70年代ソウルの影響がはっきり見えるバリトンボイスで、札幌タワレコの試聴で惚れまして購入。力強く緩急をしっかりと使い分けた歌唱力はものすごく説得力があって暖かい。
ニューヨークはブルックリン出身で、ジャズ、R&B シンガーで、サウンドは洒落たジャズ・サウンド。帽子が印象的で"jazz hat"とも呼ばれているらしい。このアルバムを皮切りに、ほぼアルバムを揃えたのですが最高傑作は、このアルバムのように感じます。発売当時は知らなかったのですが、2014年の第56回グラミー賞では、【最優秀ジャズ・アルバム賞】を受賞したメジャーデビュー作とのこと。
さて、何度聞いたかわからない愛聴盤をレビューです。No Love Dying この一発目にガツンとやられて虜になりました。タイトル曲よりも、この曲のインパクトの方が私には大きかったです。静寂なピアノをバックに語り掛けてくるようなボーカルが非常に魅力的。Liquid Spirit 2曲目がタイトル曲は珍しいような気がします。ハンドクラップ、軽めの格好良い曲です。迫力あるピアノ・ソロも印象的。Lonesome Lover は Abbey Lincoln、Max Roach作。Emanuel Harrold のドラム・ソロで開始。疾走感ありビター・スイートなワルツ調スイングで、ひと昔前にタイムスリップしたような感じに聴かせます。Water Under Bridges は、ピアノとのデュオのバラードで、しんみりと聞かせたところで、サビの切ない感じのしゃくりは惚れない訳はないでしょう。Hey Laura 古いフォーク・ブルースと現代が混ざったような楽曲で、Keb'Mo っぽい作りの素晴らしい作品でソングライターとしての才能を感じます。Musical Genocide は、ジャンル的にはソウルなんだろうけどジャズ的なテイストもあり、ここら辺のとこを、じっくりと聴き手に聴かせる手腕がグレゴリー節な気がします。Wolfcry は、再びバックはピアノのみのバラードで、よりボーカルを聴かせるために寄り添った美しいピアノとともに伸びやかなバリトン・ボーカルは静かな中に凄みがあります。Free は、タイトルからも、繰り返し Free と叫び続けることからも、力強さと決意のようなものを感じる曲です。コンテンポラリーなジャズを装った根底はソウルなものを感じます。Brown Grass は、トリオ編成のバックに、優しい歌声で語りかけてくるポップス調の楽曲で、これもグレゴリー節ですね。Wind Song は、軽やかなピアノと軽やかなボーカルが魅力的な曲でビリー・ジョエルとかも感じて、作曲家としてホントに優れた人であることがわかります。The In Crowd は、Billy Page のスタンダードです。オールド・ファンキーなソウル・ジャズはこの人の真骨頂でもあります。これも大好き。Movin' は、Marvin Gaye 風なソウル。曲名も Movin' ですからね。When Love Was King は、男の哀愁モードで、舞台の歌曲のような感じで、場面が変わっていきます。Fall in Love Too Easily で、オリジナルの楽曲は終了です。Sammy Cahn 作詞、Jule Styne 作曲のスタンダード。しっとりとしたジャズ・バラードで締めくくりです。ボーナス・トラックとして収録は、Time Is Ticking で、ハイハットがチクタクと時計の役割をしている。何かアートな感じがする楽曲です。Water Under Bridges [Rubato Version] は、4曲目のルパート・バージョン。おまけでは、ありますが最後に相応しい曲になっています。他の曲も、ピアノとのデュオと、トリオの録音が全てとってあるような雰囲気もありますね。20年後とかに、未発表テイク完全収録とかで売り出されるんでしょうか🎵
vocals : Gregory Porter
fender rhodes , hammond : Glenn Patscha
piano : Albert Crawford Jr.
bass : Aaron James
drums : Emanuel Harrold
alto saxo : Yosuke Sato
tenor sax : Tivon Pennicott
trumpet : Curtis Taylor
producer : Brian Bacchus
Recorded at Sear Sound, NY, March 28, 29, 30 and April 15, 2013.
1. No Love Dying
2. Liquid Spirit
3. Lonesome Lover
4. Water Under The Bridge
5. Hey Laura
6. Musical Genocide
7. Wolfcry
8. Free
9. Brown Grass
10. Wind Song
11. The "In" Crowd
12. Movin'
13. When Love Was King
14. I Fall In Love To Easily
15. Time Is Ticking
16. Water Under Bridges [Rubato Version]
▶ Liquid Spirit (Official Music Video)