旧約聖書のエジプト脱出を描いたアニメーション映画「The Prince Of Egypt」の主題歌で、98年度アカデミー賞最優秀主題歌賞を受賞した When You Believe のシングルです。映画自体は見ていませんが、PVなどは当時かなり流行っていたので、中古屋で見かけて思わず懐かしさに手が伸びた一枚です。
改めてこの曲の作者を見ていたら作曲は BabyFace、Stephen Schwartz で、作詞は Stephen Schwartz
Babyface は、MTV Unplugged やクラプトンの Change The World などで知っていましたが、Stephen Schwartz は馴染みがありません。調べてみるとミュージカルやアニメ映画方面でかなり著名な作詞作曲家のようです。(どのようなミュージカルかは全く私に見識はありませんが)
その内容と存在感から、最も刺激的なブラック・ミュージック・アルバムのひとつに数えられる『The Glitter Of The City』。ドープでディープでパワフルでエモーショナル。艶やかなブラックネスと威圧感すらあるファンクネスがあざなわれ、凄まじい突出感で迫ってくる。ロン・エヴァレットはR&Bグループ、カステルズのシンガーとして活動し、のちにジャズ・トランぺッターに転向したミュージシャン。フィラデルフィアを拠点に活動し、本作も当地のミュージシャンとともに作り上げられた。ハンドメイドのジャケットに収められたオリジナル盤は、当時レコード店で売られることなく、現在では数枚その存在が確認されているのみである。英Jazzman Recordsが数年の調査を経て再発にまで辿り着き、何とその過程で未発表のマスターテープも発見。その音源もボーナストラックとして収録されている。正に桁違いのこの刺激、とことん味わいたい。(尾川雄介)
オリジナルのアルバムはリーダーでトランペットの Ron Everett が自主レーベル Vagabond King から1977年の4月4日に8枚のテストプレス。同年の12月7日に500枚がプレスされたとのことで、手売りとメール・オーダーでの発送による販売だったとのこと。相当のレア・アイテムです。タワレコにもジャズ・コーナーに置いてあり、カテゴリー的にはジャズに分類されるようですが私にとっては完全にジャズ・ファンク、アシッド・ジャズの流れに感じます。私の教科書のようなジャズ・ファンク・アルバムの FUNK. INC / CHIKEN LICKIN' は1971年 1972年のリリース、Donald Byrd / Black Byrd は1973年、Grant Green / Shades of Green は1971ですから、このアルバムが録音される5~6年前には流れは始まっていたわけでジャズ・ファンク元祖というほどではありません。
トランペットでボーカルの Ronald Everett は西フィラデルフィア出身で通っていたサルツバーガー中学がクワイアで有名な学校でありベーシスト、シンガーとして活躍していて、卒業の16歳とともにトランペットも独学で学び始め、The Castelles というボーカル・グループを結成して1953年に初レコーディングし、My Girl Awaits Me が10万枚の売り上げたとのことで、ここではベーシスト、シンガーのままでした。そして彼は大学にも通いながらストリート・パフォーマーを続けこのアルバムの制作となります。
私が初めてアカペラに興味を持ったのはマントラのウェザー・リポートのカバー曲の Bird Land でウェザー・リポートを後で聴いて、これがマントラの元曲のバンドなのかとウェザーリポートに感動しつつ、マントラの再現性の高さにビックリしたものでした。自身でアカペラ曲を多重録音して楽しんでいたこともあり、コーラス・グループにも一定の興味があり前述の Manhatten Transfe (マンハッタン・トランスファー)、 New York Voices(ニューヨーク・ボイセス)、Take6 (テイク・シックス) などを聴いていますが、その先駆者がこのグループ The Singers Unlimited でした。
1967年に元ハイ・ローズのメンバーの Gene Puerling (ジーン・ピュアリング) が Don Shelton (ドン・シェルトン) とともにシカゴで結成したグループで、Oscar Peterson (オスカー・ピーターソン) の薦めによりドイツのMPSレーベルと契約し、1971年にピーターソンとの共演した In Tune でデビューを果たし、1981年までの間に15枚のアルバムを残しています。デビュー当初はアメリカにおけるコマーシャル媒体製作のために結成されたグループが発展したものであると言われています。ライブ演奏を想定しない、それぞれのパートを重ね録りする、1人が複数パートを歌って4声を越えるハーモニーを作るなどでハーモニーを構築して複雑で透明感のあるコーラスを創り出しています。
収録曲の Both Sides Now は先に書いたジョニ・ミッチェルのナンバーで、ジュディ・コリンズのヒットでも有名な曲です。ジョニのフォーキーで爽やかな曲を、深遠なコーラスワークで静かに表現しています。ジョニは静かで爽やかな歌い口の中に力強い部分がありましたが、彼らのまた違った角度からの表現の違いは比較して聞いているとまた格別の味わいがあります。その他 Here, There And Everywhere、Michelle、The Fool On The Hill はビートルズのナンバー。Emily はアンディ・ウイリアムスのヒット曲。Try To Remember はミュージカルの ファンタスティック の中のヒット曲で、ロマンティックなメロディーとこれをまとめ上げるコーラスワークはまた良いです。
Bud Powell (バド・パウエル) の BlueNote(BLP5003)1951年リリース。1949年8月9日と1951年5月1日録音の2回に分けて録音され1955年には収録曲を変更して12インチLP盤(BLP1503)がリリースされています。今回のアルバムは後発の(BLP1503)をCD化したバージョンです。Un Poco Loco のTakeが3パターン続けて収録されていて It Could Happen To You は(BLP5003)とは異なるTakeが収録、A Night In Tunisia については、異なるTakeと合わせて2曲、Dance Of The Infidels、52nd St. Theme、Wail、Parisian Thoroughfare は(BLP5003)には無い追加曲、(BLP5003)にあったYou Go To My Head は消えています。そして曲順も全く異なるものとなっているので(BLP5003)は持っていませんが、かなり印象の異なるアルバムになっていると想像されます。そしてこのアルバムのタイトルに Vol. 1 がついている通り Vol.2 を1953年の session録音で発表しているので、おそらく最初の録音後に続くアルバムを録音する企画が持ち上がり、Vol. 1, 2 のタイトルにして楽曲や構成を組みなおしての録音となったものと推測されます。
また特徴的なのは、Un Poco Loco が冒頭から続けて3Take入っていることでしょうか。一聴して難易度の高い曲ですので、納得がいくまでに時間がかかったようです。1Take目はピアノソロも少し迷走していて途中で曲は突然終わります。2Take目はカウベルの入れるタイミングを変えていますが、音質が少し耳障りです。ピアノソロも未だ手探りしているようなところも見られ、ドラムソロに入るタイミングもブレイクなのかなんなのかよくわからない感じ。そして3Take目になるとカウベルの音量が下がり録音のバランスも良くなり流れるように曲の完成度も高くなっています。このような完成に至るまでの録音を続けて収録ってのもかなり珍しい。似たように未完成でも入れてしまった曲はこのアルバムにもう1曲あります。最後の Parisian Thoroughfare は、ベースソロか?と思ったところで話し声がして録音がぶった切れています。演奏を中断してしまったのか?それとも・・演奏は素晴らしいことはもちろん、こういったところも興味深い録音です。
piano : Bud Powell
bass : Curly Russell (1 to 3, 6 to 8, 12), Tommy Potter (4, 5, 9 to 11)
drums : Max Roach (1 to 3, 6 to 8, 12), Roy Haynes (4, 5, 9 to 11)
tenor sax : Sonny Rollins (4, 5, 9, 11)
trumpet : Fats Navarro (4, 5, 9, 11)
producer : Alfred Lion
recorded on August 9, 1949 (tracks 4, 5, 9 to 11) and on May 1, 1951 (tracks 1 to 3, 6, 7, 8, 12).
タワレコで試聴していたら、見知らぬバンドがあるので聞いてみると「疾走感」「開放感」「古き良きアメリカン・ルーツ・ロック」にガツンとやられ、直ぐに「買いだ!」と購入させていただいた一枚です。購入した後で youTube を見たら、リーダーのJosh Dion (ジョッシュ・ディオン) のドラムの叩き方が独特でエネルギッシュで、これもかなり印象に残りました。
Josh Dion (ジョッシュ・ディオン)は、ドラマーでリーダー、そしてソング・ライティングもこなします。ルーツロックだけでなくポップス的な要素がじんわりにじみ出ているところが素晴らしく、最近この手のバンドに興味が薄れている私の心にも響きました。
サザンロックな Makin My Livin は、楽曲も優れていますが、印象的なイントロのギターから始まり、これをモチーフにしたシングルノートのリフとして曲全体に使われているところにバンドって良いなあって感じの音作りになっていて大好きです。次の推しは3曲目の Walkin On Stilts で郷愁漂うノスタルジックなメロディーとシンプルな楽曲構成が好感。Feel もアップテンポで跳ねるようなポップさがにじみ出るロック。Hold Fast は、繊細な音で楽曲が構成されていてホッとさせられる。Take The Time はカラッとしたギターのイントロ、話しかけるような曲メロで良い。
ビレリはジャズではなく、ロック・フュージョン系ギタリストになりきってのプレイでディストーションの効いた音色で、1曲目の Improvisation No.1 / Teen Town では ディープ・パープルの Smoke On The Water のリフが出てくるなどの(凡人がマネするとケガする)サービスもあります。選曲も2曲目はボブマーレイの I Shot the Sheriff ラストはジャズ・スタンダードの Satin Doll も出てきて非常に面白い。ビレリの Smoke On The Waterのフレーズのサービスかと思っていたら、一挙にジャコのベースが飛び出してきてジャコの世界になる。そのあたりが他のジャコのライヴ・アルバムと違っていて非常に面白い。