邦題は「バードランドのコルトレーンとドルフィー」帯には「絶頂期のコルトレーンとドルフィーが繰り広げる究極のインプロビゼイション」と何やら激しい煽り文句が書いてありますがどうなのか?その昔、岡本太郎が「芸術は爆発」だと言ってました。なかなかの激しさでこれが芸術なんだなあと思わせる作品でした。
ちなみに音楽好きの集う「おでんバー」の住人は Eric Dolphy 好きな人が多数派を占めますので、このアルバムは皆様称賛でした。常連になればフリー・ジャズ、ノイズなども聴かされながら段々と洗脳され、私も慣れてきたので、今は普通に面白く聴けますが10年前はフリー・ジャズ、ノイズ、演歌は拒否派だったのが不思議です。
エリック・ドルフィーは、フリー・ジャズではない伝統的なジャズの境界線に留まりながら、限りなくフリーキーな演奏を信条とするミュージシャン。コルトレーンは1965年からフリーのアルバムを発表していきます。本作は1962年の2日間のラジオ番組でのバードランドの演奏が収録されたものです。元音源は2日分あるため様々な組み合わせでアルバム化しており、ジャケットには様々なバージョンがあるようです。また、この収録はコルトレーンのAfrica Brass の録音の2日後で、Eric Dolphy 以外は同一のメンバーです。
それではレビューしましょう。My Favorite Things バグパイプのようなコルトレーンのテナーが、印象的で自己を開放したプレイであると小川隆夫氏がライナーノーツで解説していますが、確かにその通り。荒々しい McCoy Tyner のピアノも意気込みを感じるしエリック・ドルフィーのフルートも優しい音色なのに荒ぶるアドリブで聴く方が疲れてしまうような熱のこもった演奏です。ちなみに My Favorite Things は My Favourite Things の誤植のままこのCDも発売されています。続く Body And Soul は、正調っぽく幕を開けますが、ドラムの Elvin Jones だけ最初の方はノリノリの煽りを入れていて空回りしているような気がします。演奏が進むと段々とクールダウンしているのか聴いているほうの耳が慣れてきているのか?ここではコルトレーンはいつも吹きまくり戦法なのでホッとします。4分15秒過ぎの人のしゃべり声を消したのか、マイクの位置が悪くてビビっているのか奇妙な音が気になりました。 Mr. P.C は、コルトレーンは最初から気合が入り、暴走機関車のように飛ばしまくっています。全精力を出し切ったかのようなプレイにエリック・ドルフィーも俺にも吹かせろとばかりに、コルトレーンのソロの終わりに被せててからの力技は壮絶。芸術性の前にパワーが炸裂しています。ここでも McCoy Tyner のピアノも荒ブっています。そりゃそうなりますよね。Miles' Mode は、コルトレーンがマイルスの元でモードのイディオムを身に付けた曲ですね。ゴージャスな感じでインテリっぽく夏量はありますが暴力的ではない演奏です。しかし、こんなライブはやっているほうも疲れますが聴いているほうも疲れます。深夜のラジオでこの演奏は酒を飲みながら聴いていたら、酔っぱらいそうですね。
音質はあまりよくないものの、それによって演奏の熱量が減じて聞こえることも無く魅力のある一枚ですが、万人受けではないでしょう🎵
tenor sax, soprano sax : John Coltrane
alto sax, bass carinet, flute : Eric Dolphy (1, 3, 4)
piano : McCoy Tyner
bass : Jimmy Garrison
drums : Elvin Jones
radio broadcast at Birdland, New York City at midnight on February 9, 1962 (1, 3, 4)
track 1 is My Favorite Things. CD spells it My Favourite Things.
0 件のコメント:
コメントを投稿