2023年5月14日日曜日

Miles Davis / Tourin' 1964

 


 1964年のマイルスは忙しい。1964年2月にニューヨークのリンカーン・センターのフィルハーモニック・ホールで行われた2公演のバラードを「My Funny Valentine」に高速バップは「Four & More」の2枚に収録され「静」と「動」として対をなす傑作を録音。この時のサックスはGeorge Coleman。そしてサックスが Sam Rivers の編成になって、初の日本公演を1964年7月に果たし Miles in Tokyoというライブアルバムを遺しています。そして Art Blakey And The Jazz Messengers で頭角を現した Wayne Shorter を迎え入れて第2期クインテットが確立し、10月のドイツでのライブが本アルバムです。その他この1964年ライブ・アルバムとしては、Miles in Berlin も発表されています。このヨーロッパ・ツアーは以下の日程で組まれていた記録がありました

September 25: Berlin Philharmonie
September 26: Concertgebouw, Amsterdam
September 29: Le Théâtre Municipal, Lausanne
September 30: Kongresshaus, Zürich
October 1: Salle Pleyel, Paris (two concerts)
October 3: Johanneshov Isstadion, Stockholm
October 4: KB-Hallen, Copenhagen
October 6: Messuhalli, Helsinki
October 8: Stadthalle, Sindelfingen (two concerts)
October 11: Teatro dell' Arte, Milan


 本アルバムはヨーロッパ公演の中で1964年10月8日ドイツの地方都市Sindelfingen(ジンデルフィンゲン)で行われたコンサートで地元のラジオ局の番組用に収録・放送されたもので、このラジオの放送音源を使用してのリリースとなっています。このコンサートの2日前に行ったフィンランドのHelsinki(ヘルシンキ)でのコンサートの模様もボーナス・トラックとして収録されています。演奏よりも気になるのはハンコックのノリノリ加減で、ドイツでもフィンランドでもピアノソロのところでジャレットかと思うような唸り声が聴こえ、他のメンバーも含め皆ノリノリ、いきいきとしたプレイを聴いて取れます。
 1曲目は Autumn Leaves です。何回か聴いても、聴き始めは音が今いちだという印象がありますが、聴き始めてしばらくするとテンポ早めの音数多めのマイルスのトランペットに耳を奪われ気にならなくなります。ショーターのリズムにのったサックスも素晴らしい。ハンコックはソロになると唸りをあげ気分が盛り上がっているのがよくわかります。So What ももともと大好きな曲、テーマの部分から凝っているのが嬉しい。文句なし。そこから All Blues で、お互いの技量を確かめ合うかのような演奏がすごい。途中のテンポを変えるところのメンバーの反応具合も良く勢いを感じます。そしてOleo ですか。おいしい曲が連発です。Ron Carter のベースがとても良い感じでメンバーを煽っています。マイルスも狂ったように吹きまくりハンコックが、各人のソロの始まりにそれぞれに違った感じの煽りを入れるのも良いですね。Walkin' / The Theme もスリリング。一枚目で十分に堪能できる内容ですが、2枚目に続きます。またもや名曲 Milestones です。まだまだ早いテンポで聴き手を煽り続けています。疲れそうなライブになってきました。ここで一息の No Blues です。今までよりも方の力が抜けたこなれた楽曲になり、ブルースって展開が見えやすくてホッとするなあと感じます。All Of You で、さらにクールダウンしてきます、今まで聴く方も一生懸命だったのが、ゆっくり席に座って目を閉じて音を聴くような感じ。ショーターが変則的な音と間合いでソロを取り始めるところにロン・カーターのベースの音の入れ方がカッコよく感じます。Joshua / The Theme で一旦ライブが終了します。これからはフィンランドでのライブとなり音質が変わります。Autum Leaves は少しテンポを落として聴かせるタイプの演奏。音のこもり具合が気になります。So What の出だしのアレンジは1枚目とほぼ一緒の感じですが、録音の具合もあるのか、なんとなく熱量が少ない。Stella by Starlight は、やはりしっとりと聴かせてくれます。Walkin' は、煽り気味に戻りますが、これも今まで聴いてきた中では不完全燃焼気味です。終わりがテープが終わったりしたのでしょうか?次の The Theme と合わせてうまく編集しているような感じです。聴いてきて思うのはフィンランドになると落ちている演奏側の熱量です。さすがの強者たちも疲れが見えているんですかね。
 このツアーは Autumn Leaves、So What、Stella by Starlight、So What、Walkin' などの過去のレパートリーに終始しています。しかし演奏はウェイン・ショーターの参加によってモーダルな方向に加速しているのがわかります。Miles in Berlin は未だ持っていないのですが、曲目はほぼ同じなのを見ましたので、どのような違いがあるのか是非聴いてみたいものです。おそらく最初の公演なので熱い演奏なのかと期待ですね🎵

trumpet : Miles Davis
tenor sax : Wayne Shorter
piano : Herbie Hancock
bass : Ron Carter
drums : Tony Williams

Stadthalle, Sindelfingen, Germany 8th Oct 1964

【Disc 1】
1. Autumn Leaves
2. So What
3. All Blues
4. Oleo
4. Walkin' /The Theme

【Disc 2】
1. Milestones
2. No Blues
3. All Of You
4. Joshua / The Theme
Bonus Tracks Messuhalli, Helsinki, Finland 6th Oct1964
5. Autum Leaves
6. So What
7. Stella by Starlight
8. Walkin' 
9. The Theme

▶ Oleo

▶ Walkin'

▶ Joshua


  

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