タワレコで見かけた「JAZZ THE BEST」シリーズでヘヴィ・サウンズの文字に惹かれて購入した一枚です。Elvin Jones といえば、John Coltrane の Africa / Brass、Tommy Flanagan / Overseas、Thad Jones / Motor City Scene なんかに参加していたドラマーですのでヘヴィというからには、まあ激しくアフリカンなリズムが強調されたアルバムかな?と予想していました。
初試聴は、いつものいきつけ「おでんバー」です。おそがけで行ったのでマスター以外にも常連の音楽好きのKさんもいらっしゃいます。土曜日なので私服でお邪魔したので、「今日は持ってきたよねえ、何持ってきた?」と私のパターンは浸透してきています。でこれを出して見せるとマスターもKさんも声を揃えて、これは持ってるとのこと。マスターはジャケ写しか覚えていなくて、Kさん曰く、やばいヤツだった記憶があるとのことでドキドキします。
しかし実際に聴いてみると期待していたほどのヘヴィさは無く、Kさんも購入当時に受けた印象とはだいぶ違うとのことでした。改めて聴き手も歳とともに変化していることと、脳内での保管状態について酒を飲みながらしばし歓談でした。この話題は定期的に酒のつまみになるのは、みんなが歳をとった証拠ですね。実に不思議なもんです。
ドラマーの Elvin Jones にばかり気を取られていましたが、本作はベース Richard Davis とのリズム・コンビによる1967年の双頭リーダー作で、ドラムとベースの絶妙なコンビネーションこそ聴きどころ。そう考えると現代の様々な音楽を聴いてきた私にとっては。このアルバムは激しい意味のヘヴィではなく魅惑の低音のヘヴィなんですね。
さて中身ですが、頭の Raunchy Rita についてはアシッドのはしりのような感じで混沌気味の曲となっています。Shiny Stockings は、最初に聴いた時にはわかりませんでしたが、何回か聴くうちにあのテーマのメロディが浮かぶような浮かばないようなモヤモヤした感じで、聴いているうちに Richard Davis の低音が心地よくなり、1曲目で、少し飽きてしまった Frank Foster のサックスも中々高度な音の選び方なのかな?と聞き入ってしまいました。ふむ。 M. E.については、Billy Greene のスムースなピアノが低音コンビとの対比が出て良い感じです。Summertime については、ベースとドラムのデュオなのですが、地味でありながらアルバムの中での存在感は抜群でした。そして目立つのがこれ、Elvin's Guitar Blues です。決してうまいギターではありませんが、エルビンの弾くブルースです。音楽はうまい下手ではなく魂ですね。サックスソロは無しであっさり終わっても良かったかもしれないな。と色物を2曲続けたところで Here's That Rainy Day でしっかりと締めくくりです。
アルバムのジャケットでは、二人の喫煙ジャケットですが、Richard Davis は1977年から禁煙してるそうです。私は電子タバコにしてから紙の時より本数が増え禁煙はできそうにありません。
drums : Elvin Jones
piano : Billy Greene (1, 3, 5, 6)
Bass : Richard Davis
tenor sax : Frank Foster (1 to 3, 5, 6)
producer : Bob Thiele
1. Raunchy Rita
2. Shiny Stockings
3. M. E.
4. Summertime
5. Elvin's Guitar Blues
6. Here's That Rainy Day