2024年9月29日日曜日

Humble Souls / Thoughts & Sound Paintings


 購入動機は覚えていないが、おそらくアシッドジャズの帯がかかっていたから、ジャケ買いしたことと思われますが、それほど私の好みではありませんでした。ジャズ+ラップ+クラブ音楽、ダブのパターンです。
 ボーカルの Simon Anniky(サイモン・アニキー)とベースの Hugh Brooker(ヒュー・ブルッカー)のユニットで、このユニットでは唯一のアルバムのようです。Hugh Brooker は、Acid Jazz の Night Trains というグループの中心人物であり、ギターの Simon Bartholomew は The Brand New Heavies (BNH) のギタリストです。ジャケットの内部は斬新な白黒モノトーンの世界です。


 さて久しぶりに聴いてみるかと、音楽好きの集う「おでんバー」でかけてみましたが、皆様の反応は予想通りの今一なものでしたが、私的には、久しぶりに聴いて前よりはグンと印象が良かったので再度聴きながらのレビューです。Beads, Things & Flowers はメロディカを使用したダブで、昔は嫌いでしたが今はそんなこともないパターンです。ただ同じフレーズが延々と繰り返されるのでクラブとかでひたすら踊るには良いかもしれませんが、一人で夜聴いているのはつらい。Bridge Into The New Age は、よくあるヒップ・ホップのパターンで、リフはカッコよい感じで途中でのトランペットや、楽曲の展開は仕掛けは BNH の Simon Bartholomew のアイデアでも、あるのかなと思われる楽曲です。How Now のブラス・アンサンブルと女性ボーカルの感じは、かなりBNHなので少しうれしい感じであります。Quiet Dawn は、フワフワしながらもソウルを感じる女性ボーカル入りのかなりアシッドな路線です。Tomorrow's People の、トランペットの入れ方は私もPCで宅録するときによく使う手法で、今回聴いて相当シンパシーを感じました。Fly Away は、かなりDJ路線に戻りますので、昔だったら聞かないパターンですが、ロックな感じの部分と合わせて聴いているとかなり耳に残る楽曲です。Keys To The Power ダブのリズムと Bag's Groove のメロディーを取り入れた曲で、ジャズファンも興味を引いてしまう仕掛けが入っています。Watch My Garden Grow エレクトリックなキーボードから入り、かなりのBNHです。フルートを入れるのもBNHにあったパターンです。大好きかもしれない。Hitch Hike ロックなリフとファンクな感じも入れたラップですが、少しレッチリも感じます。Humble Soul はグループ名ですね。アコースティック・ギターで始まり、フォーク・ロック+ソウル+ラップな曲です。かなり良いかもしれません。Thoughts & Sound Paintings こちらは、テーマ曲ですね。生ドラムっぽいプログラミング・ドラムとシリアスなバッキングにホーンが斬新です。今一のような気もするけど作ってるときに気持ち良いパターンの感じが共感します。Gliding With The Moonlight エスニックな路線で最後は締めくくるようです。ヨーロッパでこのパターンがクラブでかかっていることも多いイメージがあります。女性ボーカルが最後にアクの強い歌い方になるのがエロいですね。
 なんやかんやで、聴きなおしたら結構はまりました。ヘビロテの棚には入らないかもしれないけど、たまに聞きます。多分もっと好きになるような気がします🎶

vocals : Simon Anniky, D.J.(12) , Ian Simmons, Marie Jamilla, Spider
electric piano : Cyril Maccamann
melodica : C.J. 
programmed by : James Johnstone
acoustic guitar : Antony Clark
guitar : Simon Bartholomew
bass, vocals : Hugh Brooker
sax : Ollie Moore
trumpet : Dave Priseman
flute : Edie Parker
congas : Paul Gunter

1. Beads, Things & Flowers
2. Bridge Into The New Age
3. How Now
4. Quiet Dawn
5. Tomorrow's People
6. Fly Away
7. Keys To The Power
8. Watch My Garden Grow
9. Hitch Hike (The Feeling)
10. Humble Soul
11. Thoughts & Sound Paintings
12. Gliding With The Moonlight






  

2024年9月28日土曜日

Roland La'serie - Cortijo Y Su Combo - Ismael Rivera / Danger

 

 コルティーホ楽団、イスマエル・リベーラが、このアルバム発売当時の1962年に人気だったキューバの歌手ローランド・セリエを迎えて制作したアルバムです。
 コルティーホは1950年代半ばからプエルトリコや中南米全域で活躍していて、その後のサルサに大きな影響を与えます。最初のアルバムは、真冬のニューヨークにラテン楽団がコートを着て写っているジャケットの「En New York」1959年リリース。「En New York」のほうが勢いが断然ありますが、こちら Danger のほうが親しみやすさがあります。


 最初は Moliendo Cafe(コーヒー・ルンバ)です。最初に聞いた時には、井上陽水・西田佐知子・荻野目洋子がカバーしているコーヒー・ルンバと同じとは気づきませんでしたが、何回か聞くうちに、なるほど・・そうだと気付きます。しかし最初のテーマ以降はボーカルのアドリブのようになるのでしょうか?日本人歌手との解釈の違いがあるなあと感じます。また Mentirosa Conmigo ですが、Louisiana Mama に似ているような気がします。アメリカン・ポップス の サルサ・バージョン かと思いますが、別曲でしょうか? Louisiana Mama は、1961年の Gene Pitney の楽曲で、日本でも同年に飯田久彦が歌ってヒットしています。コードとサビは何となく、それっぽいですし、このアルバム制作が1962年ということからも、それっぽいのですが調べてもよくわかりませんでした。
 サルサと言えば、日本で外人と半々のメンバーのバンドで演奏している友人がいます。彼のバンドのライブは、演奏場所は地方巡業ではローカルなライブハウスが多く客はほぼラテン系外人さん。みなさん聴きに来るのではなく踊りに来ている感じです。彼に聞いたところでは、皆さん普段はまじめに働いて酒も控えめにして、こうして週末のライブなどで踊り狂いながら発散させているとのこと。
 スペイン語の響きはこのリズムに良くなじみます。日本語で歌うサルサを聴くとなぜか昭和の香りが匂って、この躍動感は生まれませんよね。言葉の響きで感じるリズム感も変わるのは、またこの音楽の面白いところ。
 ライナーノーツによると、このアルバムの収録後コルティーホとリベラは麻薬不法所持で捕まって楽団は解散したとのこと🎶

1. Moliendo Cafe / Rock Rumba (Jose Manzo Perroni)
2. En Mi Viejo San Juan / Bolero (Noel Estrada Suarez)
3. Mentirosa Conmigo / Rock (Robert Gonzalez)
4. Severa / Guaracha (D.R)
5. Sola Y Triste  / Bolero (Aamando Valdespl)
6. Yo Te Cantare / Popurri (D.R)
7. La Maquina Y La Madama / Plena  (Robert Gonzalez)
8. Los Carretoreros / Guajira (Rafael Hernandz Marin)
9. Llorando Me Dormi / Rock (Bobby Capo)
10. El Mar De Lima / Plena (Ismael Rivera, Rafael Cortez)
11. Maria Conchita / Guaracha (Rogelio Vetez)
12. El Pescador / Guaracha (RLorenzo Barselata)
13. Di Donde Estas / GUaracha (Ismael Rivera, Rafael Cortez)



Severa


  

2024年9月27日金曜日

渡辺香津美 / To Chi Ka


 今年2024年2月に脳幹出血のため緊急搬送された渡辺香津美氏の1980年リリース作品です。渡辺香津美が何しろ若い。そして黄色で統一したジャケットはインパクト抜群。テクニカルなギターとポップに味付けされたフュージョン・サウンドで大ヒットしました。レコーディング・メンバーも海外の売れっ子ミュージシャンばかりで、世界的なギタリスト渡辺香津美の人脈の広さを感じます。録音は1980年3月4日から26日のニューヨーク。サポートメンバーとしてYMOの最初の世界ツアー参加していた「YELLOW MAGIC ORCHESTRA TRANS ATLANTIC TOUR」が1979年10月16日にロンドンで始まり、1979年11月6日にニューヨークで終了後のレコーディングです。そして、このアルバム発表後の1980年夏には、レコーディングに参加したMike Mainieri、Marcus Miller、Warren Bernhardt に Omar Hakim のバンドで日本国内の「トチカ・ツアー」が敢行されています。さらに2010年の東京JAZZでは、渡辺香津美 TOCHIKA2010 featuring TOCHIKA ALL STARS として、30年ぶりの同メンバーによる演奏が行われています。ちなみにアルバム・タイトルは、愛犬であった北海道犬の「図知華(トチカ)」に由来とのこと。


 さて、懐かしのアルバムのレビューです。このオープニングは上がります。 Liquid Fingers とてもノリの良いファンキー・フュージョンで、これぞ世界に通用するカッコよさではないでしょうか。Black Canal は、ずっしりとしたドラム、ベースに低音の単音リフから、段々と湧き上がってくるフレーズで、Michael Brecker はこの曲にはいないけど、それ系の曲です。当時の流行りのサウンドなんで Marcus Miller の味でもあるかもしれないですね。そしてタイトル曲は To Chi Ka ですが、柔らかなオベーションによるギター演奏で、Mike Mainieri のビブラホンも優しい、いかにも渡辺香津美らしい楽曲です。Cokumo Island は、向井滋春のフュージョン時代にあったようなラテンも感じる音使いが懐かしい。そして Unicorn は、売れましたね。これは若い頃の渡辺香津美の代表曲です。テーマも印象的ですがエキゾチックなスケールとアウトしたフレーズも織り交ぜながら縦横無尽のギターソロが魅力です。いやいや尖ってます。Don't Be Silly も良い曲です。雰囲気はまさに Don't Be Silly バカ言うなよって感じの砕けた感じが心地よい曲です。Sayonara は、Tony Levin のフレット・ベースがしんみりと響いてくる曲です。Manhattan Flu Dance は、渡辺香津美のこの時の得意なパターンですね。
 世界の渡辺香津美が強力メンバーで作り上げた若き日の傑作です🎶

guitar, guitar synthesizer : 渡辺香津美
rhythm guitar : Joe Caro (1,2,5,6)
keyboards : Kenny Kirkland (Keyboards 1,2,5,6/acoustic piano 2)
oberhiem, keyboards : Warren Bernhardt (Oberhiem 2,4,5,6,7 / keyboards 4,7,8)
bass : Marcus Miller (1,2,5,6)
bass : Tony Levin (fretless 4,7 / bass 8)
drums : Steve Jordan (1,2,5,6)
drums : Peter Erskin (4,7,8)
vibes : Mike Mainieri (3,5)
percussions : Sammy Figueroa (4,7)
tenor sax : Michael Brecker (4,8)

producer : Mike Mainieri

recorded & mixed by Doug Epstine at Media Sound, New York City, March 4-26, 1980

1. Liquid Fingers
2. Black Canal
3. To Chi Ka
4. Cokumo Island
5. Unicorn
6. Don't Be Silly
7. Sayonara
8. Manhattan Flu Dance

▶ 
Liquid Fingers


▶ Unicorn


  

2024年9月22日日曜日

Crème De La Crème Two / More Philly Soul Classics & Rarities


 札幌の桑園にあったビーバー ブックスという古本と古CDの販売店で購入したもので、ソウル系のCDの品ぞろえが良くて愛用していました。しかし桑園店は閉店してからは実店舗なくあちらこちらの即売会で異動店舗での営業を時々見かけていました。2020年のチェックでは、山鼻に実店舗も構えていらっしゃいました。現在は札幌市中央区南17条西8丁目に店舗を移転されたようです。また札幌に行った時によりたい店です。北海道出張で時間があれば最高なんですけどねえ。


 当時このお店の中古品は、帯のコメントのお勧めがとてもわかりやすく、内容が良いものは、しっかり価格が高めでした。少々高くても購入して失望することは、ほぼありませんでした。これも、そんなそんな購入の一枚で、Philly Soul がこれでもかと入ったオムニバスです。
 Philly Soul とは'70年代前半に一世を風靡したフィラデルフィア発のソウルで、ストリングスを使用した甘めのサウンドが多いのが特徴です。第2弾とのことですが、当然1枚目は持ってません。見かけたら購入しても良いのですが、遭遇する確率は相当低いと思われますので、この盤を大事に聴いていきたいと思います。



 登場アーチストの中で、知っているのは Ben E King ぐらいですね。まだまだ不勉強な分野です。そのほか Blue Magic ってグループは3曲が収録されていますが、かなり良い感じです。その他気に入ったのは、Sister Sledg / Mama Never Told Me モータウンが入った曲ですが、ボーカルの声がJacson5 ぽくて・・調べてみると、フィラデルフィア出身の黒人4姉妹のコーラス・グループです。おそらく末っ子がリードボーカルだと思いますがライブ映像ではもっと太めの声なので、幼い時の録音でしょう。またこのグループ3作目なんかは Nile Rodgers と Bernard Edwards のプロデュースですから私が知らないだけですね。それにしても1970年代のソウル・ファンクは無数の素晴らしいグループが存在しながらも消えていったものが多いのに今更ながら驚きます。
 Crème De La Crèmeは「クリームの中のクリーム」つまり最高の意とのこと🎶

1. Look Me Up (Album version) / Blue Magic
2. Pain Reliever / Sister Sledge
3. Happy Man (Pt.1) / Impact
4. Both Ends Against The Middle / Jackie Moore
5. Action Speaks Louder (Than Words) / Terry Collins
6. First Choice Theme 45 / First Choice
7. What Goes Around (Comes Around) / Black Ivory
8. When The Game Is Played On You / Bettye Swann
9. Each Morning I Wake Up / Major Harris
10. What A Man (Previously unreleased) / Jackie Moore
11. No Danger Ahead / Ben E King
12. Spinnin’ Top / Moving Violation
13. Mama Never Told Me (Tom Moulton Remix) / Sister Sledge
14. Answer To My Prayer / Blue Magic
15. Vivian’s Theme (Previously unreleased) / Vivian Reed
16. Loving You Is Mellow (Previously unreleased) / Aristocrats
17. Never Love Again / Holly Maxwell
18. Some Guys Have All The Luck / The Persuaders
19. Tired Of Being Alone (Previously unreleased) / Vivian Reed
20. You & Me (Got A Good Thing Going) / Margie Joseph & Blue Magic
21. Are You Ready For Love 45 / Spinners
22. That's The Way Love Should Feel / Dee Dee Bridgewater

Mama Never Told Me  / Sister Sledge




  

2024年9月21日土曜日

Dragon Ash / Harvest


 2003年Dragon Ash、5枚目のアルバムで、発売とそれほどタイムラグなく購入したものと記憶していますが、実はあまり聴いてはいません。当時話題となっていたバンドなので気になっていたこともあり買ってみたのですが、TVなどで見る映像ほどの良さがアルバムでは理解ができずあまり聞いてませんでした。それでも自分自身の経年変化で、聴けるようになっているかもしれないと、数年前に聞いてみたのですが、どのようなアルバムか今も覚えていないほど印象に残っていませんでした。


 あまりよく知らないので調べたことをおさらいしておきます。Harvest の意味は「収穫」で、ダンサー2人とギタリストが新たにチームに加わり、新たに復活を遂げた全ての意が「収穫=HARVEST」に表れている。リーダーは、Kj、降谷 建志のボーカル、ギターで、Dragon Ash楽曲のほとんどの作詞・作曲を担当。前妻はタレントのMEGUMI。父は俳優の古谷一行。そういえばそんなこと読んだ気がします。本作は降谷が、Dragon Ashにおける最高傑作であり、最も好きな作品と位置付けている。オリコン1位を獲得。年間で15.3億円を売上、アーティスト別売上39位にランクインなどなど、相当売れたアルバムのようです。
 で、数年ぶりにまた聴いてみますが、以前よりは聴けました。が私の心に残るほどのものは残念ながらあまりありませんでした。残念です。しかし音作りとか丁寧だしアイデアもあることは理解できるんでまた数年後に聞いたときに変わるかもしれない可能性はあるかな🎶

1. Intro
2. House Of Velocity
3. Posse In Noise
4. Revive
5. United Rhythm
6. Byakuya
7. Morrow
8. Landscape
9. Art Of Delta
10. Mob Squad (Ritmo Acelerado Rmx)
11. Episode 4
12. Massy Evolution
13. Day 6
14. Fantasista
15. Canvas
16. Gymnopedie #1
17. Harvest
18. Sukurimakori (Hidden Track)

▶  Harvest

▶ Morrow



  


2024年9月20日金曜日

濱口祐自 フロム・カツウラ 2014


 還暦を目前にしてメジャーデビューのギタリストで、私が存在をしったのは2014年のアコースティック・マガジンのインタビューでした。ちょうどその時にアコースティックギターに回帰していた時期で、youTube で動画を見て、なんと素晴らしいギターを弾く人かと感銘しての購入です。
 濱口氏のギターに対する姿勢、愛情、こだわりを、知れば知るほど、聞けばきくほど、見れば見るほど、自然体な音楽や生き方を語れるかっこいい60歳になりたいと、つくづく思いますが、最近ギターを手にしない日も多くなり、そんなかっこいい60歳にはなれそうにありません。
 濱口氏は、小学4年からギターをはじめ、東海大学体育学部時代にカントリー・ブルースにめざめ、その後、遠洋まぐろ漁船に乗り陸にあがって竹林パワーという店を開き、ギターを弾き続けています。ブルース、ラグタイム、ジャズ、クラシックと幅広く好きな音楽が自分のスタイルとされています。


 それでは、大好きな 濱口祐自 のアルバムをレビューします。ドクトル・Oのラグ は最も得意と思われるブラインド・ブレイク風のラグ・タイム。ドクトル・Oとは勝浦の隣町の新宮の大石誠のことで、貧しい人からお金を受け取らずに治療にあたりドクトル大石と呼ばれていたとのこと。エスニック・ウインドもラグ・タイムですが、名の通りエスニックな雰囲気のメロディーです。ジェロニモ 前曲よりもブルース的な音作りでありながらリズムが泥臭い曲で、エレキのスライドも多重録音されています。このような曲を延々と展開していく様々なアイデアが弾きながら即興ででてくるのがこの人のすごいところ。グノシエンヌ 1番 エリックサティのカバーです。ギターではなく古代の弦楽器を弾いているかのような響きです。おそらく、かなりの変則チューニングを施しているものと思われます。ビッグ・シティ・フェアウェル これもクラシック的な響きの味のある曲で完成されたメロディーが特徴で、ラグ・タイムだけでなく、このような曲をギター一本で作り上げてしまう達人を感じます。メドレー 秋の花びら / アメイジング・グレース きれいなギターの開放弦を使った響きの童謡のような秋の花びらから、誰もが知っているアメイジング・グレイスへつながります。様々な響きを角度からの研究は大事ですね。バンブー・ブルース 氏の愛する竹の賛歌といったところでしょうか。延々と聞いていられるのですが、これはあっさり終わります。ヘキサゴン・ブルース ライブ動画で見かけるノリの良いブルースです。ライブではテンポなども様々に演奏されている曲ですね。黒いオルフェ これも氏のギター独演の傑作で、結城貴弘の cello も入って荘厳な曲になっています。せつない香り 2分の小曲です。濱口氏はこのような引出しを無数に持っていて様々な楽曲に活かしているようです。テネシー・ワルツ これも日本人好みの有名な曲ですね。しっかりとブルースマンでありながら日本人のオジサンであることも親しみがわきます。ブルース・フロム・カツウラ 本腰を入れたブルース・ギターです。これも動画で様々なパターンの演奏を拝見しました。もう少し早めの演奏の動画は非常にスリリングでマネしたい演奏です。遠足 これも練習曲に名前をつけたのでしょうか。たくさんのバリエーションのひとつです。旗のもとに集まろう 浜風の中で遊ぶ少年たちを目を細めてみながらギターを弾いているような感じで作った感じの、平和で牧歌的な曲です。
 この人を聞いてからアコースティックへの憧れが強くなりました。何しろ生き方が音楽でわかるようなかっこよい演奏にすっかりファンです🎶

guitar : 濱口祐自
bass, percussion : 久保田麻琴
drums : 伊藤大地
cello : 結城貴弘

1. ドクトル・Oのラグ
2. エスニック・ウィンド
3. ジェロニモ
4. グノシエンヌ 1番
5. ビッグ・シティ・フェアウェル
6. メドレー 秋の花びら / アメイジング・グレース
7. バンブー・ブルース
8. ヘキサゴン・ブルース
9. 黒いオルフェ
10. せつない香り
11. テネシー・ワルツ
12. ブルース・フロム・カツウラ
13. 遠足
14. 旗のもとに集まろう





  

2024年9月15日日曜日

Jessica Lauren / Siren Song


 これは Jessica Lauren(ジェシカ・ローレン)の1994年のデビューアルバムでした。イギリスのJazz-Funk系を主とする女性キーボード奏者で、動画とかを見てるとこのアルバムよりもう少しジャズよりな感じのものが多いようです。
 程よくジャジーでファンクで、たまに聞き直して「かなりいいじゃないか」と思っては、何回か聞いてその良さを確認しながらも、しばらくすると存在を忘れてしまう少し幸が薄い不思議な魅力?のアルバムです。フュージョンやアシッドを中心に集めてた時のコレクションなんで、購入から20年くらいは経っていると思われます。
 改めて参加ミュージシャン見てたらギタリストの Tony Remy の名前もあります。ブラコン系にジャズ的なギターをトッピングしたアシッド系のサウンドで自身のアルバム Boof! 、Incognito Eleven に参加など。さらにベースの Stuart Zender も気になって調べたら Jamiroquai の Travelling Without Moving に参加。サックスの Ed Jones は Incognito のサックスでした。好きな音だと思っていたらやはりでした。


 なるほど、私がアシッド系に凝った時期を懐古させてくれる一枚。再度聴きながら楽しくなってきます。アシッド・ジャズ系の音作りなんだけど昔風のフュージョンぽさもありブラスの使い方もまさに私のツボであります。さてレビューです。Leo Rises 日本の超絶テクバンドフュージョン Aribaba かと思いましたが、バッキングだけが似ていました。ひたすらファンクな Jessica Lauren のクラビのバッキングに Chris Bowden のサックスがウネウネとソロを続ける大好きなパターンです。Fire Monkey は、またブラス・アンサンブルが楽しい日本のフュージョンバンド風で、こんな作風が昔流行っていました。学生時代に戻ったようでな感じが懐かしい。ピアノでスキャットもよし、ソロ一発目がトロンボーンも良いですね。その後のトランペットのハイトーン・ソロも素晴らしい。Siren Song タイトル曲は静かにアシッドなベースから始まり、エレピで怪しげなテーマが演奏され、Ragga のソウル風ボーカルで味付けです。When You Call My Name バラードで ボーカルは Ragga 聞き取れないくらいのささやき系で最初入ってますが、ほぼインスト曲でジャムのような感じです。エンディングでもささやきが聴けます。Serengeti は、インコグ的なインストで Stuart Zender の、ベースラインはそれ系です。ここでも Ingrid Mansfield-Allman のボーカルは歌詞無しで楽器的な使い方ですね。Just A Dream ラテンなナンバーで、これも日本っぽい。Juliet Roberts のボーカルがメインですが、これも日本人が好みな感じがとても良し。Dance For Lotte これもラテンですが、松岡直哉が好きだったんでしょうか。とてもそんな雰囲気です。Dangerous Curves ラテンのリズム続きです。ジャズフォーマットに近いフュージョンで、非常に馴染みやすい感じです。最後にどんな曲を持ってくるのかで、作り手の趣味がわかります。Freefall は、フュージョン的なジャムセッションです。
 基本、好きな部類に昔から属しておりヘビロテです。楽曲自体の作りこみよりノリ重視なところがまた良いです🎶

Jessica Lauren / electric piano (1, 3 to 9), acoustic piano (2, 6), oberheim OB8 (3)
roland JV80 (3, 5), clavinet (1, 5)
guitar : Jeremy Shaw (7), Tony Remy (1, 4, 6)
bass : Graham Silbiger (1, 4, 8), Nick Tideman (3, 6, 7, 9), Stuart Zender (5)
drums : Frank Tontoh (1, 8), Nick van Gelder (2 to 7, 9)
percussion : Jessica Palin (5), Thomas Dyani (1 to 4, 6 to 8)
Ed Jones / alto sax (5), soprano sax (3), tenor sax(8, 9), flute (7)
alto sax : Chris Bowden (1, 2, 4, 6 to 9)
tenor saxophone : Scott Hamilton (2, 4, 7, 9)
trumpet : Claude Deppa (2, 4, 6, 8, 9)
trombone : Andy Rogers (2, 4, 7, 9)
vibraphone : Orphy Robinson (4)
vocals : Juliet Roberts (6), Ragga (3, 4)
backing vocals : Ingrid Mansfield-Allman (5)

producer : Stuart Baker
recorded at Falconer Studios 1994

1. Leo Rises
2. Fire Monkey
3. Siren Song
4. When You Call My Name
5. Serengeti
6. Just A Dream
7. Dance For Lotte
8. Dangerous Curves
9. Freefall






  

2024年9月14日土曜日

Jaco Pastorius / Word Of Mouth


 これはジャコがウェザー・リポートに在籍中の1980年に録音したジャコ自身がリーダーとしては2作目のソロ・アルバム。このアルバム制作にはいろいろと裏話(今となっては表ですが)があります。このアルバム「Word Of Mouth」の制作の契約発売のレーベルは Warner Bros(ワーナー・ブラザーズ)1枚目のデビュー作「Jaco Pastorius(ジャコパストリアスの肖像)」は Epic Records (エピック)で、当時加入していたしていた Weather Report(ウェザー・リポート)のレーベルである Columbia(コロムビア)にはこのジャコのソロ制作の印象は裏切り行為のように映り印象は当然良くありませんでした。
 ワーナーは、話題のジャコのアルバム制作なので期待もあり、ロサンゼルス交響楽団から31人を雇って「John And Mary」「Three Views Of A Secret」に9,000ドルかけたが、ボツにしてその中から7人を選んで9回のオーバーダブで63人編成に仕上げなおしたり、ニューヨーク、ロサンゼルス、フロリダとあちこちで録音しオーバーダブで仕上げるなど予定した予算を大幅にオーバーしたとのこと。制作サイドにはかなりの迷惑をかけているようで、雑誌インタビュー記事などからは、このアルバムの制作の構想はかなりの前からあったことは間違いないですが、ウェザー・リポート加入での名声と成功、ドラッグと酒に侵されたジャコの正常な金銭感覚は失われてたようで、制作サイドも翻弄されていたようです。
 発売の結果、評論家の間では評判は良く日本ではゴールド・ディスクを獲得。しかしアメリカでは5万枚の売り上げだけで終わり、ワーナーの目論見は大誤算の結果となりました。



 音楽好きの集う「おでんバー」では評判の悪いジャコですが、自宅では思いっきり聴けますので、久しぶりに聴きながらのレビューです。Crisis 混沌とした楽曲になっていますが、それもそのはず。参加ミュージシャンたちは、互いの音を聴かずにパストリアスのベース・トラックに合わせて演奏したトラックを、ミキシング時に重ね合わせたからです。ある意味フリージャズのようなエネルギーの塊りとなっています。アンサンブルをコラージュしたフリージャズのような熱気のある仕上がりになっている。3 Views of a Secret ジャコの代表曲の一つでもあります。Weather Report でも演奏されていた曲です。Toots Thielemans のハーモニカがとても効果的で印象的です。ジャコがおかしくなってしまってからも、Toots Thielemans は、この曲をあちこちのライブで吹いていてくれているほど気にいってくれているようです。Liberty City このビッグ・バンドでの演奏を念頭に置いて書かれた曲です。ジャコによるホーン・アレンジもしっかりと構想を練ったものです。リズム楽器なしの最初のホーン部隊のイントロはノリよく、イントロが終わるとジャコのフレットレスを活かしたフレーズとパーカッション、ジャコの愛するスチールドラムもしっかりと脇を固めていますし、Toots Thielemans もしっかりとオブリガード。アコースティックピアノは、Herbie Hancock しか弾いていないようなので、このピアノはハンコックですね。今更発見です。Chromatic Fantasy は、バッハのチェロのための練習曲を自身のベース運指の練習曲としていたパストリアスの録音です。左手の運指と右手のピチカートによる壮絶なテクニックで、後半は組曲のように曲が付けられています。Blackbird 学生時代に最後のあるアルペジオのようなベースを猛練習、破壊的なベースソロまでもコピーしようとしていたベーシストがいたのを思いだします。メロディ・パートはToots Thielemans が又も大活躍です。続いてはロックのようなディストーションをかけた Word of Mouth です。最初はジャコのソロで後半からエンディングにかけてはビッグ・バンドによる演奏となります。ジャコはこの前半ソロをファンサービスと思ってやりだすと、いかれてしまう時もあったようで、ドンドン過激な演出になっていったようです。John and Mary は、ジャコの2人の子供の ジョンとメアリーの笑い声や歌声がちりばめられていたり、お父さんの歌声も録音されている曲で、Wayne Shorter のソプラノ・サックスも花を添えています。いかれたオヤジさんでしたが子煩悩ではあったようです。
 録音内容としては秩序のあるフリージャズのような Crisis で幕開けするこのアルバムは、聴いていると情熱的であり、何かの情景が浮かびそうな美しさ、幻想的であり、せつなさもあり荒々しさもある素晴らしい作品ですが、Warner としては Weather Report 級の売り上げを期待していたのでしょう。十分良いアルバムではありますが、ジャズ・ビッグバンドの形式では購入層もウェザー・リポートで取り込んでいたアメリカのロック世代の若年層には響かなかったということ。その意味では音楽性のほかセールスのセンスにも優れた Weather Reort は偉大なバンドであることもわかります🎶

horn & string arrangements, electric bass, synthesizer : Jaco Pastorius
conductor, String Arrangement : Michael Gibbs

【Basic Tracks】
harmonica : Toots Thielemans
drums : Jack DeJohnette, Peter Erskine
acoustic piano : Herbie Hancock
keyboads : Richard Hilton, Tim Devine
lyricon : Tom Scott
percussion : Bruno Castellucci, Don Alias, Robert Thomas, Jr. 
steel drums : Leroy Williams, Othello Molineaux, Paul Horn-Muller
trumpet : Bob Findley, Chuck Findley, David Weiss, Snooky Young)
flugelhorn : Warren Luening
tromborne : Charles Loper, James E. Pugh, Lew McCreary
trombone, tuba : David Bargeron
bass trombone : Bill Reichenbach, David Taylor
french horn : Brad Warnaar, John Clark, Peter Gordon
tuba : Tommy Johnson
tuba, bass horn : Roger Bobo
piccolo, flute : James M. Walker
soprano alto flutre : Hubert Laws
sax : George Young
soprano sax : Wayne Shorter
tenor sax : Michael Brecker
baritone sax : Howard Johnson
basoon : David Breinenthal
【Strings】
conductor : Jules Chaikin
violin, cocert master : Gerald Vinci
violin : Stuart Canin, William Hymanson
viola : Denyse Buffum
double bass : Arni Egilsson, Bruce Bransby
【vocalist】
Alfie Silas, Edie Lehmann, Jim Gilstrap, John & Mary Pastorius, John Lehman, Marti McCall,Myrna Matthews,Petsye Powell,Zedric Turnbough,
【unknown】
Allan Harshman,David Duke,Deborah Sabusawa,Dennis Karmazyn,Harvey Michael,Schaps,Jeff Reynolds,Jerry Hudgins,Mike Butcher,Ray Kelley,Ricky Schultz,Robert Cowart,Russell Schmitt,Simon Levy

1. Crisis (Jaco Pastorius)
2. 3 Views Of A Secret (Jaco Pastorius)
3. Liberty City (Jaco Pastorius)
4. Chromatic Fantasy (Johann Sebastian Bach)
5. Blackbird (Lennon-McCartney)
6. Word Of Mouth (Jaco Pastorius)
7. John And Mary (Jaco Pastorius)

Crisis