2024年5月3日金曜日

Mountain Mocha Kilimanjaro / 壱弐参四伍録


 「黒光りした激太ファンク」の形容がされていますが、私にとって黒いファンクとは、Sly & The Family Stone, James Brown, George Clinton, Ohio Players, Graham Central Station なんかががイメージなので、UKファンクに近いような気がします。まあ、どちらも好きだし、ホーン・アンサンブルもカッコ良いし、骨太ベースがブルンとしてて、とても好物なサウンドですので、黒さの表現は問題なし。
 リリースは2014年で札幌に転勤したてぐらいなので、ほぼ札幌のタワレコの試聴で聴いての購入で間違いなしでしょう。最近は新宿のタワレコも面積が縮小し試聴の機会も薄れていることもあるのか、私も中古ばかり購入で新譜は少な目になっています。オジサンは現物主義者で、ジャケット、ライナーノーツも含めて楽しむタイプなので、リアル店舗縮小は悲しい限り。まあ周りの若い人たちはダウンロードが現代の主流のようなのでしょうがない。
 さて、そんな激太ファンクのバンド名は、「Mountain Mocha Kilimanjaro マウンテン・モカ・キリマンジャロ」の和製インスト・ファンク・バンドです。メンバーは6人で、埼玉県で結成され、活動初期は「埼玉の粗大ゴミ」を自称していたらしい。

 

 

 

 さて、そんなアルバムを久しぶりにレビューです。「用心棒にピストル」 昭和初期の刑事ものドラマに使われそうな日本語が嬉しいタイトルで、サウンドはタイトにワウを聴かせたギターにトランペット、サックスのホーンが楽しい。ドラマに使うにはサウンドが新しいので無理があるかも。「タイム・イズ・デッド」 そしてカタカナ英語がまた嬉しいですね。 LUNA SEA に英語表記の同名の曲があるようですが全く関係ないようです。乾いた音のドラムのスネアから始まるひたすら疾走感にこだわったような曲です。『壱弐参四伍録』ティーザーその①で使われています。「「パレード」 王道ファンクのリズムとリフ。Bメロでポップに変えてきています。跳ね方が独特でオリジナルな感じが良いです。うるさいばかやろう こちらに関しては、しっかりUKファンクっぽいサウンドのジャムですね。「太いタイヤで 」 少し抑えめのタイトなファンク・リフですね。少し単調な流れになっているような気はしますが、ライブだと、もっと迫力ありそうです。「螺旋階段」 漢字が弱い人のために螺旋は「らせん」と読みます。テーマは割と単純なホーンのリフにして他の楽器で味付けしていく手法が続きます。「種」ここにきて、ゆっくり目ソウル風+昔風アシッドな曲ですね。Donald Byrd とかにありそうなヤツで嫌いじゃないですよ。「鉄蓋を設置するんだ」 今検索して知りました。そうかと予想はできましたが、鉄蓋=マンホールですね。ドラム主体の曲のようでスネアの強烈な音が強調されています。マンホールの蓋をそんなに力いっぱい叩いたら手首痛めそうですね。点滅中」工事現場で使われる用語が続きます。メンバーがバイトでもしてたのか?曲を作ってたら工事現場がスタジオの前にあったのか?ジャキジャキのギターリフが疲れそうなヤツです。後半からジャズ風にしてお洒落な流れにしてます。「ありがとうございました。」ライブの最後はこれで締めるのでしょう。ライブ主体のバンドって感じがします。アルバムの最後にこの曲を持ってくる、この流れは好きです。
 もう活動はしていないようで惜しい限り。「黒光り」はしていなかったような気がしますが、とても良かったにに🎵

trumpet : 四方田直人
sax : 栗原健
guitar : 小林直一
funky organ : 溝口祐毅
bass : 二本木潤
drums : 岡野諭(drums)

released 2014 
manufactured by  P-Vine, Inc.

1. 用心棒にピストル
2. タイム・イズ・デッド
3. パレード
4. うるさいばかやろう
5. 太いタイヤで
6. 螺旋階段
7. 種
8. 鉄蓋を設置するんだ
9. 点滅中
10. ありがとうございました。






  

2024年4月28日日曜日

Mal Waldron / No More Tears (For Lady Day)

 

 最近聴き始めた Mal Waldron の1988年の録音です。Mal Waldronは、32歳の1957年から Billie Holiday(ビリー・ホリデイ)の伴奏者となり、1959年7月に彼女が他界するまでその役を務め、その Billie Holiday の死去の5か月前に制作した Left Alone は、ビリーが作詞し、マルが作曲しています。(ボーカル曲ですがビリー自身の歌は残っていません)Mal Waldron 自身は彼女への追悼として Left Alone を1959年に録音しています。そんなLeft  Alone のイメージからの脱却を図ろうという意図も見られる88年の作品と解説されています。タイトルの “Lady Day” とはホリデイのこと。


 この録音は1988年マルが62歳の録音で、この時、西ドイツのミュンヘン在住、世界中でイベントやフェスへの出演依頼が舞い込み多忙の時期であったとのこと。レビューしていきます。Yesterdays 作曲はJerome Kern のスタンダード。イントロは Paulo Cardoso のベースに、ドラムの John Betsch が加わって1コーラスしてから Mal Waldron が加わってきますが、こんな弾き方だっけの、思いっきり叩きつけるようなピアノにビックリの出だしです。この曲もこんなドラマチックっだったけ?の迫力の演奏。No More Tears マルの今は無きビリーに捧げるオリジナル。哀愁を帯びたメロディーのワルツです。ここでも強弱の中では強が多く感じます。ボタっとしたベースラインも、このアクが強いピアノに負けじと低音で支えます。Melancholy Waltz これもマルの新しい書き下ろし作品。ワルツが2曲続きます。哀愁のある音をはっきりと発音しながらの男っぽい演奏です。Solitude は1934年エリントンの作品です。やはり曲調は変わって少しポップさが加わります。Love Me or Leave Me は、1928年のポピュラーミュージックの作曲家 Walter Donaldson 作品。やや早めの4ビートです。低音で半音が行ったり来たりする進行が面白い曲です。愛するか別れてくれのタイトルの曲で、非常に情熱的ですが、弾く人によって、もっとエレガントになる曲だとは予想できます。All Night Through は、バラードで、これもマルによる新曲です。ビリーの死に接して夜を明かした曲とのことで虚無感に駆られながら思い出に浸っている心境が表現されているのでしょう。As Time Goes By 1931年 Herman Hupfeld 作曲のブロードウェイ・ミュージカル「Everybody's Welcome」のために作詞・作曲した曲ですが、映画「カサブランカ」のテーマ曲で取り上げられ有名になった曲です。マルにかかればこれも重厚なバラードになります。Smoke Gets in Your Eyes 後半はスタンダード目白押しです。マル独特のピアノタッチと原曲と変えた和声の響きが新しいです。シンプルでありながら情熱がこもった作品になっています。Alone Together これもジャズ・メンが好んで取り上げるスタンダード。重厚な感じの出だしですが、これも後半になると和声の響きが曲に重要な意味を持たせてきているような気がします。
 非常に力強くて、わかりやすいのが魅力的な作品です🎵

piano : Mal Waldron
bass : Paulo Cardoso
drums : John Betsch

producer : Makoto Kimata
recorded in München, West Germany on November 1, 2 & 3, 1988.

1. Yesterdays
2. No More Tears
3. Melancholy Waltz
4. Solitude
5. Love Me or Leave Me
6. All Night Through
7. As Time Goes By
8. Smoke Gets in Your Eyes
9. Alone Together





  

2024年4月27日土曜日

Bill Evans Jim Hall / Undercurrent


 私の Bill Evans(ビル・エバンス)入門は、このアルバムでした。オリジナルは United Artists と言うレーベルから発売の、リマスター版で2曲 (Alternate Take)が入っています。若い頃はギター・アルバムしか聴かないような偏食なリスナーだったのですが、音楽好きの集う「おでんバー」に Bill Evans 贔屓の方が良くいらっしゃっていた時にお店でかなり聴いたのでソロソロ、ピアニストのアルバムも購入して聴 いてみようか?とCD屋の Bill Evans の棚の前に行って迷っていたら水死体が浮いているようなインパクトのあるジャケット、Jim Hall がギターのデュオとのことで手にした記憶があります。おそらく「おでんバー」でも聴いていたのでしょうが、記憶にはありませんでした。後に知ったのは「おでんバー」の住人には相対的に Bill Evans の評判が悪いこと。私は、それほど選り好みをする人でもないので、鞄に Bill Evans作品を忍ばせておいて客が少なければ、マスターにたまにはいいんじゃないかと言いながらかけています。
 ちなみに水死体のように見えるジャケ写ですが、水中ダンスの写真で、女流写真家のトニー・フリッセル(1907〜1988)。1947年の『Weeki Wachee Springs, Florida』という作品です。この Undercurrent の為の撮りおろしではなく、写真作品をジャケットに使ったものとのことで、実はロック、クラシック、アンビエントなどの他の音楽アルバムにも使われているとのことです。オリジナル作品そのままではなく、 Undercurrent では、腕輪が消されているなどの情報もあり、詳しくは 小学館のサライ.JP


 最初に聴い頃から結構立っていますので、この Jim Hall と Bill Evans の両人名義の傑作をじっくりと聴きながらのレビューです。My Funny Valentine 名演は数多くあるスタンダードですが、この作品では両巨頭のコラボレートによるに美しい演奏となっています。Bill Evans の 前置きから Jim Hall がじっくり音を選ぶようにギターを弾きます。デュオ演奏なので静かな演奏のイメージありましたが曲が進むにつれて煽るような展開となっていてじっくりと聴き直せば結構熱い演奏でした。I Hear a Rhapsody は、Jim Hall の主導によるイントロ。一音々に重みがあります。ギターとピアノの静かな対話のようで、これがこのアルバムの印象だったかなと思いだします。Dream Gypsy も聴けば思い出しました。こちらは Bill Evans 主導によるクラシックのようなイントロです。いかにも「らしい」演奏ですね。静かにダンスの伴奏をするような Bill Evans のピアノにフワフワとした Jim Hall のギターが印象的です。Romain は、また Bill Evans らしい静寂の演奏。Jim Hall が、しっかりと曲に表情をつけていき、複雑に絡み合う深い音に惹きつけられ途中からは曲に合わせた軽いアドリブ、後半の Jim Hall のストローク、最後に力強い強いピッキングでの締め。これも良いですね。Skating In Central Park 軽い出だしで何か可愛らしい曲です。曲名もセントラルパークでのスケートですから、イメージとしては子供を連れて冬のスケートを滑りながらの家族の団欒のような感じですかね。落ち着いた温かみのある楽曲は、これもまた味わいがあります。Darn That Dream そしてまた静の世界に戻ります。両者のソロによるイントロから、お互いの音を確かめながらソロリソロリとデュオに入っていくところに少し緊張感あり、お互いの音を確かめたら後はじっくりと絡み合う。実に気持ちが良い。Stairway To The Stars 曲名のごとく、ゆっくりと手を取りながら階段を上がっていくイメージ。手を取っているのは大事な彼女でしょうか?年老いた両親でしょうか?いずれにしろ、ゆっくりと手を取りながら急がずにゆっくりと動いているような優雅な曲でした。I'm Getting Sentimental Over You ここで、少しテンポ・アップです。それほど早い訳ではありませんが、これだけ静かな曲が続くと少しリズミカルな動きのある曲になると、とてもリズミカルに聴こえてしまうのが不思議です。途中でドラムのブラッシングの音がしているような気もしたぐらいの感覚になりました。そして最後2曲は My Funny Valentine, Romain のalternate Take となります。丁寧なリハーサルがあったと、どこかで見ましたが、確かに採用となったテイクとのテンポなどの違いが分かりやすく明らかに違いました。この2曲の追加は、お得感がありますね🎵

piano : Bill Evans
guitar : Jim Hall

producer : Alan Douglas

recorded at Sound Makers, NYC, May 14, 1962.

1.My Funny Valentine
2.I Hear a Rhapsody
3.Dream Gypsy
4.Romain
5.Skating In Central Park
6.Darn That Dream
7.Stairway To The Stars
8.I'm Getting Sentimental Over You
9.My Funny Valentine - (Alternate Take)
10.Romain - (Alternate Take)


▶ Romain



  

2024年4月26日金曜日

David Sanborn / Hideaway


 タイトルの「Hideaway」は日本語で「隠れ家」の意。私が最も好きなライブ・アルバム Straight to the Heart でも演奏されていて学生の時にライブの方を先に聴きこんでいます。社会人になってからこのアルバムを購入してよりソウル的であり、短いリバーブのエフェクト処理されていたオリジナルは不思議な感覚でした。
 改めてメンバーを見てみましたが主題曲だけ、私の大好きなギタリスト Hiram Bullock が参加していますが未だロック小僧の自己主張は少な目で、アルバム全体では David Spinozza がギターを弾いています。またベースの Marcus Miller は2曲目のバラードにだけ参加、全体では Neil Jason が起用されています。パーカッションは、この後もサウンドの核となる Ralph MacDonald、ドラムは Steve Gadd、キーボードは Don Grolnick で、プロデューサーも務めています。この後のフュージョン時代のサンボーンの核となるメンバーが、チラホラしていること、マーカスばかりが印象にありますが、実はキーボードの Don Grolnick がサンボーンサウンドに重要な役割を果たしてくることがわかります。


 長い間愛聴してきましたが、参加ミュージシャンなどを、じっくり見て聴いてくることも無かったです。レビューです。Hideaway 少しレトロで野暮ったいアレンジが魅力です。サンボーンがキーボードを弾いて Don Grolnick がクラビを担当してました。時代を感じますが歴史的名作と言われたのは、この曲があったからでしょう。ハイラムのギターは全く目立たないのにも感動。Carly's Song の Carly's はCarly Siom(カーリー・サイモン)のことで、楽曲にバックグラウンドボーカルで参加している James Taylor(ジェームス・テイラー)の当時の奥様とのこと。調べてみると結婚は1973年~1983年だったので、このアルバムのリリースの1980年当時は未だご夫婦の時代。作曲はサンボーンで James Taylor は参加していませんでした。今まで聴いてきたけど、そんな謂れがある曲とは理解していませんでした。とても美しい曲でストリングスの入ったサウンドです。レトロなアレンジとは思いますが時代を感じる古さは無いですね。Anything You Want これは昔のフュージョン風ですね。サックスに、かかった深めのリバーブと David Spinozza のチャカポコ・ギター、クラビ・サウンドが古臭さを醸し出しています。The Seduction (Love Theme) いかにもサンボーンらしい楽曲の広がり、ギターの Jeff Mironov はロック系の人かと思ったら1970年代に活躍したセッション・ギタリストとのことでビッグバンドなどにも参加しているジャズ系ミュージシャンでした。Lisa サンボーンの InsideStraight to the Heart にも収録されている派手さは無いがお馴染みの曲です。少しづつ印象が違います。このアルバムが一番野暮ったい印象だったのですが改めて聴き直すと、そうでも無い。でも個人的には Inside が一番良いかもしれないです。If You Would Be Mine ポップス的な楽曲ですがこれは昔風の時代を感じる音ですかね。サンボーン特有の煽りがいっぱい出てきて楽しいです。Creeper 怪しい感じのベースラインとテーマが独特の多重録のサックスのテーマが魅力。アーシーな雰囲気があって、このアルバムの中でも印象的な曲で、これが出てくると Hideaway だってなります。インパクトは一番あります。Again An Again 締めの曲はソウル要素の入ったこの曲です。なんとなく The Gadd Gang あたりの匂いも感じる曲で、Steve Gadd が叩いているんだなあと主張がある曲ですね。
 全体的にメロディアスな曲が多く、レトロ感溢れるサウンドが、この時代のフュージョン・ファンにはたまらんです。やっぱりサンボーン🎵

producer : Michael Colina

recorded at Celebration Recording Studio, Inc., NYC & Minot Sound, White Plains, N.Y.

1. Hideaway
alto sax, soprano sax, tenor sax,  electric piano, fender rhodes : David Sanborn
clavinet : Don Grolnick
synthesizer : Michael Colina
guitar : Hiram Bullock
bass : Neil Jason
drums : Steve Gadd
congas, percussion : Ralph MacDonald
percussion : Ray Bardani

2. Carly's Song
alto sax : David Sanborn
backing vocals : Arnold McCuller, David Lasley, James Taylor
fender rhodes : Don Grolnick
bass : Marcus Miller
drums : Rick Marotta
percussion : Ralph MacDonald
vibraphone , marimba : Michael Manieri
cello : Julian Fifer
Violin : Benjamin Hudson, Carol Zeavin, Guillermo Figueroa , How Liang-Ping , Joanna Jenner, Ronnie Bauch, Ruth Waterman, William Henry

3. Anything You Want
alto sax : David Sanborn
clavinet : Don Grolnick
synthesizer : Michael Colina
congas : Jody Linscott
guitar : David Spinozza
Bass : Neil Jason
Drums : Steve Gadd
cowbell, tambourine : Ray Bardani


4. The Seduction (Love Theme)
alto sax : David Sanborn
backing vocals : Bette Sussman, Naimy Hackett
piano : Michael Colina
electric piano : Paul Shaffer
guitar : Jeff Mironov
electric guitar : David Spinozza
Bass : Neil Jason
drums : Buddy Williams, Steve Gadd
tambourine : Ray Bardani
congas : Jody Linscott
cello : Julian Fifer
Violin : Benjamin Hudson, Carol Zeavin, Guillermo Figueroa , How Liang-Ping , Joanna Jenner, Ronnie Bauch, Ruth Waterman, William Henry

5. Lisa
alto sax, electric piano: David Sanborn
synthesizer : Michael Colina
acoustic guitar : David Spinozza
bass : Neil Jason
drums : Steve Gadd
cowbell : Jody Linscott
cymbal, Triangle : Ralph MacDonald
cello : Julian Fifer
Violin : Benjamin Hudson, Carol Zeavin, Guillermo Figueroa , How Liang-Ping , Joanna Jenner, Ronnie Bauch, Ruth Waterman, William Henry


6. If You Would Be Mine
alto sax : David Sanborn
electric piano : Michael Colina, Rob Mounsey
acoustic guitar : David Spinozza
bass : Neil Jason
drums : Steve Gadd
congas : Ralph MacDonald
percussion : Ray Bardani

7. Creeper
alto sax, soprano sax, organ: David Sanborn
electric piano : Don Grolnick
synthesizer : Michael Colina
bass : John Evans, Michael Colina
guitar : Danny Kortchmar, Waddy Wachtel
drums : Rick Marotta
congas : Jody Linscott
cymbal : Ray Bardani

8. Again An Again
alto sax : David Sanborn
synthesizer : Michael Colina
electric guitar : David Spinozza
bass : Neil Jason
drums : Steve Gadd
percussion, tambourine : Ray Bardani
congas : Jody Linscott
piano : Don Grolnick
cello : Julian Fifer
Violin : Benjamin Hudson, Carol Zeavin, Guillermo Figueroa , How Liang-Ping , Joanna Jenner, Ronnie Bauch, Ruth Waterman, William Henry

▶ Hideaway


▶ Lisa


  

2024年4月21日日曜日

Billie Holiday / Lady Sings The Blues

 

 女性ジャズ・ボーカルを聴き始めたのは、結構オジサンになってからで若い頃は、あまり興味がありませんでした。きっかけは Ella Fitzgerald の特集のジャズ・ブックの購入で人間の声の表現力に改めて気づいたことから始まったような気がします。それで女性ジャズ・ボーカルも聴くようになったんですが Billie Holiday に辿りつくまでは長かったような気がします。イメージ的にはジャズだけど Louis Armstrong 的な節回しもあるなと聴いていると「美空ひばり」を連想してしまうこともあります。美空ひばりは好んで聴きはしませんが素晴らしい歌い手であることは理解しています。言うことで中古レコード屋で恐らく持っていないジャケットを見かけたので買ってきたのですが、どうやらベスト・アルバムのようで Lady Sings The Blues と言うアルバムでは無いようです。


 それではレビューです。Herbie Nichols は、1956年の代表作と言われているアルバムLady Sings The Bluesで可愛らしい声とは言い難い、味のあるサッチモ張りの節回しが特徴的なブルース。ケニーバレルがギターを弾いております。Come Rain or Shine 1955年録音でMussic For Torching に収録。語り掛けるようにビブラートをかけながら感情豊かに歌い上げる曲となっています。Blue Moon 1952年の録音。Barney Kessel がギターです。かなりの人が聴いたことがある名曲ですね。これぞジャズって感じが小気味よい。Good Morning Heartache 1956年録音で、イントロはクラシックのボレロっぽいメロディのトランペット。ここでも歌い上げるパターンと言葉を置きに行くような歌い方です。ビブラートの余韻が短めになってます。 God Bless the Child は1956年録音、ギターはまたもケニーバレル。Lady Sings The Blues からの楽曲で改めて名曲が多いアルバム。ムーディなバックで豊かに歌い上げます。Baby Won't You Please Come Home 1959年の録音です。リッチな感じのバックで幸せそうに歌うビリーが思い浮かぶような幸せで充実した演奏です。ただお年を召したような歌声ではあります。Ill Wind は、1956年録音で All Or Nothing At All kからの作品。Barney Kessel がギターです。テナーの Ben Webster のエロいソロも良い感じで、どこかのサロンでリラックスして聴いているかのようなサウンド。Autumn in New York 1952年の Clef Records からの発売。これは、とてもチャーミングな歌い方で曲も良いです。Don't Worry Bout Me 1959年の録音で、オケがバックに入ったゆったりとした演奏で少し今までとイメージを変えた曲になります。幸せそうに歌うビリーが、とても良いんだけど何かはかない。I Don't Want to Cry Anymore 1955年の録音です。失恋の歌ですね。生ギターのケッセルのイントロ。語り掛けるような歌い口。Willow Weep for Me 
少人数でのコンボ録音。1954年です。リッチな大人数のbハンド編成より歌いやすそうな印象を受けます。It's Not for Me to Say  1959年録音で、とても気持ちよく歌われているのですが、やはり危うさとはかなさを感じてしまいます。My Man 1952年の録音で、しっかりと歌われているのがわかります。これだけ沢山聞いてくると何かその時の精神状態がわかるような気がします。Stormy Weather 1952年録音のブルースで、Oscar Peterson がピアノ、 Freddy Green がギターです。安定の伴奏で納得の演奏。1952年良いですね。When Your Love Has Gone 1955年の録音で、Barney Kessel のギター。静かに流れるブルースです。ここまで来て激しめの曲は Billie Holiday は無いことに気づきます。若干盛り上がりに欠けるような気もします。I Must Have That Man 1959年録音。ここにきてずっしりとした感じです。ご満悦な感じの伸びやかな歌になります。One for My Baby (And One More for the Road) このアルバム初めての1957年録音。ミュート・トランペット Harry 'Sweets' Edison がピリッと曲を締めます。I'll Never Smile Again 1959年のオケをバックの録音です。リバーブ掛け過ぎのような感じもしますが最後の締めくくりとしては妥当でしょうか。
 18曲録音の、ベスト盤コンピでした。アルバムとしては抑揚があまりないため、正直レビューは書きづらかったです。じっくり聴きこむより仕事をしながらBGMに良い一枚ですね🎵

This compilation: 47 2006 Universal Music Classics & Jazz 47 2006 Universal Music Classics & Jazz, a Division of Universal Music GmbH 

1. Lady Sings the Blues
Billie Holiday - vocals / Charlie Shavers - trumpet / Tony Scott - clarinet / Paul Ouinichette - tenor sax / Wynton Kelly - piano! Kenny Burrell - guitar / Aaron Bell - bass / Lennie McBrowne - drums / Recorded June 6, 1956, New York City / Original: Clef MGC-721 
2. Come Rain or Shine
Billie Holiday - vocals / Harry 'Sweets' Edison - trumpet / Benny Carter - alto sax / Jimmy Rowles - piano / Barney Kessel - guitar / John Simmons - bass / Larry Bunker - drums! Recorded August 25, 1955, Hollywood / Original: Clef MGC-669 
3. Blue Moon
Billie Holiday - vocals! Charlie Shavers - trumpet / Flip Phillips - tenor sax / Oscar Peterson - piano / Barney Kessel - guitar / Ray Brown - bass / Alvin Stotler - drums Recorded spring 1952, Los Angeles / Original: Clef 89004 
4. Good Morning Heartache
Billie Holiday - vocals / Charlie Shavers - trumpet! Tony Scott - clarinet / Paul Ouinichette - tenor sax / Wynton Kelly - piano / Kenny Burrell - guitar / Aaron Bell - bass / Lennie McBrowne - drums / Recorded June 7, 1956, New York City! Original: Clef MGC-721 
5. God Bless the Child
Billie Holiday - vocals / Charlie Shavers - trumpet / Tony Scott - clarinet / Paul Ouinichette - tenor sax / Wynton Kelly - piano / Kenny Burrell - guitar! Aaron Bell - bass / Lennie McBrowne - drums / Recorded June 7, 1956, New York City / Original: Clef MGC-721
6. Baby Won't You Please Come Home
Billie Holiday - vocals / Harry 'Sweets Edison, Joe Wilder - trumpet / Billy Byers - trombone! Al Cohn - tenor sax / Danny Bank - baritone sax / Hank Jones - piano / Barry Galbraith - guitar / Milt Hinton - bass / Osie Johnson - drums / Arranged & conducted by Ray Ellis / Recorded March 11, 1959, New York City / Original: Verve MGM SE3764 
7. Ill Wind
Billie Holiday - vocals / Harry 'Sweets' Edison - trumpet / Ben Webster - tenor sax / Jimmy Rowles - piano / Barney Kessel - guitar / Joe Mondragon - bass / Alvin Stoller - drums / Recorded August 14, 1956, Hollywood / Original: Verve MGV-8329
8. Autumn in New York
Billie Holiday - vocals / Charlie Shavers - trumpet / Flip Phillips - tenor sax / Oscar Peterson - piano / Barney Kessel - guitar / Ray Brown - bass / Alvin Stoller - drums / Recorded spring 1952, Los Angeles / Original: Billie Holiday - vocals / Charlie Shavers - trumpet / Flip Phillips - tenor sax / Oscar Peterson - piano / Barney Kessel - guitar / Ray Brown - bass / Alvin Stoller - drums / Recorded spring 1952, Los Angeles / Original: Clef 89108 
9. Don't Worry Bout Me
Billie Holiday - vocals! Harry 'Sweets' Edison - trumpet / Jimmy Cleveland - trombone / Gene Quill - alto sax / Hank Jones - piano / Barry Galbraith - guitar / Milt Hinton - bass / Osie Johnson - drums! unknown harpist / Strings / Arranged & conducted by Ray Ellis / Recorded March 4, 1959. New York City / Original: Verve MGM SE3764 
10. I Don't Want to Cry Anymore
Billie Holiday - vocals! Harry 'Sweets' Edison - trumpet / Benny Carter - alto sax / Jimmy Rowles - piano / Barney Kessel - guitar / John Simmons - bass! Larry Bunker - drums / Recorded August 23, 1955, Hollywood / Original: Clef MGC-669 
11. Willow Weep for Me
Billie Holiday - vocals / Harry 'Sweets' Edison - trumpet / Willie Smith - alto sax / Bobby Tucker - piano! Barney Kessel - guitar / Red Callender - bass / Chico Hamilton - drums! Recorded September 3, 1954, Hollywood / Original: Clef 89141 
12. It's Not for Me to Say
Billie Holiday - vocals! Jimmy Cleveland - trombone! Romeo Penque - alto & tenor sax, bass clarinet / Hank Jones - piano / Kenny Burrell - guitar / Joe Benjamin - bass / Osie Johnson - drums / Janet Putnam - harp! Strings / Arranged & conducted by Ray Ellis / Recorded March 3, 1959, New York City / Original: Verve MGM 5E3764 
13. My Man
Billie Holiday - vocals / Joe Newman - trumpet / Paul Quinichette - tenor sax / Oscar Peterson - piano! Freddy Green - guitar / Ray Brown - bass! Gus Johnson - drums! Recorded July 27, 1952, New York City / Original: Clef 89089 
14. Stormy Weather
Billie Holiday - vocals / Joe Newman - trumpet / Paul Ouinichette - tenor sax / Oscar Peterson - piano / Freddy Green - guitar / Ray Brown - bass / Gus Johnson - drums / Recorded July 27, 1952, New York City! Original: Clef 89064
15. When Your Love Has Gone
Billie Holiday - vocals / Harry 'Sweets' Edison - trumpet / Benny Carter - alto sax /Jimmy Rowles - piano / Barney Kessel - guitar / John Simmons - bass / Larry Bunker - drums! Recorded August 23, 1955, Hollywood / Original: Clef MGC-713 
16. I Must Have That Man
Billie Holiday - vocals / Charlie Shavers - trumpet! Tony Scott - clarinet / Paul Ouinichette - tenor sax! Wynton Kelly - piano / Kenny Burrell - guitar / Aaron Bell - bass / Lennie McBrowne - drums / Recorded June 6, 1956, New York City! Original: Clef MGC-721 
17. One for My Baby (And One More for the Road)
Billie Holiday - vocals! Harry 'Sweets' Edison - trumpet / Ben Webster - tenor sax! Jimmy Rowles - piano / Barney Kessel - guitar / Red Mitchell - bass / Alvin Stoller - drums / Recorded January 8, 1957, Hollywood / Original: Verve MGVS-6021
18. I'll Never Smile Again
Billie Holiday - vocals / Jimmy Cleveland - trombone / Romeo Penque - alto & tenor sax, bass clarinet! Hank Jones - piano / Kenny Burrell - guitar / Joe Benjamin - bass! Osie Johnson - drums / Janet Putnam - harp / Strings / Arranged & conducted by Ray Ellis / Recorded March 3, 1959, New York City / Original: Verve MGM 5E3764





  

2024年4月20日土曜日

Elmore James / The Last Sessions


 1960年以前のブルースの録音は、かなり状態の悪いものがありますが、これは音は非常に良くて安心して聴ける、私が生まれる前の録音です。最後のセッション録音といわれる"Fire / Enjoy"レーベルでの63年2月のセッション音源をアルバムにまとめたものです。
 購入は、おそらくギターでスライドを練習していた北海道在住の時だと思います。ギター歴40年くらいにして改めてスライドに挑戦しようとしたのは、北海道でお仲間を作って組んだバンドでの課題曲で、The Allman Brothers Band の Firing Line を、やらねばならなくなったので、ボトル・ネックを購入したのがきっかけでした。この課題曲が終わるとスライドを使ったアコースティック・ブルースやラグタイム・ギター等をやり始める、そこからアコギが増えていった訳です。ここに、たどり着くまでにスライドの勉強として購入したのが Elmore James でもあります。結果としてこの人の曲をコピーすることは無かったのですが、ボトルネックによる奏法を後のロック・ギタリストに影響を与えたサウンドは勿論圧巻です。


 亡くなった年1963年の5月でこの録音は2月です、印象的なリフで発明品のような代表曲の「Dust My Broom」も2テイク収録。単純ですが耳にしたら忘れない名曲です。基本的にスルーコードのブルース・ロックなので、全曲レビューは今回は割愛します。
 攻撃的なエルモア・サウンドが魅力ですが、チューニングが狂っているのかなと思うところも若干あり。基本ボトルネックなので音程の取り方が甘いだけなのか?まあ細かいとこは気にしちゃいけない🎵

Tracks 1 to 14, 20, 21: recorded February 21, 1963.
Tracks 15 to 19: recorded February 13, 1963.

1. Everyday I Have The Blues
2. Can't Stop Loving My Baby
3. Got To Move
4. I Believe
5. Elmore Jumps One
6. Talk To Me, Baby
7. It Hurts Me Too
8. Dust My Broom
9. Hand In Hand
10. Got A Right To Love My Baby
11. Pickin' The Blues
12. Twelve Year-Old Boy
13. Make My Dreams Come True
14. I Gotta Go Now
15. Look On Yonder Wall
16. Find My Kind Of Woman (Take 1)
17. Find My Kind Of Woman (Take 2)
18. Dust My Broom
19. My Baby's Gone
20. Back In Mississippi (Converstion)
21. Black Snake Slide (Up Jumps Elmore)

Dust My Broom

Everyday I Have The Blues

Got A Right To Love My Baby


  

2024年4月19日金曜日

13Souls / GoodTimes (I Say)


 「13Souls」は、湘南生まれのギタリスト「山内洋介」がリーダーでメンバーは固定されていません。本作はセカンド・アルバムで基本ジャズ・ファンクですが生音っぽい響きで泥っとしているのが、かえってクールでアシッド・ジャズ文化の英国代表が The New Mastersounds の Eddie Roberts(エディ・ロバーツ)なら、日本は山内洋介といったテイストです。


 久しぶりに聴いたけど、やっぱり良かったんで、いきつけの音楽好きの集う「おでんバー」に自信満々で持って行きました。今日はCDありますか? YES! のいつもの掛け合いでイソイソとCDデッキに入れます。マスター以外のお客は私の聴くソウル・ファンク系などにも理解のある常連さんと、全く音楽の興味が無いお母さん。和製ジャズ・ファンクでカッコイイんですよ♪これ🎶と言いながら、かける始めるとマスターと常連さんに微妙な空気が流れます。音楽に興味のないお母さんは何もなく会話がはずみます。どうやら私の紹介が期待感、ドキドキ感を煽りすぎたらしく、もう少し硬派な感じを予想していたようで、評価としては惨敗でした。しかし「おでんバー」では、皆さん好きな音楽を聴いて酒を飲めるお店。浪曲あり、ジャズ強め、フリーもかかれば、ノイズもあり。ああだ、こうだ言いながら酒を飲めるのが楽しい場所です。こんなこともアリです。ドンマイ


 それではドンマイでレビューしていきます。まずはイントロ代わりに intro, Good Times , I SAY 1分48秒。エレクトリックなバンド編成でのポップなブルース。6曲目にアコースティックバージョンの同じタイトル曲あります。私的には掴みは充分で楽しいアルバムのイントロは良い感じで始まります。Grand Royal Blues エディロバーツ的なカラッとしたジャズ・ファンクでオジサン的にはドンピシャな1曲。What's Up 雑踏と車のクラクションをバックにファンクがBGM的に流れる1分39秒でオシャレな流れかと思いますが、これが要らないと言った周囲の声有り。そうかな?いいじゃないですか。Me And Those Dreamin Eyes Of Mine ここで再度エディロバーツ的なジャズ・ファンクになりますが少しアダルトな進行です。オルガン・サウンドが気持ち良いパターンです。Please , Lahgh , Please スローなソウル・ジャズで、テーマのメロディーは日本人好みな哀愁があるパターン。ここでも、オルガン・サウンドが大活躍で、ギターメインではありますが Mako-T さん良い仕事されてます。最後に観客の拍手のSEが入ってるので、これが余計だと言う方がいらっしゃいます。 そして冒頭 Good Times のアコースティック・バージョンです。ブルース、ラグも好きなギター弾きには刺さってくるショートな楽曲です。Summer Smile はラテンです。ラテンのギターは弾きませんが、学生時代のgバンド仲間の影響でラテンも好きな私ですのでここら辺もドンピシャです。トランペットの 島裕介 が、また王道ペットのフレーズで煽るのがグッ。outro, Hold Your Hands ( I Wana ) 次の曲へのつなぎ的な小ブルース。Down Here On The Ground アルバムの締めに向けて盛り上げたいがために持ってきた楽曲かと思います。これも好きなパターンではありますが月並みと言えば月並み。
 購入時はリミックスCDとEPもおまけでついていて、かなり気合の入ったプロモーションでした。もっとブレイクして欲しかった🎵


electric guitar : 山内洋介 (13 soul)
acoustic guitar : bashiry (bohemian voodoo)
bass : 池田憲一 (Root Soul)
keyboard : Mako-T
percussion : 松岡"matzz"高廣 (quasimode)
drums : 波田野哲也
drums: 久保正彦
tenor sax : 栗原 健 (Central)
trumpet : 島裕介 (Silent Jazz Case)
trombone : 廣瀬貴雄 (Jazz Collective)

1. intro, Good Times , I SAY
2. Grand Royal Blues
3. What's Up
4. Me And Those Dreamin Eyes Of Mine
5. Please , Lahgh , Please
6. Good Times (acoustic ver)
7. Summer Smile
8. outro, Hold Your Hands ( I Wana )
9. Down Here On The Ground





  

2024年4月14日日曜日

Weather Report / Procession

 
 
 行きつけの音楽好きの集う「おでんバー」では、フュージョン系を聴かず嫌いの人が多いようなので少しづつ洗脳しようとしているのだが中々うまくいきません。私の青春時代の象徴である Weather Report は特にダメなんですね。私はジャコ中毒のような人なんですが、あそこの住人はジャコが入っているだけで拒否反応を起こしてしまうようです。ベースで自己主張しすぎるなどと言われていますが、ジャズ・ミュージシャンなんて自己主張の塊りみたいなもんですから嫌いな理由の後付けですね。このアルバムはジャコが入っていないので拒否反応は無かったのですが、途中で飽きたそうで店で完走はできませんでした。
 さて、このアルバムは Weather Report のJaco Pastorius ➡ Victor Bailey, Peter Erskine ➡ Omar Hakim 第4期の最初のアルバム。ドラムの手数は増えている感じで、隙間が好きな人にはどうかと思いますが、私的には聴きごたえあり。ベースの Victor Bailey でジャコとは違いますが、フレットレスでもありジャコ的フレーズは結構見受けられるかと思います。またThe Manhattan Transfer(マントラ)も Where the Moon Goes に参加しているのも嬉しい要素であります。ウェザーのコンサートに予告なくマントラが登場することも度々あったらしいですが、アルバムで聴けるのは、これだけのようです。ちなみにジャズの器楽曲のアドリブ・フレーズに歌詞をつけて歌うというジャズ・ヴォーカルの手法をヴォーカリーズというらしい(初めて知りました)


 それではレビューです。始まりはタイトル曲からで. Procession  は Josef Zawinul 作)。シンセの効果音で始まります。タイトルの直訳は「行進」「行列」です。ライナーノーツの成田正氏の解説では、ジャケのイラストのトラックに乗っている新生WRの面々が、この世界を行進しながら、平和を祈願するといったコンセプトのようです。曲調としては像の爆走みたいな感じで平和の祈願は感じられないですが、R&R、シャッフル、4ビートが混在するサウンドはザビヌルが「いわば、ブギウギマーチだよ」と語っていたとか。 Plaza Real はWayne Shorter 作は、彼らの狙いは「モダン・タンゴ」とのこと。シンセの音がアコーディオンっぽいと思ったら本物の楽器を使用していました。私にはタンゴに聞こえませんが雰囲気はあるかもしれません。ザビヌルはオーストラリア時代バンドでアコーディオンをプレイしていた経歴もあるそうです。Two Lines  は Zawinul作の軽快なフュージョン。Victor Bailey のベースは明らかにジャコの影響を受けているのを感じますが、小技はジャコと一線を画すつくりの好演です。Omar Hakim の隙間の無いドラムも良いですが、行きつけの「おでんバー」の方達はここらへんで飽きてきた模様。Where the Moon Goes は Zawinul 作曲, l歌詞は Nan O'Byrne and Zawinul) となっていて、ここでマントラの登場です。マントラのコーラスには後半ボコーダー処理がされていてトロピカルな第3世界的なサウンドです。ショーターのソプラノが世界観を広げています。最後にバードランド的なアレンジの大団円で満足。The Well は Shorter, Zawinul の共作。1980年の名古屋公演の心象を書きだしたシンフォニックな作品です。かなり大真面目に取り組んでいると思われる大作。最後のMolasses Run は Omar Hakim 作品で、結構トリッキーです。ギターとボイスも Omar Hakim が担当しているとのことで、かなり気合の入った作風でした。
 WR作品は、どれもきっちりと作りこまれた作品ですので、この作品にも大変満足で聴きやすく入りやすいところも中々捨てがたい良作でした🎵

keyboards : Josef Zawinul
bass : Victor Bailey
tenor and soprano saxophones : Wayne Shorter
drums, guitar, vocals : Omar Hakim
percussion, concertina : José Rossy

additional musician
vocals : The Manhattan Transfer (4)

producer : Zawinul

cover artwork : John Lykes

Studios: The Power Station, New York, N.Y.
Universal Recording, Chicago, Ill.
The Music Room, Pasadena, CA.
Fantasy Studios, Berkeley, CA.
and The Sound Castle, Los Angeles, CA.
recorded 1983

1. Procession  (Josef Zawinul) 
2. Plaza Real  (Wayne Shorter)
3. Two Lines  (Zawinul) 
4. Where the Moon Goes (Zawinul, lyrics by Nan O'Byrne and Zawinul) 
5. The Well (Shorter, Zawinul)
6. Molasses Run  (Omar Hakim)