2023年7月17日月曜日

Madeleine Peyroux / Dreamland

 

 新しく女性シンガーを見つけたいと思って、DiscUnion の棚を見ていて、名前の読み方もわからない、このアルバムを手にしました。ジャズの棚にあったので、そちら系かと思って聞いたらブルース、カントリー、フォーク、ジャズなど、ノージャンルのシンガーで Norah Jones を、もっとブルース寄りにしたような感じで、購入してから数か月は聴かずに貯蔵されていた一枚で、初聴きは、いつもの「おでんバー」でした。今日は何があるの?知ってますか、この人?などと会話しながらかけ始めるとおや?ジャズではないな、と直ぐにわかり反応が少ない。確かにジャズボーカルと思ったので私も拍子抜けで最初の試聴は終了しました。
 Madeleine Peyroux(マデリン・ペルー)は、アメリカ出身ですが名前はフランス系。父親が、かつてフラン領だったニューオリンズ出身とのこと。南カリフォルニアやNYのブルックリンなどで育ったのだが、両親の離婚で母親と一緒にパリに移り、13歳から22歳までの期間はパリで過ごし、15歳の時からパリの路上でバスキングを始めロスロ・ワンダリング・ブルース&ジャズ・バンドに加わって、欧州各地をツアーしたという経歴の持ち主。


 そのデビューアルバムがこのアルバムでプロデューサーは、トム・ウェイツやルー・リードなどを手掛けてきた Tow Waitsバンドの Greg Cohen, Yves Beauvais の二人でした。デビューではありますが、渋い声で貫録が十分なアルバムです。
 Walkin' After Midnight は、Patsy Cline の曲で1956年の楽曲で、いかにも古臭い曲をだるそうに歌っています。グッと惹きつけるわけではありませんがベテラン感漂う曲は聴き直せば味がある。Hey Sweet Man は、Peyroux 作曲のゴリゴリのブルースでドブロギターは Marc Ribot。堂に入った貫録の演奏と歌ですが、声を張り上げて主張するタイプではありません。I'm Gonna Sit Right Down And Write Myself A Letter は、Fred E. Ahlert作曲、Joe Young作詞の1935年のポピュラー・ソング。なるほど、古き良きは良いものとして、そのままの、この路線ですね。そう思えば悪くない。(Getting Some) Fun Out Of Life は、ビリー・ホリデイですね。メンバーも変えて、きっちりジャズアレンジで声を震わせています。La Vie En Rose は、1946年の Édith Piaf の代表曲ですね。邦題はバラ色の人生でフランス語とアコーディオンで情緒たっぷりで、ラジオから流れているみたいな感じです。おっと、これも歌いかた変えてますね。つぶやき系かと意外と器用な人でもあります。Always A Use も聴きおぼえあります。でも作詞作曲は Madeleine Peyroux とありスタンダードは無いようです。流行ったかなあ。耳覚えあり。A Prayer は Euston Jones とあります。調べてもわからないし聞き覚えは無いですね。アメリカの古い歌っぽい感じがします。Muddy Water は、てっきり、あのマディ・ウォーターズを讃えるドロドロのブルースかと思ったら違いました。1926年のアメリカン・ポップスという感じの Harry Richman, Jo Trent, Peter DeRose による楽曲で、レトロ・ジャズっぽいアレンジです。ゆったりとした4ツ刻みのギターが心地よい。Was I? も、古き良きアメリカンな感じでバンジョーなども入った軽めのポップスで、これも良いですね。Dreamland は、Madeleine Peyroux の曲でポップス調です。悪くはないけど、これは売れそうにない感じですかね。ラスト2曲目は、Reckless Blues で Bessie Smith の曲です。これはピアノ主体のブルースで古き良きアメリカの情緒たっぷりスロー・ブルースのピアノに小説の最後だけアップテンポにするお茶目さも良い。このパターンがこの人の持ち味は活かされます。ラストは Lovesick Blues は、ギター・ブルースです。きっと、ずーっと歌いこんできた曲なんでしょう。他の曲よりボーカルが、歌いなれた主張の仕方をしています。
 最初は控えめな感じがして、印象があまりに薄かったんですが聴き直してみたらかなり味が出てきたアルバムです。おそらく色んな引き出しがあるかたと思われますので、以降のアルバムも聴いてみたいとは思います。現代のビリー・ホリデイなどと言われているとの評を目にしますが、このアルバムに限ってはそんなことはありません🎵

vocals : Madeleine Peyroux
piano : Cyrus Chestnut (4, 8, 11)
electric organ (hammond B3) : Charlie Giordano (1)
mellotron : Charlie Giordano (10)
accordion : Charlie Giordano (5, 9)
guitar : Madeleine Peyroux (4, 8, 9, 12)
acoustic guitar : Marc Ribot (5)
dobro : Marc Ribot (2, 6)
electric guitar : Larry Saltzman (10), Marc Ribot (1, 3, 10), Vernon Reid (8)
banjo : Marc Ribot (9)
bass : Greg Cohen (1, 9, 10), Steve Kirby (4, 8)
bass (bowed) : Greg Cohen (7)
marimba (bass marimba) : Greg Cohen (3)
drums : Kenny Wollesen (1, 3, 9, 10), Leon Parker (4)
percussion : Kenny Wollesen (1)
cymbal : Leon Parker (8)
cymbal (parade cymbals), bass drum (marching bass drum) : Kenny Wollesen (7)
tenor sax : James Carter (3) (1, 3)
trumpet : Marcus Printup (2, 7)
bass clarinet : James Carter (3) (8)
violin : Regina Carter (5, 9)

producer : Greg Cohen, Yves Beauvais

1. Walkin' After Midnight
2. Hey Sweet Man
3. I'm Gonna Sit Right Down And Write Myself A Letter
4. (Getting Some) Fun Out Of Life
5. La Vie En Rose
6. Always A Use
7. A Prayer
8. Muddy Water
9. Was I?
10. Dreamland
11. Reckless Blues
12. Lovesick Blues





  

2023年7月16日日曜日

Journey / Trial By Fire



 Journey と言えば、Steve Perry のボーカルがイメージです。1973年がに結成され初アルバム Journey (宇宙への旅立ち)を発売でこの時のボーカルは Gregg Rolie でした。1977年に、Steve Perry が加入し、これまでのプログレ路線からボーカルを中心としたロックに転転換し 1978年に4作目の Infinity が発売されプラチナ・ディスクを獲得します。このアルバムのジャケットから、ジャーニーを象徴するアートワークとしてスカラベがデザインされるようになりましたが、この Steve Perry が最後となるアルバムジャケットには使われていませんので路線を変更している内情も見て取れます。


 数々のヒット作を生み出した Journey ですが、その後メンバーは各自のソロ活動を主体としたり、メンバーも入れ替わり、1986年の Raised On Radio が黄金期としては最後のアルバムになり、それから10年後の 1996年 に Steve Perry, Neal Schon、 Ross Valory, Steve Smith , Jonathan Cain の Escape、Frontiers のメンバーでの録音となります。
 Message of Love はいかにも Journey で、Separate Ways で聴いたことがある歌いまわし、ギターなどが盛り込まれています。One More は、荘厳なスケールのある楽曲です。When You Love a Woman は、96年グラミー賞ノミネートされた楽曲で、これは聞き覚えがありました。If He Should Break Your Heart はコーラスが重厚な楽曲でニールショーンのお決まりのパターン。Forever in Blue は、少し今までと雰囲気変えてきたのかと思ったらそうでも無い。聴いたことがあるサビの歌メロですね。Castles Burning の方が雰囲気変えてます。このぐらい振り切った方が好みです。Don't Be Down on Me Baby はバラードで、Steve Perry の得意なパターンですね。Still She Cries もバラードで、これも聴きおぼえありますね。メロディーラインがしっかりしていて耳に残ります。Colors of the Spirit は民族楽曲のようなオープニングで、プログレっぽく凝ったバッキングですがやり過ぎ感があるかなあ。When I Think of You もバラードです。多いですねえ。やはりスティーブは、歌って聴かせるボーカリストだなと。Easy to Fall 透明感あるメロディーにコーラスワークが良いですね。キラキラしてます。Can't Tame the Lion アップテンポで、ギター全開です。このアルバムは、ギターの出番少なめですので貴重。ライオンは飼いならせないってタイトルですが、ライオンは誰なのか?脱退する Steve Perry ですかね。やっぱり。It's Just the Rain 雨空に向かって歌い上げるせつなさのようなスローナンバー。そして Trial by Fire はタイトル曲ですが、Steve Perry のソロ・アルバムなのかと思うボーカルもの。最後の Baby I'm a Leavin' You は、ライナーノーツに掲載されていない Hidden Track となっているレゲエ・ナンバーで、これは珍しい。
 Journey は私が高校生ぐらいの時のライブ・アルバムが凄く好きでした。ギターのニール・ショーンの流れるようなフレーズと、フレーズの最後のゴニョ・ゴニョは特徴ありすぎででこれが良いんですよね。ということで私の知っている Journey のアルバムでは無かったけど、やっぱり Journey でした🎵

lead vocals : Steve Perry
guitar : Neal Schon
keyboards : Jonathan Cain
bass guitar : Ross Valory
drums : Steve Smith

producer : Kevin Shirley

1. Message Of Love
2. One More
3. When You Love A Woman
4. If He Should Break Your Heart
5. Forever In Blue
6. Castles Burning
7. Don't Be Down On Me Baby
8. Still She Cries
9. Colors Of The Spirit
10. When I Think Of You
11. Easy To Fall
12. Can't Tame The Lion
13. It's Just The Rain
14. Trial By Fire
15. Baby I'm a Leavin' You (Hidden Track)






  

2023年7月14日金曜日

Carey Bell / Deep Down

  
 1936年にミシシッピ州メイコン生まれで、サックス奏者になりたかったけど、高価なサックスはあきらめてブルース・ハープを始めた。この人のブルースハープは、リトル・ウォルターやビッグ・ウォルター・ホートン、サニー・ボーイ・ウィリアムスン二世などから直伝だそうだ。アグレッシブなプレイのシカゴのファンキー・ブルースは気持ちよすぎます。ちなみに息子は Lurrie Bell というブルース・ギタリストで本アルバムにも参加しています。もう一人のギタリストは Carl Weathersby で、こちらはブルースのみならずR&Bやファンク系ファンクなどでも活躍するギタリストです。私の手持ちではブルースアルバムですが、Billy Branch / Satisfy Me なんかに参加されています。


 デビュー作 Carey Bell's Blues Harp(1969)をリリースしてから四半世紀26年後の1995年で、録音されたこのアルバムは、キャリーならではハープのスタイルが開花した快作で、より幅広いファンを獲得するきっかけをつくるヒット作となりました。
 1曲目  I Got To Go は、Little Walter のカバーで、イントロも原曲と同じ出だしで、Muddy の Got My Mojo Workin' も同じですね。アンプリファイドされた音のブルース・ハープ、Lucky Peterson のファンキー・ピアノ、そして力入れすぎて音程がシャープする寸前のキンキンのギターは、Carl Weathersby で、王道過ぎる盛り上がりです。Let Me Stir In Your Pot は、Carl Weathersby のペタッとしたイントロから始まります。ミドル・テンポのブルース曲です。息子 Lurrie Bell は、リズムギターに徹していて地味に頑張っています。When I Get Drunk は、ブルースハープ控えめの昔からよくあるワンリフのブルースで地味な曲ですが時折しごくようなブンブンというギターの音が良いですね。Low Down Dirty Shame で、ファンキーなジャンプ・ブルースに戻ります。James Cotton とかでも、よくあるリズム・パターンですが最高ですね。途中のブレイクした Carey Bell のハープソロも最高の盛り上がりです。 Carl Weathersby はアルバート・キング風のギターソロで少し味付けを変えてきています。完成されているなあ。Borrow Your Love のイントロのギターは、聴いたことがあるぞと思いなおすと、Stevie Ray Vaughan だと思います。このニュアンスを激しめにするとああなります。と思って聞いてると歌い方も Ray Vaughan のような気がします。Lonesome Stranger は、また古典的なワンリフのブルース。メンバーの誰も無理しすぎたり外しかけたりしないのは、エンターテイナー集団って感じです。After You は、Sonny Boy Williamson の曲ですね。これは王道のシャッフルでペタペタでキンキンのギターソロが合います。そして Muddy の I Got A Rich Man's Woman です。この歌い方ですよね、これ。ブルース好きにはたまらない訳で流行る訳です。Jawbreaker は、跳ねるようなブルース・ハープから始まります。王道のようでありイントロにインパクトありです。ボーカル無しですか、これもまたカッコ良いですね。微妙な少しづつのテンポアップもじれったくて良い味を出してます。Must I Holler は、Muddy のゆったりとした曲です。そして Tired Of Giving You My Love で、現代風のファンク・ブルースに戻り、Easy でしんみりと締めるわけです。
 確かに売れる訳ですね。キャッチーな演奏と昔からのブルースファンも楽しめる内容でメンバーが良かったですね。これは!楽しいです🎵

vocal, harmnica: Carey Bell
piano : Lucky Peterson
guitar : Carl Weathersby, Lurrie Bell
bass : Johnny Gayden
drums : Ray "Killer" Allison

producer : Bruce Iglauer, Carey Bell

recorded at Streeterville Studios

1. I Got To Go
2. Let Me Stir In Your Pot
3. When I Get Drunk
4. Low Down Dirty Shame
5. Borrow Your Love
6. Lonesome Stranger
7. After You
8. I Got A Rich Man's Woman
9. Jawbreaker
10. Must I Holler
11. Tired Of Giving You My Love
12. Easy





  

2023年7月9日日曜日

Keith Jarrett Trio / Stella By Starlight

 

 1977年のGary Peacock のアルバム Tales Of Another が初顔合わせとなり、Gary Peacock 、Jack DeJohnette、Keith Jarrett の組み合わせによるトリオは1983年になって再び Standards Vol 1、Vol 2、Changes の3枚のアルバムを発表し、このトリオは80年代以降のジャレットを代表する」活動となりました。これは、このトリオでの初のライブ盤で、有名なスタンダードナンバーを独特の解釈で聴かせる、美しく宇宙的な広がりの中に、絶好調なキースの唸り声がクセになる作品です。


 アルバムは、タイトル曲 Victor Young 作曲のStella By Stalight から始まります。冒頭からキースのソロはアドリブから始まり、ゲイリーとジャックが加わると更に絶好調になり熱気が伝わってきます。The Wrong Blues は、クラシックとともにポピュラーソングの作曲家でもある Alec Wilder の楽曲ですが、スタンダートと言うには少しマイナーな曲のようです。でも曲名のようなアクの強そうな感じではなくスマートな曲で軽くスイングするような感じが素晴らしい。Falling In Love With Me は、イントロで原曲を感じるのでホッとしましたが、アップテンポのスイングアレンジでスリルある演奏になっています。ゲーリーのベースソロ、キースのけしかけるようなプレイが良い感じです。Too Young To Go Steady は、James Francis "Jimmy" McHugh の作曲で1955年のミュージカル「ストリップ・フォー・アクション」のナンバーで、1956年にナット・キング・コールの歌が、1960年にはコニー・スティーヴンスのレコードがヒットしている。原曲の」メロディを提示し優しくピアノで歌うキースがキラキラしています。The Way You Look Tonight 邦題は「今宵の君は」だそうで原曲はバラードらしい。ここでは、やがり普通にはやらずに高速にスピード感と迫力を持った演奏になっています。最後は The Old Country でコルネット奏者 Nat Adderley の楽曲で、この人は Cannonball Adderley の実弟だそうだ。ブルースを感じますがメロディを美しく泥っぽくなく演奏するキースのプレイがやはり素晴らしい
 いつもの「おでんバー」でかけたら今更これですか?超スタンダードだよねって、言われながら、来週また聴きたいから置いといてって言われました。やはり名アルバムなんですよね、これは🎵

piano : Keith Jarrett
bass : Gary Peacock
drums : Jack DeJohnette 

producer : Manfred Eicher

recorded July 2, 1985 at the Palais des Congrès Studios de la Grande Armée.

1. Stella By Starlight
2. The Wrong Blues 
3. Falling In Love With Me 
4. Too Young To Go Steady 
5. The Way You Look Tonight 
6. The Old Country






  

2023年7月2日日曜日

Kenny Burrell / Midnight Blue


 Kenny Burrell を聴く人には、マスト・アイテムの1963年発のソウルフルでラテン・テイストなブルース・アルバム。バレルは1956年にブルーノート・レコードからデビューしたなのでデビューから7年にあたります。メンバーはテナー・サックスの Stanley Turrentine スベースにMajorHolley. jr ドラマーに Bill English コンガにRey Barretto と、ピアノレスにして、コンガを入れることで魅力的な深夜のブルースの演出です。
  プロデューサーの Alfred Lion は、レコーディングをする際は必ずオリジナル・ブルース曲を1曲は用意してくるようにミュージシャンにリクエストをしていたり、ギターという楽器にも愛着があったようで、ブルーノートレーベルの初期は、Tal Farlow、Sal Salvador、Lou Mecca などの白人ジャズ・ギタリストが多く黒いフィーリングを持ったプレーヤーとしてはバレルが代表格です。Alfred Lion は、数多くの作品の中でも一番のお気に入りで、ライオンが亡くなった後、亡骸と共にこのアルバムも埋葬されたとのこと。その理由は「全ての音符がスウィングしているからだよ!」とライオンが言っていたとのエピソードもあります。

 私もバレルを聴き始めた頃からのお世話になったのアルバム。久しぶりに聴いてみると、やっぱり王道で安心感のある存在感のあるアルバムですね。さてレビューしましょう。
  Chitlins Con Carne は、リズム&ブルース等のジャズ畑ではないブルース・ミュージシャンにも好まれる名ジャズ・ブルース曲。Stevie Ray Vaughan の The Sky Is Crying なんかにも収録されてます。Mule は静かにダークに進行するブルースで暗いジャズ喫茶で煮詰まった珈琲が似合いそうな曲になっています。ずっしりとしたベース、中盤からの Stanley Turrentine のサックスも粋です。 ちなみに Mule とは「ラバ」の意味ですが、それ以外にも「運び屋」の意味もあるようで、なるほど。禁酒法時代の1920年~1933年までに生まれたカントリー・ブルースを表現したような曲名だと感じます。Soul Lament はいかにもバレルらしい名演の独奏です。テーマにコードを挟みこんで不安定にも感じるコードの響きも魅力。タイトル曲 Midnight Blue は、ドラムとコンガがリズミカルにスイングします。いかにもジャズ的で、ピアノレスなのでシングルノートとコードを一人「コール&レスポンス」している優等生的な印象の曲です。Wavy Gravy は、ウォーキング・ベースのイントロから始まる渋いブルースで、アーシーなサックスソロも聴き所。Gee Baby, Ain’t I Good To You はバレルの十八番でもあり様々なミュージシャンに愛される名ブルース・スタンダード、曲が良いだけに名演も多いですよね。大好きな曲です。Saturday Night Blues はバレルの作曲で、明るめのブルースです。Kenny's Sound、K Twist はボーナストラックで軽く流すブルースセッションのようでライトでカッコ良いですね。
 正統派ブルースが気持ち良いアルバムです🎵

guitar : Keny Burrel
tenor sax : Stanley Turrentine
bass : MajorHolley. jr
drums : Bill English
congas  : Rey Barretto

producer : Alfred Lion
recorded by : Rudy Van Gelder

1. Chittlins Con Carne
2. Mule
3. Soul Lament
4. Midnight Blue
5. Wavy Gravy
6. Gee Baby Ain't I Good To You
7. Saturday Night Blues
8. Kenny's Sound
9. K Twist
▶ Chittlins Con Carne




  

2023年6月17日土曜日

Billy Sheehan / Niacin


 Niacin(ナイアシン)は、Mr Big に在籍のロックベース界の重鎮 Billy Sheehan のプロジェクトで、メンバーはフュージョン、ジャズ、ファンクを中心とした数々のドラム名演を残す Dennis Chambers 、そして私にとっては若干正体不明のキーボード奏者 John Novello で構成されるインスト・バンド。(John Novello は、このNiacinに参加で名が売れたらしいのでそれほど失礼でもない事実かと思われます)フュージョンというよりはほぼインスト・ロックなのでこれはプログレですね。


 これはキーボード奏者の方からの頂きものなのですが、いただいた時は実は「良さがわからず」あまり聴かなかったアルバムでした。しかしながら時間が経てば、趣味趣向は変化するもので違和感のようなものは無くなり「好みである」とは言えないけど「良さがわからない」では無く聴けるようになってきました。
 このアルバムは、トリオ演奏で、キーボード奏者 John Novello がメロディーのメインになっているため、全編にわたりロック・オルガンが延々と続けられています。ここら辺が以前はしんどいかったのが、ジャズ・オルガンも最近は結構聴くようになったせいか今聴いても全くしんどいことはありません。ただロックとして楽しめるかと言えば、派手なこれ見よがしのテクニックオンパレードが良いとは思わないですが、期待としては派手なベースが聞ける方が、この手のアルバムでは楽しいことは間違いと思います。
 アルバムとしての感想はこのようなことになりますが、YouTube動画を検索していたら Blue Note Tokyo でのライブ画像があり、これを見たらぶっ飛びました。スタジオ版とは明らかに違うグルーブ感とテンションです。素晴らしい。これみよがしなテクニックでは Pat Torpey (MR.BIG) jamming with Billy Sheehan の動画もまたこれ素晴らしい🎵

bass : Billy Sheehan
keyboads, organ : John Novello
drums : Dennis Chambers

producer : Billy Sheehan

1. No Man's Land
2. Do a Little Dirty Work
3. I Miss You (Like I Miss the Sun)
4. One Less Worry
5. Three Feet Back
6. Bullet Train Blues
7. Hell to Pay
8. Alone on My Own Little Island
9. For Crying Out Loud
10. Klaghorn
11. Spring Rounds
12. Spring Rounds Squared
13. Pay Dirt
【Bonus Track】
14. Last Ditch Rag





  

2023年6月16日金曜日

Miles Davis / Seven Steps To Heaven

 

 1960年に Coltrane がグループを去り、ここからしばらくメンバーは固定されず、1965年 Wayne Shorter との第2の黄金クインテットが誕生するまでの間、サンフランシスコ・ロサンゼルス等の西海岸で様々なジャズメンと演奏を行っていて、まずは3週間のクラブ・ギグ後、1963年4月の Los Angeles でレコーディング。I Fall In Love To Easily、Baby, Won't You Please Come Home、Basin Street Blues の曲を録音で残りの曲は録音はしたけどお蔵入りとなったとのこと。ピアニストの Victor Feldman はニューヨークに来ないかと誘われたが断ったらしい。あくまでもこのクインテットは暫定的なメンバーとなり New York で、リズム隊を Herbie Hancock、Tony Williams に変えて、サックスに George Coleman にして 同年5月の New York で異なるセッションによって収録されました。マイルス的には、このセッションの違いはリズムにあり New York のクインテットの方が満足していたようです。LA吹込みの So Near, So Far は、どのアルバムかわかりませんが、1981年に発表されているらしいので、そこも聴いてみたいところです。コレクション増やしていけば、そのうち聴けるでしょう。

 落ち着いたマイルスで良いのだが、このアルバムは古めかしいかな。メンバーを探しながら、ツアーに明け暮れて稼いでいた時期なので革新的な音楽の開発と言うよりは当時のメンバーでの記録的な録音でもあるのかもしれません。

 Basin Street Blues は、マイルスが淡々と最初から吹いているバラード調のブルースでカッコ良い演奏ではあるけれど流れてしまうような感じの美しい曲に仕上げています。聴けよこの野郎感は全くありません。タイトル曲の Seven Steps To Heaven は、なるほどリズム隊が変わり古臭くはありますが中身が全く違います。やっぱり、こっちの方が楽しんでいる感じが伝わります。I Fall In Love To Easily では、またバラードとなります。のっぺりとした感じが強い対比に感じます。交互に So Near, So Far はアップテンポになり、マイルスのトランペットの音の張りも違います。Baby, Won't You Please Come Home では、またバラード。なるほどLA録音は Victor Feldman とマイルスの二人が主体となった静的な美しさを強調してるわけですね。最後の Joshua は当然アップテンポで盛り上げていきます。

 心に残る一枚かと言えば、淡々とした演奏を聴いている感が強く、たまに聴いてみたくなるアルバムの類となるような気はします。または在宅勤務時のBGMには良いのかもとも、ここらへんのアルバムを時系列に沿って聴くと面白いのかもしれないとも思ったりしながら最後聴いております🎵

trumpet : Miles Davis
piano : Herbie Hancock (2, 4, 6), Victor Feldman (1, 3, 5)
bass : Ron Carter
drums : Tony Williams (2, 4, 6), Frank Butler (1, 3, 5)
tenor sax : George Coleman (2, 4, 6)

producer : Teo Macero

tracks 1, 3, 5 recorded in Hollywood, Cal.
tracks 2, 4, 6 recorded in New York

1. Basin Street Blues
2. Seven Steps To Heaven
3. I Fall In Love To Easily
4. So Near, So Far
5. Baby, Won't You Please Come Home
6. Joshua



▶ Joshua


  

2023年6月11日日曜日

Bootsy Collins & The Bootsy's New Rubber Band / Keepin' Dah Funk Alive 4-1995


 最近の音源はジャズに偏っていますが、私こういったものも好物であります。いかれたファンクは好きですか?ハイ好きで~す。ジャケ写でも解りますが、Bootsy Collins は同じみのいかれたベーシストで 基本いかれたファンクの人なので、やってることは P-FUNK でやっている音楽性とほぼ同一です。このいかれた見た目の Bootsy ですが、経歴としては1951年生まれジェームス・ブラウンのバックバンドJB’sに在籍と、ここら辺まともなように見えます。しかしドラッグでベースが蛇に見えて、ステージから逃走して首に・・まあ親玉もドラッグはバリバリで2回も逮捕されている人だけに、このぐらいでビックリはしません。親玉はドラッグやっても仕事はちゃんとしてるさ、ステージから逃走はいかんよってことですねか。そして現在はPファンク主要メンバーとして活躍する王道の経歴です。


 さてこのアルバムは1994年の東京の Jungle Club のライブ収録の2枚組。Bernie Solo、One Nation Under A Groove、P-Funk を除くすべての曲はブーツィー・コリンズが書いた、または共作した曲となっています。後で音は被せてあるようですがライブとしての録音状態、アレンジなどの完成度は非常に高いアルバムです。
 さてレビューですが、Introが終わると Ahh... The Name Is Bootsy, Baby 最初から飛ばすタイプの曲ではなくフレーズのループで次第に盛り上がっていきます。 Bootsy? (What's The Name Of This Town?) も似たようなグルーブで、歌ではトキオのフレーズがひたすら繰り返されます。Psychoticbumpschool ここらへんでテンポ・アップしてアレンジも凝ったものになります。曲調としては Larry Graham でもよくある感じ。The Pinocchio Theory はシンセが駆使された軽めのファンク。この音の刻み方と展開は大好きなパターン。そして、Hollywood Squaresb に続くメドレー的な展開ですが音がブツッと切れます。メドレーではなく編集の都合上かもしれませんが気になる。フルートも入れた怪しい雰囲気の曲でこれもカッコ良いんですけどね。Bernie Solo は Bernie Worrell のソロパート、One Nation Under A Groove は、少し軽めにアレンジされていますがお馴染みの曲で、安心感あります。続いて P-Funk (Wants To Get Funked Up) 、Cosmic Slop、Flash Light、ここらへんで有名曲を入れて盛り上げていこうってこと。Bootzilla も盛り上げタイプで、Roto-Rooter はどっかで聴いたことあるな。Larry Graham スタイルってことか。そして2枚目に I'd Rather Be With You は、バラードタイプのファンク。しんみりやっているかと思いきや、メンバーの笑い声が途中で聞こえるので誰かのソロの時に何かおもろいことやって、ふざけている模様です。A Sacred Place (RIP) は、JB’sタイプの昔ながらのファンク。Medley: Stretchin' Out / Touch Somebody では「スキンシップの時間がやってまいりました。髪の毛をひっぱったりサングラスをとったりしないでください」との日本語のMCがあります。その後は延々と同じフレーズのループですが会場は大いに盛り上がっているんだろうなあと、うらやましい限り。Night Of The Thumpasorus Peoples ここらへんから混沌としてきますね。これを待ってましたって感じで客は最高に盛り上がっているに違いありません。Keepin' Dah Funk Alive 4-1995 最後になります。ライブのを締めくくるセッションみたいな感じですね。
 ほぼ、同じようなアレンジですから、しつこいと言えばしつこい。これが好きな人には、たまらないグルーブに頭の中で変化する音の薬です🎵

Vocals : Bootsy Collins, Mudbone Cooper, 
Henry Benifield, Michael Gaitheright
bass : Bootsy Collins
bass : Flip Cornett
Keyboards : Joel "Razor Sharp"
Keyboards : Greg "Daddy Ducking" Fitz
Keyboards : "Ill-Legal Alien" Bernie Worrell
guitar : Gary "Dirty Mugg" James
drums : Frankie "Kash" Waddy
Horns : Don Bynum, Larry Hatcher, Reggie Calloway, 
Rick Gardner, Vince Calloway

producer ("Live" Recording produced by) : At'c Inoue
album was recorded at: Jungle Club (June 24, 25 1994, Tokyo, Japan).

【Disc1】
1. Intro
2. Ahh... The Name Is Bootsy, Baby
3. Bootsy? (What's The Name Of This Town?)
4. Psychoticbumpschool
5. The Pinocchio Theory
6. Hollywood Squares
7. Bernie Solo
8. One Nation Under A Groove
9. P-Funk (Wants To Get Funked Up)
10. Cosmic Slop
11. Flash Light
12. Bootzilla
13. Roto-Rooter

【Disc2】
1. I'd Rather Be With You
2. A Sacred Place (RIP)
3. Medley: Stretchin' Out / Touch Somebody
4. Night Of The Thumpasorus Peoples
5. Keepin' Dah Funk Alive 4-1995





  

2023年6月10日土曜日

Luca Mannutza Sound Six / My Music


 イタリア・ジャズのピアニスト、Luca Mannutza(ルーカ・マンヌッツァ)のプロジェクト。日本のレーベルの Made In Japan の音源ではありますが、録音はローマのスタジオでライナーノーツに日本語は一切使われていない(日本語どころか解説の文字も一切ない)ので知らなければわからないのは当然だとは思いますが、発売はイタリア・ジャズやヨーロッパ・ジャズを発信する日本のレーベル Albore Jazz(アルボーレ・レコード)から。このレーベル高品質な安心感のあるアーチストの音源を発信していると、これを書くために調べていて初めて知りました。


 全く知らないアーチストなのに購入しているということは、ほぼタワレコの試聴で購入に至ったことは、間違いないのですが、どんなアーチストなのかググっても、ロクな情報が出てきません。これだけ高品質な音源を出されているんだから、もう少しあっても良いのではないかと思いながらも諦めようとしたところ、Albore Jazz の所属アーチスト紹介で発見しました。本文はイタリア語で書いてありさっぱりですが、後半に和訳がありましたので一安心ということで、そのまま Luca Mannutza のアーティストページから拝借。
 「伊ジャズ界で最も高い信頼を集めるブレイン・ピアニスト/オルガニスト。1968年生まれ、サルデーニャ州都カリャリ出身。弱冠11歳にして同地のコンセルヴァトーリオ(音楽院)に入学。18歳で修士の後、地元のジャズ・ロック、フュージョン・バンドを経てジャズの世界に身を置く。アンディ・グラヴィッシュ (tp)、エクトル・コスティータ (sax)、同じくサルデーニャ出身のパオロ・フレーズ (tp)、エマヌエーレ・チーズィ (ts)らとのツアーで経験を積み、99年に活動の拠点をローマに移す。職人肌とも言えるその高いピアノ演奏力もさることながら、独創的かつわかりやすいコンポジション、明快な音楽ディレクションをもとに、自らのプロジェクト=サウンド・シックス、そしてハイ・ファイヴ、サウンド・アドヴァイスなど、現代の伊ジャズ・シーンを牽引するさまざまなプロジェクトの柱を担う。」
 さて、アルバムを聴いているとハードバップが基礎ですが、フュージョンのようなキメあり爽やかで流れるようにスマートな演奏です。ハードバップなら50~60年代のブルーノート!みたいな観念がありますが、量産ではない現代ハード・バップの独創性と音の良さも中々。またピアニストのプロジェクトですが、前面に3管の編成で厚みのある演奏、おそらくサックスの Max Ionata の丁寧な演奏で作品全体が、また上品に仕上がっています。惜しむらくは、熱いソロパートなどは余り感じられずに最初から最後まで同じようなテンションで聴いてしまえること。でも何回か繰り返し聴いていると、かなり細かい芸もあるので Luca Mannutza のコピーでもしてやろうかと思いながら聴いているピアニストなんかは熱くなる部分はありそうです。
 ちなみに、作品の曲は全てマンヌッツァが、コンポーズして、これまでに発表された作品の中から選んで新たにこのレコーディングをしたらしい。過去の曲を聴いてきたわけではないが、完璧なセクステット編成によるハーモニーはストレートに素晴らしいです🎵

piano : Luca Mannutza
sax : Max Ionata, Paolo Recchia
trumpet : Francesco Lento
double bass : Renato Gattone
drums : Andrea Nunzi

recorded at Icarus Recording Studio Roma, on November 29-30, 2011
1. So Near, So Far
2. Evan's Even
3. Pippo
4. Libero
5. Safari
6. Nel Mare
7. Shades Of Gira
8. Così Come Sei
9. Two Friends


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