2021年11月23日火曜日

本日のCD Bill Evans / Live At Art D'Lugoff's Top Of The Gate


 1968年10月23日のニューヨークのライブ・ハウス Village Gate (ビレッジゲイト)2階でライブのセットリスト通りに収録した完全未発表音源で1枚目は First Set、2枚目は Second Set なので曲順もそのままに収録されていて Emily、 Yesterdays、 'Round Midnight は両ステージでのセットリストに入っているのでその演奏を聴き比べもできるマニアにはなんとも嬉しい音源です。さらに最近の未発表音源では定番のメンバーやトップ・オブ・ザ・ゲイトの写真、当時のポスターが収録された28 頁のブックレットもついています。Art D'Lugoff は Village Gate のオーナーで1958年に160 BleeckerStreet の1階と地下にクラブをオープンし、全盛期には2階が Top Of The Gate と呼ばれるパフォーマンス・スペースになっていたのことで、Village Gate の録音での私の所有音源は現在他では B B King / Live & Well があり、ジャズが主体のようではありますがジミヘンなどの公演も行われていたようです。



 音源は、当時コロンビア大学の学生だった Resonance Records の社長 George Klabin (ジョージ・クラビン) が、カレッジFM局のために収録したものだそうです。各楽器のバランスも良く録れていて客席との距離感も適度にあり少し鮮明さに欠けるようには思えるが、発掘ライブ音源としてはかなり状態は良いと思います。

 さらに1968年10月はドラマーの Marty Morell (マーティ・モレル) が参加した直後の録音でもあり、ビルはリハーサルをしないと言われていることからも一緒の演奏経験は少ないはずだが見事にマッチした演奏ではないだろうか。Eddie Gomez (エディ・ゴメス) は1966年からビルとのコンビなので、遠慮も何もなくアタックの強いゴリゴリとした演奏。さらにこのライブでのエバンスはアタックの強い音で、男性的に豪快に前に前に突進するような力強い演奏が印象的です🎶🎹
 とにかく発表音源の多いエバンスの作品です。気になるので本アルバムでの収録曲が、どぐらい私の現在の市所有音源で演奏されているの調べてみました。California Here I Come のみが、今のところ、この盤のみでした。
・Witchcraft - Portrait In Jazz 
・Yesterdays - Live At Ronnie Scott's 
・California Here I Come
・Gone With The Wind - Piano Player 
・Turn Out The Stars - Some Another Time
・In A Sentimental Mood - Some Another Time
・Mother Of Earl - At The Montreux Jazz Festival
・Here's That Rainy Day - Alone

piano : Bill Evans
bass : Eddie Gomez
drums : Marty Morell

producer : Zev Feldman
recorded by George Klabin

recorded live at Art D’Lugoff’s Top of the Gate October 23, 1968 by George Klabin

【DISK1】
1. Emily (Johnny Mandel, Johnny Mercer)
2. Witchcraft (Cy Coleman)
3. Yesterdays (Jerome Kern)
4. 'Round Midnight (Thelonious Monk)
5. My Funny Valentine (Lorenz Hart, Richard Rogers)
6. California Here I Come (Al Jolson, Buddy G. De Sylva, Joseph Meyer)
7. Gone With The Wind (Allie Wrubel, Herbert Magidson)
8. Alfie (Allie Wrubel, Herbert Magidson)
9. Turn Out The Stars (Bill Evans)

【DISK2】
1. Yesterdays (Jerome Kern)
2. Emily (Johnny Mandel, Johnny Mercer)
3. In A Sentimental Mood (Duke Ellington)
4. 'Round Midnight (Thelonious Monk)
5. Autumn Leaves (Joseph Kosma)
6. Someday My Prince Will Come (Frank Churchill, Larry Morey)
7. Mother Of Earl (E. Zindar)
8. Here's That Rainy Day (Jimmy Van Heusen, Johnny Burke)


▶ Emily

  

2021年11月22日月曜日

本日のCD The Gadd Gang


 私のジャズ・フュージョンを聴き始めた頃に聴いていた、教科書のようなアルバムです。高校時代には、ロック小僧だった私が、腕を磨きたいとジャズ研に入ったは良いのですが、志はそれだけだったんで、ジャズなんて聞いたことが無いしフュージョンもあまり知らずの状態。最初に組んだコンボでは当時はやりのナベサダの曲を練習するものの、ジャズなんて聞いたことが無いので、その頃はいまいち感性に合いませんでした。何か面白そうなバンドが無いか探していた時にドラマーの家に行くとこれが置いてあって、ジャズっぽくソウルやブルースが強く感じられる演奏です。これだ!と思って自分も購入したんですが、実はガッド・ギャングでのコンボを作ることは出来ずに学生生活は終了しています。Staff(スタッフ)よりも先にGadd Gang(ガッドギャング)を聴いていたようにように思います。
 数多くのセッションで正確無比な緻密なプレイの Steve Gadd、個性派キーボードのRichard Tee、さりげなく、なでるような、いぶし銀のギターの Cornell Dupree。そして、ビル・エヴァンス・トリオやマンハッタン・ジャズ・クインテットの Eddie Gomez が加わって結成されたスーパーがつくフュージョン・バンドです。スタッフではベースは Gordon Edwards でした。


 Watching The River Flow はボブ・ディランのカバーでブルージーな4ビートにしてR&Bフィーリングいっぱいに、そしてリラックスした感じの一糸乱れぬ素晴らしいアレンジ。Way Back Home はクルセイダーズのカバーでグルービー。Duke's Lullaby は4分間のドラム・ソロで正確なリズムとバカテクにはやっぱり驚きですね。曲に仕上げてしまうってのも凄い。Honky Tonk / I Can't Stop Loving You はメドレーになっていますが、当時これを聴いてジャズって難しいと思っていたけど、こんな感じでなら俺にもできるかもって錯覚させてくれて Way Back Home とこの曲をギター・コピーしましたっけ。いやいや懐かしくて良いですね。
 でもこれを、行きつけの音楽好きの集う「おでんバー」に持って行っても、完成されすぎて面白みに欠けるとか思われそうな感じもします(それがこのバンドの凄いとこなんですけどねえ)🎶

drums : Steve Gadd
guitar : Cornell Dupree
bass : Eddie Gomez
keyboads : Richard Tee

bariton sax : Ronnie Cuber (1, 3, 7)
trumpet : Jon Faddis (7), Lew Soloff
trombone : Barry Rogers (7), David Taylor (7)
tenor sax : Michael Brecker, George Young (7)

producer : Kiyoshi Itoh

recorded at : Record Plant, N.Y.C.
recorded and mixed in June and August, 1986 by using SONY 3324 Digital Recorder.

1. Watching The River Flow (Bob Dylan)
2. Strength (R. McDonald, S. Gadd, W. Salter)
3. Way Back Home (Wilton Felder)
4. Morning Love (arranged by Richard Tee, composed by : Eddie Gomez)
5. Duke's Lullaby (Steve Gadd)
6. Everything You Do (Richard Tee)
7. Honky Tonk / I Can't Stop Loving You (arranged by horns David Matthews
composed by B. Doggett, B. Butler, C. Scott, D. Gibson, E. Grover, S. Shepard)





  

2021年11月19日金曜日

本日のCD Bill Evans Trio / On a Friday Evening

 

 1975年6月20日のカナダ・バンクーバーでの完全未発表ライヴ音源です。これは今年2021年の6月18日に日本先行リリースされた音源です。日本にビル・エバンス信者が多いとか、日本人はダウンロードではなくCD購入派が多いとか、そんな市場原理が働いたのでしょうか。日本人である私は思わず購入です。
 当時のラジオで放送された音源でそのオリジナル音源テープが今回の発売となったとのこと。所有者は2回変わっているとのことでマニアの間、密かに所有されていたものが世の中に出てきたんでしょうか、今年は更に1作品のリリースがある模様です。世の中にはこんなものがまだあるんですね。
 さてラジオ放送音源とのことで録音状態は良いのですが、ステージから比較的少し離れた席で聴いているようなマイク位置で、音量をあげないと臨場感に乏しいところが少し惜しいところでしょうか。そこがライブ盤の良いところかもしれないし、古びたラジオのような録音が間発表音源として出されることもあることを考えれば十分なレベルです。
 ライブの会場は、、カナダのブリティッシュコロンビア州バンクーバーのOil Can Harry's (オイル・キャン・ハリーズ)という1968年に設立されたクラブ。クラブはライブハウスとは違うようでお酒は提供されないらしんですが、とても雰囲気がよくてアルコールがあっても良かったんじゃないかとインタビューで言っていたとか


 このライブは1975年6月20日、この録音の7か月前のヨーロッパ・カナダのツアー中にドラマーのマーティ・モレルが脱退しています。ツアーはゴメスとのデュエットで後半を乗り切っています。1974年にレコード会社は Milestone から Fantasy に変わり1975年に入ってからは歌手トニー・ベネットとの共作なんかも発表し企画色の強い録音が多くなります。このトリオのドラマーの Eliot Zigmund は1975年1月にビレッジ・バンガードで初めて録音し以降のツアーに参加しています。アルバムでは1977年以降 Crosscurrents, I Will Say GoodbyeYou Must Believe in Spring なんかがあります。マーティ・モレルの緻密な演奏とは違った空間のある演奏です。エバンスはリハしない人で、ジグムンドは、でかい会場ではビビりながら演奏したとの記事も見ましたが、ここでは場所もあるんでしょうがリラックスしたとても良い演奏と思って聴いております。ちなみに Eddie Gomez はもう長いので実にメリハリのある素晴らしい演奏でエバンスが世界に入ったソロを続けていると、ベースで違う世界に自然にもっていくとこがすごいとこですね🎶🎹


piano : Bill Evans
acoustic bass : Eddie Gomez
drums : Eliot Zigmund

recorded live at Oil Can Harry's, Vancouver, Jun.20, 1975

1. Sareen Jurer
2. Sugar Plum
3. The Two Lonely People
4. T.T.T. (Twelve Tone Tune)
5. Quiet Now
6. Up With The Lark
7. How Deep Is The Ocean
8. Blue Serge
9. Nardis



Nardis


  

2021年11月17日水曜日

本日のCD Roy Hargrove Mulgrew Miller / In Harmony

 

 2018年に49歳で他界したトランペッター Roy Hargrove (RH)と2013年に57歳で他界したピアノニスト Mulgrew Miller (MM)の2人が残したライヴ音源。録音は2006年と2007年のニューヨークとペンシルバニアのホールでの公演。リリースは今年の2021年です。
 私がRHを知ったのは1997年の Habana からでアフロ・キューバンでラテン寄りのジャズが鮮烈だったんで、RHファクターの活動を知り、Hard Groove を聞いてトランぺッターはファンク系に行きつきやすいど、RHのその前はどんな音楽をやっていたのか?と1994年 With The Tenors Of Our Time を聴いてやっぱり出身はモロにジャズなのかと感心しました。この録音と同じ時期の2006年 Nothing Serious は Habana 寄りでした。まだまだ、RHの作品は聴きこんでいないので、この In Harmony のような全く違う音楽性のアルバムに出くわすと嬉しくなってしまいます。
 さてRHは最近色んなアルバムを聴きこんでいますが、Mulgrew Miller (MM)は余り耳にしたことが無いと思って調べてみたら、私の手持ちでは David Sanborn の Another Hand でタイトル曲と Dukes & Counts で既に聴いてはいました。1955年米ミシシッピー州グリーンウッド生まれで、R&Bからジャズに転じ77~80年までデューク・エリントン・オーケストラ80年からはベティ・カーターやウディ・ショウの楽団、84~86年からArt Blakey And The Jazz Messengers に在籍し、その後、トニー・ウイリアムス・クインテットや自身のトリオなどのセッションで活躍する方でした。なるほど、つまりは私は今は1950年代から60年代のアートブレイキーなんかは聴きこんでいるので、おそらく何れは聴きこんでいけば出会うであろう人でした。


 このアルバムでは二人だけでインタープレイを続けていくんですが、張りつめたものではなく、ゆったりとした温かな音楽的な語らいが感じられるもので、最初は2枚も延々と聴くのは少ししんどいかと思っていたのが聴きこむほどに世界に入っていける感じです。腰を据えた感じの伸び伸びと真っ向勝負でアドリブに興じさらっと晴れやかな風がそよそよと吹き時にはビュンビュンと飛ばしてくる掛け合いは素晴らしい。ただホールでの録音なので、ピアノの響きが少しオフ気味なので長く聴くにはちょうど良いのかもしれないがもう少し前に出てくれれば迫力が増して聴きごたえのあるものになっていたかもしれないと私は思います。
 日本語版43ページ、英語版45ページの分厚いアルバムのブックレットには様々なミュージシャンや、プロデューサーの言葉が寄せられているのも、このアルバムの特典です。かなりの読み応えですので、珈琲でも飲んでゆっくり聴きながらこの分厚いブックレットを読めばほっこりできること間違いなしです。
  
 

trumpet, flugelhorn : Roy Hargrove
piano – Mulgrew Miller
producer : Zev Feldman,  Larry Clothier

【Disc1】
1. What Is This Thing Called Love?
2. This Is Always
3. I Remember Clifford
4. Tristeza
5. Invitation
6. Con Alma

【Disc2】
1. Never Let Me Go
2. Just In Time
3. Fungii Mama
4. Monk's Dream
5. Ruby, My Dear
6. Blues For Mr. Hill
7. Ow! (Encore)




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2021年11月16日火曜日

本日のCD 渡辺貞夫 / Birds Of Passage


 キャスターの無い昔のでっかい旅行鞄を携えてます。旅をテーマとしたナベサダの音楽性が一杯詰まった1987年作のアルバムです。渡辺貞夫というとブラジル音楽のようなイメージがありますが、これもまた渡辺貞夫らしく時代を反映したフュージョン的な明るいライトな音のつくりです。
 我々の世代はナベサダと言っておりましたが、若い人とナベサダ話していたら「誰ですか?」、渡辺貞夫を知らんか・・そうだよね、ところが「いえ、ワタナベ・サダオなら知ってます」そうか世界のナベサダと言っていたのは、我々の世代で終了。多分そこで世界のナベサダって言ったら「世界のナベアツ(これも古い)」なら知ってますよって言ってくれないか。私が実際に見たことがあるのは、北海道勤務時代の札幌シティジャズフェス芸術の森でした。渡辺貞夫ビッグバンドで指揮だけして吹かないで姿だけでした。
 

 冒頭の Round Trip 続くPastral と旅に出る前の未知の世界への期待感を思わせる楽曲で難しいことはやってなさそうですがテーマの旋律が単純だががっちりと心をつかまれます。そして Salvador にくると、こんな感じが私のイメージするナベサダ・サウンドが展開されます。続く Hubert Law のフルートから始まるボサ系の Just A Touch でナベサダのアルバムだと再認識、フルートのソロはもっと長尺で聴きたかった。そして Burung Burung "Birds" は曲名からは激しいのかと思いきや、そうでもない。小鳥が餌を探して歩き回っているかのような可愛らしい曲で、ジョージ・デュークがシンセ。そしてどこかで聴いたことのあるホルンのフレーズ思ったら Fredie hubbard で今回の再聴で発見です。そしてタイトル曲である Birds Of Passage で少し雰囲気は変わります。鳥が飛び回るかのようにナベサダが気持ちよく吹いていますのでナルホド。とそこで Chaser になってアルバムの最初の方の楽曲に近いフュージョン・サウンドに戻り、最後を飾る Tanza Night ですが、アフリカ系のリズムから始まりジャズ系サウンドになり最後はアフリカ系コーラスで大団円。このアルバムで一番凝った作りになっています。LAフュージョン風の楽曲が多いこのアルバムできっちりとナベサダ・サウンドで締めてくれています🎶🎷

producer : Akira Yada (1, 2, 7, 8), George Duke (3 to 6), Sadao Watanabe (1, 2, 7, 8)

1. Round Trip
sax : Sadao Watanabe
keyboards : Russell Ferrante
bass : Abraham Laboriel
guitar : Dan Huff
drums : Vinnie Colaiuta
percussion : Alex Acuna
2. Pastral
sax : Sadao Watanabe
keyboards : Russell Ferrante
bass : Abraham Laboriel
guitar : Dan Huff
drums : Vinnie Colaiuta
percussion : Alex Acuna
3. Salvador
sax : Sadao Watanabe
synthesizer : George Duke
keyboards : Russell Ferrante
bass : Abraham Laboriel
guitar : Paul Jackson Jr.
drums : Carlos Vega
percussion, backing vocals : Paulinho Da Costa
4. Just A Touch
sax : Sadao Watanabe
synthesizer : George Duke
keyboards : Russell Ferrante
bass : Abraham Laboriel
guitar : Paul Jackson Jr.
drums : Carlos Vega
percussion : Paulinho Da Costa
flute : Hubert Law
5. Burung Burung "Birds"
sax : Sadao Watanabe
synthesizer : George Duke
keyboards : Russell Ferrante
bass : Abraham Laboriel
guitar : Paul Jackson Jr.
drums : Carlos Vega
percussion : Paulinho Da Costa
flugel horn : Fredie hubbard
6. Birds Of Passage
sax : Sadao Watanabe
keyboards : Russell Ferrante
guitar : Paul Jackson Jr.
drums : Carlos Vega
percussion : Paulinho Da Costa
7. Chaser
sax : Sadao Watanabe
keyboards : Russell Ferrante
bass : Abraham Laboriel
drums :  John Robinson
percussion : Alex Acuna
8. Tanza Night
sax : Sadao Watanabe
keyboards : Russell Ferrante
bass : Abraham Laboriel
drums :  John Robinson
percussion : Alex Acuna
sax : Sadao Watanabe
flute : Hubert Law





  

2021年11月15日月曜日

本日のCD New York Voices / What's Inside


 ボーカル・グループは他では Take6 ぐらいしか持っていませんが、このニューヨーク・ボイセズの What's Inside も人の声は素晴らしい楽器であることをを感じさせてくれました。流れるような清々しさで、アレンジが自然過ぎてアクが全くないせいでしょうか?実力的にはピカ一なのにマントラとかの派手さが無くて地味な存在でマイナーなイメージです。と思うと昔聴いていたマントラのバード・ランドを持っていないことに気が付きました。昔はカセットかなんかで聴いていたんでしょうか。アルバムで聴きたいですね。中古であるかどうか?タワレコか・・

 

 アルバム内容では、選曲、仕掛けとも実にくすぐるものがあります。まずはマイルスのAll Bluesから入り楽曲アレンジとボーカルハーモニーの素晴らしさに聞き入りこの曲の Claudio Roditi のトランペット・ソロもまた素晴らしい。また大好きな Bill Withers の Ain't No Sunshine ではあの名曲のアレンジに感動。Oh, Lady Be Good ではエラ・フィッツ・ジェラルドのスキャットの引用は本人がいるかのような嬉しい仕掛け。Silence of Time のア・カペラも透明感が際立ちます。
 思うんですが、このグループの実力がものすごく高いが故に元の楽曲のクセを消しながらあまりにもサラッと聴かせてしまいます。そのためにこのグループは当たり前に聞こえて知って地味に思えてしまうんだと思います。しかしこれがこの人たちの個性であり、テクニックとアルバムの出来の良さにビックリしながらも反比例した地味さを感じるのが、何かが心の中でひっかかてモヤモヤします。1993 GRP Records からの発売🎶🎼

【vocals】 
Caprice Fox
Darmon Meader
Kim Nazarian 
Lauren Kinhan
Peter Eldridge

produced by Jeffrey Lester
recorded at RPM studio  

1. All Blues
piano : Andy Ezrin
bass : Will Lee
drums : Tommy Igoe
alto sax, tenor sax : Darmon Meader
trombone : Jay Ashby
trumpet : Jim Hynes
trumpet, soloist : Claudio Roditi
2. Do You Wanna Know What I Want?
lead vocals : Lauren Kinhan
keyboards : Andy Ezrin, Eve Nelson
bass : James Genus
drum programming : Eve Nelson
drum programming, cymbal : Tommy Igoe
tenor sax : Darmon Meader
3. Ain't No Sunshine
lead vocals : Caprice Fox
keyboards, strings : Andy Ezrin
guitar : Peter Calo
bass : Randy Landau
drums : Tommy Igoe
percussion : Jay Ashby
tenor sax : Darmon Meader
4. Oh, Lady Be Good
Scat, Soloist : Darmon Meader, Ella Fitzgerald
piano : Andy Ezrin
acoustic bass : Randy Landau
drums : Tommy Igoe
5. Skin
guitar : Mitch Stein
bass : Randy Landau
cymbal, drum machine : Tommy Igoe
drum programming : Jean Baptiste Boclé
6. Silence Of Time
7. Traffic Jam
lead vocals : Peter Eldridge
keyboards : Andy Ezrin
lead vocals : Darmon Meader
bass : Randy Landau
drums : Tommy Igoe
8 Open Invitation
lead vocals : Kim Nazarian
piano : Bill O'Connell
guitar : Romero Lubambo
bass : Leo Traversa
drms : Duduka DaFonseca
trombone, percussion : Jay Ashby
9. Forever Workin' It Out
lead vocals, keyboards : Peter Eldridge
keyboards : Katreese Barnes
guitar : Mike Campbell
bass, drum programming, guitar : Jerry Barnes
percussion : Steve Kroon
tenor sax : Darmon Meader
10. The Sultan Fainted
lead vocals : Kim Nazarian
piano : Andy Ezrin
electronic wind instrument : Darmon Meader
programmed : John Tendy
bass : Leo Traversa
drums : Tommy Igoe
percussion : Jay Ashby
11. Prelude / Interlude
piano : Peter Eldridge
soprano sax : Darmon Meader
synthesizer : Andy Ezrin

2021年11月14日日曜日

本日のCD Gil Scott-Heron / Sprits


 購入当初は、実はほぼ好みではなかった為ほとんど聞かずにいましたが、最近は何か気になってしまって「たまに」聞くアルバムです。アルバム名が Sprits というだけあって、何かに取りつかれたようなスピリチュアルで不気味な雰囲気がします。
 と言うことで調べるとなるほど!実は彼はもともと詩人でポエトリー・リーディングという手法をとっていること、また黒いボブディランとも呼ばれていたことが判明しました。どうやら、そのリーディングの手法からかラップの元祖的な存在でもあるようです(リズムは無いのでラップの亜種のような気もしますが)
 1949年、イリノイ州シカゴ生まれ。テネシー州ジャクソンで祖母に育てられたが、13歳でニューヨークに移住。12歳になるまでに2冊の本(The Vulture, The Nigger Factory)や詩集を出版している。何やら幼少のころから凡人とは違う経歴です。そんな彼の世界観は音楽界でも独特のオーラを発しております。その後はリンカーン大学在学中にブライアン・ジャクソンとブルースバンドを結成。70年アルバム「スモール・トーク・アット125thアンド・レノックス」をリリースし、同名の詩集を出版。ジョン・ホプキンス大学で創作の修士号取得。1976年アルバム「イッツ・ユア・ワールド」、1981年「リフレクションズ」、1994年「スピリッツ」、2010年「アイム・ニュー・ヒア」などをリリース。確実に普通の人ではないようです。

  

 デジタルなバックミュージックに低い声で朗読される Message To The Messengers どヘヴィなジャズに無国籍なボーカルの Spirits、都会的なスローテンポのソウル風の楽曲が普通かと思えば、ローボイスのボーカルが独特な Give Her A Call、爽やかな楽曲でも何かドロリとしたダークな質感が全体的に漂うのが不気味です。The Other Side part3 ではサンタナ的な楽曲とギターで盛り上がり、ジャコ的なベースラインあたりは唯一、普通を感じました。
 70年代を中心に活躍した天才も病気のためニューヨークの病院で2011年5月27日に61歳で死去されています🎶

piano, vocals : Gil Scott-Heron
piano : Brian Jackson,Kim Jordan, Malcolm Cecil, Vernard Dickson
guitar : Ed Brady
bass : Fima Ephron, Malcolm Cecil, Rob Gordon
drums : Rodney Youngs
percussion : Larry McDonald, Tony Duncanson
sax : Leon Williams, Ron Holloway
flute : Ibrahim Shakur

1. Message To The Messengers
2. Spirits
3. Give Her A Call
4. Lady's Song
5. Spirits Past
6-8. The Other Side part1-2-3
9. Work For Pieace
10. Don't Give Up





  

本日のCD Stuff


 スタッフのファーストは「Stuff」1976年のアルバムです。Gordon Edwards (ゴードン・エドワーズ)、Richard Tee (リチャード・ティー)、 Steve Gadd (スティーブ・ガッド)、Christopher Parker (クリストファー・パーカー)、 Eric Gale (エリック・ゲイル)、Cornell Dupree (コーネル・デュプリー) が参加する夢のようなバンドです。フュージョンですが、音楽性は歌の入っていない R&B、ソウルが主体でこんなバンドがやりたいとジャズ研に入ったときに思ったんですが、残念ながらリチャード・ティーがいなかった。そんな当時売れっ子のスタジオミュージシャンで結成されたんですが、2021年現在の存命はGordon Edwards、Christopher Parker、Steve Gadd  の三人だけになってしまいした。


 改めて聴き直して肉声の代わりを楽器がやっているだけのR&B、ソウルであるのが、心地よくかっこいい音です。Steve Gadd、Christopher Parker のドラムは細かいビートの方と基本的なリズムの二人が叩いているのは注意すれば聴き分けられますが上手すぎるので、どちらがどちらかは聴き分けられませんが、このバンドのグルーブはこのツインドラムによって牽引されているのがわかります。それに大好きな Richard Tee の跳ねるようなオクターブ奏法によるキーボードのソウル・ゴスペル的なフレーバーが加わります。そして Cornell Dupree、Eric Gale のハートフルなギター、特には Cornell Dupree のなでるようなオブリで最高の味付けをしながら、ボーカルがいない分ギターで歌っちゃいます。
 スタッフの始まりはニューヨークのクラブ、Mikell's (ミケールズ)  でのセッションのレギュラーメンバーが中心で、ゴードン・エドワーズが結成したセッション・バンド「エンサイクロペディア・オブ・ソウル」が母体で、ガッドギャングはこのバンドが解散後、スティーブ・ガッドがメンツを集めて結成されました🎶

keyboards : Richard Tee
guitar : Cornell Dupree, Eric Gale
bass : Gordon Edwards
drums percussion : Christopher Parker, Steve Gadd

1. Foots
2. My Sweetness
3. (Do You) Want Some Of This
4. Looking For The Juice
5. Reflections Of Divine Love
6. How Long Will It Last
7. Sun Song
8. Happy Farms
9. Dixie / Up On The Roof

Foots