当たりも有ればハズレのようなアルバムもある。Donald Byrd も多作なだけにつまらないと思うようなアルバムもありますが数えてみたら15枚を超えているので、この際とことん買い続けましょうと見たことが無いものはとりあえず仕入れるようにしています。
このアルバムは、1959年5月の録音で10月録音の Fuego より少し前に録音されたもの。このあたりのバードはハズレがありませんが Fuego と同様に少々地味な感じはします。しかしこの地味さが良いと感じる人は多いはず。と思って、メンバーもテナーが Charlie Rouse バリトン Pepper Adams 、それなりに反応があるのかと思ったのですがいたら行きつけの「おでんバー」では良いも悪いも評価は無く無反応なのが悲しかったです。ちなみにベース Sam Jones、ドラムの Art Taylor、そしてピアノ Walter Davis Jr. の布陣は見ただけでも強力メンバーかと思います。
さてレビューです。Witchcraft は、Cy Coleman 作曲のスタンダード。フランク・シナトラが1957年に歌った作品なので、この作品が出る前の2年前です。当時としては、最近のヒット曲を吹き込んだ感覚だったのでしょうか。印象的なテーマを伴奏無しにバードが吹き始め、リズム隊は後からついてきて他の管はサビの部分で控えめに登場し、淡々とバードは吹き続けます。延々と一人で吹き続けるのかと思えば、中盤から Pepper Adams のバリトン・サックスが登場で、雰囲気が一転し、Walter Davis Jr. のピアノソロは短め、続いて Charlie Rouse のテナーソロでテーマに戻り、テーマはバードがとりながら控えめに管のアンサンブルと王道の流れで、派手さはありませんが良いですよねえ、これ。Here Am I はバード作品です。おっ曲の頭からバリトンが効いてます。少し重めの雰囲気でバードも、影のある柔らかなトーンで合わせてきます。Devil Whip もバード作品で、今度は少し派手目に曲調が変わります。テーマ部分も3管がバチっと音を出してきます。ジャズ喫茶で本を読みながら、ウトウト気分で聴いてたらハッと目が覚めて苦い珈琲をすすり直すパターンですね。一挙に緊張感増します。Bronze Dance は、Walter Davis Jr. の作品でラテン風味たっぷりで、また雰囲気を変えてきました。この曲のコード進行は私好きなパターンで少しモダンな感じが、また好印象。Clarion Callsh も続けて、Walter Davis Jr. の作品です。出だしは音程高めテンション高めにバードが吹き始めます。バードのソロ後に Pepper Adams のバリトン・サックスがアダルトにソロで、これまた展開が気持ち良い。後で出てくる Charlie Rouse のテナーソロも良いけど Pepper Adams の印象が強すぎます。と書いてたら、また切り裂くようにバードの張りのある音でテーマに戻ってきました。The Injuns のバード作品が最後です。早めのハード・バップで、コンサートの締めのような感じの曲で、やはり最後になります。バード吹きまくりでヤンヤです。
アルバムの最初に間を持った演奏の曲を持ってきて、じっくり体馴らし(耳馴らし)をしてから、徐々にテンションが上がってくる曲を持ってくる後半盛り上げ型のアルバムですね。地味に良いですので、お気に入りの棚の場所に入れときます🎵
trumpet : Donald Byrd
piano : Walter Davis Jr.
bass : Sam Jones
drums : Art Taylor
tenor sax : Charlie Rouse
baritone sax : Pepper Adams
producer : Alfred Lion
recorded By : Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey on May 31, 1959.
1. Witchcraft
2. Here Am I
3. Devil Whip
4. Bronze Dance
5. Clarion Calls
6. The Injuns
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