私が初めてアカペラに興味を持ったのはマントラのウェザー・リポートのカバー曲の Bird Land でウェザー・リポートを後で聴いて、これがマントラの元曲のバンドなのかとウェザーリポートに感動しつつ、マントラの再現性の高さにビックリしたものでした。自身でアカペラ曲を多重録音して楽しんでいたこともあり、コーラス・グループにも一定の興味があり前述の Manhatten Transfe (マンハッタン・トランスファー)、 New York Voices(ニューヨーク・ボイセス)、Take6 (テイク・シックス) などを聴いていますが、その先駆者がこのグループ The Singers Unlimited でした。
1967年に元ハイ・ローズのメンバーの Gene Puerling (ジーン・ピュアリング) が Don Shelton (ドン・シェルトン) とともにシカゴで結成したグループで、Oscar Peterson (オスカー・ピーターソン) の薦めによりドイツのMPSレーベルと契約し、1971年にピーターソンとの共演した In Tune でデビューを果たし、1981年までの間に15枚のアルバムを残しています。デビュー当初はアメリカにおけるコマーシャル媒体製作のために結成されたグループが発展したものであると言われています。ライブ演奏を想定しない、それぞれのパートを重ね録りする、1人が複数パートを歌って4声を越えるハーモニーを作るなどでハーモニーを構築して複雑で透明感のあるコーラスを創り出しています。
収録曲の Both Sides Now は先に書いたジョニ・ミッチェルのナンバーで、ジュディ・コリンズのヒットでも有名な曲です。ジョニのフォーキーで爽やかな曲を、深遠なコーラスワークで静かに表現しています。ジョニは静かで爽やかな歌い口の中に力強い部分がありましたが、彼らのまた違った角度からの表現の違いは比較して聞いているとまた格別の味わいがあります。その他 Here, There And Everywhere、Michelle、The Fool On The Hill はビートルズのナンバー。Emily はアンディ・ウイリアムスのヒット曲。Try To Remember はミュージカルの ファンタスティック の中のヒット曲で、ロマンティックなメロディーとこれをまとめ上げるコーラスワークはまた良いです。
さて、このアルバムを購入して最初に聴いたのはいつもの行きつけの「おでんバー」でした。家で聴く小さな音量の時とは違って、大音量で聴くこのコーラス・ワークは緩やかに変化する細かなハーモニーの流れがとても新鮮に心地よいものでした。また楽曲の完成度の高さにもビックリはしたのですが、アレンジが一辺倒ではあります。聴いていて非常に心地よいので酒を飲みながら集中しているとアルファ波が発生してきて・・・心地よい睡眠に入れます。マスターも私もしんみりと聴いていたらいつのまにか二人の会話は無くなりウツラウツラとしてしまいました。1曲づつの完成度は非常に高くて楽しめるのですが、仕掛けも少なくて刺激も少なめ。しんみりと上質のアカペラ音楽に浸りたいときには最適ではあり、聴いた後に心が豊かになるアルバムです。
vocals : Bonnie Herman, Don Shelton, Len Dresslar
vocals, producer, arranged by, conductor : Gene Puerling
producer : Hans Georg Brunner-Schwer
1. Both Sides Now
2. London By Night
3. Here, There And Everywhere
4. Lullaby
5. Michelle
6. The Fool On The Hill
7. Emily
8. Since You Asked
9. More I Can Not Wish You
10. Try To Remember
▶ Michelle
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