2024年2月3日土曜日

Donny Hathaway / Extension Of A Man


 Donny Hathaway (ダニー・ハザウェイ) で、私が一番好きなのは何と言っても LIVE!で、あまりにも有名なアルバムなので、それしか持っていない、聴いていない人も多いのではないかと思います。しかし、ダニー好きであれば、このアルバムも聞いておいて損はないと思います。このアルバムのタイトルは Extension Of A Man、邦題は「愛と自由を求めて」となっており、相変わらず日本のレコード会社のネーミング努力は凄いものだと感心します。(2曲目のタイトルが Someday We'll All Be Free なので、この訳が Extension Of A Man になっているので、タイトルはこの曲の方がふさわしいと思ってのこととは思いますが、本人の了解はとっているのか?)
 1970年にソロデビューし、この作品の発表の1973年に妄想型統合失調症と診断され音楽活動は停滞します。その後1977年にロバータ・フラックとデュエットで復帰するも1979年1月31日にホテルから転落死。薬害ではなかったようですが、33歳はやはり若すぎる。


 そんな彼の生涯を思いながら改めて聴くと、このアルバムは最後に自身の音楽への情熱を完全に注ぎ切ったメッセージ性も強い作品です。イントロからオーケストラで意表をつかれます。荘厳な I Love The Lord;He Heard My Cry(PartⅠ&Ⅱ) は決意を感じるアルバムの幕開け、このあとに続く Someday We'll All Be Free への導入なんでしょう。差別に怯えずに胸を張って行こうよ、誇りを忘れずに毎日を過ごし楽しいものを愉しいとキチンと言いながら毎日を過ごそうよと娘のライラへの呼びかけ実に深い。この曲はアレサのカバーによって映画 「マルコムX」のサントラにも収録されています。と考えながら次の Flying Easy を聴くと実に爽やかでありますがサビの力強さと、We're flying easy on a breeze の意味は推して図る深いものがあります。Valdez In The Country はインストですがダニーの楽器奏者としての懐の深さが感じられます。Incognite あたりで使われている演奏パターンと同じ感じですね。そして Al Kooperの I Love You More Than You'll Ever Know 原曲では激しいソウルなのだが、ここでは深みのある曲に仕上げています。そして Come Little Children については、軽めのファンクのバックにドスの聴いたボーカルで非常にグルーブ感があります。Love, Love, Love は J R Bailey のカバーでもともと透明感のあるソウルを更にストリングスを加えて広がりのある曲に、The Slums はインスト・ファンク。Magdalena は Danny O'Keefe の異色な曲でチャールストン風の曲調が新しい。そして Leon Ware作 の名曲 I Know It's You でメローに(この曲にはホイットニーのお母さんのCissy Houstonがコーラスで参加ですね)Lord Help Me はこのCDのボーナスのようです。
  LIVE!が一番好きなのは変わりませんが、力を振り絞って作ったことを感じるこのアルバムも結構捨てがたい🎵

piano : Donny Hathaway (5, 6, 10)
electric piano : Donny Hathaway (1 to 9)
guitar : Cornell Dupree (2 to 5, 7), David Spinozza (2, 3, 10), Keith Loving (3, 4, 7)
bass : Willie Weeks (2 to 5, 7, 8)
choirus : Myrna Summers & The Interdenominational Singers (1, 6, 7)
drums : Ray Lucas (2 to 4, 7, 8)
percussion : Ralph MacDonald (3, 4, 7, 9)
trumpet : Marvin Stamm (1, 2, 8, 9)
tuba : Don Butterfield (1, 8, 9)

producer : Arif Mardin

1. I Love the Lord; He Heard My Cry (PartsⅠ&Ⅱ)
bass : Russ Savakus, Stanley Clarke
drums : Grady Tate
conductor : Gene Orloff
violin : Emanuel Green, Harry Lookofsky, Julien Barber, Noel Dacosta, Sanford Allen, Theodore Israel
cello : Charles McCracken, George Ricci, Kermit Moore
clarinet : V. Abato
flute : Hubert Laws
french horn : Jim Buffington, Julius Watkins, Tony Miranda
harp : Gloria Agostini
oboe : H. Schuman
reeds : Romeo Penque, Seldon Powell, William Slapin
trumpet : Ernie Royal, Joe Newman
trombone : Dominick Gravine, Garnett Brown, Paul Faulise, Wayne Andre
2. Someday We'll All Be Free
3. Flying Easy
4. Valdez in the Country
5. I Love You More Than You'll Ever Know
organ : Donny Hathaway
guitar : Hugh McCracken
drums : Fred White
sax : David Newman
6. Come Little Children
bass : Donny Hathaway
guitar : Joseph Bishop, Phil Upchurch
drums : Fred White
clarinet : Seldon Powell
trumpet : Joe Newman
trombone : Garnett Brown
7. Love, Love, Love
8. The Slums
backing vocals : Jimmy Douglass, Mario Medious, Richard Wells, William McCollum
electric guitar : Cornell Dupree
acoustic guitar : Keith Loving
alto sax : Phil Bodner
tenor sax :  Seldon Powell
trombone : Tony Studd
9. Magdalena
piano (tack) : Donny Hathaway
guitar : Hugh McCrackenb
banjo : Hugh McCracken
bass : Gordon Edwards
drums : Grady Tate
clarinet : Phil Bodner, Seldon Powell
trombone : Tony Studd
10. I Know It's You
backing vocals : Cissy Houston, Myrna Smith, Sylvia Shemwell
bass : Stanley Clarke
drums : Rick Marotta
11. Lord Help Me
keyboards : Donny Hathaway





  

2024年2月2日金曜日

Robert Glasper / Covered

 

 R&Bのエッセンスを取り込んだリズムでピアノはジャズ。絶賛の雑誌批評ほど新しくはないと思いますが、スタジオのリラックスした雰囲気の中でのトリオの素晴らしい演奏でした。イメージとしては、電子楽器を駆使した Robert Glasper Experiment / Black Radio だったのですがアコースティックを駆使したアルバムなので、旧来の頑固なジャズ・ファンも魅了するアルバムになっているようです。かと言って従来のスタンダードなジャズの焼き直しではなく、Robert Glasper の iPodに入っている Radiohead、Joni Mitchell、Musiq Soulchild、John Legend、Bilal、Kendrick Lamar、Jhene Aiko と言った現代のヒップな音楽から古典の Stella By Starlight までをジャズ・ピアノで翻訳していくのが本作品のコンセプトのようです。


 それでは、レビューしてみましょう。Introduction では、Glasperがアルバムのコンセプトを説明し、メンバー紹介。I Don't Even Care は、Black Radio 2 の収録曲で、のリメイク。抽象的なイメージのピアノのアルペジオと現代風なベースラインとドラムのパターンの3つを機械的に足した変わった雰囲気の曲の中でピアノのアドリブ。後半はピアノだけフリーに近い状態になってからが盛り上がり。Reckoner は Radiohead のカバー。ドラムは8ビートで、ベースもアコースティックではありますが、基本原曲のベースライン採用と思われますが、安っぽいカバーの雰囲気はなくてジャズでは無いところで成立しています。Barangrill については Joni Mitchell のカバー。オリジナルは For The Roses(1972)となっています。原曲を聴いてみましたが、雰囲気はオリジナルを受け継ぐ演奏となっています。旋律をなぞるだけでなく Joni の歌が再現されているように聞こえるのも楽しいです。(流して聴いていた時はジャズ・フォーマットと思っていましたが3曲聴いた時点で既に違いますね)次は、In Case You Forgot で、これは Glasperのオリジナルの即興の中ベースとドラムが各シーンをぶった切るようにワンショットで締めます。各シーンの締めの中で頭の中で回想するように Time After Time、I Can't Make You Love Me が出てきます。中々意味深いような感じもする作品です。So Beautiful については、Black Radio にも参加していた Musiq Soulchild のカバーで、オリジナルは Onmyradio(2008)となっています。こちらについては、ソウル・バラード風のジャズ作品となっています。トリオ作品ではありますが、シーンによって音楽性が変わる奥が深い作品ですね。The Worst は、新進のアーチスト Jhene Aiko のカバーで、Glasper 自身の愛聴曲ではなく、従姉妹の愛聴曲からのピックアップとのこと。オリジナルは聴いていませんが美しい旋律を持つ曲で、歌っているボーカルの姿も想像ができます。喰わず嫌いであった Glasper 侮るべからず。Good Morning は  John Legend のカバー。とてもポップで穏やかな曲でこのピアノ・トリオの余裕を感じます。Stella By Starlight で、やっと Victor Young の有名スタンダードの出番です。しっかりジャズしてくれているのが嬉しい限り。Levels は Bilal のカバーで、この人はlasperのニュースクール大学時代からの盟友らしい。これも原曲知りませんが、美しいバラードでモチーフは抽象的。Got Over はオリジナル曲で、Harry Belafonte のボイスで2014年8月に起きたミズーリ州セントルイスでの黒人少年射殺事件(警察官が丸腰の黒人少年を射殺)がモチーフで人種差別への鋭いメッセージを投げ掛けまています。続く I'm Dying of Thirst は
Hip-Hopアーティスト Kendrick Lamar の作品のカバーで Glasperの6歳の息子らが近年の人種差別絡みの事件の犠牲者となった黒人被害者の名前を読み上げています。Dillalude 3 は
国内盤ボーナス・トラック。故J Dilla へのトリビュートで、現代的な楽曲です。
 黒人差別への批判メッセージあり、サウンド的にはビートは聴いているがアコースティックなトリオで色々な音楽的な仕掛けが満載と、よく聴くと濃い目の味付けでピリッとスパイスが効いているアルバムで聴き流しているより、じっくり聴いた方が良さがわかってくるアルバムでした🎵

piano : Robert Glasper
bass : Vicente Archer
drums : Damion Reid
producer : Robert Glasper

recorded live at Capitol Studios Hollywood CA. December 2nd and 3rd 2014.

1. Intro
2. I Don't Even Care
3. Reckoner
4. Barangrill
5. In Case You Forgot
6. So Beautiful
7. The Worst
8. Good Morning
9. Stella By Starlight
10. Levels
11. Got Over
12. I'm Dying of Thirst
13. Dillalude 3





  

2024年1月28日日曜日

The Brand New Heavies / Midnight At The Oasis


 4曲入っていてCDではシングル。全て「midnight at the oasis」のみ様々なリミックス・バージョンが収録されています。やり過ぎ感は大きく感じますが、現代の Acid Jazz では、リミックスで曲を売っていくのはマストのようです。
 さて、ヤジオ世代が若い頃は、レコードが主体で音楽は流通していてビニールでできたでかい円盤をレコード・プレイヤーに針を落として再生して、ジャケットを眺めながら音楽を聴くスタイルが一般的でした。現代では、CDも古い媒体となっているので音楽はストリーミングでダウンロードするのが一般的なようです。
 私的には好みの1曲をダウンロードして聴くよりはアルバムとして購入して、目当てでない曲も含めてアルバムを舐めまわすように聴くのが趣味となっていますが、会社の若い人はCDですら、ほぼ買わずにスマホに気に入った曲だけダウンロードして聴いているのが一般的なようです。音楽の楽しみ方も時代によって変化するものです。私の好んで聴くジャズ、ソウル、ファンク、ブルース系は単体のシングルでのヒットも当然あるもののアルバムを構成する曲の一環として作られているものがほとんどで、現代のポップス等の一曲入魂のようなスタイルとかセールスのやり方は、ヤジオにとって時代の移り変わりを強く感じるものであります。曲の作り方や構成も変わってくるので非常に面白いところです。
 さて、このシングル Radio Version は少し短め、Extended Version は当然長め、Opaz 7" Version はかなりエフェクトかけてうねります。Roger's Brand New Radio Anthem はクラブでかかりそうなリミックス。私は普通に Extended Version が好きです

1. Midnight At The Oasis (Radio Version) 3:48
2. Midnight At The Oasis (Extended Version) 4:56
3. Midnight At The Oasis (Opaz 7" Version) 3:45
4. Midnight At The Oasis (Roger's Brand New Radio Anthem) 4:36





 


  

2024年1月27日土曜日

Graham Central Station / Live In Japan '92


 Sly & the Family Stone ベーシストとしてデビューアルバムの A Whole New Thing(1967) から There's a Riot Goin' On (1971) まで在籍し1972年に脱退、翌年の1973年に自身のこのバンド「GCS」を結成。1970年代は大活躍だったGCSも1979年に解散し、Larry Graham も1980年代は活動は停滞で、1990年代のブラック・ミュージック・リバイバルの流れでGSC復活しました。13年ぶりの再結成は、1992年厚生年金会館のこのライブとなります。
 このGCSの再結成ライブのリード・ボーカルは日本人シンガーのMimiこと宮本典子です。銀座生まれ。生っ粋の江戸っ子で、パフォーマーとしての本格的なデビューは赤坂にあった伝説のディスコ「MUGEN」でダンサー・デビューし、ここでバンドを組んでグッチ祐三、ドラムにはウガンダでファンクバンドを結成し音楽活動を始めたとのこと。日本人歌手として活躍するが、90年に単身での渡米。GCSの再結成ライブのオーディションに合格しこのバンドとともに訪日することとなり、この後も Brothes Johnson のメンバーとして活動しています。
 このアルバムではイントロの「1・2・ガンバッテクダサイ!」から宮本典子の外人ライクな日本語と日本語の歌詞で参戦しています。スライの I want to take you a higher、Get the funk of ma face、Tomorrow なんかもやってくれているのは、Larry Graham のバンドならではの大興奮のサービスでした。


 他メンバーとしては、1975年に弟の Louis Johnson と結成されたファンク・バンド The Brothers Johnson のギターの George Johnson。キーボードでは、GCSにデビューアルバムから全7枚に渡り参加した Robert"butch"Sam。6枚目のアルバムまで参加していたHershall"happiness"Kennedy は、Hot Chocolate というバンドでクラブで演奏していて Larry Graham にプロデュースを依頼したのが縁のキーボードとトランペットを担当。ドラムは サンタナのツアードラマーなどでも活躍する Gayload"flash"Birch など。
 しかし、この再結成以降GCSの活動は続かず、スタジオ・アルバムは録音されず、この出ライブのみのようでお祭り騒ぎに終わり残念・・。単純明快なファンクは古臭くはあるが、やはり魅力的です🎵

bass vocal : Larry Graham
vocal : Noriko"mimi"Miyamoto
guitar vocal : George Johnson
keyboads : Robert"butch"Sam
keyboads,  trumpet : Hershall"happiness"Kennedy
drums : Gayload"flash"Birch

producer : Eiji Nakahira, Larry Graham
recorded live at Koseinenkin Hall on July 6th, 1992.

【Disc1】
1. Entrow
 -Entrow
2. We've Been Waiting
3. Feel The Need
4. Can You Handle It?
5. Freedom
6. Touch Your Heart
7. George's Solo
8. Tomorrow
9. Strawberry Letter #23
10. One In A Million You

【Disc2】
1. Today
2. The Jam
3. Release Yourself
4. Hair
5. I Want To Take You Higher





  

2024年1月26日金曜日

Herbie Hancock / Empyrean Isles

 
 
 先日は、ディスコサウンド時代の Future Shock を懐かしんで聴いていたら、かなり脂ギッシュだったので口直しにジャズ時代の若い頃を聴いています。18年前の録音とはいえ余りの落差に同じ人とは思えません。さて、このアルバムのタイトル「Empyrean Isles」は古代宇宙論でいうところの 「天空の島」 、ギリシャ語が語源で「火と光の世界」だそうで、何やら難しくも謎めいたアルバム名です。1964年、Herbie Hancock は24歳のリーダー4作目です。1963年から始まる第2期のマイルス・デイビス黄金クインテットから、Wayne Shorter、Miles Davis が抜けて、ベース Ron Carter、ドラム Anthony Williams のリズム隊がそのまま、コルネットで Freddie Hubbard が加わった形です。
 コルネットという楽器に馴染みなく聴いている分には、ほぼ管楽器奏者でない私にとってはトランペットと区別はつきません。ググって見ると形状も、ほぼトランペットと思いきや、比較してみればトランペットよりズングリしています。管の巻きの数が多いので管長は同じでもコルネットの方が楽器が小型になるとのこと。音としては、倍音はトランペットの方が多いようです。

 



 それでは、再度聴きながらレビューです。One Finger Snap は、モードを使ったナンバーで、ひたすら吹きまくる Freddie Hubbard のコルネットから始まります。こういった突っ走る系は聴いていてスリリングで楽しいです。Oliloqui Valley は爽やかなナンバーですが、これもコードをモード的に処理する手法です。オーソドックスに聴こえながらも非常に力の入った演奏かと思います。Cantaloupe Island は、私には全くロックに聞こえませんが、ジャズ・ロックと言われるタイプの曲です。ここら辺からハービーの音楽に対するアプローチがファンク路線に行く伏線にあたるのでしょう。かなり有名な曲で、あちことで演奏されていますが、本アルバムが最初の録音のようです。The Egg は、一つのモードとパターンが繰り返されていく中で、次第に変わっていくモチーフが抽象的で印象的な作品です普通のジャズの形ではなく斬新な試みを施しているのが、聞き流しているだけでは気づけなかったことが再度の聴き直しではわかります。最後で、このアルバムの一番の長尺でした。
 ジャケット・デザインが、写真をモノクロにして色付けする手法ですので!と思いみて観ると、やはり Reid Miles でした。ここら辺でも楽しめますね🎵

piano : Herbie Hancock
bass : Ron Carter
drums : Anthony Williams
cornet : Freddie Hubbard

design (cover) : Reid Miles

recorded by : Rudy Van Gelder
producer : Alfred Lion

recorded on June 17, 1964.

1. One Finger Snap
2. Oliloqui Valley
3. Cantaloupe Island
4. The Egg
5. One Finger Snap [Alternate Take]
6. Oliloqui Valley [Alternate Take]



▶ The Egg


  

2024年1月21日日曜日

Peter Blegvad / King Strut & Other Stories


 私のコレクションには珍しい Alternative Rock と言われる分野の方で、Peter Blegvad (ピーター・ブレグバド)。これは自発的購入ではなく久しぶりに会った小学校時代の友人からの頂きものです。この友人、本職ではないけどインディーズのオムニバス作ったりしていたそうで、こっちの筋には詳しい人のようでワザワザくれたということは、彼は私が、音楽好きだとは知っているので何かコメントが欲しかったんだと思います。が、残念ながらこちらの方は、まるっきり聞かないのでコメントのしようもなく、ありがたく頂戴しただけで彼にこのアルバムのコメントは返していません。
 お勧めいただいた Peter Blegvad はニューヨーク生まれですが、14歳で1965年のころにロンドンに移住してイギリス、ドイツなどヨーロッパでミュージシャン活動をしていて、漫画家として働くためにニューヨークへ戻りました。今もミュージシャンとして現在も活動されています。このバンドの他に Slapp Happy という1970年代中期、ドイツ・イングランド・アメリカ合衆国混成の(Krautrock)クラウトロック・グループのギタリストでもあったようです。
クラウトロックは、「ドイツ人のロック」という意で、クラウト(ザワークラウト)は、ドイツでよく食べられている「キャベツの漬け物」のこと。この言葉は、はじめは軽蔑の意味を込めて使われていたが、後に賞賛の意味を込めて使われるようになった。

 

 アルバムとしては、アコギでボブディラン風の語るような歌い口です。詩の朗読のCDやデモテープのような素朴な作品などがあり,手を出して失敗することも多いとのコメントも見ましたが、確かに詩人的に感じる独特の空気感と間が雰囲気もあります。ちなみに、ピーター・ブレグヴァドの父親はデンマーク出身のエリック・ブレグヴァド(Erik Blegvad)というコペンハーゲン生まれの絵本作家とのこと。好みの音楽では無いので、あえてレビューは無しですが、たまに聴いています🎵

producer, vocals, guitar : Peter Blegvad
vocals, guitar : Kristoffer Blegvad
vocals, keyboards, guitar : Andy Partridge
bass, vocals, keyboards, guitar : Peter Holsapple
guitar, keyboards, drums : Chris Stamey
bass : Pino Palladino, Richard Lee, Tony Conniff
drums : Alan Bezozi, Anton Fier

producer : Chris Stamey

1. King Strut
2. Gold
3. Meantime
4. On Obsession
5. Not Weak Enough
6. Swim
7. Northen Light
8. Chicken
9. Real Slap In The Face
10. Shirt And Comb
11. Stranger To Myself
12. King Strut (Reprise)





  

2024年1月20日土曜日

Parliament Funkadelic / Dope Dogs


 日本でのブームにあたり発表された Paliament Funkadelic 名義のアルバムで13年ぶり1994年の発売です。90年代以降は、ヒップホップのビートをPファンクのフォーマットにいかにして取り込むか、というのがテーマで、このアルバムも打ち込みも使用したヒップ・ホップにも歩み寄ったアルバム。ドープドッグは麻薬犬ですね。アルバムにはドッグを冠した曲目が並んでいるのがなんとも言えない。


 1曲目の犬は、Dog Star で The P-Funk Guitar Army Tribute To Jimi Hendrix にも Fly on 収録されていたジミヘンを敬愛しつつファンカデリックの要素を取り入れた楽曲で基本的には Blackbird McKnight のギターを楽しむ曲となっています。弾き始めると止まらないBlackbird が8分間弾きまくりです。2匹目の犬は U.S. Custom Coast Guard Dog 本アルバムのコンセプトとなるラップでジョージのラップがメイン 3匹目は犬ではありませんでした Some Next Shit これもラップナンバーですがファンカデリックらしい大勢のコーラスが特徴で多分違う曲を合わせて作った構成的には凝っている曲 4匹目はクラシック的なヒップホップ 5匹目 6匹目 7匹目 8匹目Fifiで少し雰囲気を変えた打ち込みではあるがオリエンタルな楽曲となり異色ではあるが悪くない。きりがないので飛ばして12曲目 Kibbles and Bits がお気に入りです。ジョージのラップ教室となっていて、ジョージの孫のバタヴィアンに楽しそうに指導しているのですが段々とリズム感がとれてきて上手くなってくるのが微笑ましい。不良でありファンクでありパンクでありジャンキーであるファンカデリックのイメージを孫の可愛い声で変えてしまうのも悪くはない。
 そしてこのアルバムの最後に曲名のクレジットがある Tales That Wag the Dog part2は収録されていないのに今気づき(無音の曲ではなく曲自体が存在しない)どんなメッセージがあるのか気になるところであります。

メンバーは書いてたらキリがないんですが
vocals : Amelia Jesse, Andre Foxxe, Barbarella Bishop, Belita Woods, Bobby Gillespie, Calvin Simon, Daddy Freddy, Denise Johnson, Duane "Sa'D'Ali" Maultsby, Fuzzy Haskins, Garry Shider, Gary Mudbone Cooper, George Clinton, Grady Thomas, Janet Evans, Jeanette McGruder, Jessica Cleaves, Joe Harris, Larry Heckstall, Lige Curry, Lloyd Williams, Louie "Babblin" Kabbabie, Shawn Clinton, Micahel "Clip" Payne, Nicole Tindall, Pat Lewis, Patavian Lewis, Ray Davis, Robert "P-Nut" Johnson, Cuz, Sandra Feva, Sheila Horne, Shirley Hayden, Starr Cullars, Steve Boyd, Tracey Lewis

keyboards, piano : Joseph "Amp" Fiddler, Martin Duffy, Tracey Lewis

organ, synthesizer : Bernie Worrell, Blackbird McKnight, George Clinton, Jeff Bass, Loic Gambas, Michael "Clip" Payne

guitar : Andre Foxxe, Andrew Innes, Bootsy Collins, Catfish Collins, Cordell Mosson, Dennis White, Blackbird McKnight, Eddie Hazel, Garry Shider, Jeff Bass, Jerome Ali, Loic Gambas, Michael Hampton, Michael "Clip" Payne, Robert Young

bass : Bootsy Collins, Blackbird McKnight, Henry Olsen, Lige Curry, Lonnie Motley, Michael "Clip" Payne

drums, percussion : Blackbird McKnight, Frank Waddy, Gabe Gonzales, Guy Curtis, Loic Gambas, Michael "Clip" Payne

horns : Bennie Cowan, Fred Wesley, Greg Boyer, Greg Thomas , Maceo Parker, Marcus Belgrave, Richard Griffith, Rick Gardner

programmed by : George Clinton, Mark Bass, Mike Payne, Mike E. Clark, Mike Wilder

1. Dog Star (Fly on)
2. U.S. Custom Coast Guard Dog
3. Some Next Shit
4. Follow the Leader
5. Just Sat Ding (Databoy)
6. Pack of Wild Dogs
7. Fifi
8. All Sons of Bitches
9. Dopey Dope Dog
10. Sick 'em
11. Kibbles and Bits
12. I Ain't the Lady (He Ain't the Tramp)
13. Tales That Wag the Dog


Fifi



  

2024年1月19日金曜日

New York Trio / The Things We Did Last Summer

 

 Swing Journal は買いませんが、ライナー・ノーツによると「Swing Journal 選定【ゴールドディスク】です。結論から言えば、その通りの秀作です。ピアノの Bill Charlap は実は初めて聴いたのですが、きちんとした優等生的で整然とした演奏は、背筋が伸びるような聴き心地でした。Bill Charlap は、1966年生まれで1994年にAlong with Me という初リーダーアルバムをリリース、2001年にこのトリオを結成してから2008年までベースの Jay Leonhart とドラムの Bill Stewart とアルバムを出しています。の音の構成も飛びぬけたハイセンスのものであり、ニューヨークのピアノ・トリオとの銘々に相応しい演奏を聴かせてくれます。発売は Venus Record という日本のレーベルで、1992年にジャズ専門レーベルとして設立され、個人が経営する独立系ジャズ・レーベルとしては現在、日本最大級の規模です。アメリカのミュージシャンを中心としてイタリア、オランダなどのヨーロッパにもレコーディングを拡大しているレーベルです。なるほど日本人好みの音のような気がします。


 さて、再度じっくり聴きながらレビューしていきましょう。The Shadow Of Your Smile トリオなのに、いきなりピアノの独奏から始まります。邦題は「いそしぎ」ほぼこの曲の名前で以外では使われない日本語ですので、何か調べてみたら鳥の名前「磯鴫」でした。お馴染みのこの曲は1965年に映画「いそしぎ」のテーマ曲として、Paul Francis Webster が作詞して、Johnny Mandel が作曲したものですね。The Things We Did Last Summer カクテル・ピアノになりそうでギリギリそっちではないタメの効いたピアノと雰囲気のあるベース、シャクシャクしたブラシ・ワークは気楽に聴けます。How Long Has This Been Going On? 印象的なテーマのスタンダードです。場末のスナックで、こんな演奏を聴きながらコックリしてしまうシーンが想像できます。How High The Moon ここで、少し上げてきます。歌詞は Nancy Hamilton 作曲は Morgan Lewis で、ホントに様々な人に愛される名曲です。Mona Lisa は、作詞作曲は J.Livingston/R.Evans です。印象的なのは Nat King Cole、Gregory Porter などのボーカルものが好きです。このピアノも悪くはないですが、教則本っぽくて熱いところが無いのが寂しいかもしれません。You'd Be So Nice To Come Home To あの有名な曲がこのトリオになるとこうなるよねと若干のつまらなさを感じたところでドラムのブラシのチキって音を合図にテンポ・アップします。テーマに忠実にがモットーのようなので、それほど崩していくことはありませんがなるほど9分13秒のこのアルバム一番の長尺です。It's Only A Paper Moon は、ライナーノーツを書かれている寺島靖国氏の批評通り、最初からスローテンポの曲であるかのような、ゆったりとしたバラードに仕上げているのが気持ち良いです。ためてから、ギリギリのところで発するコードも一つ一つが大切に発せられています。When Your Lover Has Gone は、Einar.A.Swan の作曲です。邦題は「恋去りし時」ですが曲名に反して、悪い恋の呪縛から解き放たれたのでしょうか、軽やかな浮きだつメロディのテーマです。軽いけど良いなあ。As Time Goes By が最後です。H.Hupfield の名曲ですね。
 聞き流していた時は、等生的で整然とした演奏で格式が高いと思っていましたが、改めて聴き直せば、どちらかと言えばイージー・リスニング的なアルバムでした。ライナーで寺島氏が「原曲から外れないアドリブ」と言われているがその通りで、私もインプロビゼーションにこだわらんでも良いものは良い🎵

piano : Bill Charlap
bass : Jay Leonhart
drums : Bill Stewart

producer : Tetsuo Hara, Todd Barkan

recorded April 3 and 4, 2002 at The Studio in New York

1. The Shadow Of Your Smile
2. The Things We Did Last Summer
3. How Long Has This Been Going On?
4. How High The Moon
5. Mona Lisa
6. You'd Be So Nice To Come Home To
7. It's Only A Paper Moon
8. When Your Lover Has Gone
9. As Time Goes By