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2024年7月26日金曜日

Bill Evans / Montreux II

 

 力強い陽の Bill Evans が聴けるライブです。Evans のピアノの音は少し濁り気味ですが、Eddie Gómez の録音が鮮明で、音の圧も高いように感じます。1970年のモントルー・ジャズ・フェスの録音となります。リリースは CTI (Creed Taylor が1970年に独立したレーベルで Creed Taylor Incorporated の略)です。イージー・リスニング、フュージョンに注力しているレーベルからの、この作品の発売ですがエレピを弾くEvans でもなく、純然としたジャズを展開しています。音源としては、スイス・ロマンド放送局によって収録されたものを版権者である Evans が、このアルバムをCTIと契約したことでのCTIでの販売。レーベルとしてのエレクトリックな楽曲のの販売へのこだわりを捨てても、この演奏を世に出すことを選ぶほど良演であったこと、また「お城のエバンス」の異名をとる名盤  At The Montreux Jazz Festival (1968) の続きを意識しての「Montreux II」のタイトルも、出せば売れるとの大人の事情もあったことと推測されます。(エレピはこのライブでも弾いていたようですがアルバムでは除外されているとのこと)また、モントルー・フェスの創設者の一人であり、ピアニストでもあるジオ・ヴマールによる冒頭のアナウンスを丸々収録しているのも「お城」と同じです。違うのはゴツゴツとした Evans の弾きっぷりと音質、観客の熱量でしょうか。またベースの高めの音圧は、この頃新たに開発されたウッド・ベース用のピック・アップを使用していることも特筆すべき点でしょうか。
 ジャケットも印象的です。イラストのようにも見えますが、これは写真で Pete Turner の作品、デザインは Leonard S. Levine が担当しています。ジャケットだけではわかりませんが、ライナーノーツに掲載されている写真の左側に移っているのは、湖畔の崖と思われます。おそらく、モントルーのレマン湖の湖面を写したもので、ドットの模様に見えるのは、街灯の光が湖面に反射しているものと思われます。力強い演奏も印象的ですがジャケット写真の印象も強力です。


 それではベース Eddie Gómez。ドラムには Marty Morell で、エヴァンス・トリオ史上最も長期間存続し最も安定感のあった布陣でのライブを聴きながらのレビューです。ちなみに最初の試聴は他の客がいなかった時に、音楽好きの集う「おでんバー」でかけましたが、これならいけるとマスターの評判は Evans 作品にも関わらず上々でした。Introduction / Very Early 出だしは前述のとおり ジオ・ヴマールによるアナウンスでバンドの紹介から始まり、最初に紹介された Marty Morell の拍手は少な目、Eddie Gómez で盛り上がり、Bill Evans でヤンヤの拍手喝采でした。Very Early は Evans が大学時代に作った曲です。先にも書きましたが、最初に思うことは Eddie Gómez の音圧の高さ、次に、この Evans はやけに力強いな、張り切ってるんだろうか。良い曲なんですがそっちが気になります。 Alfie 同名の映画の為に Burt Bacharach, Hal David が書いた楽曲です。Evans のコードが力強く華やかなラブ・バラード。2分半あたりから倍テンポになってリズミックでスリリングな展開になります。34 Skidoo ミディアム・テンポの Evans のオリジナルで彼のソロから始まります。ピックアップで増幅された Eddie Gómez の細やかな技にも耳を取られます。Evans も絶好調で気迫充分で面食らいます。How My Heart Sings はいつもよりサービスで早くしています的な演奏です。Earl Zindars による楽曲。この曲はいつものエレガントな方が好きかもしれない。Israel は John Carisi によるマイナー・ブルースですが熱量が半端ないですね。ライブ会場では、実はアンコールで演奏されていたとのこと。I Hear a Rhapsody は、Jack Baker, George Fragos, Dick Gasparre による楽曲。Evans のルパートで始まり段々と熱量が増してテンポも速くなるパターン。Evans のソロの打鍵が力強いですね。Eddie Gómez のソロの後の Evans との二人の絡みの部分は、ライナーノーツを書かれている悠正彦氏の意見の通り、あっさりしています。もっと聞かせてくれても良いですね。Peri's Scope も早いテンポです。テンポ早くソロの構成含めスリリングさを求めているかのような演奏は爽快で観客の拍手、歓声もそりゃあ大きいです。これが最後でアンコールを求める拍手で、このアルバムは終わります。曲順が違うとミスのような意見も世の中にありますが、これはプロデューサーの意図で、このアンコールの拍手でアルバムを終わらせたかったと私は思いますが」どうでしょう。
 リリカルな印象の Evans が激しくカッコ良い面を見せてくれました。従来の Evans 視聴者には刺激が強いかも知れませんが、疾走感もあって、ぶっとく過激な三者のプレイは魅力です🎶

piano : Bill Evans
bass : Eddie Gómez
drums : Marty Morell

producer : Helen Keane

recorded by : Rudy Van Gelder

recorded at the Montreux Jazz Festival, Casino De Montreux, Switzerland on June 19 & 20, 1970.

1. Introduction / Very Early (Bill Evans)
2. Alfie (Burt Bacharach, Hal David) 
3. 34 Skidoo (Bill Evans)
4. How My Heart Sings (Earl Zindars) 
5. Israel (John Carisi)
6. I Hear a Rhapsody (Jack Baker, George Fragos, Dick Gasparre) 
7. Peri's Scope (Bill Evans)