2023年10月20日金曜日

Jazzanova / Funkhaus Studio Sessions


 Jazzanova はドイツのベルリンで結成された3人のDJ、プロデューサーのユニットで、Gilles Petersonと共に1997年レーベル Sonar Kollektiv を設立しました。このアルバムはその Sonar Kollektiv とお馴染み P-Vine からの発売です。サウンド的には Steely Dan 系のジャズやソウルを丁寧に大人向けのサウンドに仕上げてあります。DJが創った音楽ではありますが、本アルバムはプログラミングを排除した生音でありデジタルな感覚を感じるリアルな音が心を揺さぶります。DJのアルバムであると複数のボーカリストが起用されることが多いようですが、このアルバムでは Paul Randolph の1人となっており完全にバンドとして成り立っているのがわかります。


 アルバム名である Funkhaus Studio Sessions からわかるように、録音場所はベルリンの名門スタジオ、Funkhaus(ファンクハウス)にて制作されたものです。日本でのライブはは「ブルー・ノート 東京」「ビルボード・ライブ」でのライヴやフジ・ロック・フェスティバルに出演しているようです。
 さてレビューです。Let Me Show Ya は、最も Steely Dan 直系と言える曲で、このパターンは大好きです。作曲は Stefan Leisering 作詞は Paul Randolph で、サウンドの奥行きも深く、良くつくりこまれた名曲ですね。Theme From Belle et Fou 全て1曲目のようなサウンドかと思いきや、こっちは The Brand New Heavies 系のインスト。ジャズ・ファンク好きには、たまらん音です。I Human feat. Paul Randolph ボーカル曲で、これはシングルカットされているようです。こちらは Jamiroquai 系ですね。Look What You're Doin' To Me は、アーバン・ソウル系ですが、途中のラテンにチェンジするところは非常におしゃれ。Lucky Girl は、ボサ・ノバのリズムで軽快なジャズ・ファンクです。どれが本当の Jazzanova の音楽性なのか?目まぐるしく変わります。No Use、 No Use (Part 2) とアレンジ違いの2曲が続きます。1曲目はアコースティック多めのしんみりバージョン。次はエレクトリックなアーバン・ソウルバージョンです。ボーカルの Paul Randolph の言葉でないボイス非凡です。Flashback は、The Brand New Heavies 系です。総じてこっち系がこのバンドの本領かも知れません。Believer は、風変りな曲ですが、音使いはDJらしい楽曲です。 Little Bird は、ピアノのイントロから始まるバラード。こういった曲が聴かせられるのもなかなか器用なバンドであると感心させられます。I Can See は、ポップ・ロックですね。 Boom Clicky Boom Klack は、パーカッションのリズムとベースのみのイントロから始まりボーカルは中東系の音階を交えながらソウル系のようなトリッキーな曲。ワールド系でもないのが面白い。Fedime's Flight は、デジタルな重低音ベースがなり続けるインスト・エレクトリック・ポップ系で様々なアイデアがありすぎ。Let It Go で最後になりますが、リズムはThe Brand New Heavies 系ですが、進行はもっと複雑で Steely Dan も入りながらエレクトリックな感じもあります。このバンドの音楽性を集結させたようでもありコマーシャルな曲では無いですが良きかな。
 超技巧派集団と言われるのが納得のアルバムでした。ファンク、レアグルーブ好きなら絶対好きになる一枚であり、ジャズやソウルを丁寧に調理したクロスオーヴァー・サウンドで楽曲、音質、アレンジとも申し分ない良版🎵

vocals : Paul Randolph
electric piano (musser ampli-celeste) : Stefan Leisering (10)
synthesizer : Stefan Leisering (3)
electric piano (fender rhodes & wurlitzer), piano, harmonium, synthesizer, trumpet : Sebastian Studnitzky
bass : Paul Randolph
electric bass, double bass, percussion  : Paul Kleber
electric guitar, twelve-string guitar : Arne Jansen
computer (pc), percussion : Axel Reinemer
congas, bongos, percussion : Stefan Leisering
drums : Carl-Michael Grabinger
alto sax, tenor sax, baritone sax, flute : Sebastian Borkowski
trombone : Stefan Ulrich

producer : Axel Reinemer, Stefan Leisering
all songs recorded live at Studio P4 November 14th - 16th 2011

1. Let Me Show Ya
2. Theme From Belle et Fou
3. I Human feat. Paul Randolph
4. Look What You're Doin' To Me
5. Lucky Girl
6. No Use
7. No Use (Part 2)
8. Flashback
9. Believer
10. Little Bird
11. I Can See
12. Boom Clicky Boom Klack
13. Fedime's Flight
14. Let It Go






  

2023年10月15日日曜日

Donald Byrd / Byrd In Hand

 
 

 当たりも有ればハズレのようなアルバムもある。Donald Byrd も多作なだけにつまらないと思うようなアルバムもありますが数えてみたら15枚を超えているので、この際とことん買い続けましょうと見たことが無いものはとりあえず仕入れるようにしています。
 このアルバムは、1959年5月の録音で10月録音の Fuego より少し前に録音されたもの。このあたりのバードはハズレがありませんが Fuego と同様に少々地味な感じはします。しかしこの地味さが良いと感じる人は多いはず。と思って、メンバーもテナーが Charlie Rouse バリトン Pepper Adams 、それなりに反応があるのかと思ったのですがいたら行きつけの「おでんバー」では良いも悪いも評価は無く無反応なのが悲しかったです。ちなみにベース Sam Jones、ドラムの Art Taylor、そしてピアノ Walter Davis Jr. の布陣は見ただけでも強力メンバーかと思います。


 さてレビューです。Witchcraft は、Cy Coleman 作曲のスタンダード。フランク・シナトラが1957年に歌った作品なので、この作品が出る前の2年前です。当時としては、最近のヒット曲を吹き込んだ感覚だったのでしょうか。印象的なテーマを伴奏無しにバードが吹き始め、リズム隊は後からついてきて他の管はサビの部分で控えめに登場し、淡々とバードは吹き続けます。延々と一人で吹き続けるのかと思えば、中盤から Pepper Adams のバリトン・サックスが登場で、雰囲気が一転し、Walter Davis Jr. のピアノソロは短め、続いて Charlie Rouse のテナーソロでテーマに戻り、テーマはバードがとりながら控えめに管のアンサンブルと王道の流れで、派手さはありませんが良いですよねえ、これ。Here Am I はバード作品です。おっ曲の頭からバリトンが効いてます。少し重めの雰囲気でバードも、影のある柔らかなトーンで合わせてきます。Devil Whip もバード作品で、今度は少し派手目に曲調が変わります。テーマ部分も3管がバチっと音を出してきます。ジャズ喫茶で本を読みながら、ウトウト気分で聴いてたらハッと目が覚めて苦い珈琲をすすり直すパターンですね。一挙に緊張感増します。Bronze Dance は、Walter Davis Jr. の作品でラテン風味たっぷりで、また雰囲気を変えてきました。この曲のコード進行は私好きなパターンで少しモダンな感じが、また好印象。Clarion Callsh も続けて、Walter Davis Jr. の作品です。出だしは音程高めテンション高めにバードが吹き始めます。バードのソロ後に Pepper Adams のバリトン・サックスがアダルトにソロで、これまた展開が気持ち良い。後で出てくる Charlie Rouse のテナーソロも良いけど Pepper Adams の印象が強すぎます。と書いてたら、また切り裂くようにバードの張りのある音でテーマに戻ってきました。The Injuns のバード作品が最後です。早めのハード・バップで、コンサートの締めのような感じの曲で、やはり最後になります。バード吹きまくりでヤンヤです。
 アルバムの最初に間を持った演奏の曲を持ってきて、じっくり体馴らし(耳馴らし)をしてから、徐々にテンションが上がってくる曲を持ってくる後半盛り上げ型のアルバムですね。地味に良いですので、お気に入りの棚の場所に入れときます🎵

trumpet : Donald Byrd
piano : Walter Davis Jr.
bass : Sam Jones
drums : Art Taylor
tenor sax : Charlie Rouse
baritone sax : Pepper Adams

producer : Alfred Lion
recorded By : Rudy Van Gelder

Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey on May 31, 1959.

1. Witchcraft
2. Here Am I
3. Devil Whip
4. Bronze Dance
5. Clarion Calls
6. The Injuns





  

2023年10月14日土曜日

Albare / Acid Love

 

 アシッド・ジャズに凝っていた時に、アルバムタイトルの 「Acid Love」が気になって中身は聴かずに購入したアルバムでした。アシッド・ジャズ自体がジャズ寄りのファンクであったり、アーバン・ソウルのようなものもジャズ・ファンクと呼ばれていたりするようなので、これがジャズ・ファンクではないとは言えるのかどうかも疑問ではありますが、このアルバムは私がほぼ聴かないタイプのダンス・ミュージックであり、私の理解するアシッド・ジャズではありませんでした。しかし、このアルバムも聴き直すのは多分3回目で前回よりも良いイメージではあり、どうやらここ数年で音楽に対する私の感性も、また変わってきているようです。
 ライナーノーツによるとモロッコ生まれでイスラエル、フランスで育ち、フランスで音楽家のキャリアをスタートし、今はオーストラリアに住んでいるようです。打ち込みの女性ヴォーカル曲から、ラップ、はては生ギターによるチック・コリアのスペインまで。多分器用な人であるので、こんなアルバムになってしまったものと想像できます。


 あんまり聴きこむほどの情熱は持てないのですが簡単に紹介です。What Would I Do? 女性ボーカルの Kim Collins を前面に押し出したマーカスがポップに手を出した時のような打ち込み曲です。全体を通してこれに徹してるのであれば納得なのですがそうではないのが中途半端かなあ。Enjoy The Music アコースティック・ギターでリフを作って、Zachary Breaux 風の感じで、ラップの FLI T と言う人が、また中途半端に起用されています。サウンド的には悪くないんですが。。。Way 2 Love 打ち込みのポップスでボーカルは Peabo &
 Jamie O'neil です。売れ線の軽めのヤツですが、このボーカルの人のアルバムで良いんではないかな。Love Line ラップで Little B でよくあるヤツ。Bottom Line ドラムのプログラミングパターンが前の曲と同じ?な気がします。好きで作ったのかなあ。ああ辛口コメントしか出ない。Midnight Skat アーバン・ソウルっぽいヤツが作りたかったんですね。パソコンで作るとこんな曲ができやすい。ですよね。Love's Got A Hold 女性ボーカルの Kim Collins がまた登場です。この人の歌はうまいです。Can't Say で、また打ち込みの Zachary Breaux 路線ですね。Girl 軽いポップで聴きやすいことは聴きやすいかな。Acid Love は、タイトル曲ですね。一番アシッド・ジャズっぽい感じではあります。Going On ボーカルは Melisa James & Albre この女性も上手いし音域がものすごく広い方です。Spain が最後の締めです。アコースティック・ギターとエレクトリックの多重録音作品です。
 先にも書いたように前回聴いた時よりは印象良いですが、楽器の上手いアマチュア・ミュージシャンの作品ような感じは中途半端なB級といったところ🎵

1. What Would I Do?
2. Enjoy The Music
3. Way 2 Love
4.  Love Line
5. Bottom Line
6. Midnight Skat
7. Love's Got A Hold
8. Can't Say
9. Girl
10. Acid Love
11. Going On
12. Spain

▶ Can't Say

▶ ALBARE 'South' Official music video

▶ Albare's Urban Groove Project - The Mind Reader (Live)



  

2023年10月13日金曜日

Eddie Roberts' West Coast Sounds / It's About Time


 The New Mastersounds のギタリスト Eddie Roberts' (エディ・ロバ)のセルフ・プロデュースのソロ・アルバムで、アメリカ西海岸のミュージシャンを集めて、ファンク・ファンク!!本家の The New Mastersounds は、60年代後半のソウル・ジャズ系の99年に結成された4人組インスト・ファンク・バンドでファースト・アルバムは、2001年 Keb Darge Presents The New Mastersounds を Cooker というレーベルから発売。以降は、自主レーベル One Note Records で作品を作り続けている。このアルバムは P-Vine からの発売。ソロアルバムだけに好きなことしかしてない感じで荒々しい部分が魅力。


 それではレビューです。オープニングは The Long Drive Home 昔からあるコード進行と曲構成で、難しいことはしていません。ドラムのカラカラの音がチープで気持ちよく、ひたすらエディーがギターをかき鳴らしています。気持ちだけでかき鳴らしている感じが、これまたチープで素晴らしい。もう少しダサいと私の好きなB級ファンクに近づく感じ。Bouncin' Around ここではドラムが少し音を変えて重めの音にしてます。ひたすらビートを刻みホーン部隊もむずかしいことはせずに王道の高揚感のあるハーモニー。Good Things は、元もとは、Pearl Dowdell の Sister Funk のカバーとのこと。オリジナルは当然歌物ですがオルガンでボーカルをやってます。Break The Fast いかにも西海岸にきましたって感じのビートにのっかってブラス部隊がソロをとる構成です。Fast'in も、昔からの王道パターンのディープ・ファンクです。ジャム・セッション的な感じですが、ここら辺が本領発揮って感じがします。A Day, A Week, A Month, A Year は、サイケ感を出してます。このアルバムでは異色の曲ですが中盤のアクセントとしては良いのではないでしょうか。Aguacate ここら辺はちょっと軽い感じのファンクでリハーサルでちょっと録音してみたぐらいの気負いはない録音です。BGMに良いんですよね。こういうの。All The Time 1970年ぐらいのクラシック・ファンクのカバーとのこと。オルガンの音が古き良きオールド・ファンクの雰囲気ぴったりです。曲のブレイクやキメも昔の感じそのままです。これも古臭くてダサいけどカッコ良い典型ですね。Now Is The Time これも Pearl Dowdell の Sister Funk のカバーとのこと。元曲も聴いときたいですね。Pack Of Lies これもカバーでデトロイトを中心に活動した Fabulous Counts というインスト・ファンク・グループのカバーらしい。どこかで聞いたことがあるやつです。コレクションのジャズファンク系オムニバスの、どこかにある気がします。今度調べてきます。Black Bag は、Carl "Sherlock" Holmes の Investigation No. 1 に収録の曲のカバーです。この曲カッコ良いんですよね。Somebody I Used To Know これもカバーで、ベルギー生まれのオーストラリアのシンガー・ソングライター Gotye の楽曲。2011~12年のヒット曲らしいので、それほど古い曲ではありません。アフロ系のリズムで、エディはオクターブ奏法でテーマを弾いています。なるほど、これを最後にもってきますか。ソロ・アルバムっぽいですね。
 総じて、ハモンド・オルガン・サウンド、チャキチャキのギターのファンク・カッティング、ジャズファンク好きにはお勧め🎵

guitar : Eddie Roberts
hammond organ , clavinet : Wil Blads
drums : Jermal Watson
tenor sax : Joe Cohen
tenor sax : Daniel Caseras
trumpet : Mike Olmos

producer : Eddie Roberts

1. The Long Drive Home
2. Bouncin' Around
3. Good Things
4. Break The Fast
5. Fast'in
6. A Day, A Week, A Month, A Year
7. Aguacate
8. All The Time
9. Now Is The Time
10. Pack Of Lies
11. Black Bag
12. Somebody I Used To Know




  

2023年10月8日日曜日

Mal Waldron / Left Alone

 

 1959年 Verse の グループのレーベルである Bethlehem Records からリリースされたBillie Holiday の追悼アルバムで、基本は、ピアノ Mal Waldron、ベース Julian Euell、ドラム Al Dreares のトリオで、Jacky McLean がアルトサックスで1曲目のタイトル曲だけ参加しています。タイトル曲の Left Alone は、1959年に Mal Waldron が作曲、Billie H年oliday が作曲のボーカル曲ですがビリー自身の歌は残っていません。Mal Waldron は、1957年からビリーが1959年に亡くなるまで伴奏者を務めています。と、ここまで書くとビリーはもう亡くなっているのかと思いきや亡くなったのは、1959年7月17日で、このアルバムが録音された時点の2月24日でははビリー・ホリデイは、麻薬による肝硬変、腎不全で相当調子は悪いでしょうが、亡くなってはいませんでした。リリースが1960年なので録音後に彼女への追悼盤として発売されたようです。


 ジャズ喫茶のリクエストは、こればかりになったと言う名アルバムですが、発売当初1962年はあまり売れなかったらしい。それがレコード会社が変わるたびに売れてきて最後はベストセラーになってしまったという、噛みしめれば味が出るパターンのようです。当然日本でのみ抜群の評価を受けていたようです。
 それではレビューです。1曲目は、このアルバムのタイトルで有り Jackie McLean が参加しているのも、これだけという Left Alone です。あまりにも有名で様々な人によって演奏されている曲で、アルバム全体の出来も素晴らしいのだが、どうにもマクリーンの絡みつくサックスのインパクトが強烈です。Catwalk 以降は、トリオになります。これはマルのオリジナル曲で、ゆったりとしたテンポで各人のプレイは力の入った感じです。You Don't Know What Love Is は、邦題「恋の味はご存じないのね」でホリデイの愛唱歌であったようで、一音一音を確かめるように弾くマルのピアノです。アルバムのつくりとしても冒頭3曲は、聴き手を弾きづりこむために、かなり考えられて配置されているように感じます。Minor Pulsation では、一挙にトリッキーなテーマに変わりドキッとします。アップテンポのオリジナルで歯切れが良い演奏です。Airegin は、ロリンズの名曲ですね。最初はゆったりと聞かせてテンポがドンドン上がっていきます。マルのピアノも細かなフレーズを織り込みながら段々と熱を帯びていきます。最後は、The Way He Remembers Billy Holiday で曲ではなく対談を収録しています。
 ちなみに、行きつけの「おでんバー」で、これをかけたところ、昔聴いていたけど忘れていたよ。でも久しぶりに聴くと昔の印象よりも抜群に良いねとの玄人筋からの評価でした🎵

piano : Mal Waldron
bass : Julian Euell
drums : Al Dreares
alto sax : Jackie McLean

recorded February 24, 1959 in NYC

a dedication to Billie Holiday by her former pianist Mal Waldron.

1. Left Alone
2. Catwalk
3. You Don't Know What Love Is
4. Minor Pulsation
5. Airegin
6. The Way He Remembers Billy Holiday



▶ Airegin


  

2023年10月7日土曜日

Oz Noy / Twisted Blues Volume ①


 Oz Noyを最初に聴いたのがこのアルバム。聴いてびっくり、インパクトありすぎて一発でファンになり、Twisted Blues Vol2Ha!SchizophrenicOzone SqueezeBooga Looga loo など、他のアルバムも揃えていってます。イスラエル出身でスタジオ・ミュージシャンとして活躍し、飛躍を求めてニューヨークに移住、ロック、ジャズ、ポップス、サウンドトラック、CMソングなど幅広い音楽性を武器に手掛け、ソロ・ギタリストとして打って出てきたようです。自身のアルバムとしては5thアルバムとなるようで、未だ聴いてないのがありますので探しとかにゃなりません。メンバーは、Stevie Ray Vaughan & Double Trouble のドラマーの Chris Layton、ロック、ブルース系の敏腕セッションドラマーのAnton Fig、ザッパのバンドに参加し、ポップス、ロック、ジャズなど、あらゆる業界で活躍する御大 Vinnie Colaiuta が参加し、この面倒で変態的な展開のアルバムを強力なリズムで支えています。他 Eric Johnson は3曲目の You Are The State に参加しているし、こういった面白うなセッションでよく見かけるベースの Will Lee など、豪華メンバーが集結しています。


 曲目は、オズが研究家でもあるらしい Thelonius Monk から Light Blue、Trinkle Tinkle の2曲、Meters を混ぜながら、自作曲で固めた意欲作です。雑誌で見ましたが、彼の強力なサウンドはコンパクト・エフェクターのズラリとした連結のようです。あれだけやってしまうと、コンパクト・エフェクターはノイズが制御できなくなるし、音圧の制御が難しいと思いますが、それでこの音はかなりのマニアですね。
 さてレビューです。Twisted Blues は、Oz Noy のオリジナル。かなりエッジの効いたシングル・コイルのギターの音です。Tele と書いてありますので、Telecasterを使用ですね。シングル・ノートで弾く音も当然素晴らしいのですが和音が非常に良く練られているのがこの人の特徴ですね。Oh Really? オールディーズ風の曲がオズ流になるとこうなります。アウトなフレーズだけどポップで、どこか楽しい感じのする曲でとにかく感心してしまいます。 You Are The State は、Chris Tarry とオズの共作。Oz Noy Trio でも活動しているベーシストのようです。現在の手持ちのアルバムには彼の名前はありません。ここでのベースは Roscoe Beck で、Robben Ford, Eric Johnson, Leonard Cohe とプレイしているベーシストとのこと。Whole Tone Blues も、オズ・ノイの作品。どう聴いても Stevie Ray Vaughan のオマージュ作品ですね。オズ・ノイが味付けするとこうなりますってカッコいい仕上がりです。当然ドラムは、Chris Laytonとなります。Cissy Strut は Meters の名曲ですね。様々な人のカバーを聴いてきましたが、オズ・ノイのバージョンが一番斬新で素晴らしいですね。このバージョンは私もギターでコピーしました。ライブハウスでやった同窓会で、この曲を合わせてくれと2日ぐらい前に音源を渡しましたことがあるんですが、このバージョンはベース、ドラムのリズム隊はきっちり聴きこんでくれてないとズレまくります。 Light Blue は、モンクの楽曲です。今までのようなエッジが効いたサウンドではなくゆったりとした曲になっています。ストラトを使って、おそらくスライドも使って幻想的な曲調にしています。Steroids いかにもオズ・ノイ的な曲でこれはエッジが効いているほうです。二つの曲を合体させたような作りで、微妙にリズムとメロディーをずらせたりと細かな細工が施されている曲で合わせるメンバーが凄いですね。Two Centers は、シンプルなコード進行と単純な曲に思わせておいて、段々とモリモリに仕掛けが始まる雰囲気を作っておいて、その先に中々いかないというジレッったい作風です。そう思ってしまう聴き手の人はだいぶオズ・ノイの世界に入り込んでしまっている人でしょう。Trinkle Tinkle 最後はモンクで締めくくりです。エフェクトを幾つ使ってるんだと思う音のギターで始まり、スイングでロックするようなリズムですね。ギターのテイストは Stevie Ray Vaughan です。レイボーンはジャズ・ブルースも名手でしたことを思いだします。
 ギターを弾く人であれば、あっけにとられるアイデアとテクニックのオズ・ノイがブルースを意識すればこうなるって言う完璧な作りこみの作品🎵

guitar : Oz Noy (all), Eric Johnson (3)
organ : Jerry Z (1, 2, 7, 8) John Medeski (1,5)  Reese Wynans (3,4,6)
piano : Allen Toussaint (2)
bass : Roscoe Beck (3, 4, 6, 9) Will Lee (1, 2, 5, 7, 8)
drums : Anton Fig (3, 5)  Chris Layton (4,6,9) Vinnie Colaiuta (1,2,7,8) 
tambourine : Ralph MacDonald (5)

producer : Oz Noy

recorded @ The Carriage House Studios, Stamford CT Nov. 5 & Dec. 12, 2010
recorded @ Saucer Sound, Austin TX Dec. 18 & 19, 2010

1. Twisted Blues
2. Oh Really?
3. You Are The State
4. Whole Tone Blues
5. Cissy Strut
6. Light Blue
7. Steroids
8. Two Centers
9. Trinkle Tinkle





  

2023年10月6日金曜日

John Scofield / Grace Under Pressure


 John Scofield(ジョンスコ)名義ではありますが、Bill Frisell(ビル・フリゼール)とのツイン・ギター作品です。ジョンスコは相変わらずのエキセントリックなプレイで、ビル・フリゼールも思いっきり主役を食わんとする存在感のあるプレイ。この二人は、全く違った個性であるため聴き分けは簡単。これは、どっちのギターかなんて聞きながら迷うことは無く聴きながら二人の姿が思い浮かぶのも、わかりやすくて良いところ。



 このアルバムを購入した当初はストレートなギター・ジャズやフュージョンを聴くことが多かったのでこのアルバムを「普通の人がやったらノイズです」なんてレビューをしていました頃もありましたので昔の私には難解なギターだったのでしょう。が、今の私が聴けばそんなことは無くアウトな音使いが非常に心地よいジャズ・プレイだと感じます。
 このアルバムでの、わかりやすいジャズ曲は Grace Under Pressure、You Bet、Twang あたり。特にYou Bet は明るいジャズで最も二人のギターの対比もよくわかって良いです。難解ではありますが、お気に入りは Scenes From A Marriage で、浮遊感のあるインプロのやり取りで、各自がどこに着地するのかわからなくなりますが、メンバーの皆さん追いついてきて最終的にはフリージャズの様相に転じます。最近の私は、全く理解できなかったフリージャズも聴けるような耳と頭になってきたので、ここら辺なら違和感なくすんなりと楽しんで聴くことが出来ます。ホーン部隊には Randy Breckerも参加していますが、かなり軽い味付け的な使用で激しいソロなどはありません。
 伝統的なジャズ手法から、自由な演奏にと2人のギタリストの個性がうまく混ざり合わさった作品と感じます🎵
 
guitar : John Scofield 
guitar : Bill Frisell 
bass : Charlie Haden
drums : Joey Baron 
flugelhorn : Randy Brecker(3, 5, 6, 8, 10)
french horn : John Clark(3, 5, 6, 8, 10)
trombone : Jim Pugh(3, 5, 6, 8, 10)

producer : Steve Swallow

recorded and mixed in December 1991 at Power Station, NYC.

1. You Bet
2. Grace Under Pressure
3. Honest I Do
4. Scenes From A Marriage
5. Twang
6. Pat Me
7. Pretty Out
8. Bill Me
9. Same Axe
10. Unique New York

▶ You Bet


▶ Twang


  

2023年10月1日日曜日

Ella Fitzgerald / Like Someone In Love

 

 1930年代から数十年に亘り、ツアーとレコーディングに明け暮れ、揺るぎない人気と地位を築いていたエラ・フィッツジェラルドの1957年作品。1955年にDecca Records を離れ Norman Granz が興したレコード会社 Verve Records に所属しています。エラがいちばん沢山のレコードを吹き込んだのは、この Verve Records で、Cole Porter、Rodgers & Hart、Duke Ellingtonなどの作曲家シリーズ、Ella In Berlin のようなライブ録音など多彩な作品を残しています。スインギーな歌が得意な印象がありますが、このアルバムのような静かでエモーショナルなバラードも素晴らしいものがあります。また Frank DeVol のアレンジも素晴らしく、単調になりがちなアルバムをエラの良さを引き出すことで聴きごたえのあるアルバムに仕上げていることと思います。


 本アルバムは、再販盤が数多く出ていて、それにはボーナストラックが肺いているようですが、私の購入のこの盤はオリジナルのまま。上記のジャケ写は別の後発CDで録音の翌年の写真のようです。高級そうなボートに乗っていますね。
 さてレビューです。There's a Lull in My Life は Mack Gordon 作曲 Harry Revel 作詞の1937年映画 Wake Up And Live の挿入歌で、伸びやかなボーカルにうっとりとし、Stan Getz が途中で出てくると、おっ出てきたなと思って直ぐにいなくなる。いい感じの始まりです。More Than You Know は、スタンダードで良く知られた歌で、Edward Eliscu, Billy Rose の作詞 Vincent Youmans の作曲で1929年出版(ということはシートミュージックですか)ミュージカル Great Day に使われたナンバー。エラの豊かな表現力がとにかく素晴らしい。包み込むように歌い上げられると幸せな気持ちになれます。What Will I Tell My Heart?  は、Jack Lawrence 作詞 Peter Tinturin 作曲。似たような展開の佳曲です。田舎のゆったりとした家でゆっくり本でも読みながら、このアルバムを聴いていたら長生きできそうです。I Never Had A Chance  は Irving Berlin 作曲で、それほど有名な曲ではないようです。Close Your Eyes は Bernice Petkere の作詞・作曲 で1933年出版だからこれもシート・ミュージックですかね。でもこれは良く聴くスタンダードの恋の歌。今までの肩ひじ張らない曲であったのに対し、少し力が入ってます。We'll Be Together Again は Carl T. Fischer, Frankie Laine による歌曲でバックのオーケストラの演奏も緩急つけて、盛り上げにかかって来る感じあります。Then I'll Be Tired Of You は Yip Harburg 作詞 Arthur Schwartz 作曲のナンバーで可愛らしい曲ですね。伸びやかなトーンで歌いあげてくれます。Like Someone in Love は Johnny Burke 作詞 Jimmy Van Heusen 作曲のタイトル曲。コンセプト的にも合致して出来も良かったのだろうが、アルバム全部良い曲なので特にこれが良いということも感じはしません。映画のエンディング?いやオープニングっぽいかな。Midnight Sun は Sonny Burke, Lionel Hampton 作曲 でインストでしたが、Johnny Mercer が54年に作詞して歌曲として出版のこれもシート・ミュージックですか。良く練られたメロディーラインの流れるような美しさが感じられる曲です。I Thought About You  作詞 Mercer 作曲 Van Heusen の有名スタンダード。似たようなラブ・バラードが続くような気もしますが、実に伸びやかに歌っていただけるので飽きは来ません。You're Blasé  はOrd Hamilton 作曲 Bruce Sievier 作詞、少し曲の表情が変わってお気楽に明るく聴ける感じです。邦題は「冷たいお方」Night Wind  邦題は「夜の嵐」Lew Pollack, Bob Rothberg による歌曲で少し粋な感じですね。What's New? は Johnny Burke 作詞 Bob Haggart 作曲で、1938年にトランぺッター Billy Butterfield に書いたラブ・ソングで「何か変わったことはない?私たちの恋はどうなったの?私はあなたのことを変わらず愛してます」可愛らしいようなドキドキする怖い歌です。Hurry Home は Buddy Bernier, Bob Emmerich, Joseph Meyer による作詞作曲。前の曲との関連性を考えると「早く帰ってこい」は何か意味があるのでしょうか。曲は好いですよ。How Long Has This Been Going On?  は George Gershwin, Ira Gershwin の作詞作曲でオールド・スタンダードで、歌い方に凄く表情があります。
 アルバムとして大きな抑揚はありませんがエラの40歳の歌唱は、歌の上手さ、表情と歌手としては絶好調な感じです。



vocals : Ella Fitzgerald
arranger, conductor : Frank DeVol
sax : Stan Getz

producer : Norman Granz

tracks 1-11 recorded October 15, 1957 in Hollywood, Los Angeles
tracks 12-15 recorded October 28, 1957 in Hollywood, Los Angeles

1. There's a Lull in My Life (Mack Gordon, Harry Revel) 
2. More Than You Know (Edward Eliscu, Billy Rose, Vincent Youmans)
3. What Will I Tell My Heart? (Irving Gordon, Jack Lawrence, Peter Tinturin) 
4. I Never Had A Chance (Irving Berlin)
5. Close Your Eyes” (Bernice Petkere)
6. We'll Be Together Again (Carl T. Fischer, Frankie Laine) 
7. Then I'll Be Tired Of You (Yip Harburg, Arthur Schwartz) 
8. Like Someone in Love (Johnny Burke, Jimmy Van Heusen)
9. Midnight Sun (Sonny Burke, Lionel Hampton, Johnny Mercer)
10. I Thought About You (Mercer, Van Heusen) 
11. You're Blasé (Ord Hamilton, Bruce Sievier)
12. Night Wind (Lew Pollack, Bob Rothberg)
13. What's New? (Johnny Burke, Bob Haggart)
14. Hurry Home (Buddy Bernier, Bob Emmerich, Joseph Meyer)
15. How Long Has This Been Going On? (George Gershwin, Ira Gershwin)