それではレビューしていきましょう。Little Fly 可愛らしいメロディーで歌い上げるテーマはハエです。おぞましいハエではなくチョロチョロと動き回るハエを愛らしく見つめる歌でしょうか。Knowledge Of Good And Evil エスペランザらしい広がりを持つ曲で、彼女の持つ歌の音階は独特で中毒性があります。アドリブ部分はボーカルではなくまさにボイス。声も楽器です。Really Very Small 中近東的な音階のコーラスのイントロ、変拍子の動きの大きなベースライン、歌詞は無くボイスで全てが表現されています。何が小さいのか?またハエに戻ったのか?Chacarera 民族音楽的なリズムに抽象的なベースとワルツリズムのピアノですが何か室内楽的な響きの曲です。調べてみたら Chacarera はアルゼンチンの民族舞踊の名前とのことでなるほど。でもリズムはアフリカンな気もします。Wild Is The Wind 今度は風がテーマです。曲名からは嵐を連想しますが、ここでは嵐の前の静けさのような厳かな雰囲気が感じられます。包み込むように映画音楽を歌うかのようなエスペランザの最高潮に達する超高音もゾクゾクします。Apple Blossom ギターの Ricald Vogt とともに歌われるフォーク調の楽曲で普通の曲です。普通に良いですがエスペランザの普通にはビックリです。 As A Sprout も、普通に室内楽的な楽曲で41秒の小曲。What A Friend そして少し怪しい雰囲気の出だしですが、この曲はエスペランザ流ポップに分類されるような楽曲で、楽器編成が違うので少し厳かな雰囲気です。Winter Sun 冬の太陽は綺麗な空気の中に冷たく少し暖かな雰囲気の光が差し込むのが嬉しいもの。少し寒い日にグレイな雲を眺めながらブランケットを羽織っている。何が比喩されているのかはよくわかりませんが曲名よりは忙しい展開の曲です。Inútil Pasagem そしてアカペラのイントロ、ささやき系のボーカル。とても可愛らしくて好きですね。エスペランザの新しい一面のような楽曲ですが音の構成は、まさにエスペランザ・ワールドです。と思っていたら Antônio Carlos Jobim の曲でした。Short And Sweet 小さくまとめたような楽曲が心和みます。Midnight Sun 最後は彼女のボイスとベースのみの弾き語りですが、ベース上手すぎ、ボーカルも柔らかな広い声域で、超絶に上下する音階を細かに操る彼女の歌は素晴らしい。
もっとわかりやすく書いてある箇所もありました。「パット・メセニー、トニーニョ・オルタの名曲をカヴァーした新人日本人ジャズ・グループSOLID NEXASから美麗ピアノ・ハウスの新定番INTER SELECTOR、さらにはシカゴ・ハウスの巨人LARRY HEARDまでを収録」こちらの方がわかりやすいですね。要は色んなのオムニバスなんだと言うこと。那須基作氏は「JAZZ integral 所属の選曲家で、コンピは Jazz For More / El Dorado を他に所有しています。こちらも素晴らしい選曲を楽しませていただいております。
それではレビューです。First Friendship は Lars Bartkuhn ドイツのフランクフルトのギタリスト、コンポーザーで1990年代から現在に至るまでハウス、ジャズ・シーンで支持を受けるアーチストとのこと。フュージョンとハウスが混ざったハッピーな楽曲。キメとブレイクがカシオペアっぽいところが日本人も好きなパターンですね。ギターは野呂さんタイプではなくファンク系とフュージョン系のミックス。 The Piano Live は Interselector の楽曲。1990年都内クラブでDJとして活動を開始した日本人クリエイター 草島 卓也氏 の活動名がこの名前らしい。DJミックスにキーボード、ギターを被せた録音のようです。ズンズンくるベースとリズムにラテン風味のハウスのキーボードがメイン。Aquelas Coisas Todas は Solid Nexus の楽曲。ネオ・エイジ・ジャズを体現したバンドで、リーダーのギター本吉大我はバークリー音楽院に留学。2005年ギブソン・ジャズ・ギター・コンテストでSolid Nexusを率いて出場し優勝しています。楽曲はスチール・パンが印象的なラテンにフルートっぽい音のギターシンセ。文字上は熱い音楽のようになりますがメチャクチャライトです。 Brazilian Love Affair は Shakatak です。お馴染みアドリブ偏重ではなくメロディと編曲を重視した親しみやすい1980年代にレベル42と人気を分かち合ったブリティッシュ・ジャズ・ファンク。名前だけ知ってて、あまり聴いてこなかったバンドです。耳に馴染みやすいジャズファンクで、これは王道。Summer Knows は Fusik(フュージック)の楽曲で、i-depの藤枝伸介(Sax)と、DJ/クリエイターcharichariこと井上薫のユニット。ここではギターのフラメンコギタリスト沖仁をゲストで迎えての楽曲です。スパニッシュですが、これも基本ライトなフュージョンの仕様です。Better Days Ahead です。Solid Nexus で2曲目になります。この曲はスチールパン無しのシンセギターとピアノが主役です。ジャズしてる感じですが、PCなどの機械で録音していくと、このタイプになりがちな若干無機質感もあります。ドライで良いです。Summer Daze は Nick Holder による楽曲。トロント出身のヒップホップ、ハウスDJ、プロデューサーとのこと。聞き流し系のポップなサウンドです。Amateras またまた Solid Nexus です。かなり 那須基作氏 の推しですね。DJ系のアーチストは一つのパターンを展開するとかブロック・パーツを組み合わせて楽曲に仕上げる感じが多いのに対し、このバンドはしっかり曲を作っているので、やはりアルバムのアクセントとして重要な役割を果たしていると感じます。Treasure Everywhere は Lars Bartkuhn & His Passion Dance Orchestra なるバンドです。この Lars Bartkuhn の参加する楽曲は私このアルバムで初めて聴きますがタイプです。1曲目の First Friendship よりもUKジャズファンクにブラジル要素が加わった感じはかなり良い。Tejal は DJ Fudge の曲で、この前の曲の Lars Bartkuhn とリズムテンポがほぼ同じなのでメドレーのように次の曲に移行してきました。DJの流すサウンドトラックにピアノで即興しているタイプですね。スキですが聞き流すタイプの曲です。Love's Arrival は Larry Heard で シカゴハウス、ディープハウスの先駆者とのこと。ハウスのリズムにジャズテクニックのエレピの親和性は鉄板ですからこの曲も気持ちよく聴けます。オオトリは、Reaching Out Of Love で 日本人のセッション Seikou Nagaoka Feat. Pamela Driggs です。やはり私は日本人。最後にこのサウンドは落ち着きます。和の音階は無いですが実に日本人好みの洋系の和ものですね。締めにこの曲を持ってくるあたりは、共感。
ということで、このアルバムも再度聴きながらのレビューです。I Want You タイトル曲になりますラブソング。反戦歌の面影はどこにもありません。ひたすら Love ですね。ファルセットを活かしたコーラスの多重録音による空間的な広がりが魅力的な曲です。実にエロい歌いっぷりが素敵です。今聴くと Wham! のようなメロディー感がありますので、あの二人も Marvin Gaye を歌いこんでいたんだろうと聴きながら思ってしまいました。Come Live With Me Angel これも、どっぷりラブソングですね。After The Dance アシッドなイメージのシンセによるインスト曲でリズムはラテン。ラスト曲でボーカル入りが聴けます。Feel All My Love Inside で、またもやラブソングです。I Wanna Be Where You Are なんと1分18秒のフェイドアウト。レコードでは隠しトラックとしてs¥収録されていたとのことですが、後に7インチCDで完全版が発売されています。I Want You (Intro Jam) は次の曲へのイントロして使われています。1曲目の切り抜きではないようなので、おそらく別バージョンを収録した時のバッキングトラックが気に入って使っているのでしょうか。 All The Way Around は、広がりのあるアレンジのソウルナンバー。このサウンドの作り方は多くのソウル・ファンクミュージシャンのお手本ですね。Since I Had You 落ち着いた雰囲気のイントロ。そこからファルセットのコーラス。甘いですね。とてもスイートです。Soon I'll Be Loving You Again 軽めのリズムにのせたノリの良いメロディーライン。これも王道です。そして2回目登場の I Want You (Intro Jam) は1回目より少し長めですが繰り返しのバッキングの編集なので長さだ毛の違い。ラストは After The Dance で締めです。小さコンボで演奏されているような、こじんまりとしたアレンジと濃すぎない軽めの楽曲は心地よいです。
アルバムを聴きながらライナーノーツを読んでいると、このアルバムの楽曲はダイアナロスの弟 T-Boy Ross とモータウンのお抱えコンポーザー Leon Ware による楽曲で構成されているとのことで、その頃には既に録音を終えていた Leon Ware の I Want You をそのまま譲り受けたアルバムとのことで「他人から譲り受けた作品であるがためマービンの代表作として取り扱われることはない」と書いてありました。理由として他人の作品だからは少々理由付けとしては乱暴な気はしますがメッセージ性のある What's Goin On と真裏の名アルバムでした🎵
vocals : Marvin Gaye
piano, electric piano (fender rhodes) : Jerry Peters, John Barnes, Sonny Burke
guitar : David T. Walker, Dennis Coffey, Jay Graydon, Melvin "Wah Wah" Watson, Ray Parker
bass : Chuck Rainey
drums : James Gadson
percussion : Gary Coleman, John "Jack" Arnold
congas, bongos : Bobbye Jean Hall, Eddie "Bongo" Brown Jr.
executive producer : Berry Gordy, Marvin Gaye
producer : T-Boy Ross (3, 6, 7, 9 to 11), Hal Davis (1, 2), Leon Ware
recorded at Motown/Hitsville U.S.A. Recording Studios, Marvin Gaye Studio
私自身も Brad Mehldau の演奏を聴いた機会はそれほどなく不思議系と正統派ジャズのKurt Rosenwinkel / Deep Song ぐらいで、最近は購入していないジャズ雑誌にも名前は良く出ているので存在は知っていましたがピアニストに注目はしていませんでした。
Mehldauの Art Of The Trio はVol5までシリーズ化していて、そのシリーズ第4弾のVillage Vanguard ライブです。これは中古盤屋で探してコンプリートしなければならないかなと思いますが、7枚組のボックスも発売されているようです。ボックスには7枚目のCDが Additional Recordings として収録されている模様。収集家としては1枚づつ購入して気に入ったらボックスも購入のパターン。コンプリート・ボックスみたいなものは企業の大人の販売戦略であると思ってはいます。しかしダブるのはもったいないんですが、ジャケットやライナーノーツもみて観たいし未収録曲も聴いてみたいのでコンプリート・ボックスは価値があれば企業の販売戦略にはまるのも致し方ないでしょう。
数度聞き流していますが、深くは聴いていないこのアルバムのレビューは楽しそうです。さて、 All The Things You Are 誰もが良く知る曲で聴いたことのあるナンバーですが、何かの違和感があります。変拍子です。なるほどブツブツと至る所で分断される知っている部分が急展開でつながっていくこの感じは楽しいです。後半は変拍子がわからくなるのは腕ですね。Sehnsucht 邦題は憧れとありますメルドーのオリジナル。これはベースとピアノが何拍かズレているようで、ズレていない不思議な曲です。ズレていると感じるか感じないかは聴き手次第のような部分もあります。1曲目は変拍子のリズムによる遊び、2曲目は旋律での遊びですが、これも聴き進めるうちに違和感がなくなる魔法のような展開。ピアノソロではバロックの練習曲のような展開もあります。最後のワザと音程を外した終わり方も会心の演奏もこれで終わりだよと客に笑いかけながらの締めが想像できます。心にくい。Nice Pass もメルドーのオリジナル。マイクスターンにあるようなテーマの音の使い方です。マイクスターンの場合は、機械的にあるフレーズをギターの指盤で動かしていくとこのパターンになりますがピアノでも、多分同じ原理ですね。この曲もピアノが規則正しくパターンを弾きながら、ベースが微妙にかみ合わないようなパターンで弾くが何回かにピタッと合うところができて、それが聴く人に快感をもたらします。しかもそれをアドリブでやってしまうと言う超人的技術力と音感とリズム感。Solar は Miles Davis 作品です。序盤はベースの Larry Grenadier がバンドを引っ張りながらの変則的な演奏。それが終わるとテンポ早めのビバップとなり表情が変わります。これも良いですね。London Blues についてはメルドーオリジナル。アメリカで活動ですがロンドン・ブルースですから、ツアーの時に作ったんでしょうか。予想していましたが全くブルース的には聞こえません。コード進行はブルースなんでしょうか?I'll Be Seeing You は、出だし優しくとっつき易いです。1938年に発表されたブロードウェイ・ミュージカル Right This Way の挿入歌とのことで、聴いたこともありますね。同じようなフォーマットで飽きさせることの無い内容は脱帽です。最後は Exit Music (For A Film) 「ロミオ+ジュリエット」のために書き下ろされ、Exit Music(映画のクレジットのとこで流れる曲)として使われた曲です。物悲しい旋律を変拍子も無く淡々と演奏するのには逆に面食らい、進行するほど熱くなってくる演奏には聴いている側もコブシを握りしめるような展開になります。いや良いです。
聴きどころは、1曲目の All The Things You Are だと思いますが、それぞれ聞かせどころ演奏のコンセプトが様々で、それぞれ明確で魅力あり、かつクリエイティブで、どこをとっても素晴らしいアルバムでした。このアルバムの保管場所は、直ぐに聴けるCD置き場行き決定です🎵
piano : Brad Mehldau
bass : Larry Grenadier
drums : Jorge Rossy
producer : Matt Pierson
recorded by : David Oakes
recorded January 5-10, 1999 at the Village Vanguard, New York, NY
2019年9月に亡くなったの機に存在を知ってから、たまに聴いているピアニストです。特に好みのピアニストな訳では無いですが、これで The Leading Man 1993、Mabern Plays Mabern 2020 に引き続き3枚目のアルバム購入となります。メイバーンは1936年生まれのハード・バップ、ポスト・バップ、ソウル・ジャズの分野のジャズ・ピアニスト兼作曲家で、このアルバムは1999年録音なので63歳の録音となります。1959–1967は様々なバンドでのセッションを主とした活動で、1959–1967はリーダーとして活動しますが、1980年〜1990年代のピアノトリオ作品が人気のようで、ピアノ・スタイルはゴツゴツした男っぽい感じです。本アルバムはDIWというディスクユニオンのレーベルグループからの販売で、音楽関連だけでなく雑貨や衣料品などの輸入・販売も手掛けている会社のようです。ジャケットは、ジャズっぽくなく呪術系ブルースのアルバムにありそうな感じがインパクトあります。
それではレビューです。To Maya Glenne With Love はメイバーンのオリジナルで、可愛らしい曲であり春を感じる曲です。らしくないと言えばらしなくない。なぜかと言えばメイバーンの恋心を寄せる35歳の女性の曲だからだそうで、なるほどわかりやすい。You Are So Beautiful は、1932に Richard RodgersとLorenz Hartが映画 Hallelujah, I'm a Bum の為に書いた曲です。これも明るくハッピーな曲で力強く直線的なピアノが心をウキウキさせてくれます。Hymn of the Orient は、Gigi Cryce の作曲で、今までよりも少しジャズっぽくスリリングさを強調したソロ部分が楽しい演奏となっています。それにしても力いっぱいの鍵盤を叩くような演奏である。好みは別れるんだろうなあ。A Song For Connie で、またもや女性の名前の曲です。これもメイバーンの作曲です。しかしライナーノーツの中では、A Song Forより親戚のオバサンであろうとの推測(寺島靖国氏)確かに活快でたくましいオバサンが想像できるかな。Lament は、JJ Johnson の曲ですね。定番の美しいバラードを、またもや、しっかりめで弾いています。わかりやすくて良いかも。Boogie For Al McShann は、メイバーン名の Boogie ピアノです。Al McShann は Jay McShann と言うピアニストの愛称でしょうか。検索では古いジャズ・ブルースの曲が聴けました。Speak Low は、定番の Kurt Weill の曲です。ピアノと親和性が高い曲ですね。テンポ早めで、しっかりとした発音のメイバーンのピアノは最初とっつきにくかったですが耳馴れしてくれば中々心地よい。Little Girl Blue Rodgers & Hart の曲となります。またもや女性絡みの曲ですが、これに特に意味は無さそうです。Blue Bossa は、Kenny Dorham の名曲ですね。これも発音がしっかりしているので教科書に出来そうな演奏ですね。Maybe September もスタンダードですが、これは適度な緩さがあって、最後の前にしてやっと息が抜ける感じの演奏でした。 Begin The Beguine は、Cole Porter ですね。軽めなのに重いというのがメイバーンの特徴であることを再認識してこのアルバムが終了します。
ベイエリアと呼ばれるのは、カリフォルニア州の北部、サンフランシスコとその対岸のオークランド、東岸のリッチモンドやバークレー、南岸のサン・ノゼ、西岸サン・マテオなどのサンフランシスコ湾岸一帯の地域で、温暖な気候や開放的な雰囲気、白人や黒人にメキシコ系(チカーノ)などが入り混じった文化から生まれたこの地のファンク・バンドは、ファンク/ソウル/ジャズ/ラテン、ロックなどの様々な音楽が溶け込んだハイブリッドで、より開放的なサウンドが多く聴かれ、その代表格としてはサンフランシスコのSly & the Family Stone、Oakland では Tower of Power、派生する Graham Central Station、The Headhunters、Betty Davis、ストックンの The 9th Creation などが存在します。Funkiest Bay Grease : The Sound of Bay Area Funk
それでは改めて聴いてのレビューです。You Got to Funkifize お馴染みのEmilio Castillo/Stephen Kupka作の文句なしにカッコ良いTOPらしいファンク。ホーンとリズムの絡みがやはり心地よし。What Happened to the World That Day? ソウル色濃く、緩急つけたホーン・アレンジが凝っています。ストリングスも入ってたのを改めて発見。Flash in the Pan 跳ねるリズム隊とイナたい雰囲気の楽曲です。Willie James Fulton のギターカッティングが切れ味良く鋭くて良いですね。Gone (in Memory of Jacqueline Mesquite)」 Skip Mesquite のリード・ボーカルで雰囲気を変えフルートが効果的なメローなナンバーで、こんな曲もあったっけと忘れてました。You Strike My Main Nerve は、センスの良い Rocco のベースが印象的なミドルテンポのリラックスしたファンクで、ソウルフルなホーン部隊も良し。Down to the Nightclub ライブなどでも鉄板のファンク・チューン。これは名曲です。ライブではもっと高速で決めまくるイメージです。You're Still a Young Man メロウなソウル・バラードで、これもライブでの鉄板の名曲。T.O.P. はホーン部隊とリズム隊のキレのある演奏が醍醐味なところがあるが、これは曲として覚えやすい方です。これもT.O.P. なのです。Skating on Thin Ice ナンパな感じがするソウル・ナンバー。楽しい演奏ではありますが普通ですね。ラストは、Of the Earth で、Mesquite のフルートが先導するメロウ&ファンキーなナンバーで、アレンジにはこだわっている感じです。
Donny Hathaway (ダニー・ハザウェイ) で、私が一番好きなのは何と言っても LIVE!で、あまりにも有名なアルバムなので、それしか持っていない、聴いていない人も多いのではないかと思います。しかし、ダニー好きであれば、このアルバムも聞いておいて損はないと思います。このアルバムのタイトルは Extension Of A Man、邦題は「愛と自由を求めて」となっており、相変わらず日本のレコード会社のネーミング努力は凄いものだと感心します。(2曲目のタイトルが Someday We'll All Be Free なので、この訳が Extension Of A Man になっているので、タイトルはこの曲の方がふさわしいと思ってのこととは思いますが、本人の了解はとっているのか?)
そんな彼の生涯を思いながら改めて聴くと、このアルバムは最後に自身の音楽への情熱を完全に注ぎ切ったメッセージ性も強い作品です。イントロからオーケストラで意表をつかれます。荘厳な I Love The Lord;He Heard My Cry(PartⅠ&Ⅱ) は決意を感じるアルバムの幕開け、このあとに続く Someday We'll All Be Free への導入なんでしょう。差別に怯えずに胸を張って行こうよ、誇りを忘れずに毎日を過ごし楽しいものを愉しいとキチンと言いながら毎日を過ごそうよと娘のライラへの呼びかけ実に深い。この曲はアレサのカバーによって映画 「マルコムX」のサントラにも収録されています。と考えながら次の Flying Easy を聴くと実に爽やかでありますがサビの力強さと、We're flying easy on a breeze の意味は推して図る深いものがあります。Valdez In The Country はインストですがダニーの楽器奏者としての懐の深さが感じられます。Incognite あたりで使われている演奏パターンと同じ感じですね。そして Al Kooperの I Love You More Than You'll Ever Know 原曲では激しいソウルなのだが、ここでは深みのある曲に仕上げています。そして Come Little Children については、軽めのファンクのバックにドスの聴いたボーカルで非常にグルーブ感があります。Love, Love, Love は J R Bailey のカバーでもともと透明感のあるソウルを更にストリングスを加えて広がりのある曲に、The Slums はインスト・ファンク。Magdalena は Danny O'Keefe の異色な曲でチャールストン風の曲調が新しい。そして Leon Ware作 の名曲 I Know It's You でメローに(この曲にはホイットニーのお母さんのCissy Houstonがコーラスで参加ですね)Lord Help Me はこのCDのボーナスのようです。