2021年12月26日日曜日

Lou Donaldson / Blues Walk

 

 Lou Donaldson (ルー・ドナルドソン) の1958年の作品で代表作とされている一枚でコンガを加えたクインテットとなることでの黒いフィーリングが聴けます。非常に安定した演奏であるのが印象的で、いかにもスタジオ版ですがそれも良い。
 リーダーアルバムは1952年~1999年までかなりの数を作っていて、サイド・メンとしても私の所有音源にも登場が多い人です。Thelonious Monk、Jimmy Smith、Art Blakey など。一番有名なのはこの録音の4年前のArt Blakey 名義のスタープレイヤーのセッション A Night At Birdland への参加でしょうか。ハードバップの幕開け前夜と言われる演奏はこのアルバムとは違って非常に熱かったアルバムです。

1926年生まれのノースカロライナ州出身

 特徴としては先にも書きましたが、コンガの Ray Barretto の参加がサウンドを大きく左右していると感じ、ゆっくりとしてリラックスした雰囲気なのにダレないのが素晴らしい。ピアノの Herman Foster も独特の叩くようなリズミカルなタッチのピアノがまた良い仕事をしています。ルーのスカウトしたピアニストでルーの57年~61年の作品5作に参加しているとのことです。
 タイトル曲は Blues Walk は歩くテンポのブルースで The Masquerade Is Over を裏面にしてのシングルも発売され、ジューク・ボックス、ラジオでヒットしたようです。

alto sax : Lou Donaldson
piano : Herman Foster
bass : 'Peck' Morrison
congas : Ray Barretto
drums : Dave Bailey

recorded by : Rudy Van Gelder

1. Blues Walk
2. Move
3. The Masquerade Is Over
4. Play Ray
5. Autumn Nocturne
6. Callin' All Cats





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2021年12月25日土曜日

Stevie Ray Vaughan And Double Troble / The Sky Is Crying


 1991年に発売された Stevie Ray Vaughan (スティービー・レイ・ボーン) の死後最初にリリースのアルバムで未発表曲を集めた編集盤で、兄 Jimmie Vaughan (ジミー・ボーン) がプロデューサーを努めています。
 レイボーンは、1990年、8月26日に、ウィスコンシン州イースト・トロイのアルパイン・ヴァレイ・ミュージック・シアターで行われたブルース・フェスティバルに出演。エリック・クラプトン、バディ・ガイ、ロバート・クレイ、ジミー・ヴォーンらと共演。終了後、シカゴ行きのヘリコプターに乗り込んで移動するのだが、8月27日未明にアルパイン・ヴァレイ・リゾートにあるスキー場のゲレンデに濃霧で視界を失ったヘリコプターが墜落、エリック・クラプトンのボディガードを含む乗員全員と共に死去してしまいます。もしクラプトンもこのヘリに乗っていたかと思うとゾッとする事故でした。1985年から薬物中毒の治療を受けその後のアルバム制作なども順調だっただけに彼のギターが聴けなくなってしまったことはかなりのショックな事件でした。


  さてこのアルバムはと言えば、のっけから、つんざくギターで始まるのは Boot Hill で力いっぱいの歌声にもレイボーンのお得意フレーズから始まります。ジミヘンのカバー Little Wing は様々なミュージシャンの定番のカバー曲ですが、レイボーンのこのバージョンはストラトの乾いた音とレイボーンの荒々しさと時には優しいギターワークが心に突き刺さる名演です。またLife By The Dorp は珍しく12弦アコースティックによる弾き語りで、シンプルなブルースなのですが、死後に発売された追悼を感じるしんみりと泣けるラスト。

guitar, vocals  : Stevie Ray Vaughan
bass : Tommy Shannon
drums : Chris Layton
keyboards : Reese Wynans

producer : Jimmie Vaughan

1. Boot Hill
2. The Sky Is Crying
3. Empty Arms
4. Little Wing
5. Wham
6. May I Have A Talk With You
7. Close To You
8. Chitlins Con Carne
9. So Excited
10. Life By The Drop





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2021年12月23日木曜日

Joe-Guy's BAND / Always Together


 数十年前の関西勤務時代、西宮に Joe-Guy's という BAR があり、そこではCDやレコードを勝手にかけてよかったんで、入り浸っていてました。今は笹塚の「おでんBAR」で自己所有の音源持ち込んで、酒を飲みながらウダウダしてますんで基本的に若い頃から行動は変わっていないようですね。
 そこのオーナー?が趣味でバンドやっていてアメリカ西海岸でレコーディングしたとのことで店に置いてあったのでノリで購入のアルバムです。結構良かったんですけど、アルバムとしてはオリジナリティと一貫性が欠けてるかなって印象はあります。お店は結構流行っていたんでバブルでジャパン・マネーが入り込んだのか、アルバムのゲスト・ミュージシャンにはみたことのある人もいらっしゃいます。


 HPは未だ残っていて2012年ぐらいで情報が途切れ、バンドも2013年ぐらいで情報途切れています。会社の仲間とばかり飲んでいたので、ここで知り合いになる人はほぼいなかったのが今思えば残念ですね。

 

vocal : MASSIE
bass : 小林正見
guitar : 林達郎
keyboads : 浜崎明子
drums : 佐野隆士

【Guest】
PETER MICHAEL
LOUIS FASMAN
WAYNE WALLACE
MELECIO MAGDALUYO
AIRICK AROESE
PETE ESCOVEDO(元サンタナ シーラEの父)
RICHARD ELLIOT(タワーオブパワー)
BILL CHANPLIN(シカゴ)
NATSUKO KONDOH 
MAMANO
FELICE HERNANDEZ
GWEN MANN
RAY OBIEDO
SUNDRA MANNING
JUAN ESCOVEDO

1. NEW YORK CITY
2. SHA LA LA
3. SATISFACTION
4. HAVE A LITTLE FAITH IN ME
5. ALWAYS TOGETHER
6. FEELING LOVE FALLING LOVE
7. TAKE ME OUT TO THE BALL GAME
8. CARNIVAL OF LATIN
9. ONE MORE FOR THE ROAD
10. EVERYBODY CLAP YOUR HANDS
11. EARTHQUAKE



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2021年12月20日月曜日

Little Walter & Otis Rush / Blues Masters


 Little Walter (リトル・ウォルター) と Otis Rush (オーティス・ラッシュ) のオムニバスでともに4曲づつ収録されています。発売はアメリカのほぼブルース専門のレーベルTomato Records。この会社の設立は1977年でもう存在していません。調べていたら日本にトマトレコードという会社がありましたが、おそらく関係ない会社です。


 二人ともハード系のシカゴ・ブルースの重鎮であることから、おそらくトマト・レコードがブルース好きのためにセレクトしただけのセールス的なオムニバスで、特に深い意味を持たせた訳では無いようです。手に入れたのはあまりに昔で、よく覚えていませんが私もおそらく20代の若い時にブルースの勉強だと思って購入しただけだと思います。

 「Little Walter」 1930年5月1日 ~ 1968年2月15日 ルイジアナ州生まれのブルース・ハーモニカ奏者。12歳からニューオーリンズ、ヘレナで活動後1946年からシカゴに住むようになり1947年レコードデビュー。アルコール依存症で1968年にシカゴのクラブ出演の時のケガが原因で死去。
 「Otis Rush」 1935年4月29日 ~ 2018年9月29日 ミシシッピ州フィラデルフィアで生まれ育ったブルース・ギタリスト。8歳からギターを弾き始め。1956年にデビュー。左利きながら、右利き用に弦を張ったギターを逆向きに持って弾くユニークなスタイルで、2004年に脳梗塞で倒れ、以来リハビリを行っていたが、2018年9月に死去で、妻は日本人。

1. You're So Fine / Little Walter
2. May Be The Last Time / Otis Rush
3. It's So Hard For Me To Believe You Baby / Otis Rush
4. All About My Girl / Otis Rush
5. Walter's Blues / Little Walter
6. I Got You / Otis Rush
7. Goin' Down Slow / Little Walter
8. Watermelon Man / Little Walter







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Curtis Fuller / Crankin'

 

 Curtis Fuller (カーティス・フラー) は1961年のArt Blakey And The Jazz Messengersへの参加で三菅黄金期を形成した一人であり、ライオネル・ハンプトン楽団、カウントベイシーオーケストラなどのスター・プレイヤーでありJJジョンソンの直系ともいえるバカテクのトロンボーン奏者です。
 本作は、ハード・バップ、フュージョンやファンク系が混在し、クロス・オーバー関連のリズム隊が集結するワクワクするメンバーの録音で、迫力と気迫に満ちたアルバムで、これはまた面白い。発売はジャズ・ファンク系のレア・グルーブで人気の Mainstream Records で、以前に絶賛のレビューをした Alice Clark もこのレーベルで録音されたものが株式会社ウルトラ・ヴァイブによって発売されていたもので、これも同様のシリーズです。


 タイトル曲の Crankin' で高速バップから始まり、フラーのトロンボーンもトランペット並みの速さでのブロー。ここではギターの Bill Washer のクリーントーンに盛り上がりでクランチなギターに切り替えてサイケな曲調に変わり時代を感じます。そして Maze では、3菅のテーマで始まり、Bill Washer のグシャグシャなバッキングがアクセントとなり、短い Ray Moros のテナーソロにインパクトあり。Black Bath は3管のテーマでモーダルなジャズでスイング。Ballade はエレピが美しいバラードだが、菅のアンサンブルが少し不安定なところが惜しいかな。The Spirit では、Stanley Clarke のエレクトリック・ベースがファンクする気持ちの良い曲でブラス部隊も気持ちよさそうにソロに興じているようで、従来のジャズ・ファンにどうだ?と言っているようで、締めがこの曲であることで何か不思議な力を感じます。
 ディスコ・グラフィを見ていたらこの後に Smokin' というアルバムも同レーベルで録音しているので、これも聴いてみたいものです。それにしても、Crankin'、Smokin' というアルバムのネーミングはマイルスの影響なのでしょうか。それでは3枚目は?と言えば発売されていないようです。ライナーノーツによると Mainstream Records の契約は通常3枚なので、一枚はお蔵入りになったか売り上げが悪かったので2枚で打ち切りになったかとのことですから、3枚目の発売を考えてのネーミングとすればお蔵入りの録音が眠っていてもおかしくは無さそうなもんですね。

trombone : Curtis Fuller
tenor sax : Ray Moros
trumpet : Bill Hardman
electric guitar : Bill Washer
electric piano : George Cables
bass, electric bass : Stanley Clarke
drums, percussion : Lenny White

producer : Bob Shad

1. Crankin'
2. Maze
3. Black Bath
4. Ballade
5. The Spirit





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2021年12月18日土曜日

The John Coltrane Quartet / Africa / Brass

 

 このころのコルトレーンですが、1960年春にはマイルス・バンドを脱退。本作にも参加の McCoy Tyner (マッコイ・タイナー)、Elvin Jones (エルビン・ジョーンズ) とバンドを結成してツアーを開始。10月には、このレギュラー・バンドで My Favorite Things、John Coltrane Plays the BluesColtrane's Sound などをレコーディングしています。そして3月にはマイルスの Someday My Prince Will Come にゲスト参加し、同年5月、7月にAtlantic から Impulse! へ移籍の第一弾のこのアルバムの録音となるわけです。



 このアルバムは当時、精神的に傾倒していたルーツ・アフリカをテーマに採り上げています。タイトルの Africa は16分の大作で激しいブロー。対比して美しいソプラノ・サックスの音色なのに混沌とした怪しい盛り上がりを見せる Green Sleevs、そして普通に聞こえるブルーステーマから始まり、ブラスの掛け合いやビッグバンド的な盛り上がりなどで違った側面を見せてくれる Blues Minor と3曲のみ録音の大作です。
 他サイトの批評で、Impulse! の代表作には、入っていませんでしたが力の入った演奏と楽曲の構成で、これまでに無かったものに挑戦する意欲とエネルギーが十分に感じられる力作であると思います。流して聴くよりはじっくり聴きたいものですね。

tenor sax : John Coltrane
piano : McCoy Tyner
bass : Jimmy Garrison
drums : Elvin Jones

1. Africa
2. Greensleeves
3. Blues Minor

▶ Africa




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2021年12月17日金曜日

土岐英史 / The Guitar Man

 

 今年2021年6月26日に亡くなったジャズ・サックスの土岐英史氏。私は生では演奏を聴いたことは無かったんですが、日野皓正クインテット、松岡直也とウィシングのメンバーとしてモントルー・ジャズ・フェスに出演、山下達郎のバッキングメンバー、山岸潤史、続木徹とともに活動していたチキン・シャックメンバーであったりと素晴らしい音楽作品を残された方でありました。土岐英史 公式HP  のライブスケジュールでは、2021年1/15(金)は調子が悪いので休みますと書いてありその後の3月までのスケジュールが書いてあります。癌で亡くなったので調子が悪かったんでしょうか、時がそこで止まっているようです。
 ソロ・アルバムは持っていなかったので、亡くなった後に行きつけの「おでんバー」でYouTube の土岐さんの作品を聴いていて、出くわしたのが Little Boys Eyes 。ツインギターにサックスのみというシンプルな構成ながら斬新なアルバムで、その後タワレコに行って直ぐに購入しCDで聴くともっと良かったのでこの Guitar Man の購入に至りました。


 The Guitar Man なのだからギタリストを取り上げたアルバムで間違いありません。このアルバムで土岐英史が組んだのは、関西のジャズギタリスト1936年生まれの御年84歳にして現役バリバリのギタリスト・竹田一彦です。ジム・ホール、ケニー・バレルと歳は同じで進駐軍のラジオ放送でスイング・ジャズを聴きながら腕を磨いたそうです。コピーは若い頃しかしなかったそうですが、このアルバムを聴くとバレルの影響はかなり感じます。
 このアルバムの録音の前日には京都の「RAG」でウォーミングアップを兼ねたライブを行ったそうです。それが功を奏してかアルバムでは終始リラックスした演奏で一体感のある演奏にコピーに合った「レジェンドたちがつくり出す至福の時間」は、その通りと唸ってしまいました。
 ライナー・ノーツでのオルガンの宮川淳のインタビューもなるほどです。
「このメンバーはミディアム・テンポの曲をシンプルに演ることの喜びを知っている。”似たようなような曲ばっかりでつまんねえな”と感じるメンバーが一人でもいたら成立しない。ジャズ・ミュージシャンとしての”体力”が試される。集中力、持久力、そして引き出し・・・だって、ひとりだけ途中で息切れするわけにいかないでしょ」
 含蓄のある言葉ですね

alto sax : 土岐英史 Hidefumi Toki 
guitar : 竹田一彦 Kazuhiko Takeda
organ : 宮川純 Jun Miyakawa
drums : 奥平真吾 Shingo Okudaira

1. The Guitar Man
2. Two Flowers
3. Everything Happens to Me
4. Breaking Dawn
5. Gee Baby, Ain't I Good to You
6. My One and Only Love
7. On the Trail
8. Blues in C





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