2024年11月22日金曜日

Larkin Poe / Peach

 

 私がこのバンドを知ったのは youTube の動画が最初で、2020年のはじめの頃でした。特に気にいたのは Preachin' Blues で、繰り返し聴いていたところ、12月に新宿タワレコを訪れたところ、なんと Larkin Poe のコーナーが出来ていたので購入となりました。
 この二人は、ジョージア州アトランタ出身で、現在はナッシュビルを活動拠点とする姉妹のブルース・ロック・バンドで、姉妹の名前は
 【Rebecca Lovell】lead vocals, electric guitar, acoustic guitar, mandolin, banjo, violin, piano; drum programming, bass and arrangements

 【Megan Lovell】 harmony vocals, lap steel, Dobro

 いとこの祖父である Edgar Allan Poe に、ちなんでの Larkin Poe のバンド名で、アルバム名の Peach は出身がジョージアの名産のピーチであることからで、アトランタは古くはStanding Peach Tree と呼ばれネイティブ・アメリカンの村もあったそうです。この姉妹の活動履歴は長く、2005年にはブルーグラス系バンド The Lovell Sisters を3姉妹で結成し、いったん解散し、2010年に Larkin Poe として活動再開し、その後5枚のEPと2枚の共同制作盤を出し2013年に RH Music と契約し、初アルバム「KIN」を発表。そして2016年Reskinned、2017年で、この Peach の発売となった訳で、堂々たる演奏からも既にベテランの域を感じます。


 購入したのは日曜で、その帰りには行きつけの音楽好きの集う「おでんバー」で直ぐに聴きました。ファンの前で酷評はしにくいと思われますが、それなりに評判は良かったハズです。それでは Larkin Poe / Peach を再度聴きながらのレビューです。Come On In My Kitchen トラディショナル・ブルースで作者不明なヤツですね。メーガンのスチールギターが最高ですし、レベッカの迫力ボーカルは最初から心わしづかみにされます。Freedom オリジナル・ナンバーで、アレンジは少しデジタルな部分を入れてます。映画とかで使われそうなドラマチックな曲です。Black Betty そしてトラディショナル・ブルースに戻ります。このリズムは大好きなヤツです。いかつくて惚れてしまカッコ良さ以外に何もありません。Look Away スローでダークなブルース・ロックです。オリジナルでこれも少しデジタルなアレンジで、ここら辺はブルースマンでありながら現代のポップスも聴きながら育った世代なんだなあと思います。Preachin' Blues そして惚れ込んだサン・ハウスのブルースです。ブルース好きのオジサンにも十分響くカッコ良さで、ライブハウスで聴いたらどうにかなっちゃいそうです。Cast 'Em Out ブルーグラスもやってたので、ここら辺のルーツ・ミュージックのような楽曲もすんなりです。録音とミキシングでボーカルの近さが感じられるのも良いですね。Pink & Red これもオリジナルで、現代的なロックのアレンジになっています。なるほどトラディショナルとオリジナルで意識的にアレンジを変えているのですね。今更わかりました。John The Revelator ジョンは預言者というトラディショナルです。ドロドロした呪術的なイメージが沸く曲ですね。Wanted Woman / AC/DC やはりオリジナルでデジタルなアレンジも入れてます。パンクっぽくもありますね。Tom Devil やはり最後はトラディショナル・ブルースでアルバムは締めくくりです。
 新世代のブルースを感じて、ワクワクと心が躍ります。きっと私のようなひと昔世代のことも理解しつつ、感性に合う曲を彼女たちの表現があり僅かな差でありながら同じようなルーツ・ミュージックのバンドを引き離している感があります。youTube で自分たちをセルフプロモしながらの活動も現代的ですね。オジサンの心も動かされました🎶🎸

Rebecca Lovell
vocals, electric guitar, acoustic guitar, baritone guitar, banjo, keyboards, drums : 
Megan Lovell
vocals, lap steel guitar, slide guitar, keyboards

producer : Megan Lovell, Rebecca Lovell

1. Come On In My Kitchen (Traditional)
2. Freedom (Megan Lovell, Rebecca Lovell)
3. Black Betty (Traditional)
4. Look Away (Megan Lovell, Rebecca Lovell)
5. Preachin' Blues (Son House)
6. Cast 'Em Out (Megan Lovell, Rebecca Lovell)
7. Pink & Red (Megan Lovell, Rebecca Lovell)
8. John The Revelator  (Traditional)
9. Wanted Woman AC/DC (Megan Lovell, Rebecca Lovell)
10. Tom Devil  (Traditional)





  

2024年11月16日土曜日

James Cotton Band / Live & On The Move


 もともとは2枚組のアルバムだったものを、CDでは1枚にまとめたライブ録音。19曲で、コットン・ファンにとって、ベスト・ヒットのような曲目構成がうれしいアルバムです。盤によっては Fannie Mae の入っていないものもあるようです。 
 1976年の発売で8枚目となるアルバムで、ギターは Matt Murphyでドラムの Kenny Johnson、ベースの Charles Calmese 、1974年発表のスタジオ録音盤「100% COTTON」と同じメンバーで、このリズム隊から生み出されるファンク・ブルースはなかなか強力。コットンおじさんも36歳の若い時の演奏でエネルギッシュで声も若いです。
 出だしのライブの始まりかたから、いかにもアメリカのエンターテイナーって感じです。盛り上げ方の進行も全てお決まりのパターンのようで、おそらく定番のショーの形式と思われます。


 ライブ会場の Shaboo Inn in Wlllimantic Conn ですが、ボストンから90マイル、ニューヨークから145マイルのアメリカの北西にある New England の1000人規模の大型ライブハウスで、ロックではBoston, Aerosmith, The Cars, Journey, AC/DC ブルースでは、Muddy Waters, BB King, John Lee Hooker, Freddy king, Buddy Guy ジャズでは Miles Davis などもギグっていたようです。1982年の閉店ライブでは、James Cotton もゲストで呼ばれていました。

  


 これも相当、聴きこんできたアルバムですが久しぶりに聴きながらレビューします。Cotton Boggie 定番のブギー・ナンバーです。ブルースハープの裏打ちとリズムが、機関車が走るような感じだと思いながらいつも聴いています。いつ聴いてもスカッと気持ち良い。
One More Mile ジャンプ・ブルースですね。キメもばっちりです。All Walks Of Life
ブルース度高めの一曲。のしのしと歩くようなドラミングが相変わらずかっこいいです。Born In The Missouri スローテンポの古典ブルースで、ピアノが相棒として活躍します。
Flip Flop & Fly これも定番で、早めの明るいブギで楽しいです。Flip Flop & Fly I don't care if I die Don't ever leave me, Don't ever say goodby のサビのコーラスもお客さんもノリノリです。サックスソロの最後は、ハエの羽音を真似たギターのシャカシャカもご愛敬です。Mojo は、Got My Mojo Worlin’ ですね。ハイスピードでバンドがきれいにグルーブしています。Roket88 これも大好きな定番です。この早口ボーカルもカッコイイですね。Goodbye My Lady ここでクールダウンの曲です。哀愁のメロディーで男臭く Goodbye My Lady と歌われたら女性はうっとりするのでしょうか。引いてしまうのでしょうか。これも良い曲ですね。I Don’t Know 定番のキメの連発のブルースです。曲の切れ目でベイ~~ベの最後の「ベ」でドラムとタイミングが合うかどうか、遊んでいるようです。ピッタリは1回ですかね。Caldonia シャッフル・ナンバーでコットンおじさんの裏声を使って母親の声真似、早口マシンガンで観客も大喜びですね。Boggie Thing コットンバンドはこのブギが多くて、気分があがります。Goodmorning Lil’ School Girl 田舎のオジサンが女の子に話しかけている曲でしょうか。子供がスキップしているぐらいのテンポでホノボ系シカゴ・ブルースです。Oh, Baby You Don’t have To Go オーソドックス・タイプのブルースです。ここらへんで Charles Calmese のベースの上手さに気づきます。Help Me 昔のタイプのシカゴ・ブルースです。このテンポで、このリズムでグルーブさせるのは結構、難しいかもしれません。Fannie May 曲の解釈は全く異なりますが、ジャコも大好きだったファンク・ナンバーですね。Hot’ n cold メンバーがボーカルをとってコットンが合いの手を入れる楽しい曲です。ライブって感じがします。Tenny Weeny Bit これはJBな感じの曲でコットンにしては珍しいビートですね。歌の表情のつけ方がさすがです。Blow Wind Blow シカゴ・ブルースの定番曲です。コットンバンドでもよく聴きますがこのライブのこれは出来が良いようで満足。How Long Can A Fool Go Wrong ハイトーンのブルース・ハープが印象的なブルースです。キッチリとブルース・ハープのソロを多めにとってテクニックを見せつける曲ですね。いや、オジサンのハープが堪能できる曲です。
 ジェイムス・コットンのライブは楽しいですが、特にこのライブはノリ良く。しゃべり、よく吠える、そしてメンバーがみなで楽しそうです。バンドとしても脂がのっていてテンション高いので聞いているほうもテンションあがります。 このライブの客になりたかった🎶

vocals, harp : James Cotton
keyboards : Mike "Captain Z" Zaitchik
guitar : Matt Murphy
bass : Charles Calmese
drums : Kenny Johnson
sax : George T. Gregory

producer : Al Dotoli
recorded live at Shaboo Inn in Wlllimantic Conn.

1. Cotton Boogie (James Cotton)
2. One More Mile (James Cotton) 
3. All Walks Of Life (James Cotton )
4. Born In Missouri (Willie Cobbs)
5. Flip Flop & Fly (Charles Calhoun, Lou Willie Turner)
6. Mojo (Booker Ervin)
7. Rockett 88 (Jackie Brenston)
8. Goodbye My Lady (Mark Klingman, N.D. Smart II, Todd Rundgren)
9. I Don't Know (Willie Mabon)
10. Caldonia
11. Boogie ThingAll Walks Of Life (Matt Murphy)
12. Good Morning Lil' School Girl
13. Oh Baby You Don't Have To Go (Jimmy Reed)
14. Help Me (J. Watson)
15. Fannie Mae (Bobby Robinson, Buster Brown)
16. Hot 'N Cold (Allen Toussaint)
17. Teeny Weeny Bit (Ian Whitcomb)
18. Blow Wind Blow (Dub Dickerson)
19. How Long Can A Fool Go Wrong (James Cotton)



Mojo


  

2024年11月15日金曜日

The Hard Bop! / No Room For Squares Ⅳ


 BlueNoteの名盤からの12曲オムニバスです。BN の 価格を下げた過去音源の The BN Works 1500 シリーズのキャンペーン用CDで、第4弾のようです。名前の通りの中身でハード・バップばっかり集めています。そもそもなんですが、ジャズのハード・バップって激しめのジャズってことはわかりますが、どんな違いがあるのか改めて確認してみます。
 戦前の1930年代から1940年代の流行のビッグバンドの形態のジャズは「スイング・ジャズ」と呼ばれベニー・グッドマン、デューク・エリントン、カウント・ベイシー、グレン・ミラーなんかです。スイングジャズは、スウィングのリズムが特徴のダンスミュージックでしたが、大人数の編成であるため、アドリブやソロの要素よりもアンサンブルに重点が置かれていたわけです。
 そしてこの大人数のバンド形態は1940年代あたりから少人数の即興演奏を主体とする「ビバップ (bebop)」へと変化していきます。形式としては決まったテーマを演奏し、コード進行に沿った形でアドリブを順番に行う形式が主で「スイング・ジャズ」は聞く側が楽しむダンス・ミュージックだったのが、ビバップは演奏側が楽しむものとなり技術や芸術性を楽しむものに変化してきました。
 そして1950年代からニューヨークなどで演奏されるビバップはハード・バップと呼ばれる形態の演奏スタイルになっていきます。私たちが所謂ジャズと感じるサウンドのイメージですね。ハード・バップは特にソロ部分のアドリブをよりホットでドライブさせたものでフレーズが重要視されたため、メロディーとして使える(成立する)音を使うためビバップよりも、融通性のないメロディーやフレーズになりやすいらしいです。つまりはアウトなフレーズは邪道だったわけですね。
 さらには、この制限された音の呪縛から使える音の解釈を変えたモード・ジャズに移行していきます。と色々見ながら書きましたのでおそらく本筋は外れていないはずです。ふう
 また1954年のアートブレイキーの「A Night at Birdland Vol. 1」あたりから「ハード・バップ」という言葉が使われだしたようでアフロ・キューバン・ジャズもハードバップに含まれるって書かれます。
 まあ音楽のジャンル分けってのは時に曖昧なので、雰囲気で聴くのでも十分かと思いますが、そこら辺を掘り下げて聴いていくのも、また楽しい聴き方でもあります。このCDはプロモ用のオムニバスなので、特にプロデューサーの選曲の妙とかは感じません。ノッペリしたアルバムで、ああこれ持ってる、とかで楽しむやつですね🎶

1. Sonny Rollins / Wail March
2. Clifford Jordan / Beyond The Blue Horizon
3. Hank Mobley / Mighty Moe & Joe
4. Sonny Clark / Shoutin' On A Riff
5. Bud Powell / Blue Pearl
6. John Coltrane / Locomotion
7. Curtis Fuller / Little Messenger
8. Horace Silver / Safari
9. Lee Morgan / C.T.A.
10. Lou Donaldson / Blues Walk
11. Louis Smith / There Will Never Be Another You
12. Kenny Burrell / Phinupi





  

2024年11月10日日曜日

Take 6


 グループ名がデビューアルバムのタイトルになっている「TAKE6」で発売は1989年。Take6 はアメリカ・アラバマ州のクリスチャン学校で結成されたコーラス・グループで結成当初はなんと学校のトイレで練習をする事が多かったとか。学校生活の中でメンバーチェンジが幾度もなされ1987年に Take6 となったそうです。
 デビューまでゴスペルを重要視したいとのことでレーベルにアタックしていたそうですが、あきらめかけていた時に、メジャーレーベルの Warner Bros(ワーナー・ブラザーズ)のディレクター Jim Ed Norman に目が留まり、メジャーデビューが決まったそうです。ゴスペル・グループとして別のレーベルでデビューしていたら、このようなヒットもなくて私も聞いてはいなかった可能性があります。さすがワーナーブラザーズ。
 ゴスペル要素を強くしながら、R&B色よりもジャズ要素を盛り込んだ上品で丁寧なアレンジが素晴らしいアルバムです。このアルバムを手にした時は、それまでコーラスグループなんて聞かなかったのに直ぐにファンになり、当時車の中で大音量にして聞いて一緒に歌っていたことを思い出します。特におすすめは 「Spread Love」 で奥行きのある広がりのあるコーラスワークとノリが最高です。


 昔から愛聴してきているアルバムで、購入したころは釣りに行くときに車の中で爆音でかけながら一緒に歌っていた記憶があります。相当聴きこんでいますが、最近聴いていなかったので久しぶりに聴いてレビューしてみます。Gold Mine イントロではオーケストラの最初のチューニングのような音がしますが肉声以外は入っていません。ジャズタイプの曲で、But this time I found Gold Mine in you と何か神々しいまでの愛が歌のテーマです。 Spread Love ゴスペルタイプの素晴らしい曲で奥行きがあって大きな愛を感じる大好きな曲です。 If We Ever Needed the Lord Before (We Sure Do Need Him Now) 長いタイトルですが、ライナーノーツの曲名は、 If We Ever だけです。歌詞の内容的には、ほぼ讃美歌で要するにゴスペル曲ですね。Quiet Place, A これはリズムよりも旋律とハーモニーを聴かせる美しい曲で、There is a quiet place Far from the rapid pace Where God can soothe my troubled mind と人類への愛を歌っています。Mary またゴスペルタイプの楽曲です。歌詞の内容は聖書の中のモーセの十戒あたりですね。David and Goliath ダビデとゴリアテの話しですね。これも聖書の中にあったような気がします。物語的な展開でイメージ的にはディズニーアニメの世界観で劇場仕立てです。Get Away Jordan ヨルダンから離れろですか、これも宗教歌です。ヨルダン川を渡って主に会いたいと、ひたすら歌います。5曲目から9曲目までは作曲者が書いていないのは、実際に教会で歌っていた曲で作者不明なののかと思われます。He Never Sleeps 夜も昼も寝ないで見守ってくれているのは当然神ですね。きれいなハーモニーです。Milky-White Way 神にイエスに会いに行かないかい、とひたすら歌います。Let the Words 最後の締めくくりは、Let the words of my mouth bring You praise この言葉があなたを讃える言葉でありますように
 メンバーチェンジも若干あるものの定期的にアルバムをリリースし、現時点では2018年が最後のアルバムリリースとなっています。
 私は小さい頃から教会に行っていました。日本のカトリック教会なのでゴスペルは歌いませんでしたが、フォーク風の歌を讃美歌の代わりに歌うミサなどはありましたので、世界観はなんとなく理解できるのもあって好きなんだと思います。いや何回聴いても音も素晴らしいですが世界観が良いですね🎶

vocals :
Alvin Chea
Cedric Dent
Claude V. McKnight III
David Thomas 
Mark Kibble
Mervyn E. Warren

producer : Claude McKnight, Mark Kibble, Mervyn Warren
executive-producer : Jim Ed Norman

1. Gold Mine (C. McKnight, M. Warren)
2. Spread Love (C. McKnight, M. Kibble, M. Warren)
3. If We Ever Needed the Lord Before (We Sure Do Need Him Now) (Thomas A. Dorsey)
4. Quiet Place, A (R. Carmichael)
5. Mary
6. David and Goliath
7. Get Away Jordan
8. He Never Sleeps
9. Milky-White Way
10. Let the Words (G. Hamilton)





  

2024年11月9日土曜日

The Band



 The Band とシンプルな名前。アメリカ合衆国を拠点に活動したカナダのバンドで、オリジナル・メンバーは、カナダ人4人「Jaime Robbie Robertson(ロビー・ロバートソン)、Richard Manuel(リチャード・マニュエル)、Garth Hadson(ガース・ハドソン)、Rick Danko(リック・ダンコ))とアメリカ人1人 Levon Helm(リヴォン・ヘルム)。1967~1976年まで活動し、いったん解散するも1983年にロバートソン以外のメンバーが再結成し1999年でバンドは解散となっています。Robbie Robertson 以外はメンバー全員がマルチ・ミュージシャンであることもこのバンドの特徴です。バンド名は、ボブディランバックバンドをやっていたときに名前を覚えてもらえず、ご近所の人が「あのバンド」って呼んでたんで、悔しさでこれにしたとのこと。
  通称「ブラウン・アルバム」として知られているThe Band の1996年の2作目で、ファンの間では真っ先に名前が挙がるアルバムとのこと。アメリカ南部のルーツミュージックを追い求め、温もりのある音で、適度にラフでルーズでアルバム全体からは音そのものの暖かささを感じます。またボブ・ディランとビッグ・ピンクで録音した曲に近いものにしたいと考え、録音はカリフォルニア州のハリウッド・ヒルズにあるかつて Judy Garland, Wally Cox、Sammy Davis Jr. などが所有していた物件だった、プール付きの邸宅を借りて録音しています。

 


 Eric Clapton も憧れていたバンドと何かで読んだことのあるバンドで、その記事を見てから知ったバンドですが、聴け聴くほど素晴らしいアルバムですので久しぶりに聴いてレビューします。Across The Great Divide ほのぼの系に感じるビートルズも意識した楽曲に感じ、カナダ人主体のバンドながら、アメリカを感じます。ブラスが効果的に入っているのでブラス・ロックとも言えるのかな。Rag Mama Rag ボーカルの歌い方はストーンズを意識でしょうか。チューバがベースラインてのが新鮮で、バイオリンがとても良い。ラグ+ブルーグラスですかね。The Night They Drove Old Dixie Down 後に Joan Baez がヒットさせている曲でもあります。フォーク的な語り口で南北戦争が題材です。When You Awake カントリー的な曲で、このアルバムでは目立ちませんが良い曲です。ボーカルの歌い方は、Josh Dion に引き継がれているなあと感じます。Up On Cripple Creek 暗めの出だしですが軽めのロックです。これも Josh Dion に引き継がれていると感じます。クラビを使っていますがファンクでは無いのも非凡です。Whispering Pines バラードで痛ましさも感じる美しいメロディーラインです。感情入り過ぎのボーカルも臨場感あります。間奏のコードチェンジも凝ってます。Jemima Surrender クラプトンあたりに引き継がれるアレンジのロックですが、ソウルも感じますし、ここでもブラス部隊が効果的に入ってますが所謂ホーンセクションではないので味わいが違います。Rockin' Chair カントリーロックですね。コーラス・アンサンブルもそっち系です。フラットマンドリンとアコ-ディオンが牧歌的です。Look Out Cleveland アップテンポで、クラプトンに後に引き継がれるサウンドです。ノスタルジックなメロディーになるかと思えば、ドーンとサビがきますので聴く方も忙しいですが。曲も良しアレンジも良し。Jawbone 「いつか王子様が」が繰り返し使われる変則な曲ですが、聴いているとクセになります。才能ある人は違います。The Unfaithful Servant 南北戦争後の奴隷制に終わりを告げる歌でしょうか。働いていた召使が家を出ていくのですが、ここも悪くはなっただろう。思い出もあるだろう。みたいな歌詞ですね。重いです。King Harvest (Has Surely Come)  力強い歌です。農民がトウモロコシに向かって話しかけていますが、これはこれから収穫期を迎える若者たちへの応援歌であることは間違いないでしょう。
 偉大なバンドであり、多くのミュージシャンに影響を与えたアルバムであることは間違いないでしょう。様々なタイプの曲が収納されていますがアルバムとして散漫にならずにまとまりがあるのも凄いです🎶

guitar, engineer : Jaime Robbie Robertson
organ, clavinet piano, accordion, sax, soprano sax, baritone sax, trumpet (slide trumpet) : Garth Hudson
tuba, electric piano, horns (high school and peck horns), engineer : John Simon
vocals, bass, violin, trombone : Rick Danko
vocals, drums, mandolin, guitar : Levon Helm
vocals, piano, drums, baritone sax, harmonica (mouth harp) : Richard Manuel

producer : The Band

1. Across The Great Divide (J.R. Robertson)
2. Rag Mama Rag (J.R. Robertson)
3. The Night They Drove Old Dixie Down (J.R. Robertson)
4. When You Awake (R. Manuel, J.R. Robertson)
5. Up On Cripple Creek (J.R. Robertson)
6. Whispering Pines (R. Manuel, J.R. Robertson)
7. Jemima Surrender (L. Helm, J.R. Robertson)
8. Rockin' Chair (J.R. Robertson)
9. Look Out Cleveland (J.R. Robertson)
10. Jawbone (R. Manuel, J.R. Robertson)
11. The Unfaithful Servant (J.R. Robertson)
12. King Harvest (Has Surely Come)  (J.R. Robertson)
【Bonus Tracks】
13. Get Up Jake (Outtake - Stereo Mix)
14. Rag Mama Rag (Alternate Vocal Take - Rough Mix)
15. The Night They Drove Old Dixie Down (Alternate Mix)
16. Up On Cripple Creek (Alternate Take) 
17. Whispering Pines (Alternate Take)
18. Jemima Surrender (Alternate Take)
19. King Harvest (Has Surely Come) (Alternate Performance)

Across The Great Divide

Up On Cripple Creek

Rag Mama Rag

The Night They Drove Old Dixie Down


  

2024年11月8日金曜日

David Sanborn / Upfront


 2024年5月12日に亡くなってしまい78歳とのことですが、長い間演奏を楽しませていただき、ありがとうございました。
 さて前作 Another Hand では、ジャズ方面へ行ってしまい、個人的には残念と思っていましたが、いったんR&Bベースの方向へ戻ってきたのが嬉しかったアルバムです。本来のスタンスは R&B と思いたいのですが、この後プロデューサーを変えながら様々な方向性の音楽を追求していかれるので、そこらへんをファンとしては楽しんでいきたいと思っております。
 アルバムのジャケットは Stephen Byram のデザインによるアートワークで、アートディレクター、イラストレーターとして抽象的なイラストを音楽アルバムのジャケットに多く採用されているようです。サンボーンや楽器の写真はLynn Goldsmith, Robert Lewis の作品かと思います。具材が新聞紙のフランスパンのサンドイッチが紐で縛られているのは、どなたの作品なのでしょうか。なかなか凡人には理解しかねる感じがします。

 

 インターネット・ラジオなどでも数多くの追悼特集が流され、行きつけの音楽好きの集う「おでんバー」で元々は人気がなかったサンボーンも結構いいじゃないと皆さん面白がって聴いて、亡くなってから良さがわかった人も多いようです。私も聴き直して更にほれ込みたいと思います。Snakes マーカスの持ち込み曲です。いかにもマーカスらしい楽曲で、聴きなれたサンボーン節とよく合うミドル・テンポのフュージョンナンバーです。Benny もマーカスのスローテンポの持ち込み曲で、これもサンボーン用の曲って感じで、さすが付き合いが長いだけあります。ベースは途中から参加ですが音量が大き過ぎるような気もします。 Crossfire はサンボーンとマーカスの共作でアップ・テンポのフュージョンに戻ります。おそらく鋭い方の音にギターは Chris Bruce と思われます。ハイラムはリズムギターに回っているようです。更に、マーカスのベースはピック弾きでしょうか、いつもと違います。Full House これもサンボーンとマーカスの共作のミドル・テンポのフュージョンです。リズムにはラテンっぽいリズムもと入れているのですが、何回か聴いていると、JBのサウンドにも似ているところがあるような気がしてきます。クラプトンがギターで、後半でソロを弾いていますがクラプトンっぽくは無いかもしれません。Soul Serenade キング・カーティスとルーサー・ディクソンのインスト・ソウルです。Richard Tee、Cornell Dupree の黄金コンビが参加でなでるように柔らかなタッチのソウルになっています。選曲はサンボーンなのか。それとも、このコンビを呼ぶにあたって本人たちにリクエストを聴いたのか。プロデューサー、マーカスのセンスなのか。気になります。 サンボーンのサックスが良く歌っていて気落ち好い曲です。Hey カラッとした曲調で軽いノリのファンク・フュージョンです。このノリは A Change Of Heart のあたりに回帰しますね。嬉しいです。Bang Bang この曲はインターネット・ラジオの追悼特集でどなたかが流してました。メチャクチャ、ハッピーな演奏で何か聴いてて目頭が熱くなりました。Alcazar ラス前でムーディーな曲になります。ここまで聴いてきてアルト・サックスの表現者としては、やはりサンボーンは群を抜いているのがわかります。Ramblin' 最後に持ってくるのが Ornette Coleman ですが、限りなくファンク一発バージョンになってまして最高にスリリングでカッコ良い演奏です。
 ジャケットが難解なのを除けば、単純にかっこよい、わかりやすいアルバムですね🎶

alto sax : David Sanborn, Stan Harrison (7)
sopranino sax : David Sanborn (1, 8)
piano : Ricky Peterson (7)
keyboards : Marcus Miller (1 to 4, 6, 8)
organ (hammond B-3) : Richard Tee (5), Ricky Peterson (1 to 4, 6, 8, 9)
guitar : Chris Bruce (3, 4), Cornell Dupree (5), Eric Clapton (4), Hiram Bullock (3), Marcus Miller (1, 8), William "Spaceman" Patterson (1, 3, 4, 6 to 9)
bass guitar : Marcus Miller
drums : Steve Jordan (1 to 6, 8, 9)
percussion : Don Alias (1, 3, 4, 6 to 8), Nana Vasconcelos (8)

saxello : John Purcell (1, 8)
tenor sax : Arno Hecht (5), John Purcell (3, 4, 6), Lenny Pickett (7)
baritone sax : Crispin Cioe (5)
alto flute : John Purcell (2)
trumpet : Earl Gardner (7), Herb Robertson (9), Laurie Frink (7), Hollywood Paul Litteral (5), Randy Brecker (3, 4)
trombone : Art Baron (7), Bob Funk (5), Dave Bargeron (2, 4, 6, 7)
bass clarinet : Marcus Miller (1, 3, 4, 6, 8)
tuba : Dave Bargeron (2)

arranged by  Marcus Miller (9)
arranged by (horns) : Lenny Pickett (3), Marcus Miller (2 to 4, 6), Uptown Horns (5)

artwork, design : Stephen Byram
photography by : Lynn Goldsmith, Robert Lewis

producer : Marcus Miller
recorded at Power Station, Electric Lady Studios, Camel Island

1. Snakes (Marcus Miller)
2. Benny (Marcus Miller)
3. Crossfire (David Sanborn, Marcus Miller)
4. Full House (David Sanborn, Marcus Miller)
5. Soul Serenade (Curtis Ousley, Luther Dixon)
6. Hey (David Sanborn, Marcus Miller, Ricky Peterson, Steve Jordan, William S. Patterson)
7. Bang Bang (Jaime Sabater, Joe Cuba)
8. Alcazar (David Sanborn, Marcus Miller)
9. Ramblin' (Ornette Coleman)

▶ Benny




  

2024年11月3日日曜日

Miles Davis Live '58 Sessions Featuring Stella by Starlight


 このアルバムは、どうやらマイルスの収集家からは評判がよろしくなく、マイルスを聴き始めた方からは素晴らしいとの評価が2分されているようです。日本で編集され好評だった「1958 Miles」と、音質が余り良くないがいが名盤ではある「Jazz at the Plaza Vol.1」の合体版であることに理由があるようです。
 おそらく新しい盤が出たので購入したものの、もう既に持ってると憤慨した方からは騙された感が強いのでしょう。アルバムは、発売する国によって含まれるボーナス・トラックが違ったり、ジャケットのデザインが違うなんてことも、よくあります。私は中身は余り吟味せずにジャケ買いをしてしまいますので、初聴きだと思ったら聞いたことあるなと思ったら、内容は一緒でジャケットだけ違うなんてことも、しばしばあります。
 このアルバムに関しては、オムニバスとして別のアルバムとして成立するかと言えばそうではなく、アルバムを2枚足して2曲差し引いただけと言えるので、購入をじっくり検討される方はそこら辺を覚えておいていただければ役に立つことかと思います。


     そんなマイルスのオムニバス、既に所持している音源が多数ですがレビューしていきます。 On Green Dolphin Street これは1958年のマイルスの代表的録音です。既に Miles Davis & Bill Evans / Complete Studio & Live MastersMiles Davis / This is Miles! Vol 1 Acoustic Side にも収録。わかりやすくいかにもジャズで大好きな曲で良い録音です。Bill Evans のイントロから始まり、直ぐにマイルスがテーマを吹きソロに突入。改めて感じるのはドラムの音量が極端に低いことでしょうか。Fran-Dance これも Miles Davis & Bill Evans / Complete Studio & Live Masters に収録。1958Miles は持っていないですが購入の必要は無さそうです。これは当時の妻フランシスへのオリ時なる曲で、軽やかに楽器が歌うようなメロディーで控えめなエバンスのピアノと思想はマイルスにうってつけなのかもしれません。Stella by Starlight は、日本人の好きな曲ですね。私も大好きです。これも Miles Davis & Bill Evans / Complete Studio & Live Masters に収録。やはり58年のマイルスの演奏は品格と味があります。マイルスのメロウな表現技法がこれでもかとみせつけられる。ランデブするエバンスと控えめながら自己主張しそうなコルトレーンの演奏も面白い。Love For Sale これも Miles Davis & Bill Evans / Complete Studio & Live Masters に収録。コンプリートですからね。当たり前です。マイルスが適度に崩しながら演奏して、サックス陣が切り込んでくるところに醍醐味を感じます。王道の曲の展開ですがやはり非凡。 Straight, No Chaser ここから Jazz at the Plaza Vol.1 ですね。このアルバムは聴きこんでます。音質が悪いと思ったことはあまりなかったように思いますが、そう思って聴くと確かにホールの残響が強すぎて敢えて録音を意識しなかったことがわかりますが、この Straight, No Chaser はやはり印象的です。派手にぶちかまして客を煽る心意気に乾杯の気持ち良い演奏です。My Funny Valentine これも名演の多い曲ですがJazz at the Plaza Vol.1 の演奏も名演です。厳かな雰囲気から始まり録音が悪いことから更に曇った音のマイルスのトランペットが、音量がマックスになると華が開いたかのように聞こえるのがたまりません。Oleo 久しぶりに聴きましたが、これも完全に観客を意識した演奏で良いんですよね。これでもかとぶち込んでくるソロ合戦が最高です。
 確かに新たに購入する必要はなく特別な特典も無いし、曲順に工夫も無いアルバムではありました。しかし改めて58年のマイルスの名演を確認できたので良かったです。でも中古で購入でなかったら後悔してたかもしれません🎶

trumpet : Miles Davis
alto sax : Cannonball Adderley
tenor sax : John Coltrane
piano : Bill Evans
bass : Paul Chambers
drums : Jimmy Cobb

producer : Teo Macero

1. On Green Dolphin Street (B. Kaper, N. Washington)
2. Fran-Dance (Miles Davis)
3. Stella by Starlight (N. Washington, V. Young)
4. Love For Sale (C. Porter)
5. Straight, No Chaser (T. Monk)
6. My Funny Valentine (R. Rodgers/L. Hart)
7. Oleo (S. Rollins)



▶ Oleo


  

2024年11月2日土曜日

Hiram Bullock / World Of Collision


 フュージョン系やジャズも好きだけど、ロックも大好き。しんみりとしたギターを聴かせることもできるけど、派手にカマして目立つ方が好きかもしれない。ジャズ・フュージョンはビジネスですが、本当に好きな趣味は、こちらの方面なのでしょう。ロック・スターにも憧れていたんでしょうね。
 そんなハイラムの衝動に、いつも Will Lee は付きあっちゃうんですね。親交のある Charley Drayton も断りづらいのでしょう。Sugar Blue も一流ミュージシャン同士の付き合いですから参加してますし、Lew Soloff も Tom Malone とともにが参加、これはサンボーン繋がりからでしょうか。好きですね。


 私はハイラム自体が、大好きなのでソロも何枚か持っていますが、ソロアルバムは、総じて、どうにも評価しづらいとしか記憶がありません。かなり久しぶりに聴いてレビューしてみます。Sooner Or Later 楽しそうな演奏ではありますが、Born To Be Wild のリフです。このタイプのロックに管は不要じゃないのかな。と思ったりもします。One Size Fits All 結構良い曲ですね。前に聞いたときに、こんな曲があったけ?と思いました。やっぱりメンバーが、それなりのメンツなので演奏に一捻りあります。コーラスは微笑ましい。Mustang Sally は、Bonny Rice のブルース・ロックですがファンク・ロック風。これをやるために Sugar Blue が呼ばれているのは適材ですねグッと主役を喰ってますのでバランスが良い。Change おっ本気っぽいですね。楽曲としては意外と良い。Gonna Walk イントロでジミヘンかと思いましたが、そうではありませんでした。聴けないことは無いです。ギターソロが良い。Devil May Care ちょとテクニカルです。不思議なメロディーも悪くないですが、途中のハードロック調の箇所はダサいので要らないかと思います。Son Of Creeper フュージョン界で鍛えた魂が表れています。ジャコっぽいと言えばそんな感じ。こんな曲が、もっとあれば良いのですが。Spanish Castle Magic やっぱりヒーローはジミヘンなんですね。悪いことは書けません。Gimp 彼のギターの音色と曲調が非常にマッチしています。アルバムの中で一押し。World Of Collision ブルース・セッションっぽい感じですがタイトル曲で、Collisionの意は衝突です。この曲にはボスニア紛争がテーマにあるようでお遊びだけではないようです。Leeza クラプトンぽいですが、これも良い曲です。
 アルバムを意識してなかったので気づきませんでしたが、実はウォークマンに入れて、Gimp、Leeza は比較的よく聴いている曲です。このアルバムでしたか。改めてアルバムとしての、まとまりには欠けるとは思いますが良い曲は入ってます。以前に聴いた記憶より遥かに印象が良かったです🎶


guitar, vocals, keyboard : Hiram Bullock
bass, vocals : Will Lee
drums, vocals, pedal steel guitar  : Charley Drayton

harp : Sugar Blue (3)
trumpet : Lew Soloff
trumpet, tenor & barriton sax, trombone : Tom Malone 

producer : Charley Drayton, Hiram Bullock, Will Lee
recordet at Power Station, N.Y.C. Sept. 1993 and Right Track Studios, N.Y.C. Feb. 1994

1. Sooner Or Later (Hiram Bullock, Will Lee)
2. One Size Fits All (Hiram Bullock)
3. Mustang Sally (Bonny Rice)
4. Change (Hiram Bullock)
5. Gonna Walk (Hiram Bullock)
6. Devil May Care (Hiram Bullock)
7. Son Of Creeper (Hiram Bullock)
8. Spanish Castle Magic (Jimi Hendrix)
9. Gimp (Hiram Bullock)
10. World Of Collision (Hiram Bullock)
11. Leeza (Hiram Bullock)


▶ Gimp

▶ Leeza