2022年8月20日土曜日

Bobby Hutcherson / Knucklebean

 

 Bobby Hutcherson(ボビー・ハッチャーソン)は1941年アメリカロサンジェルスに生まれジャズ・ヴィブラフォン奏者であるが、もとはピアノから音楽に入った人です。Milt Jackson(ミルト・ジャクソン)、Miles Davis(マイルス・デイビス)、Thelonious  Monk(セロニアス・モンク)に影響を受けてジャズに傾倒し、ジャズ・バンドへの参加はヴィブラフォンで、Dave Pike(デイブ・パイク)にヴィブラフォンの手ほどきを受けているとのこと。1961年にニューヨークへ進出し頭角を現すようになり、1963年にはジャッキー・マクリーンの「One Step Beyond」に参加、続く1964年にエリック・ドルフィーの「Out to Lunch」、アンドリュー・ヒルの「Judgment」への参加で一躍注目を集める。1965年、初リーダー作「Dialogue」を Blue Note(ブルーノート)からリリース。以降新主流派のヴィブラフォン奏者として数多くの作品を同レーベルに残し、1966年発売のHappenings は Herbie Hancock(ハービー・ハンコック)も参加していることから人気の作品とのこと(どこかで手に入れねば)1970年代に入って新主流派ジャズが下火になるとラテン、R&B、ファンク等のフュージョン的な作品が連なるが、ヒットには至らなかったようで、この作品もその一つになるんでしょうね。1980年代以降はストレート・アヘッドなジャズに戻りっているそうです。私は彼のリーダー・アルバムを購入は、これが初めてですが、参加アルバムとしては、 Eric Dolphy / Out To Lunch!Grant Green / Idle Moments などのを聴いています。その他ジャズファンクのオムニバスなんかにもハッチャーソンは収録されていて、Out To Lunch! はフリージャズの入り口のようなアルバムで印象深いアルバムで、ここでも Freddie Hubbard(フレディハバード)と共演していました。


 しかし、このアルバムでのフレディ・ハバードとの共演は実に12年ぶりとなったとのことですが、1曲目の Why Not なんかは当時流行りのスムース・ジャズ系で軽やかな出だし、フレディも控えめに、ハッチャーソンのビブラフォンが縦横無尽に音の洪水を創り出している。とにかくテクニックを魅せる楽曲となっている。Sundance Knows はのっけからフレディのソロ・トランペットから始まり、次の主役が登場したかのような流れは、ライブに来ているかのような演出と感じます。トランペットも粒立ちのはっきりした音色の楽器であり、ビブラフォンも短い音を連続させるのが真骨頂の楽器であり、聴いているリスナーを熱くさせる抜群の取り合わせだと、この演奏を聴いていて思います。MJQとかでは心落ち着かせる音色に感じるのに奏者によって全く変わるのが面白い。なんて思いながら聴いていると So Far, So Good あたりからはストレート・アヘッドなジャズで実にスリルに満ち溢れた演奏となるのに好感。Little B's Poem はハッチャーソンのオリジナル。ミドルテンポで落ち着いたテーマなのにハッチャーソンがひたすら弾ける名演です。それほど評価が高くないアルバムとのことですが結構熱いですね。隠れた名盤かもしれません。おススメ度は結構高いです。

marimba, vibraphone : Bobby Hutcherson
electric piano, piano : George Cables
bass : James Leary
drums : Eddie Marshall
flute, soprano sax, tenor sax : Manny Boyd
flute, tenor sax : Hadley Caliman
trumpet : Freddie Hubbard (2 to 4, 6)

producer : Dale Oehler

tracks 2, 3, 4, 6 recorded on March 1, 1977.
tracks 1, 5 recorded on March 3, 1977.

1. Why Not
2. Sundance Knows
3. So Far, So Good
4. Little B's Poem
5. 'Til Then
6. Knucklebean


▶ Why Not




  

2022年8月14日日曜日

Toots Thielemans / East Coast West Coast

 

 1922年ベルギーのブリュッセル出身で、ハーモニカだけでなくギター、口笛なども演奏されたらしい。まっすぐな音色のハーモニカで聴く人に心を届けるような演奏でした。「Toots」というニックネームはミュージシャンの「Toots Mondello」と「Toots Camarata」に由来しています。1950年にベニー・グッドマンのヨーロッパ・コンサート・ツアーに参加したことがきっかけで30歳の1952年にアメリカに移住することになります。そして「チャーリー・パーカー・オールスターズ」のメンバーとなり、「ジョージ・シアリング・クインテット」などへも参加。以降、エラ・フィッツジェラルド、クインシー・ジョーンズ、ビル・エヴァンス (Affinity)、ジャコ・パストリアス (Invitations, Live 1985, Twins Ⅰ&Ⅱ Live In Japan 1982, Truth Liberty & Soul)、Zachary Breaux (Laidback) ナタリー・コール、パット・メセニー (Secret Story)、ポール・サイモン、ビリー・ジョエル など、ジャズだけではなく幅広く活動しています。日本人ではオルケスタ・デ・ラ・ルス (La Aventura)、ポピュラー音楽やCM音楽、テレビ番組「セサミ・ストリート」でのハーモニカ・ソロなど多岐にわたるようになったとのことで、セサミストリートの耳覚えのあるあのハーモニカはトゥーツ・シールマンスだったのかと今更知りました。そして2016年故郷ブリュッセルにて死去。享年94歳でした。


 共演アルバムに名演が多いだけにリーダーアルバムは少ないといった印象がありましたがライブも含めると40枚超のアルバムを出していらっしゃるようです。ライナーノーツによるとこのアルバムの前に出した「The Brasil Project」の名前のシリーズは絶賛でした。そしてこのアルバムは、スタンダードを中心とした豪華メンバーでのジャズ・アルバムとなっています。以外にもジャズ・スタンダード中心のアルバムはこれが初めてのことで、おおよそ4分ぐらいにコンパクトにまとめられた名曲が揃っていて、スリリングさ熱さといったものは無いものの、中身は悪い訳がありません。
 バンドでの演奏も良いですが、ハーモニカという楽器の特性もあると思いますが、デュオ曲にセンスが光ります。In Your Own Sweet Way はvibesの Mike Mainieri との共演で最後の方にベースとパーカッションが入ります。 A Child Is Born は Herbie Hancock との共演でライナーノーツで塩谷哲氏が書かれているように「音楽の美しさ、強さ、大きさを改めて感じることのできる名演」かと思います。
 昔クロマチック・ハーモニカを購入はしたんですが全く上達せずに眠ったままです。こんな透明感のある音が出てっけかな?と、これを聴いて再挑戦しようとは・・・・思えないなあ。

harmonica :  Toots Thielemans
<East Coast>
piano : Lyle Mays  (1-4) 
piano : Bruce Barth (7) 
guitar : John Scofield (1,5,7)
bass: Christian McBride (1-7)
drums : Troy Davis (1-5,7) 
trumpet : Terence Blanchard  (2,4,7)
tenor sax : Jushua Redman  (1,4)
vibes : Mike Mainieri  (5,6)
<West Coast>
piano : Alan Broadbent (8,11,12)
piano : Herbie Hancock (9)
piano : Michael Lang (13) 
guitar : Robben Ford (8,10)
bass : Charlie Haden (8,10,11,12)
Dave Carpenter (13) 
drums : Peter Erskine (8,10,12)
violin : Jerry Goodman (8,10) 
tenor sax : Ernie Watts (12,13) 

executive producer : Ron Goldstein
producer : Miles Goodman, Oscar Castro-Neves

recorded At Conway Studios, Los Angeles (West Coast) & The Hit Factory, New York (East Coast) 1994

【East Coast】
1. Naima
2. In Walked Bud
3. Dear Old Stockholm
4. Groovin' High
5. Con Alma
6. In Your Own Sweet Way
7. Giant Steps
【West Coast】
8. Waltz For Debby
9. A Child Is Born
10. Take Five
11. Spring Can Really Hang You Up The Most
12. Ornithology
13. Blue In Green