2021年8月11日水曜日

本日のCD Art Blakey ♪ Hold On , I'm Coming


  1966年アート・ブレイキーの貴重なソロ作。最初に言うのもなんだが、そしてアマチュアが言うのも申し訳ないが、これがあのブレイキーか?と首をかしげる凡作であります。ジャズのアルバムってたまに、このタイプの企画倒れがありますよね、ウェスのあれとか、ラムゼイ・ルイスのあれとか、多作な人にはつきものなんで面白がるしかないでしょう。
 「The Jazz Messengers」「Art Blakey and Jazzmessengers」 はお馴染みの名義、今回初めての&がない 「Art Blakey」 での録音、他は無いのか?と調べてみたらありました♪ 「Art Blakey's Big Band」「‎Art Blakey's Jazz Messengers」と「’s」を使用
  The Jazz Messengers が コンボを組んだ当初で、Art Blakey がリーダーになってからArt Blakey and を付けたってのは知ってましたが、「's」ってがあったのは知りませんでした。レーベルが変わってバンド名の版権とかがあって変えてるんでしょうか?そのうち聴いてたら出くわすと思いますので、そのくだりはその時に。 
 さてこの「&The Jazz Messengers 」ではないアルバムは、いままでの激しいファンキー・ジャズでハードバップでヒットを連発しているので路線を少し変えて今までと違うファン層を獲得しようとした。それで後にフュージョン路線でヒットを出すチャック・マンジョーネ、ファンク路線に入る前のグラント・グリーンをゲストに呼んで、60年代のR&Bやロック・ヒットを素材に選んで仕掛けた。しかし爆発力のあるジャズのダイナミックスがこのアルバムでは失われたことによって従来のブレイキーの魅力が発揮できなかったと考えられると思います。つまりレーベルとプロデューサーの思惑が外れた訳ですかね。
 1990年に逝去。71歳没。アート・ブレイキーが残したアルバムは200以上とも言われています。私がこれまで聴いてきたアルバムは、どれも共演しているミュージシャンを煽るような熱い攻めのものが多いので、聴く前に「どこまでやってくれるんだろう?」のような期待値が高いので、それに対するで落差から平凡であるとのような書き方になってしまいますが、他のミュージシャンでもありそうで、グラント・グリーンのファンだったら貴重なセッション音源といった見方もできます。アート・ブレイキーが出すものにはしたから平凡すぎると思ってしまいますが、ここまでリズムキープして個性をあえて抑えたようなアルバムは珍しい音源と言えるのではないでしょうか。
 11曲目の、Slowly But Surely は1965年の The Jazz Messengers アルバム「Soul Finger」を収録した時の録音でFreddie Hubbard, Lee Morgan の2トランペットの演奏でしたがこの演奏でどっちがソロをとっているかは不明となっています(私には聴き分けられません)

drums : Art Blakey
organ : Malcom Bass (2 to 6, 7, 10)
piano : John Hicks (11)
guitar : Grant Green (1 to 10)
bass : Reggie Johnson (2 to 6, 7, 10), Victor Sproles (11)
congas : John Rodriguez (2 to 6, 7, 1)

alto sax : Gary Bartz (11)
tenor sax : Frank Mitchell (2 to 6, 7, 10)
trombone : Garnett Brown (1, 2, 4 to 6, 8, 9)
trumpet : Charles Mangione  ( 2 to 6, 7, 10), Freddie Hubbard (11)or Lee Morgan (11)

producer : Jack Tracy, Luchi DeJesus

1. Day Dream
2. Hold On I'm Coming
3. Secret Agent Man
4. I Can't Grow Peaches On A Cherry Tree
5. Walking My Cat Named Dog
6. Sakeena
7. Got My Mojo Working
8. Mame
9. She Blew A Good Thing
10. Monday Monday
11. Slowly But Surely





muu music webzine

  

2021年8月10日火曜日

本日のCD Curtis Mayfield ♪ Back To The World

 


 タイトル曲の「Back To The World」は、ベトナムに出兵している兵士たちがアメリカに帰還する歌で、その社会性に大きな注目が集まったニューソウル全盛期のカーティスの全米R&Bチャートで1位に輝いたヒット作です。
 さてそのタイトル曲はこのアルバムの1曲目から、強力なメッセージを込めて歌われています。曲自体はストリングスとホーン・アレンジに乗せたカーティスのファルセット、壮大な世界が広がるゆったりとしたフィリーソウルな曲でありますが「Let me tell ya son / The war was never won」「I’ve been beaten up and robbed / Soldier boy ain`t got no job / Back in the world」と比喩もなしのストレートな歌詞。曲のエンディングに入っている飛行機の音はベトナムからアメリカへ帰還する飛行機の音ですね。Marvin Gaye「What's Going On」に呼応しているとも目にしますが、ここら辺はどこかでまた。
 そしてもう一曲 If I Were Only a Child Again」も軽快な楽曲にも関わらずストレートなメッセージです。「If I were only a child again / And have the ability to understand / I'd speak for little people from the date of birth / And ask the grown ups, when will there be peace on earth? / Grown ups, when will there be peace on earth? / Brother, when will there be peace on earth? / Only, only, only a child」
 ベトナム戦争を巡って世界各国で大規模な反戦運動が起こっていて、このアルバムが発売された1973年は、パリ協定を経てリチャード・ニクソン大統領は派遣したアメリカ軍を撤退させた年です。私も小学生で、細かな内容は覚えていませんがテレビでベトナム戦争のニュースや問題が報じられていたことは覚えています。アルバムのセールス的なヒットというレコード会社の戦略とは無関係に、このカーティスのストレートなベトナム帰還兵をモチーフにしたアルバムは当時まさにこの出来事に対峙していたアメリカ国民に共感を呼んだり嘆いたり様々な感情を引き起こしたことは想像できます。
 普段は私は歌詞の意味など深く読みこまず曲を塊でとらえて好みの判断をするタイプのリスナーです。しかしこのアルバムでは 歌詞を見ながら、Curtisメッセージを感じ取ることができて、またこの人が好きになりました。とはいっても軽快なソウルアルバムと思って聞き始めたのが、聴きごたえ以上のかなり濃くて重いアルバムでビックリでもありました。

written by, producer : Curtis Mayfield

1. Back To The World
2. Future Shock
3. Right On For The Darkness
4. Future Song (Love A Good Woman, Love A Good Man)
5. If I Were Only A Child Again
6. Can’t Say Nothin’
7. Keep On Trippin’





muu music webzine

  

2021年8月9日月曜日

本日のCD Miles Davis ♪ Four & More Recorded Live in Concert

 

  1964年ニューヨークのリンカーン・センターのフィルハーモニック・ホールで行われた2公演の一部で、このライブはバラードを「My Funny Valentine」に高速バップは「Four & More」の2枚に収録され「静」と「動」として対をなす傑作とされています。
 先に書いてしまったようにこのアルバムは「動」。それも息をつく暇もないほどの超高速のバップ。しかもハービー・ハンコックもロン・カーターも異常なこのスピードにも余裕を持っていることを感じられるのがまた凄いところ(ここら辺は聴く人によって感じる印象は違うと思いますが)
 ライナーノーツにロン・カーターへの後インタビューが書いてあります。(「Four & More」は数か月オフの後の公演でリハーサルは無し。5千~1万のレパートリーの中から出来上がっていたセット・リストに従って15~20曲を毎晩演奏した。この録音の日と同じセット・リストでその前の晩も同じ曲を演奏していたので曲がどんどん発展していった)なるほどと思いたいところですが、ちょっと待ったです。レパートリーが5千~1万って要するに譜面さえあればどんな曲でもできるってことですよね。覚えているんだとすれば「おかしい人たち」と思ったら、ジョージ・コールマンのインタビューでは「ライブでは譜面を前に演奏した」と書いてありホッとしたような残念なような。
 そして、ここでの主役は18歳のトニー・ウィリアムスでしょうか、テクニックと迫力でバスドラのドコドコ言わせつつの繊細なシンバルワークで、高速リズムキープをしていたかと思えば、瞬間で自在にテンポを変えてメンバーに伝えていく仕事っぷりは痛快です。また、ジョージ・コールマンのストレートな演奏スタイルもこのスリリングさを引き立てていると感じ好きですね。速さについてばかり書いてきましたが、早いからこそ50年代からやってきた定番曲がまた違った曲に聞こえるようなスリリングさになっていたり、演奏者の感性がそのまま流れるように出てきたりしているのでスピード狂も良いものです。

trumpet : Miles Davis
tenor sax : George Coleman
piano : Herbie Hancock
drums : Tony Williams

producer : Teo Macero

recorded live in concert at the Philharmonic Hall of Lincoln Center for the Performing Arts in New York City on February 12, 1964.

1. So What
2. Walkin'
3. Joshua
4. Go-Go (Theme And Announcement)
5. Four
6. Seven Steps To Heaven
7. There Is No Greater Love
8. Go-Go (Theme And Announcement)

▶ So What

▶ Four



muu music webzine

  

2021年8月8日日曜日

Roland GO-PIANO 88 到着 「練習開始」

 

 楽器と言えば、私の趣味はギターで、もう弾き始めて40年以上たちます。最初の頃はNHKのクラシックギター教室を見たことはありますが、とてもついていけるレベルではなかったため、ある程度弾けるようになったところで、教則本の「禁じられた遊び」のみをマスターしそこで満足しました。以降は習うことはなく独学で弾いてきました。
 他の楽器はと言えばブルースハープをやろうと思たんだけど、音階がいっぱいあった方が良いと思って、クロマチック・ハーモニカを購入しましたが唇が痛くなって吹けるようにはなっていません。
 キーボードは以前ポータサウンドを買って少しだけやったことがありますが、ほぼDTMの味付け程度のことしかやらなかったので全く弾けないに近い状態です。あとは数千円で購入した CASIO SA46 を時々さわる程度で弾けるなんてもんではありません。
 

 たまに簡単な曲をマネしてやってみようと思っても鍵盤の数が少ないためお遊び程度のことしかできませんでした。しかしコロナ渦で飲みに行く機会もめっきり減り、家で過ごすことが多いためこの CASIO で本格的に遊ぼうと思ってもどうにも鍵盤の数が少ない。
 ということで買ってしまいました Roland GO-PIANO 88。88鍵で台付き、椅子付き、ヘッドホン付きで3.8万円は丁度手頃と言えば手頃な価格。注文して土曜着指定で届きました。届いて思ったのは意外とでかい💦
 せまいマンションなので箱はわたくし躊躇なく捨てるタイプですが、ちぎってビニール袋に入れるのに結構な時間がかかってしまいました。ゴミ袋2個分も使ってしまいました。
 ということで梱包ほどいて1日たった感想ですが、椅子が付いているのが良かった。やはり88鍵はそこそこ長いので、きちんとした高さのところに置いてきちんと座らなけらば多分練習する気にもならないと思います。そしてヘッドホン付きだった。夜中にギターは弾けないけど、キーボードのヘッドホンだったら全く問題はありません。夜中に好きな時に弾けます。そして楽器自体ですが、今までおもちゃのようなキーボードだったので鍵盤を押している感覚がなくてリズムがとりずらかったのですが、しっかりエレピで重いので弾いてる感がありますし強弱もつけられますので、かなり楽器!って感じです。
 とりあえず毎日触って鍵盤の感覚に慣れることから始めてますが、ポータ・サウンドの時より運指の感覚も良い感じでもしかしたら意外と早くそこそこ弾けるようになるかもしれない予感がします。
 私はもうオジサンなので死ぬまでの時間の方が早いので、基礎練習はそこそこにして、簡単なポップスやジャズ・ブルースが感覚で弾けるようになるのが目標です。ギターと同じように運指の練習や読譜は毎日やればそこそこできる。難しい曲を弾けなくても良いのであれば、とにかく曲っぽいものに手を付けた方が上達は早いはず。を信条にピアノも独学で通そうと思っています。

 まずは、2年くらい前に購入していた CASIO SA46 では役に立たなかった「ポップスのピアノ伴奏ができるようになる本」



 YouTube では NewJazz というチャンネルがよさげで ESSENTIAL IMPROVISATION EXERCISES を見ながら練習始めました。


超初心者なので 【もっと上達!】1日5分で10倍上手くなる指トレPart2!! もしばらく続けます。


2021年8月7日土曜日

金曜の夜には、土岐英史、ジュニア・マンス、ジャズ・メッセンジャーズ

 



 今日もどれから聞こうか迷ったのですが、土岐英史から聞くことにしました。土岐さんが亡くなったときに YouTube で聴いていたものの中から一枚。ギター2本とサックスのアルバムでまずは一杯。以前に聴いた YouTube とかなり違う印象を受けます。やはりCDということと、マスターんとこのオーディオで聴くでは音の立体立体感が違います。🍺 マスターも前に聴いた時とまるで違う音にビックリしてダビングを開始しています。ギタリストは萩原亮、井上銘でアルバムは持っていませんが雑誌によく出ているので存在は知っていますが三人のバランスが良く聴いていて気持ちよくこのアルバムで、ジンビーム3杯いってしまいました。

 さて次は何にしようかと、とりあえずジャズ・メッセンジャーズのウイントン・マルサリスが吹いているヤツです。1980年の録音なので少し不調な頃でしょうか。若輩者が偉そうですがブレイキーがブレイクしていなくてマルサリスばかりが前面に出ているアルバムで、飲んでいるこちらも少しおとなしくなってしまいました。ここでは、眠くなってきたのでウトウトしながらの1杯ぐらい。
 そして私はあまり馴染みのないジュニア・マンスです。こちらは初のリーダー作とのことで期待ですが、それほどの気負いもなく淡々としている印象でしたが最近よく聞いている音数の多いピアノではなくシンプルで私は好きだったのですが、マスターは不満げでCDが終わるとそそくさと次の作業をゴソゴソしています。眠かったのでよく覚えていませんが多分ここで2杯かな🍺
 と、ここでマスターがギターとピアノの曲をかけて私を見ています。ん~誰だろう? 最初の奴ですよ! ええっビックリ。マスターがハードディスクに落としたもので、音の張りが全く違うので最初にかけたものと同じものとは思えない音質でした。いつもレコード、ハードディスク、CD、YouTube と音の違いに驚くんですが、今回は楽器の数が少なくてシンプルなだけに全く別物に聞こえるのにはびっくりです。結局CDに戻ってもう一回聴いて昨日は終了。発見でした。少しお酒は控えめにしときました。



2021年8月3日火曜日

本日のCD Galliano ♪ What Color Our Flag


 いつどこで買ったのか記憶がないくらい相当昔の仕入れですね。ラップもので始まりますが基本はアシッド・ジャズ、クラブ・ジャズ系に分類されるアルバムです。ここらへんのカテゴリーのつけ方って相変わらずよくわかりませんが、DJ的な人口リズムのラップ融合型をクラブ・ジャズ、ソウル・ジャズに近いものをアシッド・ジャズとすれば両方が収録されてクラブ・ジャズが多めです。
 前回このアルバムのレビューを書いた3年前は、正直ラップが好きではなく、どちらかと言えば敬遠していたのですが、これだけこのジャンルが世の中に氾濫してくると耳と脳が慣れてきているので、今では違和感なく聞けるように私も進化してきました。
 Galliano は1988年から1997年までロンドンを拠点として活動していたグループで、アシッドジャズ レコードレーベル Talkin' Loud の設立当初の契約のアーチストとしてincogniteとこの Galliano が名前を連ねています。
 と、ここまでこのブログを書くのに改めて調べて、なぜこのアルバムが手元にあるのかわかりました。アシッド・ジャズに凝っていた時期 Talkin' Loud レーベルのアーチストとして incognite 的な音を期待しての試聴なしの購入に間違いありません。そんなことはすっかり忘れていました、なるほど。
 さてアシッド・ジャズは1980年代にイギリスのクラブシーンから派生したジャズの文化であり、ジャズ・ファンクやソウル・ジャズ等の影響を受けた音楽のジャンルでもあります。分類としてアシッド・ジャズされていても、実に様々な形の音楽のグループがありリスナーとしても驚きもあったりして面白い分類であり訳のわからない分類であったりします。そこらへんは、このブログで書いた「ビ・バップとハード・バップへの変遷とジャズの分化」のアシッド・ジャズで少し記載してます。
 Gallianoも様々な試みがあって面白いのですが、私にとっては少し線が細めで印象が薄めですかな。やっぱりジャズファンク的なもの方が好みではあります。

Performer : Constantine Weir (vocals), Crispin Robinson (percussion), Crispin Taylor (drums), Ernie McKone (bass), Mark Van Der Gucht (guitar), Michael Snaith (vibe controller), Mick Talbot, Rob Gallagher(vocals), Steve Amedee (dancer), Valerie Etienne

1. New World Order
2. So Much Confusion
3. Earthboots
4. Stoned Again (Live)
5. Leg In The Sea Of History
6. Cemetary Of Drums
7. 57th Minute Of The 23rd Hour
8. What Colour Our Flag
9. Phantom
10. Prince Of Peace
11. Jus' Reach
12. Jazz?
13. Totally Together
14. Storm Clouds Gather (Live)





muu music webzine

  

2021年8月2日月曜日

本日のCD Thelonious Monk / Palo Alto

 


 未発表音源の発売と言えば「Resonance」が最近の定番でしたが、これは1968年の録音が2020年に創立60周年を迎えたジャズの名門「Impuls!」からの発売です。
 既に持っているのでうんちくは要らない人も再度思い出して聞き直していただき、モンクを知らない方にも聴いていただきたい実に楽しい演奏です。正式な録音でないのですが海賊盤よりもはるかに音は良くて十分聞けますし、ラフな録音がかえって臨場感を増しているような気もします。
 録音された場所はシリコンバレーのはずれにあるカルフォルニア州パロアルトの高校。キング牧師の暗殺は1968年4月4日。米国は国内で多くの都市で怒りに包まれたアフリカ系アメリカ人による暴動が巻き起こったり人種差別に揺れていました。そんな中ジャズを通して人々の結束を願う一人の男子高校生の思いに応えてモンクは高校の学内コンサートに出演のオファーを受けた。少年は当時16歳のジャズをこよなく愛していたダニー・シャー氏。サンフランシスコから白人居住地区のにあるカリフォルニアのパロアルトの高校までの移動はダニー氏のお兄さんの自家用車だった、こうして1968年の10月27日にライブは行われ、そのライブはその学校の用務員によって録音され、音源はこのライヴの発案者のダニー・シャーの自宅屋根裏で保管されていた。そうして保管された音源が52年後の2020年に発売となったわけです。この音源を聴くこととは別に、キング牧師の死後50年以上を経過しているのに人種差別はいまだ無くならずに不幸な報道があることは嘆かわしいことであり、すべての人間の意識改革が進むことを願っています。
 さて先に書いたように録音は用務員のおじさんだったとのことで、極上の状態の録音ではありませんが、バンドメンバーの息がぴったりと合っていて演奏内容はすこぶる良いアルバムだと思います。Well You Needn't の Ben Riley のドラムプレイとLarry Gales の弓弾きベースソロは絶好調ですし、Blue Monk は跳ねるような楽しい演奏で Charlie Rouse のテナーも探るように始めながら段々と饒舌になっていきながら吹きまくらない加減に調整するため具合も良いです。モンクのソロもこの曲は楽しいんだよと語りかけるようにリズミカルな感じだし、長尺のベースソロ、ドラムソロもかなりのお客さんへのサービスで、いやこれは楽しい。お客さんの拍手と一緒に私も拍手したくなります。この盛り上がりの後での Epistrophy の少しアップテンポなイントロでお客さんを煽るところもにくい選曲で演奏後のお客さんの拍手は更に大きく相当に盛り上がってきてるのがわかります。最後に短い I Love You Sweetheart of All My Dreams でのモンクのガツンと聞かせるソロも気合と迫力満点。そして前後しますが Don't blame me のモンクの独奏バラードもピアノの鳴りと、あの独特のタッチでドンドンとピアノを押し込むように弾いてリズムをもつくりだすこの演奏で音を聴きながら見ているような感覚になれます。これも良い。
 モンクの代表曲ばかりで安心して楽しめるところと、このカルテットの良さがと充実ぶりが非常によく伝わる名演。これはいつもの「おでんバー」のマスターも気に入ったので、お店のハードディスクに格納されたのは私もうれしい🎶🎹

piano : Thelonious Monk
tenor sax : Charlie Rouse
bass : Larry Gales
drums : Ben Riley

producer : Grand Mixer DXT, Danny Sher, Douglas Holloway, TS Monk
recorded at Palo Alto High School on October 27, 1968.
analog tape restoration by Kevin Przybylowski at Sonicraft A2DX Lab, Red Bank, NJ.

1. Ruby, My Dear
2. Well, You Needn’t
3. Don’t Blame Me
4. Blue Monk
5. Epistrophy
6. I Love You Sweetheart of All My Dreams

▶ Palo Alto (Mini Documentary)

▶ Thelonious Monk Quartet in Poland April 1966



  

2021年8月1日日曜日

ビル・エヴァンスについていくつかの事柄 中山康樹

 


 今では楽器を問わずにジャズを聴き続ける人になってしまったんですが、十数年前まではギター音楽にしか興味は無くピアニストなんて聞いていませんでした。しかし行きつけのバーの常連さんでビル・エヴァンスが好きな人がいて、かなりの頻度でかけられていたのでいつの間にか私も聴くようになっていました。今ではビル・エヴァンスのみならず、モンク、ホレス・シルヴァー、デイヴ・ブルーベック、オスカー・ピーターソンと様々なピアニストの演奏を楽しんでいますが、入門はやはりこの人でした。

 神経質そうにカメラに目を向ける写真ばかりで、繊細な演奏が多いため内向的な方と思っていましたが、実は活快なかただったとありイメージは作られるものであると改めて思いました。また最初から売れていたわけではなく、売れるために様々なビジネス的努力があったこと、ヤクの代金を稼ぐために結構、銭ゲバっぽい人だったことなんかも見えて実に興味深く読まさせていただきました。また当時のレコード業界はアルバムが売れたら次の発売のレコードには予算がついて高額なミュージシャンも雇えるが、次でセールスに失敗するとまた予算が付かないのでトリオ演奏が多くなるとか、レコーディングしてお金を稼がねばならないのでアルバムを発売せずともまず録音、それで未発表音源も後に相当だされたりする事情が見えたり、稼ぐためにはどんなアルバムを出していかねばならないのか、ビル・エヴァンスは戦略を考えていたとか(つまりは芸術性だけを考えて仕事をしていたわけではない)とかアルバムを聴いて、ライナーノーツを読んでいるだけではわからないことが書いてありました。

 実は本人が没作品にしたかった作品が、後に出てしまっていることも書かれているのでそこら辺の事情なども読み返しながら今後のエヴァンスを聴いていけば、また音源への興味は深まるに違いありません。

 ハードカバーの分厚い本ですが、何回か同じことが書かれているのは?な部分もあり

2021年7月31日土曜日

金曜のつまみは1枚プラス ジョニ・ミッチェル、ハービーハンコック、トミー・フラナガン

 


 我ながら絶妙のアルバムセレクションでした。ジョニ・ミッチェルのジャズ色が強いカントリー、フォークの入った歌は、心地よく今日もこれでジンを三杯いきました。ただ、アルバム通して変化が少なかったんで、他の方は少し最後飽きが来てた感じはします。

 しかし気を取り直して、ハービー・ハンコックです。思ってたよりさらっとしてストレートな展開に、アルバムを聴きながらの会話が弾んでしまいました。いつもならここらへんで黒糖を挟んで酔いを加速させるところですが先日飲みすぎて、財布を落としたと勘違いして午前中に落胆、午後にベッドの下に財布が落ちているのを見つけてテンションアップをやってしまったので自重してジンのみで粘ります。

 トミー・フラナガンをかけて、ん!これも当たりじゃないかと思ったところでお代わり。そして最近常連になったカメラマン女子が参加して来たのでオジサンのテンションはまた上がってしまい。最後にしようと思っていた一杯をお代わりしてしまいました。これといったお気に入り曲が見つかったわけではありませんが、アルバム全体のテンションのかけ方はかなり良かったです🍺

2021年7月29日木曜日

本日のCD Sugar Blue ♪ Absolutely Blue


 若いブルースハープ奏者と思っていたら1949年12月16日、ニューヨーク市ハーレム生まれとのことなので、もはや重鎮のお歳になってきています。ローリングストーンズの「Miss You」でブルース・ハープを吹ていた人と言えばピンとくる人も多いはず。
 10代の頃はスティーヴィー・ワンダーやボブ・ディランを聞いて育ち、シカゴに移住し、70年代中期ごろからはセッションマンとして多くの録音に参加。その後メンフィス・スリムの薦めで1976年にフランスのパリに転居。クラブや路上パフォーマンスをローリング・ストーンズに見出され、1978年のヒット曲「Miss You」の録音に参加して知名度を上げました。
 あのストーンズの曲では演奏ではわかりませんでしたが、このアルバムを聴けば声量があって艶々な音色で伸びやか。正確で緻密な音程と組みたて、そして超(長)ロングトーンうますぎる次世代のブルース・ハープといった印象です。
 このアルバムは1991年の発売ですが、ストーンズの「Miss You」も収録されています。本家ではディスコ調だった衝撃のアレンジも、ここではスラップ・ベースを入れたファンクに仕立ててて、よりカッコいいアレンジにしています。これを機に改めてストーンズを聴いて比較するとストーンズの演奏はダサいアレンジだと当時思っていたのが適度にルーズなディスコサウンドが今となってはカッコよいとも思えます。どちらが良いは関係なく意外と耳に残る名曲なんですね「Miss You」
 現代派のイメージの Sugar Blue ですが、このアルバムではド・ブルースがやはり収録されていて I Just Got To Know やはりブルースはこれだって感じで良いです。きれいな音が特徴と思っていたらこの曲ではしっかりコブシも効かせた腰の強いハーブ。一方でジェイムス・コットンの最盛期ばりのジャンプ・ブルースの One More Mile To Go も正統派でなかなか。アコースティックの弾き語りパターンの That's All Right も良い味。
 3年前のレビューでは「センスも良いけど私の好みではなかった。決してハズレではない」とか、ネガティブなこと書いてますが今回再度聞き直して完全に撤回させていただきます。

vocals, harmonica : Sugar Blue
acoustic guitar : Lurrie Bell
electric guitar : Motoaki Makino, Rico McFarland
keyboards : Roosevelt Purifoy
bass : Charles Hosch
drums : James Knowles
sax : Hank Ford
trombone : Bill McFarland
trumpet : Ken Anderson

1. I Ain't Got You
2. Help Me
3. Miss You
4. I Just Got To Know
5. One More Mile To Go
6. That's All Right
7. Country Blues
8. Back Door Man
9. Just To Be With You
10. Out Till Dawn




muu music webzine

  

2021年7月28日水曜日

本日のCD Soulive ♪ Next


 Velour Recordingsから199年に2枚「Get Down!」「Turn It Out」そして Blue Note に移籍して「Doin' Something(2001年)」今作は2002年で「Next」の4枚目ですが、なんかいつものSouliveよりオシャレです。
 今まではライブなどのサポートメンバーだったSam Kiningerが正式加入して、今までのオルガン・ジャズ・ファンクからフュージョンよりのサウンドに脱却させてたんですね。しかしせっかく正式加入したSam Kiningerもこのアルバムのみのメンバーとなり脱退してしまうのはもったいないですが、仲たがいの脱退ではないようで、その後のライブにも参加はしているようです。
 さてこのアルバムですが「Tuesday Night’s Squad」「Flurries」「Liquid」などは他のアルバムやライブで演奏されることも多い曲。サックスがメインになるような楽曲になっていて、今までの楽曲のエッセンスは引き継ぎつつも汗臭さを消してきているので、聞いたことがある雰囲気だが、何かがいつもと違うなといった感じです。
 「Kalen」は新曲でファンクな単音カッティング・ギターとフュージョンなサックス。「Clap!」 で、きたなラップお前もかって感じで、私が好きとか嫌いとか言ってるのは古臭くラップはリズムとか形態の一部としてこの手のアルバムにはもう入っていて当たり前、古いタイプのリスナーである私も違和感はなくなってきました。(馴れとはこういうもんなんですね)おっとラップの終わったところのピアノのリフはジャミロクワイっぽい?そして黒い感じでオルガンファンク「Interlude」が始まって昔パターンに近い展開になるかと思ったら1分で終了。他ネオ・ソウル系の楽曲「I Don’t Know」は Amel Larrieux の色っぽいボーカルが趣味よく好みで、「E.D. Hambone」「Doin' Something Chameleon (Live)」はライブ録音でいつもの Soulive
 スタジオでの音の作り方とか、新たなファンの獲得とかのビジネスコンセプトもあるんでしょう。こんなアルバムのソウライブも悪くはないのですが、でもね・・もっと汗臭いほうが好きだなあと、いちファンのつぶやきでした。

guitar : Eric Krasno
organ : Neil Evans
drums : Alan Evans
alto sax : Sam Kininger

1. Tuesday Night’s Squad
2. Flurries
3. Liquid
4. Kalen
5. Clap! 
6. Interlude
7. Ne-Ne
8. I Don’t Know
9. Whatever It Is
10. Alkime
11. E.D. Hambone
12. Doin' Something Chameleon (Live)





muu music webzine

  

2021年7月27日火曜日

本日のCD Doobie Brothers Live In Philadelphia(Spectrum)


 1971年から始まったドゥービー・ブラザーズのライブです。ジャケットのBEST LIVEの文字はBest Of Live Seriesと名前をつけたシリーズの企画販売だからです。ざっと見てみるとRod Stewart、Robert Palmer、Billy Idol、Yes、The Rolling Stones、Foreigner、Bryan Adams、Santana など大御所のライブが連なっていますが、フォーマルなのかは不明。
 何故フォーマルかどうかは不明と書いたのかと言うと、廉価版CDなので詳しい説明はついていないパターンでアルバムタイトルは Live In Philadelphia(Spectrum) ですが、Walk Man用にハード・ディスクに落としたデータは「Live In Pittsburg」と表示されているのに今更気づいたからです。注意して見ていると絶対にフォーマルなCDでも曲名などは違っていることがあったりはしますがアルバム名が違うパターンは滅多にありません。ブートレグのアルバムの曲だけで、パソコンが似たようなアルバムのデータを拾ってきてしまうパターンはたまにありますので、おそらくこれかなあと思われます。不明ではありますが、前述の大御所をシリーズで出しているようなので所謂ブートレグではないような気もします。発売国はルクセンブルグの表記で1993年発売。ちなみにPhiladelphiaはペンシルバニア州、Pittsburgはカリフォルニア州にある都市で全く違うところ。
  おそらくジャケットのPhiladelphia(Spectrum) がこのライブの会場でしょう。当然ヒット曲は入ってます。China Grove、WhataFool Believes はゴールド、他Takin' It To The Streets、Listen To The Music、Jesus Is Just Alright、Rockin' Down The Highway、Long Train Runnin'などもビッグヒットのシングルですね。本気でコピーしたことはありませんが、リフはギタリストの皆さんは同様に練習で通る道の名曲ばかり。
 前回のこのレビューは2018年で現在は2021年と三年経っています。その時には「まだ現役のバンドです」と記載していましたが今もまだあるのか検索すると、ありましたThe DoobieBrothers.com アメリカ国内では2021年8月から22年の6月末までツアーで埋まっていますので未だ健在でした。オフィシャルメンバーは、ギターのPatrick Simmons 、Tom Johnston はオリジナルメンバーのまま、キーボードの Michael McDonald は1975年加入、同じくギターのJohn McFee は1979年からの加入メンバーです。
 「ドゥービー」はスラングで「マリファナ煙草」だそうです。世界的に有名で日本では不良なイメージは全くない健全なバンドですが、実はやんちゃなバンド名。ジャケ写若いですね

1. China Grove
2. Takin' It To The Streets
3. It Keeps You Runnin'
4. Black Water
5. Listen To The Music
6. Jesus Is Just Alright
7. Rockin' Down The Highway
8. Long Train Runnin'





muu music webzine