2025年3月23日日曜日

David Sanborn / Voyeur


 2024年5月12日に78歳で他界した David Sanborn の1980年作品です。1970年 Taking Off (1975) を Warner Records からリーダー作をリリース以降、1年に1枚のペースで発売しているので、6枚目のアルバムとなります。
 Voyeurの邦題は「夢魔」で、直訳は、窃視症の人、性的な面でのぞき趣味の人、出歯亀、ゴシップ好き、詮索好き 等とあまり良い言葉ではないようですが、タイトルの言葉イメージとは違い、アップテンポで明るくファンキーなフュージョンとなっています。前作のHideaway では1曲だけの参加だった Marcus Miller が全ての曲に参加していてサウンドに大きな変化をもたらしています。同じく後のサウンドの要となってくる Hiram Bullock はこのアルバムでも参加は1曲のみ。しかし以降しばらく続くファンキー・フュージョンの Sanborn サウンドは、このアルバムが大きな起点になっています。


 ファンク・フュージョンに舵を切ったとはいえ、まだまだ泥臭いニュアンスも残してしているのが、この作品の魅力かと思います。それでは大好きな一枚を全曲レビューしていきます。Let's Just Say Goodbye サンボーン作曲で、歌(サックス)メロが、はっきりとしていてわかりやすい、ザ・フュージョン。Buzzy Feiten のカッティング・ギターが印象的で、サックスはエフェクトが少しかかっていて都会的で軽い。It's You サンボーン的な、ほのぼのした楽曲で、アコースティック・ギターをメインにした Buzzy Feiten のギターが曲の雰囲気を作っています。Wake Me When It's Over 2曲目までは、身を潜めていた Marcus Miller が Wake Me When It's Over で、グイッと存在感を出してきます。ドラム、ギター、ベースのリズム隊は全てマーカスになっています。ポップでファンクな曲に、David Sanborn も合わせてきます。One In A Million メローな旋律は David Sanborn 作曲で、ギターが Hiram Bullock、ドラムが Steve Gadd から Buddy Williams に変わり曲がまろやかになります。そして Marcus Miller の印象が濃い Run For Cover です。 David Sanborn の鋭いサックスの演奏もカッコ良いですが、世の中のベーシストのスラップの練習では皆さんこの曲のお世話になっているものと思われます。テナーサックスで Tom Scott が参加しています。All I Need Is You は、Marcus Miller がイントロでスラップしているものの、物静かで優しいテーマが Marcus Miller っぽくないです。Just For You 前の曲でらしくないと思っていたら、まさかのピアノが Marcus Miller とのデュオで締めくくりです。これが意外と良くて1分32秒はもったいない。
 私のサンボーンの入り口は学生時代に聴いた Straight to The Heart (1984) で、それから少しづつ色々なサンボーンを聴いてきている中でも、派手さが少ないフュージョンであるのが気にいっています🎶

producer : Michael Colina, Ray Bardani
recorded by, mixed by : Ray Bardani
recorded at Minot Sound Studio, White Plains, N.Y.;
Warner Bros. Recording Studios, North Hollywood;
Westlake Recording Studios, Los Angeles;
Jennifudy Recording Studios, Los Angeles;

1. Let's Just Say Goodbye / David Sanborn
alto saxophone, electric piano : David Sanborn
electric guitar, acoustic guitar : Buzzy Feiten
electric bass, synthesizer : Marcus Miller
synthesizer : Michael Colina
drums : Steve Gadd
percussion : Lenny Castro
2. It's You / David Sanborn
alto saxophone, electric piano : David Sanborn
electric guitar, acoustic guitar : Buzzy Feiten
electric bass, synthesizer : Marcus Miller
synthesizer : Michael Colina
drums : Steve Gadd
percussion : Lenny Castro
3. Wake Me When It's Over / David Sanborn, Marcus Miller
alto sax, saxello : David Sanborn
drums, electric bass, electric piano, electric guitar, synthesizer : Marcus Miller
synthesizer : Michael Colina
gong : Ray Bardani
4. One In A Million / David Sanborn
alto saxophone, electric piano : David Sanborn
electric guitar : Hiram Bullock
synthesizer : Marcus Miller, Michael Colina
drums : Buddy Williams
congas, percussion : Lenny Castro
percussion : Buddy, David, Hiram
5. Run For Cover / Marcus Miller
alto sax, saxello : David Sanborn
flute, tenor sax : Tom Scott
synthesizer : Michael Colina
electric bass, electric piano, electric guitar : Marcus Miller
drums : Steve Gadd
percussion : Ralph MacDonald
6. All I Need Is You / Marcus Miller
alto sax : David Sanborn
backing vocals : Diva Gray, Gordon Grody, Hamish Stuart, Lani Groves
synthesizer : Michael Colina
electric bass, electric piano, electric guitar, bells : Marcus Miller
drums : Steve Gadd
percussion : Ralph MacDonald
7. Just For You / Marcus Miller
alto sax : David Sanborn
piano : Marcus Miller





  

2025年3月22日土曜日

Curtis Maifield / Curtis Live!


 1971年1月、ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジのクラブ Paul Colby's Bitter End で行われた公演が収録されている名盤と言われているヤツです。録音されたクラブは1961年のオープンから1974年までは、Paul Colby氏 がオーナーで現在は The Bitter End Cafe として現存していました。キャパは230人と書いてありましたので、そこそこの大きさですが大きな会場ではありません。本アルバムでも客との近い距離感がわかります。


 1958年に The Impressions で活動を開始した Curtis Maifield は1970年からアルバム Curtis (1970) を皮切りにソロ活動を開始します。そして翌年に発売されたのがこの Curtis/Live! (1971), Roots (1971) となります。The Impressions の活動でも Further Impressions(1996) で聴いていて、1967年あたりから大きく作風が変わってきたのを感じましたが、数年前までは古いタイプのソウルを歌っていた Curtis Maifield が更にこのソロ活動で大きなサウンドで進化していることで当時のファンは歓喜したに違いなく、そこからもこのアルバムは名盤と言われているものと思います。


 Billboard 200で21位、R&Bアルバム・チャートでは3位。ギター・ベース・ドラム・パーカッションのシンプルな編成、再び聴きながらの全曲レビューしていきます。1曲目は Mighty Mighty (Spade And Whitey) は、Donny Hathaway / Live(1972) に通ずる雰囲気です。まばらに聴こえる観客の手拍子が、そこそこ小さな会場かと思ったりしましたが曲が終わった後の拍手では手拍子で感じるよりも人数が多い。軽快でノリの良い曲だが、We're killing off our leaders, It don't matter none black or white, And we all know it's wrong, And we're gonna fight to make it right の歌詞でもわかるように人種差別と暴力への痛烈なプロテスト・ソングです。Rap~I Plan To Stay A Believer イントロで Curtis がしゃべっているところで 音が途切れてしまうと思っていたら、ここが Rap で、そこから次の曲が始まる編集転でした。そして I Plan To Stay A Believer これも Donny Hathaway / Live(1972) の雰囲気と似た演奏のソウル、何故か最後にリコーダーの音がしてぶっつり。購入当時に聴いた時には、この盤は bootleg なのかと思ってしまいましたが、今聴くと臨場感あふれる録音とも解釈できます。We're A Winner ここら辺から Curtis 節になってきますが、タイトな演奏がカッコ良いです。そして、また Rap で語りブツっと切れてからの、We've Only Just Begun ゆったりとしたソウル、突然のテンポアップと二つの曲を何も考えずにつなげて演奏しているかのような斬新な曲です。愛のプレリュードとして Carpenters がヒットは1970年ですから、これは流行歌を意識しての録音のようです。Curtis のペラペラなテレキャスの音が良いですね。気になります。People Get Ready 名曲は Impressions 時代からの Curtis 作曲です。語りかけるような歌は切なくて聴きながら現代の様々なミュージシャンにも愛される様々な演奏も思い出しながら聴けます。そして Rap です。rap の意味を改めて見てみたら、叩く、おしゃべり、非難する、逮捕する、ラップで歌うと色んなシーで使われる単語のようです。Stare And Stear 作風としては今までにない感じのストレンジな楽曲で、ワウのかかったギターのフレーズも印象的。Check Out Your Mind タイトなソウルのイントロで、テーマに入ると雰囲気が変わります。全体的には Curtis 節の16ですが、ベースだけ JB のノリが面白い。Gypsy Woman やっぱりライブなどでも外せない名曲です。ドラムもベースも原曲の流れの中で外さない程度の小技を入れたフェイクのよう なリズムを入れてきて、やたらハイレベルです。The Makings Of You そしてバラードタイプの曲の投入です。Curtis のファルセットが効果的な曲です。そしてまた Rap で、メンバー紹介からのWe The People Who Are Darker Than Blue やたら長い曲名でサイケな雰囲気なベースが曲全体をイメージづけます。このフレーズはB級マイナー・ジャズ・ファンクでよく使われるやつですね。曲の途中で、また I Plan To Stay A Believer のようなリコーダー音が鳴ります。つまりはリコーダーでは無いですね。マイクのハウリングでしょうか。余計なことが気になります。そして(Don't Worry) If There's A Hell Below, We're All Gonna Go は曲名も長いが、録音も長い9分25秒です。基本的には一つのリフを延々と繰り返すタイプで、ここら辺がキチンとABメロ、サビのような様式での Impressions 時代と大きく異なる演奏形態で、Curtis の発明と言うことではないでしょうが、以降のファンクなどの曲作りの中に取り入れられていのかと改めて思いました。Stone Junkie だるいリズムに繰り返されるStone Junkie のメロディは中毒性があります。
 改めて聴いて思っていた以上に、サウンドが Donny Hathaway / Live(1972)  と似ていると思いました。このアルバムは1971年、ほぼ活動が同期しているので、誰が最初かはあわりませんが、Impressions時代を加味すると先駆者は Curtis なのかとも思えてきます。そんなことも聴きながら楽しめる名盤🎶

producer, vocals, Guitar : Curtis Mayfield
Guitar : Craig McMullen
Bass : Joseph "Lucky" Scott
Drums : Tyrone McCullen
Congas, Bongos, Percussion : Henry Gibson

writtenby : C. Mayfield (1 to 5, 7 to 16)
recorded live at Paul Colby's Bitter End, New York City.

1. Mighty Mighty (Spade And Whitey)
2. Rap
3. I Plan To Stay A Believer
4. We're A Winner
5. Rap
6. We've Only Just Begun / Paul Williams, Roger Nichols
7. People Get Ready
8. Rap
9. Stare And Stare
10. Check Out Your Mind
11. Gypsy Woman
12. The Makings Of You
13. Rap
14. We The People Who Are Darker Than Blue
15. (Don't Worry) If There's A Hell Below, We're All Gonna Go
16. Stone Junkie





  





2025年3月21日金曜日

Chris Connor / Chris

 

 新しく女性ジャズ・ボーカルを開拓してみたいと思い、どうせなら美人ボーカリストが良いと思いながら、たまに中古屋を見ていますが同じ人になりがちで4枚目です。Sings Lullabys Of Birdland (1954)、A Jazz Date With Chris Connor(1958)、Chris Connor At the Village Gate(1963)、そして本アルバム Chris 1956 となります。Chris Connor は、1927年生まれのハスキー・ボイスが特徴の1950年代に活躍したジャズシンガーです。こうした白人女性の、低音の効いたハスキー・ボイスは色っぽくは感じるのですが、ゾクッとくる部分はあるし、曲によりますが色っぽさを強調する歌い方でもなく意外とサラッとした心地のものが多いように感じます。


 Bethlehem からのリリースのラストで4作目、次のアルバムからは Atlantic からの発売となり、本アルバムは流行りの歌手へと羽ばたいていく初期の過程の作品で1953年から1955年にかけた4つのセッションが収録されています。既に何回か聞き流しながら聴いていますが、派手さや独創性は無いですが堅実に聴かせてくれる歯切れの良い聴き心地の印象です。
 最近聞き流している時と、聴きこんだ時の印象が違うことも多いので今回もそんなことが起きるのかどうか、1曲づつ聴きこみながらレビューしていきます。All About Ronnie / Joe Greene ピアノ、ベース、ギターで、歌を徹底的に支えるドラムレスのバックで余分なものを、そぎ落としたシンプルに歌い上げています。Miser's Serenade 1曲目とガラッと変わってサイ・オリバー楽団(Sy Oliver And His Orchestra)の賑やかでスインギーな演奏がワン・コーラス、イントロにしては長いと思っていたらからポップにワン・コーラス歌い上げて直ぐに終了のシンプルさです。1953年ですから1曲の長さに制限があるため、ほぼ3分以内のため元々のテーマが長いためこのような構成はしょうがない。Miser's はケチな男って意味らしい。Everything I Love コールポーターの作品で1941年のミュージカル Let's Face It の中のラブ・ソングで、2曲目に引き続きサイ・オリバー楽団の演奏は明るく楽しい。Chris Connor も開放した歌いっぷりでが清々しい。Indian Summer 1919年に Victor Herbert がピアノ曲として作曲、20年後の1939年に Al Dubin が歌詞をつけてシナトラが同楽団で歌って話題になった楽曲を、今度は Chris Connor がカバー。楽団のワンコーラス目は相変わらず長いですが、そこから超低音から歌い始め中域までの音程で歌い上げています。Indian Summer とは小春日和らしいですが、荘厳な夜明けみたいな重めのアレンジ。 I Hear Music 今度は軽めにポップ、のびやかに歌い上げて短めに語尾をゆする Chris Connor の歌い方が良く合います。曲によってビブラートの長さを Chris Connor は使い分けているようで、これに着目して次の曲 Come Back To Sorrento を聴いていると長めのビブラートになっていて、長めになると少しネバっこくなります。日本語訳は「帰れソレントへ」です。なるほど確か中学校時代の音楽で聴いたカンツォーネのあれです。全く違う曲に聞こえましたが良く聴けば、あのテーマがあのメロディになっています。が懐かしいと思えるのは、このテーマをゆっくり歌うワンコーラス目の一瞬です。 Out Of This World マイナーなフィーリングでイントロから Chris Connor が歌いだし、直ぐに明るい感じに変わりますが、ノビノビとした感じにはなるのですが、ある程度までで抑制した感じで止めているので底抜けに明るいまでは到達しません。そこら辺の表情のつけ方が Chris Connor の持ち味でもあるなと感じました。Lush Life この曲はナットキングコールで有名なヤツかと思いますが Billy Strayhorn がエリントン楽団のオーディション用に入団前年の1938年につくった楽曲とのこと。Joe Cinderella のギターをバックにしっとりと優しく歌い上げていて、シンプルに好きです。From This Moment On 1950年の Cole Porter 作品。この作品で最も凝ったアレンジで、イントロはJ.J. Johnson, Kai Winding の2管のトロンボーンの軽快なユニゾンスリリングな高速パート、ワルツにしてテンポを落としたサビ とコロコロと表情が2分30秒で変わり、Chris Connor はキッチリと忙しく歌い分けていて歌っている感じもとても楽しそうです。A Good Man Is A Seldom Thing ニューヨーク出身の Charles DeForest の作詞作曲の辛口ラブソング。レイジーな演奏をバックに、短いビブラートと長めのビブラートを使い分けて、やるせない表情で歌い上げています。Don't Wait Up For Me バラードが最後に続きます。don't wait up for me, don't start suspecting me, don't start trying teas と、静かに歌いかけてきます。これも良い曲です。In Other Words これは?? Fly Me To The Moon じゃないですか。そうですねサビの出だしが In Other Words のタイトルです。1954年に Bart Howard が書いた原曲はこのタイトルだそうです。From This Moment On と同じように、ワルツにしてスイングにしてバラードにしてと表情を変えるアレンジ手法が、気持ち良い。
 最初に聴いた印象は短い長さの曲が散在している地味なアルバムだったんですが、しっかり聞けば地味でシンプルな曲に Chris Connor の味が詰まっている曲も多く、また低音ハスキーボイスのお色気のようなイメージも、丁寧に曲に少しづつ表情をつける上手い歌い手であると思いました🎶

【1,5,6】
vocals : Chris Connor
piano : Ellis Larkins
guitar : Everett Barksdale
bass : Beverly Peer
recorded in New York on August 9, 11, 1954.

【2,3,4】
accompanied by : Sy Oliver And His Orchestra
recorded in New York on December 17, 18, 1953.

【7,8】
vocals : Chris Connor
bass : Vinnie Burke
guitar : Joe Cinderella
drums : Art Mardigan
accordion : Don Burns
Flute, Clarinet – Ronnie Ordich
recorded in New York on August 21, 1954.

【9,10,11,12】
piano, arranged by : Ralph Sharon
bass : Milt Hinton
guitar : Joe Puma
drums : Osie Johnson
flute, tenor sax : Herbie Mann
trombone : J.J. Johnson, Kai Winding
recorded in New York on April 1955.

1. All About Ronnie / Joe Greene
2. Miser's Serenade / Claude Reese, Fred Patrick, Jack Val, Marvin Fisher
3. Everything I Love / Cole Porter
4. Indian Summer / Al Dubin, Victor Herbert
5. I Hear Music / Burton Lane, Frank Loesser
6. Come Back To Sorrento / Claude Aveling, Ernesto de Curtis, Giambattista De Curtis, arranged by Ellis Larkins
7. Out Of This World / Harold Arlen & Johnny Mercer
8. Lush Life / Billy Strayhorn
9. From This Moment On / Cole Porter
10. A Good Man Is A Seldom Thing / Charles DeForest
11. Don't Wait Up For Me / Charles DeForest
12. In Other Words / Bart Howard





  

2025年3月20日木曜日

Bob Marley And The Wailers / Japan


 私にとっては、レゲエとは「Bob Marley」なんですが、気づくと最近 youTube 等で聞くレゲエはもっとエレクトリックなヒップホップ、ポップでアシッドなものが多くなっていて、レゲエ= Bob Marley は、昔のオジサンであることを感じています。どうやら1960年以降はレゲエというジャンルは、様々な形に進化、広がりを見せ始め、 Bob Marley あたりは「ルーツ・レゲエ」という表現で分別されているようです。ルーツと表現されているということは、最近の若者にとっては古典のような音楽と言うことでしょう。


 ウェイラーズは、1963年に Peter Tosh、Bob Marle、Bunny Wailer の3人で結成したバンドで Bunny Wailer の名前を冠していますが、1974年に Peter Tosh、Bunny Wailer は脱退してしまい本人不在のまま、Bob Marley And The Wailers にバンド名を改めて、新たなメンバーでツアー活動を開始しています。
 Bob Marley And The Wailers は、ラスタファリ運動の思想を背景として音楽・思想を語り続けています。ラスタファリ運動とは、1930年代にジャマイカの労働者階級と農民を中心にして発生した宗教的思想運動で、宗教ではなく一握りのエリートによって支配され、社会的に抑圧されたジャマイカ市民による抵抗運動です。
 そして1976年の銃撃事件のあとロンドンに亡命し、3年後の1979年に実現した最初で最後の日本公演ツアーの、4月10日の中野サンプラザの夜の部(Late Show)の貴重なライブ音源です。この時の公演は、渋谷、新宿、中野、大阪で行われたとのこと。録音は専用機材で録られたものでは無いため、音は良くないですが、大盛り上がりの臨場感は伝わります。Bob Marley 自身は、「あまり日本公演は、盛り上がらなかった」とコメントしたそうですが、それは地元ジャマイカのAudienceと比較してのこと。大盛り上がりの歓声は録音されていて、席から立っている人は多いと思われますが、日本では踊る場合も席のある位置というのが多いので、海外の大会場での混沌とした状態のライブと比較すれば盛り上がりに欠けると思われてもしょうがないでしょう。聞いている限りは、観客 メンバー一体となった素晴らしいライブです。
 これを書くのに調べていたら、別の盤があることを発見しました。リマスターした同一音源かと思っていたら、なんと大阪公演と書いてあります。これからも歴史的な来日公演であったと推測できますが、だったら、もっとチャンと録音したら良かったのにと思ってしまいました。来日時は権利問題とかで公式録音できなかったとも推測できますが、非常にもったいないことです🎶

vocals, rhythm guitar : Bob Marley, 
bass : Aston Barrett
drums : Carlton Barrett
lead guitar : Junior Marvin, Al Anderson
keyboads : Tyrone Downie
organ : Earl "Wya" Lindo, organ
percussion : Alvin "Seeco" Patterson
backing vocals : The I-Threes 

recorded at April 10, 1979 at Nakano Sun Plaza Hall, Tokyo, Japan.

【Disc 1】
1. Rastaman Vibration
2. Concrete Jungle
3. I Shot The Sheriff
4. No Woman No Cry
5. Lively Up Yourself
6. War / No More Trouble
7. Running Away / Crazy Baldhead
8. The Heathen

【Disc Ⅱ】
1. Jamming
2. Is This Love
3. Get Up Stand Up
4. Exodus
5. Bob Marley Interview
6. This Is Rita Marley (Bonus Disc)

【Bonus Disc】
1. Message From Rita Marley
2. Who Can Be Against Us





  

2025年3月19日水曜日

The Impressions / Further Impressions


 このアルバムは1996年の発売のコンピで、曲は全てCurtis Mayfield(カーティス・メイ・フィールド)作曲の1962年~1967年にリリースの、クラシック・ソウルの名曲ばかりで、CD用に reissue されてはいますが、聴いていると懐かしのアルバムを入れた高速のドライブインで売ってた昔のカセットみたいな、ノスタルジックな雰囲気が漂います。
 私がよく買う中古のヒット曲を集めたコンピは、海賊版、あるいはそれに近い安物が多いのでライナー・ノーツが無けりゃ、誰が選曲したかわからないものが多いのですが、このアルバムは、メジャーの MCA から発売されたものなので、しっかりと記録されているライナー・ノーツがついていて、元曲の録音された年、収録アルバム名なども記載されています。ライナーノーツには、選曲の支店なども掲載されていて、The Impressions のヒット曲、見過ごされがちな裏面、アルバムの主要曲を集めたものとされており、MCA の発売したヒット曲のコンピとしては The Anthology 1961-1977 に続く2枚目とのこと。なるほど、ということは、裏ベストみたいなもんですね。
 The Impressions は、1961年に ABC-Paramount Records, Inc(ABCパラマウント)と契約し、全盛期は ABC に在籍していた 1961 年~1968 年までと言われています。Curtis Mayfield は、1970年に独立して、グループは、その遺産を歌いながらメンバーチェンジしながら1981年までアルバムを発売している長寿のバンドでもあり、2018年の日本公演を最後に解散しています。


 それでは、裏ベストのようなアルバムなので、超メジャー級の曲はありませんがレビューしてまいります。Can't Work No Longer オリジナルは People Get Ready からで、このアルバム5曲が、芸術的にも商業的にも成功したと言われる名盤 People Get Ready からのエントリーです。おそらく手法的には Doo-wop をとり入れた楽曲で、アレンジがそれっぽいですが、メロディーにカーティスっぽさが出ていて、なるほど一連の名曲はこのような曲の伏線もあるのかと納得。Girl You Don't Know Me これは初耳の時も、おそらく知っていたので若干有名な曲かと思います。I Made More Mistake これから流行っていくであろうソウルのお手本のような曲で、続くミュージシャンたちに、こういった曲は大きな影響を与えたんだろうなあ。I Made More Mistake 今風のソウルでは出せない味があるバラード調。歌詞は検索せずとも曲名から失恋ソングと容易に想像できます。We're In Love これもカーティス節が随所に入っています。明るい曲調のソウルです。ブラス・アレンジとかに耳を傾けると割とシンプル。Just Another Dance これは、People Get Ready 収録のシングルカットです。カーティス節の曲作りは少し控えた現代風のアレンジも取り入れています。トランペットがここ一発気合の短いソロが気持ち良かったです。Since I Lost The One Love これはノスタルジックなメロディーのラブ・ソング、オーケストラもバックに入ってしっとりとした楽曲で、昔のダンスホールなら、これでチークタイムです。Get Up And Move これは、このベストの中で最もメジャーな曲ですね。Whenever you've got a little problem, And misery's payin' it's dues, You can't get ahead layin' in bed, Get up and put on your shoes, baby, Get up and move, Get up and move, Get up and move 'fore sundown ・・なんか幸せなナンバー。Never Could You Be きっちりと基本カーティス節で似たり寄ったりでも飽きないです。Just One Kiss From You 厳かにソロソロと始まりワン・センテンスごとに丁寧に歌われている流行りではなく古臭いけどこれも名曲ですね。Since I Lost The One Love これもシングルカットですね。知っていたのでメジャー級かと思います。Too Slow 曲名の割にスローじゃない。スローは女性に対して急いでと催促しているようです。最後 Too Slow と呼び続けるさまが面白い、3拍子で転調したり色々とひねりが楽しめる作品です。You Always Hurt Me 16ビートのモータウン調で、1967年の録音です。一挙に10年ぐらい時代が進んだかのようなサウンドの変化がビックリ。I Can't Stay Away From You これも1967年録音でスローなソウルで、コーラス部分で古き良きを感じますが、やはりアレンジや録音が進化して現代的になっています。なるほど。You Got Me Running 最後はモータウン風から進化させて現代のソウル・ファンクにつながる刺激的な楽曲です。 
 実は漫然と通して聴いていると、懐メロだねえとノホホンと聞き流していたアルバムなので、最後3曲の進化ぶりには、今回ジックリ聴いての発見でした。アルバムの印象がグッと変わりました。好感🎶

all songs written by Curtis Mayfield
all songs arranged & conducted by Johnny Pate, except "Can't Work No Longer" 
all songs recorded in Chicago except as noted
reissue produced by Andy McKale 
executive producer: Bruce Resnikoff

1. Can't Work No Longer
recorded New York, March 22, 1962 
originally on ABC LP 505, "People Get Ready" 
2. Girl You Don't Know Me
recorded November 1, 1963 
originally on ABC LP 468
3. I Made More Mistake
recorded March 10, 1964 
originally ABC single10544/also on ABC LP 493,“Keep On Pushing”
4. We're In Love
recorded March 10, 1964
originally on ABC LP 505, 'People Get Ready"
5. Just Another Dance
recorded October 26, 1964 
originally ABC single 10670/also on ABC LP 505, "People Get Ready" 
6. I've Found That I Lost
recorded October 26, 1964 
originally ABC single 10670/also on ABC LP 505, "People Get Ready" 
7. Get Up And Move
recorded October 26, 1964 
originally ABC single 10674/also on ABC LP 505, "People Get Ready" 
8. Never Could You Be
recorded January 5, 1965 
originally ABC single 10710 
9. Just One Kiss From You
recorded June 11, 1965 
originally ABC single 10725
10. Since I Lost The One Love
recorded October 1, 1965 
originally ABC single 10761
11. Too Slow
recorded January 5, 1965
originally ABC single 10780
12. You Always Hurt Me
recorded January 19, 1967 
originally ABC single 10900
13. I Can't Stay Away From You
recorded April 5, 1967 
originally ABC single 10964 
14. You Got Me Running
Recorded January 19, 1967 
Originally ABC single 10932 





  

2025年3月18日火曜日

Donald Byrd / Blackjack

 


 Donald Byrd(ドナルド・バード)が率いていたレギュラー・バンドによる1967年録音。数々のジャズ・ライブ録音でも有名なニューヨークのクラブ Five Spot Cafe に、1966年暮れから出演していたメンバーです。このアルバムでは6曲中 West Of The Pecos、Loki、Eldorado 3曲が、アルト・サックスの Sonny Red の作曲した作品となっていて、リーダーの Donald Byrd と肩を並べる存在感があります。テナーの Hank Mobley の饒舌なプレイも素晴らしいですが、 Sonny Red のフリーキーなプレイ、リズムやハーモニーの展開が斬新になっている気持ち良い作品となっています。ちなみに Sonny Red の作曲者名の表記は Sylvester Kyner になっていて、Sonny Red の本名。Byrd とは同じデトロイト出身で、歳も同じということもあり、バードも信頼を寄せていた関係です。


 アルバム全体からはハード・バップから一歩抜け出すアーシーな感じです。いつもの行きつけ音楽好きの集う「おでんバー」で初試聴しました。このアルバム試聴の時は他の常連は音楽系には、あまり興味薄い写真系の方だったので、マニアックに楽しんだのはマスターと私の二人だけでした。Donald Byrd は数々の作品を持ち込んでいますが、あまりマスターの興味を引く作品は無かったのですが、今回はマニアなマスターも楽しんでいただける内容だったようです。


タイトル曲の Blackjack はロックビートが強くオトボケ・ファンキーな感じです。Sonny Red がブチ切れたソロをとるとバードやモブレーまでもが、俺も俺もとかましてきたエキセントリックな仕上がりです。ここらへんが最初から私とマスターのマニアな心をつかんでくれます。2曲目の West Of The Pecos ではアップテンポの正調モード系ハード・バップとなり、流れとしては1曲目でかまされたのに少し落ち着いてくれと言われている感じです。続く Loki でも正調ハード・バップではありますが切り込み隊長レッドからバード、モブレーに続きなるほど。Eldorado も正調なバップとなり、襟を正して聴く感じです。メンバーも余り乱れたり、目立つ行為は少なく流れとしては、ここでまた押さえておいて、どこかで爆発するんだろうなと思ったりしてワクワク感があります。そんな中 Beale Street が始まるとなんか聞いたことがある?と聴きながらモヤモヤします。するとマスターが💡 Herbie Hancock の Watermelon Man 1962 なるほど💡そうだなとYouTubeで交互に聴いてみると、コード進行とバッキングパターンがやはりマンマです。テーマが少しだけ違う感じで音階の順番を少し変えただけのように酷似しています。Watermelon Man の方が1962年作なので先に発売ですから、Beale Street のほうがWatermelon Man をオマージュしている感じですね。ジャズ界ではこの手のコードだけ変えるとか、メロディーだけ変えるとかの手法はよくあり元曲を公言されているものも多いです。しかし、ポップやロックでヒット曲だったりすると著作権でよくもめてますよね。まあ何回聴いてもパクリでした。最後の Pentatonic は、テンポ早めのバップ。Sonny Red のレンジが狭い音使いではじめるソロは面白い。続いてリーダーのバードはきっちりとピロピロと吹いてくれます。やっぱりトランペットソロは、これが気持ちよい。Hank Mobley のソロは、大人な感じで余り外さない、、と思っていたら少しアウトしてくれました。そして Cedar Walton もリズムに乗ったソロです。見せ場は全員短めですが好演でした。
 プロデューサーは Alfred Lion。アルバムとしてもエキセントリックさが楽しいアルバムです。Herbie Hancock と続けて聴くとまた楽しさ倍増かもしれません🎶🎺

trumpet : Donald Byrd
alto sax : Sonny Red
tenotr sax : Hank Mobley
piano : Cedar Walton
bass : Walter Booker
drums : Billy Higgins

producer : Alfred Lion
recorded by : Rudy Van Gelder
recorded on January 9, 1967
recorded at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey

1. Blackjack / Donald Byrd
2. West Of The Pecos / Sylvester Kyner
3. Loki / Sylvester Kyner
4. Eldorado / Mitch Farber
5. Beale Street / Sylvester Kyner
6. Pentatonic / Donald Byrd





  

2025年3月17日月曜日

Funkadelic / Hardcore Jollies


 サイケなイラストで、派手な見た目のジャケット。収録されている音も、サイケでハード、ファンク・サウンドにぐちゃぐちゃのギターサウンドでやりたい放題の大好きなアルバムです。アメリカではあまり受けなかったそうですが、私には、いかれたこのサウンドは、かなり響いてきます。アルバムによっては打ち込みでデジタルになってしまったりしてますが、このアナログで廃退的なつくりは格別です。
 看板ギタリストのEddie Hazel(エディ・ヘイゼル)、次のギター・ヒーローとなるMichael Hampton(ハンプトン)、「おむつ」ギタリストの Gary 'Dowop' Shider(ゲイリー・シャイダー)がサウンドの要となっています。また Bernie Worrell(バーニー・ウォーレル)のうねるキーボードもこのパンチあるサウンドに広がりを持たせカラフルなスパイスを効かせてます。また、この形態にはホーン隊がいないくて、パーラメントとは違ったファンク・スタイルでハード・ロックに通じる激しいエレキギターが特徴だが根底に流れるものはロックではなくやはりファンクであるところがノリに乗っているファンカの魅力が満点のアルバムです。


 Funkadelic、P-FUNKの違いについては、河地依子著の P-FUNK に詳しい解説がありますので、これをを読みながらアルバムを聴くことあります。今回も見ていたら、3曲目の If You Got Funk, You Got Style には、正式加入前の Dennis Chambers(デニス・チェンバース)が叩いているとのことですが、デニスは未だ17歳の高校生でクレジットはないとのこと。(正式加入は卒業後の78年です)そう思って聴くと、確かに細かな小技のある、ドラミングのような気がします。また、このアルバムの Cosmic Slop はライブとなっていて Mothership Connection のライブのはずですが、観客の声は入っていません。なぜかと言えばリハーサル音源だからとのこと。なるほど・・私の所有の音源は紙ジャケCDの Made in UK の輸入盤の中古です。ライナー・ノーツはついてるんですが、Funkadelic の歴史がダラダラと書かれており、この盤についての説明は、ほぼ書かれていない代物です。河地依子氏の根性の情報収集の集大成の 河地依子著の P-FUNK も併せてお勧めです。
 いつも Funkadelic、P-FUNK を聴くと変態的な音楽だなあと思いますが、このアルバムはロックっぽいファンクを楽しめて、Funkadelics 初心者にも、楽しめるものかと思います🎶

vocal :George Clinton, Ray Davis, Fuzzy Haskins, Grady Thomas, Calvin Simon, Garry Shider, Glenn Goins, Gary “Mudbone” Cooper
keyboads : Bernie Worrell
lead guitar : Michael Hampton, Eddie Hazel
guitar : Eddie Hazel, Gary 'Dowop' Shider, Glen 'Gone Gouster' Goins
bass : Boogie Mosson, Bootsy Collins, Jimi Calhoun on "Comin' Round the Mountain"
drums : Jerome Brailey, Buddy Miles on "Comin' Round the Mountain"

producer : George Clinton

1. Comin' Round The Mountain / George Clinton, Grace Cook
2. Smokey / George Clinton, Garry Shider
3. If You Got Funk, You Got Style / George Clinton, Bootsy Collins, Bernie Worrell
4. Hardcore Jollies / George Clinton, Bernie Worrell
5. Terribitus Phase Two / George Clinton, Grace Cook
6. Cosmic Slop (Live) / George Clinton, Bernie Worrell
7. You Scared The Lovin' Outta Me / George Clinton, Glenn Goins
8. Adolescent Funk / George Clinton, Michael Hampton, Bernie Worrell





  

2025年3月16日日曜日

Gregory Porter / Be Good


 最初に購入の Liquid Spirit (2014) に惚れ込み、直ぐに札幌タワレコに直行した2枚目となります。このアルバムは2枚組になっています。Disk2は、デビューアルバムの Water (2010) の EP となっていて、Waterに収録されていた 1960 What? の様々なリミックスが4曲入ってます。1960 What?は、デトロイトの暴動を歌ったプロテスト・ソングで、アルバム「Water」の中でも重要なメッセージ性を持つ曲です。でも、Disk2は存在を忘れていました。最初に聴いた時に1960 What? で正直な感想、4曲もいらんなと思ったことが蘇ってきました。でも、PC と WalkMan へのデータ取り込みしてませんでしたので、取り込みながら聴きながら作業進めます。しつこいけど取り込んどきます。
 ちなみに、このアルバムは日本版で1,980円が定価でした。EP は、日本盤だけの特典のようで、通常は1枚目だけの販売で、ヨーロッパ発売のものでは1枚がレコード、もう一枚はCDと言う変化球の販売もあるようです。
 

 気に入っているので、頻繁に繰り返し聴くことの多いアルバムなので、先月も布教するべく、いつもの音楽好きの集う「おでんバー」に持参して、かけていたら、音楽はさほど好きではないけど、いつも飲みに来る私よりも先輩のマダムが「あら、素敵なお声ね」と直ぐに反応していただけました。このお方、音源に対して私たちの、あーでもない、こーでもない、と語る戯言に微笑むだけで見守っていてくださるお方で、音楽に関する言及は、ほぼ無いだけに、良い音楽の持つ力を感じました。そしてジャケットを見て「まさかこの方耳が」悪いの?」そうですよね、そう思います。お答えしましょう。昔、手術をした時に被っていた帽子をインパクトもあるために今も被っているそうです。まあ彼独特のファッションのようです。「でも、お鬚も生えていらっしゃるし、暑いと思うけどいつも被っているの?」さすがに彼の私生活まで知っている訳はなく「うーん、どうなんでしょうね」


 などと楽しく会話しながら拝聴したアルバムを再度聴きながらレビューします。Painted On Canvas 作曲は、Gregory Porter ご本人の優しいメロディとソフトな歌い方のインパクトが濃い楽曲です。ソプラノ・サックス Kamau Kenyatta のオブリーガードも気持ち良いと感じていましたが、じっくり聴くと Chip Crawford の緩急の効いたピアノ、ドラムの Emanuel Harrold のアクセントのつけ方など凝った楽曲です。またジャケットは筆を持った Gregory Porter なのが、この曲を現わしてたのかと今更気づきました。そしてタイトル曲 Be Good (Lion's Song) に続きます。なんでライオンなのか?歌詞を読ん見るとライオンは自分のことで、その中ライオンは檻の中で飼われていて、ライオンさんいい子でいてねと言う歌でした。ライオンは噛むかも知れないとつぶやきますが、大人しくしていい子にしてBeGood と彼女に言われることに満足しているようです。心落ち着くしっとりとした楽曲です。ここから牙をむく曲が、どこかに入ってたら怖いですが、そんなことは無いようです。でも、それが 1960 What? につながって行くのか?とも考えましたが、日本盤限定のEPなので深読みしすぎか。On My Way To Harlem しっとり2曲続いたところで晴れやかな曲になります。ハーレムに車で向かう途中に作曲したというハーレムに楽曲で Duke Ellington、Langston Hughes、Marvin Gaye に思いを馳せながらハーレムの街並みを車で走っている疾走感もあり、ジャズ調ではありますがソウルの風味がするのも小気味よい楽曲。最後はHey there goes the A train の繰り返し。Real Good Hands のテーマのメロディーはどこかで聴いたことがあります。Gregory Porter 作曲ですが、曲調は Impressions あたりの古いソウルなので何かの曲をオマージュしているような感じがしますが、今の私ではそこまで。The Way You Want To Live 徹底的にしっとりと聴かせてきます。これも力強さと柔らかさが共存する深いボーカルが気持ち良い曲です。Chip Crawford のピアノと息がぴったりです。When Did You Learn タイトルの問いかけに直ぐに曲の最初に答えが歌詞で出てきます。love game です。素敵なラブ・ソングかと思います。序盤で書くのを飛ばし過ぎたので、少々疲れ気味かもしれません。Imitation Of Life ここでスタンダードきました。1959年の映画「悲しみは空の彼方に」の主題歌で、人種差別と物質主義のアメリカ社会を描く映画らしいので、なるほど、そこにも根差した選曲ですか。Mother's Song こちらは Gregory Porter 作曲のソウル気味。今までの楽曲は押さえ気味のしっとりした歌い方でしたが、ここで一挙に力強くなります。ピアノも開放的で盛り上がります。Our Love 再び聴かせる方向です。ここまでしっとり系が主体だと、だいたい私飽きてくるんですが、このアルバムに関しては大丈夫。Bling Bling ここ一番の早いバップです。Bling Bling の言葉の響きでアクセントをつけて、ボーカルもスキャットも飛び出しますが力強く吸った息を全部吐き出すような迫力に拍手。Yosuke Sato 氏の サックス・ソロは、日本として応援したいところだが曲の迫力に押され気味なのが残念。Work Song は、迫力満点の有名な Nat Adderley のスタンダードです。Gregory Porter は好きな曲でもあるんでしょう、全開の力の入れ方が怖いくらいです。こういう曲も歌える人はアルバムに交互にいれて緩急をつけるのが多いパターンだと思いますが、ものすごく独特でなアルバムの作り方が非凡です。最後は God Bless The Child で、Billie Holiday で有名なスタンダードを国歌斉唱のような独唱で締めくくっています。原曲とテイストが違い過ぎて原曲と何回か聞き比べてしまいました。しかし違う曲に聞こえてしまうのは変わりありません。昨日聴いていたThe Eric Byrd Trio の 21st Century Swing Live (2013) の軽いノリの God Bless The Childとは全く違うのは、もはや笑いです。これは自分で演奏してみて曲を理解しないと一致点を見つけるのが凡人には難しいうヤツです。やはりじっくり聴くと発見があって面白い。Disc2 のレビューは疲れたので、今度このレビューを更新の時にしときます。
 改めてグレゴリーポーターの中域の張りのある声、力強さ、柔らかさ、説得力を堪能し、作り込みが違う良いアルバムだと思います。お気に入りの棚に戻しておきます🎶

【Disc1】
vocals : Gregory Porter
piano : Chip Crawford
bass : Aaron James
drums : Emanuel Harrold 
soprano sax : Kamau Kenyatta (1)
trumpet, flugelhorn : Keyon Harrold (2,3,4,8,11)
alto sax : Yosuke Sato (2,3,6,8,9,10,11)
tenor sax :  Pennicott (3,4,8,10,11)

producer : Brian Bacchus

1. Painted on Canvas / Gregory Porter
2. Be Good (Lion’s Song) / Gregory Porter
3. On My Way to Harlem / Gregory Porter
4. Real Good Hands / Gregory Porter
5. The Way You Want to Live / Gregory Porter
6. When Did You Learn / Gregory Porter
7. Imitation of Life / Paul Francis Webster, Sammy Fain
8. Mother’s Song / Gregory Porter
9. Our Love / Gregory Porter
10. Bling Bling / Gregory Porter
11. Work Song / Nat Adderley, Oscar Brown Jr.
12. God Bless the Child / Arthur Herzog, Jr., Billie Holiday

【Disc2】
vocals : Gregory Porter
piano : Chip Crawford
bass : Aaron James (1,2,3,4,5)
drums : Emanuel Harrold (1,2,4,5)
drums : Chuck Mcpherson (3)
trumpet : Melvin Vines (1,2,4,5)
trumpet : Curtis Taylor (2,4,5)
alto sax : Yosuke Sato (1,2,4,5)
alto sax : James Spalding (4)
trumpet : kafele Bandele (3,4,5)
trombone : Robert Stringer (1,2,4,5)

1. Pretty / Gregory Porter
2. Magic Cup / Gregory Porter
3. Skylark / Hoagy Carmichael, Johnny Mercer
4. Black Nile / Wayne Shorter
5. 1960 What? / Gregory Porter
6. 1960 What? (Opolopo Remix) / Gregory Porter
7. 1960 What? (Wicked Jazz Sound Edit) / Gregory Porter
8. 1960 What? (Peas Mix) / Gregory Porter