2024年1月6日土曜日

Yousuke Onuma / GNJ


 私は2015年からギターを弾くのにピックを使用していません。アコギをメインにしてブルースやジャズをつま弾くスタイルにしています。きっかけとしては還暦を超えてデビューのブルース・ギタリストの「濱口裕自」氏と、この人「小沼ようすけ」氏です。スタイルは全く違うフィンガー・ピッカーで、「濱口裕自」氏はブルースやラグタイムを基本としてジャズやクラシックもアレンジして弾くタイプで、「小沼ようすけ」氏は、ピックで弾くようなフレーズを指で弦をはじいて出すタイプのギターです。タイプは違えど指で弾く音は弾き手が表情が細かくつけられるのでより楽曲の表情がくっきり出ます。両者ともソロ・ギターが得意であるというのは共通点ですね。
 「小沼ようすけ」氏との最初の出会いはギターマガジンに連載していた「HOP STEP JAZZ」でジャズ・スタンダードを2音のアレンジから3ステップで展開していくシリーズ連載でした。そこから 氏のYouTube で演奏を見て、CDを購入するようになり指でも訓練次第でいろんなことができるのを理解しました。ギターに語り掛けるように音楽を作り出し、別の側面から我々アマチュア・ギタリストに、こうやればギターってもっと理解できて楽しいんだよと教えてくれているようで、私のソロ・ジャズ・ギターの師匠のような存在です。


 4年ぶりの録音となったアルバムのタイトル「GNJ」はGreen Note Jazz の略。ジャズの音を表すBlue Noteに、小沼ようすけがここ数年意識しているオーガニックでナチュラルな音を掛け合わせた造語「Green Note」
 さて、レビューしていきましょう。 Jungle ピックで弾くようなカッティングで始まるイントロですが、よく聴くとピックではないような、ゆるいアタックであることが何となくわかります。曲調としてはフュージョンのようなライトな曲ですが、パーカッションがピリリと効いていて小粋な曲です。続く June 7th は、もう少しジャズしてます。ゆび弾きならではの、コンプレッサーがかかったような粒立ちの良いギターの音色でシングル・ノートとアルペジオ、カッティングを行き来しながら最後はジプシー的になりながら目まぐるしい展開です。Bamboo / Tonlé Sap これは、好きなゆっくりパターン。バラードなのでしょうが、ゆったりした曲です。ゆっくりと音を確かめるかのように貯めて音を紡いでゆくような構成と音と音の間に音楽があります。Impressions もパーカッションを押し出したイントロのコルトレーンナンバー。始まるとオットとなります。小沼氏のオリジナルも良いですが、こういったスタンダードが出てくるとグッと身近に感じます。いやカッコ良いです。ホント。Super Moon で、小沼氏オリジナルに戻ります。厳かなイントロはベースから童謡のようなメロディーラインのイントロ。バリ島のウドブで月夜に出来た曲だそうで、なんともロマンチックなメロディライン。これぞ小沼節のような曲でしょうか。すごく良い。What A Wonderful World 教則本でも取り上げていただいた名曲。とても素敵なイントロから始まり、アコギの持つ音色の多彩さも駆使しながら噛みしめるように弾かれています。スタンダードは、分解しながら色々な肉付けをしていく教則本を思い出しました。Sketch Of 60s 曲の名の通り、60年代のジャズ・テイストのモダンな楽曲です。映画のように音に色々な表情を付けている雰囲気がとても素敵です。カラカラとフィルムの回る音が効果音であっても似合う楽曲ですね。I Think It’s Going To Rain Today は、Randy Newman のスタンダード。ライナーノーツには、グレーがかった色のような空気感をとのこと。なるほどグレーなモノクロの暖かさのような音の色を感じます。耳に覚えのあるメロディーというのは新しく聴く曲よりも何か違う感情を呼び起こしてくれるような気がします。後半の静かな盛り上げ方もズンと心に来ます。Explorer Personnel は、パーカッシブなギターが印象的な曲です。最近色々な音楽を聴き、トランぺッター、ピアニストのリーダーアルバムも良く聴きますが、ギターの音って、やっぱり好きです。「新しいを求めてドキドキする感覚、スリリングを、そしてホッとする感じ、できたばかりの仮のタイトルは2014でした」とのこと。
 丁寧に音を紡いで丁寧にアルバムも構成していくという印象を受ける好アルバムです。ファンであるということが良さを更に倍増させてくれます。今後も愛聴していきます🎵

guitar : 小沼ようすけ
acoustic bass : 金澤英明 (3, 4, 5, 7, 8)
electric bass : 鈴木正人 (1, 2, 9)
drums : 坂田学 (1, 2, 5, 7, 8)
percussion : 仙道さおり (1, 2, 3, 4, 5, 7, 9)

recorded & mixed by Takaoki Saito

executive producer: Tadashi Shimizu

recorded at LANDMARK STUDIO on June 18-19, 2014

1. Jungle
2. June 7th
3. Bamboo / Tonlé Sap
4. Impressions
5. Super Moon
6. What A Wonderful World
7. Sketch Of 60s
8. I Think It’s Going To Rain Today
9. Explorer Personnel





  

1 件のコメント:

  1. 私もジャズフュージョン大好きです。小沼ようすけ、良いですね!
    記事アップありがとうございます😊

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