2024年3月15日金曜日

Third Coast Kings


 2007年秋に結成され2010年のEPデビュー、そして最初のアルバム制作が2012年の本作となります。出身は、モータウンを筆頭に数多くのソウル、ファンクの名作を生み出したソウル・ミュージックの聖地、ミシガン州デトロイト。完全にJBの影響を受けているホーンセクションは超強力で、60年代70年代ファンクの美味しいところばかりを取り入れたサウンドは独自の個性はなくとも文句なしに楽しい。The Baker Brothers(ベイカー・ブラザーズ)やThe New Mastersounds(ニュー・マスター・サウンズ)に肩を並べる実力のあるバンドで、日本だけだとは思いますが、ファンのことは「サコキン」と呼ばれているらしい。


 先に書きましたが、このバンド実にベタベタな「でぃーぷ・ソウル・ファンク」で、これは大好物であります。アルバムにはインストもあり、ボーカルものもありでボーカルものは女性シンガー Michelle “The Belle” Camilleri と Sean Ike の二人。ライブとかの写真では、Sean Ike しか写っていないので Michelle “The Belle” Camilleri はゲストかと思われますが、2014年のアルバムにも参加していたのでライブには同行しないメンバーなんでしょうか。他で活動をしていたりしないのかと検索もしましたが、レコーディングはこの Third Coast Kings しかヒットしませんでしたので多分正式メンバーと思われます。
 1曲目の Come On はインストナンバーで、ライブのオープニングでボーカルが登場する前に使われそうな単純なリフで盛り上がる曲です。Give Me Your Love では、Michelle“The Belle”Camilleri のパワフル・ボーカルがメイン。Cop It Proper はギターの印象的なリフがカッコイイ、ニュー・マスター・サウンズ系のインスト・ファンク。Emcee Marie でやっとボーカルの Sean Ike が登場のミドル・テンポ、曲が進行するにしたがって熱く歌い上げるのが印象的、Crush It はホーン部隊の不思議なアンサンブルが魅力的なジャズ・ファンクのインスト。Tonic Stride では軽めのギターカッティングで始まるファンクで、再度登場の Michelle “The Belle” Camilleri のボーカルはどすも聴いててやっぱり聴いてて気持ち良い。Roughneck ではボーカルは Sean Ike に交代、曲調もあるんですがクレージー健さんに似ているような歌い方ですかね。Gold Brick は、ブラス中心に作曲としたことがわかるインスト。Spicy Brown はタイトル通りの曲調と歌い方。そして On The Reel でニュー・マスター・サウンズ風に戻り Case Quarter のワウをかけたギターの単音リフは大好きなパターンです。締めくくりは Summalove は少しメローになって締めくくりです。
 いやあ楽しいバンドです。しかしながら、公式ページ Third Coast Kings.com を見てみましたが2017年からライブも休止しているようで既に活動は終わっているようです。残念🎵


vocals : Michelle "The Belle" Camilleri (2,6), Sean Ike (4,7,9)
guitar : Andy Filisko
bass :  Nate Ayers (1 to 7, 9, 10, 12), Steve Barker ( 8, 11)
drums : James "Gemstone" Keovongsak
congas : Nick Ayers (4, 7, 9, 10)
tambourine : Michelle Camilleri (3), Nick Ayers (9)
alto sax : Brian Einstein Lassiter (1, 3, 6, 8, 9)
baritone sax : Brian Einstein Lassiter ( 2, 4 to 8, 10 to 12)
tenor : Alec Cooper (1, 2, 4 to 12)
trumpet : Ryan Dolan
trombone : Terry Kimura (1, 3 to 5, 7 to 12)

recorded at Case Quarter, Detroit, MI in 2011.

1. Come On
2. Give Me Your Love
3. Cop It Proper
4. Emcee Marie
5. Crush It
6. Tonic Stride
7. Roughneck
8. Gold Brick
9. Spicy Brown
10. On The Reel
11. Case Quarter
12. Summalove





  

2024年3月10日日曜日

Grant Green / I Want To Hold Your Hand

 


 最初の試聴はいつもの音楽好きの集う「おでんバー」で、普通に常連の皆さんとともに、このアルバムを聴いて、皆さんの評価も良いもなく悪いもなく聴いてきたのですが、再度自宅で聴き直しながらレビューを始めようと思ったとこころ、なんと表題の曲はあの Beatles 1963年のヒット曲で全く気付いていませんでした。私生まれてはいなかったものの、さすがにこの曲は知っています。同じくビートルズのヒット曲をタイトルにしたジャズ・アルバムと言えば、1967年 Wes Montgomery の A Day In The Life 1969年 Basie On The Beatles なんてとこがあります。ジャズ業界もレコード売り上げが低迷してきて、ポップス業界の人気アーチストのカバーでリスナー開拓の作戦と推測はつきますが、ライナーノーツには少し違った見方も書かれています。「ジャズミュージシャンたちは時代のポピュラーソングをレパートリーに加えてきた。それらを自分たちの個性の表現として用いてきたのだ /  Ira Gitler」確かにスタンダードと言われる曲のほとんどは昔の映画音楽やミュージカルの曲です。もともとの曲のエッセンスとも言えるテーマを取り出して、それを基に独自の解釈では発展させ、同じ曲を異なるミュージシャンが演奏するものを、どの演奏が良い、このメンバーのものが最高だ、などと批評するのがスタンダードジャズの楽しみ方の一つでもあります。Beatles の曲を取り上げたのはセールスの為ではないとは書いてはいないが、文脈にそれがうかがえるのはどうなんだろうか。ビジネス的な要素が全くないとは言えるのかは怪しいところだと私は思います。


 さてレビューしましょう。I Want To Hold Your Hand は前述のようにビートルズのヒット曲。メロディーラインははっきりしているものの、原曲を感じられないので軽薄には感じられません。Larry Young のオルガンによって映画音楽のような軽めのジャズになっています。Grant Green は無難に弾いています。タイトルにしてはジミな印象です。Speak Low は良い感じにジャズしてます。テンポは速めです。この曲は Walter Bishop Jr.Trio / Speak Low のイメージが強いですが、Grant Green の方が好きかもしれません。Elvin Jones のうねる様なドラムも快適でこれは良い。 Stella By Starlight は。Larry Young のオルガンによる味付けが素晴らしいです。どうやら、ビートルズより往年のスタンダードの方がジャズに愛称は良いようです。Corcovado これも選曲が良いですね。グリーン特有のブルージーでソウルフルなジャズギターで凄みはないものの上質な音楽を感じます。This Could Be The Start Of Something 1956年 Steve Allen により書かれた楽曲です。Allen's NBC talk show のために書かれたものであるとのことで非常に親しみやすいテーマでさりげなくポップな一面も感じるライトな曲になっています。ラストは、1975に American jukebox musical comedy film のために書かれたスタンダード At Long Last Love です。ミディアムテンポのリラックスしたブルース・セッションのような雰囲気で曲は進行します。コンサートのラストはこれで締めくくると落ち着きます。これも選曲が良いですね。
 結果、私はタイトル曲が今いちだったものの、オルガンを入れた自由度のある親しみやすい演奏に、ライブを見に行っているかのようなリラックスを感じる印象でした🎵

guitar : Grant Green
organ : Larry Young
drums : Elvin Jones
tenor sax : Hank Mobley

producer : Alfred Lion

recorded on March 31, 1965 at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey

1. I Want To Hold Your Hand
2. Speak Low
3. Stella By Starlight
4. Corcovado
5. This Could Be The Start Of Something
6. At Long Last Love





  

2024年3月9日土曜日

Larry Carlton


 アルバム購入は若い頃ではなく40代の時に、どこかの中古屋で手にして「そういえば、これも若き日の思い出」と何気なしに手に取ったはず。カールトンは1971年から1976年まで Crusaders に参加していて、このアルバムはクルセイダーズから独立して、ワーナーでの第一弾の作品1977年リリースの作品。邦題で「夜の彷徨」「ルーム335」収録の懐メロです。世代ではありますが、これを聴いて育ったもは私よりも少し上の世代でしょうか。ラジオや喫茶店ではさんざんかかっていたので、いやと言うほど耳にしていたので335は間違いなく私の中に何かを残しています。
 改めて聴くと、この Room 335 には色々な発見がありました。まずはレコーディングスタジオの名前が Hollywood のラリーの自宅スタジオ「Room 335」であるということ。ギターはもちろんGIBSON ES-335、アンプはメサブギーのMkⅡcとのこと。またこの曲には元曲があり、Steely Dan / Ajan の楽曲の PEG であること。ギターは Larry Carlton で、モチーフと書いてありましたが結構マンマです。ちなみに Room335 で検索してたら出雲の松江にある カラオケルーム335 がヒットしました。さぞやオーナーは ラリーカールトン好きかと思いきや、DANCE☆MAN とコラボしたカラオケでした。(全く関係ありませんね)


 正直 Room 335 と Rio Samba しか記憶に残っていないアルバムですので再度聴き直してレビューしてみましょう Room 335 youtubeでも様々なバージョンが録音されていますし、この曲の完全コピーをしているギタリストも多数います。改めて元祖を聴くとストリングスが入ったリッチなサウンドです。改めて聴いてもギターソロは、細かできっちりと計算されたような構成とテクニックで完成された音楽です。名曲中の名曲。Where Did You Come From はボーカル曲です。当時のフュージョン・アルバムには結構な確率でボーカル曲が入っているもので、そこそこの完成度なのですがマニアックなものが多いです。こうやって聴くと日本の Spectrum もアースだけでなくここら辺にも影響があるのかなと思います。Nite Crawler は、Crusaders のアルバムにも収録されているナンバーでサックスパートがギターソロに変更されています。Point It Up ロックっぽい硬派な音が魅力のフュージョンで、今ではこの程度の速弾きは速弾きとは言わないのかも知れませんが、当時では驚異的に正確なピッキングの速弾きだったと思われます。Rio Samba ここで、やっとギター・フュージョン・サンバの名曲が登場です。キーボードの Greg Mathieson のソロも鮮烈です。I Apologize は、アメリカンなボーカルナンバー。Don´t Give It Up は、ジェフベックでも聴いたことのあるタイプのシャッフルのリズムのロック・フュージョンです。曲としては良いのですが335の出来が良すぎてかすみます。 (It Was) Only Yesterday 最後に哀愁のバラードですが、もっとブットい音が似合う曲で Larry Carlton のギターは今一軽い。
 正直、再度聴いても Room 335 は飛びぬけて出来の良い名曲で、アルバムのバランスも何もあったもんじゃありません。たまに他の曲も聴いて思いだすこととします🎵

guitar, vocals : Larry Carlton
keyboards : Greg Mathieson
bass : Abraham Laboriel
drums : Jeff Porcaro
percussion : Paulinho Da Costa
backing vocals : William "Smitty" Smith

producer, engineer : Larry Carlton
recorded by (strings) : Paul Dobbe

recorded & mixed at Room 335, Hollywood, CA
strings Recorded at Western Studio #1, Los Angeles, CA

1. Room 335
2. Where Did You Come From
3. Nite Crawler
4. Point It Up
5. Rio Samba
6. I Apologize
7. Don´t Give It Up
8. (It Was) Only Yesterday





  

2024年3月8日金曜日

Carl Sherlock Homes Investigation / Investigation No1


 札幌の中古レコード屋で、店主の書いた帯のおすすめ文句につられて買って、大当たりでした。フィラデルフィア出身でギタリスト/ヴォーカリストとして活躍したCarl Sherlock Holmesが、Curtis R. Statenのレーベル名門シグマ・サウンドで録音したアルバムで、レア・グルーブの復刻版としてCD化された作品とのこと。まあマイナー・レーベルからの発売なので爆発ヒットでもあるはずもなく、発売は1974年だから私は当時9歳ですので、その頃にラジオなんてのも聞いているはずもない。
 ですが、このクオリティは恐るべきアメリカの70年代。一枚しかアルバムを出していないが最高のグループは星の数ほどあります。お金はナンボあっても足りませぬ。


 それでは久しぶりに聴きながらレビューしてみましょう。Investigation 意外と少ないパターンのタイトル曲が先頭ですね。良くできたインスト・ファンク・ナンバーですが、売れ線風のサウンドの中に FUNK. INC っぽい初期の三流アシッド・ジャズ風のギターリフとブラスがとても良いです。Close to You そしてコーラスにリバーブがガンガンにかかったメロー・ソウルですが少しセールスを意識したんでしょうか?元曲はカーペンターズです。三流だけど演奏は一流ですね。よく研究されています。Black Bag も、1曲目と同様のインスト・ファンクです。これは Eddie Roberts' West Coast Sounds / It's About Time でもカバーされているナンバーで、ギラギラのギター・リフが印象的です。Think It Over そして交互にきます。メロー・ソウルのリバーブがガンガンのコーラス。フィラデルフィアのソウルは確かにこのパターンが多いですね。Modesa フルートで始まるラテン・ソウルも適度にマイナーで悪くない。Your Game これは正統派のソウルかと思いきや、聴いたことがあるコード使い。ライナーノーツを見れば、マービン・ゲイの「What's Goin On」を引用したとあるが、引用した面影は少々でした。Get Down Philly Town フィラデルフィアの町はフィリー・タウンと言うんですね。でもフィリー・ソウルよりは、ディスコチックなスライのサウンド。It Ain't Right は、ミドルテンポのファンクで、良い意味で古臭くて好感。ここら辺がこのバンドの良い持ち味っぽいですね。The Pot's Hot これも前曲の流れを汲むファンク・ナンバーだがインストです。エフェクトでファズを過剰にかけてしまったギターも少し前の音のレトロサウンド。
 久しぶりに聴いたので、頭に残っていた印象より、三流ジャズ・ファンクに近いサウンドは私の好物です🎵

lead vocals, lead guitar : Carl "Sherlock" Holmes
backing vocals : Jimmy Reynolds

organ : Sly
piano : John Hammond
guitar : Chubby Brown
bass : Chico Green
bass, backing vocals : Jimmy Towns
congas : Peachie, Cupit
drums, backing vocals : Charles "Hoppy" Harris
alto sax : Ray Wright
flute, baritone sax : John Daves
tenor sax : Art Grant, Middy Middleton
vibraphone : Dicke

producer, liner notes : Curtis R. State

recorded at Sigma Sound Studio Philadelphia, PA.

1. Investigation
2. Close to You
3. Black Bag
4. Think It Over
5. Modesa
6. Your Game
7. Get Down Philly Town
8. It Ain't Right
9. The Pot's Hot





  


2024年3月3日日曜日

Eric Dolphy / Last Date

 

 Eric Dolphy はアルトサックス、フルートなどを演奏し、バスクラリネットをジャズのソロ楽器として取り入れたスタイルのマルチリード奏者。このアルバムは、ドルフィーがオランダを訪れ、現地の優れたジャズ・ミュージシャンらと共演した1964年6月2日の録音。レコーディングの幹部とスタジオの職員を招待したオランダのラジオ局の放送用録音とのことで、おそらく会場の人数は少ないのでしょう。スタジオライブ形式で観客の拍手もまばらです。この録音から1か月も経たない6月29日にCharles Mingus楽団のヨーロッパツアーに参加中、糖尿病による心臓発作のため、西ベルリンにおいて享年36歳で亡くなっています。
 ドルフィーをアルバムとして聴くのは初めてで、独特の曲と、超人的な感性と発想で演奏される衝撃的なフレーズは私の今まで聞いてきた音楽の中でも類似するものが無くて、独特の世界観で共演してドルフィーに呼応するヨーロッパのミュージシャンの演奏もこれまた素晴らしい。
 アバンギャルドなバス・クラリネットのブローから始まる「Epistrophy」のモンクを進化させてようなテーマと縦横無尽のバス・クラのアドリブで最初に不意打ちをくらいます。また、Hypochristmutreefuzz、Miss Ann などは抽象的でありながら法則性を感じる造形美のような美しさを感じます。You Don't Know What Love Is はドルフィーの世界観を保ちつつも凛としたフルート演奏でハッとする美しさがありどこかクラシックのような響きも美しい。このアルバムでドルフィーのプレイは感性的でありながら脳ミソを振り絞って思考もしているようにも感じてしまいます。
 さてドルフィーのこのアルバム時期の色々なことを調べているうちに色々なことがわかってきました。これほどの演奏をする人だったのにギャラは安くてミンガスのグループとして渡欧したついでに、ついにアメリカで食うことを諦め、ヨーロッパを活動の拠点に定めようと決意したその門出になるハズだった録音がこれで、レコーディングの後、ドルフィーはトリオのメンバーに、彼らと再び仕事をする計画について手紙を書いていたそうです。
 ちなみにColtraneは何度か彼と共演もしましたが, インプロバイザーとしての彼の才能を高く評価していたようで、遺品のバスクラリネットとフルートは両親からColtraneに受け継がれているそうです。


 それではレビューです。Epistrophy オリジナルは お馴染みの Monk ですがバス・クラリネットでボーっとやられると、かなり不気味な曲になりミステリアスな曲となります。一発目から素晴らしい。South Street Exit は、Eric Dolphy自身のオリジナルで、ここではフルートでの一発をスリリングに爽やかな音色で吹いていますが、気の向くまままに吹いている感じが一味ちがいます。The Madrig Speaks, The Panther Walks これはアルトでの一発。持っている感覚が普通ではない、独特の音楽感が不気味に心地よい。Hypochristmutreefuzz やたら長い曲名です(ヒポクリストマトリーファズ)ピアノの Misja Mengelberg (ミシャ・メンゲルベルク)による楽曲で、この人も相当いかれた音階の感覚の持ち主なのでしょう。ピアノに注目して聴いていると改めて凄いなあと思っていたら、Eric Dolphy が乱入、いや同じような感じなので伴走ですね。うんこれも凄い演奏です。You Don't Know What Love Is は、クラシック現代音楽風です。ここら辺に垣根は無いのかもしれません。Miss Ann ラストは Eric Dolphy オリジナルで、徹底した世界観がここでも発揮されます。そして、アルバムの演奏が終わった最後には、この録音の前の4月にインタビューでの彼の肉声で締めくくられていて、ファンにとってはジンとくるものでしょう。When music is over, it's gone in the air. You can never capture it again.🎵

alto sax, bass clarinet, flute : Eric Dolphy
piano : Misja Mengelberg
bass : Jacques Schols
drums : Han Bennink

producer: Radio Jazz Club

recorded June 2, 1964, Hilversum, Holland.

1. Epistrophy
2. South Street Exit
3. The Madrig Speaks, The Panther Walks
4. Hypochristmutreefuzz
5. You Don't Know What Love Is
6. Miss Ann





  

2024年3月2日土曜日

David Lee Roth / Crazy from The Heart


 懐かしい David Lee Roth(デビッド・リー・ロス)のソロのEPです。「熱くてとち狂ってまったぜ」ってタイトルで、往年の名曲をカバーした粋なアルバム。デイブの魅力が余すことなく発揮されてます。
 なんでも元々VAN HALENは売れない下積み時代は、小さなライヴハウスで、JazzやBluesを中心に活動していたとのことで、David Lee Roth の略歴を調べてみると1954年10月10日生まれで、両親はロシアとウクライナから来たユダヤ人移民の子孫で医師の息子としてインディアナ州ブルーミントンに生まれたそうです。また、明るく豪快で華やかなキャラクターから「ダイヤモンド・デイヴ」の異名を持ち、剣術を好み、12歳から学んでいる。カリフォルニア州パサデナにある自宅のことをMojo Dojo「魔法の道場」と呼んでいる。読んでいる。バンドのエンターテインメント性重視の路線で、1970年代に在籍のバンド RED BALL JETSから Van Halen 兄弟に引き抜かれたとのこと。David Lee Roth は金持ちだったようでPA機材を Van Halen の兄弟のバンドに貸していたためレンタル料を惜しんでの引き抜きとも言われているが、加入後もきっちり兄弟にレンタル料を請求しているとのことで実力を買っての引き抜きだったようです。そして Van Halen での素晴らしい活動を経て、1985年 ソロ名義の本作をリリース。同年4月にバンドを脱退して完全にソロ活動へ転じています。つまり Van Halen を脱退する契機となったアルバムのようです。Van Halen はその後、Sammy Hagar をボーカルに迎い入れますが私としては Van Halen と言えば David Lee Roth です。私としては残念な限りです。と調べるうちに、David Lee Roth Official Website も見ましたが California Girls Director's Commentary..のサムネ画像が表示されるのみ。何かエンターテイメント性、芸術性を感じますね。


 それではレビューです。 Easy Street は Dan Hartman による楽曲で1974年の The Edgar Winter Group が元曲のようです。(https://youtu.be/oyRyowu7hCM)ほぼ元曲の再現でありますが、 David Lee Roth の方が、もっと情感を込めて、いやらしく歌っています。そしてメドレーです。Just A Gigolo は、あの Tea for Two を作った Irving Caesar がイタリアの Leonello Casucci の オーストリアタンゴ「Schöner Gigolo, armer Gigolo]を英訳した楽曲、I Ain't Got Nobody は Spencer Williams のヒットソング。明るく燕尾服でも着て踊りながら歌っているような歌いっぷりは、とても下品な歌声で素晴らしい。California Girl は、The Beach Boy の1965年楽曲です。リアルタイムで聴いてはいませんが、ラジオなどで聴いて今いました。これもアレンジは、ほぼ原曲のままですがギターにディストーションが目いっぱいかかっています。元曲が良いといつまでも聴けますね。ラストは Coconut Grove は John Sebastian の楽曲で、とても心優しいメロディーの名曲。この人の曲はグッド・タイムス・ミュージックと言われていたらしいが、ウッド・ストックではラリラリで登場した伝説も持つ方のようです。
 下品な声と歌い方だけではなく、非常にエンターテイメント性が高いボーカリストで奥が深い🎵

vocals : David Lee Roth
backing vocals : Carl Wilson (3)
synthesizer : Brian Mann (1 - 3), Edgar Winter (3)
bass : Willie Weeks (1 - 3)
drums : John Robinson (1- 3)
guitar : Dean Parks (4), Eddie Martinez (1-3), Sid McGinnis (1-3)
keyboards, sax : Edgar Winter (1, 2)
percussion : Sammy Figueroa (1- 3)

James Newton Howard (4)

1. Easy Street
2. MEDREY
Just A Gigolo : I Ain't Got Nobody
3. California Girl
4. Coconut Grove





  

2024年3月1日金曜日

Soulive / No Place Like Soul


 オルガン・ファンクのイメージ、ジャム・バンド/クラブ・ジャズがこのバンドの代名詞と思っていたのが、通算7作目で路線変更。ジャズ・ファンクっぽさは無くなりアグレッシブに・・・ボーカル加入によって力強さが加わったファンク・ロックになりました。
 賛否両論あるのは当然かなと思いながら、インストやライブ音源の曲を申し訳ない程度に残したのは旧来のファンへの気遣いかもしれないが、振り切っていないなあ、等々思いながら聴いています。しかし別のバンドと思えば、なかなかよい味を出しているアルバムだと思います。またこのサウンド、世界的なメジャーになっても、おかしくないと思えるが今いち売れていない、私の好きなスウェーデンのアーチスト。Paulo Mendonca / 11PM を思い出させてくれるサウンドでもあります(つまり、売れないってことか?残念ながら)
 

  それではレビューです。Waterfall は、スライのノリの完全ファンクです。力強い Toussaint(トゥーサン)のボーカルで、いつもと違う雰囲気がしょっぱなから漂います。この新メンバーのトゥーサンは、ボストンを中心に活動していたソウルシンガーで、イーストコーストのツアー中にリーダーのクラズノーと知り合いソウライブのツアーに参加し今回正式メンバーとなったようです。Don't Tell Me は、前述した Paulo Mendonca の楽曲と似たテイストのファンクロックです。リフのため方とシンコペーションの取り方が全くそれで大好きです。Mary は出だしがアコースティックですが、このベースラインは、やはり Paulo Mendonca ですね。ボーカルのメロディーラインまでも似ています。絶対ツアー中に Paulo Mendonca をかけまくっていたに違いありません。Comfort ここら辺でソウライブらしさを出さないとパクリに終始することになりますね。と思っていたら変えてきました。が少々インパクトが弱い楽曲です。Callin' で、またベースとドラムの入れ方が Paulo Mendonca に戻りましたが曲自体はレゲエも感じさせるポップな曲調です。うーん違うバンドみたい。Outrage は、レイボーン風のブルース・ロックのインストです。ここら辺はブルース・ロック好きなバンドの定番のようなものですから何も言うまい。Morning Light レゲエに寄せてきましたね。と思いましたがそうでも無い。少しイモっぽいかな。でもアルバムのアクセントになってます。Never Know は、爽やかです。フォーク・ソウルっぽいです。おそらくここら辺は新ボーカルの持ち味なんでしょう。これはかなり変化球で良いです。Yeah Yeah では、従来のソウライブっぽい感じとスライが混在したような感じです。ありですね。If This World Was A Song これは完全にレゲエ寄せです。One Of Those Days は、ロックなギターリフからファンクを交互に行き来します。大好きです。Bubble は、実験的な変則インスト・ロックですが、ここら辺はソウライブの良いところっぽいような気がします。 Kim では、スローなソウル・ファンク・ロックな一面です。良いですね。少しだけ Paulo Mendonca がいますが。そしてラスト2曲は【Japanese Bonus Tracks】 Steppin'、Azucar は従来のファン向けのサービスのライブ音源、
 今までのゴリっとしたオルガン・ファンクではないけど新しく発見したバンドと思って聴けば、かなりのクオリティなアルバムです🎵

lead vocals : Toussaint
guitar  Eric Krasno
bass : Neal Evans
drums : Alan Evans
keyboards : Neal Evans

producer : Stewart Lerman
recorded by : Stewart Lerman (1 to 11)

1. Waterfall
2. Don't Tell Me
3. Mary
4. Comfort
5. Callin'
6. Outrage
7. Morning Light
8. Never Know
9. Yeah Yeah
10. If This World Was A Song
11. One Of Those Days
12. Bubble
13. Kim
【Japanese Bonus Tracks】
14. Steppin'
15. Azucar





  

2024年2月25日日曜日

Thelonious Monk / The Classic Quartet

 

 1963年5月23日、東京放送テレビ(TBS)のスタジオGでのスタジオライブ音源です。マスタリング界の巨匠バーニーグラインドマンによりオーディオ修復、リマスタリングが完璧に行われたと書いてあります。しかしながら音質は完璧ではありませんでした。
 いつもの音楽好きの集う「おでんバー」に本アルバムを持っていったところ見慣れないジャケットにマスターも興味深々。今のところモンクは今一という人はこのバーにはいません。モンク好きではありますが、全ての音源を聴いている訳では無く、この音源は聴いたことが無いそうなので期待度大でした。しかしながら、聴き進んでも何かパッとするものがありません。他に客はいない中、つまみを作ってくれていたマスターも、途中で「何かつまんんないね」と一言。テレビのスタジオライブの音源なので録音状態は良いものと思っていましたが、モノラルでの録音でもあり残念ながら音質が良くない。このライブは演奏のクオリティの前に音源として何かが欠けているような気がします。音に覇気がなく何か惰性で演奏しているような、ただの録音のような気がしてしまいます。
 録音が悪いのか、そのような時代だったのか?1963年は Columbia に移籍して Monk's DreamCriss Cross などを発表し5月21日のサンケイホールのライブ Monk in Tokyo などが録音されています。Monk in Tokyo は、この録音の2日前だけに聴いてみたいものであります。


 それではレビューしてみましょう。Epistrophy 収録はお馴染みのナンバーばかり。1941年のモンクとケニークラークの共作。ミントンズのプレイハウス時代から各セットの最後を飾る曲。正調な感じで録音されていてモンクの崩し方、チャーリーラウズも迷うことなくソロを吹いている。Ba-Lou Bolivar Ba-Lues-Are B♭のブルースで Briliant Corners が初録音、私の所有コレクションでは  Live At The It Club にも収録されています。淡々としたブルースの演奏であります。冒頭曲から淡々とした演奏で特に盛り上がるところも無い。Frankie Dunlop のドラムソロあたりで、そんなことを思い始める。モノラル録音なのも単調な感じを増幅させているかもしれません。Evidence は The Nonet!Piano Solo On VogueMisteriosoLive At The It Club の数多くの作品に登場します。この作品では、ひたすら機械的にコードを規則的に不規則に弾き続けるのが印象的。ただ何かの義務感のように演奏しているかのようです。Just A Gigolo は20年代に作曲されたスタンダードで珍しいように思ったが、Monk's DreamThe Thelonious Monk Trio に収録されている常連曲。Blue Monk は、モンクが数多くの作品で演奏しているブルースです。
 録音状態だけで、これほど聴き手の印象に影響を与えるものかと、何か何かモヤモヤする作品です🎵

piano : Thelonious Monk
tenor sax : Charlie Rouse
bass : Butch Warren
drums : Frankie Dunlop

producer : Takeo Yokota

recorded at T.B.S. TV, G. Studio on May 23, 1963.

1. Epistrophy
2. Ba-Lou Bolivar Ba-Lues-Are
3. Evidence
4. Just A Gigolo
5. Blue Monk





  

2024年2月24日土曜日

Tony Monaco Yosuke Onuma & Gene Jackson / Live at Cotton Club , Japan


 オルガン、ギター、ドラムのトリオ編成です。トニー・モナコは、8歳からアコーディオンを始め、ジミー・スミスの演奏を見てジャズオルガンを目指します。10代で地元オハイオ州コロンバスのジャズクラブで演奏を始めましたが、15歳で神経性筋委縮症で入院。退院後に両親からはハモンド・オルガンをプレゼント7された。そしてジミー・スミスのオフィスにデモテープを送付し16歳からジミースミスに師事して20歳で師匠と初共演。しかし1980年~2006年までは父親からの願いと早くに結婚し子供もできたことにより音楽ではない仕事についていた。2000年に友人のジョーイ・デフランセスコのプロデュースでアルバムをリリースし、ジャズウィークのTOP10入りし2枚目の作成を目指す。それからオルガン一本で生計を立てている。
 そんなジミー・スミスの愛弟子トニー・モナコと、2011年5月のコットンクラブ公演を機に結成されたオルガン・トリオで、2012年6月29日のコットンクラブ公演の2ndセット全曲が演奏順に収録された生音源で、収録は実は2日間4セット行われているとのこと。つまりは数十年後にコンプリート版が出る可能性もあるということですね。


 それではレビューです。Answering Service オープニングはブルース・セッションでお出迎えです。軽めのお気軽セッションで肩慣らしといったところでしょうか。Nice To Be With You モコモコ・サウンドから突き刺すようなサウンドまで変幻自在なオルガンサウンドで始まり小沼氏のオーソドックスなスタイルのギターが非常に気持ち良いオルガン・ジャズ・サウンド。Happy Play Ground は小沼氏のギターから始まるアシッド・ジャズ風のファンク・ジャズです。息もピッタリのご機嫌なナンバーです。主役は小沼氏になり樹生無尽の弾きっぷりはさすが。Aglio E Olio は、パスタ料理のアーリオ・オーリオが楽曲名になっています。どなたの曲かは不明ですがテーマの進行具合からしても即興セッションではない?のでしょう。高速で進行します。Happy Sergio もどなたの曲かはわかりませんでした。ボサノバであることからして Sergio Mendes を祝う曲であることは確かでしょう。Called Love は、ボーカルものです。歌は Tony Monaco です。ファンサービスのようなものですね。アットホームな雰囲気がとても良いです。I`ll Remember Jimmy これはトニーモナコの曲でしょう。師匠のジミースミスの賛歌ですね。Slow Down Sagg でライブは終了します。これは師匠 Jimmy Smith の曲です。耳覚えもありますが本家の演奏を聴いたのか?誰かのカバーかは覚えていませんがメンバーも最後はノリ良く演奏しています。小沼氏も珍しく荒々しくギターをかき鳴らしています。オルガンでベンドのような芸当も飛び出して客も大喜び。
 ハモンドオルガンという楽器は、刺激的で味があります。濁っていて音に揺れがあって肉声的であるのに、機械的な音伸びがありますし、私は細かいリズムのバッキングよりも、ロングトーンで、ビブラート効かせたキメの時にグッときます。小沼ようすけ氏の、指弾きならではの絡みつくようなギターフレーズも相性良くオルガンと絡んでいます🎵

organ : Tony Monaco
guitar : Yousuke Onuma
drum : GeneJackson

1. Answering Service
2. Nice To Be With You
3. Happy Play Ground
4. Aglio E Olio
5. Happy Sergio
6. Called Love
7. I`ll Remember Jimmy
8. Slow Down Sagg