2022年2月19日土曜日

Robert Glasper / Double Booked

 

 ロバート・グラスパーは雑誌などで知っていたのですが、なんとなく聴くことがありませんでした。しかし私もピアノの練習を始めたので俄然ピアニストにも興味が湧いてきましたし、あれだけ雑誌で高評価を得ているピアニストなのだから聴いてみようかと重い腰を上げてみました。中古CDでの購入ですが、このアルバムの他にアコースティックのトリオ作品も仕入れていますが、それは未だ聴いていません。
 さて購入して最初に聴くのはいつもの「おでんバー」です。マスターに今日はなんか持ってきた?と聴かれ今日は土曜日なんで中古屋とかタワレコに行って大量です。と言いながら本日に聴きたい3枚を選びます。マスターにロバート・グラスパーは聴いたことあります?と尋ねるとマスターも先入観で聞いてみようと思ったことはないとのことなので、強制的に聴かせることにします。確かこの日はモロジャズは避けて The Headhunters と Esperanza Spalding を選択していたかと思います。


 聴き始めると予想外にも普通にトリオのジャズが始まります。コンテンポラリー、ソウルジャズとの先入観があったので、かなり意外でした。そこでライナー・ノーツなどを見てみると本作はロバート・グラスパーのブルー・ノートからの第3作目となる2009年作品でアコースティックとエレクトリックを半分ずつを収録しグラスパーの2面性を表現しているとのこと。なるほど前半戦は静かに聴いていろとのことだなと、マスターにお酒のお代わりを頼みます。おそらくこの手の幾何学的な旋律が混じったピアノは好きではないだろうと思いつつモンクの Think Of One が始まった後に、少し反応していたようなので、マスターどうですか?と聴くと未だ好みかどうかは良くわかりませんとのことです。あまり好みではないがモンクの曲だけは聴いてから判断したいと私は受け止めました。私はどうかと言えば、どちらかと言えば好みの方ですがインパクトには欠けるので愛聴まで行くかと言えばそうでもない感じです。
 Trio によるモンクが終了すると Experiment 短いラップが始まりました。一瞬にして終わりますが、マスターには後半はエレクトリックとは敢えて言っていなかったので反応を見ると以外にも身体を動かしているのが見えます。マスターは、ジャズ好きではありますがノイズも聴けば演歌や浪曲もあり、フリージャズは好物の人なので意外なところに反応することがあります。後半はラップだけではなくエレクトリックな楽曲でボコーダーを入れたりして
ます。アプローチはジャズ的なものもあり前半戦に通ずる幾何学的なグラスパーの音楽性を感じ、私の感想としては嫌いではないないですがのめりこむほどの刺激は感じませんでしたが、グラスパーのアルバム自体はもう少し色々なアルバムを聴いてみたい興味は湧き、もしかしたら来年になったら傑作だと言っている可能性はありかもしれません。
 これを書きながら、ネット記事を見ていたら前作は傑作であり、この後のアルバムの Black Radio はHipHop系ながらも傑作だとも言われているようですので、そこらへんも聴いてみたく思います🎵

producer, piano, electric piano : Robert Glasper
double bass : Vicente Archer (1 to 6)
bass guitar : Derrick Hodge (7 to 12)
Drums : Chris Dave
sax, vocoder : Casey Benjamin (7 to 12)

Recorded and mixed at Systems 2 Studios

【Trio】
1. Intro / Voice – Terence Blanchard
2. No Worries
3. Yes I'm Country (And That's OK)
4. Downtime
5. 59 South
6. Think Of One / written by  T. Monk

【Experiment】
7. 4eva / rap, Vvcals : Mos Def, voice : Ahmir '?uestlove' Thompson
8. Butterfly / witten by B. Maupin, H. Hancock, J. Hancock
9. Festival
10. For You
11. All Matter / vocals : Bilal
12. Open Mind / scratches : Jahi Sundance, vocals : Bilal





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2022年2月18日金曜日

Jazz Powers


 これも、私がアシッドジャズにはまるきっかけのコンピで、思い出深いかなりの愛聴盤です。基本的にオムニバスは、ほぼレーベルの企画者と聴き手である自分の相性であり、感性が一致すればお買い得であり、自分の聴く音楽の幅を広げる良いきっかけとなる典型で、その点でばっちりとハマった作品です。

 レーベルは Triad という Nippon Columbia の子会社です。「1981年5月、レコード会社外から優れた才能を有した制作スタッフを積極的に起用、自由で個性的な制作集団を目指し、日本コロムビア内のレーベルとして発足した。その第一弾として、当時チューリップの財津和夫氏を外部プロデューサーとして迎えていた。「TRIAD」とは、三つの和音を表す言葉で、当時ではまだ珍しかったサウンドプロデューサーを起用し、アーティスト、メーカーの三者が三位一体となってヒット作りを目指すことを示している。その後、1992年にTHE YELLOW MONKEY、1996年にTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTを始め、数多くのバンドが同レーベルよりデビューし、日本有数のロックレーベル「TRIAD」を築き上げた。」とのこと。
 多分試聴して気に入ったから購入したんだとは思いますが、間違いなく購入当時に日本のアシッド・ジャズバンドのコンピだとは気づいてはいませんでした。ジャケットデザインも凝っていて曲名が缶バッジ風になっているのが素敵です。こういうところで、丁寧に作ったのか寄せ集めただけなのかというのもわかります。 
 このアルバムの発売は1993年で、再販が1995年と書いてありますのでそこそこは売れたんでしょう。こういうのは、もっと流行って欲しいもんで、知らないだけで日本の音楽シーンも素晴らしい進化をしています。三味線と英語ラップのLafura & Paul Jackson「Ice Breaker」なんかは日本じゃなくて世界を意識してるんだろうなとニヤリ🎵

1. Cub / Driv
2. Soulmat / Peaceful Morning (La-La's Song)
3. Escalators / Togetherness
4. Cycle / Quiet Blue
5. Lafura & Paul Jackson / Ice Breaker
6. J-Squad / Spy Hole
7. Little Big Bee / Sunshine
8. The Apollo's / Cool Swing
9. Labeija / Ball Of The X.T.C.
10. Hot Juice / Who Made You Believe So

producer : S-Ken





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2022年2月17日木曜日

Greater Emmanuel Mass Choir / The Sun Will Shine Again


 肉声の感動的なコーラスの広がりが素晴らしいゴスペル。本アルバムはライブではなくスタジオ録音でシカゴの River North Studios とデトロイトの MI で録音されています。
 グループの名前 Greater Emmanuel Mass Choir の名の通り、このゴスペル・グループは Greater Emmanuel Church は、ミシガン州 デトロイトのバプテスト教会で、ライナー・ノーツにはGreater Emmanuel Church Familyに感謝と書いてあります。私が最初に見た時は牧師と奥さんがコロナの話をしていましたが、久しぶりに見たらミサの配信をやっていました。奥さんの説教は迫力でした。
 

 このアルバムに収録の曲は、ほぼキーボードの Michael Brooke という人の作曲で、ソリストのシンガーの方々も素晴らしいので検索したら Karen Clark Sheard はゴスペル部門でのグラミー賞受賞、James Moss もシンガーとして先生として活躍しておられる方々でした。
 ゴスペルと言えば私のコレクションの中では本格的なものとしては Mahalia Jackson のGospels Spirituals & Hymns、Aretha Franklin の Amazing Grace The Complete Recordings などを聴いていますが、このアルバムは楽曲のアレンジもポップな感じで非常に聴きやすくエネルギー溢れる歌声はとても元気がもらえるので、気に入っていて繰り返し聞いています🎵

keyboads :  Michael A Brooks, Greg Pearson
organ :Rex Houston, Greg Person, Michael A Brooks
drums :John Wyatt, Charles Harris, Rick Pender
bass :Terrance Palmer
guitar :Reggie McTan

exective producer Joe Thomas
produced by Michael A Brooks Young
all songs recoeded and mixed at River North Studios, Chicago and Studio A,Detroite, MI 

1994 CGI Records

1. The Sun Will Shine Again
2. Greater Emmanuel
3. Find A Way
4. He's Coming Back Real Soon
5. Get The Glory
6. What A Wonderful Change
7. Come Let Us Worship Him
8. Destroy Every Yoke
9. Soon And Very Soon
10. Greater Emmanuel (Reprise)
11. Let Him Be Exalted





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2022年2月14日月曜日

George Benson / Give Me The Night


 大御所Quincy Jones (クインシー・ジョーンズ) が全面プロデュースした1980年リリースの世紀の傑作アルバムと言われる50万枚以上を売り上げ、グラミー賞で3部門を受賞する大ヒット作。楽曲、構成、録音、録音メンバーとも全てにおいて素晴らしい完成度で、ジャンルにとらわれない音楽が魅力の作品です。
 発売当時、私この頃はこの分野は全く興味が無い分野であったのですが耳に沁みつくぐらいラジオなどでずっと流れていました。なので私 Benson はコンテンポラリーのギタリストだとずっと思っていて、もともとはジャズ系の大御所であるとは薄々しか理解していませんでした。そんな勘違いをさせてくれたのは、やはりクインシーという人のプロデュースが大きいことは間違いなく、この当時のクインシー・プロデュースで、作品提供が Rod (ロッド・テンパートン) という布陣は、このアルバムの前年に発表された Michael Jackson (Off The Wall) と全く同じでクインシーは成功の方程式をここら辺でも築き上げていたようで今聴いても昔の懐メロっぽい哀愁は全く感じられないのが凄いですね。また Herbie Hancock、Lee Ritenour、Louis Johnson、Richard Tee などのお馴染みの大御所が参加しているのもゴージャスで捨て曲も無し。

 

 ベンソンといえば Ibanez や Fender から出ている Signature Model もアルバムを聴きながら欲しいとは思っていました。購入はしていないんですけどギターと言えば Ibanez から出ている hot-rod-deluxe なんかは値段もお手頃だったんで結構迷ったことがありますね。ベンソン信者ではないんですけど🎵 

vocals guitar : George Benson 
vocals : Patti Austin
backing vocals : Diva Gray , Jim Gilstrap , Jocelyn Allen, Patti Austin , Tom Bahler 
bass : Abraham Laboriel , Louis Johnson
drums : Carlos Vega, John Robinson
piano : Herbie Hancock
keyboards : Greg Phillinganes : Herbie Hancock
synthesizer : Greg Phillinganes , Herbie Hancock, Michael Boddicker , Richard Tee 
Guitar : Lee Ritenour 
percussion : Paulinho Da Costa 
sax, flute : Kim Hutchcroft, Larry Williams
trumpet : Jerry Hey

produce : Quincy Jones

recording and mixing assisted at Kendun Recorders, Burbank, CA, and Cherokee Recording Studio, Hollywood, CA
strings recorded at Cherokee Recording Studios, Hollywood, CA

1. Love X Love
2. Off Broadway
3. Moody's Mood
4. Give Me The Night / synthesizer (Bass) : Richard Tee
5. What's On Your Minds / electric piano : Richard Tee
6. Dinorah,Dinorah / keyboards, electric piano : Greg Phillinganes lead guitar, scat : George Benson, synthesizer, piano, electric piano : Claire Fischer
7. Love Dance / acoustic guitar : Lee Ritenour
8. Star Of A Story(X) / conductor : Marty Paich
9. Midnight Love Affair / keyboards : George Duke
10. Turn Out The Lamplight /electric guitar : Lee Ritenour





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2022年2月13日日曜日

Wes Mongomery / Road Song


 Verveレコード時代の作品で、プロデューサーは Creed Taylor(クリード・テイラー)で、白人へのセールス的な音楽のビジョンを持っていた才能あふれる人らしい。そんな Creed Taylor プロデュースは、私の手持ちの前作は1967年の「A Day In The Life」からイージー・リスニング路線となっています。パーソネルにもあるようにアルバムは、オーケストラも入れた大人数の編成であります。ウェスは全く譜面が読めない人だったので、このような録音の場合はウェスにコンボで好きに演奏させ、その録音にビッグバンドをオーバーダブするという方法とのこと。おそらくこの録音も、そのような手法で作られたものと思われます。


 そして本作は、よりポップにイージーリスニング傾向のアルバムとなっています。イエスタデイ、フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーンのほかグリーンスリーブスなどの名曲のカバーされていて親しみやすい内容で、セールス的にも成功したアルバムとのことです。しかし非常にウエスらしいギターが聴けるアルバムではありますが、あまりにポップで最初に聴いた時には私的には戸惑いはありました。しかし、わかりやすいアレンジと彼のオクターブ奏法をこのアルバムを聴いてマネしようとしたギター小僧は多かったものとは思われます。
 ウエスはこのアルバムの録音後、数ヶ月で43才の若さで急逝してしまいますが、長生きしていたらコンテンポラリーの世界にもっと進出してたのだろうかとか思いを巡らせるアルバムでもありますね🎵

guitar : Wes Montgomery
piano : Hank Jones , Herbie Hancock 
bass : Richard Davis 
drums : Ed Shaughnessy, Grady Tate
percussion : Jack Jennings , Ray Barretto 
trumpet : Bernie Glow, Marvin Stamm
trombone : Paul Faulise , Wayne Andre
clarinet : Don Ashworth, George Marge, Stan Webb 
french horn : James Buffington
english horn : Don Ashworth
flute : Don Ashworth , Don Hammond  George Marge 
Harvey Estrin, Stan Webb 
recorder : Bernard Krainis , Don Ashworth, Don Hammond , Eric Leber , Harvey Estrin , Morris Newman , Shelley Grushkin, Stan Webb 
violin : Bernard Eichen, Charles Libove, Marvin Morganstern, Tosha Samaroff 
viola : Emanuel Vardi
cello : Alan Shulman, Charles McCracken, George Ricci
oboe : Don Ashworth, George Marge, Stan Webb
harpsichord : Eric Leber, Hank Jones, Sivert Johnson Jr.
bassoon : Morris Newman, Walter Kane

arranged By : Don Sebesky

producer : Creed Taylor

1. Road Song
2. Greensleeves
3. Fly Me To The Moon
4. Yesterday
5. I'll Be Back
6. Scarborough Fair
7. Green Leaves Of Summer
8. Serene
9. Where Have All The Flowers Gone?





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2022年2月12日土曜日

Art Blakey & The Jazz Messengers / A Day With Art Blakey 1961 Vol 2

 

 1961年の1月に、Art Blakey & The Jazz Messengers は日本へ初来日公演が行われた。モダン・ジャズのバンドが日本公演をするのはこれが最初で当時社会現象にもなった歴史的な出来事となり、このアルバムが記録として残されています。どのぐらいの社会現象かというと寿司屋の出前の兄ちゃんが自転車に乗りながら、Moanin’を口ずさむとか、5年後のビートルズよりも勢いがあったとの記憶がある人いるとか。今の若者たちはジャズを全く聴かない人達には Art Blakey ?誰だ?って感じですが、この当時20~40代の人達はいま60~80代となっている訳でこの世代の日本人は、ジャズなんてふだんまったく聴かない人でも、Art Blakey の名前を知っている人は多い訳です。実際私の行きつけの「おでんバー」では年配の先輩方は、浪曲・演歌・ジャズを混合しながら楽しんで聴いている方がいらっしゃいます。
 このライブの舞台は大手町の「産経ホール」で、現在は産経新聞社の新社屋になっている。1月2日の新春のコンサートであり、日本で初の本格的モダン・ジャズ・コンサートであり大いに盛り上がっていたらしい。メンバーは前日の1月1日の夜10時10分の羽田着であったとのことだが、夜遅くの到着にも関わらずファンが詰めかけていたらしい。そして一夜明けてのライブではそのライブで日本人の度肝を抜き、日本人は彼らを非常に歓待したためブレイキーはいたく感動していたらしい。A Night In Tunisia のエンディングなんかはステージが終わるのが寂しいかのようなサービスの聞いた繰り返しの締めでしたしメンバーも満足のステージであったことは間違いないでしょう。 


 この頃のメッセンジャーズを聴いていると、音楽性も良いのですがド派手なパフォーマンスも聴くことで感じとることもできます。おそらくこの公演を見たりレコードで聴いて、ジャズ・マンを目指した人は多いんだろうと、そんなことをこのアルバムを聴いていて思い、米国のジャズではありますが何か日本の古き良き昭和時代の匂いも感じてしまいます。大きなホールでの録音ではありますが、何かあったかいコンサートであることも感じます。
 私、音源収集マニアではありますが、オーディオにはそれほど執着せずレコードプレイヤーも持ち合わせてはいません。つまり音源はCDな訳で、通常の購入は中古CD屋が多くを占めています。タワレコやディスク・ユニオンの新譜コーナーでも購入はしますが、廉価版のシリーズものか、どうしても欲しくて中古屋で見つからないものなどが新品購入では主流となってきます。中古CDだと大概は安いので、ジャケット見てあまり考えずに購入してしまうという冒険に対する罪悪感は少ないのですがこのアルバムのように、Vol1ではなくVol2 を先に購入してしまうという現象は頻繁に起こります。そして片割れを購入したと思ったら、既に所有しているものを購入してしまって最終的には新品で最初から買っといた方が安いなんてことも割とよくあります。(本でもノルウェーの森で似たようなことしてましたっけ)これについても、このVol2を中古屋で入手したので、Vol1を新品で購入しようとタワレコに行きましたが2枚をカップリングしたものはありましたが、Vol1の単体では置いてありませんでした。どうしようか悩んでいるところです。

drums : Art Blakey
bass : Jymie Merritt
piano : Bobby Timmons
tenor sax : Wayne Shorter
trumpet : Lee Morgan

producer : Yasuyuki Ishihara

recorded by: Tokyo Broadcast System (TBS) Radio Section.
recorded at: Sankei Hall, Tokyo, Japan January 2, 1961.

1. Nelly Bly
2. Dat Dere
3. Round About Midnight
4. A Night In Tunisia





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2022年2月11日金曜日

Donald Byard / Byrd Blows On Beacon Hill

 

 Donald Byard (ドナルド・バード) がデビュー当初に Transition に残したワンホーンの好盤で、1956年5月7日の録音。場所は Boston の高級住宅地の Beacon Hill にあったこのアルバムのエンジニアの Steve Fassett's の自宅のあったビルの中にあったスタジオです。スタジオ名はファセット・レコーディングなので氏の所有のスタジオなのでしょう。
 古き良き時代を感じる品行方正なバードのトランペットが非常に好印象で、メンバーにピアノのRay Santisi (レイ・サンティシ)、ベースは Doug Watkins (ダグ・ワトキンス)、ドラムに Jim Zitano (ジム・ジターノ) のワンホーン・カルテット編成です。


 バードとダグ・ワトキンスは生地のデトロイトから1954年にニューヨークへやってきて、この録音の1956年は1955年に活動を始めたザ・ジャズ・メッセンジャーの初期のメンバーとして、ダグ・ワトキンスとともに参加しています。
 Transition というレーベルも丁度1955年から始動しており、バードはこの創設間もないレーベルに Bird Jazz  (後に Fist Flight としてCD化)Byrd's Eye View、そして本作をの3作を残しています。このレーベル自体は2年間で14作をリリースして無くなってしまうレーベルなので3作を残したのはバードだけでした。
 その中でも特徴的に思えるのがこのアルバムで、ブルースやバップを避けてスタンダードを選曲し、技巧に走る演出は少ないのでかえって爽やかな印象を与えているんだと思います。特に印象的なのは1曲目の Little Rock Getaway で、ここら辺がモーダルな演奏が多いアルバム Fuego につながっているように思えます。Polka Dots And Moonbeams は美しいバラード曲で朗々とゆったりと吹かれるトランペットの表現力に、こういった音を詰め込まない演奏も魅力的だと改めて聴いていて思います。People Will Say We're In Love は Ray Santisi のピアノがフューチャーされ、バードは吹かずにピアノの音は少しこもり気味の録音となっています。しかしそのオフ気味の録音バランスがラフで自然体の録音と聞こえてくるのがマジックのような録音。If I Love Again は、やっとアップ・テンポになってきて、少し雰囲気を変えてきてます。カラッとしたミュート・トランペットで軽快。What's New はベースの Doug Watkins が主役となるバラードです。リーダーはバードですが、この曲にもバードは参加せず。曲も良いですが発想が自由だなあ。こうきて最後のアップ・テンポのアレンジの Stella By Starlight で締めくくるのもアイデアの勝利です。
 ジャケットの撮影場所はこのレコーディングスタジオの庭でしょうか?22歳のバードがカメラを見つめ残りのメンバーは古びたドアの前に椅子を並べているのも、なかなか素敵な構図となっています。いや、これも聴いてよかった🎵

trumpet : Donald Byrd
piano : Ray Santisi
bass : Doug Watkins
drums : Jim Zitano

producer : Tom Wilson

recorded at Steve Fassett's Home on Beacon Hill in Boston,  May 7, 1956.

1. Little Rock Getaway
2. Polka Dots And Moonbeams
3. People Will Say We're In Love
4. If I Love Again
5. What's New
6. Stella By Starlight





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