2025年1月27日月曜日

Sonny Boy Williamson / Real Folk Blues


 Sonny Boy Williamson は1912年ミシシッピ生まれの、エレクトリック・ブルースの草分けでデルタ・ブルースの普及委員ですから、このアルバムは、Folk Blues ばかりなのかと思ったらそうでもないです。この人の芸名には「Ⅱ」がつきます。本名は Aleck Miller で、先に成功していた Sonny Boy Williamson I (John Lee Curtis "Sonny Boy" Williamson) にあやかって2世を名乗っています。でも本家よりも売れて名を馳せたのは、この Sonny Boy Williamson Ⅱ の方でしょう。独学でハーモニカを学び、他にギター、ドラムスも学んだと言われ、プランテーションで生まれ、実は生年月日は諸説あるようです。1930年代頃から、ミシシッピ州とアーカンソー州を一帯を放浪し、その過程でエルモア・ジェームス、ブラインド・レモン・ジェファーソン、ロバート・ロックウッド・ジュニアらブルースマンと出会い、当時は、リトル・ボーイ・ブルーという芸名で活動していたのですが、ラジオ局のブルース番組に出演する頃に Sonny Boy Williamson Ⅱと名乗り始めたそうです。


 1965年に心臓発作で他界されますが、亡くなった直後に発売された The Real Folk Blues (1965) と、その2年後に発売された More Real Folk Blues (1967) を合体させたカップリング盤がこのアルバムとなっています。
 アルバムのジャケット・デザインは安っぽいなと思っていたのですが、死後のアルバムの発売を思うとこの写真は追悼していたのかと、また見る目が変わります。
 それでは One Way Out ギターに Robert Lockwood, Jr., Luther Tucker が参加しているマンボのリズムを取り入れた曲で、ドスの効いた声で軽快に歌っています。Too Young To Die 本人オリジナルのブルース。声のふるわせ方や歌い方はプレスリーとかでも使っている歌唱法で、少し粋ってる感じも良い感じです。Trust My Baby 少しジジイっぽい歌い方で雰囲気はバッチリなスローブルースです。ウワンウワンと唸るハープもカッコ良い。Checkin' Up On My Baby また歌い方を変えていて、酒やけしたようなダミ声が印象的です。古典的なブルースでもっと聴きたいのに2分ちょっきりは寂しい。Sad To Be Alone ロック・ブルースで少し艶のある歌いかに変えています。Robert Lockwood, Jr.のギターも素晴らしい。 Got To Move ここら辺になると、ほぼ日本の演歌と同じですね。同じタイプのブルースですが、このワンパターンが心地よい。ゆったりとした曲に合わせてハープソロも長めのプレスリータイプの歌い方。Bring It On Home べ~~いべ~。から始まる余裕の大人な雰囲気。ギターに Matt Murphy 参加。 Down Child また声が違いますね。器用です。高めのハーブがブイブイ鳴りまくります。テンションは高め。Peach Tree 桃の木はブルースの題材になりやすいものでもあるようです。これも明るいタイプの曲ですね。手持ちのパターンが多くて器用だと改めて思います。 Dissatisfied 古典的なパターンのブルースです。満足できねえぜと力入ってます。That's All I Want ベースの Willie Dixon 作曲で、にぎやかに演奏されています。Too Old To Think     最後はしっとりと。Luther Tucker が、ボン、ボンと遊んでいたりピアノ含め各自思い思いに好き勝手やってます。良きかな。
 アンプを通さない生Harpですが、パワーでグイグイ押してきます。二日酔いのブルースマンみたいな声もありますが、意外と若々しい系の歌声もあったりして、やっぱり容姿のイメージと反比例🎶

voval, harp : Sonny Boy Williamson
recorded in Chicago on September 1, 1957 (10), January 30, 1960 (5), April 14, 1960 (4), June 1960 (9), September 15, 1960 (3 & 8), December 14, 1960 (2), September 8, 1961 (11 & 12), January 11, 1963 (6 & 7) and April 30, 1964 (1).


1. One Way Out (Elmore James, Marshall Sheron, Sonny Boy Williamson) 
piano : Lafayette Leake
guitar : Robert Lockwood, Jr.
bass guitar : Luther Tucker
bass : Willie Dixon
drums : Fred Below
2. Too Young To Die (Sonny Boy Williamson)
piano : Otis Spann
guitar : Robert Lockwood, Jr.
bass, vocals : Willie Dixon
drums : Odie Payne
3. Trust My Baby (Sonny Boy Williamson)
piano : Lafayette Leake
guitar : Luther Tucker, Robert Lockwood, Jr.
drums : Fred Below
4. Checkin' Up On My Baby (Sonny Boy Williamson)
piano : Otis Spann
guitar : Luther Tucker, Robert Lockwood, Jr.
electric bass : Willie Dixon
drums: Fred Below
5. Sad To Be Alone (Sonny Boy Williamson)
piano : Otis Spann
guitar : Robert Lockwood, Jr.
bass guitar : Luther Tucker
bass : Willie Dixon
drums : Fred Below
6. Got To Move (Sonny Boy Williamson)
organ : Lafayette Leake
guitar : Matt Murphy
electric bass : Milton Rector
drums : Al Duncan
7. Bring It On Home (Willie Dixon)
organ : Lafayette Leake
guitar : Matt Murphy]
electric bass : Milton Rector
drums : Al Duncan
8. Down Child (Sonny Boy Williamson)
piano : Lafayette Leake
guitar : Luther Tucker, Robert Lockwood, Jr.
drums : Fred Below
9. Peach Tree (Sonny Boy Williamson)
piano : Otis Spann
guitar : Eddie King Milton, Luther Tucker
drums : Fred Below
10. Dissatisfied (Sonny Boy Williamson)
piano : Otis Spann
guitar : Luther Tucker, Robert Lockwood, Jr.
bass : Willie Dixon
drums : Fred Below
11. That's All I Want (Willie Dixon)
piano : Lafayette Leake
guitar : Robert Lockwood, Jr.
bass guitar : Luther Tucker
bass : Willie Dixon
drums : Fred Below
12. Too Old To Think (Sonny Boy Williamson)
piano : Lafayette Leake
guitar : Robert Lockwood, Jr.
bass guitar : Luther Tucker
bass : Willie Dixon
drums : Fred Below





  

2025年1月26日日曜日

Guitar Slim / The Things That I Used To Do

 

 まず最初に聴いたときに「なるほど昔のブルースね」と思いながら聞き流していましたが、おそらく興行的(ライブエンターテイメント)なところを意識してる人だなあと興味がわいてきました。
 そして「曲は古臭いけどギターの音は適度にギラギラしてフレーズも現代的なとこもあるなあ」となり「余裕でギター弾いて、わざとたどたどしく弾いたりフレーズとか遊んでるしサービス精神旺盛ですな」そして「このノリは、ピアノのあの人に似てるんじゃね?」などと思い始めます。ピアニストの、あの人はニューオリンズのブルース・ピアニストの「Professor Longhair」です。と思って調べてみるとやはりこの人もニューオリンズを拠点に活動していたギタリストでした。音楽キャリアとしては1951年~1958年の短い間で肺炎で死去しています。Professor Longhair は1949年初レコーディングで1964年ぐらいまでが最盛期で、1975年のポール・マッカートニーが彼をクイーン・メアリー号船上のプライベート・パーティーの演奏「Live On The Queen Mary」あたりで復活の人。やはり活動の盛期は被っています。
 もともとはゴスペル・シンガーで1950年のデビューから後にブルース・シンガーに移行して、ギターとアンプを100メートル以上のコードで繋ぎで、観客の間を演奏して歩くなどのパフォーマンスで人気だったようで、このアルバムには収録されていませんが 「Feeling Sad」を発表、そして1953年に Ray Charles がピアニストして参加し、タイトル曲の「Things That I Used To Do」がリリースされR&Bチャートで14週連続1位の記録の大ヒットとなります。 がカバーするこれを機に大躍進と言いたいところですが、ヒットが出ずにレコード会社の移籍や契約解除が続いたとのことです。でもこの大ヒットしたタイトル曲は、ブルース旧大御所にもカバーされブルース・スタンダードのひとつとなっています。
 と、勉強が終わったところでもう一回タイトル曲を聴くと、これについては「ニューオリンズ」の感じがしないド・ブルース。再度ライナーノーツを見ながら聞き直すとこのアルバムは1953年~1955年の5回の録音の21曲です。


 最初の頃は本格的なブルースですが、段々とエンターテイメント性が増してきて、泥臭さが抜けてきてバックがニュー・オリンズ・サウンドに変化してきてくるのがこのアルバムを聴いていて流れがわかります。わずか2年間の間にかなりの変貌です。時に歪ませたギターで攻めまくったり、ラフに弾き崩したりするスタイルは独自のモノで、酒と女性が大好きそうなオジサンのようなジャケットも良かった。
 「Bad Luck Blues」「Well, I Done Got Over It」「Something To Remember You By」、イントロを失敗したんで、やり直しまで全部録音してしまった「I Got Sumpin' For You」なんかも良かったです🎶

1. The Things I Used To Do
2. Well I Done Got Over It
3. The Story Of My Life
4. A Letter To My Girlfriend
5. Later For You Baby
6. Trouble Don't Last
7. Bad Luck Blues
8. Sufferin' Mind
9. Twenty Fine Lies
10. Our Only Child
11. Stand By Me
12. Guitar Slim
13. Reap What You Sow
14. I Got Sumpin' For You
15. You're Gonna Miss Me
16. Quicksand
17. Think It Over
18. Something To Remember You By
19. You Give Me Nothin' But The Blues
20. Sufferin' Mind (Alt. Take)
21. Reap What You Sow (Alt. Take)





  

2025年1月25日土曜日

The Beatles ‎/ Please Please Me



 ビートルズ初のイギリス盤公式オリジナル・アルバム。1963年3月22日にモノラル盤、4月26日にステレオ盤がそれぞれ発売されています。録音はスタジオ・ライヴ形式で1963年2月11日のノース・ロンドンのアビイ・ロード・スタジオ(EMIレコーディング・スタジオ)にて行なわれています。作業は、午前と午後の2回に加えて夕方のセッションの3回で10時間弱で録音され、シングルで既に発表されていた4曲を除く10曲を原則一発録りで録音し、たった1日でアルバムを完成させています。録音から発売まで約一か月ですから用意も万全だったと思いますが、相当なスピードでの発売です。10時間ですから一発録音でも、当然リハはありですね。収録曲14曲中6曲は、当時のビートルズが好んで演奏していたアメリカのR&B、ロックンロールなどのカバー曲となっています。当日録音の順番などは uDiscover Music というサイトで詳細な解説が掲載されています。

 

 私はストーンズは好きだったのですが、ビートルズは敢えて聴いてきませんでした。しかし、これだけ数多くのカバーもジャズ界でも出されていることだし趣向の違いはあれ悪いわけはない。と恥ずかしくも50歳を超えてからの購入を3枚しております。Please Please Me 1963、Yellow Submarine 1969Magical Mystery Tour 1967
 ほかの2枚はそれほど良くはなかったのですが、このアルバムは知っている曲も多いこともあってか比較的楽しんで聴くことができましたので、再度聴きながらレビューしてみます。I Saw Her Standing There 朝のレコーディングで吹き込まれたとのこと。これはあちこちで聴いてきたロックンロールで、カラッカラの音のギターですがペラペラでは無く、言葉がしっかりとちりばめられています。Misery これも、TVなど様々なメディアで使われてきた歌ですね。「悲惨」という題名ですが悲惨には全く感じない。Anna (Go To Him) オールドタイプのロック・バラードで、ソウルの Arthur Alexander が1962年にリリースし翌年にビートルズがカバーしてヒットです。良い曲を聴き分けてアレンジする才能はビートルズにあったことですね。Chains イントロのハーモニカがアメリカの田舎って感じがします。これもカバーです。Boys 得意とするロックンロールのカバーです。やはり天才ビートルズも先人の曲をしっかりとコピーしながら吸収していたということですな。Ask Me Why これはオリジナルで、ビートルズっぽい音の作り方です。ナンパですが良いですね。Please Please Me タイトル曲です。曲、アレンジ、コーラスと音的には新しくはないと思いますが、全てが印象的で凄い曲であることは認めます。Love Me Do ファンではないけど、これも良い曲で誰もが知っている名メロディーです。P.S. I Love You 知っていますが、こんな牧歌的だったっけと再認識。Baby It's You これもカバーですがオールディーズのカッコ良さが理解されたうえで少しポップなアレンジですね。Do You Want To Know A Secret 印象としては薄い曲ですが、このセッションの1ヶ月後にBilly J. Kramer With The Dakotaが同じアビイ・ロード・スタジオでカバーを録音して、シングルとしてリリースして英チャート1位をものにしています。ビートルズの神通力でしょうか。A Taste Of Honey レニー・ウェルチが1962年に発表したブロードウェイ・ミュージカルのためにボビー・スコットとリック・マーロウが共作したもので時代を感じる作風ですね。ザ・アメリカでカウボーイをイメージしてしまいます。There's A Place 朝のレコーディングで行われたとのことで、ビートルズっぽいポップ・ロック路線ですね。Twist And Shout アイズレー・ブラザーズのカバーですが、ジョン・レノンが風邪をひいていて枯れた声での絶唱もあいまって良い出来です。
 余談ですが、中古で購入したこのCDは日本版で東芝EMIからの発売のもの、ウォークマンに落としたところ、Rubber Soul として認識されてしまいました。よくよく見てみると曲名も Rubber Soul の曲名になっています。売主が中身を間違ったのかと思ってCDのプリントを見ても Please Please Me です。プレスで中身を間違ったのかとも思い曲を確認すると中身は Please Please Me です。どうやらデジタルの曲の署名が間違っているようです。同じ14曲入りなので担当者も気づかなかったと思われます。これもレア盤になるのかと思いながら量産型CDなら同じエラーは相当あるはず。yahoo知恵袋に同じことを考えてる人が質問してました。そんな馬鹿なとのやり取りもありつつ
完璧エラーCDですねー、アナログ盤だと結構値がつくかと思いますがCDだとあまり価値がないかも。でもビートルズ関連はマニアがいますので手離すのであれば画像多く添付してヤフオクでも出品すれば値がつくかもしれません。
レア盤認定は、やはりプレスの多いCDでは無理でしょうな。残念🎶

bass, vocals : Paul McCartney
drums, vocals : Ringo Starr (1 to 7, 10 to 14)
guitar, vocals : George Harrison, John Lennon

producer : George Martin

1. I Saw Her Standing There (McCartney/Lennon)
2. Misery (McCartney/Lennon)
piano : George Martin
3. Anna (Go To Him) (Alexander)
4. Chains (Goffin/King)
vocals : George Harrison
5. Boys (Dixon, Farrell)
vocals : Ringo Starr
6. Ask Me Why (McCartney/Lennon)
7. Please Please Me (McCartney/Lennon)
8. Love Me Do (McCartney/Lennon)
drums : Andy White
9. P.S. I Love You  (McCartney/Lennon)
drums : Andy White
10. Baby It's You (Williams, Bacharach, David)
celesta : George Martin
11. Do You Want To Know A Secret (McCartney/Lennon)
12. A Taste Of Honey (Scott, Marlow)
13. There's A Place (McCartney/Lennon)
14. Twist And Shout (Russell, Medley)





  

2025年1月24日金曜日

Joe Pass / Virtuoso


 ジョー・パスによるソロ・ギター・アルバムの名作です。オリジナル曲は 1 曲 で Blues for Alican のみ。彼の最高傑作であると同時に最もよく知られているジャズ・ギター・アルバムといえます。一人で伴奏部分メロディを弾いてアドリブまで、さらっとこなしているのは、まさに巨匠ならではの Virtuoso = 名人、巨匠です。録音の1973年は44歳でした。


 たまに聴き返すたびに、ギター一本であるのに圧倒されるのは凄いの一言ですが、ゆっくりと聴きながら1曲づつを噛みしめることは、そうそうありませんので、再度聴きながらじっくり味わってみます。
 Night and Day ルバートで始まり、インテンポになるところがあり、実は2部構成のような形になっています。テンポを上げながらも丁寧に弾いています。Stella by Starlight イントロからインパクトありで、最初は美しいテーマに思いっきり装飾をつけています。途中で標準のステラになるのかと思いきや中々帰ってきません。Here's That Rainy Day 全編ルパートで、音が柔らかくアタック音が無いので全部指弾きと思われます。テーマとアドリブのバランスなど、すごく良い。My Old Flame これも全編ルパートですが、テーマとソロ、単音とバッキングが分かれて弾かれています。やや鋭角的です。How High the Moon 1940年ブロードウェイミュージカル  Two for the Show  のために書かれたヒットまでは時間のかかった名曲です。モダンなスイング感を感じる部分もありますが軽快を超えて重くも感じてしまいます。ジョーパスノッテマス。Cherokee テンポ早く常にシャカシャカです。半音パッセージで構成されていて流れるような感じですが汗ほとばしる疾走感あります。Sweet Lorraine ピアニストのCliff Burwellが1928年に書いた曲で美しくメロディアス。これはコピーしてみたい。Have You Met Miss Jones? 1937年に出版されたミュージカル I'd Rather Be Right の劇中歌で、当時の雰囲気を感じます。曲が良く選曲も良い。演奏も良い。'Round Midnight 言わずと知れたモンクの名曲です。スパニッシュ風な出だしに感じます。曲の流れの中に熱いところ哀を感じるところと起伏が良く出ている聞き入る名演。All the Things You Are 1939年のミュージカル Very Warm for May の楽曲で、これもセッションで多く演奏される名曲。女性ジャズ・ボーカリストにも良く歌われる曲でジョーパスも数多くセッションでこなしてきた曲なのでしょう。非常に聴きやすくまとまっています。 Blues for Alican ジョーパスによるブルース感満載の楽曲です。テーマは二つあって組み合わせています。気持ちよさそうに弾いています。The Song Is You 前半テーマはルバート、アドリブパートはインテンポになります。
 ここまでギターが弾ければ人生が楽しくなるんですが、ジョーパスのようには弾けないけど、ギターもやらねばとハッとする名演です🎶🎸最近ピアノばかり練習しているので、、、

1. Night and Day (Cole Porter)
2. Stella by Starlight (Victor Young)
3. Here's That Rainy Day (Jimmy Van Heusen)
4. My Old Flame (Arthur Johnston)
5. How High the Moon (Morgan Lewis)
6. Cherokee (Ray Noble)
7. Sweet Lorraine (Cliff Burwell) 
8. Have You Met Miss Jones? (Richard Rodgers) 
9. 'Round Midnight (Thelonious Monk, Cootie Williams) 
10. All the Things You Are (Jerome Kern)
11. Blues for Alican (Joe Pass)
11. The Song Is You (Kern)

▶ Night And Day




  

2025年1月23日木曜日

Lee Konitz with Warne Marsh

 

 1940年代、流行りはチャーリーパーカーの時期に Lennie Tristano(レニー・トリスターノ)、Lee Konitz(リー・コニッツ)、Warne Marsh(ウォーン・マーシュ)らは別の方向を目指して、ビバップとは対比的なクール・ジャズと呼ばれることになる方向へ進みました。コニッツはレギュラー・グループを持たずアルト・サックス1本で世界中を回り、初めて会う相手との即興演奏でステージを作ることを好みました。1927年生まれでクロード・ソーンヒル楽団の一員として1947年にレコーディング・デビューして以来70年にわたって活躍されています。マイルス・デイビスの名盤 Birth Of The Cool にもメンバーとして参加していて、この作品のメンバーで現存する最後のひとりとしても知られていたのですが、2020年4月15日に新型コロナウイルス感染症の肺炎により亡くなられています。
 改めて私の手持ちの音源を調べてみると、セッションでは渋めのアルバムに参加しておられます。Dave Brubeck / All The Things We Are、 Miles Davis / Birth Of The Cool、 Kenny Burrell / Guitar Forms、リーダー名義では、Lee Konitz with The Bert Van Den Brink Trio / Dia Logues、Lee Konitz Hein Van De Geyn / Meeting Again 

 

 このアルバムは4曲目の Donna Lee までがスタンダード、後半の4曲がオリジナルで、このアルバムではサックスはとても良く歌っていて、まるでしゃべっているかのように饒舌です。コニッツがアルトで語りかけるとウォーン・マーシュがテナーが答える。おしゃべりをしたり、笑ったり、歌ったりの掛け合いです。この二人のほかにオスカー・ペティフォードのベースも跳ねるように演奏しながらも、重みのあるベースで、周りに緊張感を与えています。クールな雰囲気づくりに対比的に影響を与えていることも印象的なところです。このアルバムの醍醐味はオリジナルのB面だとは思いますが、スタンダードのTopsy, Donna Lee も聞き逃せない。ここらへんのスタンダードを聴いて心を落ち着けてから、B面にいくから全部合わせての作品かなあ。特有のクールなムードで差別的な意味なく古き良き白人ジャズの世界ですね🎶

alto sax : Lee Konitz
tenor sax : Warne Marsh
piano : Ronnie Ball (7), Sal Mosca (2, 4 to 6, 8)
bass : Oscar Pettiford
drums : Kenny Clarke
guitar : Billy Bauer

producer : Nesuhi Ertegun
recorded June 14, 1955

1. Topsy (Edgar Battle; Eddie Durham)
2. There Will Never Be Another You (Harry Warren)
3. I Can't Get Started (Vernon Duke)
4. Donna Lee (Charlie Parker)
5. Two Not One (Lennie Tristano)
6. Don't Squawk (Oscar Pettiford)
7. Ronnie's Line (Ronnie Ball)
8. Background Music (Warne Marsh)

Topsy




  

2025年1月22日水曜日

Funkadelic / One Nation Under A Groove


 1978年のファンカデリック名義の通算10作目。キーボードの Walter 'Junie' Morrison の曲が主体となり、後期ファンカデリックの始まりとなったアルバム。ギターがメインのブラック・ロック的要素から、かなりファンクの要素が強くなってきています。


 このアルバムでは Eddie Hazel は参加していません。と言うのもエディは1974年にスチュワーデスに対する暴行および薬物不法所持にて1年間の懲役を受け、その間に Funkadelic はギタリストとして Garry Shider, Michael Hampton を迎えおり、1975年のアルバム Let's Take It to the Stage に彼のリードギタリストの座は無く、本アルバムからエディーの名前はファンカデリックから消えることになるのです。


 そして、今回のアルバムでは全編に渡り Michael "Kidd Funkadelic" Hampton が長尺の超絶ギターを炸裂させています。とは言ってもソング・ライティングの主導は先にも書いたキーボードの Walter 'Junie' Morrison となっていますので、アルバム・タイトル曲の One Nation Under A Groove の骨格はシンセで組み立てられることとなっており、従来のファンカデリックとは少し異なった毛色となっているのです。そしてファンクの旗のもとに結束を誓う、ゆったりとした曲調から後半ベース、ギター、キーボードの応酬の Groovallegiance。Who Says A Funk Band Can't Play Rock?! では、ロックだってもともとは黒人が生み出したもんだぜ!とばかりにマイカルのロック魂が主張しています。Promentalshitbackwashpsychosis Enema Squad (The Doo Doo Chasers) は何が言いたいんだかさっぱりわからないが、クスリでもやっているかのような幻想的な曲調が、いかにもファンカデリックらしい。Into You は低音のRay Davis(レイ)がリード・ボーカルをとり変態加減が絶妙。Cholly (Funk Getting Ready To Roll!) は、ブーツィーのベースととバーニーのキーボードが素晴らしい働きをしている。Lunchmeataphobia (Think! It Ain't Illegal Yet!) は、激しいディストーションのかかったギターが攻めてくるロックで昼飯を食べながらこんな音楽は聴いていられないと思います。そして、またファンカデリック的幻想曲の P.E. Squad / Doo Doo Chasers が入り、ここら辺の曲の並べ方なんかはいい加減なようで結構計算されていると感心します。そして最後はお馴染みの Maggot Brain のライブ盤です。
 「One Nation Under A Groove」訳せば、「グルーヴ体制の元、国は一つ」全米R&Bアルバム・チャートNo.1も貫録の、こんなアルバムは流行ってはいかんと思いつつ、こんなアルバムが大好きです🎵

vocals : Cordell Mosson, Dawn Silva, Debbie Wright, Garry Shider, George Clinton, Greg Thomas , Jeanette Washington, Junie Morrison, Lynn Mabry, Mallia Franklin, Ray Davis, Ron Ford
keyboards, synthesizer : Bernie Worrell, Junie Morrison
guitar : Garry Shider, Michael Hampton
banjo : Bobby Lewis
bass : Bootsy Collins, Cordell Mosson, Rodney Curtis
drums, percussion : Bootsy Collins, Jerome Brailey, Larry Fratangelo, Tyrone Lampkin

producer vocals : George Clinton

1. One Nation Under A Groove
2. Groovallegiance
3. Who Says A Funk Band Can't Play Rock?! (Hampton)
4. Promentalshitbackwashpsychosis Enema Squad (The Doo Doo Chasers) (Brown)
5. Into You (Worrell, Collins)
6. Cholly (Funk Getting Ready To Roll!) (Collins)
7. Lunchmeataphobia (Think! It Ain't Illegal Yet!) ()
8. P.E. Squad / Doo Doo Chasers
9. Maggot Brain (Hazel)





  

2025年1月21日火曜日

Herb Ellis / Six Classic Albums


 特にファンではなかったんですが、youtube の動画でご老体になられながらも達者な指さばきを拝見して気になったので、タワレコを見ていたら当時いろいろなアーチストのシリーズがあった「Six Classic Albums」を購入してみました。このシリーズお得ではあるんですが、たまに聴いて見ようってきが起きなくて持っているだけで満足してしまう傾向があるように思います。そんなこともあり、ローテーションで聴きながらこのブログでレビューを書いているので、今回は、Herb Ellis / Six Classic Albums です。
 
 The Great Guitars: Barney Kessel, Charlie Byrd and Herb Ellis この映像を見て、なんてグレイトな爺さんなんだ!と思っていました。


 Herb Ellis は、1921年テキサス州ダラス生まれのギタリストで、1943年頃から Glen Gray And The Casa Loma Orchestra、Jimmy Dorsey's Orchestra に参加してキャリアをスタートしています。その後は Oscar Peterson Torio (1953-1958) Ella Fitzgerald (1957-1962) などで活動され、2010年に自宅でアルツハイマー病のため88歳で亡くなられています。
 本CDに収録は6枚
Ellis In Wonderland 1956

 リーダーとしてのデビューアルバムで piano : Oscar Peterson bass :  Ray Brown と3管体制。張りのあるギターの音で明るいスイング曲が気持ち良いアルバム

I love John Frigo…he swings 1957

 ジャズバイオリンの Johnny Frigo のデビューアルバムに Herb Ellis が参加のアルバム。曲目は多彩で、正調なジャズ、印象派のような楽曲曲や、があり、フリーゴは Big Me – Little Me で、バイオリンとベースの両方を演奏して、います。Herb Ellis は控えめですが柔らかな感じのギターソロでうまくこのアルバムにフィットさせています。

Nothing but the blues 1957

 得意とするブルース・ナンバーのアルバムで、当時オスカー・ピーターソン・トリオに在籍していたエリスとレイ・ブラウンの絶妙なコンビネーション、あまりブルースと縁のなさそうなスタン・ゲッツも乗りに乗ったプレイの展開

Herb Ellis meets Jimmy Giuffre 1959

 テナーサックスの Jimmy Giuffre とともに制作したアルバムで、温かみのある演奏で、優しい雰囲気に包まれています。寒い時期に暖かい珈琲でものみながら、聴いてほっこりしたいです。
Thank you Charlie Christian 1960

 タイトル通りチャーリークリスチャンに捧げたアルバム。ですが、10曲中8曲がハーブエリスのオリジナル曲で構成で Charlie Christian の曲が、収録されているわけでは無いようですが演奏の中身は濃いですね。ギター・ジャズ好きとしては中々良かったです。

for Musicans only 1956

 Dizzy Gillespie, Stan Getz, Sonny Stitt が集結したビ・バップ作品です。フロントラインはうねる複雑なソロを展開しますが、ベーシストの Ray Brown は、ソロの背後で曲をしっかりと支えた評価も高い作品です。


【DISC1】
(Ellis In Wonderland 1956)
guitar : Herb Ellis
trumpe : Harry "Sweets" Edison
alto sax : Charlie Mariano
baritone sax, tenor sax, clarinet : Jimmy Giuffre
piano : Oscar Peterson
double bass : Ray Brown
drum : Alvin Stoller
1. Sweetheart Blues
2. Somebody Loves Me
3. It Could Happen To You
4. Pogo
5. Detour Ahead
6. Ellis In Wonderland
7. Have You Met Miss Jones?
8. A Simple Tune

(I love John Frigo…he swings 1957)
violin, double bass : Johnny Frigo
trumpet : Cy Touff
piano, celesta : Dick Marx
guitar : Herb Ellis
double bass : Ray Brown
drums : Norm Jeffries
9. What A Diff’Rence A
10. Polka Dots And
11. Blow Fiddle Blow
12. Blue Orchids
13. Gone With The Wind
14. Squeeze Me
15. You Stepped Out Of A
16. Moonlight In Vermont
17. If Love Is Good To Me
18. Big Me – Little Me

【DISC2】
(Nothing but the blues 1957)
1. Pap’S Blues  
2. Big Reds Boogie Woogie  
3. Tin Roof Blues  
4. Soft Winds  
5. Royal Garden Blues  
6. Patti Cake  
7. Blues For Janet  
8. Blues For Junior 

(Herb Ellis meets Jimmy Giuffre 1959)
9. Goose Grease  
10. When Your Lover Has Gone  
11. Remember  
12. Patricia
13. A Country Boy
14. You Know
15. My Old Flame
16. People Will Say We're In Love

【DISC3】
(Herb Ellis meets Jimmy Giuffre 1959)
1. A Country Boy
2. You Know
3. My Old Flame
4. People Will Say We're In Love

(Thank you Charlie Christian 1960)
5. Pickley Wickley
6. I Told You I Loved You Now get out
7. Cook One
8. Karin
9. Cherry Kijafa
10. Thank You,Charlie 
11. Alexander’S Ragtime
12. Lemon Twist
13. Everything’S Pat
14. Workin’ With The Truth

【DISC4】
(for Musicans only 1956)
1. Bebop  
2. Dark Eyes  
3. Wee (Allen’S Alley)  
4. Lover Come Back To Me

▶ Ellis In Wonderland