ambrose Akinmusire
accordion : Roddie Romero
violin : Michael Doucet
11. I Can't Breathe
featuring : Chuck D
guitar, bass guitar (breakdown), drum programming, piano (fender rhodes)
 : Mocean Worker
guitar (Gimbri), bass guitar, bass clarinet, piano (fender rhodes), synthesize : Marcus Miller

▶ Hylife




muu music webzine

  

2021年11月11日木曜日

本日のCD Art Blakey ♪ A Night At Birdland Vol1


  A Night At Birdland Vol2 を先に聴いてしまい最高に楽しくスカッとするライブであったため、これは「1」を聴いていないのはもったいない。と中古を探してはいたのですが、忘れそうなんで新品をタワレコで購入しました。
 さてバードランドの1954年2月21日のライブ録音の第1弾。少し抑え気味であった Cafe Bohemia のライブとはブレイキーとシルバー以外メンバーが全て違うのもありますが、少し抑え気味であったけど、こちらも第2弾同様派手に爆発しています。とは言え第2弾はビ・バップ色が強いものを集め、こちらの第1弾はシルバーの作品を中心にしているので第1弾と2弾では作風は若干異なります。本作ではピアノのホレス・シルバーの曲が 2,4,6 と3曲収録されています。
 全体的に躍動感に溢れて跳ねるような突っ込み気味の演奏が気持ちアルバムですが、特に冒頭曲の Split Kick の各人のソロのキレぐあいも素晴らしいのですが、ピアノが中盤あたりから跳ねるように、ギターのバッキングのようにバンドをどんどんドライブさせてくるのが気持ちよいですね。そのほか、Quicksilver も中々かっこいい。Silverが自分の名前を付けた作品で、Silverのピアノと Donaldson とでブラウニーもクイックに煽ってくれます。ライナーノーツを見ていたら、この2月21日のライブは日曜日でなんと5セットだったようで当時の売れっ子っぷりがわかります。幾つめのステージかはわかりませんがテンションの維持も大変だったことでしょう。そして独特の声質としゃべり方でライブの始まりを告げて盛り上げる Pee Wee Marquette のMCはアルバムの冒頭に収録されていますが、VOL1,2では異なります。気になって調べてみたら、集合写真がありました。下の写真の一番左の背の小さいかた。


 オジサンに見えますが、女性説もあるようです。バードランドでは名司会者として有名な方だったようですが出演するバンド・メンバーにはしつこくチップを請求しチップを払うのを拒否しようものなら、マーケットはそのミュージシャンの名前をわざと間違えて紹介するなど、かなり個性的な方だったらしいです。ブレイキーはきっちりチップをはずんでいたんでしょう。ブレイキーもピー・ウィー・マーケットも満面の笑みで、その他のメンバーは笑ってはいるものの愛想笑いのようにも見えます。
 Birdlandは、ニューヨーク市マンハッタンにあったジャズクラブで1949年当時ジャズのメッカであったブロードウェイの52丁目にオープンし、1965年までジャズの黄金時代を牽引した名店。名前は、チャーリー・パーカーのニックネーム「バード」にちなんでいます。1965年に閉店したのですが1986年にブロードウェイの106丁目で同名の店が営業を開始、現在は44丁目に移転し営業しているようです。
 最高のバンドに思える演奏ですが、グループはこのギグで解散してしまい、クリフォードブラウンはマックス・ローチとともにクインテットを結成することとなります。なんとももったいない。

drums : Art Blakey
bass : Curly Russell
piano : Horace Silver
alto Saxophone : Lou Donaldson
trumpet : Clifford Brown

Producer : Alfred Lion
Recorded on February 21, 1954 at Birdland, New York City.

1. Announcement By Pee Wee Marquette
2. Split Kick
3. Once In A While
4. Quicksilver
5. A Night In Tunisia
6. Mayreh
7. Wee-Dot (Alternate Take)
8. Blues (Improvisation)



Mayreh


muu music webzine

  

2021年11月10日水曜日

本日のCD Bill Evans with Jerermy Steig ♪ What's New

 

 何となく手にしたBill Evans (ビル・エバンス)とフルートの Jerermy Steig (ジェレミー・スタイグ)のセッションですが、いつものビル・エバンスと違う。繊細でリリカルな演奏が信条のビル・エバンスがジェレミー・スタイグのアグレッシブなフルートの音色に触発されて熱めの演奏を繰り広げています。もちろん静の感じがする作品が多いわけですが Portrait In Jazz のような動の作品も聴いてきたのでびっくりする訳でもありませんが、こんな作品を聴いた時がこれまた何かを発見したようで楽しい気分になります。
 こんな演奏になった起爆剤は、当然ジェレミー・スタイグのフルートのスタイルによるもので、思いっきり呼気を吹き付けて尺八のようなこすれ具合です。フルートの音色とともに楽器から大量に漏れていく、呼気の音、大きな息継ぎの呼吸音なんかもインパクトは大きく、フレーズもロングトーンは少なく勢いで押す紋切り型。当然ビル・エバンスもこの音に対応するべくパッションが溢れるフレーズになり、タッチも力強くなります。そして浮遊感のあるテンポ感ではなく、きっちりとした拍になってきます。きっとジャズに一家言あるオジサンと聴いてたら、これがジャズの面白いとこなんだと言われるんでしょうが、私の行きつけの音楽好きが多めのバーはビル・エバンス否定派が多いので多分これは持っていきません(いや敢えてこれなら否定派に聴かせても良いかなという感じはしますが)
  ちなみにスタイグがなぜこのような吹き方になったかというと1962年に交通事故に遭い顔面右側不随、片耳が聞こえなくなったため特殊なマウスピースを使用することが原因とのこと。エバンスがスタイグに出会ったのは1964年フロリダのデイトナビーチで演奏していたと言います。つまり結構大きい後遺症だったはずなのに2年でリハビリしてミュージシャンとして働いていたということでこれも凄い。てっきりやり手プロデューサーのヘレン・キーンの仕掛けかと思いましたが、1968年にスタイグのアパートがビレッジ・バンガード、トップ・オブ・ザ・ゲートに近かったことからエバンス・トリオとのセッションに加わったのが縁とのこと。


 調べていたらフルートとアートのオフィシャルサイト「His Flute Music and Art」を発見しまし多才な方だったのが伺えます。
 印象に残る1曲目の Straight No Chaser はソロ部分に入ったフルートの辻斬りのような斬新さに心を奪われながら軽快なドラムとゴメスのソロも見事で緊張感溢れる演奏です。のブラシ捌きといい、聴いていて実に気持ちのよい演奏です!Lover Man については落ち着いた曲だけにフルートのエモーショナルな部分が際立ちます。Autumn Leaves ではアップテンポにしている珍しい演奏で、エディ・ゴメスのソロが注目。そして Spartacus Love Theme 美しい進行とメロディの繰り返しの曲でパッション溢れる曲が多いアルバムの中で一番動きの少ない楽曲なのに何か熱いものを感じさせるのが凄い。フルートも一番動きが少ない演奏なのに何か太いものを感じるすばらしい演奏。そのほか、聴いていてハッとするのは最後の So What でのフルート吹きながら聞こえる声、呻き声(うめき声)かと思っていたら、最高潮に達したところでかなりハッキリとした声でフルートとはハモっています。ものすごい気迫が感じられましたね。

piano : Bill Evans
flute : Leremy Steig
bass : Eddy Gomez
drums : Marty Morell

producer : Helen Keane
recorded at Webster Hall, N.Y.C.,on Jan.30, Feb. 3,4,5, and Mar.11,1969

1. Straight No Chaser
2. Lover Man
3. What's New
4. Autumn Leaves
5. Time Out For Chris
6. Spartacus Love Theme
7. So What





muu music webzine

  

2021年11月9日火曜日

本日のCD Thelonious Monk ♪ The Nonet!

 

 Nonet とは九重奏のことで、1967年の秋にモンクのカルテットは Jazz Expo'67 というイベントに出演契約を交わした。そして従来のカルテットに管五人を加えた9人編成でロンドンのオデオン・ハマースミスでリハーサルを行いその後のパリでの録音。会場はパリの Salle Pleyel (サル・プレイエル) でフランス・パリ8区にあるコンサートホールで、パリ管弦楽団とフランス放送フィルハーモニー管弦楽団のフランチャイズホールとのこと。
 ラジオ放送用音源で、本CDでは、イントロダクションがカットされているもののラストまでノーカット収録されている音源です。発売は1988年なので発掘音源ですね。放送用録音なので録音状態は割と良い感じですが、サウンドはモノラル。


 録音されている拍手で相当大きい会場であることがわかります。編成は先に書いたように9人編成なのでビッグバンドではなく、ビッグ・コンボという感じです。人数が多い割にはホーン部隊のアンサンブルは薄目で、各人のソロを楽しむ大型ジャムセッションのような感じになっています。なので Ruby My Dear はカルテット、We See でトランペットの Ray Copeland が参加、Epistrophy でペット Ray Copeland に続き、サックス Johnny Griffin でエンディングに向けて人数が増えてきます。Oska-Tでは、おそらく全員参加のにぎやかなテーマと各人の熱のこもったソロ。Evidence では、Charlie Rouseのソロがいつもより気合が入ってます。Blue Monk はフリューゲル・ホルンのミュート演奏って珍しい?でしょうか。
 人数が多いこともあってかモンクのピアノは薄めにはなっています。ここら辺がファンの間でもつまらないといった評も見受けられ、確かにモンクのピアノをばっちり聴くぞと気合を入れて期待すると裏切られる作品かもしれませんが、こんな形態は珍しいことでもあるしモンクが参加したジャムセッションとして聴けばかなり貴重な音源だと思います。マニアな録音のせいかYouTubeには残念ながら音源が見当たりませんでした(面白いと思うんですけどねえ)

piano : Thelonious Monk
bass : Larry Gales
drums : Ben Riley
alto sax : Phil Woods
tenor sax : Charlie Rouse, Johnny Griffin
trumpet : Clark Terry, Ray Copeland
trombone : Jimmy Cleveland

producer : Joop Visser

recorded on November 3rd, 1967 at Salle Pleyel, Paris.

1. Ruby My Dear
2. We See
3. Epistrophy
4. Oska-T
5. Evidence
6. Blue Monk
7. Epistrophy

▶ Oska-T



muu music webzine

  

2021年11月8日月曜日

本日のCD John Coltrane Quartet ♪ Ballads

 

 基本的にギター弾きでブルース好きであった私がジャズに触れるきっかけは大学入学して入会したジャズ研です。ジャズに触れるきっかけにはなりましたが、基本的にフュージョン・ファンク路線だったので、ジャズに傾倒することなく卒業してしまい、コルトレーン教の方も周囲にいなかったため私自身はあまりかかわることはなく過ごしてきました。そして社会人になり、給料で好きな音源が買えるのでコルトレーンも一応は最低限聴いていないと思えるものは揃えながら聴いてきましたが、私の心の琴線に触れることはあまりありませんでした。なのでこの作品はTUTAYAで目にして久しぶりだが、たまには聴いてみるかと購入したものです。
 結果ですが、コルトレーン入門をこれにしておけば、もっと色んなアルバムを聴く気になっていたんではないか?と思われるほどの響くものでした。原盤は Impulse! レコードから1962年に発表したもので、タイトル通り、全曲バラッド作品です。バラッド主体のアルバムは、私の好きなサンボーンでも少し苦手意識がありましたがこのアルバムは別格です。ゆっくりしたテンポでも一音一音に感情の込もった音が連続すれば、バラッドであることを意識せずに音の世界に入り込むことができるのかと感心してしまいます。何故こんなにも違うのか?と思えば、このアルバムではシーツ・オブ・サウンドもフェイクも控えめです。どちらかと言えばストレートにテーマやメロディを歌いあげていますので、コルトレーンの日常の作業とは少し違う演奏なので私の脳みそでも理解しやすいのが他のアルバムと違うところでしょう。

 「サックスのマウスピースの調子が悪く、速いフレーズを弾けなかったため、苦肉の策としてバラード・アルバムを作った」というエピソードもあるようですが、実際は、プロデューサーの Bob Thiele が、よりファン層を広げるために仕掛けたものらしいです。ライナーノーツの中で1986年に 市川正二氏 がこう書いています。「哀しいムードの曲をいかにも哀しそうに演奏するとセンチメンタリズム(感傷主義)に陥って俗っぽくなるが、甘さをセーブしてしかもエモーションを大事にプレイすると、そこにリリシズム(叙情主義)と呼ぶにふさわしい優美な音楽が生まれる」そうです、そんなことが言いたかったのです。これからコルトレーンを聴いてみようかと思っているなら、激しいヤツの前にこれを聴いておくのをお勧めします。

tenor
sax, soprano sax : John Coltrane
piano : McCoy Tyner
bass : Jimmy Garrison (1 to 6, 8), Reggie Workman (7)
drums : Elvin Jones

producer : Bob Thiele

recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey
1-5 : November 13, 1962
6,8 : September 18, 1962
7 : December 21, 1961

1. Say It (Over And Over Again)
2. You Don't Know What Love Is
3. Too Young To Go Steady
4. All Or Nothing At All
5. I Wish I Knew
6. What's New
7. It's Easy To Remember
8. Nancy (With The Laughing Face)





muu music webzine