2025年3月2日日曜日

Acid Jazz Meets Free Soul


    一見やる気がないような地味なジャケットですが、中身はかなり濃い。Acid Jazz レーベル発、ポニーキャニオンがプレスのアシッド・ジャズ、フリーソウルを集めたコンピレーション・アルバムです。目についた中古なので集めるような熱意をもって購入ではなく1作しか持っていませんが、2作目の発売もされているようです。ちなみにやる気がないようなジャケットと書いてしまいましたが、Bounce のエディターである栗原聴氏のアートワークとのことで、やる気はかなりあるようで私の審美眼の方がどうかしているようです。
 このコンピは、ポニーキャニオンのディレクターから、編集者/選曲家/DJ/プロデューサーである、橋本徹氏への依頼により実現したコンピで、氏は『Free Soul』『Mellow Beats』『Cafe Apres-midi』『Jazz Supreme』『音楽のある風景』シリーズなど、選曲を手がけたコンピCDは340枚を越え世界一であるとのこと。(今回このレビューを書くまでまったく気にしていませんでした)
 

 ということで、アルバムの選曲と配列は、橋本徹氏によるダンス系フリー・ソウルが色濃いコンピレーションで、The Brand New Heavies、The James Taylor Quartet、The Apostles、Pure Wildness、Snowboy、Blacknuss Allstars、K-Collective、Mother Earth、Night Trains、The Quiet Boys、Esperanto の楽曲が選出されています。ちなみにかなり昔からこのアルバム聴き続けているのですが、私が名前まで認知しているのは3バンドだけでこのジャンルも好きではありますが、それほど掘っているわけではないことを改めて認識です。
 大概のコンピは穴埋め的にB級、C級なものも収録されているものですが、これに関していれば捨て曲は無しの、ガチ売れ線を集めています。ので今更全曲レビューも面倒なので改めて聴いての印象に残るとこだけ書き留めておきます。The Brand New Heavies は、今やメインストリームのバンドなので、キラーコンテンツは当然、初期バージョンで3曲も入ってます。The James Taylor Quartet は、フォークの方では無い方なのは、ここら辺を聴く方ならだれでもご存じの、UKのアシッド・ジャズ・シーンには欠かせないオルガン奏者。名前は知らなかったけど Snowboy の Girl Overboard が山下達郎の昔の楽曲にアレンジ含めて、そっくりなヤツがあった記憶があり気になります。ボーカルは Anna Ross で上手すぎないのが好感あります。このバンドでは、もう一曲 Lucky Fellow という曲がありますが、これは男性ボーカルで リロイ・ハトソンのカバー。最初は地味目でじわじわと力を入れてくるところが好きです。全部良いんですが、最後の Esperanto の Sweet Feelings は、メローで、紳士的な歌い方のボーカルがとても気持ち良い。
 2作目も欲しくなってきました。色違いのジャケットなので、どこかでめぐり合えば、運命で即購入します🎶

compiled by : Toru Hashimoto

1. Dream Come True : The Brand New Heavies
2. Love Will Keep Us Together : The James Taylor Quartet
3. Super Strut : The Apostles
4. Ain't No Use : Pure Wildness
5. Girl Overboard : Snowboy
6. Never Stop : The Brand New Heavies
7. Rising To The Top : Blacknuss Allstars
8. Keep It Coming : K-Collective
9. Lucky Fellow : Snowboy
10. Jesse : Mother Earth
11. Lovesick : Night Trains
12. Stepping Into My Life : The James Taylor Quartet
13. Stay This Way : The Brand New Heavies
14. Make Me Say It Again Girl (12" Mix) : The Quiet Boys
15. Sweet Feelings : Esperanto





  

2025年3月1日土曜日

Farnell Newton Quartet / Rippin’& Runnin


 いつ購入か思い返すと2020年のようで、コロナが蔓延した年であったため、これはタワレコ試聴で気に入りました。今思い返しても、世界中が死の恐怖に怯えるとんでもない年でした。音源とは関係ありませんが、当時の国立感染症研究所の2020年8月の発表を記載しておきます。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は, 2019年12月初旬に, 中国の武漢市で第1例目の感染者が報告されてから, わずか数カ月ほどの間にパンデミックと言われる世界的な流行となった。わが国においては, 2020年1月15日に最初の感染者が確認された後, 5月12日までに, 46都道府県において合計15,854人の感染者, 668人の死亡者が確認されている。
 これはそんな時、内勤も多く外には一切飲みに行かなかったため、中古含め音源をかなり冒険して購入してます。本アルバム Farnell Newton Quartet は、Farnell Newton(ファーネル・ニュートン)マイアミ出身のトランペッター、ジャズ ・オルガンの Brian Charette (ブライアン ・シャレット)、テナー・サックスの Brandon Wright(ブライドン・ライト)、ドラムの Rudy Royston(ルディ・ロイストン)の2管のベース無しのオルガン・ジャズ のカルテット作品。リーダーの Farnell Newton も柔らかめな音で、華やかだが俺が俺がではないプレイが良いのだが、重すぎないオルガンの Brian Charette が、このコンボの色付けにかなり重要な役割を果たしています。現代的なジャズですが革新的過ぎず、ライトな音はフュージョンまではいかないものの不思議な魅力あるサウンドです。


 それではコロナ時から開いていなかった本アルバム改めて聴きながらレビューします。 The Roots 幕開けの曲はやはり印象的な曲を持ってきてます。ライトで軽やかメンバーのノリも良い。The Five A.M. Strut ジャズなんだけどフュージョンぽいと思うんですよね。ドラムの叩き方と録音の音質が、そっちだからなような気がします。Another Day Another Jones は、ハードバップだけど、やっぱり現代的です。Holding Still これも気持ち早めの現代版ハードバップだと思うんですよね。2管のソロも良いんだけどソロより難しいことしてるんでも無いんですがオルガンのバッキングの軽さと音使いが何故か気になります。Little Bird Rose バラードです。管とオルガンのバランスが良いなあと思って聴いてたんですが、やはり芸達者はオルガンかな。Gas Station Hot Dog ファンキーなネーミング曲だと思ったら、やはり、ゆっくりとしたファンク・ジャズ。Rippin' & Runnin’ ラテン風味ちょっと入ります。Come Sunday 最後はエリントン・ナンバーでしっとりとノスタルジックに。楽しんで聴いて聴いてるとあっという間のアルバムです。
 確かコロナが落ち着いた頃に、このアルバムを行きつけの音楽好きの集う「おでんバー」に持って行ってたら、ディープ系が好まれる傾向があるので、面白がっていたのは私ぐらい、マスター以下は余り興味を示さなかった気がします。しかし徐々に私の持ち込み音源で皆さんの耳も慣れてきているはず、今度持ち込んで再度皆さんの反応をみてみようと思います。再度聴けば結構、発見のあるアルバムでした🎶

trumpet : Farnell Newton
tenor sax : Brandon Wright
organ : Brian Charette
drums : Rudy Royston

Written-By – Farnell Newton (曲: 1, 4, 5, 7)

Producer – Marc Free
Recorded September 18, 2019 at Acoustic Recording, Brooklyn, NY

1. The Roots
2. The Five A.M. Strut / Ezra Weiss
3. Another Day Another Jones / Brandon Wright
4. Holding Still
5. Little Bird Rose
6. Gas Station Hot Dog / Tom Tallitsch
7. Rippin' & Runnin’
8. Come Sunday / Duke Ellington





  

2025年2月28日金曜日

The Beatles / Yellow Submarine


 「俺はストーンズ派である」と、今まであまりビートルズは聴いてこなかったのですが、色々な人にカバーされていたり音楽雑誌でロック史が語られているのを見ると、やはり現代ポップミュージックではずば抜けた存在であり、ジャズでカバーされることもあるため、意地を張るのはやめて、何枚か購入しております。これは、そのうちの一枚でビートルズ11作目、イギリスで1969年1月17日に発売されたアニメ映画の「イエロー・サブマリン」のサウンドトラック・アルバムでした。


 サウンド・トラックだけに7曲目以降は、オーケストラの演奏のみで、ビートルズが演奏しているのは6曲目まで。オーケストラが演奏するのは George Martin (ジョージ・マーティン) 作曲のインスト・ナンバーです。収録曲の中で「Yellow Submarine」は1966年、「All You Need Is Love」は1967年にシングルとして先にリリースされていたり、アルバムのレコーディング・セッション時のアウトテイクだったこともあり、アルバムとしては唯一全英・全米ともに1位にならなかった作品でした。またジョージ・マーティンは、当時ビートルズの楽曲のアレンジをしたりオーケストラのスコアを書いたり、曲そのものに大きく関わっていたとのこと。
 良いアルバムであるかどうかはファンではないので微妙です。さらに恥ずかしながら、私イェロー・サブマリンは金沢明子の音頭のほうが、本家より先に知っていたのはなんともはや🎶


guitar : John Lennon
bass : Paul McCartney
guitar : George Harrison
drums : Ringo Starr

composed by, orchestrated by : George Martin (7 to 13)

producer : George Martin

1. Yellow Submarine
2. Only A Northern Song
3. All Together Now
4. Hey Bulldog
5. It’s All Too Much
6. All You Need Is Love
7. Papperland
8. Sea Of Time
9. Sea Of Holes
10. Sea Of Monsters
11. March Of Meanies
12. Papperland Laid Waste
13. Yellow Submarine In Pepperland





  

2025年2月27日木曜日

Zoot Sims and Bob Brookmeyer / Tonite's Music Today + Whooeee


 ジャズは好きですけど同じジャズでも様々なジャンルがあり、星の数ほどいるジャズ・ミュージシャンの勉強にと未だ聴いていなかった Zoot Sims を聴き始めましたがマダマダ勉強不足です。その中で、ほぼ最初の頃に、ふと手にしたのがこのアルバムでした。それから数枚購入してはいますが、実はそれほど私の心に刺さっておらず、このアルバムの印象が一番良いです。
 Zoot Sims と Bob Brookmeyer は、ウェストコースト・ジャズの中心人物でもあったバリトン・サックスの Gerry Mulligan sextet に1956年に加入したときのフロントラインのパートナーで、この2枚のCDの録音は、1956年ですから、その延長線上での録音となっているようで、そちらの録音も聴いてみたいところではあります。余裕が出来たら音源を手に入れたいと思います。



 この二人は白人ジャズ界の名コンビとも言われているようで、黒さの少ない、いかにも古き良きアメリカを連想させてくれる演奏であるかと思います。Zoot Sims のテナーは若干大げさな表現が多くてダサ系に近いものもあったような気がしますが、このアルバムでは粋な感じがします。
 それではレビューしていきましょう。1枚目はTonite's Music Today と言うアルバム。Mr. Moon いかにも昔のミュージカルの曲。Steve Allen 作曲で流れるように軽快。Bob Brookmeyer は、バルブ・トロンボーンなので歯切れが良い。I Hear A Rhapsody 1941年のポピュラーソングで1952年の映画 Clash by Night でも使われています。ここでは、ゆったりとした演奏で、ズートがいやらしく吹きこみます。ミドルテンポ以上での演奏例も多い曲で少しイメージ変わります。The Chant 吹奏楽ファンには楽しいイントロで、気持ちよくスイングしてます。Bob Brookmeyer が先頭バッターで、ズートも滑りだすようなテナーで対応の対比も良い。Blues My Naughty Sweetie Gives To Me ハンク・ジョーンズのブルース・ピアノがメインでブルース。次いで ズート の色っぽい大袈裟なサックスに続きズートが歌っちゃいます。それほど上手くはないけどいい雰囲気で、ブルックマイヤーがそれに絡んでくる。ビブラホンはハンク・ジョーンズでしょうか。芸達者です。Zoot's Tune ブルースでしんみり効かせた後は、軽快なスイングで定番のパターン。ズートのサックスは、このアルバムでは、それほどエロいオジサンではなく爽やかに感じます。How Long Has This Been Going On? ガーシュイン曲です。落ち着きます。Bobby's Tune そしてブルックマイヤーの作曲のハッピーなナンバー。Blue Skies で終了です。2管の絡みがまた良い曲です。短めの曲で構成されているので聴く方が疲れずにテンポが良い。ウイスキー飲みながらダランと聴くのがいいかな。。
 そして2枚目は、Whooeee でベースとドラムが交代です。 The King カウントベイシーから始まります。先のアルバムと同様に先頭バッターは流れるように軽い曲。ここではハンクジョーンズが引っ張ていく演奏です。と書ていたらズートもやるじゃないですか。いやらしくない。Lullaby Of The Leaves 「Lullaby」子守歌を歌う行為のこと、急がず聞かすように優しい曲です。I Can't Get Started ガーシュインです。あまり聞いたことが無くても懐かしさが漂うメロディーです。Snake Eyes ヘビの目ですからね。鋭い曲かと思えば陽気なメロディーはそうでもない。ブルックマイヤー曲。Morning Fun 交互に楽曲提供で今度はズートで、軽快スイング。Whooeee テーマ曲です。Whooeee の掛け声から始まる楽しい曲で、出だしが印書的ですが印象には残りづらいかも。Medley: Someone To Watch Over Me - My Old Flame コンサートで途中のしんみり系を聴かせるヤツです。4分16秒が長く感じてしまいます。目をつむっていると・・。 〆は、Box Cars 最後の曲は、1枚目のアルバム同様、ノリの良い曲を持ってきます。
 ここら辺のスイングは、少し私の守備範囲から外れるのですが、フンフンと聴きながら作業をするのには丁度良い。また私の手持ちの他のズートイ音源より爽やかでアクが少ないのも良い?かもしれないです🎶

【Disc1】Tonite's Music Today
tenor sax, vocals (3) : Zoot Sims
valve trombone : Bob Brookmeyer
piano : Hank Jones
bass : Wyatt Reuther
drums : Gus Johnson

1. Mr. Moon / Steve Allen
2. I Hear A Rhapsody / Dick Gasparre, George Fragos, Jack Baker
3. The Chant / Gerry Mulligan
4. Blues My Naughty Sweetie Gives To Me / Irving Berlin
5. Zoot's Tune / Zoot Sims
6. How Long Has This Been Going On? / George Gershwin
7. Bobby's Tune / Bob Brookmeyer
8. Blue Skies / Irving Berlin
【Disc2】Whooeee
tenor sax, vocals : Zoot Sims
valve trombone : Bob Brookmeyer
piano : Hank Jones
bass : Bill Crow
drums : Jo Jones

1. The King / Count Basie
2. Lullaby Of The Leaves / Bernice Petkere, Joe Young
3. I Can't Get Started / Ira Gershwin, Vernon Duke
4. Snake Eyes / Bob Brookmeyer
5. Morning Fun / Zoot Sims
6. Whooeee / Bob Brookmeyer
7. Medley: Someone To Watch Over Me - My Old Flame / Arthur Johnston, George & Ira Gershwin, Sam Coslow
8. Box Cars / Al Cohn





  

2025年2月26日水曜日

Calvin Keys / Electric Keys


 全く知らなかったギタリストですが、タワレコでギターを弾く渋いお姿のジャケットを見かけての購入でした。調べて見ると、Calvin Keys は1942年生まれ、2024の4月にカリフォルニアの Berkeley と言うところで82歳で亡くなっています。ジャズギタリストで1971年から202年までリーダー・アルバムを16枚出しています。そのうち、スピリチュアル・ジャズ・レーベル Black Jazz Records からの発売がデビューから2枚、インディーズの Ovation 1枚、Olive Branch 2枚、Lifeforce Jazz 4枚、Silverado, 2枚、今回の Wide Hive からは 4枚 のアルバムを発売しています。Black Jazz Records からの作品が有名なようです。共演したミュージシャンは Ray Charles, Ahmad Jamal, Jimmy Smith, John Handy, Bobby Hutcherson, Eddie Marshall, Sonny Stitt, Pharoah Sanders, Joe Henderson and Leon Williams などの有名どころ。ただ私知ってはいるけど、音源はそれほど所持していない方々ばかりでした。もしや認識していないけど知らず知らずのうちに聴いていた場合があるので、改めて検索してみましたが、そんなことはありませんでした。



 ジャズ・ファンク、ジャズロック系のギタリストですが、お若い頃のジャケ写はかなり尖っています。今になって気になって youtube で聴いてみたら、見た目の激しさや怪しさは無く普通にジャズしてましたのが、何か残念。
 購入当初に聴いた時には、ジャズ・ファンクっぽいけど印象に薄かったので、再度聴き直せばどう変わるのか楽しみにレビューしてみます。You Know The Game グラント・グリーン系のファンクっぽい8ビートで、軽く歪ませたギターに、ブラスが加わったサウンド。何か緩ーく流れる感じです。Love and Innocence これは1曲目より、もっとジャズっぽい感じですが相変わらず緩いです。ギターを引き立てるようにしているんでしょうかブラスのアレンジがかなり丸いです。後半のに入るとギターソロが少し熱いフレーズになりますが、メリハリは少な目。Backyard 少し重めの8ビートのドラムがイントロで、少しばかりパンチが効いてて、なかなか良い感じです。Electric Keys またもやドラムがイントロで早めのビートです。歪み強めのロックっっぽい。御大御年の割に頑張って Baker Brothers 系ですね。これも良い。Rhubarb Jam 変拍子っぽく聞こえますが4拍子でした。ルバーブ・ジャム?なるほど食べ物のジャムと掛けているのですね。演奏は曲名の通りJamって見ましたって感じです。Senior Moment 少しアングラっぽくアシッド系の感じの曲で、お若い頃はこんなセッションも多かったのでありましょう。大人な変則ファンクナンバーです。Telegram Blues お気楽ブルースセッションでブラス部隊登場無しの泥臭いヤツです。Shawneeq やっと純ジャズにきました。こんな曲があったのは全く印象に残っていませんでした。The Hernia そして、またやってきましたド・ブルースです。時々変則的なスケールを混ぜているのがジャズギタリストの主張ですね。Touch 静かにギターソロで締めくくりです。
 以前に聴いた時の散漫な感じの印象は少なくなり、音楽的にも年齢的に円熟した渋みを感じ少し評価が上がりました🎶

electric guitar : Calvin Keys
bass, piano, keyboards, songwrite : Matt Montgomery
drums : Josh Jones, Thomas McCree
sax : Doug Rowan
trombone : Mike Rinta

producer, songwriter : Gregory Howe

1. You Know The Game
2. Love and Innocence
3. Backyard
4. Electric Keys
5. Rhubarb Jam
6. Senior Moment
7. Telegram Blues
8. Shawneeq
9. The Hernia
10. Touch





  

2025年2月25日火曜日

Hank Mobley With Donald Byrd And Lee Morgan Blue Note 1540

 

 本作はサックス奏者の Hank Mobley がリーダーとなって、1957 年にBlue Noteレーベルから BLP 1540 としてリリースしたアルバム。モブレーは、このセッションのリーダーであり、全てモブレー作曲となります。しかしソロなどの出番が特に多くなっている訳ではなく、自分は余り目立たずに「皆さん自由にやりなはれ」といった感じです。
 改めてメンバーはHank Mobley(ts), Donald Byrd, Lee Morgan(tp), Horace Silver(p), Paul Chambers(b), Charlie Pership(ds)で、トランぺッターを2人配置している変則編成です。サックスの調子は基本テナーとソプラノはB♭、トランペットも同じくB♭です。通常は管楽器は調子の違う楽器でバンドを編成することによって、アンサンブルを構成するのですが、あえて同じB♭3管編成は珍しいような気がします。ライナー・ノーツでは「そのような音域の制限から、クローズド・ボイシングと、ユニゾンのメロディライン、3度を使った3声のボイシングを取り入れた」と書いてあります。楽器をやらない人には何のこっちゃで、楽器をやる人はフーンと思っていただけるのかと思います。



 収録曲は、なんと4曲という割と1曲が長めのアルバムです。1曲目の Touch And Go は騒がしいファンファーレ風のイントロとブレイクがウルトラQみたいな怪獣が出てきそうな感じで始まります。テーマには簡潔な3音のラテン風味のフレーズが使われていて、Horace Silver の切り込み隊長からエキサイティングなソロ、続いては Lee Morgan 18歳にしては早熟な演奏は相変わらず。続いてはモブレーのソロはアダルトに控えめに始めて段々と饒舌になり、Donald Byrd の鋭きソロに引き継いで、Paul Chambers のよくあるアルコ・ソロ、Charlie Persipドラム・ソロは簡潔にまとめてます。そこからはトランぺッター二人の乱れうちです。続いて Double Whammy も明るいテーマの曲ですが少しアダルト。ソロ回しはMobley→Morgan→Byrd→Silver→テーマ→Persip、そしてまたもや Byrd⇔Morgan の合戦で、うん楽しい。Barrel Of Funk はミディアムテンポのスイング。今度のソロ回しは、Byrd→Mobley→Morgan。Silver のピアノソロは管のソロの後の良い休息になっていて好感。 Mobleymania は曲名に自己愛を感じる明るめのテーマの楽曲。Mobley のこのアルバムでの作曲はこの雰囲気での一貫性を感じます。ここでは Morgan のソロから始まり、今までの演奏で体がほぐれてきたかのように全体的に流れるように流暢なプレイが繰り広げられる熱気あふれる演奏です。
 リーダーそっちのけで競り合うプレイにばかり思わず耳が行ってしまうが、ナイスな作品でした。CDのデータは Hank Mobley Sextet でした🎶

tenor sax : Hank Mobley
trumpet : Donald Byrd, Lee Morgan
piano : Horace Silver
bass : Paul Chambers
drums : Charlie Persip

written by : Hank Mobley

producer : Alfred Lion
engineer (recording) : Rudy Van Gelder
recorded on November 25, 1956. Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey
 
1. Touch And Go
2. Double Whammy
3. Barrel Of Funk
4. Mobleymania





  

2025年2月24日月曜日

Family Underground / Once In A Lifetime


 1970年代は James Brown, Jackson 5, Earth Wind & The Fire, Ohio Players, Stevie Wonder, Tower Of Powers, The Isley Brothers, Sly & The Family Stone あたりの有名バンドが数多く存在するが、その他にも相当数の無名バンドが存在し、実力あり、曲良しでも、なかなかアルバムリリースまでこぎつけない。アルバムを作ってもコマーシャルがなく売れないなどの、不遇のバンドが数多く存在します。
 1968年ニューオリンズの マイナーファンクバンド Fabulous Fantoms。アルバムリリースにたどり着けなかったが、シングルをまとめた音源が話題になり、その編集盤再発により一躍、脚光を浴びています。その Fabulous Fantoms が分裂して、1974年に結成されたバンドが Family Underground となりますが、やはりアルバムを残すことなく消えています。このバンドの音源を発掘したシングル2曲の他75年と79年に録音され未発表のままだった楽曲を纏めたのが、この Once In A Lifetime。経歴的には、かなり面倒でマニアな話しです。
 商売に欠ける執念なのか、マニアの執念なのか、どちらか力が強いかはわかりませんが、発売当初はレコードで、世のB級ファンク・マニアに受けまくったアルバムとのこと。で、更にCDで再発したというマニアな音楽ファン目当ての安上がりな究極の商売のようですが、聴いてみたら、適度なチープさで懐かしく泥臭いファンク・ソウル・サウンド。B級過ぎないところが、新しさも感じてしまう優良盤でしたので、私も発売当時の試聴で即購入を決めているようです。

Fabulous Fantoms

 Once In A Lifetime ジャケ違い

 アルバムは、1975年の録音と、故Willie Teeプロデュース 78年の録音(7,8)と1978年の録音、1979年の3回の録音から構成されています。1978年で一回解散となり、ボーカルの Roland Treaudo, キーボードの Manuel Herrera Jr. がメジャーとの契約を目指して他のミュージシャンを雇っての録音とのことだが、発売するレーベル、広告宣伝、アルバムの出来不出来や実力だけで売れるわけでもないのは、音楽業界に限ったことではないでしょう。
 そのようにして埋もれた名盤をレア・グルーブとして発掘される本CDは、私のようなリスナーの大好物であるわけで、再度大好物を聴いたレビューをしておきます。We Are Somebody キャッチーなメロディーだがアンダーグラウンドな雰囲気のテーマ、サビではコマーシャルなどこかで聴いたようなメロー・ソウルなノリで、曲としては最も印象に残るファンクナンバーで初期の1975年録音。I Don't Know Why 1曲目とサウンドは大きく変化し、ベースの音色、リズムアレンジ、全体的にもこの演奏はどう聴いても完全なアース・サウンドのアレンジです。なるほど。1979年の解散後のミュージシャンを雇っての録音は、売れないと今後は無い。こここから1979年録音が6曲目まで続きます。Dr Music ファンクサウンドのメロー・ソウルを取り入れた楽曲でシンプル。For The Love Of Disco これはディスコ狙いのアース系で、この手の曲はこの時代、量産されていたはず。王道で悪かろう訳はないがオリジナリティは少な目、しかし演奏と曲は好い。複雑。All We Need Is Love またもやミラーボールが似合う商業アース系ファンクナンバーで、ここまで徹底すると気持ち良い。バンドのの演奏力はホント高いと思います。There Must Be An Answer このアルバムでの1979年録音のラストはバラードです。直ぐにわかる Lionel Richie に触発されての楽曲。Hello の出だしにそっくりのAメロに別のBメロつけてます。わかりやす過ぎて、これは逆に印象抜群。All We Have Is A Song さて1975年録音に戻ります。アース的なアレンジではありますがオリジナリティある良い曲です。Nowhere To Run やはり1975年録音の方が好みですね。2管のホーンもファンクですがブラス・ロックっぽいのが好感。Our Love's Gone By フォーク調のスロー・ソウルで素朴に良い感じです。ファズを効かせたギターソロも唐突だがレトロっぽいし未成熟なサウンドが更に好感。 There Must Be An Answer (75 1st Mix)  イントロからシンプルにかっこよいです。6曲目より Lionel Richie っぽさが少なくて私的にはこちらの方が好みです。アレンジ次第で、もっと変わるんだろうと思います。I Don't Know Why (75 1st Mix) これも2曲目のファースト・ミックスとのこと。アース臭さはかなり消えていますので、これもこっちの方がジャキジャキしている感じが良い。と思えば、1979年の方が解散後に売れてやろうとした結果が、当時流行っていた音を取り入れての策が良くない方に転んだのではなかろうか。Superstitous これは誰もが知っている Stevie Wonder の名曲です。これはスタンダードだから誰がやってもカッコ良いヤツです。〇です。Make A Change 私の好きなスライ系。似たような曲は当然世の中にいっぱいあるだろうけど、このパターンのファンクはかなり好物です。ただこのアルバムでは、このバンドでは異色な曲になってます。
 改めて聴き直してでは、頭の中で少し美化してたかもしれない感じで、お気に入りの棚には入らずですね。こんな珍しいもの持ってるけどと自慢できる一枚ではあります🎶

【1,9-12,(7,8)】
lead vocals, congas : Roland Treaudo
keyboards, backing vocals : Manuel Herrera Jr.
lead guitar, rhythm guitar, backing vocals : Arthur V. Bell 
bass guitar, lead vocals, backing vocals : Parker Shy 
drums, backing vocals : Winston Shy
sax, backing vocals : Milton Lewis
trumpet : Thomas Mitchell

【2-6】
lead vocals, congas : Roland Treaudo
backing vocals : Earl Smith Jr. 
keyboards, backing vocals : Manuel Herrera Jr.
lead guitar, rhythm guitar : Roy Joseph
bass guitar, backing vocals : Nick Daniels
trumpet : Thomas Mitchell
drums, percussion : Willie Green

recorded by Chuck Shehe, New Orleans 1975 (1,9,10,11,12)
recorded 1978 (7,8)
recorded at Ultrasonic Studios, New Orleans LA 1979 (2,3,4,5,6)

1. We Are Somebody / Manuel Herrera Jr.
2. I Don't Know Why / Roland Treaudo
3. Dr Music / Arthur V. Bell, Manuel Herrera Jr., Roland Treaudo
4. For The Love Of Disco / Roland Treaudo
5. All We Need Is Love / Manuel Herrera Jr.
6. There Must Be An Answer / Manuel Herrera Jr., Milton Lewis
7. All We Have Is A Song / Arthur V. Bell, Milton Lewis
8. Nowhere To Run / Joseph Arther James
9. Our Love's Gone By / Roland Treaudo
10. There Must Be An Answer (75 1st Mix) / Manuel Herrera Jr., Milton Lewis
11. I Don't Know Why (75 1st Mix) / Roland Treaudo
12. Superstitous / Stevie Wonder
13. Make A Change / Roland Treaudo, Manuel Herrera Jr.





  

2025年2月23日日曜日

Wes Montgomery / Echoes Of Indiana Avenue


 偉大なジャズ・ギタリストを挙げるなら必ずや名前が挙がるであろうギタリストですが、1967年の A Day In The Life のイージー・リスニング系に転向してからがセールス的には成功したとのことですが、私的にはここら辺からが、どうにもつまらないと感じています。
 本作は2012年に発表された未表発掘の大物音源。発売はお馴染みの Rezonande Records です。世に出ていなかった未発表音源なので、購入時にはレアさだけで寄せ集めの音源かと思っていたら、あまり聞けないんじゃないかと思われる活き活きとした演奏に非常に満足したアルバムです。
 ウェスは1923年のインディアナポリス生まれで、1948年から1950年までライオネル・ハンプトンの楽団に参加し、その後インディアナポリスに戻り昼の仕事をしながら夜は演奏という生活を1959年にリバーサイド・レコードと契約するまで続けたとのこと。本作は1957から1958年にかけて録音されたリバーサイド・レコードと契約する前、つまりメジャーデビュー前のインディアナポリス時代の驚きの初期音源とのこと。ライブとスタジオの半々で
スタンダードの心地良い演奏が楽しめます。
 のちにメジャーデビュー後の本人が「インディアナポリスで演っていた頃はもっと巧く弾けたんだ」とインタビューで発言が残っていますが、確かにギタリストとしてもっとも脂がのっていた時期は実はこの時期だったのか?と思える演奏です。ウェスを有名にしたオクターブ奏法は控え目で多用はしていません。メジャーデビュー後、特にイージーリスニングにの吹込みでは、おそらくプロデューサーが何でもかんでもオクターブでやって欲しいとリクエストしていたものと思えます。
 
 
 Diablo's Dance はブルージーにピアノとのユニゾンでダイナミックなスイング、Round Midnight はオルガンとともにアーシーな曲になっていて、編集が良いのだろうがフルアコのギターの音と弦の響きが良い、Straight No Chaser はテンポ早めのドラムレスでの演奏でかえってスリリングにリズミカルに聞こえます。Nica's Dreamはホレス・シルバー作の名曲で実にリラックスした演奏で、何よりもわかりやすい演奏なのが良い。Darn That Dream でまたオルガンの Melvin Rhyne との共演となるが、あまり黒さを感じないオルガンとの演奏がしみじみときます。おなじみ Take The A Train はライブ感あふれる演奏で跳ねるリズムがノリよく客を盛り上げようと煽るような演奏で遠くで客が盛り上がっているのも録音されています。そしてMisty、Body And Soul と不滅のスタンダードが続き Misty はギター控えめにピアノメインで、締めは After Hours Blues ですからライブが終わった後の自由なセッションなのでしょう。リズム&ブルースのセッションで好き勝手な演奏でギターアンプの音量を上げて少し歪ませてみたりゲラゲラ笑いながらの実に楽し気な演奏は延々と続くようなフェイドアウトでした。ジャズ・ミュージシャンも、やっぱり好きなのねって親近感でホッコリします。
 ウェスを、これから買おうと思っているなら、これから買った方が良いんではないかとお勧めできる演奏でライナーノーツも英語のみですがたっぷり24頁、これについては以前ゆっくりと読みたいと以前に書きつつ字が細かすぎて読みづらくゆっくりと読むことも無かったので、今回はOCRで読み込んで翻訳サイトも使いながら、今から解読していきます🎵

guitar : Wes Montgomery
piano : Buddy Montgomery (3), Earl Van Riper (6 to 9), Melvin Rhyne (1, 4)
organ : Melvin Rhyne (2, 5)
bass : Mingo Jones (6 to 9), Monk Montgomery (3)
bass : Larry Ridley (1, 4)
drums : Paul Parker (1, 2, 4, 5), Sonny Johnson (6 to 8)

producer : Zev Feldman

Recorded 1957-58.
Tracks 1, 2, 4 & 5: Possibly recorded in Indianapolis (studio unknown).
Tracks 6-9: Recorded live, possibly at the Hub Bub, Indianapolis.
Track 3: Recorded live, possibly Indianapolis.

1. Diablo's Dance
2. Round Midnight
3. Straight No Chaser
4. Nica's Dream
5. Darn That Dream
6. Take The A Train
7. Misty
8. Body And Soul
9. After Hours Blues (Improvisation)