2023年5月19日金曜日

Tal Farlow / Tal


 10年ぐらいは眠らしていたでしょうか?久しぶりに聴きます。大学時代にジャズをかじっていたものの、ジャズ・ギタリストには全く詳しくなくて行きつけの「おでんバー」のマスターに何人かご紹介を受けたギタリストの一人で何を購入しようかタワレコで迷ってタル・ファーローで Tal なら間違いは無かろうと思って購入を決めたような記憶です。
 長い指からオクトパス・ハンドとも呼ばれていたギタリストで実際にコピーしようとすると長すぎる指の長さから普通のギタリストにはかなり無理な運指らとのことで、どうやら低音側2弦とも左手親指で押弦してたらしく、でか過ぎだろうという感じです。また楽譜は多分読めなかったそうですが、聞いてる分にはそのようなことは余り感じさせない丁寧なフレーズのギターの印象です。1921年生まれで、チャーリー・クリスチャンを耳にしてジャズ・ギターを始めチャーリー・パーカーのビバップの洗礼を受け、チャールズ・ミンガス、レッド・ノーヴォと組んだトリオの、圧倒的なスウィング感と超速プレイに鍛えられたことによって、驚異的なスピードが身についたとされています。


 1958年に結婚して絶頂にありながら、家族との時間を大切にするために引退し以前の本業、看板描きで生計を立て、10年後の1968年のニューポート・ジャズ・フェスティバルで復帰し、1998年7月25日に食道ガンによりニューヨークで死去されています。
 さてこの作品のレビューにしましょう。1曲目は、Isn't It Romantic? です。なんといっても特徴はハーモニックスによる演奏。最初はギターのブリッジの方(後ろの方)で弾いているのかと思ったら音程が高いのでおかしいなとは思ってググったらハーモニクスを使っているとのこと。多分ピッキング・ハーモニクスとは思いますがそこら辺については発見できませんでした。次いで、テンポ良い There Is No Greater Love は正調なビバップですが、少し弾きつらそうにテンポがもたつく箇所も度々出てきます。おそらくとんでもない運指で弾いているものと思われます。一転して How About You? は、違う人のようにガンガン流れるように弾きまくります。ドラム不在で、このリズミカルな演奏は Vinnie Burke の職人のような途切れなく音を埋め尽くすベース・プレイと弾きまくるギターに触発されたかのよなガンガンプレイの Eddie Costa の技が光ります。Anything Goes は最初から突っ込んだイントロと高速バップが特徴的です。最初より中盤の方がテンポアップしているような感じもあります。凄いですね。Yesterdays は、Jerome Kern による1933年の楽曲で、いつもこの曲を聴くとチュニジアを思いだしてしまいます。どっちが先何だろうとググってみるとチュニジアが1945年のガレスピ作なので Yesterdays の方が先に創られています。You Don't Know What Love Is は、いかにも、ぶっとい弦を張っていますという感じの低音ギターから始まりソロ部分はネチッとした中域広域のレンジの音まで幅広く使われているテンポ遅めの聴かせる曲。うって変わって Chuckles はテンポ早めのダンサブルな曲でライブでこのような曲は受けたに違いない楽曲です。Broadway は最後に相応しいスタンダード。Bill Byrd Teddy McRae Henri Woode が作曲となっています。軽やかでいかにもジャズですと言う感じでタルとエディー・コスタのアドリブの掛け合いが楽しい。
 今まで聴いてこなかったのは、黒さが少ないのが要因であるような気もしますがドラムレス・トリオで、このリズム感のあるアルバムは中々の名盤です。もっと頻度上げて聴く気になりました🎵

guitar : Tal farlow
piano : Eddie Costa
bass : Vinnie Burke

Recorded May 31, 1956, NYC

1. Isn't It Romantic?
2. There Is No Greater Love
3. How About You?
4. Anything Goes
5. Yesterdays
6. You Don't Know What Love Is
7. Chuckles
8. Broadway




  

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