2021年5月23日日曜日

本日のCD Danny Gatton Joey DeFrancesco ♪ Relentless


 前回このアルバムのレビューを書いたのは、およそ3年前でおそらく20年ぶりに聴いたと書いてあります。その間に意識してこのアルバムを聞いたかと言えばすっかり存在を忘れていたので、きちんと聞き直すまで長い時間かかってしまいました。再度聞き直すとブルース・ロックから始まり、ストレートで力強いジャズブルースまで、かなり凄腕のギタリストです。世の中上手いギタリストはいっぱいいるけど録音されても日の目を見ずに埋もれてるアルバムは星の数ほどあるんでしょう。でもダニー・ガットンを調べてみると、カントリーのロカビリーで知られたギタリストのようです。ジャズ、ブルース、ブルーグラス、ロックなど、あらゆるジャンルの音楽を演奏できるセッション・ギタリストでもあったとのこと。
 聞いていると、どこかスティービー・レイボーンを思わせるようなリフやギター・ソロも多いのですが、まあレイボーンも、ジャズスタイルのブルースなんかも弾くだけにルーツ的なところでフレーズが似てきたとも考えられると思いますが、ダニーガットンのほうがレイボーンより約10歳ほど年上です。つまりはレイボーンがダニーガットンを聞いて取り込んだ可能性もあるということでしょうか。なんだか楽しくなってきました。
 そしてアルバムを聴き進めると、ウェインショーターの「The Chess Players」がブルース色濃く演奏され、セロニアスモンクの「Well You Needn't」なんかは高速になってオルガンのジョーイが弾きまくってます。
 3年経つ間に私もたくさんのジャズを聴いてきました。改めて聞くとお蔵入りしていましたがはもったいない内容ですので、もっと聞きこんでみようかと思います。

guitar : Danny Gatton
organ : Joey DeFrancesco
bass : John Previti
drums : Timm Biery

1. Fine
2. Broadway
3. Kindred Spirits
4. The Chess Players
5. Gearheads
6. Blues On The Half Shell
7. The Pits
8. Big Mo
9. Well You Needn't





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先週に「はまった二枚」

 


 ブログでのレビューはだいぶ後になると思いますが、先週からこの2枚を気に入ってしまい繰り返し聴いていました。特に「Alice Clark」は1972年に1枚だけしか出していない謎のソウルシンガーですが、なんで今まで知らなかったのか?と思うほどの名盤でした。まず最初に感じるのは「素直で澄んだ歌声」「聞く人に訴えかけてくるボーカル」で若くて瑞々しい歌声は鍛えられて技巧に上手くなる手前の原石を感じます。その後がききたかった人ですね。

 モンクの Palo Alto は未発表音源の発掘版で、既に持っているのでうんちくは要らない人も再度思い出して聞き直していただき、モンクを知らない方にも聴いていただきたい実に楽しい演奏です。正式な録音でないのですが海賊盤よりもはるかに音は良くて十分聞けますし、ラフな録音がかえって臨場感を増しているような気もします。

 ここまで繰り返し聴くことも少ないのですが、実に楽しかった二枚でした。

2021年5月22日土曜日

本日のCD Kenny Burrell With The Brother Jack Mcduff Quartet ♪ Crush!


 バレル1964年リリースのアルバム。オルガン・ジャズとギターの相性はとても良いといつも思ってますが、このアルバムも巨匠の二人が演奏していることも注目ですが、楽器の相性としても良いのだなと再確認できる作品です。
 オルガンとギターはメロディー楽器でもあり和音を出せる楽器でもあり、リズム楽器であるとも言えます。ピアノもそうじゃないかと思いますがオルガンは電気楽器でアナログ的な音色とドライブ感があります。そこらへんの仕組みはは違うけどある意味似たような性格の楽器であるところが相性の良さを引き出しているんでしょうか。
 ソウルフルなマクダフのオルガンが縦横無尽に弾きまくり、このオルガンに合わせたバレルのギターがツボにはまる。緩急をつけて聴かせる演奏にパーカッションが加わることでよりリズミカルになりグルーブ感が増してくる。テナーサックスのハロルド・ヴィックも所々に良い色を付けてくれて絶妙な楽しさです。特にはリズミカルで騒がしい Nica's Dream はなかなか他では聞けないんではないでしょうか。最後の We'll Be Together Again はバラードでありますが、ハードボイルドなものを感じます。
 ハモンドオルガンのジャック・マクダフは、他にも数多くの新人ギタリストを輩出した先生でグラント・グリーンやメルヴィン・スパークスは、マクダフの作品に参加していますし、カルヴィン・グリーン、コーネル・デュプリー、ジョー・ベック、ジョージ・ベンソン、パット・マルティーノ、マーク・ホイットフィールドと多くのジャズギタリストを世に送り出したと人でもあります。

guitar : Kenny Burrell
organ : Jack McDuff
congas : Ray Barretto
drums : Joe Dukes
flute : Eric Dixon
tenor sax : Harold Vick
 
1. Grease Monkey
2. The Breeze And I
3. Nica's Dream
4. Call It Stormy Monday
5. Love Walked In
6. We'll Be Together Again





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ハーレムの熱い日々 BLACK IS BEAUTIFUL 吉田ルイ


 この本は音楽本という訳では無かったのですが、それまで音楽を聴くだけであった私が音楽の時代背景も考えながら聴くようになったきっかけの名著です。
 吉田ルイ子さんは北海道生まれのフォトジャーナリストで、この本はニューヨークのハーレムに10年住んだ時の記録です。
 1972年に帰国して写真展「ハーレム Black is beautiful」を開催して、この本も「ハーレムの熱い日々」も出版されました。私はそれを2019年に古本屋で見つけて読んでみたわけです。別に音楽論を語るわけでもなく人種差別に対する政治的なメッセージがあるわけでもないルポルタージュなのですが、さらりとカメラ目線と自身の目線で人間をとらえています。

 1962年に渡米され1971年に帰国されるまで、ちょうど60年代をアメリカ黒人ゲットーで過ごした記録です。1963年ケネディ暗殺、1964年ハーレムの暴動、1965年マルコムX暗殺、1966年ブラックパンサー設立、1968年マーチンルーサーキング牧師暗殺、1969年ウッドストック・・・すごい時期にハーレムに出入りされていました。
 私自身はこの本を読むまでこれらの出来事を何となく知っていましたが興味を持つことも無かったのですが、リアルにこの時期にハーレムに女性一人で住まわれて感じたことを読んでから、音楽との時代の密接なかかわりに興味が出て音楽に隠されているメッセージも知りたいと思うようになりました。
 ちなみに過ごされた「ゲットー」とは、黒人やヒスパニックの密集居住地のことで、この場合ハーレムに事を指します。ダニー・ハザウェイで歌にもなってますね「ザ・ゲットー」
 ブラックパンサーは余り知らなかったのですが、黒人が居住するゲットーを警察官から自衛するために結成された政党のことで、毛沢東主義にかなり強く影響を受けており、これがハーレムの人の本を読むきっかけになったことあるとか、日本のゲットーとも連絡を取っていたこともここで少し詳しくなりました。(この本を読むまで毛沢東主義も良く理解していませんでしたから)
 そして音楽的なつながりでも興味深いことも書かれています。
「ウェインショーターはハーレムに住んでいて著者と知り合いでお子様の名前はミヤ子ちゃん」「住んでいればチャーリーミンガスに普通に会える」「アートブレイキーは売れてからも、金持ちのパーティーで演奏しニグロとして差別的な扱い、しかしこれは本人も容認していた」
 私の愛好する音楽は、ジャズ、ブルース、ソウル、ファンクなど黒人ミュージシャンの演奏するものが大半を占めます。しかしその黒人ミュージシャンの音楽が発展してきた中には哀しい事実も歴史にはあります。

BLACK IS BEAUTIFUL
このタイトルを見るといつも思い浮かべるのは、Esperanza Spalding(かなり好きです)の
BLACK GOLD です。最後にBLACKのみんなを指さす彼女に泣けてきて、この本の中で描かれているハーレムの生活オーバーラップします。

 この本を読んでから、人種問題に関する本などを読む機会も増えました。同じ人種問題のルポではありますが白人のグレース・ハルセルの書いた「黒い性・白い性 Black / White SEX」なんかもセックスの角度から歴史観点からの宗教、黒人から見た白人、白人から見た黒人、などが書かれており興味深くはありましたが、かなり難解でした。これももう一回読んでみるかな。




2021年5月21日金曜日

本日のCD Marcus Miller ♪ Tales


 それにしてもどういう思考回路で演奏しているのか気になるくらい、ベースだけでなく様々な楽器をこなしてしまうあいかわらずマルチな人です。手癖はかなりありますが他のミュージシャンのバックで演奏していてもマーカスが弾いているのがわかるオリジナルな存在感。凄い人だなあと改めて感心しつつ、このアルバムも含めハイラムが生きていたコンビがは、どれもクオリティ高いですよね。
 これは1995年のマーカスのソロアルバム。他のミュージシャンの作品に参加しているほうが圧倒的に良作が多い人と私は思っていますが、今作は素直にマーカスのベースがたっぷり楽しめて楽曲のセンスも良いと思える作品です。他のマーカスのソロにありがちな、試験的に作ったようなボーカル曲とか凝りすぎたコンセプトなんじゃないの?マニアだなみたいな曲はあまりないです、
 このCDを聞き直しながら参加ミュージシャンをチェックしていたら、3曲目の Eric では「Eric Gale」の生声(voice)が最初に入っていることを発見。エリック・ゲイルは1994年5月25日没はこのアルバムの制作の前年で、つまりは追悼曲。ギターはハイラムが弾いていて、エリックっぽいフレーズは余り感じられないのは、まあしょうがないか。
 そして次の True Geminis ではやはり「Miles Davis」の声(voice)が最初と最後に入ってます。Geminis は双子の意味ですから、この曲にも何かマイルスの対する意味が込められているのかなと思いつつ、ライナーノーツをじっくり読みたいんですが、今はハードディスクに落としたものを聴いているので、ライナーノーツの入っているCD本体は発見できませんでしたので、いずれ解明したいと思います。True Geminis は追悼曲っぽいメロディーです。
 
1. The Blues
bass, piano, programmed by (Rhythm), sampler(Vocal) : Marcus Miller
synthesizer, Oogan : Bernard Wright
drums : Poogie Bell
alto sax : Kenny Garrett
trumpet : Michael "Patches" Stewart
sampler(Vocal) : Bill Cosby
programmed by (Sound) : David "The Cat" Ward
mixed by : Goh Hotoda
2. Tales
bass, piano, programmed by (Rhythm), sampler(Vocal) : Marcus Miller
clavinet : Bernard Wright
alto sax : Kenny Garrett
trumpet : Michael "Patches" Stewart
drums : Poogie Bell
sampler (Vocal) : The Pointer Sisters
programmed by (Sound) : David "The Cat" Ward
mixed by : Goh Hotoda
3. Eric
bass, piano, programmed by (Rhythm), synthesizer, organ, rhythm guitar,: Marcus Miller
organ : Bernard Wright
lead guitar : Hiram Bullock
drums : Poogie Bell
drums (Fills) : Lenny White
alto sax : Kenny Garrett
voice : Eric Gale
programmed by (Sound) : David "The Cat" Ward
mixed by : Ray Bardani
4. True Geminis
bass, keyboards, bass clarinet, guitar, programmed by (rhythm, sound) : Marcus Miller
tenor sax : Joshua Redman
alto sax : Kenny Garrett
trumpet : Michael "Patches" Stewart
voice : Miles Davis
mixed by : Ray Bardani
5 : Rush Over
bass, keyboards, bass clarinet, programmed by (sound) : Marcus Miller
mixed by : Goh Hotoda
drums : Poogie Bell
vocals, synthesizer : Me'Shell NdegéOcello
6. Running Through My Dreams (Interlude)
bass, keyboards, flute, programmed by (rhythm, sound) : Marcus Miller
mixed by : Ray Bardani
programmed by (Sound) : David "The Cat" Ward
7. Ethiopia
bass, synthesizer, bass clarinet, programmed by (rhythm) : Marcus Miller
drums (Fills) : Poogie Bell
marimba, synthesizer (funky synth lines) : Bernard Wright
alto sax : Kenny Garrett
trumpet : Michael "Patches" Stewart
mixed by : Ray Bardani
sampler (percussion) : Bashiri Johnson
8. Strange Fruit
bass clarinet, synthesizer, programmed by (sound) : Marcus Miller
mixed by : Goh Hotoda
programmed by (Sound) : David "The Cat" Ward
9. Visions
bass, keyboards, bass clarinet, programmed by (rhythm, sound) : Marcus Miller
mixed by : Ray Bardani
drums : Poogie Bell
alto sax : Kenny Garrett
trumpet : Michael "Patches" Stewart
programmed by (Sound) : David "The Cat" Ward
10. Brazilian Rhyme
bass, keyboards, programmed by sound : Marcus Miller
drums : Poogie Bell
synthesizer bass, synthesizer : Bernard Wright
alto sax : Kenny Garrett
trumpet : Michael "Patches" Stewart
vocals : Lalah Hathaway
programmed by (Sound) : David "The Cat" Ward
mixed by : Goh Hotoda
11. Forevermore
voice, bass, keyboards, programmed by rhythm, sound : Marcus Miller
drums : Poogie Bell
mixed by : Ray Bardani
programmed by (Sound) : David "The Cat" Ward
trumpet : Michael "Patches" Stewart
12. Infatuation
alto sax : Kenny Garrett
bass, keyboards, sampler(Vocal), programmed by rhythm sound : Marcus Miller
electric piano : Bernard Wright
vocals : Lalah Hathaway
programmed by (Sound) : David "The Cat" Ward
mixed by : Goh Hotoda
13. Tales (Reprise)
rap : Joe Sample
mixed by : Goh Hotoda
14. Come Together
bass, synthesizer, guitar, sampler (Vocal), programmed by (Rhythm) : Marcus Miller
drums : Poogie Bell
synthesizer (Bass) : Bernard Wright
guitar : Dean Brown
alto sax : Kenny Garrett
trumpet : Michael "Patches" Stewart
performer (Funky Intro) : Juice, Juju
programmed by (Sound) : David "The Cat" Ward
mixed by : Goh Hotoda





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2021年5月20日木曜日

本日のCD Jaco Pastorius ♪ Invitations


 これは生前に発表されたジャコの最後の公式リーダー作「ワード・オブ・マウス・ビッグ・バンド」で1982年オーレックス・ジャズ・フェスティバルで来日のライブで武道館、横浜スタジアム、大阪ホールのなどの録音で構成されています。
 当初は「Twins I」「Twins II」として2枚のLPとして日本国内限定発売。後に世界発売向けとしてアメリカのワーナー・ブラザース・レコードが2枚のアルバムを1枚のアルバム・サイズに抜粋し、コンピレーション化したアルバムを「Invitations(本作)」として発売。さらに2007年には「Twins I & II - Live In Japan 1982」として24ビット、デジタル・リマスタリングされた音源が発売。まあLPという録音時間の物理的録音容量が少ない媒体から、CDという容量が大きい媒体で再発売する場合には特典つけなきゃ売れないという構造もわからなくはありませんが「ファン」何枚買わされるんだか?とは以前も書いております。
 オーレックス・ジャズ・フェスティバルとは、東芝が主催して1980-1983年まで開催されたジャズフェスティバル。プロデューサーは、George Wein(ジョージ・ウエイン)で、「ニューポート・ジャズ・フェスティバル」「ニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテッジ・フェスティバル」、ロサンゼルスの「Playboy Jazz Festival」「Newport Folk Festival」 など数々のフェスティバルを立ち上げを行ったジャズプロモーターとして有名な方。
 このフェスは毎年ほぼ9月上旬に日本の各都市で行われていて、海外から4グループと日本のグループも参加。1982年のフェスの参加は「The Woody Herman Big Band」「Jaco Pastorius Big Band」「The Dave Brubeck Quarte」でした。
 当時CMも派手にやっていた記憶もありますが1982年当時の私は10代でありロック、パンクにまっしぐらで全くジャコには無関心。もう少し早くこの素晴らしさに気づいて見に行ければ良かったのに・・
 この時の演奏はすごく良いんですが、ツアー中のジャコの精神状態は悪くて広島湾にベース投げ捨てたり、バイク運転して戻ってきたら落車して気を失ってシャツの中からタコが出てくるとか日本でも奇行を繰り返していたというのは有名な話。また娘のメリーを「オール5のご褒美」として一緒に連れてきていたとのことです。きっと娘はスタッフの誰かが面倒を見ていたんでしょうが、偉大なるやばいオヤジですね。
 和傘をさしたジャコの姿。この手のジャケにしてはセンスが良いかな。

The Word of Mouth Sextet
bass : Jaco Pastorius 
trumpet  Randy Brecker
tenor & soprano sax, bass clarinet : Bobby Mintzer
steel drums : Othello Molineaux
drums, timpani : Peter Erskine
percussion : Don Alias

Special Guest
harmonica : Toots Thielemans

Word of Mouth Big Band
lead trumpet : Jon Faddis
trumpet : Elmer Brown, Forrest Buchtel, Ron Tooley
lead trombone : Wayne Andre
trombone, tuba : David Bargeron
bass trombone, co-conductor  Peter Graves
bass trombone : Bill Reichenbach
tenor & soprano sax, clarinet, alto flute : Mario Cruz
baritone sax, clarinet, alto flute : Randy Emerick
tenor alto & soprano sax, clarinet, piccolo : Alex Foste
tenor sax, oboe, english horn : Paul McCandliss
french horn : Peter Gordon, Brad Warnaar

1. Invitation
2. Amerika
3. Soul Intro / The Chicken
4. Continuum
5. Liberty City
6. Sophisticated Lady
7. Reza / Giant Steps / Reza (Reprise)
8. Fannie Mae
9. Eleven





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2021年5月19日水曜日

本日のCD Lee Morgan ♪ The Sidewinder

 

 1958年作の「Candy」を聴いていて、丁寧なトランペットに発音とダンディな響きに感動して他のアルバム持ってませんか?と聞いたら速攻でこの「The Sidewinder」を薦められました。その時はほろ酔いでYoutubeで聞いてたんで後日買いに行こうと思って心に留めて置いたら、なんと未聴盤の山の中から既に購入済であるCDを発見しました。いつもの「しまった!重ね買いだ」は避けられたので良かったです。
 何回か繰り返し聞いてから「そういえば、サイドワインダーって聞いたことがあるけどなんだっけ? 」「ガラガラヘビ」「卑劣なヤツ」の二つの意味がありました。タイトル曲の曲調が挑戦的だから「ガラガラヘビ」だろうなと思ってたんですが、割と直ぐに解答が見つかりました。「"The tune kind of put in mind of the sidewinder - you know, the 'bad guy' on the television " There's a snake called the sidewinder, but I was thinking of the bad guy 」のテレビで見た〈bad guy〉のことだよとの記述あり「卑劣なヤツ」。やっぱり誰もが気になるとこなんですねえ。日本語版のライナー・ノーツには書いてなかったんですが、英語版のほうには書いてありました。読んだ方が勉強になるんですけど字が小さくて読みづらいので読まないことも多い英語版ライナーノーツに改めてなるほど。
 さてこのSidewinderは変わったリズムの上に明るいメロディが乗っているように聞こえるが風変りなメロディ、つまり8ビートを取り入れた演奏で、24小節構成のテーマの17~18小節目にメジャーコードからマイナー・コードへのコード転換が盛り込まれる曲で革新的なジャズ・ブルースと言われています。セールス的にはアルバム・チャートで最高25位、シングル・チャートで最高81位です。ジャズでのチャート入りは相当の大ヒットでした。
 ここからこの手のブルースはジャズ・ロックと呼ばれるようになったとのことですが、現代人は多種多様なジャズが聞けるため「ただのジャズじゃないの?」とあまりピンとこないですね。
 このアルバムは日本版でのボーナスとして「Totem Pole」の alternate take が収められています。オリジナル採用のほうが派手目で後者のほうが正統派ジャズっぽいものとなっています。オリジナルには少し荒削りのほうを採用したのはアルバム全体の方向性を考えてのことだったんだようですが、あえて変化があるほうを採用して対比するのもありだったのではないか?などと楽しみながらこれも聴いております。
 「Candy」以降にどのように変わっていくのかを聞きたかったLee Morgan。イメージとしては、「Candy」では真面目な好青年だったトランぺッターが、6年経った「The Sidewinder」で、チョイ悪オヤジになったような感じで、だいぶ雰囲気が異なるワイルドさを増した演奏となっています。ここに至るまでのアルバムが5、6枚ありますので、途中の過程を揃えて聴くことを楽しみに、中古盤探しにいかねば。

trumpet : Lee Morgan
tenor sax : Joe Henderson
piano : Barry Harris
bass : Bob Cranshaw
drums : Billy Higgins

1. The Sidewinder
2. Totem Pole
3. Totem Pole (alternate take)
4. Gary's Notebook
5. Boy, What A Night
6. Hocus-Pocus





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2021年5月18日火曜日

本日のCD David Sanborn ♪ Only Everything

 

 デッカに移籍の2010年の2作目。レイ・チャールズ、ハンク・クロフォードへのトリビュートの前作「Here And Gone」に続き、今回も長年の友人のフィル・ラモーンをプロデューサーに迎え、レイ・チャールズ、デビッド ”ファット・ヘッド” ニューマンへのオマージュ作品です。 トリビュート・アルバム発表の翌年の2009年に、サンボーンが幼いころに聞いていたレイ・チャールズ・バンドで活躍していたサックス・プレイヤーのハンク・クロフォード、デビッド ”ファット・ヘッド” ニューマン、リロイ・クーパーが相次いで亡くなっていることからのオマージュとのことです。
 もともとサンボーンは自分はブルース・マンと語っているだけあって、彼らの相次ぐ死は無念なことであったに違いありません。ちなみにレイ・チャールズが亡くなったのはだいぶ前の2004年6月10日のこと。
 したがって今回のアルバムは、2曲目のOnly Everything以外のみサンボーン作曲(ガールフレンドSofiaと孫娘Genevieveのため)であとはカバーとなっています。アルバムのサウンドの核となるのはこの頃のツアーメンバーでもあったオルガンのJoey DeFrancesco(ジョーイ・デフロコ)でハモンドの音色でブルージーかつアーシーなサウンド。1988年にマイルスのアルバムに参加した時に「50年代にどさ周りを積んだかのプレイをする奴だ」と言わしめた人らしいです。ドラムには安定のSteve Gadd(スティーブ・ガッド)が起用。
 このアルバムを買った日に、いつもの行きつけのバーによって酒を飲みながら他のアルバムを聴いていたら不覚にも眠ってしまい、封を開けていたこのアルバムはマスターと常連さんが先に聞いていた。感想は「期待していたサンボーン・サウンドではなく、面白くなかった」でありました。みなさんフロントにサンボーンがバリバリと出てきて吹きまくるファンキーフュージョンを期待していたのだと思いますが、私は最近のサンボーンにそれを期待してはいけないことは十分承知のうえの購入。
 サンボーンを聴きこんでいる「いちファン」としては昔の思い出話を語ってくれているような気楽な気持ちで作ってくれたようなオールド・スクールな渋めジャズで企画ものとしてこれは、強い気持ちで「あり」と断言します。日本版のボーナス2曲ついてますし。

alto sax : David Sanborn
vocals : James Taylor (7), Joss Stone  (4)
organ : Joey DeFrancesco
drums : Steve Gadd
tenor sax : Bob Malach
baritone sax : Frank Basile
trumpet : Tony Kadleck
bass trombone : Mike Davis

arranged by : Gil Goldstein (1,3,4,5,7)
producer : Phil Ramone

1. The Peeper
2. Only Everything (For Genevieve)
3. Hard Times
4. Let The Good Times Roll
5. Baby Won't You Please Come Home
6. You've Changed
7. Hallelujah, I Love Her So
8. Blues In The Night
【Bonus】
9. Sometimes I Feel Like A Motherless Child
10. Davenport Blues





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2021年5月17日月曜日

本日のCD Aretha Franklin ♪ Live At Fillmore West

 

 5枚組の廉価版の第1弾の最後のアルバムになります。次の第2弾からライブだと思っていたら、最後はこのシリーズの最後はライブでした。
 このライブは1971年3月5日から7日の3日間行われたサンフランシスコの Fillmore West でのライブの録音です。結論、冒頭からガツンとくるアレサの歌唱は大迫力でキング・カーティス率いるキングピンズの演奏がこれまた最高の出来です。キングカーティスはアレサの前座とバック・バンドの両方を務め、このライブを収録した自身の名義のアルバムも出しているようなので、これは改めて入手することと今聞きながら決めました。アレサは通常のツアーでは異なるメンバーでのツアーバンドを組んでいたのを、プロデューサーの Jerry Wexler(ジェリー・ウェクスラー)がキング・カーティスを起用(ザ・キングピンズともMemphis Hornsとも記載があるものがありどっちが正しいかわかりませんが)することを進言して決めたとのことでこの名盤が生まれたのです。最近アーティストの実力も大事ですがプロデューサーのセンスでも変わるもんだなとその重要な役割にも感心します。
 バンドの演奏形態やと盛り上げ方は、Donny Hathaway 「Live」に似ていると思ってチェックしましたが、ギターの Cornell Dupree だけ同じであとは違うメンバーでしたが、プロデューサーは、やはりこのアルバムと同じ Jerry Wexler。ダニーのアルバム・リリースは1972年なんでほぼ同時期の録音の発見で思わずニヤリです。
  オープンニングは高速「Respect」ごりっとしたソウルグルーブの「Love The One You're With」ゴスペルな「Bridge Over Troubled Water」ファンキー「Eleanor Rigby」メロウな「Make It With You」、シャッフルの「Don't Play That Song」、ブルージーな「Dr.Feelgood」は最後は得意のゴスペル調。ライヴのハイライトは「Spirit In The Dark 」でリプライズでは、観客としていたレイ・チャールズがゲスト参加。ショーとしても完璧なステージだったんでしょう。
 聞きながらここまで興奮してしまう一枚は、そうそう無いです。脱帽ですのでアレサ未体験の方はこのアルバムからどうぞ。

vocals, Fender Rhodes : Aretha Franklin
backing vocal : Brenda Bryant, Margaret Branch, Pat Smith
piano : Ray Charles (9), Truman Thomas
organ : Billy Preston
guitar : Cornell Dupree
bass : Jerry Jemmott
drums : Bernard Purdie
congas : Pancho Morales
sax, leader (Orchestra) : King Curtis
horns : Memphis Horns

1. Respect
2. Love The One You're With
3. Bridge Over Troubled Water
4. Eleanor Rigby
5. Make It With You
6. Don't Play That Song
7. Dr. Feelgood
8. Spirit In The Dark
9. Spirit In The Dark (Reprise)
10. Reach Out And Touch (Somebody's Hand)





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2021年5月16日日曜日

本日のCD Aretha Franklin ♪ Spirit In The Dark

 

 アレサ・フランクリンが1970年に発表した、ベスト・アルバムのひとつと高評価を受けるアトランティックでの9作目。1961年のアトランティック移籍から9年間なのに2~5枚の超ハイペースなのでスタジオ・アルバムとしては17枚目となっています。これで音楽家としての寿命が擦り減らないのが、また凄いなと感服するところでもあります。
 シングルカットは Ben E King のカバーの Don't Play That Song でR&Bで堂々1位、Hot 100で11位、Spirit In The Dark はビルボード・Hot 100で23位、R&Bで3位とのことでアレサ流に昇華した曲ではありますがBen E King のカバーの勝ちですが、ヒット・チャートへの入り方が貫録です。
 前にも書きましたが5枚組の廉価版から古い順に聞いており、その中の4枚目となります。古いものから順番に聞いているのでその進化が楽しみなところで、このアルバムでは原点回帰のようなアレサのゴスペル的なアプローチ、約半数の曲でジム・ディキンスンらによるディキシー・フライヤーズが参加していることによるサウンドに厚みとアレサへの新たな刺激があり、ちょっと聞いただけではわからない参加ミュージシャンの多さもアルバム出せば売れてしまうアレサへのレーベルの意気込みを感じてしまいます。(そんなに多重録音してるようにも聞こえませんがとにかく参加ミュージシャンが多い)ド・ブルースなどがアルバムを地味目にしているとは思いますが、それが奥行きで素晴らしいアルバムになっています。
 個人的には、ストーンズで聞いたことあるようなブルースロックの When The Battle Is Over とかも好きです(デュアン・オールマンがギターでした)メインギターはコーネル・デュプリーですね。バック・ボーカルからはアレサ姉妹は消えて、ホイットニー・ヒューストンのお母さんの所属する The Sweet Inspirationsは2曲だけの参加になっています。

Aretha Franklin / vocals (5,  1-4, 6-12), piano (1-6, 8-12)
background vocals : Margaret Branch (1-2, 7-8, 11) , Brenda Bryant (1-2, 7-8, 11) Evelyn Green  (3, 9-10, 12), Wylene Ivy (3, 9-10, 12), Almeda Lattimore (1-3, 9-12)
Pat Lewis (3, 9-10, 12), The Sweet Inspirations (4, 6)
organ : Dave Crawford (8-9, 12)
bass : Harold "Hog" Cowart (8-9, 12)
guitar : Cornell Dupree (8, 11-12), Buzz Feiten  (1), Duane Allman (7), Jimmy O'Rourke  (9)
drums : Ray Lucas  (8, 12), Ron "Tubby" Ziegler (9)

The Dixie Flyers
drums : Sammy Creason (1-2, 4, 6, 10)
additional keyboards : Jim Dickinson (1-2, 4, 6, 10) Michael Utley :  (1-2, 4, 6, 10)
guitar : Charlie Freeman :  (1-2, 4, 6, 10)
bass : Tommy McClure (1-2, 4, 6, 10)

Muscle Shoals Rhythm Section
keyboads : Barry Beckett (7, additional on 3, 5, 11)
guitar : Eddie Hinton (3, 5, 7, 11) Jimmy Johnson :  (3, 5, 7, 11)
bass : David Hood (3, 5, 7, 11)
drums : Roger Hawkins (3, 5, 7, 11)

1. Don't Play That Song
2. Thrill Is Gone, The (From Yesterday's Kiss)
3. Pullin'
4. You And Me
5. Honest I Do
6. Spirit In The Dark
7. When The Battle Is Over
8. One Way Ticket
9. Try Matty's
10. That's All I Want From You
11. Oh No Not My Baby
12. Why I Sing The Blues





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