2025年4月7日月曜日

Motörhead / No Sleep 'Til Hammersmith


 MotörheadのOは上に点が二つのってます。ドイツ、フィンランド語などで使われるようですが彼らは英国のバンド。私が若かりし頃に購入したものですから、ここら辺を聴いてたのは1981年リリースのライブ盤だから高校生ぐらいですが、高校生の時にCDデッキは持ってなかったので、本盤は大人になってから懐かしんでの購入のはずです。


 このアルバムはバンドにとって初の、そして唯一の全英No.1の座を獲得した歴史的ライブ・アルバムで、豪快でヘビーなロックンロールでとにかく音がでかい。三人組で、ガンガン、ゴリゴリと鳴ってバーンと炸裂する音の連続攻撃が収録されています。ライブはイギリスのニューキャッスル・シティホールでの1981年3月30日の録音を中心に、同ホールの29日公演から2曲、28日のリーズ、クイーンズ・ホールでの公演から2曲が収録されています。後にリイシューして発売された同名のアルバムには、3月27日~30日までの4日で3か所、4日空けて4月3日でのライブが収められていますので、かなり詰め込まれた日程でのツアーが組まれていたことがわかります。大がかりなステージの設置でしょうから、設営スタッフにとってもハードなツアーです。私も学生の時にコンサートの設営のアルバイトをしていましたが、ジャズ系のアーチストは大変でも、まあ大変。ロック系は機材の多さ、重さは比にならない多さでした。当時私が組んでいたジャズ研究会時代のバンドのドラマーがスピーカーの設置で指骨折とかして、ギプスしながらライブハウスでドラム叩いてたこと思いだします。
 と、私の思い出は置いときまして、アルバム名に Hammersmith と付いていますので、Queens Hall, Newcastle City Hall やんと気づく方も多いかと思いますが、私は今まで数十年間気づきませんでした。Hammersmith は5,000人収容のロンドンの大劇場で、1970〜80年代のロックシーンで最も重要なライブ会場で多くの大物アーチストが演奏しています。昔の日本武道館のような立ち位置で Motörheadも何度もステージに立っています。そのため、ハマースミスはロック・ファンにとって象徴的な場所でした。「No Sleep 'Til Hammersmith(ハマースミスまで眠らず)」というタイトルは、バンドが過酷なツアースケジュールをこなしていたこと(前述していますが、アルバムの収録日からも想像できます)、メンバーは、ツアー中はほとんど眠れないほどの過密ハードなスケジュールであ他とも思われます。最終的にこのツアーが、ゴール地点として「Hammersmith」が使われたかどうかは解りませんでしたが、やってもやらなくても目標は「Hammersmith」であったのかと思われます。
 久しぶりに聞いてもゾクゾクするドライブ感、痛快な爆音、トリオならではのゴリゴリ感が最高です。全曲レビューはしませんが、聴いてない人は購入して聴いてほしいアルバムです。ベーシストの Lemmy Kilmister が2015年に亡くなるまで40年間粥活動で更公式HP imotorhead.com は充実🎶🎸

lead vocals, bass : Lemmy Kilmister
guitar, backing vocals : "Fast" Eddie Clarke
drums : Phil "Philthy Animal" Taylor

producer : Vic Maile
recorded at Queens Hall, Leeds, Newcastle City Hall

① 28 March 1981: Queen's Hall, Leeds, England
② 29 March 1981: City Hall, Newcastle, England
③ 30 March 1981: City Hall, Newcastle, England

1. Ace Of Spades / ③
2. Stay Clean / ③
3. Metropolis / ③
4. The Hammer / ②
5. Iron Horse / 1980 unknown date
6. No Class / ①
7. Overkill / ③
8. (We Are)The Road Crew / ③
9. Capricorn / ③
10. Bomber / ①
11. Motorhead / ②





  

2025年4月6日日曜日

渡辺香津美 Kazumi Watanabe / Dogatana


 2024年2月27日、渡辺香津美氏は、軽井沢の自宅で脳幹出血によって倒れ救急搬送されました。同年の12月17日に10月17日に自宅に戻って治療に専念していることを、谷川公子氏の note ギタリスト渡辺香津美の今〜その3 で報告されています。その時点では要介護認定5、右目の瞬き、左手の指先だけが、かすかに動く程度であるとのこと。今はどこまで良くなられているのかはわかりません。我々は香津美氏の作ってくれた非常に多くの作品を楽しむことが出来ます。谷川公子氏の note はそこで止まってしまっているのですが、介護はかなり大変なことと思い、もうギターは弾かなくて良いので、回復された便りがどこかで見れれば嬉しいと願っております。


 1981年リリースのアコーステック・ギターによる作品。タイトル Dogatana には、どんな意味があるのか?と思い、参加ミュージシャンの頭文字の羅列かなと思いましたが全く違います。日本人ミュージシャンも多く参加しているので、日本字らしく刀の名前かなと思い、ひらがな検索すると、💡土刀ではありませんか? 正解は「渡辺」の漢字から、そ「氵」と「辶」を取ったら「度刀」になる。これを読むと「どがたな」=「DOGATANA」となる。なるほど。
 アルバムをレビューしときましょう。Nuevo Espresso イントロは Mike Mainieri のビブラホンから始まるジャズで、渡辺香津美のギターは Adamas の Ovation です。当時のこのギターを使っていたミュージシャンも多く、私も欲しかったのですが、かなりお値段で断念した記憶があります。何が違うかと言えば、ボディの素材で、ヘリコプターの会社で新しく開発した羽根の素材が、ヘリコプターの羽根には向かなかった振動の多い素材をギターに応用したもので1979年あたりから普及し始めた表が木、裏がカーボングラファイトという素材を使った丸いラウンドバッグエレアコ・ギターです。


 話がそれましたが、2曲目は Loosey Goosey 石田長生、山岸潤史との、ジャカジャカ・ギター・セッションで、全員がオベーションを使っています。プロ・ギタリストの皆さんのAdamas 愛が伝わるセッションで、とにかくこのギターを使って弾きまくるのが、楽しくてしょうがないのが伝わります。生ギターだけど少しペシャっとした音が速弾き時にお互いのギターの音を邪魔しないし、思いっきりストロークしても鳴りが平均的なので、やはり独特です。チャーと石田長生の Baho を思い出します。 Ti-Fa-Let 渡辺香津美の一人多重録音作品で、幻想的な曲です。アリアのカスタム・メイドのベースとギターのダブル・ネックを使っていると書いてありますが、演奏の主体はシンセで、どこにギターが入っているのかは非常にわかりにくいです。Island フルートの David Liebman とのセッションで、ギターの持つ和音の響きを活かした演奏で、繊細で透明感のある世界を作っています。Diana この曲はWayne Shorter の Native Dancer のカバーのようで、この曲をギター一本で演奏しようと思うのがマニアック。Waterfall - Autumn ピアノの Warren Bernhardt デュオで、先のギターひとりの世界観も良いのだが、もう一人違う楽器との共演によって広い世界観のある曲になる対比も良いです。Please Don't Bundle Me 次の一騎打ちはギターの Larry Coryell になりました。ピアノやフルートとの共演では繊細な世界観を表現していたのが、ギタリスト同士になるとギターの上手い悪ガキのような演奏になるのは、また面白いところ。Haru No Tsurara ドラムとベースが加わって、今回渡辺香津美氏が使ったギター、シンセ類の楽器が総動員で爽やかなフュージョン・サウンドで、広がる展開の大曲」に思えますが、熱が入ってきたとこで、フェイドアウト。続きが気になる余韻の演出です。
 ギターマニアな側面が目立ち、楽曲もバラバラに思えますが、楽器愛とともに共演者の個性を引き出すための様々な音楽性を持った曲を散りばめているアルバムでした。やっぱり日本の誇る天才ギタリストの実力は半端でないことを実感🎶

produced by 渡辺香津美 Kazumi Watanabe
Recorded & Mixed by Scott Litt & James Farber at Power Station, New York, Spring~Fall 1981

1. Nuevo Espresso / Kazumi Watanabe
guitar (Obation Adamas) : Kazumi Watanabe-渡辺香津美
vibraphone : Mike Mainieri
2. Loosey Goosey / Kazumi Watanabe
guitar (Obation Adamas 12strings) : Kazumi Watanabe-渡辺香津美
guitar (Obation Adamas) : Osamu Ishida-石田長生
guitar (Obation Adamas) : June Yamagishi-山岸潤史
3. Ti-Fa-Let / Kazumi Watanabe
Aria Custom Made Double Neck Guitar & Bass 
Roland MC-4, Arp Odessey, Propbet 5 : Kazumi Watanabe-渡辺香津美
4. Island / Kazumi Watanabe
guitar (Obation Adamas) : Kazumi Watanabe-渡辺香津美
alto flute : David Liebman
5. Diana / Wayne Shorter
guitar (Obation Adamas) : Kazumi Watanabe-渡辺香津美
6. Waterfall - Autumn / Kazumi Watanabe
guitar (Obation Adamas) : Kazumi Watanabe-渡辺香津美
piano : Warren Bernhardt
7. Please Don't Bundle Me / Kazumi Watanabe
guitar (Obation Adamas) : Kazumi Watanabe-渡辺香津美
guitar (Obation Adamas) :  Larry Coryell
8. Haru No Tsurara / Kazumi Watanabe
guitar (Obation Adamas, Electric guitar, Aria Double Neck) Roland MC-4, Arp Odessey, Propbet 1,Propbet 5 : Kazumi Watanabe-渡辺香津美
upright Bass : Nobuyoshi Ino-井野信義
drums : Hideo Yamaki-山木秀夫




  

2025年4月5日土曜日

Speedometer / Soul Groovin' Live!


 CD帯での紹介は「UKファンク界の速度違反野郎」ギラギラのホーン隊とタイトなリズム隊のライブならではの情熱的な演奏は文句なく楽しいものでした。Speedometer は、1997年にファンク・カルテットとして活動をスタートし、ライヴ・ハウスで JB'S や The Meters のカバーのプレイが主体でした。その後 UKファンクの The James Taylor Quartet 等との共演、カルテット編成からパーカッションやホーン・セクションを加えた編成になりオリジナルナンバーを作り始めます。
 そしてデビューは1999年にアメリカのレーベル Soul Fire からシングル Soul Safari をリリース。1stアルバム This is Speedometer Vol.1 のリリースは2004年。こちらはUKのレーベル Freestyle Records です。私がもう一枚所有しているのは、This is Speedometer Vol2 (2005) です。バンド自体は現役で speedometer-funk.co.uk から活動を見ることが出来ます。


 このアルバムは、英国南部のハンプシャー州にある The Soul Cellar の2008年5月3日PM5時~4日の朝AM4:00までのライブの録音です。(11時間も演奏する訳は無いので、多数のバンドがでて、Speedometer は2回とかだと思いますが) ジャズ・ファンクと言っても、アーバン・ソウル系ではなく、ホーン強化のJB’Sのジャズ寄りな感じです。
 さて、おそらく店頭で試聴一発でお気に入り購入のように思われるこのアルバムを全曲レビューします。まずは、テーマソングであろう Speedopener から。MCのバンド名コールから始まり、キーボード、ギター、ベース、ドラムの4ピース演奏です。なるほど結成当初からのテーマソングなので最初は4ピース。当然のパキパキのファンクセッションで当然のカッコ良さ。作曲者はリーダーでギタリストの Leigh Gracie 。お次は At The Speakeasy ホーン部隊参加の同様のファンクセッション。こちらは、This is Speedometer Vol2 (2005) の1曲目にも収録されていました。ほぼスタジオ盤と同じ速度ですが、こちらのライブの方が切れがある感じがします。Speakeasyの意は「知る人ぞ知る」隠れ家的雰囲気の酒場だそうです。しゃべりやすい酒場みたいな気もします。Kool To Be Uncool は、少しスピード落とした同じタイプのファンクセッション。似たタイプの曲が続きますが、この手の、イキったタイトなリズムでカッコ良いホーンの曲は幾らでも聴いてられます。What Am I Gonna Do で歌物になり、JB’Sタイプのタイトなバックでクセが少な目のボーカルです。ここまでソングライティングは全てギタリストの Leigh Gracie で、さすがリーダー歌物もイケてます。Answer To Mother Popcorn で、JB’S の Mother Popcorn (1969) へのアンサーソングで Vicki Anderson が録音した曲のカバーで、原曲のカッコ良さそのままにって感じが、ソウルファンにはたまらないでしょう。キメもそのままですよ、スキですねえ。。Make It Alright こいつの曲の本体はTOP の What Is Hip? を拝借して、サビを変えてきてますね。ここらへんもたまらんですね。Kool & The Gang / Let The Music Take Your Mind さらに、カバーが続きます。Kool & The Gang のバージョンも楽しくなってきたんでリンクしときます。本家のダルさも良いですね。そしてスパイ大作戦のテーマも途中で入れての乱闘となってます。Four Flights Up はギターのカッティングの基礎練習のために作った曲にホーンアレンジして、ツイデにホーン部隊がラテンまでアレンジを加えて遊んだような曲です。バンドの遍歴と今までの下積みの積み重ねが伺われます。Soul Grooving は、Merl Saunders のカバーで本家はジャズ・ファンクの走りのような演奏でした。こちら Speedometer では、もっとタイトに攻めながら、Leigh Gracie は、Grant Green フレーズを入れながら古き良きを大事にした演奏です。Am I Your Woman (Tell Me So) そしてボーカルものに戻ってきます。Beyoncé  の Crazy In Love と思ったら元ネタが、 Chi-Lites と言うボーカルグループの本家のようで、本家がまたカッコ良い。No Man Worries 誰のカバーかと思ってましたが、Leigh Gracie の作曲です。元ネタありそうですがわかりません。 Work It Out こちらも This is Speedometer Vol2 (2005) の5曲目に収録。元ネタは Beyoncé です。カバーと言うよりは元ネタレベルまでの再構築なので Beyoncé に元ネタはあったんかな?とも思ったりしましたが、それは無いようです。今まで Beyoncé をこんなにマジマジと見ることもありませんでした。趣味ではないけど凄い方ですね。
 いやいや、Speedometer のサウンドも楽しかったですが、カバー曲のルーツを聴きながらアルバム中の曲を確認してたら、かなり楽しめました。勉強になりました🎶

lead vocals : Ria Currie
organ, electric piano : Sting Davies
guitar, congas : Leigh Gracie
bass : Rich Hindes
drums : Chris Starmer
congas, bongos, percussion : Matt Wilding
tambourine : Nick Haverson
flute, alto sax, baritone sax : Matt McKay
tenor sax, percussion : Simon Jarrett
trumpet : Neil Penn

Recorded Live at The Soul Cellar, UK, May 2008.

1. Speedopener / Leigh Gracie
2. At The Speakeasy / Leigh Gracie
3. Kool To Be Uncool / Leigh Gracie
4. What Am I Gonna Do / Leigh Gracie
5. Answer To Mother Popcorn / James Brown, Vicki Anderson
6. Make It Alright / Leigh Gracie
7. Kool & The Gang / Let The Music Take Your Mind / Gene Redd, Kool & The Gang, 
8. Four Flights Up / Leigh Gracie
9. Soul Grooving / Jimmy Daniels, Merl Saunders, Ray Shanklin
10. Am I Your Woman (Tell Me So) / Eugene Record
11. No Man Worries / Leigh Gracie
12. Work It Out / Beyoncé Knowles, Chad Hugo, Pharrell Williams





  

2025年4月4日金曜日

Nina Simone / Nina Simone And Piano!

 

 2025年に購入したアルバムで一番濃く印象に残ることは、ほぼ間違いないと思っています。相変わらず気が向くと新宿の Disk Union あたりをぶらつくのですが、最近の自分の命題としている美人ジャズ・ボーカリストの発掘ができないものかと棚を見ていてもピンとくるアーチストは見当たりません。入ると手ブラで帰るのも嫌なので、何かしら購入するのですが、Chris Corner は、最近立て続けに購入しているのでパス。ふと目に留まったのが、Nina Simone の黄色いジャケット。あの、おっかない感じの方で、お世辞にも美人ではありませんが Nina Simone と Piano ですか。気になるとこではありますので、他にも気になるところを数枚購入して、いつもの音楽好きの集う「おでんバー」へ。
 マスターに、持っているか聞いたところ、持ってはいないし、おそらく初めて聴くはずだとのこと。他に誰もいなかったので音量は大きめにセットして、聴くとクラシックのようでありながら力強いピアノが流れます。ボーカルが入ってくるとマスターも私も、思わずビクっとしてしまいました。大迫力です。ピアノだけのバックですからボーカルの輪郭はくっきりで、ひたすらスゲエの連発となりました。
 これを聴き終わってから youTube で、マスターがよく見ている Nina のピアノ弾き語りのライブを片っ端から見ていき、Stars (at Montreux Festival in 1976)で、ステージから「座れ」と鬼の形相、大迫力で思わず「ヤバい、やべえっす。怒ってます」常に本気でステージに挑んでいた物凄い気迫を感じました。


 Nina Simone が、クラシック音楽教育で有名なジュリアード音楽院でピアノ・レッスンをンを受けたが、進学してピアニストになりたかったが、人種差別によってその道を断たれたエピソードは、ファンでなくとも知っている人は多いと思います。私もピアノの弾き語りは何度か聴いてはいるものの、アルバムで聴くのは今回が初めてでした。最初に聴いた衝撃を書いてしまったのですが、全曲レビューしていきます。
 Seems I'm Never Tired Lovin' You ブルース曲で、品行方正で、しっかりとしたタッチで、リズムをフェイクすることないピアノのイントロは、このままピアノ曲になるのかと頭をかすめたところで、Darlin' と始まる。ピアノの中から、いきなり飛び出てくるような頭で、ドキっとします。ブルースでありますが、国歌斉唱のような凛とした歌いっぷりに圧倒されながら、Never, never, never, never, never, Tire of Lovin' You と 締めくくる。録音は1968年9月16日、10月1日。この年の春1968年4月4日にキング牧師の暗殺があった約半年後の録音です。力強く歌い結ばれる、この言葉には恋だけではないものが含まれるような気もします。It's Nobody's Fault but Mine 作曲は Nina のブルースですが、この人が歌うとスピリチュアルな曲に聞こえます。If I die and soul be lost, Nobody fault but mine と「私が死んだとしても、ソウルを無くしたとしても、みんな私のせいよ」と繰り返します。この曲もキング牧師へのレクイエムのように聴こえます。 I Think Its Going to Rain Today 教会の讃美歌のようなピアノと歌で、Randy Newman の作詞、作曲。これも何か深いものを感じる曲です。本家も、こんな曲なのか?と聞いてみると、原曲は、雨の中で打ちひしがれたしょぼくれた男がつぶやいているような哀愁。Nina は、決してしょぼくれていない。むしろ雨に打たれながら、立ち上がっていくような歌になっています、印象的なのは、Tincan at my feet, I think I'll kick it down the street のリフレインの力強さ。Everyone's Gone to the Moon クラシカルな響きのピアノに、朗読調の Nina の歌は、教会の牧師の演説のようでもあり、ミュージカルのワンシーンを見ているかのようでもあります。Compensation これは、オルガンと Nina のコーラスがオーバー・ダブされている、ゴスペルとアメリカン・フォークのミックスのような曲になっています。God in his great compassion, Gave me the gift of song がメインとするとゴスペルの方が強いですね。そして Who Am I? がまた、力が入っていてヤバいです。弾き語りというよりは、ピアニストが別にいて Nina が、マイクを持って舞台の中央に立ちながら力いっぱい身振り手振りしながら歌っているような感じがします。Another Spring は、最初に物語を語る様な穏やかな語り口ですが、直ぐに興奮した牧師の説教のような力の入った語りに変わり、次いでゴスペル歌手が迫力で歌い上げ、また牧師が語るような感覚です。とにかく言葉の力強さと感情があふれ出ていて、気の弱い子供なら席で委縮してしまうような迫力。The Human Touch やっと優しく穏やかな曲が来ました。Charles Reuben の作曲とありますが原曲は見つかりませんでした。2分10秒の休憩時間です。I Get Along Without You Very Well この曲は、ささやくように女心を歌っているせいかマイクがいきなり近くなります。今まで感情を思い切り出すように声を張り上げていたのに、雨だれが落ちるのを見たり、月を見たり、春になるとあなたのことを思い出し切なくなる。最後の Surely break my heart in two が切ない。The Desperate Ones 最後はシャンソンです。英語ですがシャンソンのニュアンスたっぷりに感情をこめて歌っています。
 これで本編は終わりでボーナストラックになります。Music for Lovers オルガンの濃厚なサウンドで、力強くスピリチュアルに歌います。ソウル・シンガーではないクラシカルな個性が出ているように聴こえます。In Love in Vain 華やかなピアノのイントロ。伸びやかに広がる曲で迫力はあるけど、爽やか。I'll Look Around 静かに歌う時に少し舌ったらずな発音と語尾をワザと曖昧な音程にするのが、Nina の表現手法の一つと思っています。この曲も最初に使いながら、あとは弱めの声量でも綺麗に歌いこんでいるので、そこら辺がよくわかります。脅されるように歌われたり、優しくささやかれたり、ボーナストラックも、おまけでない仕掛けに心躍らされます。The Man with the Horn スケールの大きな曲が最後で、ゆったりとした曲に身を任せながら、聴き手に聴かせるように歌うのではなく楽しんで歌っているように感じます。おまけのボーナスまで美味しいアルバムでした。
 英語圏の人間ではない私ですが、1曲1曲の Nina の伝えたいものを理解したいと思いながら、一生懸命解読しながら感じながら聴いてしまい、書きどころ満載の素晴らしいアルバムでした。36歳でこの作品か🎶🎹


vocals, piano, organ, arrangements : Nina Simone

recorded September 16 & October 1, 1968 at RCA Studios, New York City

1. Seems I'm Never Tired Lovin' You / Carolyn Franklin
2. It's Nobody's Fault but Mine / Nina Simone
3. I Think Its Going to Rain Today / Randy Newman
4. Everyone's Gone to the Moon / Jonathan King
5. Compensation / Paul Laurence Dunbar, Nina Simone
6. Who Am I? / Leonard Bernstein
7. Another Spring / Angelo Badalamenti, John Clifford
8. The Human Touch / Charles Reuben
9. I Get Along Without You Very Well (Except Sometimes)/ Hoagy Carmichael
10. The Desperate Ones / Eric Blau, Gérard Jouannest, Mort Shuman
【Bonus tracks】
11. Music for Lovers / Bart Howard
12. In Love in Vain / Jerome Kern, Leo Robin
13. I'll Look Around / George C. Cory Jr., Douglass Cross
14. The Man with the Horn / Eddie DeLange, Jack Jenney, Bonnie Lake








  

2025年4月3日木曜日

Oz Noy / Ha!


 私が、Oz Noy を聴き始めたのは Twisted Blues シリーズをリリースした時からで、それ以降少しづつ買い揃えてきましたが、発表アルバムを調べて見たところ少しづつ抜けているようです。Ha! (2005), Oz Live (2006), Fuzzy (2007), Schizophrenic (2009)Twisted Blues Vol1 (2010)Twisted Blues Vol2 (2013), Who Gives a Funk (2016), Ozone Squeeze (2017)Booga Looga loo (2019), Snapdragon (2020), Riverside mit Ugonna Okegwo, Roy Marchia (2022) しばらく棚を見てない間に新譜も出てました。


 知ってる人も多いと思いますが、Oz Noy のおさらいです。イスラエル出身で、10歳からクラシック・ギターのレッスンを始め翌年にはエレクトリックに転向し、13歳頃からプロ活動、15歳にはレコーディングまで経験しています。その後、学校に通いながらセッション・ギタリストとして活躍し、20歳を過ぎ世界を目指し1999年ニューヨークに渡ります。デビューアルバムは、2003年のニューヨーク The Bitter End で録音された Oz Live (2006) で、スタジオ盤では、これがメジャーデビューアルバムとなります。
 Oz Noyイメージは、変態的でアウトなフレーズ、そしてポップさも兼ね備えたギターです。本アルバムでも、アウトなフレーズと不可思議なニュアンスの曲で構成されていますが、ポップな感覚は未だ薄くロック・フュージョンに近いアルバムとなります。
 ギターの音は原音で弾くことは、ほぼ無くエフェクターをガンガン使っているのですが、ラック系のエフェクターは使わず、コンパクト・エフェクターを、つなぎ合わせて、この音を作ってしまうと言うマニアさが漂うギタリストです。


 さて、前置きはこれぐらいでアルバムを久しぶりに聴きながら全曲レビューです。「Chillin'」メンバーは、acoustic bass : James Genus、bass : Will Lee、drums : Anton Fig, Keith Carlock で、ベースドラムは各2名となっています。おそらく完全にリズム・トラックを2名で演奏しているのではなく、テーマ部分とソロ部分で分けているのではないかと、推測します。テーマ部分は、エレクトリック、ソロ部分はアコースティックのベースだと思います。ドラムは、どれがどっちだかは解りませんが、ベースだけ選手交代でドラムはダブるドラムでしょうか。イントロは牧歌的、テーマは少しだけポップさが入ってます。ソロに入ると、いきなりブオンブオンと、おそらくアコースティック言い始めてドラムとベースがこれでもかと複雑な響き、そこからエレクトリック部分になるとシンプルなリズムになります。1曲目から気持ち良いです。タイトル名の Chillin' は、リラックスしている、とか、何もせずに過ごしているで使われるらしいです。「Sit Tight」テーマ部分の変拍子の仕掛けが、普通ではない違和感があり、その違和感が聴いてるうちに気持ち良くなり、更に横揺れっぽくグルーブしていくのが天才的な楽曲です。曲の系統としてはTwisted Blues Volume ①  の Cissy Strut のファンク・フレーズのリズムのアクセントを変える手法の原型かと思います。変形ファンク・ロックって感じです。「Haa!」さすがタイトル曲です。ゆったりとした8ビートのリズムのロックを違和感の塊りのアクセントとフレーズにして、様々なエフェクトをギンギンに効かせた不可思議な音の塊りにして、好きな人には、かなり中毒性の高い曲に仕上げています。曲名は、James Brown の “ハッ!” っと発するブレスをタイトルにしたそうです。ちなみに、アルバム名の「ha」は「a」が1個しかありませんが、曲名は「a」が2個 となっています。あら不思議。「Say What?!」曲の頭のSay What の声は誰かと言えば、ボーカル Will Lee と書いてあります。あの方は、その手のノリの方ですよね。楽しんでこの録音に参加しておられるようで、何より。楽曲はオクターバーとファズを効かせたカッティングがメインのフュージョンで基本のメロディーラインに違和感は余り取り入れてはいません。ベースが T.O.P. タイプの16ビート・ファンクで、楽曲のビート感を増加させています。ダブル・ドラムの効果も絶大。「What Love Is」幻想的な曲調のバラードで、ギターは金属的なタッチの音を使っています。エフェクターはなんでしょう。中間部のギター・ソロはシタールっぽい音にしたりしていますが楽曲に違和感のアクセントは使っていません。「Hey You」これは Oz Noy ならではの違和感を取り入れた仕掛けが楽しい曲です。以降のアルバムに続くポップさも入ったファンクなグルーブが気持ち良い曲です。最初のレコードのノイズ音は、ミックス時のトラブル隠しのために使ったそうです。「Downside Up」きました、Mike Stern 登場で、曲名は当然 Upside Downside から来ているんでしょうが、テーマそのものは使っていないようですが、随所に同様のコード進行と思われる箇所はありますし、Mike Stern は、いつもの手癖フレーズをそのまま使っていて、アウトなフレーズも彼の得意なところなので親和性は抜群です。Oz Noy がNYに来ての師匠は Mike Stern であったらしいです。「Blue Monk」雑誌のジャズ・ライフに、Oz Noy はモンクの研究家でもあると書いてあったのを記憶しています。モンクっぽい違和感の和音は使っていないですが、モンクの使う作曲手法を Oz Noy に感じるところを再認識し、モンクをさらに進化させた曲全体でのアクセントを使って更にアウトなフレーズを組み合わせていると思い起こしますが、この曲に関しては普通にブルースにすることにより Oz Noy のモンクに対する敬意を感じます。「Hit Me」テンポ早めのブルース・ロックで、Stevie Ray Vaughan へのオマージュが曲に入ってる、ハズです。最後の Hit Me! は、やはり Will Lee。「I Can't Make You Love Me」最後は、しっとり系のバラードで、5曲目の What Love Is より、フレーズにアウトなトコを使ってますが、遊びは少なくしてますね。
 やっぱり、Oz Noy は良いなあ、と、つくづく感じる一枚です。他のアルバムも含めて、ハズレがないのと色々なコンセプトがアルバム全体でも曲でも楽しめるのが、この人の素晴らしいところを再認識です🎶🎸

producer : Oz Noy

1. Chillin' / Oz Noy
guitar : Oz Noy
organ : George Whitty
acoustic bass : James Genus
bass : Will Lee
drums : Anton Fig, Keith Carlock
2. Sit Tight Oz Noy 
guitar : Oz Noy
organ : George Whitty
bass : Will Lee
drums : Anton Fig
3. Haa! / Oz Noy
guitar : Oz Noy
synth : Shai Bahar
bass : Will Lee
drums : Anton Fig, Keith Carlock
4. Say What?! Oz Noy
guitar : Oz Noy
keyboards : George Whitty
bass, vocals : Will Lee
drums : Anton Fig, Keith Carlock
5. What Love Is Oz Noy
guitar : Oz Noy
synth, keyboards : George Whitty
acoustic Bass : James Genus
bass : Will Lee
drums : Anton Fig, Keith Carlock
6. Hey You Oz Noy
guitar : Oz Noy
keyboards : George Whitty
bass : James Genus
drums : Keith Carlock
7. Downside Up / Oz Noy
guitar : Mike Stern, Oz Noy
bass : James Genus
drums : Anton Fig, Keith Carlock
8. Blue Monk / Thelonious Monk
guitar : Oz Noy
bass : James Genus
drums : Anton Fig
9. Hit Me / Oz Noy
guitar : Oz Noy
organ : George Whitty
acoustic bass : James Genus
drums : Keith Carlock
vocals : Will Lee
10. I Cant Make You Love Me / Allen Shamblin
guitar : Oz Noy
bass : Will Lee
drums : Keith Carlock

▶ Chillin

▶ Haa!

▶ Hit Me


  

2025年4月2日水曜日

Eddie Roberts / Roughneck Live in Paris


 The New Mastersounds(ニュー・マスターサウンズ)率いてのジャズ・ファンクを経て、Eddie Roberts のソロ・デビューは、Roughneck 、そしてソロ第2作目が本作のライブ盤です。1st の Roughneck (2009)  は未購入ですが、1年前のアルバムとのことで曲目はかなり、重複しているとのことですが、スタジオ盤との違いが気になるところですので中古屋に行った時には注意しときます。


 The New Mastersounds との大きな違いは、オルガンがピアノに置き換わっているところが大きく、ジャズ・ファンクが主体であることに変わりないですが、歯切れの良いピアノに置き換わることにより、ジャズ色が若干強まったグルーブになっています。ギターも、それに合わせた、ファンク・ビートにのせたソウルフルなフレーズで、難しいフレーズはあまり使わずに、ペンタ中心のグルーブで、ジャズ・ファンクの中のジャズ色が強く押し出されています。 録音場所は、2005年にパリのモンマルトルにある名門クラブ Le Tripttyque となっています。お店の FaceBook の写真で見るところ、割とこじんまりとした場所のようです。


 それでは全曲レビューです。「Eazin’ Down」イントロはギターが口火を切る形で始まり ジャズ・ファンク全開のワンパターンのリフが延々と続いて各自のソロが展開されていきます。まずはグラント・グリーンのフレーズを入れつつの Eddie Roberts の荒々しい男気が溢れるゴツゴツ系、続いては Bill Laurance のピアノ・ソロで、この辺りはジャズっぽく攻めてきますが、ピアノが鳴っているのにオルガンが乱入っぽい入り方です。もしかしたら The New Mastersounds の乱入でしょうか。今回気づきました。ここで混乱して聴いているうちに佳境では高音ピロピロの私の好きなパターンを交えつつトランペット・ソロ、そして全員で大団円で終了。王道の演奏です。「The House in Alajor」かなりジャズ・フュージョンなナンバー。ギターとトランペットがユニゾンで演奏するハード・バップ系のテーマですが、Eddie Roberts のギターが少し歪ませた荒々しい音であるのがカッコ良い。そこからは、テンション押さえ気味のリズム隊に、クール系なソロ回し。盛り上がってきてもリズム隊は決して煽りません。これもこれでカッコ良いかも。「Costa del Soul」重めのリズムですが、ラテン・リズムでカラッとした雰囲気に変えてきたのかと思いきや、根底は少し泥臭いジャズ・ファンクがあります。後は基本的にジャキジャキのギターで Eddie Roberts が暴れる感じのギター弾きまくり、もう少しイってしまうとガシャガシャになるのですが、その手前なのがツボ。そしてトランペットが入ったテーマが入ってジャズ・コンボでよくあるバースも交えてこられると古典的なのか新しいのか、わかならない嬉しい展開。「Mr E」次はルーズなリフのジャズ風ファンク。スコーンと抜けるリズムとワンパターンの繰り返しは相変わらずで、ソロ回しなども相変わらずで、長め Malcolm Strachan のトランぺット・ソロが相変わらず素晴らしいし、リズミカルで華麗な Bill Laurance のソロも相変わらず聴かせてくれて後半の盛り上がりが素敵す。「New Life」テーマが印象的なコードのストロークが主体のジャズ・フュージョンで、ゆったりとしたEddie Roberts のギターが主体の楽曲で、コードが主体なので抽象的なところが魅力的です。「Szabo」今度はジャム・バンド的な曲で、ハンガリーのジャズ・ギタリスト、Gábor Szabó に捧げられたラテン・ソウル。トレモロ・ピッキングが、Gábor Szabó の得意技だったかと思われ、この曲で使われています。ブラスバンド的なノリのドラムとギターのソロ部分が面白い。「Lose Yourself」2002年に流行ったエミネム主演の映画「8 Mile」の主題歌をジャズ・アレンジしているので、今までのジャム・セッション的な曲よりも楽曲的な流れがあって、このアルバムのアクセントになっています。「Every Goodbye」クラブ・ジャズを軽めにして生バンドで演奏しているような曲です。また歌はありませんが、シャンソン的なニュアンスを感じるのはフランスでのライブを意識してのことなのかとも感じます。
 本家 The New Mastersounds を、これまで聴きこんではいないので、今後色々なアルバムを聴きこんでいって数年後に再レビューすると、また違った印象になるのかと思います🎶

guitar : Eddie Roberts
trumpet, flugelhorn : Malcolm Strachan
piano : Bill Laurance
bass : Neil Innes
drums : Gordon Kilroy

producer : Eddie Roberts
recorded at Le Tripttyque, Paris, 11th Octorber 2005

1. Eazin’ Down / Pete shand, Eddie Roberts, Bob Birch, Simon Allen
2. The House in Alajor / Eddie Roberts
3. Costa del Soul / Eddie Roberts
4. Mr E / Eddie Roberts
5. New Life / Eddie Roberts
6. Szabo / Eddie Roberts
7. Lose Yourself / Marshal Mathers, Jeffrey Bass, Luis Resto
8. Every Goodbye / Eddie Roberts





  

2025年4月1日火曜日

Edgar Jones & Friends / The Masked Marauder


 「スライ度高いです」私が札幌勤務時代に当時桑園にあった古本屋さんのBEABERS BOOKSで購入したものです。当時週に3回は飲んでいた Soul & Spice の音楽好きマスターから教えてもらった店で、なぜかソウル・ファンク系を売りに来るお客さんが多いのか、仕入れルートからジャンル選んで仕入れているのか中々の充実ぶりで結構な頻度で行ってました。中身がいい奴は高くて、あの値段のつけ方も面白かったですね。全て聞いてから書かれるこの店主様の帯に書かれたお勧めポイントには絶大な信頼感があり、この盤も「スライ度高いです!」の店主の書いた帯に魅かれての購入でした。


 帯の記述通り、スライっぽい曲が出だし続きポップに聞こえるのもありながら Seven Years なんかはまるでカーティスですが、声質は、やはり白人のホワイト・ファンクです。全体を通して聞くとマイナーなアートっぽい感じがします。また宅録っぽい音源が多く、そこらへんの音作りの雰囲気がスライだし、何かが頭にひっかかる気になるアルバム。
 この Edgar Jones(エドガー・ジョンズ)どんな人なのか? 90年代初頭に活躍したイギリスのガレージ・トリオ・バンド、The Stairs(ザ・ステアーズ)のリーダーでベーシスト、ボーカリスト。2006年からソロ活動となり、英国リヴァプール出身で地元DJでは人気が高かたとのこと。つまりは一般的にはあまり知られていないレア・グルーブで良いでしょうかね。
 全曲レビューすると、スライっぽいとか、カーティスっぽいとか、それしか書かないような気がしますので、やめときますが、かなり良いのは良い盤です。

 録音メンバーにM.Mが記載してります。「The Masked Marauder」の略でこのアルバムのタイトル名でもあります。おそらく低音系の黒人系ボーカルが、Edgar Jones & Friendsの Friends なのかと思われます。ちなみにタイトルの Masked Marauder は1965年ぐらいのアメコミのヒーローのようです。お宅でもありそうです🎶


1. HMMM!
bass : Klaus German Bloke
drums : Karl (Real Drummer) Penny
guitar, vocals, xylophone : M.M(The Masked Marauder)

2. All The Things You Are
bass : Klaus German Bloke
keyboards : Robert Stwinger
tenor sax : Mike (Mikey Baby) Smith
vocals, guitar : M.M(The Masked Marauder)

3. Maybe Sometimes
lead Vocals : M.M(The Masked Marauder)
performer (everything else) : Edgar Jones

4. Aren’t You Happy?
performer (all instruments + vocals) : M.M(The Masked Marauder)

5. More Soothing Music For Stray Cats
bass, guitar : Edgar Jones
drums : Karl Penney
effects (Overuse Of Effects) : M.M(The Masked Marauder)
trumpet : Martin Smith

6. Sunshine
bass, guitar, vocals : M.M(The Masked Marauder)
drum programming : Trefor Jones
effects (Overuse Of Effects) : Edgar Jones
keyboards : Rob Stringer
tenor sax : Austin Murphy

7. It’s Great To Be Straight With One Another
backing vocals : Edgar Jones
organ (Hammond), clavinet : Rob Stringer
vocals : M.M(The Masked Marauder)

8. Seven Years
drums : Karl Penney
guitar : Jamie Backhouse
sax : Mike Smith
vocals, bass : M.M(The Masked Marauder)

9. Talk About It
performer (everything else) : Edgar Jones
xylophone : The Masked Marauder

10. The Same
guitar, bass, vocals : M.M(The Masked Marauder)
keyboards : Rob Stringer
percussion : Vince

11. Once There Was A Time
bass : Edgar Jones
drums : Karl Penney
guitar : Jamie Backhouse
keyboards : Rob Stringer
vocals : M.M(The Masked Marauder)

12. Lil' Duke Medley
13. Maybe Sometimes (All The Way)

HMMM!




  

2025年3月31日月曜日

Soulive / Next


 ギタリストの Erick Krasno の兄の Jeff Krasno が設立したというインディーズ・レーベル Velour Recordings から Get Down! (1999)を発売。次いで Turn It Out (2000) 、そして メジャーの Blue Note からの Doin' Something (2001) 今作 Next (2002) の4枚目となります。Get Down!  は自宅スタジオ録音のデビューアルバムで、中古で未だ見つけていないので聴いておりません。
 さてこのアルバム、今まではライブなどのサポートメンバーだったサックスの Sam Kininger が正式加入して、今までの濃い目の オルガン・ジャズ・ファンクから、あっさり目のサウンドに変化しています。しかしせっかく正式加入した Sam Kininger は、このアルバムのみのメンバーとなり、その後、脱退してしまいます。仲たがいでの脱退ではないようで、Steady Groovin' (2005)Up Here (2009) に参加、ライブにも登場しているようです。以降ボーカルが加入したり、別のサックスが加入したりしていますが長続きはしないので。基本トリオでの音楽路線です。公式サイトは閉鎖されていませんが、2018年のCinematics, Vol. 1 が、アルバム制作が最後、2004年にライブ・アルバムを大量放出。ツアーは2018年が最後ですが、現在もライブは続けている模様。


 音がだいぶんと変化したのが、印象のこのアルバム。バンドの歴史をおさらいしたところで本アルバムを再度聴いてレビューしていきます。Tuesday Night’s Squad で、直ぐに発見があり、Kurt Rosenwinkel が作曲に参加していました。ジャズっぽい要素はありますが、今風ファンクのような音作りで、そういえば Kurt Rosenwinkel のアルバムでも意外と正統派ジャズでは無いのも多いことを思い出しました。Flurries サックスが前面に出たファンク・ナンバーで、Neil Evans のペダル・ベースが腹にズンズンきます。Eric Krasno のワウをかませたギターも、それっぽい。1曲目の淡白な感じより、イメージ通りの Soulive の音です。そして今更気づくエンディングは、アースの Can't Hide Love でした。Liquid は、かなり印象強いクセのあるテーマが素晴らしい楽曲で、Neal Evans の作曲です。今までの楽曲のエッセンスは引き継ぎつつも汗臭さを消してきているますね。Kalen は、ファンクな単音カッティング・ギターとフュージョンなサックスで、今までとは違った方向性が良いのではないでしょうか。Clap! では、「きたなラップお前もか」って感じです。ラップはリズムとか形態の一部として、この手のアルバムにはもう入っていて当たり前、リズム楽器の壱部みたいな役割とボーカルだけでは表せない表現手段かと思います。ラップの終わったところのピアノのリフはジャミロクワイっぽい?かも、ネタで入れてますよね。そして黒い感じでオルガン・ファンク Interlude です。いいじゃんと思ったら1分で終了。Ne-Ne は、フワッと系のジャズ・フュージョンで、らしい気はしますが新風を入れてきた感じです。I Don’t Know は、ネオ・ソウル系で Amel Larrieux の色っぽいボーカルが導入されています。ソウル系と言うよりは黒いけど透明感がある歌いまわしが新感覚です。他のアルバムも聴いてみたいけど、趣味ではない可能性もあるので検索して確認しときます。Whatever It Is は、カツンカツンと短く歯切れ良いリズムの楽曲で、Sam Kininger, Soulive が作曲となってます。Sam Kininger がテーマだけ決めて後はジャムっぽくやっているんでしょう。思いっきりサックスの存在感を主張する作品。Alkime は、聴かせるタイプの楽曲でゆったりとしたバックに、前曲の張り切り方とは違った形で Sam Kininger のサックスが歌い、息をためてプハっと出すような Neil Evans のオルガンが聴きどころかと思います。最後はライブの客の声をイントロSEにした E.D. Hambone が、ライブの煽りのようなジャムです。ボコーダーを混ぜたような Eric Krasno のギターがカッコ良いです。低音思いっきりカットでオート・ワウ掛けてるんですかね。ギター弾きとしてはセッティングが気になります。これアルバムの本編は終了で、ボーナスの Doin' Something Chameleon (Live) は、ファン・サービスです。ライブのこのグルーブ感はたまりませんし、アレンジが凄くイカしてます。
 物凄くあっさりとした印象だったのが、真剣に聴けば、濃い部分も多くて良いですね。誰かがスルメのようなアルバムと紹介しているのを見かけましたが・・・確かに🎶

vocals : Amel Larrieux (9), Dave Matthews (4), Talib Kweli (13), Tariq "Black Thought" Trotter (6)
guitar : Eric Krasno
organ : Neil Evans
drums : Alan Evans
alto sax : Sam Kininger

producer : Soulive
recorded at Applehead Studios in Woodstock, NY in October 2001
overdubs & mixing at Chung King Studios New York, NY in October & December 2001

Except: Track 4 recorded at Aerowave Studios Los Angeles, CA
Track 13 recorded and mixed at The Cutting Room, NYC in May 2001

1. Tuesday Night’s Squad /  Kurt Rosenwinkel, Neal Evans
2. Flurries / Eric Krasno, Skip Scarborough
3. Liquid / Neal Evans
4. Kalen / Alan Evans
5. Clap! / Neal Evans, Tariq Trotter
6. Interlude / Adam Deitch
7. Ne-Ne / Eric Krasno
8. I Don’t Know / Amel Larrieux, Eric Krasno, Neal Evans
9. Whatever It Is / Sam Kininger, Soulive
10. Alkime / Alan Evans
11. E.D. Hambone / Soulive
12. Doin' Something Chameleon (Live) / Eric Krasno, Herbie Hancock



Alkime