2023年7月9日日曜日

Keith Jarrett Trio / Stella By Starlight

 

 1977年のGary Peacock のアルバム Tales Of Another が初顔合わせとなり、Gary Peacock 、Jack DeJohnette、Keith Jarrett の組み合わせによるトリオは1983年になって再び Standards Vol 1、Vol 2、Changes の3枚のアルバムを発表し、このトリオは80年代以降のジャレットを代表する」活動となりました。これは、このトリオでの初のライブ盤で、有名なスタンダードナンバーを独特の解釈で聴かせる、美しく宇宙的な広がりの中に、絶好調なキースの唸り声がクセになる作品です。


 アルバムは、タイトル曲 Victor Young 作曲のStella By Stalight から始まります。冒頭からキースのソロはアドリブから始まり、ゲイリーとジャックが加わると更に絶好調になり熱気が伝わってきます。The Wrong Blues は、クラシックとともにポピュラーソングの作曲家でもある Alec Wilder の楽曲ですが、スタンダートと言うには少しマイナーな曲のようです。でも曲名のようなアクの強そうな感じではなくスマートな曲で軽くスイングするような感じが素晴らしい。Falling In Love With Me は、イントロで原曲を感じるのでホッとしましたが、アップテンポのスイングアレンジでスリルある演奏になっています。ゲーリーのベースソロ、キースのけしかけるようなプレイが良い感じです。Too Young To Go Steady は、James Francis "Jimmy" McHugh の作曲で1955年のミュージカル「ストリップ・フォー・アクション」のナンバーで、1956年にナット・キング・コールの歌が、1960年にはコニー・スティーヴンスのレコードがヒットしている。原曲の」メロディを提示し優しくピアノで歌うキースがキラキラしています。The Way You Look Tonight 邦題は「今宵の君は」だそうで原曲はバラードらしい。ここでは、やがり普通にはやらずに高速にスピード感と迫力を持った演奏になっています。最後は The Old Country でコルネット奏者 Nat Adderley の楽曲で、この人は Cannonball Adderley の実弟だそうだ。ブルースを感じますがメロディを美しく泥っぽくなく演奏するキースのプレイがやはり素晴らしい
 いつもの「おでんバー」でかけたら今更これですか?超スタンダードだよねって、言われながら、来週また聴きたいから置いといてって言われました。やはり名アルバムなんですよね、これは🎵

piano : Keith Jarrett
bass : Gary Peacock
drums : Jack DeJohnette 

producer : Manfred Eicher

recorded July 2, 1985 at the Palais des Congrès Studios de la Grande Armée.

1. Stella By Starlight
2. The Wrong Blues 
3. Falling In Love With Me 
4. Too Young To Go Steady 
5. The Way You Look Tonight 
6. The Old Country






  

2023年7月2日日曜日

Kenny Burrell / Midnight Blue


 Kenny Burrell を聴く人には、マスト・アイテムの1963年発のソウルフルでラテン・テイストなブルース・アルバム。バレルは1956年にブルーノート・レコードからデビューしたなのでデビューから7年にあたります。メンバーはテナー・サックスの Stanley Turrentine スベースにMajorHolley. jr ドラマーに Bill English コンガにRey Barretto と、ピアノレスにして、コンガを入れることで魅力的な深夜のブルースの演出です。
  プロデューサーの Alfred Lion は、レコーディングをする際は必ずオリジナル・ブルース曲を1曲は用意してくるようにミュージシャンにリクエストをしていたり、ギターという楽器にも愛着があったようで、ブルーノートレーベルの初期は、Tal Farlow、Sal Salvador、Lou Mecca などの白人ジャズ・ギタリストが多く黒いフィーリングを持ったプレーヤーとしてはバレルが代表格です。Alfred Lion は、数多くの作品の中でも一番のお気に入りで、ライオンが亡くなった後、亡骸と共にこのアルバムも埋葬されたとのこと。その理由は「全ての音符がスウィングしているからだよ!」とライオンが言っていたとのエピソードもあります。

 私もバレルを聴き始めた頃からのお世話になったのアルバム。久しぶりに聴いてみると、やっぱり王道で安心感のある存在感のあるアルバムですね。さてレビューしましょう。
  Chitlins Con Carne は、リズム&ブルース等のジャズ畑ではないブルース・ミュージシャンにも好まれる名ジャズ・ブルース曲。Stevie Ray Vaughan の The Sky Is Crying なんかにも収録されてます。Mule は静かにダークに進行するブルースで暗いジャズ喫茶で煮詰まった珈琲が似合いそうな曲になっています。ずっしりとしたベース、中盤からの Stanley Turrentine のサックスも粋です。 ちなみに Mule とは「ラバ」の意味ですが、それ以外にも「運び屋」の意味もあるようで、なるほど。禁酒法時代の1920年~1933年までに生まれたカントリー・ブルースを表現したような曲名だと感じます。Soul Lament はいかにもバレルらしい名演の独奏です。テーマにコードを挟みこんで不安定にも感じるコードの響きも魅力。タイトル曲 Midnight Blue は、ドラムとコンガがリズミカルにスイングします。いかにもジャズ的で、ピアノレスなのでシングルノートとコードを一人「コール&レスポンス」している優等生的な印象の曲です。Wavy Gravy は、ウォーキング・ベースのイントロから始まる渋いブルースで、アーシーなサックスソロも聴き所。Gee Baby, Ain’t I Good To You はバレルの十八番でもあり様々なミュージシャンに愛される名ブルース・スタンダード、曲が良いだけに名演も多いですよね。大好きな曲です。Saturday Night Blues はバレルの作曲で、明るめのブルースです。Kenny's Sound、K Twist はボーナストラックで軽く流すブルースセッションのようでライトでカッコ良いですね。
 正統派ブルースが気持ち良いアルバムです🎵

guitar : Keny Burrel
tenor sax : Stanley Turrentine
bass : MajorHolley. jr
drums : Bill English
congas  : Rey Barretto

producer : Alfred Lion
recorded by : Rudy Van Gelder

1. Chittlins Con Carne
2. Mule
3. Soul Lament
4. Midnight Blue
5. Wavy Gravy
6. Gee Baby Ain't I Good To You
7. Saturday Night Blues
8. Kenny's Sound
9. K Twist
▶ Chittlins Con Carne




  

2023年6月17日土曜日

Billy Sheehan / Niacin


 Niacin(ナイアシン)は、Mr Big に在籍のロックベース界の重鎮 Billy Sheehan のプロジェクトで、メンバーはフュージョン、ジャズ、ファンクを中心とした数々のドラム名演を残す Dennis Chambers 、そして私にとっては若干正体不明のキーボード奏者 John Novello で構成されるインスト・バンド。(John Novello は、このNiacinに参加で名が売れたらしいのでそれほど失礼でもない事実かと思われます)フュージョンというよりはほぼインスト・ロックなのでこれはプログレですね。


 これはキーボード奏者の方からの頂きものなのですが、いただいた時は実は「良さがわからず」あまり聴かなかったアルバムでした。しかしながら時間が経てば、趣味趣向は変化するもので違和感のようなものは無くなり「好みである」とは言えないけど「良さがわからない」では無く聴けるようになってきました。
 このアルバムは、トリオ演奏で、キーボード奏者 John Novello がメロディーのメインになっているため、全編にわたりロック・オルガンが延々と続けられています。ここら辺が以前はしんどいかったのが、ジャズ・オルガンも最近は結構聴くようになったせいか今聴いても全くしんどいことはありません。ただロックとして楽しめるかと言えば、派手なこれ見よがしのテクニックオンパレードが良いとは思わないですが、期待としては派手なベースが聞ける方が、この手のアルバムでは楽しいことは間違いと思います。
 アルバムとしての感想はこのようなことになりますが、YouTube動画を検索していたら Blue Note Tokyo でのライブ画像があり、これを見たらぶっ飛びました。スタジオ版とは明らかに違うグルーブ感とテンションです。素晴らしい。これみよがしなテクニックでは Pat Torpey (MR.BIG) jamming with Billy Sheehan の動画もまたこれ素晴らしい🎵

bass : Billy Sheehan
keyboads, organ : John Novello
drums : Dennis Chambers

producer : Billy Sheehan

1. No Man's Land
2. Do a Little Dirty Work
3. I Miss You (Like I Miss the Sun)
4. One Less Worry
5. Three Feet Back
6. Bullet Train Blues
7. Hell to Pay
8. Alone on My Own Little Island
9. For Crying Out Loud
10. Klaghorn
11. Spring Rounds
12. Spring Rounds Squared
13. Pay Dirt
【Bonus Track】
14. Last Ditch Rag





  

2023年6月16日金曜日

Miles Davis / Seven Steps To Heaven

 

 1960年に Coltrane がグループを去り、ここからしばらくメンバーは固定されず、1965年 Wayne Shorter との第2の黄金クインテットが誕生するまでの間、サンフランシスコ・ロサンゼルス等の西海岸で様々なジャズメンと演奏を行っていて、まずは3週間のクラブ・ギグ後、1963年4月の Los Angeles でレコーディング。I Fall In Love To Easily、Baby, Won't You Please Come Home、Basin Street Blues の曲を録音で残りの曲は録音はしたけどお蔵入りとなったとのこと。ピアニストの Victor Feldman はニューヨークに来ないかと誘われたが断ったらしい。あくまでもこのクインテットは暫定的なメンバーとなり New York で、リズム隊を Herbie Hancock、Tony Williams に変えて、サックスに George Coleman にして 同年5月の New York で異なるセッションによって収録されました。マイルス的には、このセッションの違いはリズムにあり New York のクインテットの方が満足していたようです。LA吹込みの So Near, So Far は、どのアルバムかわかりませんが、1981年に発表されているらしいので、そこも聴いてみたいところです。コレクション増やしていけば、そのうち聴けるでしょう。

 落ち着いたマイルスで良いのだが、このアルバムは古めかしいかな。メンバーを探しながら、ツアーに明け暮れて稼いでいた時期なので革新的な音楽の開発と言うよりは当時のメンバーでの記録的な録音でもあるのかもしれません。

 Basin Street Blues は、マイルスが淡々と最初から吹いているバラード調のブルースでカッコ良い演奏ではあるけれど流れてしまうような感じの美しい曲に仕上げています。聴けよこの野郎感は全くありません。タイトル曲の Seven Steps To Heaven は、なるほどリズム隊が変わり古臭くはありますが中身が全く違います。やっぱり、こっちの方が楽しんでいる感じが伝わります。I Fall In Love To Easily では、またバラードとなります。のっぺりとした感じが強い対比に感じます。交互に So Near, So Far はアップテンポになり、マイルスのトランペットの音の張りも違います。Baby, Won't You Please Come Home では、またバラード。なるほどLA録音は Victor Feldman とマイルスの二人が主体となった静的な美しさを強調してるわけですね。最後の Joshua は当然アップテンポで盛り上げていきます。

 心に残る一枚かと言えば、淡々とした演奏を聴いている感が強く、たまに聴いてみたくなるアルバムの類となるような気はします。または在宅勤務時のBGMには良いのかもとも、ここらへんのアルバムを時系列に沿って聴くと面白いのかもしれないとも思ったりしながら最後聴いております🎵

trumpet : Miles Davis
piano : Herbie Hancock (2, 4, 6), Victor Feldman (1, 3, 5)
bass : Ron Carter
drums : Tony Williams (2, 4, 6), Frank Butler (1, 3, 5)
tenor sax : George Coleman (2, 4, 6)

producer : Teo Macero

tracks 1, 3, 5 recorded in Hollywood, Cal.
tracks 2, 4, 6 recorded in New York

1. Basin Street Blues
2. Seven Steps To Heaven
3. I Fall In Love To Easily
4. So Near, So Far
5. Baby, Won't You Please Come Home
6. Joshua



▶ Joshua


  

2023年6月11日日曜日

Bootsy Collins & The Bootsy's New Rubber Band / Keepin' Dah Funk Alive 4-1995


 最近の音源はジャズに偏っていますが、私こういったものも好物であります。いかれたファンクは好きですか?ハイ好きで~す。ジャケ写でも解りますが、Bootsy Collins は同じみのいかれたベーシストで 基本いかれたファンクの人なので、やってることは P-FUNK でやっている音楽性とほぼ同一です。このいかれた見た目の Bootsy ですが、経歴としては1951年生まれジェームス・ブラウンのバックバンドJB’sに在籍と、ここら辺まともなように見えます。しかしドラッグでベースが蛇に見えて、ステージから逃走して首に・・まあ親玉もドラッグはバリバリで2回も逮捕されている人だけに、このぐらいでビックリはしません。親玉はドラッグやっても仕事はちゃんとしてるさ、ステージから逃走はいかんよってことですねか。そして現在はPファンク主要メンバーとして活躍する王道の経歴です。


 さてこのアルバムは1994年の東京の Jungle Club のライブ収録の2枚組。Bernie Solo、One Nation Under A Groove、P-Funk を除くすべての曲はブーツィー・コリンズが書いた、または共作した曲となっています。後で音は被せてあるようですがライブとしての録音状態、アレンジなどの完成度は非常に高いアルバムです。
 さてレビューですが、Introが終わると Ahh... The Name Is Bootsy, Baby 最初から飛ばすタイプの曲ではなくフレーズのループで次第に盛り上がっていきます。 Bootsy? (What's The Name Of This Town?) も似たようなグルーブで、歌ではトキオのフレーズがひたすら繰り返されます。Psychoticbumpschool ここらへんでテンポ・アップしてアレンジも凝ったものになります。曲調としては Larry Graham でもよくある感じ。The Pinocchio Theory はシンセが駆使された軽めのファンク。この音の刻み方と展開は大好きなパターン。そして、Hollywood Squaresb に続くメドレー的な展開ですが音がブツッと切れます。メドレーではなく編集の都合上かもしれませんが気になる。フルートも入れた怪しい雰囲気の曲でこれもカッコ良いんですけどね。Bernie Solo は Bernie Worrell のソロパート、One Nation Under A Groove は、少し軽めにアレンジされていますがお馴染みの曲で、安心感あります。続いて P-Funk (Wants To Get Funked Up) 、Cosmic Slop、Flash Light、ここらへんで有名曲を入れて盛り上げていこうってこと。Bootzilla も盛り上げタイプで、Roto-Rooter はどっかで聴いたことあるな。Larry Graham スタイルってことか。そして2枚目に I'd Rather Be With You は、バラードタイプのファンク。しんみりやっているかと思いきや、メンバーの笑い声が途中で聞こえるので誰かのソロの時に何かおもろいことやって、ふざけている模様です。A Sacred Place (RIP) は、JB’sタイプの昔ながらのファンク。Medley: Stretchin' Out / Touch Somebody では「スキンシップの時間がやってまいりました。髪の毛をひっぱったりサングラスをとったりしないでください」との日本語のMCがあります。その後は延々と同じフレーズのループですが会場は大いに盛り上がっているんだろうなあと、うらやましい限り。Night Of The Thumpasorus Peoples ここらへんから混沌としてきますね。これを待ってましたって感じで客は最高に盛り上がっているに違いありません。Keepin' Dah Funk Alive 4-1995 最後になります。ライブのを締めくくるセッションみたいな感じですね。
 ほぼ、同じようなアレンジですから、しつこいと言えばしつこい。これが好きな人には、たまらないグルーブに頭の中で変化する音の薬です🎵

Vocals : Bootsy Collins, Mudbone Cooper, 
Henry Benifield, Michael Gaitheright
bass : Bootsy Collins
bass : Flip Cornett
Keyboards : Joel "Razor Sharp"
Keyboards : Greg "Daddy Ducking" Fitz
Keyboards : "Ill-Legal Alien" Bernie Worrell
guitar : Gary "Dirty Mugg" James
drums : Frankie "Kash" Waddy
Horns : Don Bynum, Larry Hatcher, Reggie Calloway, 
Rick Gardner, Vince Calloway

producer ("Live" Recording produced by) : At'c Inoue
album was recorded at: Jungle Club (June 24, 25 1994, Tokyo, Japan).

【Disc1】
1. Intro
2. Ahh... The Name Is Bootsy, Baby
3. Bootsy? (What's The Name Of This Town?)
4. Psychoticbumpschool
5. The Pinocchio Theory
6. Hollywood Squares
7. Bernie Solo
8. One Nation Under A Groove
9. P-Funk (Wants To Get Funked Up)
10. Cosmic Slop
11. Flash Light
12. Bootzilla
13. Roto-Rooter

【Disc2】
1. I'd Rather Be With You
2. A Sacred Place (RIP)
3. Medley: Stretchin' Out / Touch Somebody
4. Night Of The Thumpasorus Peoples
5. Keepin' Dah Funk Alive 4-1995





  

2023年6月10日土曜日

Luca Mannutza Sound Six / My Music


 イタリア・ジャズのピアニスト、Luca Mannutza(ルーカ・マンヌッツァ)のプロジェクト。日本のレーベルの Made In Japan の音源ではありますが、録音はローマのスタジオでライナーノーツに日本語は一切使われていない(日本語どころか解説の文字も一切ない)ので知らなければわからないのは当然だとは思いますが、発売はイタリア・ジャズやヨーロッパ・ジャズを発信する日本のレーベル Albore Jazz(アルボーレ・レコード)から。このレーベル高品質な安心感のあるアーチストの音源を発信していると、これを書くために調べていて初めて知りました。


 全く知らないアーチストなのに購入しているということは、ほぼタワレコの試聴で購入に至ったことは、間違いないのですが、どんなアーチストなのかググっても、ロクな情報が出てきません。これだけ高品質な音源を出されているんだから、もう少しあっても良いのではないかと思いながらも諦めようとしたところ、Albore Jazz の所属アーチスト紹介で発見しました。本文はイタリア語で書いてありさっぱりですが、後半に和訳がありましたので一安心ということで、そのまま Luca Mannutza のアーティストページから拝借。
 「伊ジャズ界で最も高い信頼を集めるブレイン・ピアニスト/オルガニスト。1968年生まれ、サルデーニャ州都カリャリ出身。弱冠11歳にして同地のコンセルヴァトーリオ(音楽院)に入学。18歳で修士の後、地元のジャズ・ロック、フュージョン・バンドを経てジャズの世界に身を置く。アンディ・グラヴィッシュ (tp)、エクトル・コスティータ (sax)、同じくサルデーニャ出身のパオロ・フレーズ (tp)、エマヌエーレ・チーズィ (ts)らとのツアーで経験を積み、99年に活動の拠点をローマに移す。職人肌とも言えるその高いピアノ演奏力もさることながら、独創的かつわかりやすいコンポジション、明快な音楽ディレクションをもとに、自らのプロジェクト=サウンド・シックス、そしてハイ・ファイヴ、サウンド・アドヴァイスなど、現代の伊ジャズ・シーンを牽引するさまざまなプロジェクトの柱を担う。」
 さて、アルバムを聴いているとハードバップが基礎ですが、フュージョンのようなキメあり爽やかで流れるようにスマートな演奏です。ハードバップなら50~60年代のブルーノート!みたいな観念がありますが、量産ではない現代ハード・バップの独創性と音の良さも中々。またピアニストのプロジェクトですが、前面に3管の編成で厚みのある演奏、おそらくサックスの Max Ionata の丁寧な演奏で作品全体が、また上品に仕上がっています。惜しむらくは、熱いソロパートなどは余り感じられずに最初から最後まで同じようなテンションで聴いてしまえること。でも何回か繰り返し聴いていると、かなり細かい芸もあるので Luca Mannutza のコピーでもしてやろうかと思いながら聴いているピアニストなんかは熱くなる部分はありそうです。
 ちなみに、作品の曲は全てマンヌッツァが、コンポーズして、これまでに発表された作品の中から選んで新たにこのレコーディングをしたらしい。過去の曲を聴いてきたわけではないが、完璧なセクステット編成によるハーモニーはストレートに素晴らしいです🎵

piano : Luca Mannutza
sax : Max Ionata, Paolo Recchia
trumpet : Francesco Lento
double bass : Renato Gattone
drums : Andrea Nunzi

recorded at Icarus Recording Studio Roma, on November 29-30, 2011
1. So Near, So Far
2. Evan's Even
3. Pippo
4. Libero
5. Safari
6. Nel Mare
7. Shades Of Gira
8. Così Come Sei
9. Two Friends


▶ Libero




  

2023年6月9日金曜日

Ella Fitzgerald / Songs In A Mellow Mood

 

 エラは、1934年の11月21日に17歳でアポロシアターでデビュー。1941年からはソロでの活動を Decca Records(デッカ・レコード)で開始し、1955年にデッカを離れノーマングランツが1956年に設立した Verve Records(ヴァーヴ・レコード)に所属しています。そのデッカの最初のアルバムは Ella Sings Gershwin Decca (1950年) 、このアルバムはその2枚目 Songs in a Mellow Mood (1954年)エラが36歳の作品です。


 ピアニストの Ellis Larkins では、デッカの1作目の Gershwin 一家のカバーはかなり成功を収めたアルバムとなったようですが、このアルバムは、それほどのヒット作とはならなかったものの、やはりピアニストの Ellis Larkins がエラの歌のバックとして控えめながら実に繊細に寄り添い、さまざまなソングライターのスイング スタンダードやショー チューンをカバーしており、実に聴きごたえのあるあるアルバムです。
 I'm Glad There Is You は Jimmy Dorsey 作曲 Paul Mertz 作詞のせつない恋の歌、What Is There to Say? は Vernon Duke 作曲 Yip Harburg 作詞のジークフェルド・フォーリーズ、1934年版のナンバー。People Will Say We're in Love  Oscar Hammerstein II作詞 Richard Rodgers作曲の1943年のミュージカル「オクラホマ」のナンバーでアルフレッド・レイクとジョーン・ロバーツが歌っている。Please Be Kind  は Sammy Cahn, Saul Chaplin の共作でキュートな恋の歌です。Until the Real Thing Comes Along は  Mann Holiner, L.E. Freeman がレビューの為に書いた曲を 1936年に Cahn, Chaplin, Alberta Nichols が手を加えてアンディ・カーク楽団がヒットを飛ばした曲。Makin' Whoopee  はWalter Donaldson作曲 Gus Kahn 作詞 で1928年のミュージカル「ウーピー」のナンバー。 Imagination  は Johnny Burke 作詞 Jimmy Van Heusen 作曲で1940年のグレン・ミラー楽団、トミードーシー楽団、自分の楽団と録音したエラのレコードがヒットしています。Stardust  は 1927年に Hoagy Canenrmichael 作曲 1929年に Mitchell Parish が詞えおつけて、1931年にビング・クロスビー、ルイ・アームストロングのレコードがヒットしたことから歌曲として好まれるようになった曲。My Heart Belongs to Daddy  は Cole Porter の作品。1938年のミュージカル「私にまかせて」のナンバー。You Leave Me Breathless は、1938年にパラマウント映画「ココナットグローブ」のために Ralph Freed 作詞 Frederick Hollander 作曲の共作。フレッド・マクレードが歌ったトミードーシー楽団のレコードがヒット。Baby, What Else Can I Do? は1939年に Gerald Marks 作曲 Walter Hirsch 作詞の共作。トミー・ドーシー楽団で知られた曲。Nice Work If You Can Get It はガーシュイン兄弟の作品
 ピアノとのデュオだけに実に丁寧に原曲のメロディーを大切に歌い上げエラの魅力が堪能できるアルバムです🎵

vocals : Ella Fitzgerald
piano : Ellis Larkins

1. I'm Glad There Is You (Jimmy Dorsey, Paul Mertz) 
2. What Is There to Say?  (Vernon Duke, Yip Harburg) 
3. People Will Say We're in Love  (Oscar Hammerstein II, Richard Rodgers)
4. Please Be Kind  (Sammy Cahn, Saul Chaplin) 
5. Until the Real Thing Comes Along (Cahn, Chaplin, Alberta Nichols, Mann Holiner, L.E. Freeman) 
6. Makin' Whoopee  (Walter Donaldson, Gus Kahn) 
7. Imagination  (Johnny Burke, Jimmy Van Heusen) 
8. Stardust  (Hoagy Carmichael, Mitchell Parish) 
9. My Heart Belongs to Daddy  (Cole Porter)
10. You Leave Me Breathless  (Ralph Freed, Frederick Hollander) 
11. Baby, What Else Can I Do? (Gerald Marks, Walter Hirsch) 
12. Nice Work If You Can Get It  (George Gershwin, Ira Gershwin) 





  





2023年6月4日日曜日

Tom Coster / Let's Set The Record Straight


 キーボディストの Tom Coster は、Santana (サンタナ)に、 1972年から1978年にかけて6年在籍して、あの Europa (Earth's Cry Heaven's Smile) 哀愁のヨーロッパ の作曲者でもあります。サイドマンの活動が多いと思われますがソロアルバムも9枚ほどあり、ラストは 1998年の Cause and Effect(ラリー・コリエル、スティーヴ・スミスとの連名)となっています。このジャケットからはジャズ系の人かクラシック系の人かと思われるような写真ですが、このアルバムは攻めるフュージョン系の曲が中心となっています。


 このアルバムの発売は1993年なので私がフュージョン・アルバムを買いあさっていた時代で、恐らく新譜で購入のはず。購入動機はタワレコの新譜試聴コーナーでしょう。このころは、間違いなく Tom Coster に興味は無く当時売れっ子メンバーが揃っていたので購入したものと思われます。なにせ、ボブ・バーグ,デニチェン,フランク・ギャンバレ、アルフォンソ・ジャクソンなんですから。若干チックのエレクトリック・バンドみたいな気もしないでもありませんが、やはり購入後も間違いではなかったアルバムです。
 サンタナのバンドに長く在籍したこともあるせいか、Then And Now には、ラテン風味のある曲に魅力を感じます。完全なラテンは Best Of Friends なんてカリビアンな曲もあります。その反面 エレクトリック・バンド が好きな方にはTo Be Or Not To Be、Dance Of The Spirits、Thinking Of You、Turkish Delight、Caribbean Sunset が良いですね。
 Welcome... To Myy "Chambers" なんて曲がありますのでよほどデニチェン好きなのでこのアルバムから共演なのかと思ったら、その前の Gotcha!!、Did Jah Miss Me?!? にも参加しています。何があったのか?
 かなり完成度の高い作品なので当時のサウンドを懐かしみたい人には、聞いたことがなかったら是非ともお勧めしたいアルバムです。ちなみにプロデューサーの Jr は息子でやはりキーボディストとのこと。

keyboards : Tom Coster
guitar : Frank Gambale
bass : Alphonso Johnson
drums : Dennis Chambers
percussion, vocals : Karl Perazzo
congas, bata, vocals : Paul Rekow
saxophone : Bob Berg

producer : Tom Coster Jr.

1. To Be Or Not To Be
2. Slick
3. Dance Of The Spirits
4. Then And Now
5. Thinking Of You
6. Mister M.D.
7. Best Of Friends
8. Turkish Delight
9. Blue Blues
10. Welcome... To Myy "Chambers"
11. Caribbean Sunset
12. For The Folks B





  

2023年6月3日土曜日

Richard Groove Holmes / Night Glider


 オルガン・ファンク好きには大好物の、ヘビー級のオルガン・ジャズ・ファンク・セッションです。私オルガンの少し歪んだ音ってジャズやファンクと融合すると電気楽器なのに人の声のように人間の心を揺さぶると感じ、オルガンには、おそらく人の声のコーラスと共通する成分があると思っています。
 オルガンファンクの巨匠と言えば、Jimmy Smith、Jimmy McGriff、Jack McDuff、Johnny “Hammond” Smith なんかが挙げられますが、この Richard Groove Holmesは、1931年生まれでバップ、ソウルジャズで活躍し1965年の Misty が最も有名なアルバムとのこと1991年7月29日で亡くなってます。1961年 Groove でデビューし1991年 Hot Tat まで生涯現役ですか。40枚アルバムを発売されているオルガンファンクの巨匠のひとりですね。


 1曲目「Night Glider」は歌物ソウルでも定番のノリの楽曲です。オルガンのソロが終わってサックスが入ってきたところは、人間のボーカルが入ってきたのかと一瞬思ってしまいました。パーカッションが絡むブレイクも恰好良いですね。キャロル・キングの名曲「It's Going To Take Some Time」「Go Away Little Girl」なんかも収録されているのはうれしい限り。ラストのジャズスタンダードの「Young And Foolish」も泣かせてくれる。
 グルーブホームズは1931年生まれ1991年に60歳で死去したオルガン奏者でハード・バップやソウル・ジャズのジャンルで活躍した人です。作品としては1965年の「Misty」のレコーディングが最もよく知られているようなのでどこかにメモしときます(最近聞くべきと思っているアルバムが増えすぎて忘却してしまいます)また、最後のコンサートを車椅子で行い、前立腺癌と闘病後に心臓発作で亡くなったとのことです。
 このNight Glider は1972年の作品なので41歳の時に制作したアルバムです。このジャケ写は好きです。メタクチャ人生楽しんでそうな素敵な笑顔ですねえ🎵

organ : Richard "Groove" Holmes
piano (Electric) : Horace Ott
guitar : Lloyd Davis
bass : Paul Martinez
congas : Kwasi Jayourba
drums : Bernard Purdie
tenor sax : Seldon Powell
trombone : Garnett Brown

1. Night Glider
2. Flyjack
3. It's Going To Take Some Time
4. Pure Cane Sugar
5. Go Away Little Girl
6. One Mint Julep
7. Young And Foolish