2022年11月20日日曜日

Thelonious Monk / Monk

 

 1962年 Riverside から Columbia へ移籍し、レコーディングには予算と日程が十分にかけられるようになったので、このような贅沢な録音期間がとれるようになり、このアルバムは 1964年3月~10月にかけての Columbia のスタジオで録音されたアルバムだがセッションはたったの3回であったらしい。
 録音の1964年はモンクの最もノリにのっていて忙しかった時期で、1964年1月~3月に It's Monk's Time を収録、その後すぐに3月からレコーディングしたのがこのアルバムという訳です。


 数年前まではモンクはあまり聴かずに知らなかったクセにこんなことを言うのはおこがましい気がしますが、この時代のモンクは金と時間と時間もあるのでかなり安定した演奏で、モンクのぶつけるような音階と不安定さが好きな私にとってこのアルバムは快作であることは理解できるのですが若干物足りなくも感じます。
 さて、このアルバムの中身です。スタンダードとオリジナルで構成されています。1曲目はガーシュインの Liza でダンサブルなナンバーですが小気味よいリズムに合わせてモンクの違和感のあるコード進行がマッチしていてポップさもあるかっこいい仕上がりです。2曲目 April In Paris はエリントンですか。最初はソロでしっとりと聴かせるこの曲は Himself なんかでも演奏されていてモンクのお気に入りの曲とのこと。調べていたら Genius Of Modern Music の Vol 1にも収録されているとのことなので未だ私のコレクションにはいいていないのでどっかで手に入れます。そして3曲目は Children's Song は童謡で日本ではチューリップですね。こんな遊びを入れてくるところに余裕を感じます。続く I Love You もスタンダードで1928年のルディ・バレーによるヒット曲です。ラグタイム風な曲なのでホンキートンクなピアノで弾けばもともとモンクっぽくなってしまうのでノスタルジックなメロディーはモンク流の処理は浅めです。Just You, Just Me もスタンダードで1929年にジェシー・グリアによって作曲された曲で、これは意図的なモンク・コードががっちりと挿入されていて、ここまでやっていると気持ち良いですね。Live At The It ClubThe UniqueMonk's Mood などにも収録のお馴染みの曲。Pannonica は Monk's Mood Criss-Cross Alone In San Francisco などにも収録さていますが、Briliant Corners が初演とのこと。時代とメンバーによる演奏の変化は後でじっくり聴きこんでみます。Teo は Live At The It Club にも収録されていますが、プロデューサーのテオ・マセロ Teo Macero に捧げられた曲で、どんな人物だったかはよく知りませんが曲イメージからするとノシノシとした大男のような感じがします。
 全体的には陽のモンクがここにいて、オリジナルのライナーノーツは、ビル・エバンスが書いていて「このアルバムを聴く時、絶対に真似のできないパフォーマンスだということがあなたにも分かるでしょう。その比類なき高貴な美しさに圧倒される」と絶賛しているようです。


piano : Thelonious Monk
bass : Larry Gales
drums : Ben Riley
tenor sax : Charlie Rouse

producer : Teo Macero
recorded at Columbia Recording Studios
originally released in 1965.

1. Liza (All The Clouds'll Roll Away)
2. April In Paris (Take 6)
3. Children's Song (That Old Man)
4. I Love You (Sweetheart Of All My Dreams)
5. Just You, Just Me
6. Pannonica (Re-take 2)
7. Teo
【Bonus Tracks】
8. April In Paris (Take 1)
9. Pannonica (Take 2)
10. Medley: Just You, Just Me/Liza (All The Clouds'll Roll Away)





  

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