2025年1月14日火曜日

東京パノラマ マンボ ボーイズ / マンボ天国


 デザインに昭和の匂いがする 「東京パノラマ マンボ ボーイズ」ですが、サルサを集めていた時期はあるけれどマンボに興味は無かったので、このバンドの存在を知る由もなく、おそらく20年以上前の衝動買いでした。
 でも知らなかったというのは勘違いでした。聴いてわかったのですが「ア~ ウッ!」という掛け声は「マンボのビート」でフジテレビの『ライオンのごきげんよう』のテーマソングでしたし、パチンコなんて曲も、どこで聴いたのか?知っていました。


 基本DJとパーカッション2人というスタイルで昭和のキャバレーの和風マンボ専門で活動していて、ラテン音楽にDJを導入は斬新なクラブ・ミュージックとしても注目を集めていたようです。曲のテーマがふざけているのにマンボしか演奏しないコミックバンド風ですが、演奏は本気度の高いガチで素晴らしいバンドです。
 1993年 惜しまれつつ解散も、2006年何故かフジロックフェスティバルにて14年ぶりに復活し、2007年にライブ活動、2008年にはマンボインペリアル、マンボデコの2枚のアルバムを出しています。

 

 テイチクさんのプロフィールは、おそらく2008年ぐらいから更新無し。東京パノラママンボボーイズ 公式ブログ (2011年を最後に消息不明と思っていたら、東京パノラママンボボーイズ 2022 パーレスクでの乱痴気ライブ活動を確認です🎶👏

 

 

 ジャケットも、昭和薫るアート作品。楽曲については、youtube より掲載しておりますので、私のレビューより現物を聴いて楽しんでいただけた方が、その素晴らしいエンターテイメントをご理解いただけると思いますので、あしからず🎶

DJ : コモエスタ八重樫 DJ
percussion : パラダイス山元 
oercussion : ゴンザレス鈴木
vocals : Pablo Minami
voice (cuttie voice) : Lily Fukaura (21)
chorus : Kazuko Kawashima, Miwa Sugai, Risa Ohki
piano : Naoki Kitajima, Shinichi Shiokawa (3, 4, 18)
guitar : Hisamasa Kojima
bass : Tohru Kase
drums : Koichi Suzaki
alto sax : Shigeo Nukita
tenor sax : Masamiki Takano
baritone sax : Etsuo Yamada
trumpet : Eric Miyashiro, Hitoshi Yokoyama, Kenji Yoshida, Mitsukuni Kohata
trombone : Michio Kagiwada, Shizue Hirano

producer : Comoesta Yaegashi, Gonzarez Suzuki, Paradise Yamamoto, Tokyo Panorama Mambo Boys
recorded at Avaco Creative Studios

1. マンボ・ボンド
2. マンボのビート
3. スピーク・アップ・マンボ
4. マンボ・マニア
5. ワン・レイニー・ナイト・イン・東京
6. グリーン・オニオン
7. ヒット・ザ・ボンゴ
8. チャ・チャ・チック
9. パチンコ
10. 赤坂の夜は更けて
11. ピーター・ガン
12. ザ・グース
13. 夏の夜のサンバ
14. コーヒー・ルンバ
15. メドレー (マンボ・メドレィー)
a.マンボ / b.エル・マンボ / c.マンボ第8番 / 
d.南京豆売り / e.セレソ・ローサ / f.ティコ・ティコ
16. コセ・コセ・コセ
17. 大学マンボ
18. パトリシア
19. ネグラ・ミ・チャチャチャ
20. タブー
21. キー・ハンター(非情のライセンス)
22. サーフ・バード
23. 太陽の彼方に
24. ボンゴ天国
25. ティン・ティン・ディオ





▶ ザ・ガードマン&カサショフ PV



  

2025年1月13日月曜日

Stan Getz & João Gilberto Feat. Antônio Carlos Jobim / Getz / Gilberto

 

 誰もが耳にしたことのあると思われる「イパネマの娘」で、おそらくこのオリジナルもかなりの人が耳にしているはず。もちろん私も知ってはいたのですがアルバムは持っていなかったので、中古屋で見つけての購入です。
 1964年に発表したアルバムで、終始ささやくようなボサノバで刺激的な音楽ばかり聴いていると抑揚がないように感じるかもしれないと感じてしまいながらも、聴き終わると満足していました。この世界感でアルバムを作って聴く人を満足させるのは恐るべしボサノバの名盤です。このようなアルバムが世界的にヒットする1964年って不思議な時代とも感じますが、余計なメディアが無かった分、純粋に音楽を聴いて楽しめる時代だったんですね。
 このアルバムの名義はStan Getz (スタン・ゲッツ) とJoão Gilberto (ジョアン・ジルベルト) ですが、スタン・ゲッツはベニーグッドマンの楽団などで活躍してから1962年にボサ・ノバを取り入れたアルバムを制作し翌年にこのアルバムを制作しています。


 ジョアン・ジルベルトは、ブラジルの歌手でありギタリストでボサノバを創成したと言われる巨匠。1959年にAstrud Gilberto (アストラッド・ジルベルト) と結婚。アストラッド歌う「The Girl From Ipanema (イパネマの娘)」がこのアルバムではポルトガル語で歌っていますが、シングルでは英語で発売されボサノヴァの有名曲となっています。しかしアストラッドとはほどなく離婚してしっているようです。この曲の作曲はピアノで参加の Antonio Carlos Jobim です。ちなみに映画「黒いオルフェ」の音楽を書いたブラジルの作曲家であることは今回のこのレビューで調べていてわかりました。

 

 それにしてもこのアルバム、下手な人が演れば退屈になってしまうような曲調ですがこのクールなボサのサウンドにウィスパーボイス、ゲッツのサックスが見事にはまり、ボサ・ノバを全世界に広めた功績のある素晴らしいアルバム。それほど好んでボサ・ノバはを聴くことは無いのですがこのアルバムは、たまに清涼剤として聴いてみたいと思います。いや名盤🎶🎸🎷

tenor sax : Stan Getz
guitar, vocals : João Gilberto
bass : Tommy Williams
piano : Antonio Carlos Jobim
drums : Milton Banana

producer : Creed Taylor

recorded March 18 & 19, 1963 in New York City.

1. The Girl From Ipanema / vocals : Astrud Gilberto
2. Doralice
3. P'ra Machuchar Meu Coração
4. Desafinado
5. Corcovado / vocals : Astrud Gilberto
6. Só Danço Samba
7. O Grande Amor
8. Vivo Sonhando





  

2025年1月12日日曜日

Stevie Ray Vaughan And Double Trouble / Texas Flood

 

 このアルバムは1983年に Epic Records から発売された Stevie Ray Vaughan and Double Trouble のデビューアルバムです。タイトル曲の Texas Flood は、ブルース・マンの Larry Davis の1958年の曲のカバーとなっており、カバー曲は4曲、オリジナルは5曲が収録されています。デビューは1873年ですが、1975年前身となるバンド「トリプル・スレット・レヴュー」を結成し、Double Trouble として活動を始めたのは1978年なので、下積み8年の活動歴ですから実力は聴いての通りで、既に完成されたバンド形態となっています。
 このアルバムからのシングルカットは「Love Struck Baby」「Pride and Joy」の2枚で、「Love Struck Baby」のミュージック・ビデオは、MTV の1983年のレギュラーローテーションとなる人気でした。デビューのきっかけは、アルバム発売の前の年1982年に、Vaughan and Double Trouble は Montreux Jazz Festival で演奏したのがきっかけで、2日の録音でオーバーダブ無しでこのアルバムは録音されています。


 それでは久しぶりに聴いて懐かしみながらレビューしていきます。Pride And Joy こちらは、イメージそのままでSRVが右手を回しながらかき鳴らしているのが想像できます。ジャズでいえばスイング感に当たるものが非常によく出ています。Texas Flood 大好きなテキサス・フラッドはイントロ長めが最高なブルースです。ギターの音は硬質に設定してジャキジャキさせながらも粘っこい。Tell Me バッキングのリフの跳ね方が大袈裟でなのが、天才的です。Testify 機関銃のようなリフでジミヘンコード、曲芸のような低音から高音までなめるように弾かれる全編ソロのインスト・ブルース・ロックです。Rude Mood さらに煽るように軽めの音のギターでトレモロのようなブルース・ギターが途切れないこれもインスト。機関車のように、走り続けるのもSRVの特徴でしたね。Mary Had A Little Lamb ミドル・テンポに戻ると、すごくゆっくり感じます。アルバムの最後に持ってきても良い落ち着いた曲です。Dirty Pool ミドルから更にスローなブルースになります。スローでもマンドリンのような手法で常に音符の数が多く、ロングトーンでの泣きのギターは似合いません。I'm Cryin' 粘っこいギターに戻ってきました。古き良き古典ブルースのようですがSRVのオリジナル。Lenny ブルースだけではなく器用にギターを操る名手です。これもインストですがフュージョン・ギターのようです。
 とにかくグイグイと迫ってくる手クセがバリバリのギターが魅力の Stevie Ray Vaughan And Double Trouble のデビューアルバム、これも久しぶりに聴いてレビューしていきます。Love Struck Baby 久しぶりに聴いたらギターの音はイメージより軽めでした。ライブはもっと重め? Jhonny B Good を現代風のギターにした感じです。


guitar, vocals : Stevie Ray Vaughan
bass : Tommy Shannon
drums : Chris "Whipper" Layton

executive-producer : John Hammond
producer : Double Trouble, Richard Mullen, Stevie Ray Vaughan
recorded at: Down Town Studio, Los Angeles, CA; Riverside Sound, Austin, Texas.

1. Love Struck Baby (S. R. Vaughan)
2. Pride And Joy (S. R. Vaughan)
3. Texas Flood (J. W. Scott, L. C. Davis)
4. Tell Me (C. Burnett)
5. Testify (D. Taylor, G. Clinton)
6. Rude Mood (S. R. Vaughan)
7. Mary Had A Little Lamb (B. Guy)
8. Dirty Pool (D. Bramhall, S. R. Vaughan)
9. I'm Cryin' (S. R. Vaughan)
10. Lenny (S. R. Vaughan)



▶ Lenny


  

2025年1月11日土曜日

Tommy Flanagan / Confirmation

 

 こちら気合や思いを込めて作ったわけではないんだろうなってのは、最初に聴いたときの印象です。かといって手を抜いているわけではなく、丁寧な仕事をされているのがトミフラなんですね。不思議な感じがするアルバムです。ほんと気負いがないながら、テンポ、タイミングの良さ、フレーズの端々にはセンスが溢れています。


 何故このようなアルバムに聞こえるのでしょう。聴きながらライナー・ノーツを読んでいると、同レーベルからフラナガンのリーダー作として出た 収録曲中4曲が「Eclypso」(1977年2月4日録音)と同じセッションからで、あとの2曲は「Ballads and Blue」(78年11月15日録音)と同じセッションからなので、各録音がアルバムに使われなかったテイクで1982年の発売です。なるほど、二つのセッションからの未発表曲を寄せたからボンヤリなのかも知れません。


 ということで再度アルバムを聴きながらのレビューです。Maybe September 映画 The  Oscar の Percy Faith 作曲の悲しげなメロディーの美しい曲です。ドラマチックな盛り上がりはです。Confirmation 有名な Charles Parker のスタンダードでタイトル曲となっています。やはり一番の盛り上がりを見せています。気負いなく気持ちのままにピアノを弾いている印象です。George Mraz のベースソロはグルーブ感があって音に粘りがあります。Elvin Jones のブラシ・ワークも絶妙です。How High The Moon は、アップテンポで演奏されることが多いと思いますが、なんと出だしはバラード扱い。途中でミドルテンポに変わりますのがおしゃれです。ベースソロではサンタクロースがやってくるも挟み込んでご機嫌です。ん。聴き直していると以前の印象よりつまらなくないかもしれません。It Never Entered My Mind スタンダードで取り上げられる曲が圧倒的に多い Rodgers & Hart の楽曲でテーマのメロディーと展開のバランスが良い曲です。George Mraz はやりすぎなくらいのベースの弾きっぷりで、触発されるようにトミフラも盛り上げてくるマニアックでそそられる演奏です。うん。つまらなくない。Cup Bearers アップテンポで、曲の表情がわかりやすく単純に楽しい曲です。トリオの各人の音の表情が鮮明に前に出てくる録音もかなり良いです。50 - 21 トミフラと所縁のある Thad Jones の曲で、アルバムの最後にふさわしい曲です。寄せ集めにしては考えられてるかもしれません。
 再度、細かいところを聴きながらレビューしていたら楽しくなってしまいました。聴き直しは再発見がありますので良い気分です🎶🎹

piano : Tommy Flanagan
bass : George Mraz
drums : Elvin Jones (1, 2, 5, 6)

producer : Horst Weber, Matthias Winckelmann
recorded Penthouse Studio, NYC,  Nov. 15, 1978 (3, 4) , Sound Ideas Studios, NYC,  Feb. 4, 1977 (1, 2, 5, 6)

1. Maybe September (Percy Faith)
2. Confirmation (Charles Parker)
3. How High The Moon (Morgan Lewis)
4. It Never Entered My Mind (Rodgers & Hart)
5. Cup Bearers (Tom McIntosh)
6. 50 - 21 (Thad Jones)





  

2025年1月10日金曜日

Roy Hargrove / Approaching Standards

 

 Roy Hargrove (ロイ・ハーグローブ) が1990年のデビューから1993年までにNOVUSレーベルで発売した4枚のアルバムから、スタンダード・ナンバーばかりを選んだコンピものの1994年発売です。1995年からはVerve Records に移籍なので移籍前のひと稼ぎですね。
 私がロイを最初に聴いたのは、アフロキューバン系のラテン寄り1997年の Habana 。ストレートで美しい響きのトランペットとラテンは非常によくマッチしていて、他のアルバムも聴いても良かったので、その後にジャズ・ヒップホップに転向するRHファクターも聴いてきて、逆戻りで初期の頃も聴いてみたいと手を広げています。
 時代によって芸風がだいぶ違うのも興味深く、すべての音源を聴いているわけではないですが、初期のロイのトランペットの音は印象が薄めに感じていました。このアルバムも、やはり線が細い印象で、ジャズ特有の黒っぽいものが希薄なようで、それがロイの特徴のようです。他人の評価も気になるところであり検索しましたが、日本人のレビューはあまり見当たらりません。海外レビューでは賛否両論の論戦が見受けられるようで独特のこの線の細さはジャズ・ファンの議論を呼ぶ作品のようで、アルバムの10曲のうち7曲を占めているバラードが多いアルバムなのも、そんな物議をかもす要因なのかもしれません。


 それでは、線が細いと先に書いてしまったアルバムですが再度聴きながらレビューしてみましょう。Easy To Remember いきなりトランペットから始まりますが、ビブラート少なめの直球でやっぱり清々しい。1935年の映画ミシシッピの為に書かれた曲です。Ruby My Dear は、Antonio Hart のアルト・サックスから入ります。テナーっぽいネチっとした音色に続いて、ロイのとトランペットは品行方正そのもの。同じ繰り返しがしつこい気もしますが、この対比はこれで面白いかもしれません。Whisper Not メッセンジャーズっぽいアレンジでカチッとしてて終始冷静な演奏です。ここでアルバムは変わり、少し柔らかくなります。What's New ロイの音も柔らかくなっていますが演奏自体は、こっちの方が面白味があるような気がします。September In The Rain やはりメンツが変わると演奏が変わります。角が取れた音になりスイング感が増しています。惜しくらくは冒険的なアドリブが無いとこですね。You Don't Know What Love Is シリアスな響きの曲は刑事ドラマでかかかりそうです。Antonio Hart のアルトは、ほぼこのアルバムで知ったのが最初かと思いますが、クセが強いですね。End Of A Love Affair ここらへんで、ロイの音にお腹がいっぱいになってくる感じです。テンポも似たような感じなので抑揚がアルバムの中でないんですよね。オムニバスなのでしょうがないですけど。Things We Did Last Summer 少しドラマチックな展開かと思えばスローなスタンダードでした。トロンボーンの Ku-Umba Frank Lacy が参加で少しだけ味を変えていますが本質は同じですが、曲はかなり良いですね。最後2曲はライブアルバムからです。Everything I Have Is Yours / Dedicated To You 本質は同じですけどライブ感あります。でもドライブ感は全くない曲です。管のアンサンブルで雰囲気は変わっているので良し。My Shining Hour やっと最後まで到達です。これもライブで心して聴かないでもくつろげる感じが良いですね。アルバムの真ん中へんに味変で入れてほしいとこだけど、バランス悪いですか。
 最初に聴いたのは酒を飲みながらで、強めのカーティスフラーの古いものを先にかけてから、これを聴いたら物足りなく感じたのですが、単体で聴けば物足りないというよりは清々しいイメージ。休みの日に珈琲を飲みながら朝を迎えるならバッチリ合うのではないでしょうか?(と酎ハイを飲みながら、再度聴きながら割と悪くはないと思いながら今書いています)🎶🎺

trumpet, flugelhorn : Roy Hargrove 
piano : John Hicks (1,2,3), Stephen Scott (4,5,6,7), Marc Anthony Cary (8,9,10)
bass : Scott Colley (1,2,3), Christian McBride (4,5,6,7), Rodney Whitaker (8,9,10)
drums : Al Foster (1,2,3), Billy Higgins (4,5,6,7), Gregory Hutchinson (8,9,10)
alto sax : Antonio Hart (1,2,3,4,5,6,7,8)
trombone : Ku-Umba Frank Lacy (8)
trombone: Andre Hayward (9)
soprano tenor sax : Ron Blake (9,10)

This is a compilation recorded from 1989 to 1993.

Diamond In The Rough 1990 (1,2,3)
Public Eye 1991 (4,5,6,7)
The Vibe 1992 (8)
Of Kindred Souls 1993 (9,10)

1. Easy To Remember (Richard Rodgers, Lorenz Hart)
2. Ruby My Dear (Thelonious Monk)
3. Whisper Not (Benny Golson)
4. What's New (Bob Haggart, Johnny Burke)
5. September In The Rain (Harry Warren, Al Dubin)
6. You Don't Know What Love Is (Don Raye, Gene DePaul)
7. End Of A Love Affair (Edward C. Redding)
8. Things We Did Last Summer (Jule Styne, Sammy Cahn)
9. Everything I Have Is Yours / Dedicated To You (Burton Lane, Sammy Cahn
, Harold Adamson, Saul Chaplin, Hy Zaret)
10. My Shining Hour (Harold Arlen, Johnny Mercer)




  

2025年1月9日木曜日

Esperanza Spalding / Emily’s D+Evolution (Japan)


 アルバムごとに綿密に構築したコンセプトで度肝が抜かれますが、通算5作目となる今作は優しいメロディーラインの、Esperanza(エスペランザ)ではなく、激しい感情の現れている曲が多く収録されています。前作は、グラミー賞で2部門に輝いた2012年の Radio Music Society に続く3年ぶりアルバムです。作風は違いますが、ジャズやラテン、ソウル、ファンク、アフリカンなどの要素もあり、今作でも独自の音の世界観が反映されています。
 アルバム名に入っている Emily は、自身のミドルネームで、誕生日の前の晩に見た夢の中に出てきたというキャラクター(=もうひとりの自分)を主人公として、人間の「進化(Evolution)」と「退化(Devolution)」を表現するミュージカルのようなコンセプトです。やはりこのような大胆な変革にはプロデューサーの力が大きくデヴィッド・ボウイの ★ のサウンドメイキングの Tony Visconti が共同プロデュースです。
 






 そんな大興奮のこのアルバムを、いつもの音楽好きの集う「おでんバー」に持参すると、マスターに関しては、良いとも悪いとも感想は無しでしたが、驚きはあったようです。そしてこの手のアルバムが好きそうな一名の常連は、音もファッションも好みであるので結婚したいと申しておりました。私は素朴な感じがする?アフロヘアの Esperanza が好みでありますが。
 さて、アルバムのレビューをしていきましょう。最初が一番ロックしてます。Good Lava 彼女の独特のボーカル、プログレのようなギターサウンドでグイグイです。Unconditional Love これは、いつものエスペランザに近いですがポップなテーマのメロディは、ぶっ飛んでいませんので聴きやすいかもしれません。Judas プログレっぽいベースで始まるEsperanza の得意とするメロディ・ラインのジャズっぽいニュアンスが混じった曲です。このパターンが大好きです。Earth To Heaven ここではロックっぽいニュアンスが登場します。ボーカルにはラップっぽいものも取り入れてます。やはり凡人には到達できないところに彼女はいます。One エレピの弾き語りで始まりますが、破壊的な和音の歪んだギターでガツンとかまされポップさも入れてきます。広がる世界観が壮大な曲です。Rest In Pleasure 曲名からして少し大人しい曲なのかと思いきや、中東的な音階や不思議感のある曲で妙なリズムが面白い。Ebony And Ivy お経みたいな早口の言葉で始めるアイデアにビックリですが、プログレになっていくのが更にビックリ。Noble Nobles アコースティック・ギターを活用した幻想的な Esperanza 流フォーク・ソングで Joni Mitchell の流れです。これも大好きなヤツです。Farewell Dolly アコースティック・ベースにコーラスをかけて弾き語りとなっています。短いですがこれも良い。Elevate Or Operate 近未来的な響きがします。ポップスのコード進行を入れながら複雑な展開をしていきます。Funk The Fear Oz ファンクと名をつけているので、Esperanza 流ファンク・ミュージックがこれのようです。でもファンカデリックに、これはデキマイ。精神は理解できました。I Want It Now そろそろ甘い曲があっても良いのではないかなと思ってきましたが、今回の Esperanza は S が裏テーマのような作品ですからそうはいきません。とってもホラーな曲で、ニナ・ハーゲンも感じます。ここからは日本版のボーナス・トラックです。Change Us 普通にロックを歌っているのが不思議ですが、普通の曲を歌っても良いです。ファンとしては鳥肌も立ちます。この路線をアルバムに1曲入れても良いのでは? Unconditional Love 2曲目の Altenative Version で、ソフトロック路線のような感じです。2曲目は意識的にポップなアレンジにしたのがよくわかります。Tamblien Detroit ボーナスの最後に、またダークなヤツを持ってきています。
 最初にこれを聴いた時には、疲れたと過去に書いてありました。今はそんなことはありません。不思議な世界観は健在でいながら、ミュージカルのようでオペラ・ロックのような素晴らしいアルバムです。今まで聴いてこなかった人には、天才過ぎてやばい人に思えますので最初の頃の他のアルバムも一緒に購入されることをお勧めします🎶

vocal, bass (1-11, 13, 14)), piano (10, 12), bass synthesaizer (12) : Esperanza Spalding
backing vocals (1, 2, 5-7, 12-14), synthesizer (6), trombone (8), keyboards (12): Corey King (1, 2, 5-7, 12-14), 
backing vocals (1, 6, 11, 12, 14) : Emily Elbert
backing vocals (2, 5, 7, 13) : Nadia Washington
backing vocals (11) : Celeste Butler, Fred Martin, Katriz Trinidad, Kimberly L. Cook-Ratliff
drums : Justin Tyson (1, 6, 11, 12, 14), Karriem Riggins  (2-5, 7, 8, 10, 13)
guitar : Matthew Stevens
percussion : Karriem Riggins (9)

producer : Esperanza Spalding, Tony Visconti
recorded at NRG Studios, North Hollywood, California, Magic Shop, New York City, HUMAN, New York City

 1. Good Lava
 2. Unconditional Love
 3. Judas
 4. Earth To Heaven
 5. One
 6. Rest In Pleasure
 7. Ebony And Ivy
 8. Noble Nobles (Esperanza Spalding, Corey King)
 9. Farewell Dolly
 10. Elevate Or Operate
 11. Funk The Fear
 12. I Want It Now (Anthony Newley, Leslie Bricusse)
【Bonus Tracks】
13. Change Us
14. Unconditional Love (Altenative Version)
15. Tamblien Detroit 


Judas