2025年1月9日木曜日

Esperanza Spalding / Emily’s D+Evolution (Japan)


 アルバムごとに綿密に構築したコンセプトで度肝が抜かれますが、通算5作目となる今作は優しいメロディーラインの、Esperanza(エスペランザ)ではなく、激しい感情の現れている曲が多く収録されています。前作は、グラミー賞で2部門に輝いた2012年の Radio Music Society に続く3年ぶりアルバムです。作風は違いますが、ジャズやラテン、ソウル、ファンク、アフリカンなどの要素もあり、今作でも独自の音の世界観が反映されています。
 アルバム名に入っている Emily は、自身のミドルネームで、誕生日の前の晩に見た夢の中に出てきたというキャラクター(=もうひとりの自分)を主人公として、人間の「進化(Evolution)」と「退化(Devolution)」を表現するミュージカルのようなコンセプトです。やはりこのような大胆な変革にはプロデューサーの力が大きくデヴィッド・ボウイの ★ のサウンドメイキングの Tony Visconti が共同プロデュースです。
 






 そんな大興奮のこのアルバムを、いつもの音楽好きの集う「おでんバー」に持参すると、マスターに関しては、良いとも悪いとも感想は無しでしたが、驚きはあったようです。そしてこの手のアルバムが好きそうな一名の常連は、音もファッションも好みであるので結婚したいと申しておりました。私は素朴な感じがする?アフロヘアの Esperanza が好みでありますが。
 さて、アルバムのレビューをしていきましょう。最初が一番ロックしてます。Good Lava 彼女の独特のボーカル、プログレのようなギターサウンドでグイグイです。Unconditional Love これは、いつものエスペランザに近いですがポップなテーマのメロディは、ぶっ飛んでいませんので聴きやすいかもしれません。Judas プログレっぽいベースで始まるEsperanza の得意とするメロディ・ラインのジャズっぽいニュアンスが混じった曲です。このパターンが大好きです。Earth To Heaven ここではロックっぽいニュアンスが登場します。ボーカルにはラップっぽいものも取り入れてます。やはり凡人には到達できないところに彼女はいます。One エレピの弾き語りで始まりますが、破壊的な和音の歪んだギターでガツンとかまされポップさも入れてきます。広がる世界観が壮大な曲です。Rest In Pleasure 曲名からして少し大人しい曲なのかと思いきや、中東的な音階や不思議感のある曲で妙なリズムが面白い。Ebony And Ivy お経みたいな早口の言葉で始めるアイデアにビックリですが、プログレになっていくのが更にビックリ。Noble Nobles アコースティック・ギターを活用した幻想的な Esperanza 流フォーク・ソングで Joni Mitchell の流れです。これも大好きなヤツです。Farewell Dolly アコースティック・ベースにコーラスをかけて弾き語りとなっています。短いですがこれも良い。Elevate Or Operate 近未来的な響きがします。ポップスのコード進行を入れながら複雑な展開をしていきます。Funk The Fear Oz ファンクと名をつけているので、Esperanza 流ファンク・ミュージックがこれのようです。でもファンカデリックに、これはデキマイ。精神は理解できました。I Want It Now そろそろ甘い曲があっても良いのではないかなと思ってきましたが、今回の Esperanza は S が裏テーマのような作品ですからそうはいきません。とってもホラーな曲で、ニナ・ハーゲンも感じます。ここからは日本版のボーナス・トラックです。Change Us 普通にロックを歌っているのが不思議ですが、普通の曲を歌っても良いです。ファンとしては鳥肌も立ちます。この路線をアルバムに1曲入れても良いのでは? Unconditional Love 2曲目の Altenative Version で、ソフトロック路線のような感じです。2曲目は意識的にポップなアレンジにしたのがよくわかります。Tamblien Detroit ボーナスの最後に、またダークなヤツを持ってきています。
 最初にこれを聴いた時には、疲れたと過去に書いてありました。今はそんなことはありません。不思議な世界観は健在でいながら、ミュージカルのようでオペラ・ロックのような素晴らしいアルバムです。今まで聴いてこなかった人には、天才過ぎてやばい人に思えますので最初の頃の他のアルバムも一緒に購入されることをお勧めします🎶

vocal, bass (1-11, 13, 14)), piano (10, 12), bass synthesaizer (12) : Esperanza Spalding
backing vocals (1, 2, 5-7, 12-14), synthesizer (6), trombone (8), keyboards (12): Corey King (1, 2, 5-7, 12-14), 
backing vocals (1, 6, 11, 12, 14) : Emily Elbert
backing vocals (2, 5, 7, 13) : Nadia Washington
backing vocals (11) : Celeste Butler, Fred Martin, Katriz Trinidad, Kimberly L. Cook-Ratliff
drums : Justin Tyson (1, 6, 11, 12, 14), Karriem Riggins  (2-5, 7, 8, 10, 13)
guitar : Matthew Stevens
percussion : Karriem Riggins (9)

producer : Esperanza Spalding, Tony Visconti
recorded at NRG Studios, North Hollywood, California, Magic Shop, New York City, HUMAN, New York City

 1. Good Lava
 2. Unconditional Love
 3. Judas
 4. Earth To Heaven
 5. One
 6. Rest In Pleasure
 7. Ebony And Ivy
 8. Noble Nobles (Esperanza Spalding, Corey King)
 9. Farewell Dolly
 10. Elevate Or Operate
 11. Funk The Fear
 12. I Want It Now (Anthony Newley, Leslie Bricusse)
【Bonus Tracks】
13. Change Us
14. Unconditional Love (Altenative Version)
15. Tamblien Detroit 


Judas



  

2025年1月8日水曜日

Coleman Hawkins / The Bean (Compilation)


 Coleman Hawkins(コールマン・ホーキンス)のベスト・アルバムで、イタリアのクラシック・ジャズ専門のコンピ盤のレーベル Giants Of Jazz のリリースです。ペラペラのライナーノーツで細かいとこは書いてありませんが、中々盛りだくさんの22曲入りです。


 1904年生まれのテナー・バス・サックス(バリトンより低いやつがあるんですね)クラリネット奏者で、1922年からNYへ進出しブルース主体の活躍し、アフリカ系アメリカ人の楽団としては異例の人気を博した Fletcher Henderson(フレッチャー・ヘンダーソン)楽団に参加し、1934年からヨーロッパで活躍しています。ジャンゴなどとも活動し、帰国後1940年代にビ・バップが流行、1957年 Thelonious Monk Septet / Monk's Music に、コルトレーン、アート・ブレイキーと共に参加。1958年には代表作でもある The High and Mighty Hawk を、このアルバムの⑨⑩⑪で共演の Hank Jones らと録音。
   1960年前後には、Tommy Flanaganと結成したレギュラー・カルテットで活動、Max Roach, Bud Powell のアルバムへの参加。1962年にはDuke Ellington、1963年には、Sonny Rollinsと共演しましたが、1960年代後半は活動が停滞し、1969年に肺炎で亡くなっています。
 このアルバムは、中期の脂がのっている頃の1944年~1947年の作品で構成されています。この手のアルバムは単なる曲の羅列が多いと思いますが、曲順は1947年の自身のビッグバンドによる演奏から始まり、1944年の演奏に遡るように構成されているのは、今回中身を整理しながら聴いて好感があがりました。


 それではレビューしてこうと、Phantomesque コールマンのオリジナル。1947年の4管編成での録音です。 言葉の意味としては「実際に存在しないものや幻想的なもの」とのことで、優雅な響きのテーマが印象的に繰り返されます。短い曲ですが Coleman Hawkins の艶のあるサックスの響きが心地よい曲です。マイルスも参加ですがソロ無しです。Bean-A-Re-Bop これは、Hawkins と Jones の共作で、軽いノリのスイングで管楽器の力強い演奏でグイグイな演奏です。次は、Half Step Down, Please だと思ったら、パソコンに落とした曲名は Jumping for Jane になっています。??とライナーノーツを再度見ると、やはりHalf Step Down, Please 果たしてどちらが正しいのかと youtube でチェックするとライナーノーツが正しいようです。 次の PCに保存の Woody 'N You も Angel Face が正しいようで、データに登録されている曲が全く違います。
 他のCDでは、ジャケットと中身が違うようなことが起こったこともあります。廉価盤では CD のデータを移す際にチェックなどはしていないでしょうからしょうがないと言えばしょうがない。でもデータの名前の付け替えは22曲もあるとかなり面倒です🎶

① New York, February 16, 1944
Coleman Hawkins and his Orchestra Dizzy Gillespie, Vic Coulsen, Ed Vandever(tp) Leo Parker, Leonard Lowry(as) Coleman Hawkins, Don Byas, Ray Abrams(ts) Budd Johnson(bar) Clyde Hart(p) Oscar Pettiford(b) Max Roach(d) 
② New York, February 22, 1944 
Coleman Hawkins and his Orchestra Same as February 16 but Budd Johnson switches to (ts) 
③ New York, May 17, 1944 Auld-Hawkins-Webster Saxtet Charlie Shavers(tp) Coleman Hawkins, Ben Webster, Georgie Auld(ts) Bill Rowland(p) Hy White(g) Israel Crosby(b) Specs Powell(d) 
④ New York, January 11, 1945, Coleman Hawkins and his Orchestra Howard McGhee(tp) Coleman Hawkins(ts) Sir Charles Thompson(p) Eddie Robinson(b) Denzil Best(d) 
⑤ Los Angeles, February 23, 1945 Coleman Hawkins and his Orchestra Howard McGhee(tp) Coleman Hawkins(ts) Sir Charles Thompson(p) Allen Reuss(g) Oscar Pettiford(b) Denzil Best(d) 
⑥ Los Angeles, March 9, 1945 Coleman Hawkins and his Orchestra John Simmons(b) replaces Oscar Pettiford. Rest same. 
⑦ New York, February 27, 1946 
Coleman Hawkins and his 52nd Street All Stars Charlie Shavers(tp) Pete Brown(as) Coleman Hawkins, Allen Eager(ts) Jimmy Jones(p) Mary Osborne(g) Al McKibbon(b) Shelly Manne(d) 
⑧ New York, December 4, 1946 Esquire All-American Award Winners 
Charlie Shavers, Buck Clayton(tp) J.J.Johnson(tb) Coleman Hawkins(ts) Harry Carney(bar) Teddy Wilson(p) John Collins(g) Chubby Jackson(b) Shadow Wilson(d) 
⑨ New York, December, 1946 Coleman Hawkins and his Orchestra 
Fats Navarro(tp) J.J.Johnson(tb) Porter Kilbert(as) Coleman Hawkins(ts) Hank Jones(p) Curley Russell(b) Max Roach(d) Milt Jackson(vib) 
⑩ New York, June, 1947 Coleman Hawkins and his All Stars 
Miles Davis(tp) Kai Winding(tb) Howard Johnson(as) Coleman Hawkins(ts) Hank Jones(p) Curley Russell(b) Max Roach(d) 
⑪ New York. December 11, 1947 Coleman Hawkins and his All Stars 
Fats Navarro(tp) J.J.Johnson(tb) Budd Johnson(as) Coleman Hawkins(ts) Marion DeVeta(bar) Hank Jones(p) Chuck Wayne(g) Jack Lesberg(b) Max Roach(d)

1. Phantomesque (C. Hawkins) ⑩
2. Bean-A-Re-Bop (Hawkins, Jones) ⑩
3. Half Step Down, Please (C. Hawkins) ⑪
4. Angel Face (H. Jones, C. Hawkins) ⑪
5. Jumping for Jane (L. Feather) ⑪
6. Woody 'N You (D.Gillespie) ①
7. Bu-Dee-Daht (Jonson, Hart) ①
8. Yesterdays (Kern, Harbach) ①
9. Disorder at the Border (C. Hawkins) ②
10. Rainbow Mist (C. Hawkins) ②
11. Too Much of a Good Thing (C. Hawkins) ⑥
12. Bean Soup (C. Hawkins) ⑥
13. Spotlite (C. Hawkins) ⑦
14. The Night Ramble (C. Hawkins) ④
15. Indiana Winter (Moore, Feather) ⑧
16. Rifftide (C. Hawkins) ⑤
17. Stardust (Carmichael) ⑤
18. Stuffy (C. Hawkins) ⑤
19. Blow Me Down (Moore) ⑧
20. Salt Peanuts (Gillespie, Clarke) ③
21. I Mean You (C. Hawkins) ⑨
22. Bean and the Boys (C. Hawkins) ⑨





  

2025年1月7日火曜日

Yousuke Onuma / Jam Ka


 前作「Beautiful Day」で形作られた小沼ようすけによるサーフ・ジャズの発展型がこのアルバムとなります。’Ka'(グオッカ・パーカッション)という楽器と、Jamという事でアルバムがネーミングされています。’Ka’ はカリブ海の民族楽器で、小沼氏の出会いのきっかけは 2008年に聴いたJacques Schwarz-Bart(ジャック・シュワルツバルト) のDlo Pann という曲で、意味は『湧き出る水』とのこと。Jacques との出会いは2003年にRh foctor のメンバーとしてBNT来日中にライブに飛び入りにきてくれたことから始まったそうです。レコーディングに至るまでのことは、小沼ようすけ氏が note 「フレンチカリブのリズムと出会い、経験してきたこと」に、書かれています。てっきりカリブにサーフィンでもしに行った時に出会ったのかと思ってました。



 その Jacques はプロデューサー&サックス奏者として参加、パリから二人の”Ka”奏者を呼んでもらいレコーディングはNYで行われています。二人のパーカッション奏者は、Arnaud Dolmen(アーノウ・ドルメン) とOlivier Juste(オリビエ・ジュスト)で、Jam Ka Deux (2016) Jam Ka 2.5 The Tokyo Session (2019) にも参加し、このプロジェクトのレギュラーメンバーとなっています。


 それでは、レビューしていきましょう。Rain Drops 小沼氏らしい音使いのジャズ・フュージョンですが、いつものギターメインではなく Jacques のサックスが柔らかく曲に色付けしています。Seascape 情景を表す曲タイトルです。穏やかな海と波のうねりを遠目に、眺めながら作ったような曲で、各楽器のバランスが良いと感じます。Friend And Lover 女性ボーカルで、Stephanie McKay が歌っています。透明感があり西洋系の歌いっぷりですが、カリブを若干感じます。小沼氏は淡く優しいフレーズのガット・ギターで色付けしています。A Bird On The Cloudy Sky 曇った空に鳥が飛んでいる、またも情景描写です。Ka の打音が素朴ですが段々と盛り上がてきます。Fun Ka 少しファンク要素を混ぜたジャズです。Milan Mitanovic のローズが活躍し素敵なバンド・サウンドになり、最後はジャム皆さんで好きにジャムっているのが心地よいです。Deep 少しトリッキーで1分23秒の小曲。Jam Ka 先ほどの Fun Ka とは趣替えて、Ka が軽快で明るく複雑なリズムのフュージョン・ジャズです。フルート、サックスがブレッカーブラザース的なフレーズで、小沼氏が珍しく歪ませたギターの音を使ってます。Flyway 小沼氏らしいギターの入れ方です。曲名は小沼氏の作ったレーベル名と同一ですね。設立は2016年なので、この録音から6年後です。Joe Powers のハーモニカも入ったシンプルな曲で、このアルバムの中では覚えやすい曲です。 Esan 民族音楽的なイントロで中近東的な音階を取り入れた楽曲です。Moun Ka Heley こちらも民族音楽的な楽曲で Stephanie McKay が再びボーカルをとっていますが Friend And Lover よりも力強い歌いっぷりです。Ka が複雑にリズムを作っています。Gradation Pt.1、Gradation Pt.2  Jam Ka Deux (2016) に Gradation Pt.3 があったので、1.2はライブででもやっているのかなと、思っていたら、ここにいました。流して聴いていただけでは気づかなかったので改めてじっくり聴くのも、やっぱり大事ですね。Chiaramonti 小沼氏のアコースティックでの、このソロギターでのアプローチは大好きです。
 改めて、じっくり聴いて、じっくりと音楽と向き合う小沼氏の良さを感じられて良かったです。アルバムも大切に作っていることがよくわかります🎶🎸
 小沼氏の書かれた練習本も何冊か持っていますが、基本のメロディーを大切にして自然を大切にして、生きること、ギターとの関わりなんかが書いてあります。楽器の写真も載っていますが弾き込み方が半端ない塗装の剥げ後が見えます。まあ何というか、単純にこの人のファンです。お勧めです。

electric guitars, acoustic guitar : Yosuke Onuma
piano : Milan Milanovic
tenor sax, flute, programming : Jacques Schwarz-Bart
electric bass, acoustic bass : Reggie Washington
piano, fender rhodes, wurlitzer : Milan Mitanovic
ka (boula)ka : Olivier Juste
ka (make) : Arnaud Dolmen
vocal on 3 and 10 : Stephanie McKay
harmonica on 8 : Joe Powers

recoeded at Brooklyn Recordhing, February 23rd to 26th,2010

producer

1. Rain Drops
2. Seascape
3. Friend And Lover (featuring Stephanie McKay)
4. A Bird On The Cloudy Sky
5. Fun Ka
6. Deep
7. Jam Ka
8. Flyway
9. Esan
10. Moun Ka Heley (featuring Stephanie McKay)
11. Gradation Pt.1
12. Gradation Pt.2
13. Chiaramonti





  

2025年1月6日月曜日

Crage Erickson / Roadhouse Stomp!


 Stevie Ray Vaughan系の、ビックリするほど鋭どくて素直にカッコ良いブルース・ロックです。多分 Stevie Ray Vaughan の音源を探していてレコード屋で出会ったのかと思います。音はものすごくカッコ良くて、多分レイボーンと比較されることも多い人かと思いますが驚くほどマイナーなアーチストで、ググってもあまり情報が出てこないのも、この人の特徴です。 このアルバムの他 Big Highway も良かったです。
 略歴についても資料不足だったのですが- Pop Music. Legend Music -さんに記述ありました。アイオワ州セダー・ラピッズ育ちのギタリストです。父はレコード店を経営していて、手伝いをしている時にギターを覚え、13歳になるとバンドを組んで地元で演奏していました。1990年の初期にブルーズ・ブリュー( Blues Bureau )と契約し、1992年に初アルバム「Roadhouse Stomp」を出し、翌1993年には「Retro Blues Express」を出しました。その他は2001年「Shine」などがあります。なるほど。
 発売は Shrapne Records で、アメリカのヘヴィメタルを中心に扱うインディーズ・レーベルから発売されています。このレーベル1982年には、17歳の Yngwie Malmsteen を発掘し当時所属の Steeler に加入させたが、イングウェイは直ぐに脱退して、以降はこのレーベルからのアルバム発売は無し(Steeler は懐かしいです。高校生の頃にカセットで聴いてました)1990年頃から、ヘビー・メタル・シーンそのものが廃れてきたとのこと。やはり、レーベル自体がインディーズであることと、時代により宣伝力が無かったことで世に広く認知されなかったのではないかと推測します。


 それでは、素晴らし過ぎるギタープレイが魅力のアルバムを聴きながらレビューです。Heartbreak Train 激しいブギー・ロックで、ZZ TOP を鋭くヘビーにした感じです。楽曲としてはオーソドックスですが、曲が進んだところでの転調で聴き手を飽きさせない仕掛けがしてあります。Blues Avenue まるで SRV じゃないかと言われればその通りのジミヘン・コードを使用したブルース・ロックです。Overtime シャカシャカとしたカッティングから始まるファンク気味ロックで、これもSRV 仕様ですね。注目のギターも素晴らしいですがベース、ドラムのコンビネーションも素晴らしくギターが遊べるのは、このリズム隊がしっかりしているから。 The Loneliest Hour しっとり系ブルースで、他の曲もそうですが常にギターがオブリガードしてて鳴りっぱなしで、これでもかって感じがしつこくて、これが好きな人にはたまらんですね。River Song ギターがワウワウしてるブルース・ロックで、曲としては少し中だるみ気味ですかね。Catch That Plane テンポ早めのロックですが、今までよりもブルースが強めでスライドでのソロも飛びだして勢いがあります。Midnight Highway こちらは ZZ TOP 寄りのブギです。これは私の好物かもしれません。The Storm コーラスのかかったギターリフで少し硬質な音に変えてきてます。基本的に似通ったつくりの曲が多いので良いのではないでしょうか。Tearin' It Up 高速ブギです。これは単純にかっこよい。Van Halen にアイデアのヒントあるような楽曲です。Starry Sea メロディアスなロックで曲の構成としては、このアルバムの収録曲の中ではつくりこんだ曲です。Tell Me The Truth はアルバムの最後らしくヘビーでキャッチーです。
 オーソドックスなフレーズではありますが、これでもかと繰り出されるギター・サウンドで丁寧に組み立てている感じがとても好印象です。デビュー作って、それまでに貯めてきたエッセンスが詰まった曲が多いのが良いですね🎶🎸

guitar, vocals : Craig Erickson
bass : John Onder
drums : Atma Anur
hammond B-3 organ : Mark Robertson

producer : Mike Varney
recorded at Prairie Sun Recording Studios
all songs written by Craig Erickson

1. Heartbreak Train
2. Blues Avenue
3. Overtime
4. The Loneliest Hour
5. River Song
6. Catch That Plane
7. Midnight Highway
8. The Storm
9. Tearin' It Up
10. Starry Sea
11. Tell Me The Truth





  

2025年1月5日日曜日

FUNK, INC / Hangin' Out , SuperFunk


 インディアナ出身の Funk Incorporated(ファンク・インコーポレイテッド)は、1969年に結成された Jazz funk/soul のグループです。1970年に彼らは Prestige Records と契約し解散まで5枚のアルバムをリリースしています。
 本アルバムは 73年3rdと4thのカップリング、1st「Funk Inc.」2nd「Chicken Lickin'」ではベース無しのオルガンファンクでしたが、3rd「Hangin' Out」は Gordon Edwards(ゴードン・エドワーズ)が3曲ベースを弾いています。また、4th「SuperFunk」の方では、ボーカルを多くフィーチャーしていて Smokin' At Tiffany's なんかはサンプリング・ソースとしても良く使われています。


 私は FUNK, INC は、音的にB級ジャズ・ファンクと思っていたのですが、このアルバムではB級を脱却した感があり、ダサくないのが若干つまらないような気もします。個人的には微妙にダサいヤツが大好きです。行きつけの音楽好きの集う「おでんバー」の常連さんの一人に、ソウル・ファンクをもっと聞いてみたいとのこともあったので、これを持って行ってB級ファンク好きなんですよとCDかけたのですが、これはB級ではないんではないか?との指摘がありました。やはりそうですか。
 ということで、レビューしていきましょう。最初6曲は アルバム Hangin' Out から。
 Smokin' At Tiffany's ティファニーで朝食ではなく煙草をとの曲名は中々粋です。曲自体はビッグバンドなんかで取り上げられそうなキメのあるファンク・ナンバーです。Steve Weakley のギターもペラペラに一歩手前の歪み無しのギターでダサさの一歩手前、腕前もダサくないのが惜しい。古典的な感じがします。
何か惹かれるものがあります。基本オルガン・ファンクのバンドですが、Stuff の Gordon Edwards が参加です。Give Me Your Love カーティスのナンバーを、ダラダラと演奏する少しだけダサ気味のアレンジですが元曲が良いのでダサくないですね。パーカッションとワウの入ったギターが好みです。We Can Be Friends これも Stuff の Gordon Edwards が参加で、ダミ声系ボーカル入りのジャズ・ファンクです。シングルカットもされているらしく、きちんとしています。パーカッションがアフリカン。Dirty Red これ好きです。私のFUNK, INC のイメージはこれです。アシッドな感じのするインスト・ファンクでワン・コード一発が延々と繰り返される工夫も何もないサウンドが最高です。I Can See Clearly Now
Johnny Nash で流行った曲です。元曲は優しく爽やかで、ここでも原曲のメロディーに忠実に演奏されていますが、原曲ほど爽やかでは無いとこが若干B級で好感。I'll Be Around これは元曲が The Spinners が正統派のメローなソウルナンバー。FUNK, INCではテンポ早めでポコポコしたパーカッションを入れながらのインストファンクにしています。The Spinners も1973年の同じ年の録音のようなので流行り曲をインストでやったようです。
 次いでアルバム変わり、SuperFunkからです。Message From The Meters 曲名からすると The Meters へのオマージュのようです。だるいテンポで重めのベースで Hangin' Out とサウンドが明らかに違います。コーラスも入ったボーカル曲で、サイケな雰囲気が好みです。ダサくないです。Goodbye So Long ブルース曲みたいなネーミングのオリジナルナンバー。ボーカルのクオリティが Hangin' Out より明らかに上がっています。うーんカッコ良くてセンス良いです。Hill Where The Lord Hides これは Chuck Mangione が元曲で、元の方はビッグバンド編成のフュージョンになっています。それをジャズ・ファンクで少しゴチャゴチャさせた感じにしています。ギターソロがフラメンコ・ギター風で少し凝った感じにしていてロッキーのテーマ風のバッキングが随所に出てきます。Honey I Love You オリジナルですが怪しい雰囲気の無いソウルです。良い曲なので何も書くことも思い浮かばずつまらない。いや良い曲です。Just Don't Mean A Thing 少しダサ目のソウル・ファンクになります。FUNK, INC のオリジナルですが、FUNK, INC の持つ少し暗めのダサいイメージとは違い明るい曲です。歪ませたギターの音は使いなれていないのかギターがダサ目で評価します。I'm Gonna Love You Just A Little Bit More Baby カバーナンバーを締めにしてますね。Barry White の原曲はポエトリー・ジャズ的な怪しいイントロからソウルに発展する壮大なアレンジが素晴らしい曲ですが、ここでも似たようなポエトリー・ジャズ的な怪しい更に低いローボイスのつぶやき、ソウルに発展はしますが原曲ほどの強弱はありません。
 やっぱり、FUNK. INC CHIKEN LICKIN' の方が微妙なダサ感があって怪しくて好きかもしれないです。FUNK, INCは、聴けば聴くほど味が出てくるような気がします🎶


vocals : Bobby Watley (3), Jimmy Mumford (3)
organ : Bobby Watley
guitar : Steve Weakley
electric bass : Gordon Edwards (1, 4, 6)
drums : Jimmy Mumford
congas : Cecil Hunt
tenor sax : Gene Barr

producer : David Axelrod (7 to 12), Ozzie Cadena (1 to 6)

【Hangin' Out】
℗ 1973 (Originally Prestige 10059)
Recorded at Van Gelder Studios, Englewood Cliffs, N.J. on December 1, 1972
1. Smokin' At Tiffany's (B. Watley, G. Barr, S. Weakley)
2. Give Me Your Love (C. Mayfield)
3. We Can Be Friends (B. Watley, C. Hunt, J. Munford)
4. Dirty Red (B. Watley)
5. I Can See Clearly Now (J. Nash)
6. I'll Be Around (P. Hurtt, T. Bell)

【SuperFunk】
℗ 1973 (Originally Prestige 10071)
Recorded at Fantasy Studios, Berkeley, CA (from Discogs)
7. Message From The Meters (L. Nocentelli)
8. Goodbye So Long (B. Watley, C. Hunt, J. Munford)
9. Hill Where The Lord Hides (C. Mangione)
10. Honey I Love You (B. Watley)
11. Just Don't Mean A Thing (B. Watley, C. Hunt, J. Munford)
12. I'm Gonna Love You Just A Little Bit More Baby (B. White)





  

2025年1月4日土曜日

Curtis Fuller / South American Cookin'

 

 1961年作の、Curtis Fullerがサン・パウロ、リオデジャネイロ、ブエノスアイレスに演奏ツアーにいって大成功を収めた記念に吹き込んだアルバムです。録音はツアー終了後のニューヨークで行われたもので「南アメリカにて録音は正しくありません」と、原田和典氏が、日本語解説のライナーノーツに書いてあります。しかし同じページの中で、曲目の下に「Recording Date 1961年、夏 南アメリカにて録音」と原版のライナーノーツを忠実にしたものが掲載されていますので、ライナーノーツの解説を書かれる人と構成、また校正をする人は別々にいて分業化されている状態がわかり面白く拝見しています。
 また、この南米ツアーのリオでの録音はFM盤「Jazz Committee For Latin American African」ケニー・ドーハム「Hot Staff From Brazil」で聴くことができるとのことで、そこらへんも、この録音にどう影響を及ぼしているのか、そのうち聴いてみたいとは思いながら月日が過ぎています。


 この演奏旅行はよほど楽しいものだったのだと想像させてくれるテンション上げ気味の楽しい演奏で、アルバムのジャケットも演奏旅行の料理もうまかったんだろうと想像させてくれる面白いジャケットで、アルバム名は音楽と料理をかけてのネーミングのようです。アルバム録音メンバーは、基本的にこの時のツアー・メンバーと同じですがベースは Ben Tucker からメッセンジャーズの同僚 Jimmy Merritt に変わっています。ちなみにメッセンジャーズは、1961年にカーティス・フラー、フレディ・ハバード、シダー・ウォルトンの三管体制にして Mozaic を録音しています。 Mozaic の録音は10月、このアルバムは8月ですから丁度ブレイキーのバンドで Village Gate に出演していて、まさにテンションはかなり上がっていたに違いありません。
 さてレビューしてみましょう。Hello Young Lovers は、1940~1950年代のミュージカル黄金時代のブロードウェイの人気ミュージカルを製作していた O.Hammerstein, Ⅱ-R.Rodgers の作品で、JJジョンソンの十八番の曲で、モダンの匂いがプンプンする明るい曲です。ピアノソロ以外は最初から最後まで Curtis Fuller が吹きっぱなしなので Zoot Sims の出番は有りません。少し残念。Besame Mucho スペインのピアニスト Consuelo Velázquez Torres の有名な楽曲で、日本でも昔のテレビでよく歌われていたので、ラテン処理されているのですがムード歌謡のように聞こえてしまいます。Zoot Sims は前半少しだけ出番があり、最後のテーマで控えめに絡みます。また最後のテーマに戻る前のドラムがベンチャーズみたいだなと何回聴いても思ってしまいます。Willow Weep For Me は、柳よ泣いておくれ の邦題のブルース・スタンダードでアーチストによる解釈の仕方で結構違いがでる名曲で最近注目して聴いています。これはリラックスしユーモラスな雰囲気で、各メンバーもゆったりとソロを取っています。One Note Samba イントロは Dave Bailey のサンバリズムのドラムから入ります。トロンボーンによく合うメロディーの曲かなと思います。作曲のアントニオ・カルロス・ジョビンのフルネームは Antônio Carlos Brasileiro de Almeida Jobim とメチャクチャ長いですね(曲には関係ありません)ボサノバではありますが、モダン・ジャズとしてのアレンジ処理されていて、米国ジャズメンによるジョビン・カバーでも早く取り入れられた演奏とライナーノーツで開設されており、なるほど以降のお手本のような演奏かと思いました。Wee Dot これも JJジョンソンの十八番の曲とのことで、本アルバムで最も高速でスリリングな演奏です。やっと Zoot Sims が大活躍で、早いパッセージでスイングする最初のソロで、この曲方向性が定まったような気がします。Curtis Fuller のソロも負けじと鋭いフレーズ連発です。Autum Leaves 世界的に有名なスタンダードでで耳慣れたメロディーです。最後に持ってくることで、セッションもこれで終わりだよ的な効果があるような気がします。
 一聴して音楽好きの集う「おでんバー」のマスターも、お気に入り登録してくれたのに私も満足のお勧め盤です🎶

trombone : Curtis Fuller
bass : Jimmy Merritt 
drums : Dave Bailey
piano : Tommy Flanagan
tenor sax : Zoot Sims

producer : Mike Berniker
recorded on August 23, 1961 in NYC.

1. Hello Young Lovers (O.Hammerstein, Ⅱ-R.Rodgers)
2. Besame Mucho (C.Velazpuez)
3. Willow Weep For Me (A.Ronell)
4. One Note Samba (A.C.Jobim, N.Mendoca)
5. Wee Dot (J.Johnson)
6. Autum Leaves (J.Kosma)



▶ Wee Dot


  

2025年1月3日金曜日

James Cotton And His Big Band / Live From Chicago Mr Superharp Himself !


 私がシカゴ・ブルースで最も好きなアーチストで、「ブルース・ハープ」と「だみ声」が素敵。Sonny Boy Williamson II から9歳の時に手ほどきを受け、1957年に Muddy Waters のバンドで Little Walter の後任のハーピストとして頭角を現し、1967年からソロでの活動がメインとなっています。James Cotton を聴いたのは、たぶんFMラジオでブルース特集をやっていた時。当時のカセットで録音したのが最初だったと思います。ロック小僧だったのですが、ホーンの入ったビッグバンドを聴くことはほぼなく、そのバンド全体のサウンドや、ハープの表現力が新鮮に聞こえました。
 そうやって、ファンになってしまってレコード屋で見かける度に揃えて何枚目にこのアルバムにたどり着いたのかはよくわかりませんが、これは 1986年のライブ録音で、James Cotton のキャリアとしては中盤、アブラギッシュ感満載の演奏の、シカゴの Biddy Mulligan's でのライブです。Biddy Mulligan's は、現在も存続しているアイリッシュ・バーです。(同一の店だと思っています)


 それでは聴き続けてきた熱いライブを再度聴きながらレビューします。Here I Am (Knocking At Your Door) 煽るオープニングの紹介でから始まるブギーで、タイトなリズム隊+ホーン部隊でキメが多め、ボーカル、ハープがしっかりメインの録音。Michael Coleman の基本ノーマルの軽い歪みのギターの音も、カッコ良いです。Part Time Love ディスコチックなベースリフでポップな印象があるものの、しっかりブルースしてて2曲目も上げてきます。ホーンが入るビッグバンド形式は音が厚くて聴きごたえ十分。Just To Be With You バラードまでいかないスローテンポのブルースで Muddy Waters でも有名な曲です。しんみりとしてますが、On a ship that's made of paper, I will sail the seven seas, Fight a shark with a toothpick 紙の船に乗って爪楊枝でサメと戦うぜとシュール。Hard Headed 1曲だけ前の曲でしんみりさせて、またジャンプしてきます。たたみかけるようなボーカルでグイグイと来るところがやっぱり素敵です。When It Rains It Pours タイトなリズムのブルース。雨が降る時はガンガン降るぜ、悪いことも連続するけど、良いこともいっぱいあるぜ と前向きソング。Cross Your Heart 伝統的ブルースを少しモダンなアレンジで演奏していて曲が進めば進むほど盛り上がります。Come Back, Baby ここでバラードがきます。哀愁のコード進行がしみじみと来て、ブルースハープが、このしんみりさに拍車をかけて聞き惚れます。Born In Chicago そしてバラードの次はあげるのが基本です。まさにシカゴ・ブルース。曲中ブレイク前のワーオの叫び声も興奮です。The Midnight Creeper ブルースハープの為のブルース James Cotton 本人の曲で、最高です。
 ホーンの入ったバンドで、グイグイと引っ張るタイトなリズム隊。アレンジは若干モダンンな感じで、ひたすら脂ギッシュでもないとこがこのアルバムの魅力でしょうか。ライナーノーツはペラペラですが、何百回聴いても中身は重厚なブルースのカッコ良い名盤です🎶

harmonica, vocals : James Cotton
piano : Eddie Harsch
bass : Noel Neal
drums  Ray "Killer" Allison
guitar : Michael Coleman
tenor sax : Douglas Fagen
trombone : Johnny Cotton
trumpet : Danny ''Boney'' Fields

producer : Bruce Iglauer
recorded by : Timothy Powell
recorded live, February 1-3, 1986 at Biddy Mulligan's, Chicago, Illinois

1. Here I Am (Knocking At Your Door)  (John Watkins)
2. Part Time Love (Clay Hammond)
3. Just To Be With You (Bernie Roth)
4. Hard Headed (Albert Atkins, Osee Anderson)
5. When It Rains It Pours (Bobby Patterson)
6. Cross Your Heart (Sonny Boy Williamson)
7. Come Back, Baby (Walter Davis)
8. Born In Chicago (Nick Gravenites)
9. The Midnight Creeper (James Cotton)





  

2025年1月2日木曜日

山下達郎 / On The Street Coner 1


 山下達郎が売れたら好きなことをやると決めていて、1980年の「RIDE ON TIME」のヒットで作られたアカペラ(ドゥーワップ)作品の第1作です。現在の手持ちは、CDとなりますが、最初に手にしたのはカセット・テープでした(当然、どこかに行ってしまって手元にはもうありません)CDのデッキが発売されたのは1982年ですから、最初はレコードとカセットで発売し1986年にCDで再販となったようです。
 この当時私はハード・ロック小僧でありましたが、この録音だけは、テープだけに擦り切れるほど、伸びるほどに聴きこみんだもので懐かしの音源です。昔は、このアルバムをカセットで聴いていると「あら、きれいな英語ねえ、日本人なの?へえ」と、私の英語の先生だった亡き母が言いましたが、ということは「セックス・ピストルズ」を、かけていても歌詞の中身までわかっていたのかと、お恥ずかしい。
 このアルバムは、かなりほれ込んでいましたので大人になってから、PC駆使してのダビングで私も一人アカペラの多重録音をまでしてしまいました。


 それでは懐かしのアルバムを聴きながらレビューです。You Belong To Me オリジナルは、第二次世界大戦で海外に従軍している愛しい人を思うアメリカ女性の願いを込めて「Hurry Home to Me」で Chilton Price が作曲したが、戦時下の歌から離れたラブ・ソングに書き換えた作品で Pee Wee King、Chilton Price、Redd Stewart の3人の共作とされています。Sue Thompson、Patti Page、Jo Stafford などが歌ってヒットした作品です。広がりのあるコーラスから始まり情感を込めた歌い方で最初のインパクトも相変わらず強力です。Close Your Eyes 吉田美奈子も参加しての掛け合いが魅力のラブバラードで、Chuck"King Of Stroll"Willis による作品。部屋を真っ暗にして聴くと迫力も満点です。Spanish Harlem これは Ben E King がソロになって最初に放ったヒット曲です。オリジナルはストリングが入っていますが、ここではシンプルな構成で、ピアニカによる間奏が郷愁を誘うアレンジとなっています。Alone アップテンポで軽く楽し気なコーラスが印象的な曲です。Shepperd Sisters の1957年ですが、Four Seasons 1964年のバージョンが、このアレンジの元とのこと。このアカペラをコピーしてみて自分で吹き込んだこともありました。Most Of All 1955年に Moonglows が発表した作品です。最後のサビの歌い上げに、特にこだわりを感じます。Remember Me Baby これも宅録でコピーしました。Barry Mann Cynthia Well の作品で、山下達郎氏は最も敬愛するソングライターとのこと。軽快な楽曲で素晴らしい曲ですがヒット曲ではなかったらしいです。Blue Velvet 切ないイントロで、その後の広がりも素晴らしい。沢山の人にカバーされている名曲ですが、1955年 Clovers の曲がこのアレンジの元であるとのこと。Wind Nolan 1954年の Nolan Strong & The Diablos のヒット曲で元曲はもっと長いですが、ここでは 2分10秒になっています。山下達郎氏が最初にアカペラにトライアルした曲とのことです。確かにアレンジはこのアルバムの中ではシンプル。Drip Drop このアルバムでは珍しく、手拍子、パーカッションなどを入れたリズミカルなアレンジで、ブルースベースですがポップなところもある曲になっています。That's My Desire 山下達郎氏のコンサートのクロージング・ナンバーにも起用されていたオールドな雰囲気たっぷりのスタンダードです。
 聴いている曲の数が、私たち凡人とは圧倒的に違うのがわかります。そのエッセンスを詰め込んでいただいたとのアルバムですので詰まらんわけがありません。ですが、セールス的にはほぼ失敗とwikiには書いてありました。私としては「大絶賛!!」で「第2作」より思い入れが強いです🎶

1. You Belong To Me
2. Close Your Eyes
3. Spanish Harlem
4. Alone
5. Most Of All
6. Remember Me Baby
7. Blue Velvet
8. Wind
9. Drip Drop
10. That's My Desire

山下氏の楽曲はおそらく著作権で youtube はダメなようです