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2021年12月25日土曜日

Stevie Ray Vaughan And Double Troble / The Sky Is Crying


 1991年に発売された Stevie Ray Vaughan (スティービー・レイ・ボーン) の死後最初にリリースのアルバムで未発表曲を集めた編集盤で、兄 Jimmie Vaughan (ジミー・ボーン) がプロデューサーを努めています。
 レイボーンは、1990年、8月26日に、ウィスコンシン州イースト・トロイのアルパイン・ヴァレイ・ミュージック・シアターで行われたブルース・フェスティバルに出演。エリック・クラプトン、バディ・ガイ、ロバート・クレイ、ジミー・ヴォーンらと共演。終了後、シカゴ行きのヘリコプターに乗り込んで移動するのだが、8月27日未明にアルパイン・ヴァレイ・リゾートにあるスキー場のゲレンデに濃霧で視界を失ったヘリコプターが墜落、エリック・クラプトンのボディガードを含む乗員全員と共に死去してしまいます。もしクラプトンもこのヘリに乗っていたかと思うとゾッとする事故でした。1985年から薬物中毒の治療を受けその後のアルバム制作なども順調だっただけに彼のギターが聴けなくなってしまったことはかなりのショックな事件でした。


  さてこのアルバムはと言えば、のっけから、つんざくギターで始まるのは Boot Hill で力いっぱいの歌声にもレイボーンのお得意フレーズから始まります。ジミヘンのカバー Little Wing は様々なミュージシャンの定番のカバー曲ですが、レイボーンのこのバージョンはストラトの乾いた音とレイボーンの荒々しさと時には優しいギターワークが心に突き刺さる名演です。またLife By The Dorp は珍しく12弦アコースティックによる弾き語りで、シンプルなブルースなのですが、死後に発売された追悼を感じるしんみりと泣けるラスト。

guitar, vocals  : Stevie Ray Vaughan
bass : Tommy Shannon
drums : Chris Layton
keyboards : Reese Wynans

producer : Jimmie Vaughan

1. Boot Hill
2. The Sky Is Crying
3. Empty Arms
4. Little Wing
5. Wham
6. May I Have A Talk With You
7. Close To You
8. Chitlins Con Carne
9. So Excited
10. Life By The Drop





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2021年12月20日月曜日

Little Walter & Otis Rush / Blues Masters


 Little Walter (リトル・ウォルター) と Otis Rush (オーティス・ラッシュ) のオムニバスでともに4曲づつ収録されています。発売はアメリカのほぼブルース専門のレーベルTomato Records。この会社の設立は1977年でもう存在していません。調べていたら日本にトマトレコードという会社がありましたが、おそらく関係ない会社です。


 二人ともハード系のシカゴ・ブルースの重鎮であることから、おそらくトマト・レコードがブルース好きのためにセレクトしただけのセールス的なオムニバスで、特に深い意味を持たせた訳では無いようです。手に入れたのはあまりに昔で、よく覚えていませんが私もおそらく20代の若い時にブルースの勉強だと思って購入しただけだと思います。

 「Little Walter」 1930年5月1日 ~ 1968年2月15日 ルイジアナ州生まれのブルース・ハーモニカ奏者。12歳からニューオーリンズ、ヘレナで活動後1946年からシカゴに住むようになり1947年レコードデビュー。アルコール依存症で1968年にシカゴのクラブ出演の時のケガが原因で死去。
 「Otis Rush」 1935年4月29日 ~ 2018年9月29日 ミシシッピ州フィラデルフィアで生まれ育ったブルース・ギタリスト。8歳からギターを弾き始め。1956年にデビュー。左利きながら、右利き用に弦を張ったギターを逆向きに持って弾くユニークなスタイルで、2004年に脳梗塞で倒れ、以来リハビリを行っていたが、2018年9月に死去で、妻は日本人。

1. You're So Fine / Little Walter
2. May Be The Last Time / Otis Rush
3. It's So Hard For Me To Believe You Baby / Otis Rush
4. All About My Girl / Otis Rush
5. Walter's Blues / Little Walter
6. I Got You / Otis Rush
7. Goin' Down Slow / Little Walter
8. Watermelon Man / Little Walter







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2021年12月16日木曜日

Stevie Rayvaughan / Live Alive


 Stevie Rayvaughan (スティービー・レイボーン) 1986年にリリースされたライブアルバムです。1982年にデビット・ボウイのレッツダンスのギタリストに起用されてから一躍注目され、5枚のスタジオ録音でのアルバム、そしてこのLive Aliveを発表し、1990年35歳、ヘリ事故で急逝してしまいました。
 TV用に録られた音源ですが、このアルバム自体はSRV自身が「あのときは調子悪かった」と言っていた時のLIVEですが、スタジオ盤とは違うプレイの熱気とアドリブで、この図太い音でグイグイ引っ張るレイボーンのプレイはスカッとします。この時期ヤク中がひどかったらしくキレがない演奏だったという評判もあります(私には十分ですが)
 私が彼を知ったのは、亡くなった後です。ジャズをやり始めてしばらくロックから遠ざかっていたのですが、 FMでジミヘンバリのぶっ飛んだ彼のギタープレーを耳にしたら直ぐに購入してしまったものです。スローなブルース系の曲が多く、好みとしてはもう少しアップテンポのほうがなーとは思いますが、なんと言ってもすべての曲において彼のブルースギターは圧巻。すごすぎます。
 名だたるミュージシャンは、アル中、薬物中毒が多いものです。私は、アルコール飲み過ぎると、演奏はグチャグチャになるのでライブ前には、飲みすぎないようにメンバーにはよく注意されます。プロっていう人種はアルコール・薬物で活性化することもあるようなのが素人とは違うところなんでしょうか。
 いつものレパートリーの他、長ったらしいジミヘンの Voodoo Chile とかスティービーのSuperstition とかボーナス的に聴けるのも楽しいですねえ。

guitar, vocals : Stevie Ray Vaughan
bass  : Tommy Shannon
drums : Chris "Whipper" Layton
guitar, bass : Jimmie Vaughan (8,9,12,13)
keyboards : Reese Wynans

producer : Stevie Ray Vaughan & Double Trouble

1. Say What!
2. Ain' T Gone 'N' Give Up On Love
3. Pride And Joy
4. Mary Had A Little Lamb
5. Superstition
6. I'm Leaving You (Commit A Crime)
7. Cold Shot
8. Willie The Wimp / guitar, 6-String Bass – Jimmie Vaughan
9. Look At Little Sister
10. Texas Flood
11. Voodoo Chile (Slight Return)
12. Love Struck Baby
13. Change It






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2021年9月3日金曜日

本日のCD Blues Brothers ♪ Briefcase Full Blues


 邦題は「ブルースは絆」 ブルース・ブラザーズが1978年に録音・発表したライブ・アルバムで、バンドのデビュー・アルバム。大好きなBlues Brothers のメンバーの John Belushi(ジョン・ベルーシ)Dan Aykroyd(ダン・エイクロイド) はコメディアンで、コメディ劇団「セカンド・シティ・ワークショップ」に在籍していた仲間で、この劇団で知り合って親友となりブルース・ブラザースを結成となったそうです。このバンドでの役割は、ベルーシは兄でジェイク・ブルース役、Dan Aykroydは弟でエルウッド・ブルース役と設定されています。エイクロイドはゴースト・バスターズでの主演、ベルーシは緑色のモンスターのスライマーのモデルとなんですが、もしかしたら若い人にはわからないかもしれません。ジョンベルーシは私の印象は「ナショナルランプーンのアニマルハウス」という映画でなんともバカバカしく下品な男を演じていたのを映画館で見てたのが最初で、バカバカしく楽しく少しのエロに中学生の時に映画館でドキドキしてた記憶があります。
 こういったコメディアンが本気になって作ったバンドですから、当然ステージはパロディというかジョークじみたものとなっています。ですが演奏もボーカルも本物でエンターテイメント性は抜群。ブルースとソウルのファンでマニアだからこそ作れる本物っていうのがこのバンドのミソなんではないでしょうか。サム&デイヴの「Soul Man」、キング・フロイドの「Groove Me」、ジュニア・ウェルズの「Messin' with the Kid」名曲だからこそ、のりのりで歌って自分たちが楽しみ、聴いている人見ている人に楽しんでもらうというエンターテイメントにブルースやソウルへの深い愛情を感じてしまいます。
 まるっきり素人が演じているだけではない本気度としては Hey Bartender、I Don't Know でのエイクロイドのハープ・ソロ、Shot Gun Blues、Flip, Flop & Fly のイントロでも発揮されています。低音のバック・コーラスは Soul Man のサビなんかで聴かれますが、こういったチョコっとしたとこもミュージシャンではなく音楽ファンだからこそ、入れちまえ見たいなところなんでしょうか。
 聴きなおしてみるとボーカルはツボは押さえているものの素人っぽいのは脳の中に刻まれていたイメージとは違っていましたが、当時はディスコ全盛期でブルース、ソウルはファンの間では聞かれていたものの懐メロ的な時代となっていたところに、セールス的に成功させてしまった Blues Brothers は偉大。

lead vocals : Joliet Jake Blues
harmonica, vocals : Elwood Blues

organ, piano : Paul "The Shiv" Shaffer
guitar : Matt "Guitar" Murphy, Steve "The Colonel" Cropper
bass : Donald "Duck" Dunn
drums : Steve "Getdwa" Jordan

tenor sax : Lou "Blue Lou" Marini, Tom "Triple Scale" Scott
tenor sax, baritone sax, trombone, trumpet : To m "Bones" Malone
trumpet : Alan "Mr. Fabulous" Rubin

1. Opening: I Can't Turn You Loose
2. Hey Bartender
3. Messin' With The Kid
4. (I Got Everything I Need) Almost
5. Rubber Biscuit
6. Shot Gun Blues
7. Groove Me
8. I Don't Know
9. Soul Man
10. "B" Movie Box Car Blues
11. Flip, Flop & Fly
12. Closing: I Can't Turn You Loose


▶  Soul Man



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2021年8月19日木曜日

本日のCD Guitar Slim ♪ The Things That I Used To Do

 

 まず最初に聴いたときに「なるほど昔のブルースね」と思いながら聞き流していましたがおそらく興行的(ライブエンターテイメント)なところを意識してる人だなあと興味がわいてきました。
 「曲は古臭いけどギターの音は適度にギラギラしてフレーズも現代的なとこもあるなあ」となり「余裕でギター弾いて、わざとたどたどしく弾いたりフレーズとか遊んでるしサービス精神旺盛ですな」そして「このノリは、ピアノのあの人に似てるんじゃね?」などと思い始める。 ピアニストのあの人はニューオリンズのブルース・ピアニストの「Professor Longhair」です。と思って調べてみるとやはりこの人もニューオリンズを拠点に活動していたギタリスト、音楽キャリアとしては1951年~1958年の短い間で肺炎で死去しています。Professor Longhair は1949年初レコーディングで1964年ぐらいまでが最盛期で、1975年のポール・マッカートニーが彼をクイーン・メアリー号船上のプライベート・パーティーの演奏「Live On The Queen Mary」あたりで復活の人。やはり活動の盛期は被っています。
 もともとはゴスペル・シンガーで1950年のデビューから後にブルース・シンガーに移行して、ギターとアンプを100メートル以上のコードで繋ぎで、観客の間を演奏して歩くなどのパフォーマンスで人気だったようで、このアルバムには収録されていませんが 「Feeling Sad」を発表、そして1953年に Ray Charles がピアニストして参加し、タイトル曲の「Things That I Used To Do」がリリースされR&Bチャートで14週連続1位の記録の大ヒットとなります。 がカバーするこれを機に大躍進と言いたいところですが、ヒットが出ずにレコード会社の移籍や契約解除が続いたとのことです。でもこの大ヒットしたタイトル曲は、ブルース旧大御所にもカバーされブルース・スタンダードのひとつとなっています。
 と、勉強が終わったところでもう一回タイトル曲を聴くと、これについては「ニューオリンズ」の感じがしないド・ブルース。再度ライナーノーツを見ながら聞き直すとこのアルバムは1953年~1955年の5回の録音の21曲です。


 最初のころは、本格的なブルースで段々とエンターテイメント性が増してきて、泥臭さが抜けてきてバックがニュー・オリンズ・サウンドに変化してきています。わずか2年間の間にかなりの変貌です。時に歪ませたギターで攻めまくったり、ラフに弾き崩したりするスタイルは独自のモノで、酒と女性が大好きそうなオジサンのようなジャケットも良かった。
 「Bad Luck Blues」「Well, I Done Got Over It」「Something To Remember You By」、イントロを失敗したんで、やり直しまで全部録音してしまった「I Got Sumpin' For You」なんかが良かったかな

1. The Things I Used To Do
2. Well I Done Got Over It
3. The Story Of My Life
4. A Letter To My Girlfriend
5. Later For You Baby
6. Trouble Don't Last
7. Bad Luck Blues
8. Sufferin' Mind
9. Twenty Fine Lies
10. Our Only Child
11. Stand By Me
12. Guitar Slim
13. Reap What You Sow
14. I Got Sumpin' For You
15. You're Gonna Miss Me
16. Quicksand
17. Think It Over
18. Something To Remember You By
19. You Give Me Nothin' But The Blues
20. Sufferin' Mind (Alt. Take)
21. Reap What You Sow (Alt. Take)





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2021年8月14日土曜日

本日のCD Little Walter ♪ The Best Of Little Walter


 これぞブルース100%の15曲入りのベストです。ベストと言っても1958年発売ですのでなんと60年以上も前に発売のベストセレクション。
 リトル・ウォルターは、シカゴ・ブルースでハーモニカをアンプリファイドさせた奏法を定着させた人です。ギターのアンプを歪ませたオーバー・ドライブ・サウンドをブルース・ハープに応用して、そのサウンドを武器に Chicago Blues 界に激しくてアーバンなノリの良い Blues を持ち込みました。発表した自身のリーダーアルバムは1964年~1970年で5枚、存命中は3枚と少ないですが数々のセッションでその音は記録されています。
 音楽的に攻め続けたブルース・マンのリトル・ウォルターですが、私生活は酒と喧嘩に明け暮れた38年間という短い人生でした。メチャクチャ短気で喧嘩っぱやかったらしいです。1950年代後半には、暴力的な口論や喧嘩が原因で訴訟により金を払う羽目になったりしていたようですが、1968年2 回目のヨーロッパ ツアーから戻って数か月後、リトル ウォルターはシカゴのサウス サイドにあるナイトクラブでの公演の休憩中に喧嘩に巻き込まれ、彼は口論で軽傷を負っただけとWikiに書いてありましたが口論だけで軽傷は負いません。この喧嘩で受けたダメージが間接的な要因で、シカゴのイースト 54 番街 209 番地にあるガールフレンドのアパートで寝ている間に死亡となりました。死亡診断書に記載された公式の死因は、冠動脈血栓症 (心臓の血栓) と書いてあったらしいです。(ここら辺はもしかしたら捜査がめんどうだという人種差別的な要素があったのか?とも思わせる書き方です)
 最近わかったんですが、ベースのWillie Dixon はこの時代に派閥を形成しているようで数々のアルバムに顔を出しています。このアルバムでもベースが参加する曲は全て Willie Dixon がベースを弾いています。リズム隊としては ギターの Dave Myers と Louis Myers の兄弟ギターはお手本のようなブルースギターで  ドラムのFred Below との息もあっていて素晴らしく、基本的にタイトな演奏は彼らに任せてギタリストがディストーション・ギターであばれる役目を Little  Walter が定番パターンのようです。
 米国に古くから伝わるTraditional Gospel Song「This Train」をWillie Dixonが改作した「My Babe」は最高にかっこよく、これが始まると心躍ります。そしてトラディショナルなロック・ブルース「You're So Fine」デビュー・シングルのヒット・ナンバー「Juke」はテーマ部分のトリッキーなところが気分良い名曲。スイングするインスト「Off The Wall」定番「Tell Me Mamma」はロカ風2ビートのドラムのカツンカツンに乗せて軽いとこが良い
 なにしろベスト盤ですからおいしいとこが揃ってますね。

1. My Babe
vocals, harmonica : Little Walter
guitar : Leonard Caston, Robert Junior Lockwood
bass : Willie Dixon
Drums : Fred Below
2. Sad Hours
harmonica : Little Walter
guitar : David Myers, Louis Myers
drums : Fred Below
3. You're So Fine
vocals, harmonica : Little Walter
guitar : David Myers, Louis Myers
drums : Fred Below
4. Last Night
vocals, harmonica : Little Walter
guitar : David Myers, Robert Junior Lockwood
bass : Willie Dixon
drums : Fred Below
5. Blues With A Feeling
vocals, harmonica : Little Walter
guitar : David Myers, Louis Myers
drums : Fred Below
6. Can't Hold Out Much Longer
vocals, harmonica : Little Walter
guitar : Jimmy Rogers, Muddy Waters
drums : Elgin Evans
7. Juke
harmonica : Little Walter
guitar : Jimmy Rogers, Muddy Waters
drums : Elgin Evans
8. Mean Old World
vocals, harmonica : Little Walter
guitar : David Myers, Louis Myers
drums : Fred Below
9. Off The Wall
harmonica : Little Walter
guitar : David Myers, Louis Myers
drums : Fred Below
10. You Better Watch Yourself
vocals, harmonica : Little Walter
guitar : David Myers, Robert Junior Lockwood
bass : Willie Dixon
drums : Fred Below
11. Blue Light
harmonica : Little Walter
guitar : David Myers, Robert Junior Lockwood
bass : Willie Dixon
drums : Fred Below
12. Tell Me Mama
vocals, harmonica : Little Walter
guitar : David Myers, Louis Myers
drums : Fred Below

▶ My Babe

▶ Juke



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2021年8月13日金曜日

本日のCD Lazy Lester ♪ Harp And Soul


 レイジー・レスターはルイジアナ生まれのブルース・ハーピストで、このアルバムはユルい雰囲気のロッキン・ブルースやカントリー・ブルースが入っています。ルイジアナあたりのこの地方のブルースには独特な味があり、この手のブルースは「スワンプ・ブルース」と呼ばれてるそうです。
 本作は長い間ブランクのあった彼の復帰作です。1933年生まれで本名は Leslie Johnson。1950年代の半ば頃から、地元ルイジアナのブルース・ファンの間で注目を集めるようになった。ある日ライトニン・スリムとのセッションでレギュラーのハーピストの代理を務めたことがきっかけとなりソロ作をレコーディング。その際プロデューサーのジェイ・ミラーは彼のリラックスした演奏スタイルから、彼のステージ・ネームを「Lazy Lester」と名付けてプロのキャリアはスタートします。彼はセッション・プレイヤーとして、スリム・ハーポやジョニー・ウィンターといったアーティストたちの作品にも引っ張りだこで、ジョニー・ウィンターの1961年の初期のセッションにその名を刻んでいます。
 しかし彼は1960年代以降は、人種分離や差別に挫折、また作曲によるロイヤリティをジェイ・ミラーに搾取され、音楽業界に懐疑的になり20年間ほどは肉体労働などに従事して過ごしていました。そういった訳で一度現場から離れるも、後年になってからザ・キンクスによる「I’m A Lover, Not A Fighter」のカバーやファビュラス・サンダーバーズなどのバンドが彼の楽曲をカヴァーしたことで、キング・スネイクやアリゲーターといったレーベルが再び注目され、再び活動を再開し1988年に本アルバム「Harp & Soul」を発表となりました。
 演奏スタイルとしては、お気楽で舌っ足らずな発音の歌い方であまりコブシを効かせた歌い方はせずにお気楽な感じです。ハープも当然上手いんですが決して技巧派ではありませんが、長い間ブルースをやってきた年輪を感じさせる音が好感です。
 ブルース・ロックな I Done Gone Over It、ノスタルジックな Dark End Of The Street(これは良い♪)、 ラストの典型的な王道ブルース Five Long Years なんかがお勧めです。

harmonica, vocals : Lazy Lester
piano : Lucky Peterson, , Teo Leyasmeyer
bass : Bob Greenlee
guitar : Ernie Lancaster, Kenny Neal, Pete Carr, Robert "Town Crier" Thomas
Kenny Neal
drums : Denny Best, , Floyd Miles
Washboard – Fred Reif

producer : Bob Greenlee

1. I Done Gone Over It
2. Take Me In Your Arms
3. I'm Your Man
4. Patrol Wagon Blues
5. Dark End Of The Street
6. Raining In My Heart
7. Bye Bye Baby
8. Bloodstains On The Wall
9. Alligator Shuffle
10. Five Long Years





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2021年7月29日木曜日

本日のCD Sugar Blue ♪ Absolutely Blue


 若いブルースハープ奏者と思っていたら1949年12月16日、ニューヨーク市ハーレム生まれとのことなので、もはや重鎮のお歳になってきています。ローリングストーンズの「Miss You」でブルース・ハープを吹ていた人と言えばピンとくる人も多いはず。
 10代の頃はスティーヴィー・ワンダーやボブ・ディランを聞いて育ち、シカゴに移住し、70年代中期ごろからはセッションマンとして多くの録音に参加。その後メンフィス・スリムの薦めで1976年にフランスのパリに転居。クラブや路上パフォーマンスをローリング・ストーンズに見出され、1978年のヒット曲「Miss You」の録音に参加して知名度を上げました。
 あのストーンズの曲では演奏ではわかりませんでしたが、このアルバムを聴けば声量があって艶々な音色で伸びやか。正確で緻密な音程と組みたて、そして超(長)ロングトーンうますぎる次世代のブルース・ハープといった印象です。
 このアルバムは1991年の発売ですが、ストーンズの「Miss You」も収録されています。本家ではディスコ調だった衝撃のアレンジも、ここではスラップ・ベースを入れたファンクに仕立ててて、よりカッコいいアレンジにしています。これを機に改めてストーンズを聴いて比較するとストーンズの演奏はダサいアレンジだと当時思っていたのが適度にルーズなディスコサウンドが今となってはカッコよいとも思えます。どちらが良いは関係なく意外と耳に残る名曲なんですね「Miss You」
 現代派のイメージの Sugar Blue ですが、このアルバムではド・ブルースがやはり収録されていて I Just Got To Know やはりブルースはこれだって感じで良いです。きれいな音が特徴と思っていたらこの曲ではしっかりコブシも効かせた腰の強いハーブ。一方でジェイムス・コットンの最盛期ばりのジャンプ・ブルースの One More Mile To Go も正統派でなかなか。アコースティックの弾き語りパターンの That's All Right も良い味。
 3年前のレビューでは「センスも良いけど私の好みではなかった。決してハズレではない」とか、ネガティブなこと書いてますが今回再度聞き直して完全に撤回させていただきます。

vocals, harmonica : Sugar Blue
acoustic guitar : Lurrie Bell
electric guitar : Motoaki Makino, Rico McFarland
keyboards : Roosevelt Purifoy
bass : Charles Hosch
drums : James Knowles
sax : Hank Ford
trombone : Bill McFarland
trumpet : Ken Anderson

1. I Ain't Got You
2. Help Me
3. Miss You
4. I Just Got To Know
5. One More Mile To Go
6. That's All Right
7. Country Blues
8. Back Door Man
9. Just To Be With You
10. Out Till Dawn




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