2025年2月16日日曜日

A Tribute To Curtis Mayfield / People Get Ready


 カーティスが亡くなる6年前の1993年リリースのトリビュート・アルバムで、発売時カーティスは未だご存命でした。なんでこのアルバムが作られたかと言えば、1990年にコンサート会場で、照明機器の落下事故で首を骨折し半身不随となったため、その激励のためのアルバムです。


 カーティスは、1942年にシカゴで生まれました。その町で幼いころからゴスペルに親しみ10代半ばから教会で歌っていたと言われています。その時期にインプレッションズのメンバーと出会い、1957年にグループ結成。最初の頃は For Your Precious Love でヒットを飛ばしたが、その後3年間もヒット曲に恵まれず、ABC-パラマウントと1961年に契約し、11. Gypsy Woman を発売し久しぶりのヒット。そして1963年に 6. It`s All Right がヒットし、1964年に黒人の誇りの応援歌 Keep On Pushing がヒット。1965年、4. People Get Ready がヒットは連発されています。これらは当時の黒人差別への批判であり、社会的・政治的な意識を当時の社会に変革を求める歌となっていることも大きな特徴であるかと思われます。1. Um, Um, Um, Um, Um, Um はカーティスが作り1963年に Major Lance が歌ってヒットさせた曲であり、2. He Will Break Your Heart は、1960年の Jerry Butler & The Impressions のヒット曲、3. Choice Of Colours は、1969年の Impressions でのヒット。5. Got A Right To Cry は、調べたけれどわかりませんでした。7. We People Who Are Darker Than Blue は、1970年のカーティスのソロ。8. I Gotta Keep On Moving は、1964年の Impressions、9. You Must Believe Me も同様の1964年、10. I'm So Proud は、1963年の Impression でした。
 他でも書いたことがありますが、私の幼少期の母が歌ってくれる子守歌は Impressions でした。意味も解らず聴いていましたが、歌詞が音として頭の中に残っていて大人になってから聴いて、これかだったのかと懐かしさもあります🎶

1. Um, Um, Um, Um, Um, Um
Don Covay & Angela Strehli
2. He Will Break Your Heart
Delbert McClinton 
3. Choice Of Colours
Jerry Butler
4. People Get Ready
David Sanborn & Jonathan Sanborn
5. Got A Right To Cry
Angela Strehli
6. It`s All Right
Huey Lewis & The News
7. We People Who Are Darker Than Blue
Michael Hill & Vernon Reid
8. I Gotta Keep On Moving
Bunny Wailer
9. You Must Believe Me
Don Covay
10. I'm So Proud
Steve Cropper & Lani Groves
11. Gypsy Woman
Kim Wilson




  

2025年2月15日土曜日

Ragtime Crazy / The Best Of Ragtime Blues Guitar


 ラグタイム・ブルース・ギターがわんさかです。全22曲の充実のクレイジーな1枚です。超有名どころは、ブラインド・ボーイフラー、ブラインド・ブレイク、チャーリー・パットンなど含め、チキンウイルスン&スキーターヒントン、ベイレスローズ、ウイリーウォーカー、ブラインドウイリーマクテル、カーリーヴィーヴァー、シルベスターウィーバー、カーヴァーボーイズ、などなど知らない人もいっぱい居ます。
 ラグタイムは、もともとピアノ中心の音楽であり、ベース音の流れとメロディーをギター一台で表現するのは大変です。それを同時に弾く曲芸のような演奏を6弦しかないギターで発展させたのがラグタイム・ギターなのです。
 もともと私もラグタイムを聴いていたわけではありません。趣味のギターでアコースティック・ブルースでもやろうかと、日本人フィンガーピッカーのバイブルと思われる内田十紀夫の教則本で練習していたら、先人の話と練習曲がわんさかでてきます。しかし原曲はちっとも聴いていないと、たまに戦前ブルースやラグタイムのアルバムを勉強用に購入しています。ただ惹きつけられるものが、どれほどあるかと言えば原曲よりは現代人のギタリストが youtube 等で演奏されている動画の方に感動を覚える方が多いです。

Country Blues Guitar 打田十紀夫
 
 
Ragtime Guitar 打田十紀夫

 改めて、この時代のギターを聴くと、結構ストローク気味に弾きながら当てる弦を変えながらラフに弾いていると思われるものも多いように感じます。現代に近い細かい芸を披露してくれるのは、Bayless Rose、Curley Weaver、William Moore あたり。Blind Blake は歌も含め、現代に近く録音もきちっとしてます。Blind Boy Fuller はエンターテイメント性も高い。さすが名手です。
 慣れてくれば即興でもできるようになると、教則本やプロは書いていますが、私にはまだまだ即興は遠い世界であります🎶

1. Rag,Mama,Rag - Blind Boy Fuller
2. Piccolo Rag - Blind Boy Fuller
3. Jitterbug Rag - Blind Boy Fuller
4. D.C.Rag - Chicken Wilson & Skeeter Hinton
5. Jamestown Exhibition - Bayless Rose
6. Black Dog Blues - Bayless Rose
7. South Carolina Rag - Willie Walker
8. Mama,Let Me Scoop For You - Blind Willie McTell
9. Georgia Rag - Blind Willie McTell
10. Tricks Ain't Walking No More - Curley Weaver
11. I'm Busy And You Can't Come In - Sylvester Weaver
12. Guiter Rag - Sylvester Weaver
13. Wang Wang Harmonica Blues - Carver Boys(feat.Joshua White)
14. Shake It And Break It (But Don't Let It Fall Mama) - Charley Patton
15. Barbershop Rag - William Moore
16. One Way Gal - William Moore
17. Ragtime Crazy - William Moore
18. Ragtime Millionaire - William Moore
19. Blind Arthur's Breakdown - Blind Blake
20. Diddie Wa Diddie - Blind Blake
21. Dry Bone Shuffle - Blind Blake
22. Shake It Baby - Blind Boy Fuller





  

2025年2月14日金曜日

Miles davis / My Funny Valentine in Concert

 

 先に聴いた「Four & More」は超高速バップに圧倒されました。そこで知ったのが、このアルバムと実は対であること。このアルバムに収録の「My Funny Valentine」はあまりにも有名なので聞いたことがありますが、アルバム一枚を聴いたことは多分ジャズ喫茶とかであったような、無かったような曖昧な記憶です。このアルバムは、1964年ニューヨークのリンカーン・センターのフィルハーモニック・ホールで行われた2公演の一部で、バラードを「My Funny Valentine」に高速バップは「Four & More」の2枚に収録され「静」と「動」として対をなす傑作とされていると言われています。


 最近トランぺッターのアルバムが好きで好んで聴いていますが、演奏はできないのでテクニックについては詳しくは知りませんでが、トランペットにはビブラートを付ける奏法と付けない奏法があることは最近「小川隆夫著のマイルス・デイビスの真実」のマイルスが高校時代に教わったエルウッド・ブキャナンから教わったくだりで知り、なるほど、そう思って聞くとマイルスの音はまっすぐです。改めて聴く「My Funny Valentine」は緊張感のあるイントロから始まる15分で、マイルスのハーフトーン、ノンビブラートはめちゃくちゃかっこ良い響きで、支えるメンバーの演奏もやはり決まっています。その中でもこのアルバムでもマイルスを除く花形はやはりハンコックに聞こえます。ハンコックのピアノは、エレガントなクラシックっぽい響きは瑞々しくこのアルバムではぴか一目立ってます。そして「All of You」はイントロからマイルスのミュート・トランペットの表現力」の豊かさに耳を奪われます。続くGeorge Colemanのテナーは、ゆっくりとよく考えながら心から染み出すような音がマイルスと対比的で、曲としても演奏に説得力があるこれまた好演。「Stella by Starlight」もマイルスのソロは攻撃的で挑発的です。序盤途中で雄叫びを上げる観客がいますが既に序盤で感極まってのこと、それぐらい深く響く。「All Blues」については、リズムセクションの丁寧さとマイルスのミュートプレイの妙から始まり、ミュートを外し解き放たれたマイルスの力強さの対比が良くて迫力ある。「All of You」では思慮深いソロパターンはテナーのコールマンだったが、この曲ではハンコックに引き継がれてからコールマンへと渡される。「I Thought about You」はマイルスの作曲で自身の考える世界が自由に表現され展開する。単調なようで微妙な抑揚が感じられます。
 このアルバムも最初に聴いた時には、世で言われるほど名アルバムなのか理解できませんでしたが、聴きこむにつれて発見も多く、この構成やパワーは古くささに色あせるようなものではない深いものを感じました。参りました。「Four & More」と対で、愛聴させていただきます🎶
 
trumpet : Miles Davis
tenor sax : George Coleman
piano : Herbie Hancock
double bass : Ron Carter
drums : Tony Williams

producer : Teo Macero
recorded at Lincoln Center "Philharmonic Hall", NYC on February 12, 1964.

1. My Funny Valentine
2. All of You
3. Stella by Starlight
4. All Blues
5. I Thought about You





  

2025年2月13日木曜日

Boston Horns / Funkafized


 この手のファンク・バンドを買い続けてもキリがないぐらいアメリカのファンク・バンドの層は分厚いと感じます。その名の通り、ボストンを拠点に活動する重量級ファンクバンドです。このバンドは購入して気に入ったので、Givin' up Food for Drink (2008) も後に購入のハズレがまずないだろうと言うことが想定される安心・安全な演奏力の高いバンドです。
 T.O.P.よりも重量を感じるホーン・アンサンブルで、タイトなリズム隊。キャッチーで陽気なファンク・グルーブを備えています。


 ボストン・ホーンズは、ヘビー・メタル・バンド“エクストリーム“のサポートなどで活躍していたユニット、”ヘヴィ・メタル・ホーンズ”のメンバーだったギャレット・サヴルク(tp)とヘンリー・ダグラス・Jr(sax)の二人が中心となり、1999年に結成された。とのこと。結構な実力派であり、メジャー・シーンにも出演しているのに、宣材の写真などには余りお金をかけていないし、メンバーの服装も極めて一般的なカジュアルなものであり、サウンドとのギャップはかなり感じます。アルバムジャケットは凝ったデザインではありますが、、。T.O.P. も、そうですが大所帯のブラス・ファンク・バンドは維持費が大変なようです。


 それではレビューしていきます。Funkafized タイトル曲が先頭にくるタイプのアルバム。気合が最初から入ります。キャッチーなT.O.P. タイプのインスト・ファンクで、ライブとかでも頭に持ってくるタイプですね。Garret Savluk のペットがカッコ良いです。Sing a Simple song は、モロに Sly & the Family Stone のカバーで、Nephrokl がリードボーカルですかね。太い声は Kit Holliday でこの声だけ参加です。モロコピですがギターソロだけ現代風です。PFWB 今までは煽りでしたが、ここで落ち着いた大人のジャズ・ファンク。Dipper Mouth ブラス・バンド風なドラム・ソロと思ったらホーン・アンサンブルも結構それで、ニューオリンズ風ブラスバンドによくあるやつです。実に様々な一面を見せてくれてゴリゴリのテクニックだけでないところがこのバンドの魅力でもあります。Remember who you are もスライ・ナンバーのカバーで、Back On The Right Track に収録されていた曲で一時引退状態にあったスライの復帰作です。Nasty Riders ここでまたアーバン・ソウルとジャズ・ファンクが融合したようなインストに戻ります。Big Alice ジャズ・ベーシストの、チャールズ・ミンガスの1973年のアルバム「ミンガス・ムーヴス」のレコーディング・セッションで録音されながらも、当時は発表されず、1993年にCD化されたときにボーナス・トラックとして収録されたというレアなナンバーですが、ファンクチューンされています。最後は Dipper Mouth (reprise) で先の曲はブラス・バンドでしたが、これは完全にブラス・バンドで、ドラム・ベース抜きのブラスと陽気な生コーラス。
 本編はここで終了で、ボーナストラックは Ain't Nothing to it ソウライブやレタスでホーンの賛歌をしていた Sam Kininger が参加しています。続いて Blues For Ben、Dyno-Mite の2曲が収録。
 そして別の CD が付いていて1曲だけ収録されています。CDのデータには曲名は Holy Of Holies 演奏者は Jennifer Crawford とあります。曲はゆるーい南国的な調子のファンクで、熱いところはあまりないワンコード。ジャケット、ライナーノーツにも記載はないプレゼントみたいなもんでしょうか。得した・・のかな・・🎶

lead vocal : Nephrokl
keyboad : Jeremy Parker
guitar : Jeff Buckridge
bass : Dave Walker
drums : Peter Mact Lean
sax : Henley Douglas
sax : Dan Abreu
trumpet : Garret Savluk
trombone : Squantch

alto sax : Sam Kininger (9)
background vocals : Kit Holliday (2)
tuba : Joseph Wright (8)
percussion : Amado Rodriguez

1. Funkafized / Garret Savluk
2. Sing a Simple song / S.Stewart
3. PFWB / Garret Savluk
4. Dipper Mouth / Herbie Mann
5. Remember who you are / S.Stewart, H.Banks
6. Nasty Riders / Garret Savluk
7. Big Alice / Don Pullen
8. Dipper Mouth (reprise) / Herbie Mann

【Bonus Tracks】
9. Ain't Nothing to it feat.Sam Kininger / H.Douglas jr.,  G.Savluk, M.Rush
10. Blues For Ben / Luca Frederickson
11. Dyno-Mite (Instlumental Version) / Garret Savluk





  

2025年2月12日水曜日

New Jersey Kings / Party To The Bus Stop


 マイルスの On The Corner をオマージュしたジャケットで、ブラス・バンドっぽいノリでもあると思いますが、マイルス風エレクトリック・ファンクジャズ作品でもなく、ブオンブオンとホーン部隊だけで編成されている訳でもなく、UKアシッド・ジャズ作品です。リーダーは James Taylor のプロジェクトによる New Jersey Kings の1992年リリースのファースト・アルバムで、The James Taylor Quartet の変名バンドとのこと。James Taylor と言っても、あのシンガーソングライターの方ではなく、こちらはイギリスのハモンド・オルガンのミュージシャンですので、そこら辺を間違えてはいけませんので紛らわしいだらけの作品で、たまにしか聴かないのに、かなりの優秀作ですので棚は移動しときます。


 それでは優秀作を再度聴きながらレビューしていきます。The Monkey Drop ワウの効いたギターとブットいベースがファンクして、オルガンサウンドが効いてます。Get Organized は、Baker Brothers でありそうなリフで、メチャクチャ好みです。フルート・ソロからオルガン・ソロ、サビのギターの、チョーキングしながらカッティングするギターなども美味しい。Solid こちらも、Baker Brothers、Soulive系です。チャクチャクと刻むワウのギター、オルガンで、今度はサックスがソロのメインです。サビの盛り上げかたもワンパターンな気がしますが様式美の範疇です。Sweet Cakes 跳ねるジャズ・ファンク・サウンドです。相変わらず一辺倒なサウンドですが、ここの曲で何となく録音がホールのようなところで録られているようなリバーブがありますが録音場所などの記載は見当たりません。 Sweet Shirley 安定のジャズファンク・サウンド。ここまで来ると、どのリフが好みか?程度の類似性が感じられます。The Latin One 曲名にもあるように、聴いているとラテン系のリズムを使っています。日本語版のライナーノーツに何か情報がないか読んでいると、原盤にもなんも書いてなくて、「ニュージャージー州のレコード会社に埋もれていた過去のバンドの発掘音源」などと冗談で書かれていたようですが「冗談である」とは書いていないようで、嘘か誠かはマニアにしか判別できない紛らわしいヤツのようです。All Wrapped Up は聴いたことあるヤツです。 Melvin Sparks のジャズファンク・チューンをカバーでノーザン・ソウル風に解釈です。Charlie's Groove おそらくライブとかでもラストに使われそうな曲です。

ライナーノーツには何も書いてありませんが、New Jersey Kings のメンバーは下記です(ドラムはどちらでしょう?)

keyboad : James Taylor
guitar : David Taylor
bass : Gary Crockett
drum : Andrew McGuinness
drum : Neil Robinson
sax, flute :  John Willmott

producer : The New Jersey Kings
illustration : Matt Deighton ←発売の AcidJazz レーベルの所属ギタリスト

 オールドジャズファンクの名盤、復刻と帯に冗談を書かれていたら私は信じてしまいます🎶

1. The Monkey Drop
2. Get Organized
3. Solid
4. Sweet Cakes
5. Sweet Shirley
6. The Latin One
7. All Wrapped Up (Melvin Sparks)
8. Charlie's Groove





  

2025年2月11日火曜日

Stevie Ray Vaughan And Double Trouble / Soul To Soul


 1985年リリースの3作目で、ジャケ写ではストラトを持たずにセミアコ。腰にぶらさげているのは、おそらく日本のお守り。そうなると後ろの小屋はもしかして日本家屋に見えなくも無いが、テキサスの田舎の掘っ立て小屋か?と先に余計なところに目が行きます。
 さて本作は、とにかくどれもこれもパンチが効いていて、エネルギー満タンSRV作品の中でも、もっとも派手な仕上がりで気持ちが良い一枚という印象。サックスとキーボードまで加入して、サウンドを完成させていて、この時期ではギター・エフェクター・アンプなど多様に使いこなしていたようです。
 何より捨て曲が相変わらず無いのも、SRV作品のすごいとこで、ライブ映像ではあまり見られない曲もあったりするマイナー感も、このアルバムの良いとこでもあります。


 それではこのド派手なアルバムを再度聴きながらレビューします。Say What! インスト・ロックですが、テンポ緩めでワウワウを使用した粘るようなギター、キーボードソロなどもあり、バンド感が増しています。弾きまくってもいますが、フィードバックを使ったロングトーンでワウで変化させてくれるところが、また良い。Lookin' Out The Window
テキサス出身の Doyle Bramhall の作品です。本業はドラマーであり、SRVよりも5歳ほど年上でセッションもよくやっていたそうです。息子はギタリストでエリック・クラプトンの作品にも参加しています。曲はシャッフルでホーンを多重録音してバックに厚みを持たせていること、ジャズで言えば4ツを刻むようなギターも印象的です。Look At Little Sister
テンポは、ほぼ Lookin' Out The Window と同じのミドルテンポ。この曲ではピアノが強調されていてロックンロール・ピアノがこれまた効果的にブラスのバッキングとともにマッチ。Ain't Gone Give Up On Love スローなブルースロックで、キーボードがバッキングでギターはエフェクト少な目でオブリーガード。曲が進むにつれて歪みを入れてったり、チャッチャッと刻んで見たりと今聴いてみると細かいところに細工が施してあるのがわかります。Gone Home ジャズサックス奏者の Eddie Harris の楽曲で、SRVもジャズ・ブルースで演奏しています。こうした幅広い素養が他の曲にも実は活きているんでしょう。Change It 再度テキサス出身の Doyle Bramhall 作品で、いかにもテキサスが舞台で打ち合いで始まりそうハードボイルドな感じがカッコ良い。You'll Be Mine 1950年代のシカゴ・ブル―ズ黄金期の巨匠 Willie Dixon の作品で、明るく踊れる感じの跳ねる感じのハッピーな楽曲です。Empty Arms イントロはフランジャーを使っていて、アルバムの中では最も軽めのナンバーです。裏打ちがモロに意識されたバッキングが日本人ではないセンスですね。Come On (Part III)ニューオリンズの巨匠 Earl King の楽曲で、ジミヘンコードを多用したカバー。原曲はジミヘンぽくは無いファンク系ソウルですが、なるほど、これを現代アレンジすればこうなるのはそうですと納得。Life Without You スローなバラードナンバーでバンド演奏ではあるものの弾き語りのような、しみじみとさせてくれる楽曲です。ボーナストラックは Little Wing~Third Stone From The Sun ジミ・ヘンドリックスのインストカバーで、長くても楽しいです。続く Third Stone From The Sun も激しいアーミングとボリュームコントロールで、アーシーなギターがカッコ良すぎです。Slip Slidin' Slim まさにボーナスの短いインストナンバーで、スライド名手ではないけど、やっぱりカッコ良く弾けるんだと脱帽です。
 久しぶりのSRVでしたが、あと100年後も全てのギタリストのヒーローでいられる人なんだろうと思える演奏は、やっぱり楽しい🎶

guitar, vocals : Stevie Ray Vaughan
keyboards : Reese Wynans
bass : Tommy Shannon
drums : Chris "Whipper" Layton
sax : Joe Sublett

executive-producer : John Hammond
producer (produced by) : Richard Mullen, Stevie Ray Vaughan/Double Trouble
recorded at Dallas Sound Labs, Dallas, Texas and Riverside Sound, Austin, Texas

Tracks 1 to 10
rec: 1985

1. Say What! / S.R. Vaughan
2. Lookin' Out The Window / D. Bramhall
3. Look At Little Sister / H. Ballard
4. Ain't Gone 'n' Give Up On Love / S.R. Vaughan
5. Gone Home / E. Harris
6. Change It / D. Bramhall
7. You'll Be Mine / W. Dixon
8. Empty Arms /S.R. Vaughan
9. Come On (Part III) / E. King
10. Life Without You / S.R. Vaughan
【Bonus Tracks】
11. SRV Speaks
12. Little Wing/Third Stone From The Sun
13. Slip Slidin' Slim





  

2025年2月10日月曜日

Chick Corea Elektric Band II / Paint The World


 私の大学時代のバイブル的なチックコリアのアルバムは、「Ⅱ」が付く前の Chick Corea Elektric Band「Light Years」 でした。コマーシャルで革新的と感じた音は、今思えば軽すぎて人間味の少ないデジタルな音だったので、少々心に残りにくい音であったのですが、このアルバムについては、ルージーな感じの複雑なフュージョンに変わり、もう少し親しみやすい感じで、好みと言えば好みに変化してきたのですが、いかんせんテクニックに走るばかりで印象に残りづらいとも感じてしまいます。と進化を遂げたものの、セールス的にもイマイチだったようで、このバンドは活動期間1年で、アルバムは、これたった1枚を残して解散となっています。


 それでは全曲レビューです。Paint The World イントロがドラムが4拍子なのに対し、ピアノがフリーなフレーズで変拍子のような感覚になりますが、途中からかみ合ってくるのでいつの間にか普通の曲になる不思議なトリック、そしてベース、ギターが加わるとフュージョンのサウンドになります。編曲はかなり凝っています。Blue Miles どこかで聞いたことがあると思ったら、Grp All-Star Big Band / All Blues でも聴いていました。Grp All-Star Big Band では、Michael Brecker がソリストでフューチャーされていましたが、こちらは Eric Marienthal でした。好みとしては甲乙つけがたし。Tone Poem ああ チック・コリア だなと思う曲になっています。Mike Miller のガット・ギターのような音色とフワフワと散りばめられる音符が素敵な曲ではあります。CTA 細かなピアノの無機質なパッセージが印象的、とてもスリリングで単体としては好いんですが印象には少ないのが残念。Silhouette スペース感のあるSEから始まります。曲名は和製英語でもよく使われ馴染み深い言葉「シルエット」で1分43秒で、次の曲への序章のような効果で使われ、Space へと続きます。この曲は印象に深い曲で好きな曲です。The Ant & The Elephant 何かの物語の題名のような曲でギターの Mike Miller を上手く起用してサックスの Eric Marienthal との絡みが良いです。Tumba Island これもテーマがチック・コリア 節な曲です。エレクトリック感の無いバンドでの演奏で聴いてみたいですがアコースティック・ピアノでは無理があるかな。Ritual エレクトリック・バンドの良さが出ています。複雑な変拍子は5拍子ですかね。Ished スリリングな感じでインプロとキメが複雑にからんでいるのでしょうか。無機質な音の羅列にも感じますが、実はとても熱いインプロでじっくりと聴くと良いです。Spanish Sketch 静かに絵画を見ているようなイントロからスパニッシュ・スケールを使ったスペイン風のテーマとアドリブで雰囲気がコロコロと変わり演奏している方は大変そうな大曲です。Reprise アルバムをまとめる最後は曲と言うよりは映画の最後のようなスペイシーな小曲です。どこかで聞いたことがあるようなフレーズも出てきながら不思議な世界が何かの穴に少しづつ吸いこまれていくようなラストは面白い。
 久しぶりに聴いてみると結構良いアルバムで印象が変わりましたが、ヘビロテの棚には残念ながら行きそうにはありません🎶

piano, keyboards, programmed by (Synth), mixed by, producer : Chick Corea
technician (equipment) : Eric Seijo
technician (piano & rhodes) : Brian Alexander
bass : Jimmy Earl
drums : Gary Novak
guitar : Mike Miller
sax : Eric Marienthal

executive-producer : Dave Grusin, Larry Rosen
producer [production director Grp : Sonny Mediana
co-producer, executive producer, artwork by (cover concept) : Ron Moss

recorded by (recording manager) : Danny Byrnes
recorded by, mixed by : Bernie Kirsh
recorded at Mad Hatter Studios Los Angeles

1. Paint The World / Chick Corea, Gary Novak
2. Blue Miles / Chick Corea
3. Tone Poem / Chick Corea
4. CTA / Jimmy Heath
5. Silhouette / Chick Corea
6. Space / Chick Corea
7. The Ant & The Elephant / Chick Corea
8. Tumba Island / Chick Corea
9. Ritual / Chick Corea
10. Ished  / Chick Corea, Jimmy Earl
11. Spanish Sketch  / Chick Corea
12. Reprise  / Chick Corea



▶ Ritual


  

2025年2月9日日曜日

Nels Cline & Julian Lage ‎/ Room


 即興とアバンギャルドな世界感がヤバいです。Wilcoのギタリストとして知られる Nels Cline(ネルス・クライン)と現代若手ギタリストと当時言われていた Julian Lage(ジュリアン・レイジ)のギター・デュオ作品です。私的には、この手のジャンルは、余り持ち合わせていないので、タワレコとかで試聴してから興味本位で購入かと思われます。


 30歳離れたデュオですが、世代を超え、左チャンネル Julian Lage、右チャンネル Nels Cline とのこと。オーバー・ダブなしの格闘技のような音の応酬は、内面的な激しさが感じられます。テーマもありますが、通常のインプロビゼーションとは異なるところへ飛んでいくため、興味のない人は何をしているのか全く理解できないものとなります。
 私も何を意図しての、このインプロなのかは全く理解できませんが、フリージャズでも鍛えられてきた、耳に今では全く違和感はありません。ただ、エネルギー丸出しのフリージャズでは無く、音の持つ響きを楽しむ?静観しながら、その秘めたエネルギーを聞き入る作品かと思います。


 ギターと言う楽器は、アルペジオであったり、単音のノートであったり、ストロークでかき鳴らすなどのプレイが出来る楽器ですが、これを2本のギターで行う即興プレイはなかなか無いと思われます。このようなインプロに関わらず、ユニゾンのラインを息もぴったりであることにも驚きです。
 フリー・ジャズ、現代音楽、実験音楽、即興音楽、の境界線は、どこにあるのかマダマダわからないリスナーとしては若輩者ですが、この手の面白見は、最近感じ取ることが出来るようになってきました。このようなアルバムは、今日はいつもの音楽好きの集う「おでんバー」で爆音でかけたいと思います🎶

electric guitar, acoustic guitar : Julian Lage, Nels Cline

producer : Nels Cline & Julian Lage
released November 25, 2014
recorded December 1–3, 2013

1. Abstract 12 / Julian Lage
2. Racy
3. The Scent Of Light
4. Whispers From Eve
5. Blues, Too
6. Odd End
7. Amenette
8. Freesia / The Bond
9. Waxman / Cline, Lage
10. Calde / Lage

絶対に、永遠にまね出来ません。