2023年7月17日月曜日

Madeleine Peyroux / Dreamland

 

 新しく女性シンガーを見つけたいと思って、DiscUnion の棚を見ていて、名前の読み方もわからない、このアルバムを手にしました。ジャズの棚にあったので、そちら系かと思って聞いたらブルース、カントリー、フォーク、ジャズなど、ノージャンルのシンガーで Norah Jones を、もっとブルース寄りにしたような感じで、購入してから数か月は聴かずに貯蔵されていた一枚で、初聴きは、いつもの「おでんバー」でした。今日は何があるの?知ってますか、この人?などと会話しながらかけ始めるとおや?ジャズではないな、と直ぐにわかり反応が少ない。確かにジャズボーカルと思ったので私も拍子抜けで最初の試聴は終了しました。
 Madeleine Peyroux(マデリン・ペルー)は、アメリカ出身ですが名前はフランス系。父親が、かつてフラン領だったニューオリンズ出身とのこと。南カリフォルニアやNYのブルックリンなどで育ったのだが、両親の離婚で母親と一緒にパリに移り、13歳から22歳までの期間はパリで過ごし、15歳の時からパリの路上でバスキングを始めロスロ・ワンダリング・ブルース&ジャズ・バンドに加わって、欧州各地をツアーしたという経歴の持ち主。


 そのデビューアルバムがこのアルバムでプロデューサーは、トム・ウェイツやルー・リードなどを手掛けてきた Tow Waitsバンドの Greg Cohen, Yves Beauvais の二人でした。デビューではありますが、渋い声で貫録が十分なアルバムです。
 Walkin' After Midnight は、Patsy Cline の曲で1956年の楽曲で、いかにも古臭い曲をだるそうに歌っています。グッと惹きつけるわけではありませんがベテラン感漂う曲は聴き直せば味がある。Hey Sweet Man は、Peyroux 作曲のゴリゴリのブルースでドブロギターは Marc Ribot。堂に入った貫録の演奏と歌ですが、声を張り上げて主張するタイプではありません。I'm Gonna Sit Right Down And Write Myself A Letter は、Fred E. Ahlert作曲、Joe Young作詞の1935年のポピュラー・ソング。なるほど、古き良きは良いものとして、そのままの、この路線ですね。そう思えば悪くない。(Getting Some) Fun Out Of Life は、ビリー・ホリデイですね。メンバーも変えて、きっちりジャズアレンジで声を震わせています。La Vie En Rose は、1946年の Édith Piaf の代表曲ですね。邦題はバラ色の人生でフランス語とアコーディオンで情緒たっぷりで、ラジオから流れているみたいな感じです。おっと、これも歌いかた変えてますね。つぶやき系かと意外と器用な人でもあります。Always A Use も聴きおぼえあります。でも作詞作曲は Madeleine Peyroux とありスタンダードは無いようです。流行ったかなあ。耳覚えあり。A Prayer は Euston Jones とあります。調べてもわからないし聞き覚えは無いですね。アメリカの古い歌っぽい感じがします。Muddy Water は、てっきり、あのマディ・ウォーターズを讃えるドロドロのブルースかと思ったら違いました。1926年のアメリカン・ポップスという感じの Harry Richman, Jo Trent, Peter DeRose による楽曲で、レトロ・ジャズっぽいアレンジです。ゆったりとした4ツ刻みのギターが心地よい。Was I? も、古き良きアメリカンな感じでバンジョーなども入った軽めのポップスで、これも良いですね。Dreamland は、Madeleine Peyroux の曲でポップス調です。悪くはないけど、これは売れそうにない感じですかね。ラスト2曲目は、Reckless Blues で Bessie Smith の曲です。これはピアノ主体のブルースで古き良きアメリカの情緒たっぷりスロー・ブルースのピアノに小説の最後だけアップテンポにするお茶目さも良い。このパターンがこの人の持ち味は活かされます。ラストは Lovesick Blues は、ギター・ブルースです。きっと、ずーっと歌いこんできた曲なんでしょう。他の曲よりボーカルが、歌いなれた主張の仕方をしています。
 最初は控えめな感じがして、印象があまりに薄かったんですが聴き直してみたらかなり味が出てきたアルバムです。おそらく色んな引き出しがあるかたと思われますので、以降のアルバムも聴いてみたいとは思います。現代のビリー・ホリデイなどと言われているとの評を目にしますが、このアルバムに限ってはそんなことはありません🎵

vocals : Madeleine Peyroux
piano : Cyrus Chestnut (4, 8, 11)
electric organ (hammond B3) : Charlie Giordano (1)
mellotron : Charlie Giordano (10)
accordion : Charlie Giordano (5, 9)
guitar : Madeleine Peyroux (4, 8, 9, 12)
acoustic guitar : Marc Ribot (5)
dobro : Marc Ribot (2, 6)
electric guitar : Larry Saltzman (10), Marc Ribot (1, 3, 10), Vernon Reid (8)
banjo : Marc Ribot (9)
bass : Greg Cohen (1, 9, 10), Steve Kirby (4, 8)
bass (bowed) : Greg Cohen (7)
marimba (bass marimba) : Greg Cohen (3)
drums : Kenny Wollesen (1, 3, 9, 10), Leon Parker (4)
percussion : Kenny Wollesen (1)
cymbal : Leon Parker (8)
cymbal (parade cymbals), bass drum (marching bass drum) : Kenny Wollesen (7)
tenor sax : James Carter (3) (1, 3)
trumpet : Marcus Printup (2, 7)
bass clarinet : James Carter (3) (8)
violin : Regina Carter (5, 9)

producer : Greg Cohen, Yves Beauvais

1. Walkin' After Midnight
2. Hey Sweet Man
3. I'm Gonna Sit Right Down And Write Myself A Letter
4. (Getting Some) Fun Out Of Life
5. La Vie En Rose
6. Always A Use
7. A Prayer
8. Muddy Water
9. Was I?
10. Dreamland
11. Reckless Blues
12. Lovesick Blues





  

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