Solid Jazz Giants という復刻版の名盤シリーズで見かけて、試聴せずに購入の一枚です。ソプラノ・サックス片手のジャケも気になりどんなもんかの試し買いでした。後で知りますが、Steve Lacy はソプラノ・サックス奏者で、フリージャズで有名な方。Monk の愛好家でもあり、Cecil Taylor と出会ってからフリー派となったらしい。このアルバムでもアルバム6曲中、Monkを3曲、Cecil Taylorを2曲、Parkerを1曲 となっています。がフリーの片鱗ぐらいの音使いなのでフリーに変化する過程の貴重な録音と言うことでしょうか。フリー好きの「おでんバー」のマスターはフリーの時代のこの人の演奏を知っていたのですが普通の演奏を聴くことはなかったらしく、一緒に聴きながら普通のジャズに感慨深いとのことでした。
しかしながら再度、そう思って聴くと饒舌で吹き出すと止まらないソロや、吹きながらドンドン展開していくインプロにその片鱗は見えるような気がします。ジャズはアドリブにこそ面白さがあるということが世に言われておりますが、まさにこのアルバムは上手く楽曲を構成させる技術ではなく、感じることを音にして出していくジャズの面白さがこのアルバムでは伝わってきます。バリトンとソプラノ・サックスの組み合わせでピアノレスのカルテット編成は斬新で、低音と高音の対決なのか?と思いきや、バリトンもソプラノもテナー寄りの音域に近づけた演奏になってます。フリーになりそうではありますが音程と秩序は保たれています。
私の中でグッと興味ある人になった Steve Lacy、ピアノレスのこの編成でこの盛り上げ方をした共演者にも注目すしてみましょう。バリトンの Charles Davis は Sun Ra とも一時共演する人物で斬新な感覚と才能で、Taylorの曲 Air でのアドリブは明らかにレイシーを触発していますね。そしてベーシスト John Ore は、このアルバムで3曲とりあげられているMonkのカルテットに参加していたベーシストで、共演者がどんなところに飛んで行っても堅実なリズムキープを続けます。自分は決して熱くはならず共演者に火をつけてしまうベーシストで、堅実な演奏です。がこちらも後に Sun Ra に参加していますね。ピッタリと寄り添 いながら弾くベース徹しているように思えます。ドラムの Roy Haynes はコルトレーン Impressions 、モンクとコルトレーンの共演ライブ Live at the Five Spot Discovery! なんかに参加していて、やはり後にフリージャズにも突入する人です。
モダン・ジャズから前衛的ジャズへ切り込んでいく境界線のアルバムは非常に興味深い🎵
soprano sax : Steve Lacy
baritone sax : Charles Davis
bass : John Ore
drums : Roy Haynes
recorded at Nola Penthouse Sound Studios, New York on November 19, 1960.
1. Louise / written by Cecil Taylor
2. Introspection / written by Thelonious Monk
3. Donna Lee / written by Charlie Parker
4. Played Twice / written by Thelonious Monk
5. Air / written by Cecil Taylor
6. Criss Cross / written by Thelonious Monk
▶ Louise