2024年9月13日金曜日

The Bonnie Raitt Collection


 女性ながら様々なブルース・セッションなどでお見かけする方で、女性スライドギターの草分け的存在として知られています。実際私もスライド・ギターを練習していた時には動画などは参考に見させていただいていました。これは、そんなスライドを練習している時代に札幌の中古屋のCDワゴンで見かけたときに購入と記憶しています。
 1949年生まれのギタリストでありシンガー。1971年からブルース、ロック、フォーク、カントリーの要素を取り入れた音楽で、多数のアルバムをリリースし続けて評論家からは評判が良かったものの、セールス的にはほとんど成功していませんでした。しかし1989年アルバムの Nick of Time がヒットし、Luck of the Draw (1991年)と続けてヒットが出ます。Longing in their Hearts (1994年)に至っては数百万枚をセールスし、グラミー賞もこれまでに10回受賞の大御所。このアルバムに収録の曲は、不遇の時代の Warner Brothers 1971年~1986年のアルバムからのセレクションで、ライナーノーツには、ご本人の解説、思い出が掲載されている丁寧なつくりのコレクション・アルバムとなっています。


 1stアルバム Bonni Raitt は、4トラックのレコーダーを使って行われ、ジュニア・ウェルズ、そしてサックスのA.C. リードのブルースが参加し、濃厚なブルースですが声が若いです。2ndアルバム Give It Up のミュージシャンはフリーボ(ベース、チューバ、ギター)エリック・カズ でカバーと自作で構成されています。Give It Up Or Let Me Go はスライドのイントロから始まるカントリー・ブルース、Under The Falling Sky はサザンロック風など多彩。3rdの Takin' My Time リトル・フィートのメンバーが参加し、このアルバムの Guilty はソウル・バラードで味わい深い歌声。Streetlights の Angel From Montgomery は、John Prine のカバーのカントリー・ブルース。Home Plate の Sugar Mama まで来るとバンド・サウンドもだいぶリッチになってきていてエリック・クラプトン風のブルース・ロックがカッコ良い。The Glow では更にコマーシャルなロック・サウンド。Nine Lives では、レゲエの True Love Is Hard To Find なんかも収録されていて、売れ線のライトなロック調の No Way To Treat A Lady まで収録されていますが、こうやって聴いてくると売れ線はつまらなく感じてしまいます。と、ここまで来て1stの歌声と比較すると初々しい歌声が、貫録あるミュージシャンへと進化してきたことがよくわかります。ファンというほどでもないので、こうやって年代を追って変化を聴けるアルバムは面白い🎶

1. Finest Lovin' Man /  Bonnie Raitt (1971)
2. Give It Up Or Let Me Go / Give It Up (1972)
3. Women Be Wise / Bonnie Raitt (1971)
4. Under The Falling Sky / Give It Up (1972)
5. Love Me Like A Man / Give It Up (1972)
6. Love Has No Pride / Give It Up (1972)
7. I Feel The Same / Give It Up (1972)
8. Guilty / Takin' My Time (1973)
9. Angel From Montgomery / Streetlights (1974)
10. What Is Success / Streetlights (1974)
11. My First Night Alone Without You / Home Plate (1975)
12. Sugar Mama / Home Plate (1975)
13. Louise / Sweet Forgiveness (1977)
14. About To Make Me Leave Home / Sweet Forgiveness (1977)
15. Runaway / Sweet Forgiveness (1977)
16. The Glow / The Glow (1979)
17. (Goin') Wild For You Baby / The Glow (1979)
18. Willya Wontcha / Green Light (1982)
19. True Love Is Hard To Find / Nine Lives (1986)
20. No Way To Treat A Lady / Nine Lives (1986)





  

2024年9月12日木曜日

黒い性・白い性 Black / White SEX グレース・ハルセル


 1972年に発刊された、米国ジャーナリストで大統領報道担当官も務めた
グレースハルセルのリポートです。
 自らの肌を黒く染めた女性ジャーナリストの話は、TVドキュメントを昔見たことがありますので、おそらくこの人のことだったのかと思われます
 TVでの印象はそれほど強くなく、変わった人もいるもんだぐらいにしか思っていませんでした。
 しかし、このころのアメリカは
1963年 キング牧師のワシントン行進
1965年 ベトナム戦争本格化
1968年 キング牧師殺害
 著者は未だ人種差別の残る社会で生きてきた人です。おそらくセックスのことも女性が大っぴらに話をするのもタブーだった時代に、人種差別を切る観点でこの著を出版するのは相当なエネルギーと決意があったことと思います。
 著書の中身は、セックスの角度から歴史観点からの宗教、黒人から見た白人、白人から見た黒人、など、テーマは複雑な話題です。最初は、興味津々で読み始めました。しかし、色々な迷信や考え方、生き方があるとは思うものの、理解するは、かなり難解な内容でした。
「著名な学者などの他人の言葉」と「登場人物の言葉」「著者の考え」が交錯しているため
これは偏見だと他人が言っているのか、登場人物がそう思っているのかが解らなくなるのも難解な要因です。さらに外国文学の訳書にありがちな比喩が長いことや、文章のセンテンスが長すぎて何を言っているのかさっぱり?に近いものでもありました。
 しかし、黒人白人抜きで色々な環境に、おかれている人のセックス観が書かれていることは興味深い作品ではあります。今では中々手に入らない著作でしょう。
 出版はサイマル出版会で、1998に廃業しているが、理論・人間・問題・話題・外国語
にカテゴリー分けして出版している尖った出版社だったようです。これはB980なので、当時980円での販売であったようです。🎶


  

2024年9月8日日曜日

Yousuke Onuma / Jam Ka 2.5 The Tokyo Session


 グアドゥループの民族音楽“グォッカ”をジャズに取り入れたプロジェクトの「Jam Ka」。2010年発表の「Jam Ka」は、ニューヨークにて録音、 2016年の「Jam ka Deux」は、パリでした。今作は、東京録音のライブ盤。2017年 Jam ka Deux ツアー最終日の翌日スタジオに入り、ライヴ・セッション形式で一発録りしたアルバムです。
 タイトルの 数字 ですが、楽曲がライブを重ねることで進化することを確信し、ツアー後にアルバム曲の進化したバージョンを記録したいと思ったことによるスタジオ・ライヴ。ツアーで次の可能性を見せるためなど、過渡期の作品と位置づけての2.5としたとのこと。
 メンバーは、Jam KaJam ka Deux でも参加していたベースの Reggie Washington、Ka やドラムを担当の Arnaud Doimenm、Olivier Juste、ピアノの Gregory Privat など、ほぼ同じメンバーでの録音です。

 

 

 それでは、レビューです。Moai’s Tihaiは、Jam Ka Deux の収録曲で少し早めで、リズムはより現代的なアレンジで、Reggie Washington のベースはファンクしていて小沼氏のギターも歪み強めです。初心者にもとっつき易い曲ですね。Flyway は一枚目の Jam Ka からの収録曲。元曲よりも、Ka のリズムをより強くした演奏となっています。小沼のギターの音も元の曲は爽やかなトーンであったものを、少しモコモコさせたりして表情をよりつけています。Beyond the Sea / Le Bonheur は Jam Ka Deux の収録曲でもありますが、よりフリーなピアノイントロとなっています。Le Bonheur はまた違うテーマで Gregory Privat 作曲ですので Jam Ka Deux とはほぼ違う曲になっています。Gradation Part 4 は、ka奏者と小沼の完全即興演奏となっています。Jam Ka で Part1,2、Deux でPart3、そしてこのアルバムで Part 4 となっています。会話している演奏なのがよくわかる演奏です。The Elements これも Jam Ka Deux の収録曲ですが、元の曲のアレンジも凝っていましたが、こちらの方がバンドらしいグルーブが良く表れている重厚な演奏になっています。
 こちらのスタジオセッションの方が、やりたいこと、やってきたことが凝縮されているんでしょう。直感的にバンド演奏を楽しめる内容となっております🎶

guitar : Yosuke Onuma
keyboad , piano : Gregory Privat
bass : Reggie Washington
ka ,drums : Arnaud Doimen , Olivier Juste

1. Moai’s Tihai
2. Flyway
3. Beyond the Sea / Le Bonheur
4. Gradation Part 4
5. The Elements





  

2024年9月7日土曜日

Rod Stewart / Lead Vocalist


 中古屋で見つけたRod Stewart 、ファンではありませんが悪かろうはずがないと購入しました。このアルバムは1993年に発売で、実際聴いてみて懐かしい曲も入っているので、オムニバスかベストなのだろうと思いながらそれなりに楽しいアルバムでした。
 しかし、このレビューを書くために、色々なものを読み込んでいくと、なかなか物議を提供していたアルバムのようです。結論から言えば、1~8曲目までは発売済の Faces時代やソロ初期などの、なつかしの名曲選でそれ以降は新曲であるとのこと。なるほど全部が懐かしの曲ではないことは初めて理解でした。
 なんでもベスト盤を作ろうと思っていたのではなく「カバー曲を収録してたアルバムのレコーディングをしていたら、MTVアンプラグドへの出演が決まってロッドがそちらの方に乗り換えた」からだとのことでした。ちなみにアンプラグド発売とダブってしまうためこのアルバムはアメリカではリリースされていないとのこと。


 当然音楽はビジネスでありますから、アーチストの生活としてのお金儲けの手段であります。しかし大人の事情が色々と詰まっているとはいえ、かなり中途半端なアルバムの作り方です。私のような人間はこれでも楽しいのですが、ロッドファンで収集マニアの方は、知らない曲があるなんて許せないのでしょう。ファンとしては買わざるを得ないようなアルバムなのにブーイングが起きている模様です。スーパースター、ロッドスチュアートなら、売れたヒット曲を入れときゃ、再発でも売れるのでしょうね。
 カバーとしては、フリートッドウッドマックで Stand Back、ストーンズの Ruby Tuesday、ソウルの Roy 'C'で Shotgun Wedding、The Contours で J. Geils なんかもカバーしている First I Look At The Purse、トム・ウェイツの Tom Traubert's Blues、ストリングスなんかを入れたソフトでクラシカルな録音です。前半と後半の落差が激しくて、いい加減なつくりが、またニヤリですな🎵

1. I Ain't Superstitious / Jeff Beck Group
2. Handbags And Gladrags / Rod Stewart
3. Cindy Incidentally / Faces
4. Stay With Me / Faces
5. True Blue / Rod Stewart
6. Sweet Lady Mary / Faces
7. Hot Legs / Rod Stewart
8. Stand Back / Rod Stewart
9. Ruby Tuesday / Rod Stewart
10. Shotgun Wedding / Rod Stewart
11. First I Look At The Purse / Rod Stewart
12. Tom Traubert's Blues / Rod Stewart





  

2024年9月6日金曜日

Idris Muhammad / Power Of Soul

 


 ドラマーの Idris Muhammad(イドリス・ムハンマド)1974年のリリースの作品です。アメリカ合衆国ルイジアナ州ニューオーリンズ生まれのセッション・ドラマーで本人の名前「レオ・モリス」でイスラム教への改宗で「イドリス・ムハンマド」となったとのこと。
 タワレコでクラシックのお勧めコーナーに置いてあって、髭が気になって購入してみたのですが、ジャズ・ファンク界では有名な人のようでシンバルのシグネイチャー・モデルも出ているようです。



 このアルバムの共演者は演奏/編曲/指揮が Bob James、テナー・ソプラノサックスが Grover Washington, Jr.、トランペットとフリューゲルが Randy Brecker、ほかベース Gary King、ギターJoe Beck。
 イスラム系の格好に髭がアップのジャケットですから中近東系のマニアな展開になることかと期待しながらかけ始めると、日本のムード歌謡にあるようなベタなテーマのフュージョンです。マニアな展開になりそうかなあと思わずニヤリとしながら聴いておりました。しかし2曲目に突入すると繊細な感じの爽やかなフュージョン。そして4曲中の3曲目に突入すると静かなフュージョン曲で Grover Washington, Jr.(グローバー・ワシントン・Jr)の甘めのソプラノ・サックスに、硬質な音のギターカッティングも1970年代中盤に流行っていたサウンド。期待していたマニアな展開はなく若干拍子抜け。テーマ曲の Power Of Soul がアクが強いぐらいで、あとは普通にフュージョンでした。しかしアメリカ系のバカテク・フュージョンを期待すると少し肩透かしで、B級ジャズ・ファンクでもなく、少し物足りない感じがするかもしれません。家で聴く前に行きつけの「おでんバー」で聴いたのですが、私同様、皆様ジャケットを見てマニアックな内容を期待していたようですが、聴き終わった後には皆さま「音楽に髭は生えていなかった」「ターバンの雰囲気も無かったね」などなど、どうしてもジャケットと中身のギャップばかりが気になる一枚となってしまいました。お勧めはサンプリングにも使われている Loran's Dance ですが、ゆったりとしたフュージョン曲であばれる Randy Brecker とかは居ませんのであしからず。
 気になって検索してみると今まで注目していなかっただけで、私所有の音源にも結構参加しているので既に聴いているドラマーでした。特に私の好きなRoy Hargrove's Crisol / Habana で叩いていたとはびっくり🎶

drum : Idris Muhammad
keyboards : Bob James
guitar : Joe Beck
bass : Gary King
percussion : Ralph MacDonald
soprano sax, tenor sax : Grover Washington, Jr.
trumpet, flugelhorn : Randy Brecker

producer : Creed Taylor
recorded at Van Gelder Studios, March 1 & 14, 1974

1. Power Of Soul
2. Piece Of Mind
3. The Saddest Thing
4. Loran's Dance





  

2024年9月5日木曜日

ハーレムの熱い日々 BLACK IS BEAUTIFUL 吉田ルイ


 この本は音楽本という訳では無かったのですが、それまで音楽を聴くだけであった私が、音楽の時代背景も考えながら聴くようになったきっかけの名著です。

 吉田ルイ子さんは北海道生まれのフォトジャーナリストで、この本はニューヨークのハーレムに10年住んだ時の記録です。1962年に渡米され1971年に帰国されるまで、ちょうど60年代をアメリカ黒人ゲットーで過ごした記録です。1963年ケネディ暗殺、1964年ハーレムの暴動、1965年マルコムX暗殺、1966年ブラックパンサー設立、1968年マーチンルーサーキング牧師暗殺、1969年ウッドストック・・・すごい時期にハーレムに出入りされていました。
 また、1972年に帰国して写真展「ハーレム Black is beautiful」を開催して、この本も「ハーレムの熱い日々」も出版されました。私はそれを2019年に古本屋で見つけて読んでみたわけです。別に音楽論を語るわけでもなく人種差別に対する政治的なメッセージがあるわけでもないルポルタージュなのですが、さらりとカメラ目線と自身の目線で人間をとらえています。

 私自身はこの本を読むまでこれらの出来事を何となく知っていましたが興味を持つことも無かったのですが、リアルにこの時期にハーレムに女性一人で住まわれて感じたことを読んでから、音楽との時代の密接なかかわりに興味が出て音楽に隠されているメッセージも知りたいと思うようになりました。
 ちなみに過ごされた「ゲットー」とは、黒人やヒスパニックの密集居住地のことで、この場合ハーレムに事を指します。ダニー・ハザウェイで歌にもなってますね「ザ・ゲットー」
 ブラックパンサーは余り知らなかったのですが、黒人が居住するゲットーを警察官から自衛するために結成された政党のことで、毛沢東主義にかなり強く影響を受けており、これがハーレムの人の本を読むきっかけになったことあるとか、日本のゲットーとも連絡を取っていたこともここで少し詳しくなりました。(この本を読むまで毛沢東主義も良く理解していませんでしたから)
 そして音楽的なつながりでも興味深いことも書かれています。
「ウェインショーターはハーレムに住んでいて著者と知り合いでお子様の名前はミヤ子ちゃん」「住んでいればチャーリーミンガスに普通に会える」「アートブレイキーは売れてからも、金持ちのパーティーで演奏しニグロとして差別的な扱い、しかしこれは本人も容認していた」

 私の愛好する音楽は、ジャズ、ブルース、ソウル、ファンクなど黒人ミュージシャンの演奏するものが大半を占めます。しかしその黒人ミュージシャンの音楽が発展してきた中には哀しい事実も歴史にはあります。

BLACK IS BEAUTIFUL
このタイトルを見るといつも思い浮かべるのは、Esperanza Spalding(かなり好きです)のBLACK GOLD です。最後にBLACKのみんなを指さす彼女に泣けてきて、この本の中で描かれているハーレムの生活オーバーラップします。

 この本を読んでから、人種問題に関する本などを読む機会も増えました。同じ人種問題のルポではありますが白人のグレース・ハルセルの書いた「黒い性・白い性 Black / White SEX」なんかもセックスの角度から歴史観点からの宗教、黒人から見た白人、白人から見た黒人、などが書かれており興味深くはありましたが、かなり難解でした。これももう一回読んでみるかな。

  2024年5月31日に吉田ルイさんは永眠されました。89歳で胆管がんだったそうです。


  

2024年9月1日日曜日

Santana / Black Magic Woman - Recorded Live In Montreal, New York City


 ラテン・ロックの代名詞のような人ですね。そしてこのギターを聴けば Carlos Santana と誰でもわかるクセの強さで似たような人があまりいない唯一の存在でもあります。ギターを弾く人間としてやはりサンタナは凄い人です。
 Santana はバンド名で、メキシコ出身の Carlos Santana をリーダーとして1966年サンフランシスコで結成された Santana Blues Band (サンタナ・ブルース・バンド) が前身で、その後 Santanaと改名して1969年にコロムビア・レコードと契約してウッドストック・フェスティバルに出演したことで一躍有名になり同月のデビュー・アルバム Santana が大ヒットした訳です。本作のタイトルであり、代表曲とも言える Black Magic Woman は1970年の2ndアルバム Abraxas (天の守護神)に収録されていました。


 私はジャンルレスの何でも音楽を聴く人ではありますがラテン・ロックはあまり聴いてきてはいません。ラテン自体は学生時代の友人がサルサなどをやっている人間が多い影響で聴くのですが、ラテンロックになるとちょっと別物になってくるかと思います。ただ私自体はギター演奏が趣味でありますので、ラテン・バンドで通用するギターには興味はあります。ただサルサ・バンドなどでギターが入る演奏に出くわしたことがないので、今改めてサンタナの8ビートとラテンのリズムを組み合わせた楽曲や、独特の節回しは面白いです。
 このアルバム買ってから気づいていたんですが、ジャケット写真がペラペラの紙一枚で前に買ったスティングのライブ盤と似ている感じでいかにもブートレグ?かな🎶

1. Black Magic Women
2. Gypsy Queen
3. Oye Como Va
4. Hold On
5. Evil Ways
6. No One To Depend On
7. Winning
8. Spirits Dancing In The Flesh
9. Soul Sacrifice



▶ Winning


  

2024年8月31日土曜日

Relaxin' With Miles Davis Quintet

 

 「マラソン・セッション・シリーズ」を揃えようと思いはじめ購入した最後のCDです。マイルスは、Prestige Records からColumbia Recordsへの移籍にあたり1956年5月11日と10月26日の2回のセッションをおこない、そこから Prestige は合わせて4枚のアルバムを作成し1枚づつ発売し、日本では「マラソン・セッション」と呼ばれています。順を追うと57年Cookin'」58年「Relaxin'」60年Workin'」61年「Steamin'」 なので順番には購入ではなかったです。ちなみに Relaxin' に収録の曲は全て2回目の10月26日の録音となっていて、慣れてきたせいもあってか軽快で聴きやすい楽曲が多く演奏されています。セッションの中でも人気があると言われる Cookin' 収録曲の演奏もこの10月セッションとなっています。



 さてRelaxin' ですが、他のアルバムにはないスタジオ内の会話が収録された箇所があります。 そこから伝わる“リラックス”した雰囲気が特徴がアルバム名の元となっているとか、噂はありますが本当かどうかは不明とされています。音量を上げないとわかりませんが確かに If I Were A Bell の前でボソボソ言っていて、私には聞き取れませんでしたが「演奏してみて曲名が何かはあとで言うよ」と言っているらしいです。するとイントロは Red Garland がピアノで学校のチャイムのメロディーを弾き、そこから始まります。全てワンテイクでの一発勝負の録音ということですが、テーマも含めたすべてが即興とは思えないので特定のメンバーにだけ言っているんだとは思いますがどうなんでしょう。続いて You're My Everything ではイントロをシングルトーンで弾き始めた Red Garland をMiles がヒュッと口笛を吹いて止める。 Miles が「ブロック・コードで弾いて」と言うと Red Garland がガツンとピアノを弾き始める。 これはかなりクールな瞬間です。 Woody'n Youでは演奏終了後に「OK?」どうやら誰かがダメ出しをしたようで直ぐに「Why?」。 その後で「・・Beer・・」だけ聞こえるのですがビールの栓抜きはどこだ? とコルトレーンが言っているとのこと。 確かに最後までリラックスした録音のようです。
 演奏的には Oleo が一番のお気に入りで、Miles が出だしを誘導するとリハーサルっぽくピアノとベースが入ってきてドラムは様子を見るように休む。コルトレーンのソロで煽られるようにドラムが入ってくる。 ここでぐっと来てからドラムが何回も休んでベースの Chambers だけがリズムを刻んで Miles や Coltrane、Garland と絡んでいく流れはスリリングでとても心地良いですね。
  このアルバム聞き直しながら細部の確認していたら楽しくなってきましたので、再度4作全部を聴けば発見が、またあるかもしれません🎶

trumpet : Miles Davis
tenor sax : John Coltrane
piano : Red Garland
bass : Paul Chambers
drum : Philly Joe Jones

Record Company – Prestige Records Inc.
Recorded At – Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey
Recorded on May 11, 1956 and October 23, 1956

1. If I Were A Bell (Frank Loesser)
2. You're My Everything (Harry Warren, Joe Young, Mort Dixon)
3. I Could Write A Book (Rodgers & Hart)
4. Oleo (Sonny Rollins)
5. It Could Happen To You (Jimmy Van Heusen And Johnny Burke)
6. Woody'n You (Dizzy Gillespie)


Oleo