最初の試聴はいつもの音楽好きの集う「おでんバー」で、普通に常連の皆さんとともに、このアルバムを聴いて、皆さんの評価も良いもなく悪いもなく聴いてきたのですが、再度自宅で聴き直しながらレビューを始めようと思ったとこころ、なんと表題の曲はあの Beatles 1963年のヒット曲で全く気付いていませんでした。私生まれてはいなかったものの、さすがにこの曲は知っています。同じくビートルズのヒット曲をタイトルにしたジャズ・アルバムと言えば、1967年 Wes Montgomery の A Day In The Life 1969年 Basie On The Beatles なんてとこがあります。ジャズ業界もレコード売り上げが低迷してきて、ポップス業界の人気アーチストのカバーでリスナー開拓の作戦と推測はつきますが、ライナーノーツには少し違った見方も書かれています。「ジャズミュージシャンたちは時代のポピュラーソングをレパートリーに加えてきた。それらを自分たちの個性の表現として用いてきたのだ / Ira Gitler」確かにスタンダードと言われる曲のほとんどは昔の映画音楽やミュージカルの曲です。もともとの曲のエッセンスとも言えるテーマを取り出して、それを基に独自の解釈では発展させ、同じ曲を異なるミュージシャンが演奏するものを、どの演奏が良い、このメンバーのものが最高だ、などと批評するのがスタンダードジャズの楽しみ方の一つでもあります。Beatles の曲を取り上げたのはセールスの為ではないとは書いてはいないが、文脈にそれがうかがえるのはどうなんだろうか。ビジネス的な要素が全くないとは言えるのかは怪しいところだと私は思います。
さてレビューしましょう。I Want To Hold Your Hand は前述のようにビートルズのヒット曲。メロディーラインははっきりしているものの、原曲を感じられないので軽薄には感じられません。Larry Young のオルガンによって映画音楽のような軽めのジャズになっています。Grant Green は無難に弾いています。タイトルにしてはジミな印象です。Speak Low は良い感じにジャズしてます。テンポは速めです。この曲は Walter Bishop Jr.Trio / Speak Low のイメージが強いですが、Grant Green の方が好きかもしれません。Elvin Jones のうねる様なドラムも快適でこれは良い。 Stella By Starlight は。Larry Young のオルガンによる味付けが素晴らしいです。どうやら、ビートルズより往年のスタンダードの方がジャズに愛称は良いようです。Corcovado これも選曲が良いですね。グリーン特有のブルージーでソウルフルなジャズギターで凄みはないものの上質な音楽を感じます。This Could Be The Start Of Something 1956年 Steve Allen により書かれた楽曲です。Allen's NBC talk show のために書かれたものであるとのことで非常に親しみやすいテーマでさりげなくポップな一面も感じるライトな曲になっています。ラストは、1975に American jukebox musical comedy film のために書かれたスタンダード At Long Last Love です。ミディアムテンポのリラックスしたブルース・セッションのような雰囲気で曲は進行します。コンサートのラストはこれで締めくくると落ち着きます。これも選曲が良いですね。
結果、私はタイトル曲が今いちだったものの、オルガンを入れた自由度のある親しみやすい演奏に、ライブを見に行っているかのようなリラックスを感じる印象でした🎵
guitar : Grant Green
organ : Larry Young
drums : Elvin Jones
tenor sax : Hank Mobley
producer : Alfred Lion
recorded on March 31, 1965 at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey
1. I Want To Hold Your Hand
2. Speak Low
3. Stella By Starlight
4. Corcovado
5. This Could Be The Start Of Something
6. At Long Last Love
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