2021年12月30日木曜日

Sly And The Family Stone / Ain't But the One Way


 Sly Stone ‎名義でその後 I'm Back! Family & Friendsは出ていますが、このアルバムが Sly And The Family Stone 名義での1983年のラストアルバムです。麻薬中毒治療など問題を抱えていたため、前作1979年の Back on the Right Track から4年ぶりのことでした。
 ロックとブラックミュージックの融合、クールファンクの確立など様々な音楽的革命を起こしてきた彼らですが、ポップなナンバーが多く軽薄な感じもあり、デッドストックの再編成とか、賛否両論あり従来のファンからは敬遠されている向きも見られます。L.O.V.I.N.U. などディスコなども意識した感じの曲や、スライらしい Ha Ha Hee Hee あたりもあるし、ファンクとポップ、ディスコを詰め込んだ High, Y'all。結構いけてる We Can Do It。そしてキンクスの You Really Got Me なんかも収録されていたりします。私的には寄せ集めだろうが何だろうが結構好きなアルバムです。・・が当時は販売不振だったとのこと。


 Sly & The Family Stone (スライ&ザ・ファミリー・ストーン) は、特に1967年から1975年にかけてサンフランシスコを本拠地として活動。リーダーは Sly Stone (スライ・ストーン) でテキサス州生まれ、地元のコミュニティカレッジで音楽理論を学び、卒業後の1963年にDJとしてサンフランシスコのラジオ局に入局し、ジャファーソン・エアプレインなどのレコードをプロデュースたり自身のシングルも発売したが鳴かず飛ばず。1966年に前身の スライ&ザ・ストーナーズ というバンドを結成し、同時に フレディ&ザ・ストーン・ソウルズ というバンドも結成し、この二つのバンドが合体し Sly & The Family Stone が完成したのです。デビューシングル I Ain't Got Nobody はヒットしたのですが次いで録音したアルバムはまたも不発。その後エピックに移籍し、ポップ路線の要求に、渋々ながら出したシングルが1968年 Dance to the Music は大ヒットし、ここから快進撃は始まります。
 しかし同時にスライ・ストーンは麻薬中毒にも侵され、銃を振り回し何度となく逮捕起訴されたり、コンサートで大幅な遅刻とキャンセルを繰り返しバンドは分解状態となりこのアルバムで活動停止となってしまう訳です。ということでラリー・グラハムは、これを契機にグラハム・セントラル・ステーションを結成し成功することにもなり明暗はここらへんで別れたようです。
その後と言えば、現在もご存命ではあるが、マネージャー氏との契約争いで収入無く白いキャンピングカー暮らしであるとのこと。これだけ時代をにぎわした人が、ホームレスとは何ともやるせない。

1. L.O.V.I.N.U.
2. One Way
3. Ha Ha Hee Hee
4. Hobo Ken
5. Who In The Funk Do You Think You Are
6. You Really Got Me
7. Sylvester
8. We Can Do It
9. High, Y'all

▶ One Way




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2021年12月29日水曜日

Dexter Gordon Quartet / Live At The Amsterdam Paradiso

 

 1969年オランダの Amsterdam にあるライブ・ハウス Paradiso (パラディソ) でのライブ録音。このライブハウスは元々はプロテスタントの教会で1968年にコンサートホールに改修されたものです。この場所での演奏は初めてでヨーロッパのミュージシャンをバックにしてのピアノトリオの演奏も初であったとのこと。
 Dexter Gordon (デクスター・ゴードン)は、1923年生まれでスイング時代のジャズシンガーの Billy Eckstine のバンドに在籍し、1945年からニューヨークに進出した。バド・パウエル、マックス・ローチ、アート・ブレイキーなどとの共演し、1950年代は薬物中毒のため活動が低迷していました。そして1960年代初頭から1976年にかけて渡欧し、フランスやデンマークを拠点に活動した時期の録音です。


 この夜のライブには1000人の観客が詰めかけたとのことだがオープニング、ゴードンの挨拶に観客の反応が無いのは録音状態からなのか、寒すぎたのか?とも勘ぐってしまいますが貫録たっぷりのテナーを聴かせてくれる Fried Bananas が始まります。ずっしりとした音色でこれぞジャズと黙々としたテナーを感じます。続く What's New はスロー・バラードで歌心のあるサックスで、語り掛けるようなサックスの音色が気持ち良いです。Good Bait はゆったりとしたテンポの曲で、今までかしこまって聴いていたこちら側の気持ちにも少し余裕を与えてくれます。ここで1枚目は終わります。この晩の演奏は3セットだったのことで、続く2枚目はまた違うセットの録音となるとのこと。実は最初にこのアルバムをかけたのは、ちゃんとしたオーディオセットで聴けるいつもの「おでんバー」だったのですが、かしこまって聴いていたら1枚目の途中で少し窮屈な気持ちになってしまい、このまま2枚はきついかな?と思ってしまい2枚目はほぼ聴いていなかったんですが、1セット目よりエンジンがかかってきて演奏は熱くなってきていること Willow Weep For Me、Scrapple From The Apple などの耳覚えのあるスタンダードの演奏に拍手や騒ぎ出す客も出てきて、はるかに楽しく聴くことができました。
 正直最初はのっぺりしすぎていて、聴くのがつらいかなと思っていたのが印象良く聴けた1枚です。これぞジャズの一つの形かと思います。
 ちなみのにプロデューサーの Hans Dulfer はキャンディ・ダルファーのお父さん。

tenor sax : Dexter Gordon
bass : Jacques Schols
drums : Han Bennink
piano : Cees Slinger

producer : Hans Dulfer, Joop Visser

recorded at Paradiso, Amsterdam, February 5, 1969.

【Disc1】
1. Introduction By Dexter Gordon
2. Fried Bananas
3. What's New
4. Good Bait

【Disc2】
1. Rhythm-A-Ning
2. Willow Weep For Me
3. Junior
4. Scrapple From The Apple
5. Closing Announcement





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2021年12月28日火曜日

Walter Bishop Jr.Trio / Speak Low

 

 このジャケットはカッコよいですね。ジャケットだけでなく帯も大賛辞のアルバムです。「この音! 今までのスピーク・ロウは何だったんだ?」寺島靖国、「元祖「幻の名盤」。雄牛の大群が砂埃を上げて突進してくるようなベース。粘っこさ100%のブラッシュ・ワーク、そしてブルース・フィーリングがこぼれ落ちるピアノ。ああ、いい。毛穴に沁みる。僕はスピーク・ローを聴くたびにジャズの源泉かけ流し湯に浸っているような気持になる」原田和典。確かに日本ジャズ喫茶黄金時代を築き上げたとも言われる名盤であり時代は過ぎても、それだけの実力を示すものであると言えるでしょう。


 1961年録音のベース Jimmy Garrison ドラムに G. T. Hogan のピアノ・トリオでの演奏で、技巧的ではないものの、いかにもジャズの醍醐味を単純に伝えてくれる演奏だけに家で小さい音で聴いているより、ジャズ喫茶なんかでボリュームを上げて低音を感じながら聴いた方ズシンとくるんでしょう。
 Sometimes I'm Happy はミドルテンポながらも心地よいベースとドラムのコンビネーションで始まり軽くピアノが加わってくる。軽いノリでの演奏が気負いなく自然で難しい顔をして聴かなくて良い。続く Blues In The Closet もいかにもの気持ちよいブルースで奇をてらったところは無い。こうゆう演奏のライブに行きたいもんです。そして On Green Dolphin Street は有名な演奏です。様々なミュージシャンが演奏していますがこのバージョンはどこで聴いたのか覚えていませんが耳に覚えがあります。そして Milestone は、なるほどピアノ・トリオで演るとこうなるのだなっと思いつつ、ベース Jimmy Garrison が少しもつれ気味かなと思ってしまうところもありニヤリ。そしてメインの Speak Low 聴いたことはあるのかもしれませんが、マンボ調のこのテーマは残念ながらこの曲に聞き覚えはありませんでした。
 とにかく絶妙な選曲と曲順であり小難しいジャズではなく普通なので、つまらないと感じる人はいるかも知れませんが、私にはそこがたまらなく心地よいと感じるアルバムでした。

piano : Walter Bishop Jr.
bass : Jimmy Garrison
drums : G. T. Hogan

recorded at Bell Sound Studios, New York City in March 14, 1961.

1. Sometimes I'm Happy
2. Blues In The Closet
3. Green Dolphin Street
4. Alone Together
5. Milestones
6. Speak Low
7. Sometimes I'm Happy (Alternate Take)
8. Blues In The Closet (Alternate Take)
9. Skeap Low (Alternate Take)





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2021年12月27日月曜日

Pat Metheny & Lyle Mays / As Falls Wichita So Falls Wichita Falls

 

 1980年の Pat Metheny (パット・メセニー) と Lyle Mays (ライル・メイズ) の共作。パーカッションの Nana Vasconcelos (ナナ・バスコンセロス) はゲストとして参加しています。したがってジャケット裏面の写真には、メセニーとメイズのみが写っています。


 なんとも不思議なこのアルバムの名前ですが、「Wichita Falls」はアメリカのテキサスの町の名前で、メセニーとライルが出会ったのは1974年の「Wichita」での大学対抗ジャズ祭だったそうです。アルバムのコンセプトは人類の争いの悲しみからやがて解放へ向かう様、大虐殺から世界が再建していくというストーリーがあるので、これがこの町の歴史なのか?と思ったのですが、この町の歴史にはそのようなことはないようでストーリーは架空のものであるようです。


 タイトル曲の As falls Wichita はそのコンセプトから大変ですが20分の大作でもあります。最初は暗いキーボードで始まり爆撃音、そして沈黙、黙々と再建に励む人々、そして子供たちの声による未来への希望へと発展する細かなテーマが組み合わさってできています。そして、LPではここで1枚目が終了し、2枚目の Ozark の飛び跳ねるような開放感のあるピアノとギターのデュオとなります。メセニーによくある流れるような展開ですね。そして Bill Evans の追悼曲である September Fifteenth を経て,美しい It's for You に到達します。締めは開放感のある Estupenda Graça になり、鳥のさえずりと人の吐息も入り生命の尊さのようなものが表現されているのかと思います。
 今まではあまり考えて音楽を聴いたりすることもなく、しっかりとしたビートを刻む音楽ばかりを聴いてきたのですが、最近は行きつけの「おでんバー」でフリージャズ、ノイズなんかもかける人がいるため、秩序のある音楽から、心地よい音を聴いたり、そこから想像しながら音楽を聴くことをしています。そういった意味ではパット・メセニーの世界観は今まで全く理解できなかったのが興味深く聴けるようになってきています。人の心と耳の変化は面白い。

electric guitar, acoustic guitar (six & welve string), bass : Pat Metheny
piano, synthesizer, organ, autoharp : Lyle Mays
berimbau, percussion, drums, vocals : Nana Vasconcelos

producer : Manfred Eicher

recorded September 1980 at Talent Studio, Oslo

1. As Falls Wichita, So Falls Wichita Falls
2. Ozark
3. September Fifteenth (Dedicated To Bill Evans)
4. "It's For You"
5. Estupenda Graça





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2021年12月26日日曜日

Lou Donaldson / Blues Walk

 

 Lou Donaldson (ルー・ドナルドソン) の1958年の作品で代表作とされている一枚でコンガを加えたクインテットとなることでの黒いフィーリングが聴けます。非常に安定した演奏であるのが印象的で、いかにもスタジオ版ですがそれも良い。
 リーダーアルバムは1952年~1999年までかなりの数を作っていて、サイド・メンとしても私の所有音源にも登場が多い人です。Thelonious Monk、Jimmy Smith、Art Blakey など。一番有名なのはこの録音の4年前のArt Blakey 名義のスタープレイヤーのセッション A Night At Birdland への参加でしょうか。ハードバップの幕開け前夜と言われる演奏はこのアルバムとは違って非常に熱かったアルバムです。

1926年生まれのノースカロライナ州出身

 特徴としては先にも書きましたが、コンガの Ray Barretto の参加がサウンドを大きく左右していると感じ、ゆっくりとしてリラックスした雰囲気なのにダレないのが素晴らしい。ピアノの Herman Foster も独特の叩くようなリズミカルなタッチのピアノがまた良い仕事をしています。ルーのスカウトしたピアニストでルーの57年~61年の作品5作に参加しているとのことです。
 タイトル曲は Blues Walk は歩くテンポのブルースで The Masquerade Is Over を裏面にしてのシングルも発売され、ジューク・ボックス、ラジオでヒットしたようです。

alto sax : Lou Donaldson
piano : Herman Foster
bass : 'Peck' Morrison
congas : Ray Barretto
drums : Dave Bailey

recorded by : Rudy Van Gelder

1. Blues Walk
2. Move
3. The Masquerade Is Over
4. Play Ray
5. Autumn Nocturne
6. Callin' All Cats





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2021年12月25日土曜日

Stevie Ray Vaughan And Double Troble / The Sky Is Crying


 1991年に発売された Stevie Ray Vaughan (スティービー・レイ・ボーン) の死後最初にリリースのアルバムで未発表曲を集めた編集盤で、兄 Jimmie Vaughan (ジミー・ボーン) がプロデューサーを努めています。
 レイボーンは、1990年、8月26日に、ウィスコンシン州イースト・トロイのアルパイン・ヴァレイ・ミュージック・シアターで行われたブルース・フェスティバルに出演。エリック・クラプトン、バディ・ガイ、ロバート・クレイ、ジミー・ヴォーンらと共演。終了後、シカゴ行きのヘリコプターに乗り込んで移動するのだが、8月27日未明にアルパイン・ヴァレイ・リゾートにあるスキー場のゲレンデに濃霧で視界を失ったヘリコプターが墜落、エリック・クラプトンのボディガードを含む乗員全員と共に死去してしまいます。もしクラプトンもこのヘリに乗っていたかと思うとゾッとする事故でした。1985年から薬物中毒の治療を受けその後のアルバム制作なども順調だっただけに彼のギターが聴けなくなってしまったことはかなりのショックな事件でした。


  さてこのアルバムはと言えば、のっけから、つんざくギターで始まるのは Boot Hill で力いっぱいの歌声にもレイボーンのお得意フレーズから始まります。ジミヘンのカバー Little Wing は様々なミュージシャンの定番のカバー曲ですが、レイボーンのこのバージョンはストラトの乾いた音とレイボーンの荒々しさと時には優しいギターワークが心に突き刺さる名演です。またLife By The Dorp は珍しく12弦アコースティックによる弾き語りで、シンプルなブルースなのですが、死後に発売された追悼を感じるしんみりと泣けるラスト。

guitar, vocals  : Stevie Ray Vaughan
bass : Tommy Shannon
drums : Chris Layton
keyboards : Reese Wynans

producer : Jimmie Vaughan

1. Boot Hill
2. The Sky Is Crying
3. Empty Arms
4. Little Wing
5. Wham
6. May I Have A Talk With You
7. Close To You
8. Chitlins Con Carne
9. So Excited
10. Life By The Drop





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2021年12月23日木曜日

Joe-Guy's BAND / Always Together


 数十年前の関西勤務時代、西宮に Joe-Guy's という BAR があり、そこではCDやレコードを勝手にかけてよかったんで、入り浸っていてました。今は笹塚の「おでんBAR」で自己所有の音源持ち込んで、酒を飲みながらウダウダしてますんで基本的に若い頃から行動は変わっていないようですね。
 そこのオーナー?が趣味でバンドやっていてアメリカ西海岸でレコーディングしたとのことで店に置いてあったのでノリで購入のアルバムです。結構良かったんですけど、アルバムとしてはオリジナリティと一貫性が欠けてるかなって印象はあります。お店は結構流行っていたんでバブルでジャパン・マネーが入り込んだのか、アルバムのゲスト・ミュージシャンにはみたことのある人もいらっしゃいます。


 HPは未だ残っていて2012年ぐらいで情報が途切れ、バンドも2013年ぐらいで情報途切れています。会社の仲間とばかり飲んでいたので、ここで知り合いになる人はほぼいなかったのが今思えば残念ですね。

 

vocal : MASSIE
bass : 小林正見
guitar : 林達郎
keyboads : 浜崎明子
drums : 佐野隆士

【Guest】
PETER MICHAEL
LOUIS FASMAN
WAYNE WALLACE
MELECIO MAGDALUYO
AIRICK AROESE
PETE ESCOVEDO(元サンタナ シーラEの父)
RICHARD ELLIOT(タワーオブパワー)
BILL CHANPLIN(シカゴ)
NATSUKO KONDOH 
MAMANO
FELICE HERNANDEZ
GWEN MANN
RAY OBIEDO
SUNDRA MANNING
JUAN ESCOVEDO

1. NEW YORK CITY
2. SHA LA LA
3. SATISFACTION
4. HAVE A LITTLE FAITH IN ME
5. ALWAYS TOGETHER
6. FEELING LOVE FALLING LOVE
7. TAKE ME OUT TO THE BALL GAME
8. CARNIVAL OF LATIN
9. ONE MORE FOR THE ROAD
10. EVERYBODY CLAP YOUR HANDS
11. EARTHQUAKE



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