2023年9月30日土曜日

Buddy Guy Junior Wells & Junior Mance / Buddy And The Juniors


 ポップスの女性歌手のアルバムか?とも思ってしまうジャケットの中の赤ちゃん3人は、Buddy GuyJunior WellsJunior Mance ですね。この可愛らしいジャケットなのに、中身は泥臭いブルースです。シカゴを代表するブルースマン Buddy Guy、Junior Wells は、ありうる組み合わせですが、ジャズピアニストの Junior Mance が参加とは貴重なアコースティック・ブルース・セッションです。随分昔から持っていたアルバムなのですが、今回聴くまであの Junior Mance とは気づいていませんでしたので、聴き直しは心して聴こうと思います。プロデューサーである Michael Cuscuna は、ライナーノーツに、このレコーディングについて興奮気味に記述してある気がします。そりゃあ Buddy Guy、Junior Wells は当然セッションはあるでしょうが Junior Mance との共演なんて凄いことですから当然でしょう。


 さて、レビューです。オープニングは Talkin' 'Bout Women Obviously ギターとブルースハープの弾き語りブルースです。年代物のアコースティック・ブルースは枯れたギターの音がする場合が多いですが、Buddy のアコギはとてもリッチな音がします。Riffin' も古典的なパターンのブルースで、これもピアノレス。Buddy Blues から Mance のピアノが登場ですが特にジャズっぽいフレーズとかはありません。Hoochie Coochie Man では、ピアノの存在感が増します。リズム隊はいないのに、そうとう躍動感ある演奏になっているのは、しっかりとしたピアノのリードがあってこそと思われます。Five Long Years では、メンバーの演奏も随分と打ち解けた感じの演奏になっています。古典的なパターンに合わせて各自のアドリブが生き生きとしています。Rock Me Mama では、Mance はお休みです。ボーカルは、Wells となって迫力あってカッコ良い。Ain't No Need は、Mance 復活でサビの手前のブレイクでは、Mance がギターと合わせてブレイクしていないのですが、3コーラス目だけは同じブレイクをしているので、ここら辺は、ぶっつけ本番のご愛敬といったところでしょうか。
 数年ぶりに聴きましたが、実に張りがあってドスの効いたアコースティック・ブルースは、今までよりも好印象です。素晴らしいアルバムです🎵

harmonica, vocals : Junior Wells
acoustic guitar, vocals : Buddy Guy
piano : Junior Mance

producer : Michael Cuscuna

recorded at Vanguard Studios, New York City on Dec. 18, 1969

1. Talkin' 'Bout Women Obviously
2. Riffin'
3. Buddy Blues
4. Hoochie Coochie Man
5. Five Long Years
6. Rock Me Mama
7. Ain't No Need




  

2023年9月29日金曜日

David Sanborn


 Taking Off に続くサンボーン2枚目は自身の名前がアルバム名。邦題は「メロー・サンボーン」となっています。サウンド的には、それほどメローではなくファンク、ソウル系が色濃い作品となっています。発売は当然、Warner Records で、プロデューサーは レコーディング・エンジニア、ミュージシャン、作曲家の Phil Ramone で、どちらかと言えばポップス、ロック、ブルース系の方のようです。私のサンボーン遍歴はマーカス色が濃くなって洗練されたサウンドになっていた頃の Straight to The Heart で始まり、次いで A Change Of Heart から始まっているので、このソウル色の強い、このアルバムは結構新鮮に聴けました。マーカスはいませんが Hiram Bullock は、このアルバムから参加しています。注意して聴いていましたが、この頃は未だ自己主張は少な目で、あのクリーントーンのギターの音ではありません。名曲「Smile」はボーカル入りで、このアルバムが原点というのも忘れてはいけない点ですね。サンボーンと言えば色男のイメージですが、ジャケットの裏写真は指名手配犯のような目つきの悪さです。


 さて、レビューです。レトロ・ファンクのようなサウンドで始まるのは Indio です。改めて聴き直すとファズを少し効かせたバッキング・ギターから、サビでの裏の取り方がトリッキーなカッティング・ギターなどハイラムは中々手の込んだギターを主張控えめにやっています。サンボーンのサックスはこの頃から完成されたサウンドと構成ですが少し黒さが濃いでしょうか。そして、あの名曲 Smile です。作曲者は C. Perkinson と言う方の作品で、元曲を探してみましたが残念ながら見つかりません。Mamacita は、歌物でもおかしくない完全にファンクです。昔風のエレピがカッコイイですね。Herbs は年代物の感じがするワウを効かせたギターが印象的。サックスとはもる女性のバッキング・ボーカルも昔風。力強いドラムとベースに合わせて歌うサンボーンのサックスも心地よし。Concrete Boogie も、ミドルテンポのソウル・パターン。アルトの音でしゃくるような音でのサンボーンのサックスはソロを吹きまくらなくても魅力的です。I Do It For Your Love ここで Richard Tee が登場です。短めの2分51秒は、サンボーンとのデュオのバラードとなっておりノリノリ・ナンバーでは無いところがやってくれますね。Sophisticated Squaw は、ファンク・ナンバーに戻ります。最後の 7th Ave とこの曲は、ドラムの Victor Lewis の作曲となっています。7th Ave では最後のギターソロがハイラムらしからぬテクニカルで軽めの音で珍しい。
 大好きなサンボーンの軌跡の一枚であり、黒さを前面に出した作風は良しです🎵
 
sax, flute : David Sanborn
keyboards : Rosalinda DeLeon (1-5,7-8)、Richard Tee (6)
guitar : Hiram Bullock
bass : Herb Bushler
drums : Victor Lewis
percussion : Jumma Santos

produced by Phil Ramone

This album is dedicated to Jonathan Sanborn.
Recorded at A&R Studios, N.Y.C.

1. Indio
2. Smile
3. Mamacita
4. Herbs
5. Concrete Boogie
6. I Do It For Your Love
7. Sophisticated Squaw
8. 7th Ave.

Indio

Smile



  

2023年9月24日日曜日

Bud Powell / Inner Fires

 

 1924年生まれのビバップ・スタイルのピアノの第一人者。同時代のピアニストのモンクとは深く親交があって音楽理論はモンクから学んだと言われていますがプレイは対照的に違います。この時代なので、この人もヤクとアルコールには手を出していたようですが、きっかけは不遇な状況であったようで、1947年ハーレムのバーで喧嘩をして、ビンで顔面を殴られたが彼の論理が意味不明で一貫していなかたとされ、州立病院に入院させられ電気ショック療法を受けさせられ1948年10月には退院しているが人種差別と主張していたらしい。それがもととなったのか、1950年代中期以降は麻薬、アルコール中毒に苦しみ精神障害を負っています。しかし不調期でも録音においても、「クレオパトラの夢」(Cleopatra's Dream)などの名演を遺しているのがこういった昔のプレイヤーの凄いところ。
 この録音は1953年ワシントンの Club Kavakos という小さなクラブでのセッションの録音でパウエルの精神状態がよかった時の録音のようです。プロデューサーの Bill Potts はジャズ・アレンジャーで、個人的にこの録音をコレクションしていたものが、30年後の1983年に発売されたものとのこと。なるほど音質はかなり悪いのはそのせい。


 さて、レビューに参ります。出だしは I Want To Be Happy パウエルが得意とするアップ・テンポなナンバーで、ピアノ8小節のイントロから始まり、ミンガスとの6コーラスを分け合ったソロで快調な滑り出し。Somebody Loves Me ガーシュインの楽曲でアップテンポのアレンジ、1コーラス目はテーマをなぞったアドリブ、そして完全なアドリブとミンガスの掛け合いです。録音が悪くて音がこもりがちなのでミンガスの音をもう少し鮮明に聴きたい。Nice Work If You Can Get It これもガーシュインの曲ですがアップテンポになってます。生き生きとしてガツンとしたピアノソロで調子の良さが伺えます。Salt Peanuts は、ガレスピの曲ですね。歌が入れば、ソルピーナ、ソルピーナって聞こえるヤツです。速さが命ですね。Conception は、George Shearing の作品で次の Lullabye Of Birdland と続けていますね。9曲目にも録音されていますがこちらは1分49秒です。潔いこのまとめ方も良しですね。Little Willie Leaps ここでマイルスの楽曲の登場です。コロコロと転がるようなピアノの音が気持ち良い。Hallelujah! これも高速で凄みがあります。Lullabye Of Birdland (Alternate Master) こちらは2分43秒の少し長め。Sure Thing は、ミュージカル五大作曲家の一人として有名で「煙が目にしみる」の Jerome Kern 作品です。やっとミドルテンポの曲が出てきます。Woody 'N' You は、ガレスピの曲ですね。最後まで硬質で体育会系なバドでした。最後インタビューは1963年の1月15日と5月6日のものでこのアルバムとリアルタイムではありません。多分フランス語での解説と陽気に歌うバドは舌が回らずにやばい感じがします。ただ「最近聴いたグッド・ミュージックは?」に対し「チャーリー・ミンガス、秋吉敏子」と答えていたり、アル・ヘイグは完璧なピアニストだと褒めています。マニアな記録ですね。
 録音状態は、いまいちですがパドの力強いピアノタッチが存分に味わえます。ひたすら速さと力強さを強調する暴走族のような演奏でした。これはこれで有りですね🎵

piano : Bud Powell
bass : Charlie Mingus
drums : Roy Haynes

producer : Bill Potts

recorded At Club Kavakos - Washington D.C., April 5, 1953

1. I Want To Be Happy
2. Somebody Loves Me
3. Nice Work If You Can Get It
4. Salt Peanuts
5. Conception
6. Lullabye Of Birdland
7. Little Willie Leaps
8. Hallelujah!
9. Lullabye Of Birdland (Alternate Master)
10. Sure Thing
11. Woody 'N' You
12. Bud Powell Interviews





  

2023年9月22日金曜日

Gregory Porter / Liquid Spirit


 70年代ソウルの影響がはっきり見えるバリトンボイスで、札幌タワレコの試聴で惚れまして購入。力強く緩急をしっかりと使い分けた歌唱力はものすごく説得力があって暖かい。
 ニューヨークはブルックリン出身で、ジャズ、R&B シンガーで、サウンドは洒落たジャズ・サウンド。帽子が印象的で"jazz hat"とも呼ばれているらしい。このアルバムを皮切りに、ほぼアルバムを揃えたのですが最高傑作は、このアルバムのように感じます。発売当時は知らなかったのですが、2014年の第56回グラミー賞では、【最優秀ジャズ・アルバム賞】を受賞したメジャーデビュー作とのこと。 


 さて、何度聞いたかわからない愛聴盤をレビューです。No Love Dying この一発目にガツンとやられて虜になりました。タイトル曲よりも、この曲のインパクトの方が私には大きかったです。静寂なピアノをバックに語り掛けてくるようなボーカルが非常に魅力的。Liquid Spirit 2曲目がタイトル曲は珍しいような気がします。ハンドクラップ、軽めの格好良い曲です。迫力あるピアノ・ソロも印象的。Lonesome Lover は Abbey Lincoln、Max Roach作。Emanuel Harrold のドラム・ソロで開始。疾走感ありビター・スイートなワルツ調スイングで、ひと昔前にタイムスリップしたような感じに聴かせます。Water Under Bridges は、ピアノとのデュオのバラードで、しんみりと聞かせたところで、サビの切ない感じのしゃくりは惚れない訳はないでしょう。Hey Laura 古いフォーク・ブルースと現代が混ざったような楽曲で、Keb'Mo っぽい作りの素晴らしい作品でソングライターとしての才能を感じます。Musical Genocide は、ジャンル的にはソウルなんだろうけどジャズ的なテイストもあり、ここら辺のとこを、じっくりと聴き手に聴かせる手腕がグレゴリー節な気がします。Wolfcry は、再びバックはピアノのみのバラードで、よりボーカルを聴かせるために寄り添った美しいピアノとともに伸びやかなバリトン・ボーカルは静かな中に凄みがあります。Free は、タイトルからも、繰り返し Free と叫び続けることからも、力強さと決意のようなものを感じる曲です。コンテンポラリーなジャズを装った根底はソウルなものを感じます。Brown Grass は、トリオ編成のバックに、優しい歌声で語りかけてくるポップス調の楽曲で、これもグレゴリー節ですね。Wind Song は、軽やかなピアノと軽やかなボーカルが魅力的な曲でビリー・ジョエルとかも感じて、作曲家としてホントに優れた人であることがわかります。The In Crowd は、Billy Page のスタンダードです。オールド・ファンキーなソウル・ジャズはこの人の真骨頂でもあります。これも大好き。Movin' は、Marvin Gaye 風なソウル。曲名も Movin' ですからね。When Love Was King は、男の哀愁モードで、舞台の歌曲のような感じで、場面が変わっていきます。Fall in Love Too Easily で、オリジナルの楽曲は終了です。Sammy Cahn 作詞、Jule Styne 作曲のスタンダード。しっとりとしたジャズ・バラードで締めくくりです。ボーナス・トラックとして収録は、Time Is Ticking で、ハイハットがチクタクと時計の役割をしている。何かアートな感じがする楽曲です。Water Under Bridges [Rubato Version] は、4曲目のルパート・バージョン。おまけでは、ありますが最後に相応しい曲になっています。他の曲も、ピアノとのデュオと、トリオの録音が全てとってあるような雰囲気もありますね。20年後とかに、未発表テイク完全収録とかで売り出されるんでしょうか🎵

vocals : Gregory Porter
fender rhodes , hammond : Glenn Patscha
piano : Albert Crawford Jr.
bass : Aaron James
drums : Emanuel Harrold
alto saxo : Yosuke Sato 
tenor sax : Tivon Pennicott
trumpet : Curtis Taylor

producer : Brian Bacchus
Recorded at Sear Sound, NY, March 28, 29, 30 and April 15, 2013.

1. No Love Dying
2. Liquid Spirit
3. Lonesome Lover
4. Water Under The Bridge
5. Hey Laura
6. Musical Genocide
7. Wolfcry
8. Free
9. Brown Grass
10. Wind Song
11. The "In" Crowd
12. Movin'
13. When Love Was King
14. I Fall In Love To Easily
15. Time Is Ticking
16. Water Under Bridges [Rubato Version]

▶ Liquid Spirit (Official Music Video)




  

2023年9月17日日曜日

P-Funk / Guitar Army Tributes To Jimi Hendrix


 本作は、George Clinton(ジョージ・クリントン) 監修の Jimi Hendrix(ジミ・ヘン)トリビュート・アルバムです。Eddie Hazel(エディ・ヘイゼル)Michael Hampton(マイケル・ハンプトン)DeWayne Stephen "Blackbyrd" McKnight(ブラックバード)の P-Funkギタリスト、そして James Glass、Ras Kente と言う私にとっては謎?の顔ぶれ。
 Eddie "Maggot Brain" Hazel(エディ・ヘイゼル)はジミ直系のスタイルで、P-Funk のカラーを決定づけてきたギタリスト。ジミ・ヘンと同じ所へ旅だったのは、1992年12月23日(wikiでは Eddie Hazel のミドルネームに "Maggot Brain" がついてます)Michael Hampton は、ジャズ・ソウル・ロック・ブルースと様々な分野に精通したP-Funk 全盛期以降のエディに次ぐギタリストです。Blackbyrd McKnigh は、The Headhunters にも参加していたギタリストで、ジャズテイストを聴かせたアバンギャルド性が魅力なギタリスト。そして正体不明な James Glass は、デトロイトでローカル・ブルースマンとしてジョン・リー・フッカーと共演し、サン・ラにも参加していたことがあるらしい。もうひとり、Ras Kente もデトロイトをベースに活動しているレゲエ畑出身とのこと。
 アルバム自体は100%オリジナルで、P Vine からの要請に、George Clinton が二つ返事でOKして実現とのことです。曲は単なるカバーだけではなく、ジミがモチーフの曲も多数あり、全てニューレコーディングの安直なトリビュートではないようです。
 
 

 さて、レビューです。Scuse Me While I Kiss The Sky はラップの John Sinclair がメインで、ギターは Ras Kente です。サイケなサウンドのギターはジミの直系と言うよりは発展形。レゲエ出身とは思えないロックなギターに ラップはファミリーからのトリビュートと納得ですがうーん。次は、安定の Eddie Hazel による Purple Haze 他のアルバムかライブで聴いたことがある安定の曲で、厳密には Purple Haze ではない、っぽいファンクですがセンスは抜群でエディーやっぱり大好きです。Pleasure With The Dirt Devil は、今までで一番ジミっぽい仕上がりです。高ぶるボーカルにはジミにプリンスが混ざっているが、それは高揚するときの表現としては正しい。Positivity は、全てのパートが Michael Hampton の宅録のような感じです。ジミ・フリークな現代ファンク・ミュージシャンの宅録みたいで全てこの感じだったら飽きる感じです。Look Now Baby は、James Glass と、そのハウス・バンド The Get To Gettin' Band による正統派なブルースで、このアルバムの中では浮いている感じです。Fly On は、Blackbyrd のいつもの王道パターンです。このグシャグシャ感とジミの音を、十分に感じるギターがたまりません。王道は、ワンパターンですが飽きることはありませんね。Reflections On Jimi Part 1 は、御大 George Clinton の発案によるラジオDJ的なもの、つなぎにしては3分22秒と長い。Funky Kazoo は、ジミと言うよりはプリンス的なテイストを感じるマニアックな楽曲。悪くはないんだけど。そう、こんなのもファンカデリックなんだよなあ。The Wind Cries Colours は、Ras Kente による作品で、なるほどレゲエです。レゲエに乗せたアコースティック・ギターが延々と7分35秒です。もはやジミの匂いは感じません(笑)Get To The Gettin'  は、James Glass。ただのブルースギタリストかと思っていたら、俺だってファンクはできるぜって感じの主張を感じますが、録音の加減かギターの音がペラペラなのが残念。でもまあ面白い。Future Past は、重厚なファンク・ロックですね。悪くはないですが、音の割に中身が薄目かな。Should'A Known は、ワシャワシャにギターを被せたファンク・ロックですが、これもかなりチープな感じの仕上がりで、ひねりは無いですね。しょうがない。で、Reflections On Jimi Part 1 は、先の Part2 よりは短めの1分2秒で、もはや後半はダレダレな感じです。最後は、Debbie Does To Voodoo Child で、ラップによって締めくくりですが、Voodoo Child は、どこにいるのか?心の中にいるのか、サウンド面からは全く不明なのが凄い。
 ジミヘン好き、ファンク系に興味もあるギタリストにとってはニヤリとしてしまうアルバムではありますが、??というところも、かなりあり好きでない人にとっては少し脂っこいかもしれない🎵

【guitar】 
Eddie Hazel、Blackbyrd、Michael Hampton、James Glass、Ras Kente、

producer : George Clinton
recorded New Orleans, Lousiana; East Detroit, Highland Park, Michigan USA 1994

1. Scuse Me While I Kiss The Sky / John Sinclair
2. Purple Haze / Eddie Hazel
3. Pleasure With The Dirt Devil / Blackbyrd
4. Positivity / Michael Hampton
5. Look Now Baby / James Glass And The Get To Gettin' Band
6. Fly On / Blackbyrd
7. Reflections On Jimi Part 1 / George Clinton
8. Funky Kazoo / Michael Hampton
9. The Wind Cries Colours / Ras Kente
10. Get To The Gettin' / James Glass And The Get To Gettin' Band
11. Future Past / Randall Lynch And Allen Lynch
12. Should'A Known / Randall Lynch And Allen Lynch
13. Reflections On Jimi Part 1 / George Clinton
14. Debbie Does To Voodoo Child / Point Black





  

2023年9月16日土曜日

The Baker Brothers / Time To Testify Live In London


 Time To Testify の楽曲を中心に、従来のヒット曲を収録したスタジオ盤とは一味違った熱気のある演奏が聴けるライブ・アルバムです。ジャズ+ファンク+ロックと好きなことをやればこうなる。私の大好物がそろったサウンドです。何とカッコ良く気持ち良いことか。
 そして発売元は Genki Bros という日本のレーベルということに改めて聴いていて気づき調べました。どうやらウェブ、携帯電話、ビデオなどのデザインやプロモーションを手掛ける会社で音楽は事業紹介に書かれていません。クリエイティブなことは何でもやるみたいな会社(集団?)なようです。Silver Bullet At Motion Blue Yokohama もこのレーベルから発売されています。


 UK発で兄ダンと弟リチャードの Baker Brothers、Chris Pedleys(クリス・ペドリー)のトリオ編成としてスタートし、サブ・メンバーとして、サックスの Paul Young(ポール・ヤング)がサポート。2010年にダンは脱退し、新ギタリストにGeoff Lai(ジェフ・レイ)2011年にはリチャードも脱退。このアルバムは2011年録音で、翌年発売ということでブラザーズはもういないのですが、まあいいか、そんなもんか。公式ページ を見ていたら解散はしていないようですが、活動もしていないようです。
 さて、レビューです。 Intro はサウンド・チェックをしながらのジャム、そして Feeding Freddie に直ぐに入ります。このブラスのパターン、タイトなリズム隊の流れは大好きなパターンで、自分で作った打ち込み曲は、かなり影響されているのを感じます。Painting Pictures は、ボーカル入りの少しひねったリズム・パターンのファンクでよく考えられた名曲。Once I Had A Friend は、お馴染みのリフが聞こえたが?と思ったら、いきなりのドラムソロが始まり、ソウルっぽいノリの良いファンクが始まりまり、バンドとしてかなり完成されていることを感じる演奏になっています。跳ねるリズムがたまりません。Pieces Of The Puzzle ギターのリフが天才的にかっこよい曲です。中東系の音階を使っているのもアイデアの勝利。The Young Patter これも音飛びの激しい Pieces Of The Puzzle と同じようなパターンのアルペジオが曲にスリリングさを与えていて且つサウンドはジャムバンド的でカッコ良い。Decision Time は幻想的に短めに、メドレーのように Make Your Move でジェット・コースターのような音の洪水。そして Roll It で、少しクールダウン。 Stick Up で、少し上げてきます。シングルノートのギター・リフが天才的にかっこよい Maid Of Mars は、ジャム的なスリリングなインスト、サックスのソロがまた素晴らしい。Genki Strut は、レーベルの Genki Bros の文字をとっているのでしょうか。これも骨太系インスト・ファンク。Snap Back は、歌物ファンクですがロックっぽいテイストです。Patience もロックっぽいヤツですが、しんみりとするコード進行が好きな曲です。最後の Givson はお馴染みのナンバーのゴリゴリとしたヤツで大好きな曲。気分を上げてくれる曲です。
 今からいつもの行きつけ「おでんバー」に行こうと思います。基本的に未試聴のアルバムを持って行きますが、今日はこれも1枚しのばせていきます。でっかい音でガツンと聴きたい気分になってきました🎵

guitar lead vocals : Geoff Lai
bass vocals: Chris Pedleys
drums  backing vocals : Ted Carrasco
sax : Paul Young
trumpet keyboads : Scott Baylis

producer : Chris Pedley

1. Intro
2. Feeding Freddie
3. Painting Pictures
4. Once I Had A Friend
5. Pieces Of The Puzzle
6. The Young Patter
7. Decision Time
8. Make Your Move
9. Roll It
10. Stick Up
11. Maid Of Mars
12. Genki Strut
13. Snap Back
14. Patience
15. Givson

▶ Time To Testify PV

▶ Make Your Move

▶ Snap Back


  

2023年9月15日金曜日

Brigitte Fontaine / Kékéland

 

 女優、歌手、作詞家、詩人、小説家などの様々な顔を持ち、音楽は、ロック、フォーク、ジャズ、ワールドミュージックなど、多くの音楽のスタイルを融合させフランスのカリスマ的アーティスト Brigitte Fontaine。ディスク・ユニオンのジャズ・ボーカルの棚にこれがあったので、たまたま手に取って購入してみたのが、Areski Brigitte Fontaine / Le bonheur 1969 気になっていた一枚を友人が持っていたのを見て貸してもらったのが Brigitte Fontaine / Comme A La Radio 1975 と、このアルバム。Le bonheur はフォーキーな感じ、Comme A La Radio は、演劇でも見ているかのようなに目まぐるしく場面が変わる世界観が不思議でアバンギャルド。そして、これは、また違った一面が感じられる不思議なアルバムです。Virgin France から、2001年発売の進化系です。ロック、タンゴ、シャンソン、ダブ、アラブなど、敢えてジャンルを変えているのか混沌としたつくりにしているのがアバンギャルドな味を出しています。年代は新しいので、1,5曲目では ノイズ・パンクの Sonic Youth がバックで、ノイズギターとストリングスを合わせるなどアイデアも斬新で、売れるアルバムつくりに、Sonic Touth を迎えた訳ではないことがわかり、ここらへんも凄いと感心してしまいます。


 先に聴いてきた2枚目のアルバムは、なんとなく呪術的な感じのある狂気が感じられましたが、このアルバムは呪術系を感じさせるささやき系ボーカルではなく、力強いボーカルでポップな感じがしますので比較的聴きやすいように感じます。
 ということでレビューです。Demie Clocharde は、聴きやすいポップのように始まりますが途中からノイズ系のギターが入ってきます。でも、そんなにストレンジな感覚にはならず、心して聴き始めたのに意外と普通だねとなります。そして Bis Baby Boum Boum については、あれっパンクじゃないの?となり、こういう変化なのかと思いながら聴き進めると、Pipeau では出だしはクラッシュ風のタンゴです。なるほど。Y'A Des Zazous も出だしは歪んだギターがギリギリと鳴りながらポップな曲です。そしてボーカルの力強さと破裂音を強調したボーカルでニナ・ハーゲンっぽいかなと思わせます。しかし主題曲でもある Kékéland では、怪しい感じの曲調になり、ここら辺が、私の Brigitte Fontaine のイメージの曲です。異次元的な雰囲気に何故かホッとして意外とあっさりと終わることに気づきます。全体的に曲の長さは短めで聴きやすいことに気づきます。Je Fume は、ダブですね。普通の人でも違和感なく聴ける非常にポップな曲で何か物足りません。良い曲ですけどね。そして Je T'Aime Encore は、伝統的な歌曲風。狂気は感じられないのがこれも物足りませんが、ああこの人は演劇もやる方なんだなあと再認識。God'S Nightmare は、クラブ風の出だしにフォーク要素を入れたポップ・ロックです。ここらへんで場面がクルクル変わる演劇を見ているような不思議な感覚になり、Guadalquivir で、リュートの響きが中東のヤツになります。ドンドンネタが変わり、ここら辺でも、おそらく脳みそが揺らされています。Les Filles D'Aujourd'Hui でフレンチ・ソフト・ロックですか。Rififi はワールド系でサビが来たら、激しいロックになりそうな曲調で進んでいきますがサビが来ないで終了します。また頭がバグります。ここら辺は天才的ですね。そして Profond は演劇の中の歌曲のような感じとなり Nrv は、クラブ、ソウル、フリー・ジャズ、などをごった煮にした感じで締めくくります。ある意味最後の曲は一番カッコ良いかもしれません。と思っていたら終わらず映画音楽のストリングスが流れるようなエンディングになります。いやいやアルバムを通して聴くとバグります。割と中毒性があるかもしれません🎵

vocals : Brigitte Fontaine
piano : Anna Sigalevitch, Camille Bazbaz, Jean-Claude Vannier, Jean-Eflam Bavouzet, Jean-Philippe Rykiel, Jim O'Rourke, Pierre Comblat
bass : Bobby Jocky
guitar : Oswaldo G. Nieto
lute : Thierry Agne
drums : Patrick Baudin, Philippe Entressangle
horns : Akosh Szelevényi, Didier Malherbe
conductor : Areski "Bokass" Belkacem

written by : Ali Belkacem (13), Areski Belkacem (1 to 3, 5, 6, 9 to 12), Bobby Jocky (8), Brigitte Fontaine (1 to 3, 5 to 13), Georges Moustaki (7)

producer : Areski (1, 5 to 7, 9, 12, 13)

#1, 3 to 13 Recorded & mixed at Studio Gang (Paris).
#2 Recorded & mixed at Studio Ferber (Paris).

1. Demie Clocharde
2. Bis Baby Boum Boum
3. Pipeau
4. Y'A Des Zazous
5. Kekeland
6. Je Fume
7. Je T'Aime Encore
8. God'S Nightmare
9. Guadalquivir
10. Les Filles D'Aujourd'Hui
11. Rififi
12. Profond
13. Nrv



▶ Nrv


  

2023年9月10日日曜日

Tower Of Power / Back To Oakland


 昔からの愛聴盤で、車を運転するとき、元気をつけたいとき 等で、ずっと聴いてきたかなりのヘビロテのアルバムです。CDなんで擦り切れることはありません。
 1974年に発表された通算4枚目で、ボーカルに Lenny Williams が加入して本格的にブレイクした1973年の前作 Tower Of Power に続くアルバムです。ボーカルのみならず強力なブラス・セクションも最高のノリで、ドラムの David Garibaldi ベースの Rocco は素晴らしく強力で緻密で切れの良いリズムを生み出し、タイミングが絶妙なジャキジャキのカッティングギターが追い打ち、ブラス・アレンジは言わずもがなの名作。
 当時、様々なバンドがありましたが、T.O.P. (タワー・オブ・パワー)は別格にファンキーでギラギラしていたに違いありません。



 それでは擦り切れるほど聴いてきた擦り切れないアルバムを再度聴きながらレビューです。Oakland Stroke は、Emilio Castillo、David Garibaldi、Stephen Kupka の共作のファンク魂全開のアルバム導入曲でもありますが、〆にも使われている、T.O.P. を体現するナンバーで Oakland は、バンドが結成された地です。Don't Change Horses (in the Middle of a Stream は、Johnny "Guitar" Watson、Lenny Williamsの共作。シングル・カットされたミディアム・テンポのソウルフルなナンバーです。超高速なカチカチのナンバーも良いですけど、ここらへんのメローなナンバーも聴きどころです。Just When We Start Makin' It は、Emilio Castillo、Stephen Kupka、Lenny Williams の共作のメロウ・バラード。情緒たっぷりで、渋いホーンをバックに Lenny Williams のボーカルが歌い上げるこれも名作。ストリングスも入ったアレンジも素晴らしいCan't You See (You Doin' Me Wrong) Emilio Castillo、Stephen Kupka、Lenny Williams の共作は、メロウなサビが気持ち良いファンクで、緻密なリズムと広がる世界観の対比も素晴らしい。Squib Cakes は、ボーカル無しのインスト・ファンクで、この曲をコピーしてジャムった、なりきりプレイヤーも多いであろう曲。このファンク感が、T.O.P. を体現するものかと思います。Time Will Tell は Emilio Castillo、Stephen Kupka の共作。これもシングル・カットされた楽曲で売れ線意識したソウル・バラードで、Lenny Williams のボーカルが素晴らしい。Man from the Past は、Emilio Castillo、Stephen Kupka、Lenny Williams の共作。昔懐かしい感じのソウル・ナンバー。目立った個性は無いように感じますが、このような曲ほどバンドの底力、アレンジ力が発揮されると感じます。Love's Been Gone So Long は、ギターの Bruce Conte 作のメロウ・ミディアム。失恋の歌ですかな。そよ風に吹かれながら物思いにふける印象で激しいとこはなしですが素敵。I Got the Chop は、Emilio Castillo、Stephen Kupka の共作。アメリカンで開放的でファンキーで、何しろ明るく楽しい。Below Us, All the City Lights も、Emilio Castillo、Stephen Kupka。こんな曲を連発でかけるなんて凄いですね。バラードです。そして最後は、また Oakland Stroke に戻って〆です。オープニングより13秒長い、1分5秒🎵

lead vocals : Lenny Williams
organ, pedalboard, piano,  clavinet, backing vocals  : Chester Thompson 
guitar, backing vocals : Bruce Conte
bass : Francis Rocco Prestia
drums : David Garibaldi
congas : Brent Byars
keyboad, piano, clavinet, sax, flute : Lenny Pickett
tenor sax, backing vocals : Emilio Castillo
trumpet, flugelhorn, bells, backing vocals : Greg Adams
trumpet, flugelhorn, trombone, bass trombone, backing vocals : Mic Gillette
baritone sax, english horn, backing vocals : Stephen Kupka

1. Oakland Stroke
2. Don't Change Horses (In The Middle Of A Stream)
3. Just When We Start Makin' It
4. Can't You See (You Doin' Me Wrong)
5. Squib Cakes
6. Time Will Tell
7. Man From The Past
8. Love's Been Gone So Long
9. I Got The Chop
10. Below Us, All The City Lights
11. Oakland Stroke

▶ Oakland Stroke

▶ Squib Cakes

▶ Can't You See


  

2023年9月9日土曜日

The J.J. Johnson Quintet / Dial J.J. 5

 

 トロンボーンの第一人者の J.J.ジョンソンが、リズム隊にピアノ Tommy Flanagan、ドラムに Elvin Jones、ベースは Wilbur Little を配置、テナーに Bobby Jaspar を加えたカルテットで、小気味よいスイングしながら絶妙のセッションを聴けるジャズ史に誇る一枚です。強力なリズムセクション、ブラスのフロントラインの柔軟性が聴きどころですね。録音は1957年ですから、Tommy Flanagan はソニー・ロリンズの Saxophone Colossus に参加した翌年に Overseas を発売した頃でやっと頭角を現してきた頃で Elvin Jones も同様。やはり凄いメンツは集まるものです。
 さていつも最初に試聴させていただく音楽好きの集まる「おでんバー」のマスターも J.J.ジョンソン 好き。レコードはどこかに仕舞ってあるようで聴き比べはできませんでしたが、このアルバムは随分長い間聴いていなかったらしく、思っていたイメージより随分と良かったようで、持参した本人もホッとしました。


 トロンボーンと言う楽器は、トランペットやサックスのようにバルブやキーを操作することで音階を変化させるのではなく、スライドを伸縮させることによってそれを行うので、中間音が容易に出せる特徴がありスライドトーンといった表現が可能ですが、素早いフレーズを吹きにくい、音程が狂いやすい、音と音の間の音程の切り替えが曖昧になりやすい楽器です。ビバップは素早い音の切り替えや幅広い音階を多用したアドリブ・プレイが必要であったためトロンボーンの特性はジャズの主流とはなりにくい状況になりました。しかし J・J・ジョンソンは超絶的技巧により、この楽器の欠点をを感じさせない演奏で多くのトロンボーン・ジャズ・プレイヤーに多大な影響を与えています。
 それではレビューです。オープニングは Tea Pot でJJのアドリブから開始、トミフラのピアノも絶好調でスリリングな演奏は素晴らしい。何かお洒落で格好良く気品があります。Barbados はカリプソ調の出だしのフォー・ビート。リズム隊が複雑なリズムを出しながらの演奏は粋な演奏の印象です。In A Little Provincial Town は、Bobby Jaspar の作曲で、本人のフルートが、かなり効いていてお洒落で格好よく清涼感もあり格調高い演奏です。Cette Chose も Bobby Jaspar の作曲で軽快なアンサンブルで曲の途中のキメもカッコ良いですが3分18秒は短すぎてもったいない。Blue Haze は、マイルスオリジナルのスローブルーでもったいを付けた始まり方が気合を見せている感じがします。4分7秒のところでピアノのソロに合わせて気持ちよく歌っているのはトミフラ?でしょうか。Love Is Here To Stay は、ガーシュイン作曲のスタンダード、Bobby Jaspar はお休みのカルテットで親分のJJをフューチャー。So Sorry Please は、中華っぽいイントロのフレーズの曲で、J.J. Johnson
Bobby Jaspar の二人ともお休みのトリオで花形は Tommy Flanagan です。中間でこの変化のある仕掛けはアルバムの作り方としては好印象。これってて Overseas トリオですね。It Could Happen To You では、Bobby Jaspar のフルートメインで J.J. Johnson はお休みです。フルートがホント気持ち良い。Bird Song は、Elvin Jones の兄、トランペットの Thad Jones の曲ですね。更に Hank Jones もお兄さんでピアニストでしたっけ。Bobby Jaspar と J.J. Johnson のユニゾンが気持ち良いです。トミフラのピアノ・ソロもキラリンとしてます。ラストの Old Devil Moon は、ラテン・リズムの作品で、Elvin Jones のシンバル・ワークが効果ありで、カリプソ風味のトミフラがまたカッコ良い。
 電話機の中でJJが笑っている写真のジャケット、曲名と関係のないアルバムタイトルも良いですし、演奏やアルバム構成だったり非常に考えて作りこまれた聴きどころ見どころ有りの良作でした🎵 

trombone : J.J. Johnson
piano : Tommy Flanagan
bass : Wilbur Little
drums : Elvin Jones
tenor sax, flute : Bobby Jaspar

recorded at Columbia 30th Street Studios, NYC on January 29, 1957 (tracks 5, 6, 8 & 9), January 31, 1957 (tracks 2-4) and May 14, 1957 (tracks 1, 7 & 10)

1. Tea Pot
2. Barbados
3. In A Little Provincial Town
4. Cette Chose
5. Blue Haze
6. Love Is Here To Stay
7. So Sorry Please
8. It Could Happen To You
9. Bird Song
10. Old Devil Moon

▶ Tea Pot